以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムにおいて、検査結果の情報をより効率よく管理するための機能について説明する。図1は、本実施形態に係る画像検査システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像検査システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を含む。DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。
エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。また、エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて記録媒体である用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。尚、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
検査装置4は、出力結果に欠陥があると判断した場合、欠陥として判定されたページを示す情報をエンジンコントローラ2に通知する。これにより、エンジンコントローラ2によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。
インタフェース端末5は、検査装置4による欠陥判定結果を確認するためのGUI(Graphical User Interface)や、検査におけるパラメータを設定するためのGUIを表示するための情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の一般的な情報処理端末によって実現される。
ここで、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を構成するハードウェアについて、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、他の装置についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も、専用デバイス80によって実現される。
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るDFE1は、ジョブ情報処理部101及びRIP処理部102を含む。また、エンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
ジョブ情報処理部101は、DFE1外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりDFE1内部に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づき、画像形成出力の実行を制御する。画像形成出力の実行に際して、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき、RIP処理部102にビットマップデータを生成させる。
RIP処理部102は、ジョブ情報処理部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン3が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。
本実施形態に係るプリントエンジン3は、CMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調等の多階調で表現された多値画像である。そのため、RIP処理部102は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値のビットマップデータを生成し、エンジンコントローラ2に送信する。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取画像を出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像処理部402が、読取画像の検査を行うための検査用画像であるマスター画像を出力対象画像に基づいて生成する検査用画像生成部として機能する。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能すると共に、比較検査部404による検査結果を取得する検査結果取得部として機能する。
比較検査部404においては、上述したようにRGB各色8bitで表現された200dpiの読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。そのようにして算出した差分値と閾値との大小関係に基づき、検査制御部403は、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、比較検査部404は、図4に示すように、所定範囲毎に分割されたマスター画像を、分割された範囲に対応する読取画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。このような処理は、検査制御部403が、重ね合わせる範囲の画像をマスター画像及び読取画像夫々から取得し、比較検査部404に入力することによって実現される。
更に、検査制御部403は、分割された範囲を読取画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、即ち、読取画像から取得する画像の範囲を縦横にずらしながら、算出される差分値の合計値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された各画素の差分値を比較結果として採用する。そのため、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、重ね合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力することが可能である。
図4に示すように方眼上に区切られている夫々のマスが、上述した各画素の差分値を合計する所定範囲である。また、図4に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。このように算出された差分値が所定の閾値と比較されることにより、画像の欠陥が判定される。また、例えば、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図4に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の際による影響を低減することが可能となる。
また、図4に示すように分割された夫々の範囲において、隣接する範囲の位置ずれ量は比較的近いことが予測される。従って、分割された夫々の範囲についての比較検査を行う際、隣接する領域の比較検査によって決定された位置ずれ量を中心として上述した縦横にずらしながらの計算を行うことにより、縦横にずらしながら計算を行う回数を少なくしても、正確な重ね合わせ位置による計算が実行される可能性が高く、全体として計算量を減らすことが出来る。
また、本実施形態に係る検査制御部403は、検査結果の情報を効率よく管理するための機能を有する。この機能については後に詳述する。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。尚、図5においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402の機能構成について説明する。図6は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図6に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び画像出力処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB(Red,Green,Blue)各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理の機能を変更することにより対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態においては、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を200dpiに変換する。また、本実施形態に係る解像度変換処理部422は、解像度変換に際して、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して予め定められた倍率に基づいて解像度変換後の画像のサイズを調整する。
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって解像度が変換された画像を取得して階調変換及び色表現形式の変換を行う。階調変換処理は、印刷処理部301によって紙面上に形成される画像の色調及び読取装置400によって読み取られて生成される画像の色調に、マスター画像の色調を合わせるための色調の変換処理である。
このような処理は、例えば、様々な階調色のカラーパッチを含む画像が印刷処理部301によって紙面上に形成され、その用紙を読み取って生成された読取画像における各カラーパッチの階調値と、夫々のカラーパッチを形成するための元の画像における階調値とが関連付けられた階調変換テーブルを用いて行われる。即ち、色変換処理部423は、このような階調変換テーブルに基づき、解像度変換処理部422が出力した画像の各色の階調値を変換する。
色表現形式の変換処理は、CMYK形式の画像をRGB形式の画像に変換する処理である。上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部423は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。この色表現形式の変換処理は、RGB形式の各色の値をCMYK形式の各色の値に基づいて算出するための計算式を用いて実行される場合の他、上述した階調変換処理と同様に、CMYK形式の値とRGB形式の値とが関連付けられた変換テーブルに基づいて実行される。
尚、CMYK形式の値とRGB形式の値とが関連付けられた変換テーブルであって、上述した階調変換が考慮された変換テーブルを用いることにより、上述した階調変換及び色表現形式の変換を同時に実行することも可能である。そのような処理により、処理負荷を低減することが可能である。
色変換処理部423までの処理により、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。即ち、本実施形態においては、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422及び色変換処理部423が、検査用画像生成部として機能する。
画像出力処理部424は、色変換処理部423までの処理によって生成されたマスター画像を出力する。これにより、検査制御部403は、マスター画像処理部402によって生成されたマスター画像と、読取画像取得部401によって取得された読取画像との位置合わせ及び欠陥判定を行う。
次に、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成について説明する。図7は、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成を示すブロック図である。また、図8は、本実施形態に係る検査制御部403による1ページ分の画像検査の動作を示すフローチャートである。図7に示すように、本実施形態に係る検査制御部403は、情報入力部431、差分画像取得部432、画素閾値判定部433、ラベリング部434、面積閾値判定部435、ページ欠陥値算出部436、ページ閾値判定部437、情報記憶処理部438、情報記憶部439、再印刷検知部440及びコントローラ通信部441を含む。
本実施形態に係る検査制御部403においては、図8に示すように、まず情報入力部431が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得し(S801)、読取画像取得部401から読取画像を取得する(S802)。S801の処理とS802の処理とは前後関係に制約はないため、逆の順序で実行されても良いし並列して実行されても良い。
マスター画像及び読取画像を取得した情報入力部431は、図4において説明したように、マスター画像及び読取画像から夫々所定範囲の画像を抽出して比較検査部404に入力することにより、比較検査部404に画像の比較検査を実行させる(S803)。
S803の処理により、読取画像を構成する各画素とマスター画像を構成する各画素との差分値を示す差分画像が生成され、生成された差分画像を差分画像取得部432が取得する。図9は、本実施形態に係る差分画像の例を示す図である。図9に示すように、差分画像を構成する画素は、上述した読取画像を構成する画素とマスター画像を構成する画素との差分値である。そして、差分画像取得部432が取得した差分画像に基づき、欠陥判定が実行される(S804)。
S804においては。まず、画素閾値判定部433が、差分画像を構成する各画素の値、即ち差分値を、設定されている濃度差分閾値と比較することにより、画素単位での欠陥判定を行う。画素閾値判定部433による閾値判定により、図9に示すような差分画像に基づき、図10に示すような、各画素が閾値を超えたか否かが“0”若しくは“1”の1bitの値によって示された閾値判定済み差分画像が生成される。
図9及び図10の例においては、濃度差分閾値を「10」とし、図9に示すような各画素の値である差分値が「10」未満であれば“0”、「10」以上であれば“1”となるような処理を例としている。図10に示すような閾値判定済み差分画像において“1”となっている画素が、濃度差分閾値に基づいて欠陥として判定された画素である。
閾値判定済み差分画像は、画素閾値判定部433からラベリング部434に入力される。ラベリング部434は、図10に示すような閾値判定済み差分画像において“1”の値の画素、即ち、差分値が閾値を超えた画素に着目し、所定範囲内に存在する複数の“1”の値の画素に同一のラベル情報を付与することにより、複数の画素を1つの画素群とする。この処理をラベリング処理と呼ぶ。
ラベリング処理の手法としては、例えば、“1”の値の画素の周囲の“0”の値の画素を“1”に変換する膨張処理を行った上で、上下左右斜めの方向に連続している“1”の値の画素に同一のラベル情報を付与する処理を用いることが出来る。これにより、極めて近傍に位置しているが、連続はしていない“1”の値の画素の領域を連結することが可能となる。近傍に位置しているが離れている“1”の画素を連結させるための膨張処理は1回に限らず、複数回繰り返しても良い。ラベリング処理により、図11に示すようなラベリング済み差分画像が生成される。
ラベリング済み差分画像は、ラベリング部434から面積閾値判定部435に入力される。面積閾値判定部435は、図11に示すようなラベリング済み差分画像における夫々の画素群の画素数、即ちラベリングされた領域の面積に着目し、夫々の画素群の画素数と面積閾値と比較することにより、画素群単位での欠陥判定を行う。
これにより、面積閾値以上の面積を有する画素群のみが残され、図12に示すように画素群が絞り込まれる。図11から図12の例においては、「H003」のラベル情報が付された画素群が、面積閾値未満の画素群であるとして除外されている。
図12に示すように、面積閾値判定部435による処理によって生成された情報は、欠陥として判定された部分を示す情報となる。即ち、図12に示す面積閾値判定部435による処理によって生成された情報は、欠陥発生部識別画像として用いられる。図12の例においては、「H001」、「H002」のラベル情報が付された画素群が欠陥として判定されている。このように、本実施形態においては、画素閾値判定部433、ラベリング部434及び面積閾値判定部435が連動することにより、ページ中に含まれる欠陥を特定する欠陥判定部としての機能が実現される。
画素閾値判定部433、ラベリング部434及び面積閾値判定部435は、欠陥の種別毎に上述した処理を行う。欠陥の種別としては、例えば“点状欠陥”、“線状欠陥”、“面状欠陥”があり、予め定められた線状欠陥と面状欠陥とを切り替えるアスペクト比や点状欠陥と面状欠陥とを切り替える面積等に基づいて画素群の欠陥の種別が特定される。そして、夫々の欠陥毎に上述した処理が実行されることにより、夫々の欠陥毎に図12に示す欠陥発生部識別画像が生成される。
欠陥発生部識別画像は、面積閾値判定部435からページ欠陥値算出部436に入力される。また、ページ欠陥値算出部436は、差分画像取得部432から図9に示す差分画像を取得する。そしてページ欠陥値算出部436は、夫々の欠陥種別毎の欠陥発生部識別画像において欠陥として示されている画素の差分値を差分画像から抽出し、抽出された差分画素それぞれに欠陥種別に応じた係数を乗じて画素群毎の欠陥判定値を算出する。また、ページ欠陥値算出部436は、画素群毎の欠陥判定値を合算することにより、そのページの欠陥判定値を算出する。
ページ毎の欠陥判定値は、ページ欠陥値算出部436からページ閾値判定部437に入力される。ページ閾値判定部437は、ページ毎の欠陥判定値をページ欠陥判定閾値と比較することにより、各ページ単位での欠陥判定を行う。これにより、各ページが欠陥であるか否かが判定される。ページ閾値判定部437は、ページ毎の欠陥判定結果及び画素群毎の欠陥判定結果を情報記憶処理部438に入力する。
このように、本実施形態においては、ページ欠陥値算出部436及びページ閾値判定部437が連動し、画素閾値判定部433から面積閾値判定部435までの処理の結果に基づいてページ毎の欠陥の判定を行う欠陥判定部としての機能が実現される。
尚、このような欠陥判定処理は、夫々のページを欠陥として判定するための閾値による判定の他、欠陥として判定される程の欠陥レベルではないが、欠陥候補として情報を保存しておくことを決定するための閾値による判定も実行される。この欠陥候補を決定するための閾値は、欠陥を判定するための閾値よりも厳しい値である。即ち、欠陥とは判定されなかった場合であっても欠陥候補とは判定される可能性がある。
S804の欠陥判定処理が完了すると、情報記憶処理部438は、情報記憶部439に、欠陥判定結果を含む各ページの情報を記憶させる(S805)。また、各ページの情報には、各ページの情報を情報記憶部439に記憶させておく期間(以降、「保存期間」とする)が含まれる。すなわち、保存期間は、情報記憶部439に記憶されている各ページの情報を削除するタイミングを判断するためのタイミング情報である。
また、再印刷検知部440が後述するコントローラ通信部441を介して再印刷要求が行われたことを検知すると、情報記憶処理部438は、検知した再印刷要求が行われたページの情報に含まれる保存期間を更新する。この処理が、本実施形態に係る要旨の1つである。詳細は後述する。
なお、再印刷検知部440が検知する再印刷処理は、判定結果に基づく再印刷要求や印刷物を確認したユーザによる再印刷要求により実行されるものである。再印刷検知部440は、例えば、再印刷処理において指定されているページIDが検査されたページのページIDと同じである場合、このような判定結果に関連付けて再印刷処理されたものであると検知する。
また、コントローラ通信部441が、ページ閾値判定部437による判定結果に基づいて再印刷要求等のエンジン制御を実行する(S806)。また、コントローラ通信部441は、インタフェース端末5を介してユーザから再印刷要求がされたことを再印刷検知部440に対して通知する。このような処理により、本実施形態に係る画像検査動作が完了する。
次に、本実施形態に係る検査制御部403において用いられる閾値及び係数について説明する。上述したように、検査制御部403においては、画素閾値判定部433が用いる濃度差分閾値、面積閾値判定部435が用いる面積閾値、ページ閾値判定部437が用いるページ欠陥判定閾値等、複数の閾値及び係数が用いられる。検査制御部403において用いられるこれらの閾値及び係数は、予め定められて情報記憶部439や図示しない記憶媒体や外部サーバ等に記憶されている。
図13は、上述した複数の閾値及び係数の内容を示す図である。図13に示すように、本実施形態に係る複数の閾値には、上述した画像閾値判定部433が用いる“濃度差分閾値”及び面積閾値判定部435が用いる“面積閾値”が含まれる。また、ページ欠陥値算出部436がページ欠陥値を算出する際の係数についても、“点状欠陥の欠陥判定係数”、“線状欠陥の欠陥判定係数”及び“面状欠陥の欠陥判定係数”のように、夫々の欠陥種別毎に設定されている。
更に、図13に示すように、ページ閾値判定部437がページ毎の欠陥判定値と比較してページ毎の欠陥判定を行うための閾値である“ページ欠陥判定閾値”が設定されている。また、“線状欠陥/面状欠陥切替のアスペクト比”は、面積閾値判定部435の結果、欠陥として判定された欠陥群が線状欠陥であるか面状欠陥であるかを判定するために用いられるアスペクト比の閾値である。
“点状欠陥/面状欠陥の切替の面積”は、面積閾値判定部435の結果、欠陥として判定された欠陥群が点状欠陥であるか面状欠陥であるかを判定するために用いられる面積の閾値である。また、図13においては、“候補濃度差分閾値”と示されているように、欠陥候補として情報記憶部439に保存することを判断するための濃度差分閾値が設定されている。
次に、情報記憶部439に記憶されている情報について説明する。図14、図15は、情報記憶処理部438によって情報記憶部439に記憶される情報を示す図である。図14は、各ページの欠陥判定結果を示すページ判定ログ情報を示す図であり、図15は、画素群毎の欠陥判定結果を示す欠陥ログ情報を示す図である。図14に示すように、ページ判定ログ情報においては、夫々のページを識別する“ページID”に、“欠陥発生画素数”、“欠陥候補画素数”、“欠陥判別結果”、“再印刷回数”、“保存期間設定値”、“保存期間”が関連付けられている。
“欠陥発生画素数”、“欠陥候補画素数”は、夫々面積閾値判定部435によって生成された欠陥発生識別画像において欠陥部分として特定されている画素の数である。“欠陥発生画素数”は、欠陥を判定するための閾値を適用した結果の画素数であり、“欠陥候補画素数”は、欠陥候補を判定するための閾値を適用した結果の画素数である。“欠陥判別結果”は、ページ閾値判定部437による判定結果である。“再印刷回数”は、再印刷検知部440により再印刷が検知された回数である。“保存期間設定値”は“保存期間”を算出するための値であり、本実施形態においては、図15に示した画像群毎の“欠陥判定値”のうち最大の“欠陥判定値”とする。“保存期間”は、上述した保存期間である。
図15に示すように、欠陥ログ情報においては、“欠陥ID”に、“欠陥種別”、“判定結果”、“欠陥範囲”、“面積”、“欠陥判定値”が関連付けられている。図15に示す欠陥ログ情報は、図14に示すページ判定ログ情報の“ページID”毎に生成される。
“欠陥ID”は、夫々面積閾値判定部435によって生成された欠陥発生識別画像において欠陥部分として特定されている画素群を識別する識別情報であり、例えば、図12に示す「H001」、「H002」等の、ラベリング部434によって付されたラベル情報が用いられる。“欠陥種別”は、夫々の画素群が“点状欠陥”、“線状欠陥”、“面状欠陥”等のどの種別の欠陥として判定されたかを示す情報である。
“判定結果”は、夫々の画素群が欠陥を判定するための閾値によって判定されたのか、欠陥候補を判定するための閾値によって判定されたのかを示す情報である。“欠陥範囲”は、夫々の画素群のページにおける位置を示す座標の情報であり、画素群の外接矩形の左上の座標を“X1xxx,Y1xxx”で、右下の座標を“X2xxx,Y2xxx”で示した情報である。この“欠陥範囲”の情報が、読取画像において欠陥として特定された部分を示す欠陥部分特定情報として用いられる。
“面積”は、夫々の画素群に含まれる画素の数である。“欠陥判定値”は、夫々の画素群について、ページ欠陥値算出部436によって算出された値である。情報記憶部439には、図14、図15に示す情報の他、図16に示すように、差分画像取得部432が比較検査部404から取得した差分画像や、情報入力部431から取得した読取画像、マスター画像が、ページID、ジョブIDと関連付けて記憶される。検査結果の情報として、このような図14、図15及び図16に示す情報が情報記憶部439に記憶される。
本実施形態に係る要旨は、再印刷処理を検知したページに対応する図14に示したページ判定ログ情報に含まれる“保存期間”を更新することにある。以下、本実施形態に係る保存期間変更処理を含む情報記憶処理部438の動作について説明する。図17は、保存期間設定値と期間とが関連付けられた保存期間テーブルの例を示す。なお、保存期間テーブルは、情報記憶処理部438が保持してもよいし、情報記憶部439とは異なる他の記憶媒体や外部のサーバに記憶されていてよい。また、保存期間テーブルは、画像検査装置4の管理者やサービスマン等により適宜設定変更されてもよい。
情報記憶処理部438は、保存期間テーブルを参照して、“保存期間設定値”に関連付けられた“期間”を取得し、そのページの欠陥判定を行った時刻に、取得した“期間”を足し合わせて図14に示したページ判定ログ情報に含まれる“保存期間”として算出する。なお、保存期間テーブルの“期間”が無制限である場合、“保存期間”は無制限とする。
また、情報記憶処理部438は、予め定められた間隔(例えば、1時間)で、情報記憶部439に記憶されている図14に示したページ判定ログ情報の中から“保存期間”が現在時刻を経過しているページの情報を削除する。また、情報記憶処理部438は、ページの情報の削除に伴い、このページの図15に示した欠陥ログ情報及び図16に示した情報も削除する。
また、情報記憶処理部438は、新たなページの情報を記憶する際に、情報記憶部439の空き容量を確認し、空き容量が予め定められた容量閾値以上である場合、新たなページの情報、欠陥ログ情報及び図16に示した情報を情報記憶部439に記憶させる。一方、空き容量が不足している場合、情報記憶処理部438は、情報記憶部439に記憶されているページの情報の中から、“保存期間”が短いページの情報から順に削除して、空き容量が容量閾値以上になるまで繰り返す。
また、情報記憶処理部438は、再印刷検知部440により検査結果の情報に関連付けて再印刷処理が行われた(すなわち、上述したように、判定結果に基づく再印刷要求や印刷物を確認したユーザによる再印刷要求により再印刷処理が行われた)ページを示す情報が通知されると、通知された再印刷処理が行われたページの図14に示したページ判定ログ情報に含まれる“保存期間設定値”に、予め定められた再印刷係数(例えば、8)を乗じて、その値を新たな“保存期間設定値”とする。そして、情報記憶処理部438は、図17に示した保存期間テーブルから新たな“保存期間設定値”に対応する“期間”を取得し、ページ判定ログ情報に含まれる“保存期間設定値”及び“保存期間”を更新する。
なお、再印刷係数は、情報記憶処理部438が保持していてもよいし、再印刷検知部440が情報記憶処理部438に対して通知してもよいし、情報記憶処理部438とは異なる他の記憶媒体や外部のサーバ等に記憶されていてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る検査装置4においては、読取画像、マスター画像、差分画像、欠陥判定結果、保存期間等の検査結果の情報を記憶媒体に記憶させ、再印刷処理が検知されたページの検査結果の情報の保存期間を予め定められた再印刷係数に基づいて延長する。再印刷処理の検知は、欠陥判定結果に基づいてコントローラ通信部441が再印刷要求のエンジン制御を実行したことによる場合の他、インタフェース端末5を介してユーザから再印刷要求されたことによる場合もある。ユーザから再印刷要求されたページは、検査装置4上では欠陥なしと判定されたが人間により欠陥であると判断された可能性が高く、このようなページの検査結果の情報は、情報記憶部439に残しておく必要性が高い情報である。したがって、このような構成により、欠陥の有無にかかわらず、残しておく必要性の高い検査結果の情報の保存期間が延長されるので、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能になる。
なお、上記実施形態においては、再印刷処理の検知は、欠陥判定結果に基づいてコントローラ通信部441が再印刷要求のエンジン制御を実行したことによる場合や、インタフェース端末5を介してユーザから再印刷要求されたことによる場合を例として説明した。その他、これまでに画像上の同じ位置で欠陥が発生した頻度に基づいて再印刷要求されたことにより再印刷処理が検知されてもよい。
図18は、検査制御部403の上述の態様を実現する機能構成を例示するブロック図である。図18に示すように、検査制御部403は、図7に示した構成に位置欠陥値算出部442及び再印刷指示部443が追加された構成をとる。以下、図7に示した構成とは異なる構成についてのみ説明する。
位置欠陥値算出部442は、検査された読取画像について、予め定められた範囲に分割された複数の領域の同じ分割領域における欠陥の発生頻度を示す位置欠陥値を算出する。すなわち、位置欠陥値算出部は、欠陥発生頻度を算出する欠陥発生頻度算出部として機能する。図19は、位置欠陥値算出動作を例示するフローチャートである。図19に示すように、位置欠陥値算出部442は、情報記憶処理部438から検査されたページの読取画像とマスター画像との差分画像を取得する(S1901)。
差分画像を取得した位置欠陥値算出部442は、予め設定された分割数(例えば、6(縦)×5(横))で、取得した差分画像を複数の領域に分割する(S1902)。差分画像を領域分割した位置欠陥値算出部442は、情報記憶処理部438から欠陥又は欠陥候補として判定された画素群のページにおける位置を示す座標の情報である欠陥範囲を取得し、取得した欠陥範囲を含む差分画像の領域を欠陥発生領域として取得する(S1903)。
図20は、位置欠陥値算出の際に参照される画面を例示する図である。この画面は、例えば、位置欠陥値算出部442がこの画面を生成するための情報をインタフェース端末5に出力することによりインタフェース端末5に表示される。図20に示すように、例えば、画面には差分画像が分割された領域のうち欠陥発生領域が斜線で示されている。
欠陥発生領域を取得した位置欠陥値算出部442は、情報記憶部439からS1901において取得した差分画像と同じサイズの差分画像を同じ分割数で分割した場合における分割領域ごとの欠陥発生回数を取得する(S1904)。例えば、図20に示した画面には領域ごとの欠陥発生回数が表示されている。なお、分割領域ごとの欠陥発生回数は、情報記憶部439に記憶されている差分画像や欠陥ログ情報等に基づいて予めカウントされているものとする。また、欠陥発生回数は、画像サイズに応じた領域分割数が例えば図20に示した画面上で変更された場合や「欠陥発生回数リセット」ボタンが押下された場合に、リセット(回数を0回にする)されるものとする。
分割領域ごとの欠陥発生回数を取得した位置欠陥値算出部442は、取得した分割領域ごとの欠陥発生回数の平均値(以降、「平均欠陥発生回数」とする)を算出する(S1905)。平均欠陥発生回数を取得した位置欠陥値算出部442は、S1903において取得した欠陥発生領域それぞれにおける欠陥発生回数と平均欠陥発生回数との差分回数を取得する(S1906)。
差分回数を取得した位置欠陥値算出部442は、取得した差分回数が予め設定された領域判定閾値(例えば、15回)以上である分割領域の数を算出する(S1907)。差分回数が領域判定閾値以上である分割領域の数を算出した位置欠陥値算出部442は、算出した分割領域の数に予め設定された位置欠陥判定係数(例えば、50)を乗じた値を位置欠陥値として算出する(S1908)。なお、領域判定閾値及び位置欠陥判定係数は、例えば、図20に示した画面において設定変更される。
再印刷指示部443は、位置欠陥値算出部442により算出された位置欠陥値を取得し、取得した位置欠陥値が予め定められた閾値以下である場合、コントローラ通信部441に対して位置欠陥値が算出されたページの再印刷要求のエンジン制御を行うよう通知する。すなわち、再印刷指示部443は、検査された読取画像の元となる画像を再度画像形成出力することを命令する再出力命令部として機能する。
位置欠陥値が予め定められた閾値以下である場合、これまでに同じ位置に欠陥が発生している頻度が少ない、すなわち位置欠陥値が算出されたページに発生した欠陥がトナー落ち等の突発的な要因によることを意味する。特定の要因により何度も同じ位置に欠陥が発生している場合、再印刷処理を行っても、同じ位置に再度欠陥が発生する可能性が高い一方、突発的な要因による場合は、再印刷処理を行えば欠陥のない印刷物が出力される可能性が高いからである。したがって、このような構成の場合、欠陥ありと判定されただけでは再印刷要求が行われないようにしてもよい。
なお、位置欠陥値を算出する上記実施形態においては、位置欠陥値は差分回数が領域判定閾値以上である分割領域の数に位置欠陥判定係数を乗じることにより算出される場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、差分回数が領域判定閾値以上である分割領域の欠陥発生回数の合計値に位置欠陥判定係数を乗じることにより算出されてもよいし、差分回数が領域判定閾値以上である分割領域の差分回数の合計値に位置欠陥判定係数を乗じることにより算出されてもよい。
また、位置欠陥値を算出する上記実施形態においては、位置欠陥値算出部442により算出された位置欠陥値が再印刷処理を行うか否かの判定に用いられる場合を例として説明した。その他、算出された位置欠陥値が保存期間設定値の算出に用いられてもよい。具体的には、例えば、情報記憶処理部438は、図15に示した画像群毎の“欠陥判定値”のうち最大の“欠陥判定値”に、算出された位置欠陥値を加算した値を、“保存期間設定値”とする。同じ位置における欠陥の発生頻度も、情報記憶部439に残しておくべき必要性のある情報と判定する材料となり得るからである。
なお、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、タイミング情報が図14に示した“保存期間”である場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、各ページの情報に“保存期間”が含まれていなくとも、保存期間を求めるための情報が含まれていればよい。例えば、各ページの情報に“保存期間”の代わりに検査された日時の情報である“検査日時”が含まれ、図17に示した保存期間テーブルを参照して“保存期間設定値”に関連付けられた“期間”を取得して、“検査日時”に取得した“期間”を足し合わせて、保存期間をその都度求めてもよい。この場合、“検査日時”及び“保存期間設定値”がタイミング情報となる。
また、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、再印刷処理が行われたページの保存期間設定値に再印刷係数を乗じた値を新たな保存期間設定値とする場合を例として説明した。この再印刷係数を再印刷回数に応じて変化させる(例えば、増加させる)ようにしてもよい。この場合、情報記憶処理部438は、情報記憶部439に記憶されている図14に示した“再印刷回数”を参照して、“再印刷回数”に応じた再印刷係数を算出する。例えば、情報記憶処理部438は、再印刷回数と再印刷係数とが関連付けられたテーブルを用いて再印刷係数を算出する。再印刷された回数が多いほど、その原因の検証等を行うためにそのページの情報が参照される可能性が高い。したがって、このような構成により、再印刷された回数が多いほど保存期間をより長く延長し、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能になる。この場合、“再印刷回数”もタイミング情報の1つである。
その他、再印刷係数を再印刷処理が行われたトリガに応じて変化させてもよい。上述したように、再印刷処理の検知は、(1)欠陥判定結果に基づいてコントローラ通信部441が再印刷要求のエンジン制御を実行したことによる場合、(2)インタフェース端末5を介してユーザから再印刷要求されたことによる場合、(3)再印刷指示部443からの指示に応じて再印刷要求されたことによる場合等がある。例えば、(1)〜(3)の順に再印刷係数が大きくなるようにする。再印刷処理が行われたトリガによって、そのページの情報が参照される可能性に違いがあることも考えられる。したがって、このような構成により再印刷処理が行われたトリガに応じて保存期間をより長く延長し、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能になる。
また、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、画素群が欠陥と判定されたか欠陥候補と判定されたかに関わらず、図13に示した各種欠陥の欠陥判定係数を用いて欠陥判定値が算出され、算出された欠陥判定値のうちの最大の欠陥判定値を保存期間設定値として用いる場合を例として説明した。その他、画素群が欠陥と判定された場合と欠陥候補と判定された場合かによって、異なる係数を用いるようにしてもよい。この場合、例えば、画素群が欠陥候補と判定された場合には、その欠陥種類の欠陥判定係数よりも小さい欠陥候補判定係数が用いられる。これにより、欠陥と判定された画素群が多いほどそのページの保存期間をより長く延長し、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能になる。
また、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、図15に示した画素群毎の“欠陥判定値”のうち最大の“欠陥判定値”を“保存期間設定値”とする場合を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、画素群毎の“欠陥判定値”の平均値や合計値を“保存期間設定値”としてもよい。
また、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、画素群の欠陥種類ごとに異なる欠陥判定係数を用いて欠陥判定値が算出され、算出された各画素群の欠陥判定値に基づいて保存期間設定値が算出される場合を例として説明した。このような態様により、ページ内に含まれる欠陥種類に応じた保存期間を設定することができるが、このような構成は必須ではなく、例えば、各ページの読取画像全体とマスター画像全体との差分画像の差分値に基づいて保存期間設定値が算出されてもよい。この場合であっても、欠陥の有無に関わらず再印刷処理が行われたページ、すなわち残しておく必要性の高い検査結果の情報の保存期間が延長されるので、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能である。
また、図7及び18に示した構成による上記実施形態においては、各ページを欠陥として判定するための閾値による判定の他、欠陥候補として判定するための閾値による判定も行われる場合を例として説明した。このような態様により、再印刷処理を行うか否かの判定基準の1つとしたり、インタフェース端末5に欠陥判定結果を表示する際に欠陥候補の情報も表示すれば、ユーザによる再印刷処理の判断の参考にしたりできる等の点で有効である。しかしながら、このような構成は必須ではなく、欠陥として判定するための閾値による判定だけであってもよい。この場合であっても、欠陥の有無に関わらず保存期間を含むページ情報は情報記憶部439に記憶されており、欠陥の有無に関わらず再印刷処理が行われたページ、すなわち残しておく必要性の高い検査結果の情報の保存期間が延長されるので、検査結果の情報をより効率よく管理することが可能である。