以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムにおいて、検査結果の情報をすべて保存する機能を有すると共に、保存された検査結果の情報の削除判断を行う際の特徴的な処理について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を含む。DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。
エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
また、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、プリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる際、出力対象の画像に関する情報や、プリントエンジン3の状態に関する情報を含む印刷条件情報を検査装置4に対して出力する。この印刷条件情報に基づく検査装置4の処理が、本実施形態に係る要旨の1つである。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて記録媒体である用紙に対して画像形成出力を実行する画像形成装置である。尚、記録媒体としては、上述した用紙の他、フィルム、プラスチック等のシート状の材料で、画像形成出力の対象物となるものであれば採用可能である。
検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
本実施形態に係る検査装置4は、上述した読取画像とマスター画像との比較による画像検査の結果を示す情報を原則としてすべて記憶媒体に保存する。そして、記憶媒体の残り空き容量が所定の閾値以下となった場合に実行される保存された情報のリフレッシュ処理において、上述した印刷条件情報を参照することが本実施形態に係る要旨の1つである。
また、検査装置4は、マスター画像と読取画像との比較により出力結果に欠陥があると判断した場合、欠陥として認定されたページを示す情報をエンジンコントローラ2に通知する。これにより、エンジンコントローラ2によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。
インタフェース端末5は、検査装置4による欠陥判定結果を確認するためのGUI(Graphical User Interface)や、検査におけるパラメータを設定するためのGUIを表示するための情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の一般的な情報処理端末によって実現される。
ここで、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5を構成するハードウェアについて、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、他の装置についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も含まれる。
このようなハードウェア構成において、ROM30に格納されているプログラムや、HDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体からRAM20に読み出されたプログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3、検査装置4及びインタフェース端末5の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るDFE1は、ジョブ情報処理部101及びRIP処理部102を含む。また、エンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
ジョブ情報処理部101は、DFE1外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりDFE1内部に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づき、画像形成出力の実行を制御する。画像形成出力の実行に際して、ジョブ情報処理部101は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき、RIP処理部102にビットマップデータを生成させる。
RIP処理部102は、ジョブ情報処理部101の制御に従い、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン3が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。本実施形態に係るプリントエンジン3は、CMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調等の多階調で表現された多値画像である。そのため、RIP処理部102は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値のビットマップデータを生成し、エンジンコントローラ2に送信する。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
更に、本実施形態に係るエンジン制御部202は、データ取得部から入力されたビットマップデータに基づいてプリントエンジン3に画像形成出力を実行させる際に、上述した印刷条件情報を生成して検査装置4に送信する。図4を参照して、本実施形態に係る印刷条件情報について説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る印刷条件情報は、“検査結果情報識別ID”、“稼働時間”、“トナー使用量”、“用紙属性”の情報を含む。“検査結果情報識別ID”は、その印刷条件情報が対応している検査結果の情報を識別するための識別情報であり、印刷条件情報を受信した検査装置4側における検査結果情報の生成に応じて付与される。
“稼働時間”は、プリントエンジン3の稼働時間を示す。“トナー使用量”は、対象のビットマップデータに基づく画像形成出力において使用されるトナー使用量を示す情報であり、図4に示すようにCMYK各色についてパーセンテージで示される。上述したように、本実施形態に係るビットマップデータはCMYK各色二値の情報である。従って、エンジン制御部202は、対象のビットマップデータに基づき、全画素数に対するCMYK各色の有色画素数の割合を計算してトナー使用量を算出する。
“用紙属性”は、画像形成出力を行う対象の記録媒体である用紙についての情報であり、図4に示すように“サイズ”、“厚さ”、“種類”の情報を含む。このように、本実施形態に係る印刷条件情報は、画像形成出力の際のプリントエンジン3の状態に関する項目と、画像形成出力の内容に関する項目とを含む。
図23は、図4に示す印刷条件情報の各項目の意義を示す図である。図23に示すように、システムの起動直後、連続運転時、長時間給紙からの復帰直後等、特定の稼働時間帯において欠陥が発生し易くなる場合がある。“稼働時間”は、そのための項目である。
また、ベタ塗り領域が多い画像や、無地領域が多い画像等、平均的なトナー使用量とは異なる画像の出力時において欠陥が発生し易くなる場合がある。“トナー使用量”はそのための項目である。また、標準的な用紙サイズよりも大きい場合、欠陥が発生し易くなる場合がある。“用紙サイズ”はそのための項目である。
また、薄紙や厚紙等、特定の用紙種別において欠陥が発生し易くなる場合がある。“用紙厚さ”はそのための項目である。また、コーティングされた用紙等、トナーの定着性が悪い用紙において欠陥が発生し易くなる場合がある。“用紙種類”はそのための項目である。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取データを出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像処理部402が、読取画像の検査を行うための検査用画像であるマスター画像を出力対象画像に基づいて生成する検査用画像生成部として機能する。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能すると共に、比較検査部404による検査結果を取得する検査結果取得部として機能する。
比較検査部404においては、上述したようにRGB各色8bitで表現された200dpiの読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。そのようにして算出した差分値と閾値との大小関係に基づき、検査制御部403は、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、比較検査部404は、図5に示すように、所定範囲毎に分割されたマスター画像を、分割された範囲に対応する読取画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。このような処理は、検査制御部403が、重ね合わせる範囲の画像をマスター画像及び読取画像夫々から取得し、比較検査部404に入力することによって実現される。
更に、検査制御部403は、分割された範囲を読取画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、即ち、読取画像から取得する画像の範囲を縦横にずらしながら、算出される差分値の合計値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された各画素の差分値を比較結果として採用する。そのため、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、位置合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力することが可能である。
図5に示すように方眼上に区切られている夫々のマスが、上述した各画素の差分値を合計する所定範囲である。また、図5に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
また、他の方法として、夫々の画素について算出された差分値と閾値との比較結果に基づいてまず夫々の画素が正常か欠陥かを判断し、欠陥と判断された画素数のカウント値とそれについて設定された閾値とを比較する方法がある。また、上述した所定範囲毎の欠陥の判定ではなく、夫々の画素毎に欠陥の有無を判断しても良い。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。例えば、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図5に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の際による影響を低減することが可能となる。
また、図5に示すように分割された夫々の範囲において、隣接する範囲の位置ずれ量は比較的近いことが予測される。従って、分割された夫々の範囲についての比較検査を行う際、隣接する領域の比較検査によって決定された位置ずれ量を中心として上述した縦横にずらしながらの計算を行うことにより、縦横にずらしながら計算を行う回数を少なくしても、正確な重ね合わせ位置による計算が実行される可能性が高く、全体として計算量を減らすことが出来る。
上記説明においては、比較検査部404がマスター画像を構成する画素と読取画像を構成する画素との差分値を算出して出力し、検査制御部403において差分値と閾値との比較を行う場合を例としている。この他、比較検査部404において差分値と閾値との比較を行い、その比較結果、即ち、読取画像を構成する各画素について、マスター画像において対応する画素との差異が所定の閾値を超えたか否かを示す情報を、検査制御部403が取得するようにしても良い。これにより、検査制御部403における閾値との比較処理を比較検査部404側に移転し、ハードウェア利用により処理の高速化を図ることが可能となる。
更に、本実施形態に係る検査制御部403は、上述したようにして実行される比較検査により生成される検査結果の情報や、エンジンコントローラ2から受信した印刷条件情報を、原則としてすべて記憶媒体に記憶させて保存する。そして、記憶媒体の空き容量が所定の閾値以下となった場合には、比較検査の結果及び印刷条件情報に基づいて必要性の低い情報を削除するリフレッシュ処理を行う。この処理が、本実施形態に係る要旨の1つである。詳細は後述する。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図6を参照して説明する。図6に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。尚、図6においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402の機能構成について説明する。図7は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び画像出力処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB(Red,Green,Blue)各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理において対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態においては、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を200dpiに変換する。また、本実施形態に係る解像度変換処理部422は、解像度変換に際して、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して予め定められた倍率に基づいて解像度変換後の画像のサイズを調整する。
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって解像度が変換された画像を取得して階調変換及び色表現形式の変換を行う。階調変換処理は、印刷処理部301によって紙面上に形成される画像の色調及び読取装置400によって読み取られて生成される画像の色調に、マスター画像の色調を合わせるための色調の変換処理である。
このような処理は、例えば、様々な階調色のカラーパッチを含む画像が印刷処理部301によって紙面上に形成され、その用紙を読み取って生成された読取画像における各カラーパッチの階調値と、夫々のカラーパッチを形成するための元の画像における階調値とが関連付けられた階調変換テーブルを用いて行われる。即ち、色変換処理部423は、このような階調変換テーブルに基づき、解像度変換処理部422が出力した画像の各色の階調値を変換する。
色表現形式の変換処理は、CMYK形式の画像をRGB形式の画像に変換する処理である。上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部423は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。これにより、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。即ち、本実施形態においては、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422及び色変換処理部423が、検査用画像生成部として機能する。
画像出力処理部424は、色変換処理部423までの処理によって生成されたマスター画像を出力する。これにより、検査制御部403が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得する。
次に、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成について説明する。図8は、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成を示すブロック図である。また、図9は、本実施形態に係る検査制御部403による1ページ分の画像検査の動作を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施形態に係る検査制御部403は、情報入力部431、欠陥判定部432、コントローラ通信部433、記憶処理部434、空き容量判断部435及びリフレッシュ処理部436を含む。
本実施形態に係る検査制御部403においては、図9に示すように、まずコントローラ通信部433が、エンジンコントローラ2から印刷条件情報を取得する(S901)。即ち、コントローラ通信部433が、印刷条件情報取得部として機能する。尚、図4において説明したように、印刷条件情報における“検査結果情報識別ID”は、検査装置4において付されるため、S901においてはまだ空欄となっている。また、情報入力部431が、マスター画像処理部402からマスター画像を取得し(S902)、読取画像取得部401から読取画像を取得する(S903)。
マスター画像及び読取画像を取得した情報入力部431は、図5において説明したように、マスター画像及び読取画像から夫々所定範囲の画像を抽出して比較検査部404に入力することにより、比較検査部404に画像の比較検査を実行させる(S904)。尚、S901の処理と、S902〜S904までの処理とは前後関係に制約はないため、逆の順序で実行されても良いし並列して実行されても良い。
S904の処理により、マスター画像を構成する画素と読取画像を構成する各画素との差分が算出され、各画素について算出された差分値を画素とする差分画像が生成される。例えば、読取画像に欠陥がなく、マスター画像を構成する画素の画素値と読取画像を構成する画素の画素値とが互いに完全に一致する場合、差分画像を構成する画素の画素値はゼロとなる。
他方、読取画像に欠陥がある場合、マスター画像を構成する画素の画素値と読取画像を構成する画素の画素値との間に差が生じ、その差分値が差分画像を構成する画素の画素値となる。従って、このようにして生成された差分画像の画素値に基づき、欠陥判定を行うことが可能となる。欠陥判定部432は、S904の処理により生成された差分画像を取得し、取得した差分画像に基づいて欠陥判定処理を行う(S905)。
S905において、欠陥判定部432は、差分画像を構成する各画素の画素値、即ち、マスター画像と読取画像との差分値に基づいて各種の処理を行うことにより、読取画像に対応するページが欠陥であるか否かを詳細に判定し、図10に示すような検査結果情報を生成する。即ち、欠陥判定部432が、差分画像を取得すると共に、差分画像に基づく欠陥判定結果を取得する検査結果取得部として機能する。
図10に示すように、本実施形態に係る検査結果情報は、“検査結果情報識別ID”及び“欠陥発生状況”を含む。“検査結果情報識別ID”は、各ページの検査結果情報を識別するための識別情報であり、図4において説明した印刷条件情報の“検査結果情報識別ID”に対応している。
欠陥発生状況は、各ページの欠陥発生状況を示す情報であり、本実施形態においては、図10に示すように、夫々の“欠陥種”毎に“欠陥個数”が関連付けられた情報である。“欠陥種”は例えば「スジ」、「色合い変化」、「地汚れ」等の欠陥の種類を示す。“欠陥個数”は、夫々のページにおいて対応する欠陥種が抽出された個数を示す。
欠陥判定部432は、差分画像を解析することにより、図10の“欠陥発生状況”のような情報を生成する。具体的には、図10に示す「欠陥種A」、「欠陥種B」といった夫々の欠陥種毎に、それを判定するための条件が設定されており、差分画像に含まれる各画素の画素値の状態が設定された条件に合致する場合に、条件を満たした欠陥種の個数がカウントされる。例えば、差分値が所定値以上である画素が主走査方向または副走査方向において所定数以上連続している場合に「スジ」と判断するような条件が設定される。
このような解析の際に判断される条件のパラメータを変更することにより、同一の欠陥状態であっても欠陥として判定される場合と欠陥として判定されない場合とが変化する。例えば、上述した「スジ」の判断の場合、差分値が所定値以上である画素が所定数以上連続している場合という条件であるが、差分値に適用される「所定値」のパラメータや、連続していることの判断に適用される「所定数」のパラメータが変われば、判断結果も変わる。そのようにパラメータを変更して行う再度の検査を可能とするために、差分画像をなるべく多く保存しておくことが本件の趣旨の1つである。
S905の処理により図10に示すような情報が生成されると、記憶処理部434は、S901において取得された印刷条件情報、S904の処理により生成された差分画像、S905の処理により生成された検査結果情報を、互いに関連付けてHDD40に記憶させて保存する(S906)。この際、記憶処理部434は、S905において生成された検査結果情報に含まれる“検査結果情報識別ID”に基づき、印刷条件情報の“検査結果情報識別ID”を設定する。
S906の処理の後、空き容量判断部435は、S906における情報の格納先であるHDD40の記憶容量の空き容量を確認し、空き容量が不足しているか否かを判断する(S907)。S907において空き容量判断部435は、例えば、HDD40の全記憶容量に対する空き容量の割合(以降、「空き容量割合」とする)を算出し、空き容量割合が所定の閾値を下回っていた場合にHDD40の空き容量が不足していると判断する。この他、HDD40の空き容量に対して設定された閾値と空き容量との比較により容量の不足を判断しても良い。
S907の判断の結果、HDD40の空き容量が不足していた場合(S907/YES)、リフレッシュ処理部436が、S906の処理によってHDD40に蓄積されていく情報のうち、必要性の低い情報を削除するリフレッシュ処理を実行して(S908)、1ページ分の検査処理を終了する。
他方、S907の判断の結果、HDD40の空き容量が不足していない場合(S907/NO)、検査制御部403はそのまま処理を終了する。尚、コントローラ通信部433は、S905において生成される検査結果情報に基づき、エンジンコントローラ2に対して再印刷の要求や印刷ジョブ停止の要求等を出力する。
このように、本実施形態に係る検査装置4においては、各ページの欠陥検査において生成された印刷条件情報、差分画像及び検査結果情報(以降、「ページ毎生成情報」とする)の全てを一度HDD40に記憶させ、HDD40の空き容量の減少に応じてリフレッシュ処理を行う。これにより、S905の処理において欠陥とは判定されなかったページについても、判定において用いられる閾値等のパラメータを変更して再度欠陥判定を行うことが可能となると共に、有限であるHDD40の記憶容量を効率的に使用することが可能となる。ページ毎生成情報は、夫々のページ毎の画像の検査によって保存される保存情報として用いられる。
次に、本実施形態に係るリフレッシュ処理部436の機能及びリフレッシュ処理の詳細について図11を参照して説明する。図8に示すように、リフレッシュ処理部436は、重み係数算出部437、評価値算出部438、削除判断部439及び削除処理部440を含む。そして、図11に示すように、リフレッシュ処理においては、まず重み係数算出部437が重み係数テーブルを生成する(S1101)。
ここで、S1101において生成される重み係数テーブルについて説明する。重み係数テーブルとは、図4に示す印刷条件情報や、図10に示す検査結果情報に含まれる情報に基づき、上述したページ毎生成情報の重要度を判断するための評価値を算出するために用いられるテーブルである。
図12は、図4に示す印刷条件情報の“稼働時間”についての重み係数テーブル(以降、「稼働時間別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図12に示すように、稼働時間別重み係数テーブルにおいては、稼働時間が所定範囲毎に区切られ、夫々の区切り範囲毎に重み係数wtimenが設定されたテーブルとなっている。
図13は、図4に示す印刷条件情報の“トナー使用量”についての重み係数テーブル(以降、「トナー使用量別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図13に示すように、トナー使用量別重み係数テーブルにおいては、CMYKの各色についてトナー使用量が所定範囲毎に区切られ、夫々の区切り範囲毎に重み係数wctnが設定されたテーブルとなっている。
図14は、図4に示す印刷条件情報の“用紙属性”における“サイズ”についての重み係数テーブル(以降、「用紙サイズ別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図14に示すように、用紙サイズ別重み係数テーブルにおいては、「A3」、「A4」等の用紙サイズ毎に重み係数wA3、wA4等が設定されたテーブルとなっている。
図15は、図4に示す印刷条件情報の“用紙属性”における“厚さ”についての重み係数テーブル(以降、「用紙厚さ別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図15に示すように、用紙厚さ別重み係数テーブルにおいては、用紙厚さが所定範囲毎に区切られ、夫々の区切り範囲毎に重み係数wptnが設定されたテーブルとなっている。
図16は、図4に示す印刷条件情報の“用紙属性”における“種類”についての重み係数テーブル(以降、「用紙種類別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図16に示すように、用紙種類別重み係数テーブルにおいては、「コート紙」、「再生紙A」等の用紙種類毎に重み係数wpknが設定されたテーブルとなっている。
図12〜図16に示す重み係数テーブルは、図4に示す印刷条件情報に対応するものであり、画像が欠陥として判定されるか否かに関わらず共通して算出される評価値(以降、「共通評価値」とする)の算出のために用いられる共通評価値用テーブルである。
共通評価値用テーブルの生成に際しては、重み係数を算出する対象の項目別に算出された欠陥発生率に基づく計算が行われる。例えば、稼働時間別重み係数テーブルの算出方法について説明する。図17は、稼働時間別重み係数テーブルの算出に際して、稼働時間別に算出された欠陥発生率を示すテーブル(以降、「稼働時間別欠陥発生率テーブル」とする)である。
図17に示すように、稼働時間別欠陥発生率テーブルにおいては、稼働時間別重み係数テーブルにおいて“稼働時間”の区切り範囲となる夫々の範囲毎に欠陥発生率が算出される。即ち、重み係数算出部437は、HDD40に記憶されているページ毎生成情報を解析し、“稼働時間”の夫々の範囲毎に欠陥発生率を算出して図17に示すようなテーブルを生成する。
図17に示すようなテーブルを生成すると重み係数算出部437は、以下の式(1)に従って、夫々の範囲毎の重み係数w
timeiを算出する。
ここで、式(1)に示すWtimeは定数である。この定数Wtimeを大きくすると、重み係数が大きく算出されることとなるため、夫々のページ毎生成情報について評価値を算出する際の、稼働時間別重み係数wtimeiの影響を大きくすることができる。
上記式(1)に示す計算を全てのiについて行うことにより、図12に示す稼働時間別重み係数テーブルが生成される。また、図13〜図16に示すテーブルにおいても、上記式(1)と同様の方法により重み係数を算出してテーブルを生成する。
図18は、図10に示す検査結果情報の“欠陥個数”についての重み係数テーブル(以降、「欠陥個数別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図18に示すように、欠陥個数別重み係数テーブルにおいては、「1」、「2」、「3」という欠陥個数毎に重み係数wnnが設定されたテーブルとなっている。
ここで、欠陥個数別重み係数テーブルの生成方法について説明する。重み係数算出部437は、以下の式(2)に従って、図18に示すような欠陥個数別重み係数テーブルにおける重み係数w
niを算出する。
ここで、Wn及びCは定数である。定数Wnを大きくすると、重み係数が大きく算出されることとなるため、夫々のページ毎生成情報について評価値を算出する際の、欠陥個数別重み係数wniの影響を大きくすることが出来る。また、定数Cを大きくすると、重み係数が大きく算出されることとなるため、夫々のページ毎生成情報について評価値を算出する際に、欠陥が抽出された画像についての欠陥個数別重み係数wniの影響を大きくすることが出来る。
例えば、上記式(1)における定数W
timeの他、トナー使用量別重み係数テーブルの生成において用いられる定数W
ct、W
mt、W
yt、W
kt、用紙サイズ別重み係数テーブルの生成において用いられる定数W
ps、用紙厚さ別重み係数テーブルの生成において用いられる定数W
pt、用紙種類別重み係数テーブルの生成において用いられる定数W
pkとの関係において、下記の式(3)の関係とする場合、欠陥が抽出された画像についてのページ毎生成情報の評価値は、欠陥が抽出されなかった画像についてのページ毎生成情報の評価値よりも必ず大きな値となる。
尚、上記夫々の定数は、全て上記式(1)のように用いられる。従って、上記夫々の定数は、換言すると、夫々の重み係数に応じて算出される評価値の最大値である。
図19は、図10に示す検査結果情報の“欠陥種類”についての重み係数テーブル(以降、「欠陥種類別重み係数テーブル」とする)を示す図である。図19に示すように、欠陥種類別重み係数テーブルにおいては、「欠陥種類A」、「欠陥種類B」、「欠陥種類C」という欠陥種類毎に重み係数wkA、wkB、wkCが設定されたテーブルとなっている。
ここで、欠陥種類別重み係数テーブルの生成方法について説明する。欠陥種類別重み係数テーブルの生成に際しては、図17を用いて説明した共通評価値用テーブルの生成と同様に、重み係数を算出する対象の項目別に算出された欠陥発生率に基づく計算が行われる。図20は、欠陥種類別重み係数テーブルの算出に際して、欠陥種類別に算出された欠陥発生率を示すテーブル(以降、「欠陥種類別欠陥発生率テーブル」とする)である。
図20に示すように、欠陥種類別欠陥発生率テーブルにおいては、図19に示す欠陥種類別重み係数テーブルにおける“欠陥種類”の項目毎に欠陥発生率が算出される。即ち、重み係数算出部437は、HDD40に記憶されているページ毎生成情報を解析し、“欠陥種類”の夫々の項目毎に欠陥発生率を算出して図19に示すようなテーブルを生成する。
図20に示すようなテーブルを生成すると重み係数算出部437は、以下の式(4)に従って、夫々の範囲毎の重み係数w
kiを算出する。
図18、図19に示す重み係数テーブルは、図10に示す検査結果情報に対応するものである。検査結果情報は全ての画像について生成されるものではあるが、図18、図19に示すテーブルは、実質的には欠陥が抽出された画像についてのみ意味を有する。即ち、欠陥個数別重み係数テーブル及び欠陥種類別重み係数テーブルは、画像が欠陥として判定される場合に算出される評価値(以降、「欠陥判定評価値」とする)の算出のために用いられる欠陥判定評価値用テーブルである。
全ての重み係数テーブルの生成が完了すると、次に、評価値算出部438が、HDD40に格納されているページ毎生成情報の1つを選択し(S1102)、欠陥判定の有無に関わらず共通して算出される共通評価値を算出する(S1103)。S1103において、評価値算出部438は、選択中であるページ毎生成情報の各項目の値に基づき、上述した共通評価テーブルを参照して各項目の値に対応する重み係数を抽出することにより共通評価値を算出する。
共通評価値を算出すると、評価値算出部438は、選択中のページ毎生成情報が対応する画像が欠陥判定された画像であるか否かを判断する(S1104)。S1104において、評価値算出部438は、例えば図10に示す検査結果情報を参照し、夫々の“欠陥種”について“欠陥個数”がゼロでない項目が1つでもあれば欠陥判定画像であると判断する。
S1104の判断の結果、欠陥判定画像であった場合(S1104/YES)、評価値算出部438は、欠陥判定された画像に対応するページ毎生成情報についてのみ算出される欠陥判定評価値を算出する(S1105)。S1105において、評価値算出部438は、S1103と同様に、選択中であるページ毎生成情報の各項目の値に基づき、上述した欠陥判定評価値用テーブルを参照して各項目の値に対応する重み係数を抽出することにより欠陥判定評価値を算出する。
S1105の処理が終了した後、若しくはS1104の判断の結果欠陥判定画像ではなかった場合(S1104/NO)、評価値算出部438は、夫々算出した評価値の合計値を算出する(S1106)。このようにして算出された各評価値の合計値が、選択中のページ毎生成情報についての評価値となる。ページ毎生成情報の評価値は、図21に示すように、夫々のページ毎生成情報について固有である検査結果情報識別IDと関連付けられる。
評価値算出部438は、HDD40に格納されている全てのページ毎生成情報についてS1102からの処理が完了するまで処理を繰り返す(S1107/NO)。HDD40に格納されている全てのページ毎生成情報についてS1102からの処理が完了すると(S1107/YES)、削除判断部439が、評価値算出部438によって全てのページ毎生成情報について生成された評価値の頻度分布を解析し、削除対象とするページ毎生成情報を決定する(S1108)。即ち、削除判断部439が、削除決定部として機能する。
図22は、評価値についての頻度分布の例を示す図である。図22に示すように、削除判断部439は、評価値を所定範囲毎に区切り、夫々の評価値の範囲毎に、“件数”、“頻度”、“累積頻度”を生成する。“件数”は、その評価値の範囲に含まれるページ毎生成情報の数である。“頻度”は、全てのページ毎生成情報の数に対するその評価値の範囲に含まれるページ毎生成情報の割合である。“累積頻度”は、頻度分布を評価値の昇順に並べた場合において、評価値が低い側から“頻度”を合計していった値である。
削除判断部439は、図22に示すように頻度分布を解析すると、累積頻度が10%を超える評価値の範囲を特定し、特定した評価値以下のページ毎生成情報を削除対象として決定する。換言すると、削除判断部439は、評価値が低い方から順に頻度を合計した累積頻度が所定の閾値に達する評価値以下のページ毎生成情報を、削除するべきじょうほうであるとして決定する。図22の例においては、評価値が0.8〜1.0以下であるページ毎生成情報が削除対象とされる。
S1108の処理により削除判断部439によって削除対象となるページ毎生成情報が決定されると、削除処理部440が、削除対象として決定されたページ毎生成情報をHDD40から削除し(S1109)、リフレッシュ処理が終了する。
図11に示す処理によれば、S1108において累積頻度が10%を超えるように評価値が特定されるため、少なくともHDD40においてページ毎生成情報を格納するために用いられている記憶容量の10%分は空き容量が増えることとなる。しかしながら、これは一例であり、評価値を特定するために累積頻度に適用する閾値は10%以外であっても良く、1回のリフレッシュ処理において増やすべき空き容量に応じて適宜選択される。
尚、本実施形態においては、図9において説明したように、ページ毎生成情報がHDD40に保存される度に空き容量不足の判断を行い、空き容量が不足している場合にリフレッシュ処理を行う。しかしながらこれは一例であり、空き容量不足の判断は他のタイミングで行っても良い。
また、空き容量が不足している場合に限らず、定期的にリフレッシュ処理を行っても良い。但し、ページ毎保存情報は可能な限り残しておくことが好ましく、その点で定期的なリフレッシュ処理は効率的ではない。上述したように、空き容量が不足している場合にのみリフレッシュ処理を行うことで、可能な限りページ毎生成情報を保存しつつ、HDD40の空き容量を効率的に確保することが出来る。
以上、説明したように、本実施形態に係る検査装置4によれば、マスター画像と読取画像の比較検査において生成される差分画像及び検査結果情報を原則として全て保存する。そのため、後から欠陥判定の条件を変更して再度欠陥判定を行うことが可能となる。また、差分画像及び検査結果情報が全て保存されることにより記憶媒体の記憶容量が不足することを防ぐため、所定のタイミングで情報のリフレッシュ処理を行う。
そのリフレッシュ処理のため、本実施形態に係る検査装置4は、差分画像及び検査結果情報と共に、画像形成出力時の条件を示す印刷条件情報を関連付けて保存する。そして、リフレッシュ処理においては、印刷条件情報に基づいて差分画像や検査結果情報の重要度の評価を行った上で、重要度の低い情報を削除するようにリフレッシュ処理を行うため、差分画像や検査結果情報の保存判断を好適に行うことができる。
また、重要度の算出に際しては、印刷条件情報に含まれる各項目について、過去の欠陥発生率に基づいた重み付けを行い、その重み付けの値に基づいて重要度を示す値を算出する。そのため、実際の検査結果に応じた重要度を算出することが可能となる。