実施の形態1.
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成出力による出力結果を読み取った読取画像とマスター画像とを比較することにより出力結果を検査する検査装置を含む画像検査システムにおいて、読取画像とマスター画像との差分値の算出結果に対して周波数解析を行うことにより周期的な欠陥を検知する方法について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成システムは、DFE(Digital Front End)1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4を含む。DFE1は、受信した印刷ジョブに基づいて印刷出力するべき画像データ、即ち出力対象画像であるビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをエンジンコントローラ2に出力する画像処理装置である。
エンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータに基づいてプリントエンジン3を制御して画像形成出力を実行させる。また、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、DFE1から受信したビットマップデータを、プリントエンジン3による画像形成出力の結果を検査装置4が検査する際に参照するための検査用画像の元となる情報として検査装置4に送信する。
プリントエンジン3は、エンジンコントローラ2の制御に従い、ビットマップデータに基づいて画像形成出力を実行する画像形成装置である。検査装置4は、エンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータに基づいてマスター画像を生成する。そして、検査装置4は、プリントエンジン3が出力した用紙を読取装置で読み取って生成した読取画像を上記生成したマスター画像と比較することにより、出力結果の検査を行う画像検査装置である。
本実施形態に係る検査装置4は、上述した読取画像とマスター画像との比較による画像検査の一環として、読取画像とマスター画像との差分値を算出した差分画像に対する周波数解析により周期的な誤差の検知処理を行う。この際、画像の全体に対して一様に周波数解析を行うのではなく、元の画像の内容に応じて周波数解析の態様を変化させることが本実施形態に係る要旨である。詳細は後述する。
検査装置4は、マスター画像と読取画像との比較により出力結果に欠陥があると判断した場合、欠陥として認定されたページを示す情報をエンジンコントローラ2に通知する。これにより、エンジンコントローラ2によって欠陥ページの再印刷制御が実行される。
ここで、本実施形態に係るエンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能ブロックを構成するハードウェア構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置4のハードウェア構成を示すブロック図である。図2においては、検査装置4のハードウェア構成を示すが、エンジンコントローラ2及びプリントエンジン3についても同様である。
図2に示すように、本実施形態に係る検査装置4は、一般的なPC(Personal Computer)やサーバ等の情報処理装置と同様の構成を有する。即ち、本実施形態に係る検査装置4は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス90を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60、操作部70及び専用デバイス80が接続されている。
CPU10は演算手段であり、検査装置4全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。
I/F50は、バス90と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが検査装置4の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが検査装置4に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
専用デバイス80は、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4において、専用の機能を実現するためのハードウェアであり、プリントエンジン3の場合は、画像形成出力対象の用紙を搬送する搬送機構や、紙面上に画像形成出力を実行するプロッタ装置である。また、エンジンコントローラ2、検査装置4の場合は、高速に画像処理を行うための専用の演算装置である。このような演算装置は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成される。また、紙面上に出力された画像を読み取る読取装置も含まれる。
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係るエンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能を実現する機能ブロックが構成される。
図3は、本実施形態に係るDFE1、エンジンコントローラ2、プリントエンジン3及び検査装置4の機能構成を示すブロック図である。図3においては、データの送受信を実線で、用紙の流れを破線で示している。図3に示すように、本実施形態に係るエンジンコントローラ2は、データ取得部201、エンジン制御部202、ビットマップ送信部203を含む。また、プリントエンジン3は、印刷処理部301を含む。また、検査装置4は、読取装置400、読取画像取得部401、マスター画像処理部402、検査制御部403及び比較検査部404を含む。
DFE1は、外部からネットワークを介して入力される印刷ジョブや、オペレータの操作によりDFE1内部に格納された画像データに基づいて生成される印刷ジョブに基づき、画像形成出力の実行を制御する。DFE1は、画像形成出力の実行に際して、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてビットマップデータを生成し、生成したビットマップデータをデータ取得部201に入力する。
ビットマップデータの生成に際して、DFE1は、印刷ジョブに含まれる画像データに基づいてプリントエンジン3が画像形成出力を実行するためのビットマップデータを生成する。ビットマップデータは、画像形成出力するべき画像を構成する各画素の情報である。
本実施形態に係るプリントエンジン3は、CMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して、一般的に、印刷ジョブに含まれる画像のデータは、一画素が256階調等の多階調で表現された多値画像である。そのため、DFE1は、印刷ジョブに含まれる画像データを多値画像から少値画像に変換して、CMYK各色二値のビットマップデータを生成する。
データ取得部201は、DFE1から入力されるビットマップデータを取得し、エンジン制御部202及びビットマップ送信部203夫々を動作させる。エンジン制御部202は、データ取得部201から転送されたビットマップデータに基づき、プリントエンジン3に画像形成出力を実行させる。ビットマップ送信部203は、データ取得部201が取得したビットマップデータを、マスター画像生成の為に検査装置4に送信する。
印刷処理部301は、エンジンコントローラ2から入力されるビットマップデータを取得し、印刷用紙に対して画像形成出力を実行し、印刷済みの用紙を出力する画像形成部である。本実施形態に係る印刷処理部301は、電子写真方式の一般的な画像形成機構によって実現されるが、インクジェット方式等の他の画像形成機構を用いることも可能である。
読取装置400は、印刷処理部301によって印刷が実行されて出力された印刷用紙の紙面上に形成された画像を読み取り、読取データを出力する画像読取部である。読取装置400は、例えば印刷処理部301によって出力された印刷用紙の、検査装置4内部における搬送経路に設置されたラインスキャナであり、搬送される印刷用紙の紙面上を走査することによって紙面上に形成された画像を読み取る。
読取装置400によって生成された読取画像が検査装置4による検査の対象となる。読取画像は、画像形成出力によって出力された用紙の紙面を読み取って生成された画像であるため、出力結果を示す画像となる。読取画像取得部401は、印刷用紙の紙面が読取装置400によって読み取られて生成された読取画像の情報を取得する。読取画像取得部401が取得した読取画像の情報は、比較検査のために比較検査部404に入力される。尚、比較検査部404への読取画像の入力は検査制御部403の制御によって実行される。その際、検査制御部403が読取画像を取得してから比較検査部404に入力する。
マスター画像処理部402は、上述したようにエンジンコントローラ2から入力されたビットマップデータを取得し、上記検査対象の画像と比較するための検査用画像であるマスター画像を生成する。即ち、マスター画像処理部402が、読取画像の検査を行うための検査用画像であるマスター画像を出力対象画像に基づいて生成する検査用画像生成部として機能する。マスター画像処理部402によるマスター画像の生成処理については後に詳述する。
検査制御部403は、検査装置4全体の動作を制御する制御部であり、検査装置4に含まれる各構成は検査制御部403の制御に従って動作する。比較検査部404は、読取画像取得部401から入力される読取画像とマスター画像処理部402が生成したマスター画像とを比較し、意図した通りの画像形成出力が実行されているか否かを判断する。比較検査部404は、膨大な計算量を迅速に処理するために上述したようなASICによって構成される。本実施形態においては、検査制御部403が、比較検査部404を制御することによって画像検査部として機能すると共に、比較検査部404による検査結果を取得する検査結果取得部として機能する。
比較検査部404においては、上述したようにRGB各色8bitで表現された200dpiの読取画像及びマスター画像を対応する画素毎に比較し、夫々の画素毎に上述したRGB各色8bitの画素値の差分値を算出する。そのようにして算出した差分値と閾値との大小関係に基づき、検査制御部403は、読取画像における欠陥の有無を判断する。即ち、検査制御部403が検査装置4に含まれる各部を制御することにより画像検査部として機能する。
尚、読取画像とマスター画像との比較に際して、検査制御部403は、図4に示すように、所定範囲毎に分割されたマスター画像を、分割された範囲に対応する読取画像に重ね合わせて各画素の画素値、即ち濃度の差分算出を行う。このような処理は、検査制御部403が、重ね合わせる範囲の画像をマスター画像及び読取画像夫々から取得し、比較検査部404に入力することによって実現される。
更に、検査制御部403は、分割された範囲を読取画像に重ね合わせる位置を縦横にずらしながら、即ち、読取画像から取得する画像の範囲を縦横にずらしながら、算出される差分値の合計値が最も小さくなる位置を正確な重ね合わせの位置として決定すると共に、その際に算出された各画素の差分値を比較結果として採用する。そのため、比較検査部404は、各画素の差分値と共に、位置合わせの位置として決定した際の縦横のずれ量を出力する。
図4に示すように方眼上に区切られている夫々のマスが、上述した各画素の差分値を合計する所定範囲である。また、図4に示す夫々の分割範囲のサイズは、例えば、上述したようにASICによって構成される比較検査部404が一度に画素値の比較を行うことが可能な範囲に基づいて決定される。
また、他の方法として、夫々の画素について算出された差分値と閾値との比較結果に基づいてまず夫々の画素が正常か欠陥かを判断し、欠陥と判断された画素数のカウント値とそれについて設定された閾値とを比較する方法がある。また、上述した所定範囲毎の欠陥の判定ではなく、夫々の画素毎に欠陥の有無を判断しても良い。
このような処理により、読取画像とマスター画像とが位置合わせされた上で差分値が算出される。例えば、読取画像全体とマスター画像全体とで縮尺に差異があったとしても、図4に示すように範囲毎に分割して位置合わせを行うことにより、縮尺の差異による影響を低減することが可能である。
また、図4に示すように分割された夫々の範囲において、隣接する範囲の位置ずれ量は比較的近いことが予測される。従って、分割された夫々の範囲についての比較検査を行う際、隣接する領域の比較検査によって決定された位置ずれ量を中心として上述した縦横にずらしながらの計算を行うことにより、縦横にずらしながら計算を行う回数を少なくしても、正確な重ね合わせ位置による計算が実行される可能性が高く、全体として計算量を減らすことができる。
更に、本実施形態の要旨に係る処理として、検査制御部403は、夫々の画素毎に算出された差分値について、主走査方向、副走査方向のいずれかの方向について周波数解析を行う。この際、周波数解析の態様を元の画像の内容に応じて変えることが本実施形態に係る要旨の1つである。詳細は後述する。
上記説明においては、比較検査部404がマスター画像を構成する画素と読取画像を構成する画素との差分値を算出して出力し、検査制御部403において差分値と閾値との比較を行う場合を例としている。この他、比較検査部404において差分値と閾値との比較を行い、その比較結果、即ち、読取画像を構成する各画素について、マスター画像において対応する画素との差異が所定の閾値を超えたか否かを示す情報を、検査制御部403が取得するようにしても良い。これにより、検査制御部403における閾値との比較処理を比較検査部404側に移転し、ハードウェア利用により処理の高速化を図ることが可能となる。但し、上述した周波数解析のため、いずれの場合においても各画素の差分値の算出結果は出力される必要がある。
次に、プリントエンジン3及び検査装置4の機械的な構成及び用紙の搬送経路について、図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン3に含まれる印刷処理部301は、無端状移動手段である搬送ベルト11に沿って各色の感光体ドラム12Y、12M、12C、12K(以降、総じて感光体ドラム12とする)が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ13から給紙される用紙(記録媒体の一例)に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト11に沿って、この搬送ベルト11の搬送方向の上流側から順に、複数の感光体ドラム12Y、12M、12C、12Kが配列されている。
各色の感光体ドラム12の表面においてトナーにより現像された各色の画像が、搬送ベルト11に重ね合わせられて転写されることによりフルカラーの画像が形成される。そのようにして搬送ベルト11上に形成されたフルカラー画像は、図中に破線で示す用紙の搬送経路と最も接近する位置において、転写ローラ14の機能により、経路上を搬送されてきた用紙の紙面上に転写される。
紙面上に画像が形成された用紙は更に搬送され、定着ローラ15にて画像を定着された後、検査装置4に搬送される。また、両面印刷の場合、片面上に画像が形成されて定着された用紙は反転パス16に搬送され、反転された上で再度転写ローラ14の転写位置に搬送される。
読取装置400は、検査装置4内部における用紙の搬送経路において、印刷処理部301から搬送された用紙の夫々の面を読み取り、読取画像を生成して検査装置4内部の情報処理装置によって構成される読取画像取得部401に出力する。また、読取装置400によって紙面が読み取られた用紙は検査装置4内部を更に搬送され、排紙トレイ410に排出される。尚、図5においては、検査装置4における用紙の搬送経路において、用紙の片面側にのみ読取装置400が設けられている場合を例としているが、用紙の両面の検査を可能とするため、用紙の両面側に夫々読取装置400を配置しても良い。
次に、本実施形態に係るマスター画像処理部402の機能構成について説明する。図6は、マスター画像処理部402内部の構成を示すブロック図である。図6に示すように、マスター画像処理部402は、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422、色変換処理部423及び画像出力処理部424を含む。尚、本実施形態に係るマスター画像処理部402は、図2において説明した専用デバイス80、即ち、ASICとして構成されたハードウェアが、ソフトウェアの制御に従って動作することにより実現される。
少値多値変換処理部421は、有色/無色で表現された二値画像に対して少値/多値変換処理を実行して多値画像を生成する。本実施形態に係るビットマップデータは、プリントエンジン3に入力するための情報であり、プリントエンジンはCMYK(Cyan,Magenta,Yellow,blacK)各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する。これに対して検査対象の画像である読取画像は、基本三原色であるRGB(Red,Green,Blue)各色多階調の多値画像であるため、少値多値変換処理部421により先ず二値画像が多値画像に変換される。多値画像としては、例えばCMYK各8bitで表現された画像を用いることができる。
少値多値変換処理部421は、少値/多値変換処理として、8bit拡張処理、平滑化処理を行う。8bit拡張処理は、0/1の1bitであるデータを8bit化し、「0」は「0」のまま、「1」は「255」に変換する処理である。平滑処理は、8bit化されたデータに対して平滑化フィルタを適用し、画像を平滑化する処理である。
尚、本実施形態においては、プリントエンジン3がCMYK各色二値の画像に基づいて画像形成出力を実行する場合を例とし、マスター画像処理部402に少値多値変換処理部421が含まれる場合を例とするが、これは一例である。即ち、プリントエンジン3が多値画像に基づいて画像形成出力を実行する場合は、少値多値変換処理部421は省略可能である。
また、プリントエンジン3が1bitではなく2bit等の少値の画像に基づいて画像形成出力を行う機能を有する場合もあり得る。その場合、8bit拡張処理において対応することができる。即ち、2bitの場合、階調値は0、1、2、3の4値である。従って、8bit拡張に際しては、「0」は「0」、「1」は「85」、「2」は「170」、「3」は「255」に変換する。
解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を、検査対象の画像である読取画像の解像度に合わせるように解像度変換を行う。本実施形態においては、読取装置400は200dpiの読取画像を生成するため、解像度変換処理部422は、少値多値変換処理部421によって生成された多値画像の解像度を200dpiに変換する。また、本実施形態に係る解像度変換処理部422は、解像度変換に際して、印刷処理部301によって出力される用紙の収縮等を考慮して予め定められた倍率に基づいて解像度変換後の画像のサイズを調整する。
色変換処理部423は、解像度変換処理部422によって解像度が変換された画像を取得して階調変換及び色表現形式の変換を行う。階調変換処理は、印刷処理部301によって紙面上に形成される画像の色調及び読取装置400によって読み取られて生成される画像の色調に、マスター画像の色調を合わせるための色調の変換処理である。
このような処理は、例えば、様々な階調色のカラーパッチを含む画像が印刷処理部301によって紙面上に形成され、その用紙を読み取って生成された読取画像における各カラーパッチの階調値と、夫々のカラーパッチを形成するための元の画像における階調値とが関連付けられた階調変換テーブルを用いて行われる。即ち、色変換処理部423は、このような階調変換テーブルに基づき、解像度変換処理部422が出力した画像の各色の階調値を変換する。
色表現形式の変換処理は、CMYK形式の画像をRGB形式の画像に変換する処理である。上述したように、本実施形態に係る読取画像はRGB形式の画像であるため、色変換処理部423は、階調変換処理のされたCMYK形式の画像をRGB形式に変換する。これにより、画素毎にRGB各色8bit(合計24bit)で表現された200dpiの多値画像が生成される。即ち、本実施形態においては、少値多値変換処理部421、解像度変換処理部422及び色変換処理部423が、検査用画像生成部として機能する。
次に、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成について説明する。図7は、本実施形態に係る検査制御部403の機能構成を示すブロック図である。図7に示すように、本実施形態に係る検査制御部403は、検査結果取得部431、平坦領域判定部432、周波数解析部433及びプリンタ連動部434を含む。
検査結果取得部431は、マスター画像処理部402から入力されるマスター画像と読取画像取得部401から入力される読取画像とを比較検査部404に入力し、図4において説明したような処理により欠陥判定を行う。これにより、検査結果取得部431は、検査対象のページについての差分値の算出結果と閾値とを比較した欠陥判定結果及び各画素の差分値の算出結果を取得する。即ち、検査結果取得部431が、差分画像取得部として機能する。
平坦領域判定部432は、マスター画像処理部402から入力されるマスター画像に基づき、検査対象の画像における平坦領域を判定する。この平坦領域とは、画像の濃淡の変化が少ない領域であり、例えば顕色剤が転写されていない無地の領域や、べた塗りの領域である。平坦領域判定部432による平坦領域判定処理の詳細については後述する。
周波数解析部433は、検査結果取得部431によって取得された各画素の差分値の算出結果に対して周波数解析を行うことにより、周期的な欠陥の検知処理を行う。これにより、周波数解析部433は、検査対象のページに対して、周期的な欠陥が生じている場合にそれを検知する。この際、本実施形態に係る周波数解析部433は、平坦領域判定部432による判定結果を参照し、平坦領域であると判定された領域に対してのみ、周波数解析を行う。これが、本実施形態に係る要旨の1つである。
プリンタ連動部434は、検査対象のページについて検査結果取得部431や周波数解析部433によって欠陥が検知された場合に、印刷ジョブ停止や再印刷の判断を行ってエンジンコントローラ2のエンジン制御部202に対して印刷ジョブ停止要求や、再印刷要求を送信する。再印刷要求を送信する際、プリンタ連動部434は、再印刷するべきページのページ数や、印刷ジョブを示すジョブ識別番号を通知する。これにより、エンジン制御部202において、再印刷のための処理が実行される。即ち、プリンタ連動部434が、再印刷命令部として機能する。
次に、本実施形態に係る検査制御部403による画像検査動作について図8のフローチャートを参照して説明する。図8に示すように、システムにおいて画像形成出力が開始され、上述したマスター画像処理部402の動作によってマスター画像が生成されると、検査結果取得部431及び平坦領域判定部432がマスター画像処理部402からマスター画像を取得する(S801)。また、平坦領域判定部432は、取得したマスター画像について平坦領域の判定処理を行い、マスター画像中の平坦領域を判定して抽出する(S802)。この処理については後に詳述する。
他方、画像形成出力が開始された後、プリントエンジン3から出力された印刷用紙が読取装置400に読み取られることによって読取画像が生成され、検査結果取得部431が読取画像取得部401から読取画像を取得する(S803)。検査結果取得部431は、読取画像及びマスター画像を取得すると、図4において説明したように、夫々から所定範囲の画像を抽出して比較検査部404に入力することにより、比較検査を実行する(S804)。
S804の処理の結果、検査結果取得部431は、上述したように、読取画像とマスター画像との差分を算出した各画素の差分値と、その差分値と閾値とを比較することによって判定された画像の欠陥の判定結果を取得する。検査結果取得部431は、欠陥判定結果をプリンタ連動部434に通知すると共に、各画素の差分値を周波数解析部433に入力する。
周波数解析部433は、検査結果取得部431から各画素の差分値を取得すると、取得した差分値に基づいて周波数解析を実行する(S805)。S805において、周波数解析部433は、平坦領域判定部432によって平坦領域として判定された領域についてのみ周波数解析を行う。これが本実施形態に係る要旨の1つである。
検査制御部403は、S801〜S805までの処理を、画像形成出力のジョブに含まれる全ページについて繰り返し実行し(S806/NO)、全ページについての処理を終了したら(S806/YES)、処理を終了する。このような処理により、本実施形態に係る画像検査動作が完了する。
次に、本実施形態に係るS802の平坦領域の判定動作について説明する。まず、平坦領域に該当する画像領域と該当しない画像領域との典型的な例について説明する。図9は、1ページの画像において、文字領域、無地領域及び絵柄領域を含む場合において、夫々の領域の一部分を拡大した各画素の画素値、即ち濃度の例を斜線の数で示した図である。
図9に示すように、文字領域や絵柄領域の場合、部分的な画素の集まりを見ると、1画素毎に濃度が変化している。ここで、図6において説明したマスター画像の生成処理に際しては、少値多値変換処理部421による少値/多値変換処理が行われる。この処理は少値画像にフィルタを適用することによって多値画像を復元する処理であるが、フィルタを用いた処理では画像全体として同様の画像に見える状態に復元することはできても、図9に示すような画素単位での濃淡を正確に復元することは難しい。
そのため、図9に示すような濃淡の変化が頻繁な領域についての読取画像とマスター画像との差分値を算出すると、欠陥が生じていない状態であってもある程度の差分値が誤差として算出されてしまう。そして、そのような差分画像について周波数解析を行ったとしても、誤差によるノイズが多く、周期的な欠陥の検知を正確に行うことが出来ない。このような画像領域は平坦領域に該当しない画像領域である。
他方、無地領域の場合、部分的な画素の集まりを見ると、一様に白色である。このような領域については、読取画像とマスター画像との差分値を算出しても誤差が生じることは少ないため、周波数解析による周期的な欠陥の検知を行う対象として適している。無地領域の他、べた塗り領域や濃度変化の緩やかな領域等も同様の特性を有する。このような画像領域が平坦領域に該当する画像領域であり、このような領域を抽出することがS802の平坦領域の判定動作の趣旨である。
図10は、本実施形態に係るS802の平坦領域の判定動作を示すフローチャートである。図10に示す動作を実行する前提として、本実施形態に係る平坦領域判定部432は、図11に示すようなパラメータを保持している。単位検知サイズWは、1回の平坦領域判定において参照する領域(以降、「平坦判定領域」とする)の画素サイズであり、本実施形態においては、80ピクセル四方である。
周波数判定最小幅Hは、平坦領域として判定された領域を連結して生成された領域のうち、周波数解析を行う領域として最小限の領域を示す幅である。周期的な欠陥は、例えば用紙を搬送するローラや感光体ドラム等の回転体の影響により生じるため、基本的には副走査方向に周期的に発生する。従って、副走査方向の幅が狭い領域については周波数解析の対象としても効果が薄いため、周波数判定最小幅Hによって除外する。本実施形態における周波数判定最小幅Hは256ピクセルである。
標準偏差閾値THは、1つの平坦判定領域の画素値について算出された標準偏差に適用される閾値であり、算出された標準偏差、即ち画素値のバラつきが標準偏差閾値THよりも小さい場合に、その領域が平坦領域であると判定される。本実施形態における標準偏差閾値THは、RGB各色8bitの256階調を前提として、2である。
平坦領域判定部432は、図11に示すようなパラメータに基づき、図10に示すように、判定対象のマスター画像の端部から順に平坦判定領域分の画素を参照し(S1001)、参照した領域内の全画素について、RGB夫々の色毎に画素値の標準偏差を算出する(S1002)。この標準偏差の値が、夫々の平坦判定領域内における画素毎の濃淡の変化を示す平坦度として用いられる。即ち、平坦判定領域判定部432が、平坦度算出部として機能する。
そして、平坦領域判定部432は、算出したRGB各色の標準偏差のうち最も大きい値を、図11において説明した標準偏差閾値THと比較し(S1003)、算出結果が標準偏差閾値TH以上であれば(S1003/YES)、参照中の平坦判定領域が平坦領域であるとして、参照中の領域を示す座標を記憶媒体に登録する(S1004)。この座標は、例えば参照中の領域の左上の座標である。
算出結果が標準偏差閾値TH未満であった場合(S1003/NO)や、S1004の処理が完了した場合、平坦領域判定部432は、判定対象のマスター画像の全領域について判定が終了したかを確認し(S1005)、終了していなければ、平坦判定領域として参照する対象の領域を移動し(S1008)、S1001からの処理を繰り返す。尚、S1008においては、副走査方向に、単位検知サイズWの1辺の半分の画素分移動する。また、副走査方向の端部まで到達した場合には、単位検知サイズWの1辺のサイズ分主走査方向に移動し、副走査方向の先頭を参照領域とする。
図12は、平坦領域判定の対象となるマスター画像の一部を示す図である。図12の例においては、破線の斜線で示すべた塗り領域を背景として、文字や図形が表示された画像を対象としている。これに対して、図13は、全領域に対してS1004までの処理を終了した状態を示した図である。図13においては、平坦領域であると判定された領域を点線で囲って示している。
図13に示すように、判定対象のマスター画像の全領域について判定が終了すると(S1005/YES)、平坦領域判定部432は、平坦領域として判定された各単位検知サイズの領域を、副走査方向に連結する(S1006)。図14は、S1006の処理結果を示す図である。S1006の処理に際しては、例えば、S1004において登録した座標の主走査位置が同一であり、副走査位置の差が単位検知サイズWである領域間を統合する。
図14に示すように副走査方向に領域を結合した平坦領域判定部432は、図11において説明した周波数判定最小幅Hを参照し、結合した結果の夫々の領域の副走査幅が周波数判定最小幅H未満である領域を、平坦領域から削除する(S1007)。図15は、図14の状態に対してS1007の処理を行った結果を示す図である。図15に示すように、周期的な欠陥を検知するための領域として副走査方向に十分な幅を有しない領域が、周波数解析対象の領域から除外される。このような処理により、本実施形態に係る平坦領域判定動作が完了する。
尚、図10に示す処理により、画素毎の濃淡の変化が小さく、且つ副走査方向に十分な幅を有する領域が抽出されるが、更に、無地領域、即ち顕色剤が転写されていない領域や、黒に近い高濃度のべた塗り領域を除外する処理を行っても良い。無地領域は顕色剤が転写されないために周期的な欠陥が生じる可能性が低く、高濃度のべた塗り領域は周期的な欠陥が生じたとしても高濃度であるために欠陥が目立たず、いずれも周波数解析を行うメリットが小さいからである。
このような処理は、例えば、図10のS1003の“YES”の条件として、平坦判定領域内のRGB値、即ち画素値の平均値を求め、その平均値が無地領域を判断するための閾値以下であり、且つ高濃度のべた塗り領域を判断するための閾値以上であることを付け加えることにより可能である。本実施形態においてはRGB各色256階調を前提として、無地領域を判断するための閾値は例えば220であり、高濃度のべた塗り領域を判断するための閾値は例えば10である。
次に、本実施形態に係る図8のS805の周波数解析動作について説明する。図16は、S805の周波数解析処理における動作の詳細を示すフローチャートである。図16に示すように、周波数解析部433は、検査結果取得部431から入力される差分画像の値をYCbCr値に変換する(S1601)。人間の視覚において最も影響が大きいのは明度値Yであるため、周波数解析処理においても明度値Yに基づいて解析を行うためである。そのため、S1601の処理においては、YCbCrのうち、Yのみを求めれば良い。
次に、周波数解析部433は、図15において説明したように判定された、副走査方向に連結された平坦領域のうち1つを選択し、主走査列毎、即ち副走査位置が同一である画素毎に各画素のYの値の平均値を算出する(S1602)。本実施形態に係る周波数解析においては、副走査方向に周期的に生じる周期的な欠陥を検知するため、周波数解析は副走査方向に対して行う。周波数解析対象の値の列が1列となるように、平均化によって主走査列毎に1つの値を求める。
図17(a)は、S1602の処理により算出された副走査位置毎の明度値を示すグラフである。図17(a)を参照すると、全体的に右上がりになっていることがわかる。これは、元々の明度値の変化とも考えられるが、レーザープリンタ等の画像形成装置においては、主走査位置及び副走査位置によって形成される画像に誤差が生じる可能性があり、その誤差が図17(a)に示すような全体的な値の誤差として現れる場合がある。
その誤差を修正するため、周波数解析部433は、傾き補正を行う(1603)。S1603における傾き補正については一般的な方法を用いることが可能であり、例えば、周波数解析部433は、最小二乗法により求めた直線が水平になるように補正角度を求め、その角度が補正されるように夫々の副走査位置毎の平均明度を補正する。図17(b)は、傾き補正された後の副走査位置に対する平均明度を示すグラフである。
周波数解析部433は、このようにして傾き補正された後の副走査位置毎の平均明度に対して周波数解析を行う(S1604)。S1604において、周波数解析部433はFFT(Fast Fourier Transform)を行うことにより周波数解析を行う。尚、処理速度を考慮し、プロファイル個数、即ち解析対象の平均明度の個数が2の整数乗出ない場合は、2の整数乗になるようにプロファイル数を切り捨ててFFT処理を行う。
図18は、FFT処理結果として、空間周波数に応じた明度振幅を示すグラフである。図18に示すグラフが、検査対象の領域に含まれる明度変化の周波数成分の強度を示している。図18に示すグラフ、即ち、明度変化に対してFFT処理を行った結果は、検査対象領域に含まれる明度変化の周波数成分の強度を示してはいるが、その結果が検知すべき周期的な画像の欠陥を直接示しているとは言えない。
人間の視覚によって認識されやすい画像の周期には偏りがあり、周波数帯に応じて目視による認識されやすさに違いがある。そのため、より人間の視覚において問題となり得る画像の欠陥を検知し、周期的な明度変化があったとしても人間の視覚上問題にならない明度変化については除外する必要がある。そのため、周波数解析部433は、視覚感度補正を行う(S1605)。
S1605において、周波数解析部433は、夫々の空間周波数f毎に、以下の式(1)に示すように、補正前の明度振幅Pに視覚補正係数VTFを乗ずることによって視覚感度補正後の明度振幅P´を求める。
また視覚感度補正係数VTFは、夫々の空間周波数f、対象画像の観察距離Lを用いて、以下の式(2)のように、fとLをパラメータとする関数として求めることが可能である。
観察距離Lとは、対象の画像を目視する際の視点から対象の画像までの距離である。この観察距離Lは、画像のサイズによって定めることが可能である。A4、B5等の一般的なサイズの画像を人間が目視する際の観察距離Lは人間が対象物を観察する際の視覚に基づいて計算することが可能であり、図19に示すように、“A0”、“A1”、“A2”といった「画像サイズ」と、それに応じた「観察距離L」とを関連付けたテーブルとして生成することが可能である。
従って、周波数解析部433は、S1605の処理における上記式(2)の計算に際して、検査対象の画像サイズに応じたLを図19に示すようなテーブルから取得して計算を行う。この他、上述したように、人間の視覚と画像サイズとに基づいて観察距離Lを計算しても良い。
図20は、図18に示すFFT処理結果の値に対して、S1605の視覚感度補正処理を行った結果の値を示す図である。図20に示すように、人間の目視において影響の大きい周波数帯域が強調され、高周波及び低周波領域が低減されていることがわかる。このようにして人間の視覚に応じた補正を行うと、周波数解析部433は、図20に示す値に含まれているノイズを除去し、グラフ上でピークとして現れている成分、即ち、グラフ上で筋となっているスジ成分のみを抽出するための処理を行う。
そのためのフィルタとして用いるための値を算出するため、周波数解析部433は、まず図20に示す視覚感度補正結果の値に対してメディアンフィルタ処理を行う(S1606)。メディアンフィルタ処理とは、夫々の空間周波数毎の値について、その前後の所定範囲の値を参照し、その中の中央値を夫々の空間周波数に対応する値として採用する処理である。尚、フィルタ処理に際して参照するべき前後の所定範囲、即ちフィルタサイズは、処理対象のデータ数によって図21に示すテーブルのように定めることが出来る。
図22は、メディアンフィルタを適用する元のグラフを点線で示し、メディアンフィルタを適用した後の値を実線で示すグラフである。このようにして求められた値をフィルタとして用い、夫々の空間周波数毎に視覚感度補正結果の値からメディアンフィルタ処理毎の値を差し引くことによってスジ成分抽出を行う(S1607)。図23は、スジ成分抽出を行った後の値を示すグラフである。図22に示すように、全体的なグラフのふくらみが除去され、すじ状の成分のみが抽出されていることがわかる。
このようにスジ成分のみを抽出すると、周波数解析部433は、グラフの横軸とグラフとで囲まれる領域、即ちスジ部分の面積を算出する(S1608)。これにより、対象の判定領域に含まれる周波数成分の総量を示す値を求めることが出来る。更に、周波数解析部433は、求められた面積に対して、平均明度に応じた補正を行う(S1609)。
ここで、平均明度とは、周波数解析対象の範囲におけるS1601において変換されたYの値の平均値である。そして、S1609の処理において、周波数解析部433は、基準となる明度と、上述した平均明度との割合によって係数を求め、その係数を面積に乗ずる。
このようにして算出された値は、周波数解析対象の範囲において、人間の視覚によって認識されやすい周期的な欠陥の強さを示す値となる。周波数解析部433は、その値と、周期的な欠陥を判定するために設けられた閾値とを比較することにより、対象の領域に周期的な欠陥が生じているか否かを判定する(S1610)。尚、周期的な欠陥を判定するための閾値は、周期的な欠陥が生じている画像と欠陥が生じていない画像との夫々の解析結果に基づいて実験的に定めることが可能である。
周波数解析部433は、このような処理を、図15に示すように抽出された全領域に対して繰り返し実行し(S1611/NO)、全領域に対して完了したら、周波数解析動作を完了する。尚、周波数解析部433は、S1610において欠陥が生じていることを判定した場合、その判定結果をプリンタ連動部434に出力する。この判定結果には、周期的な欠陥が生じていることを示す情報の他、周期的な欠陥が生じていると判定された領域を示す座標情報等が含まれる。
以上、説明したように、本実施形態に係る周波数解析部433を含む画像検査装置においては、平坦領域判定部432による平坦領域判定の結果を考慮し、平坦領域と判定された領域に対してのみ周波数解析による周期的な結果の検知処理を行う。そのため、読取画像とマスター画像との差分値の算出誤差に基づいた周期的な欠陥の誤検知を防ぐことが可能となり、周期的な欠陥の検知処理を高精度に行うことができる。
尚、上記実施形態においては、図16のS1609においてスジ部分の面積を算出した上で、その面積に対して閾値を適用して周期的な欠陥の有無を判断する場合を例として説明した。このような態様は、淡い濃度変化が周期的に生じるような欠陥の場合、FFT解析結果においてはピークの高さではなく、主にピークの幅に反映されるため効果的である。また、画像上において周期的なスジが明確に表れるような場合には、ピークが高くなるため、その場合にも面積は大きくなり、同様に検知可能である。
しかしながら、これに限定されるものではなく、FFT結果や視覚感度補正された結果の明度振幅値を閾値と比較することにより、ピークの高さに基づいて欠陥の有無を判定しても良い。
また、上記実施形態においては、ローラ等の回転体によって生じる周期的な誤差を主な対象とし、副走査方向の周期的な結果を検知する場合を例として説明した。しかしながら、主走査方向について周期的な誤差が生じる可能性もゼロではないため、主走査方向に対して同様の処理を行っても良い。
実施の形態2.
実施の形態1においては、平坦領域と判定された領域に対してのみ、周波数解析による周期的な欠陥の検知処理を行う場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、本件の要旨は、周波数解析による周期的な欠陥の検知処理において、検査対象の画像の平坦度、即ち、画像の濃淡の変化の頻度を考慮し、画素毎の濃淡の変化が緩やかな領域を主として周波数解析を行うことにより、周期的な欠陥の発生を検知することである。本実施形態においては、読取画像とマスター画像との差分値を算出した差分画像の全体に対して周波数解析を行い、その際、検査対象の画像の平坦度に応じた重みづけを行う態様について説明する。
本実施形態に係る検査装置4は、実施の形態1の図3、図7において説明した態様と同様の構成を有する。また、画像の比較検査においては、図8において説明した動作と略同様の動作を行う。ここで、本実施形態に係る平坦領域判定部432は、S802において、図10において説明したような平坦領域の判定動作を行うのではなく、マスター画像の全領域について、単位検知サイズW四方の判定領域毎に平坦度の算出処理を行う。
平坦度の算出に際して、平坦領域判定部432は、例えば図10のS1002と同様の標準偏差算出処理を行い、RGB各色について算出された標準偏差の最大値に基づいて平坦度を決定する。平坦度の決定に際しては、例えば、図24に示すような、標準偏差最大値の範囲と平坦度とを関連付けたテーブルを参照することが可能である。図24の例においては、標準偏差最大値が大きい程、即ち、画像が平坦ではない程、値が大きくなるようなテーブルを例としている。
このようにして算出された判定領域毎の平坦度は、図16において説明した周波数解析処理において用いられる。上述したように、本実施形態に係る周波数解析部433は、差分画像の全範囲に対して周波数快適を行う。この際、本実施形態に係る周波数解析部433は、図25に示すように、主走査方向に単位検知サイズW分の幅を有する副走査方向の全範囲を対象とする領域毎に、図16において説明した周波数解析処理を行う。
また、本実施形態に係る周波数解析部433は、図16のS1601の処理を行う前に、検査結果取得部431から入力された差分画像の値に対して、各判定領域の平坦度に応じた差分値の補正処理を行う。本実施形態に係る周波数解析部433は、図26に示すような平坦度に応じた係数を各画素の差分値に乗ずることにより補正処理を行う。
これにより、平坦度が低い領域については、各画素の差分値が小さくなるように補正されるため、周波数解析における影響も小さくなる。その結果、画像の平坦度が低い領域、即ち、画素毎の濃淡の変化が大きい領域において、差分値算出の誤差により周期的な欠陥が誤検知されてしまうことを回避することが出来る。
尚、本実施形態においても、無地領域及び黒に近い高濃度のべた塗り領域を除外する処理を行っても良い。これにより、実施の形態1と同様の効果を得ることが可能である。