JP6268691B2 - 光束分割光学素子及びデジタル一眼レフカメラ - Google Patents

光束分割光学素子及びデジタル一眼レフカメラ Download PDF

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本発明は、一眼レフデジタルカメラに好適な光束分割光学素子、及びそれを具備するデジタル一眼レフカメラに関する。
近年、銀塩フィルムに代わり、CCDやCMOS等の撮像素子で撮影した画像を電気信号に変換して記録素子に記憶するデジタルカメラが普及している。デジタルカメラでも一眼レフタイプは銀塩フィルムを用いるカメラの場合と同様に撮影レンズによって結ばれた被写体の像を直接ファインダーで観察することができるため、空間的な視差が発生しないという利点がある。
従来から知られている一眼レフデジタルカメラの一例を図1に示す。図1に示すデジタル一眼レフカメラでは、撮像レンズ101を透過した光束はハーフミラー102により分割され、透過光は撮像素子104に、反射光はファインダー光学系105のピント板106にほぼ垂直に入射し、ペンタプリズム107の内部で反射した後に接眼光学系108に導かれる。ハーフミラー102の入射面103には、所定の角度で入射した光束の可視域波長380〜780 nmの成分に対して所望の反射・透過特性が得られるように設計された誘電体多層膜が設けられている。
特開平3-109504号公報(特許文献1)は、屈折率1.517の基板にZrO2、MgF2、ZrO2、MgF2及びZrO2の誘電体膜からなる5層膜が形成されており、波長420〜640 nmにおいて45°入射の反射率が約50%であるハーフミラーを開示しておいる。特許2624827号公報(特許文献2)は、屈折率1.51の基板にZrO2+Al2O3、TiO2、SiO2及びTiO2の誘電体膜からなる4層膜が形成されており、波長400〜700 nmにおいて45°±15°入射の反射率が約50%であるハーフミラーを開示している。
特許2725043号公報(特許文献3)は、屈折率1.51の基板に屈折率1.63、屈折率1.38、屈折率2.35、屈折率1.38、屈折率2.35及び屈折率1.38の誘電体膜からなる6層膜が形成されており、波長400〜700 nmにおいて45°入射の反射率が約50%であるハーフミラーを開示している。引用文献3は別の例として、屈折率1.51の基板に屈折率1.63、屈折率1.38、屈折率1.80、屈折率1.38、屈折率2.35、屈折率1.38、屈折率2.35及び屈折率1.38の誘電体膜からなる8層膜を形成して波長400〜800 nmにおいて45°入射の反射率が約50%であるハーフミラーを開示している。
しかし、これらのハーフミラーのランダム偏光の反射率は約50%の可視域で平坦な反射特性を有するが、S偏光又はP偏光については可視域で平坦な反射特性を有しないため、反射光が色づくという問題がある。特に偏光フィルタを使用して撮影したり、斜め入射光の反射光を撮影したりした場合、ファインダーを覗いた際の画像の色合いと実際に撮影した画像の色合いに差が見られる。
ハーフミラー102により分割された光束のうち透過光については撮像素子104にほぼ垂直に進むため偏光成分の影響は受けないが、反射光は反射角度が大きいので偏光成分の影響を受けやすい。ペンタプリズム107の内面反射は銀ミラーによるもので可視域では95%以上の反射率を有し、また入射角度も約20°と小さいので偏光成分の影響は小さく、接眼光学系108にはほぼ垂直で入射していくので、接眼光学系108において生じる偏光成分の影響も小さい。従って、ファインダーを覗いた際の画像の色合いと実際に撮影した画像の色合いの差は、ハーフミラー102の反射・透過特性に寄るところが大きい。
特開昭60-28602号公報(特許文献4)は、屈折率1.52の基板にZrO2、Ag及びMgF2からなる3層膜が形成されており、波長400〜700 nmにおいて45°入射のS偏光とP偏光の反射率が約50%であるハーフミラーを開示している。しかし、このハーフミラーは金属であるAg膜を利用していているため、Ag膜の光吸収効果により分岐光の光量が低下するという問題がある。さらにAg膜は環境中の硫黄成分や塩素成分と反応し易く、経時変化で曇り易いため一眼レフデジタルカメラに採用するのは難しい。
特開平3-109504号公報 特許2624827号公報 特許2725043号公報 特開昭60-28602号公報
従って本発明の目的は可視域で平坦な反射特性を有する光束分割光学素子を提供することである。
本発明の別の目的は、かかる光束分割光学素子を有する一眼レフデジタルカメラを提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は所定の屈折率を有する膜を少なくとも13層積層することにより可視域で平坦な反射特性を有する光束分割光学素子が得られることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の光束分割光学素子及びデジタル一眼レフカメラは以下の特徴を有している。
[1] 波長587.56 nmの光に対する屈折率nd=1.43〜1.89の光学素子基材の一面に少なくとも第1層膜〜第13層膜が順次形成してなる多層膜が設けられ、
第1層膜、第3層膜、第5層膜、第7層膜、第11層膜及び第13層膜は屈折率nd=1.36〜1.7の低屈折率膜であり、
第4層膜、第6層膜、第8層膜、第10層膜及び第12層膜は屈折率nd=2〜2.5の高屈折率膜であり、
第2層膜の屈折率ndは1.928〜2.25であり、前記高屈折率膜の屈折率より0.2〜0.372だけ小さく、
第9層膜は屈折率nd=1.36〜1.85であり、前記低屈折率膜の屈折率より
0.07〜0.22だけ大きいことを特徴とする光束分割光学素子。
[2] 上記[1] に記載の光束分割光学素子であって、前記光学素子基材はガラス基板であることを特徴とする光束分割光学素子。
[3] 上記[1] 又は[2] に記載の光束分割光学素子であって、前記低屈折率膜の屈折率ndが1.36〜1.5であり、前記高屈折率膜の屈折率ndが2.2〜2.5であり、前記第2層膜の屈折率ndが1.928〜2.1であり、前記第9層膜の屈折率ndが1.45〜1.7であることを特徴とする光束分割光学素子。
[4] 上記[1]〜[3] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、可視光波長域380〜780 nmにおいて、ランダム偏光反射率がランダム偏光平均反射率±4%の範囲にあり、S偏光反射率がS偏光平均反射率±6%の範囲にあり、P偏光反射率がP偏光平均反射率±6%の範囲にあることを特徴とする光束分割光学素子。
[5] 上記[1]〜[4] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、ランダム偏光平均反射率が60〜80%であることを特徴とする光束分割光学素子。
[6] 上記[1]〜[5] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、入射角45°の光束を分岐させる45°入射可視域光束分割光学素子であることを特徴とする光束分割光学素子。
[7] 上記[1]〜[6] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、
前記第1層膜の光学膜厚が230〜305 nmであり、
前記第2層膜の光学膜厚が140〜245 nmであり、
前記第3層膜の光学膜厚が165〜255 nmであり、
前記第4層膜の光学膜厚が160〜230 nmであり、
前記第5層膜の光学膜厚が130〜240 nmであり、
前記第6層膜の光学膜厚が125〜220 nmであり、
前記第7層膜の光学膜厚が140〜255 nmであり、
前記第8層膜の光学膜厚が45〜160 nmであり、
前記第9層膜の光学膜厚が80〜165 nmであり、
前記第10層膜の光学膜厚が55〜140 nmであり、
前記第11層膜の光学膜厚が95〜255 nmであり、
前記第12層膜の光学膜厚が15〜160 nmであり、
前記第13層膜の光学膜厚が220〜290 nmであることを特徴とする光束分割光学素子。
[8] 上記[1]〜[7] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、前記低屈折率膜がMgF2,SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記高屈折率膜がZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第2層膜がAl2O3,Y2O5,Pr6O11,MgO,HfO2,ZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第9層膜がMgF2,SiO2,Al2O3,Y2O5,Pr6O11及びMgOからなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることを特徴とする光束分割光学素子。
[9] 上記[1]〜[8] のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、前記光学素子基材の他方の面に反射防止膜が設けられていることを特徴とする光束分割光学素子。
[10] 上記[1]〜[9] のいずれかに記載の光束分割光学素子をファインダー光学系光路中に具備することを特徴とする一眼レフデジタルカメラ。
本発明の光束分割光学素子可視域において平坦な反射特性を示すので、一眼レフデジタルカメラ等のファインダー光学系光路中に配置するのに好適である
デジタル一眼レフカメラを示す図である。 本発明の一実施例によるハーフミラーを示す図である。 本発明の別の実施例によるハーフミラーを示す図である。 本発明の一実施例によるハーフミラーの45°入射角分光反射特性のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例1のハーフミラーの反射防止膜が形成された出射面の45°入射角分光反射率の測定結果を示すグラフである。 実施例1のハーフミラーの多層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。 実施例2のハーフミラーの反射防止膜が形成された出射面の45°入射角分光反射率の測定結果を示すグラフである。 実施例2のハーフミラーの多層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。 実施例3のハーフミラーの反射防止膜が形成された出射面の45°入射角分光反射率の測定結果を示すグラフである。 実施例3のハーフミラーの多層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。 実施例4のハーフミラーの多層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。 比較例1のハーフミラーの多層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。 比較例2のハーフミラーの四層膜が形成された入射面の45°入射角分光反射特性の測定結果を示すグラフである。
[1] ハーフミラー
本発明の一実施例によるハーフミラー1は、図2に示すように、ガラス基板2と、ガラス基板2の入射面21に設けられた多層膜3とを有する。
ガラス基板2は、波長587.56 nmの光に対する屈折率ndが1.43〜1.89である。ガラス基板2の材料としては、例えば、S-BSL7(株式会社オハラ製,屈折率nd=1.516)、青板ガラス(屈折率nd=1.512)、白板ガラス(屈折率nd=1.523)、S-FPL53(株式会社オハラ製,屈折率nd=1.439)、S-LAH58(株式会社オハラ製,屈折率nd=1.883)等が挙げられる。
ガラス基板2の入射面21の反対側の面で光が反射することにより2重像が写り込むのを防止するために、図3に示すように、ガラス基板2の入射面21の反対側の出射面22に反射防止膜4を設けても良い。
多層膜3は、ガラス基板2の入射面21に少なくとも第1層膜〜第13層膜を順次形成してなる。第1層膜、第3層膜、第5層膜、第7層膜、第11層膜及び第13層膜は屈折率nd=1.36〜1.7の低屈折率膜であり、第4層膜、第6層膜、第8層膜、第10層膜及び第12層膜は屈折率nd=2〜2.5の高屈折率膜であり、第2層膜の屈折率ndは1.928〜2.25であり、前記高屈折率膜の屈折率より0.2〜0.372だけ小さく、第9層膜は屈折率nd=1.36〜1.85であり、前記低屈折率膜の屈折率より0.07〜0.22だけ大きい。
「少なくとも第1層膜〜第13層膜」とは、本発明のハーフミラーの性能に影響を与えない範囲であれば第1層膜〜第13層膜に他の膜を追加しても問題ないということを意味する。例えば、ハーフミラーの性能に影響を与えない範囲で、膜間に屈折率の異なる薄い膜を挿入しても良い。また同じ光学的特性が得られるのであれば、第1層膜〜第13層膜のうち少なくとも1層を複数の膜で置き換えても良い。
このように、屈折率nd=1.43〜1.89のガラス基板2の入射面21に少なくとも上記の屈折率を有する第1層膜〜第13層膜を積層してなる多層膜3を備えたハーフミラー1は、可視光波長域380〜780 nmにおいて、ランダム偏光反射率がランダム偏光平均反射率±4%の範囲にあり、S偏光反射率がS偏光平均反射率±6%の範囲にあり、P偏光反射率がP偏光平均反射率±6%の範囲にあるという光学特性を有する。
ランダム偏光反射率とはハーフミラー1への入射光の反射率であり、ランダム偏光平均反射率とはランダム偏光反射率の可視光波長域380〜780 nmにおける平均値である。S偏光反射率とはハーフミラー1への入射光のうちS偏光についての反射率であり、S偏光平均反射率とはS偏光反射率の可視光波長域380〜780 nmにおける平均値である。P偏光反射率とはハーフミラー1への入射光のうちP偏光についての反射率であり、P偏光平均反射率とはP偏光反射率の可視光波長域380〜780 nmにおける平均値である。
ランダム偏光のみならずS偏光とP偏光の反射特性も可視域で平坦であれば、ファインダーを覗いた際の画像の色合いと実際に撮影した画像の色合いとの差を抑えることができる。
S偏光及びP偏光の反射率分光特性をより平坦にするためには、前記低屈折率膜の屈折率ndが1.36〜1.5であるのが好ましく、前記高屈折率膜の屈折率ndが2.2〜2.5であるのが好ましく、前記第2層膜の屈折率ndが1.928〜2.1であるのが好ましく、前記第9層膜の屈折率ndが1.45〜1.7であるのが好ましい。
本発明のハーフミラーは、ランダム偏光、S偏光、P偏光ともに可視域での波長依存性が少ないため、デジタル一眼レフカメラのハーフミラーとして好適に用いることができる。本発明のハーフミラーは、入射角が45°の光束を分岐させる45°入射用ハーフミラーであるのが好ましい。
ランダム偏光平均反射率は特に限定されないが、接眼光学系を明るく見やすいように、60〜80%であるのが好ましく、65〜75%であるのがより好ましい。。S偏光及びP偏光の平均反射率は特に限定されないが、50〜90%であるのが好ましい。この範囲内でS偏光及びP偏光の平均反射率が異なっていても、S偏光及びP偏光の反射特性が可視域で平坦であれば、ファインダーを覗いた際の画像の色合いと実際に撮影した画像の色合いとの差は生じない。
多層膜3の各層の膜厚は、
第1層膜の光学膜厚が230〜305 nmであり、
第2層膜の光学膜厚が140〜245 nmであり、
第3層膜の光学膜厚が165〜255 nmであり、
第4層膜の光学膜厚が160〜230 nmであり、
第5層膜の光学膜厚が130〜240 nmであり、
第6層膜の光学膜厚が125〜220 nmであり、
第7層膜の光学膜厚が140〜255 nmであり、
第8層膜の光学膜厚が45〜160 nmであり、
第9層膜の光学膜厚が80〜165 nmであり、
第10層膜の光学膜厚が55〜140 nmであり、
第11層膜の光学膜厚が95〜255 nmであり、
第12層膜の光学膜厚が15〜160 nmであり、
第13層膜の光学膜厚が220〜290 nmであるのが好ましい。
多層膜3の低屈折率膜はMgF2,SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、高屈折率膜はZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、第2層膜がAl2O3,Y2O5,Pr6O11,MgO,HfO2,ZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、第9層膜がMgF2,SiO2,Al2O3,Y2O5,Pr6O11及びMgOからなる群から選ばれた少なくとも1材料からなるのが好ましい。ただし第1層膜〜第13層膜の材料は上述したものに限らず、本発明のハーフミラーの特性が得られるものであれば良い。
第1層膜〜第13層膜は、物理成膜法で形成するのが好ましい。物理成膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が挙げられる。なかでも特に製造コスト、加工精度の面において抵抗加熱式、電子ビーム式等の真空蒸着法が好ましい。
本発明の一実施例によるハーフミラー1として、屈折率1.516のガラス基板2の入射面21に表1に示す層構成を有する多層膜3が形成されたハーフミラーを用いる。このハーフミラー1の多層膜3が形成された入射面21に入射角45°で光を入射させたときの分光反射特性(45°入射角分光反射特性)のシミュレーション結果を図4に示す。このとき、ガラス基板及び各層の屈折率分散は無視し、ガラス基板の出射面での反射はないものとする。
図4に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は69.5%〜70.9%(ランダム偏光平均反射率70.1%,反射率差0.8%)であり、S偏光反射率は79.6%〜86.2%(S偏光平均反射率83.5%,反射率差3.9%)であり、P偏光反射率は54.9%〜59.9%(P偏光平均反射率56.7%,反射率差3.1%)であり、偏光による色差を全く感じることはないレベルである。これにより、偏光フィルタを使用して撮影したり、斜め入射光の反射光を撮影したりした場合でも、ファインダーを覗いた際の画像と実際に撮影した画像に色差が認識されない。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
S-BSL7(屈折率nd=1.516)からなる平板ガラス基板2の入射面21にMgF2(屈折率nd=1.38),TiO2+ZrO2(屈折率nd=2.04),TiO2(屈折率nd=2.30)及びSiO2(屈折率nd=1.46)からなる表2に示す多層膜3を真空蒸着法により形成し、出射面22に表3に示す8層からなる反射防止膜4を形成した。このハーフミラー1の反射防止膜4が形成された出射面22の45°入射角分光反射特性の測定結果を図5に示す。測定は日立製作所製分光光度計U-4000タイプを用いた。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図6に示す。図6に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は68.2%〜71.8%(ランダム偏光平均反射率70.1%,反射率差1.9%)であり、S偏光反射率は77.5%〜86.4%(S偏光平均反射率83.1%,反射率差5.6%)であり、P偏光反射率は53.7%〜60.0%(P偏光平均反射率57.0%,反射率差3.3%)であった。偏光による色差を感じることはなかった。
実施例2
S-FPL53(屈折率nd=1.439)からなる平板ガラス基板2の入射面21及び出射面22に実施例1と同様に多層膜3及び反射防止膜4をそれぞれ形成した。このハーフミラー1の反射防止膜4が形成された出射面22の45°入射角分光反射特性の測定結果を図7に示す。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図8に示す。図8に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は68.0%〜72.1%(ランダム偏光平均反射率70.1%,反射率差2.1%)であり、S偏光反射率は77.4%〜86.1%(S偏光平均反射率83.1%,反射率差5.7%)であり、P偏光反射率は53.5%〜60.2%(P偏光平均反射率56.9%,反射率差3.5%)であった。偏光による色差を感じることはなかった。
実施例3
S-LAH58(屈折率nd=1.883)からなる平板ガラス基板2の入射面21にMgF2(屈折率nd=1.38),TiO2+ZrO2(屈折率nd=2.04),TiO2(屈折率nd=2.30)及びSiO2(屈折率nd=1.46)からなる表4に示す多層膜3を真空蒸着法により形成し、出射面22に表5に示す8層からなる反射防止膜4を形成した。このハーフミラー1の反射防止膜4が形成された出射面22の45°入射角分光反射特性の測定結果を図9に示す。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図10に示す。図10に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は67.1%〜73.3%(ランダム偏光平均反射率70.2%,反射率差3.2%)であり、S偏光反射率は79.8%〜87.1%(S偏光平均反射率83.7%,反射率差3.9%)であり、P偏光反射率は52.9%〜60.6%(P偏光平均反射率56.6%,反射率差4.0%)であった。偏光による色差を感じることはなかった。
実施例4
S-BSL7(屈折率nd=1.516)からなる平板ガラス基板2の入射面21にMgF2(屈折率nd=1.38),ZrO2(屈折率nd=1.94),TiO2(屈折率nd=2.30)及びSiO2(屈折率nd=1.46)からなる表6に示す多層膜3を真空蒸着法により形成し、出射面22に実施例1と同様に8層からなる反射防止膜4を形成した。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図11に示す。図11に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は67.0%〜72.0%(ランダム偏光平均反射率69.1%,反射率差3.0%)であり、S偏光反射率は77.2%〜85.9%(S偏光平均反射率82.2%,反射率差5.1%)であり、P偏光反射率は52.4%〜59.4%(P偏光平均反射率55.8%,反射率差3.6%)であった。偏光による色差を感じることはなかった。
比較例1
S-BSL7(屈折率nd=1.516)からなる平板ガラス基板2の入射面21にTiO2(屈折率nd=2.30)及びMgF2(屈折率nd=1.38)からなる表7に示す多層膜を真空蒸着法により形成し、出射面22に実施例1と同様に反射防止膜4を形成した。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図12に示す。図12に示すように、波長380〜780 nmにおけるランダム偏光反射率は67.6〜71.6%であり、S偏光反射率は78.5〜85.3%であり、P偏光反射率は49.9〜63.8%であった。ランダム偏光反射率の変動幅は4.0%(平均69.9%、反射率差2.3%)、S偏光反射率の変動幅は6.8%(平均82.5%、反射率差4.0%)、P偏光反射率の変動幅が13.9%(平均57.2%、反射率差7.2%)であり、P偏光において若干色差が感じられた。
比較例2
S-BSL7(屈折率nd=1.516)からなる平板ガラス基板2の入射面21にTiO2(屈折率nd=2.30)、Ag(nd=0.055,波長587.56 nmの光の吸収係数kd=3.32)及びMgF2(屈折率nd=1.38)からなる表8に示す四層膜を真空蒸着法により形成し、出射面22に実施例1と同様に反射防止膜4を形成した。
このハーフミラー1の入射面21に光を入射角45°で入射させ、ランダム偏光、S偏光及びP偏光の分光反射率を測定した。得られた結果を図13に示す。図13に示すように、可視光波長域380〜780 nmのランダム偏光反射率は68.9%〜75.2%(ランダム偏光平均反射率70.7%,反射率差4.5%)であり、S偏光反射率は66.4%〜74.6%(S偏光平均反射率70.5%,反射率差4.1%)であり、P偏光反射率は67.4%〜78.2%(P偏光平均反射率70.9%,反射率差7.3%)であった。P偏光において若干色差が感じられた。
実施例1~4及び比較例1及び2のサンプルに対し、温度60℃、湿度95%RHの条件で240時間の耐湿テストを実施した結果を表9に示す。実施例1~4及び比較例1には異常が見られなかったが、比較例2についてはハーフミラーの入射面が白濁し、四層膜の周辺部分が剥がれるという異常が発生した。
以上の結果により、本発明の実施例によるハーフミラーは45°入射のランダム偏光だけでなくS偏光とP偏光も可視域で平坦な反射特性を有し、しかも耐湿性にも優れていることが分かった。かかるハーフミラーは、一眼レフデジタルカメラファインダー光学系光路中配置する光学素子として好適である。特に偏光フィルタを使用して撮影した場合や、斜め入射光の反射光を撮影した場合であってもファインダーを覗いた際の画像の色合いと実際の撮影した画像の色合いの差を非常に小さくできる。
1・・・ハーフミラー
2・・・ガラス基板
21・・・入射面
22・・・出射面
3・・・多層膜
4・・・反射防止膜

Claims (10)

  1. 波長587.56 nmの光に対する屈折率nd=1.43〜1.89の光学素子基材の一面に少なくとも第1層膜〜第13層膜が順次形成してなる多層膜が設けられ、
    第1層膜、第3層膜、第5層膜、第7層膜、第11層膜及び第13層膜は屈折率nd=1.36〜1.7の低屈折率膜であり、
    第4層膜、第6層膜、第8層膜、第10層膜及び第12層膜は屈折率nd=2〜2.5の高屈折率膜であり、
    第2層膜の屈折率ndは1.928〜2.25であり、前記高屈折率膜の屈折率より0.2〜0.372だけ小さく、
    第9層膜は屈折率nd=1.36〜1.85であり、前記低屈折率膜の屈折率より0.07〜0.22だけ大きいことを特徴とする光束分割光学素子。
  2. 請求項1に記載の光束分割光学素子であって、前記光学素子基材はガラス基板であることを特徴とする光束分割光学素子。
  3. 請求項2に記載の光束分割光学素子であって、前記低屈折率膜の屈折率ndが1.36〜1.5であり、前記高屈折率膜の屈折率ndが2.2〜2.5であり、前記第2層膜の屈折率ndが1.928〜2.1であり、前記第9層膜の屈折率ndが1.45〜1.7であることを特徴とする光束分割光学素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、可視光波長域380〜780 nmにおいて、ランダム偏光反射率がランダム偏光平均反射率±4%の範囲にあり、S偏光反射率がS偏光平均反射率±6%の範囲にあり、P偏光反射率がP偏光平均反射率±6%の範囲にあることを特徴とする光束分割光学素子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、ランダム偏光平均反射率が60〜80%であることを特徴とする光束分割光学素子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、入射角45°の光束を分岐させる45°入射可視域光束分割光学素子であることを特徴とする光束分割光学素子。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、
    前記第1層膜の光学膜厚が230〜305 nmであり、
    前記第2層膜の光学膜厚が140〜245 nmであり、
    前記第3層膜の光学膜厚が165〜255 nmであり、
    前記第4層膜の光学膜厚が160〜230 nmであり、
    前記第5層膜の光学膜厚が130〜240 nmであり、
    前記第6層膜の光学膜厚が125〜220 nmであり、
    前記第7層膜の光学膜厚が140〜255 nmであり、
    前記第8層膜の光学膜厚が45〜160 nmであり、
    前記第9層膜の光学膜厚が80〜165 nmであり、
    前記第10層膜の光学膜厚が55〜140 nmであり、
    前記第11層膜の光学膜厚が95〜255 nmであり、
    前記第12層膜の光学膜厚が15〜160 nmであり、
    前記第13層膜の光学膜厚が220〜290 nmであることを特徴とする光束分割光学素子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、前記低屈折率膜がMgF2,SiO2及びAl2O3からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記高屈折率膜がZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第2層膜がAl2O3,Y2O5,Pr6O11,MgO,HfO2,ZrO2,Ta2O5,Nb2O5,CeO2及びTiO2からなる群から選ばれた少なくとも1材料からなり、前記第9層膜がMgF2,SiO2,Al2O3,Y2O5,Pr6O11及びMgOからなる群から選ばれた少なくとも1材料からなることを特徴とする光束分割光学素子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光束分割光学素子であって、前記光学素子基材の他方の面に反射防止膜が設けられていることを特徴とする光束分割光学素子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光束分割光学素子をファインダー光学系光路中に具備することを特徴とする一眼レフデジタルカメラ。
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