JP6267564B2 - 緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、緩衝器に関するものである。
従来、車両における車体と車輪との間には緩衝器が介装されており、路面凹凸による衝撃を緩和して、車両の乗り心地を良好にしている。
上記緩衝器の中でも、車体を弾性支持して路面凹凸による衝撃を吸収する懸架ばねと、当該懸架ばねの衝撃吸収に伴う伸縮運動を抑制する減衰力を発生する緩衝器本体とを備えた懸架ばね付きの緩衝器であって、懸架ばねが鉄などの金属製の線材を巻き回して形成されるコイルばねからなり、緩衝器本体の外周に取り付けられる皿状のスプリングシートで下端を支持される場合、懸架ばねとスプリングシートとの間に、ゴム等の弾性体からなるスプリングラバーシートを介装することがある(例えば、特許文献1)。このスプリングラバーシートを備えることにより、懸架ばねの伸縮に伴い当該懸架ばねとスプリングシートが擦れて異音が発生したり、疵付いて錆が発生したりすることを抑制できる。
特許第4746736号
ここで、特許第4746736号に開示のスプリングラバーシートに相当するバネキャップには、当該バネキャップにおいて、懸架ばねの螺旋部が離れる末端から一定の範囲の下部に切欠が設けられており、この部分のバネキャップの剛性を低くして、懸架ばねの伸縮時の変形に対するバネキャップの追従性を高めている。しかしながら、上記切欠は、環状に形成されるバネキャップを径方向に貫通して横向きに開口するので、当該開口から砂利や塵等の異物が入り込み易く、当該異物がバネキャップと当該バネキャップを支持する支持部材との間に噛み込まれ易い。
特許第4746736号に開示の緩衝器において、バネキャップは支持部材を介してスプリングシート(バネ皿)に支えられているので、上記切欠に入り込んだ異物がスプリングシートを疵付けずに済むが、部品数削減のため、上記したような切欠を有するスプリングラバーシートがスプリングシートに直接支えられる場合(例えば、特開2012−219825号公報)、スプリングシートとスプリングラバーシートの間に異物が噛み込まれると、当該異物がスプリングシートを疵付けて、スプリングシートの耐久性を低下させる虞がある。
そこで、本発明の目的は、懸架ばねの伸縮時の変形に対するスプリングラバーシートの追従性を高めたとしても、スプリングラバーシートとスプリングシートとの間に異物が噛み込まれることを抑制し、スプリングシートの耐久性の低下を防ぐことが可能な緩衝器を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、緩衝器本体と、上記緩衝器本体の外周に設けられた懸架ばねと、上記緩衝器本体の外周に取り付けられて上記懸架ばねの下端を支持するスプリングシートと、上記スプリングシートと上記懸架ばねとの間に介装されるスプリングラバーシートとを備えており、上記スプリングラバーシートの上部には、上記懸架ばねが着座するシート面が形成されるとともに、上記シート面は、上記懸架ばねの螺旋部が離れる末端から一定の範囲で、上記末端に向けて高くなるように傾斜しており、上記スプリングラバーシートの下部には、上記シート面の傾斜する部分の下側に設けられ、上記スプリングシートに当接する部分で周囲を囲われた凹部が形成されており、上記スプリングシートには、上下に貫通する一以上の孔が形成されており、上記孔のうちの一以上が上記凹部に対向していることである。
本発明によれば、懸架ばねの伸縮時の変形に対するスプリングラバーシートの追従性を高めたとしても、スプリングラバーシートとスプリングシートとの間に異物が噛み込まれることを抑制し、スプリングシートの耐久性の低下を防ぐことが可能になる。
本発明の一実施の形態に係る緩衝器の主要部を示した正面図である。 (a)は、本発明の一実施の形態に係る緩衝器のスプリングシートを示した平面図である。(b)は、(a)のX線切断面を矢印方向に見た縦断面図である。 (a)は、本発明の一実施の形態に係るスプリングラバーシートを示した平面図である。(b)は、(a)の底面図である。 (a)は、本発明の一実施の形態に係るスプリングラバーシートの主要部を拡大して示した底面図である。(b)は、本発明の一実施の形態に係るスプリングシートに、(a)のスプリングラバーシートが取り付けられた状態を示す部分拡大縦断面図である。
以下に本発明の一実施の形態に係る緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品を示す。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Aは、緩衝器本体Dと、この緩衝器本体Dの外周に設けられた懸架ばねSと、上記緩衝器本体Dの外周に取り付けられて上記懸架ばねSの下端を支持するスプリングシート1と、このスプリングシート1と上記懸架ばねSとの間に介装されるスプリングラバーシート2とを備えている。上記スプリングラバーシート2の上部には、上記懸架ばねSが着座するシート面20が形成されるとともに、このシート面20は、図4に示すように、上記懸架ばねSの螺旋部が離れる末端bから一定の範囲(b〜c)で、上記末端bに向けて高くなるように傾斜している。他方、上記スプリングラバーシートの下部には、上記シート面20の傾斜する部分の下側に設けられ、上記スプリングシート1に当接する部分で周囲を囲われた凹部21が形成されている。
以下、詳細に説明すると、図1に示すように、緩衝器Aは、自動車の車体側に連結される車体側マウント(図示せず)と車輪側に連結される車輪側ブラケットBとの間に介装される緩衝器本体Dと、この緩衝器本体Dの外周に設けられたコイルばねからなる懸架ばねSと、この懸架ばねSを支える上下一対のスプリングシート(下側のスプリングシート1のみを図示し、上側のスプリングシートを省略する)と、各スプリングシートと懸架ばねSの間にそれぞれ介装されるスプリングラバーシート(下側のスプリングシート1と懸架ばねSとの間に介装されるスプリングラバーシート2のみを図示し、上側のスプリングシートと懸架ばねSとの間に介装されるスプリングラバーシートを省略する)とを備えている。図示しない上側のスプリングシート及びスプリングラバーシートの構成は、周知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
緩衝器本体Dは、車輪側ブラケットBに連結されるシリンダ3と、このシリンダ3内に軸方向に移動可能に挿入されるとともにシリンダ3から突出する一端が車体側マウント(図示せず)に連結されるロッド4とを備えて正立型とされており、ロッド4とシリンダ3との軸方向の相対移動を抑制する減衰力を発揮する。当該減衰力を発揮するための構造は、周知であるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、緩衝器本体Dの構成は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。例えば、ロッド4が車輪側に連結されるとともに、シリンダ3が車体側に連結されて、緩衝器本体Dが倒立型に設定されるとしてもよい。また、本実施の形態において、緩衝器本体Dは、単筒型とされており、シリンダ3に出入りするロッド出没体積分のシリンダ内容積変化を補償する膨縮可能な気室をシリンダ3内に設けているが、内外筒からなるシリンダを備えて複筒型とされ、内筒と外筒との間に形成されるリザーバでロッド出没体積分のシリンダ内容積変化を補償するようにしてもよい。
緩衝器本体Dの外周に設けられる懸架ばねSは、鉄等の金属製の線材を巻き回して形成されたコイルばねからなり、図示しない車体側マウントに取り付けられる上側のスプリングシートと、シリンダ3の外周に取り付けられる下側のスプリングシート1との間に介装される。当該構成によれば、懸架ばねSの上端が車体側に支持され、懸架ばねSの下端が車輪側に支持されるので、懸架ばねSはシリンダ3とロッド4の軸方向の相対移動に伴い伸縮し、車体を弾性支持する。
懸架ばねSの下端を支持する下側のスプリングシート1は、鉄等の金属で形成される皿状部材であり、図2に示すように、内側にシリンダ3が挿通されるとともに当該シリンダ3と溶接固定される筒状の連結部10と、この連結部10の外周に設けられる平面視円弧状の隆起部11と、この隆起部11の外周に設けられる環状の支持部12と、この支持部12の外周に設けられる環状の受皿部13とを備えている。
また、本実施の形態において、スプリングシート1の形状は、図2(a)中一点鎖線Xを軸として線対称状となっており、スプリングシート1は、右巻きの懸架ばねSが着座するスプリングラバーシート2にも、図示を省略する左巻きの懸架ばねが着座するスプリングラバーシートにも利用できるようになっている。
隆起部11は、連結部10から隆起しながら外周側に延びている。支持部12は、隆起部11から窪んでスプリングラバーシート2を嵌め込めるようになっている。支持部12の外周側の壁12bには、当該壁12bから上側に一体的に連なる二つの小支持片17,17と、一つの支持片17aとが取り付けられており、スプリングラバーシート2が支持部12から外れることを防いている。受皿部13は、支持部12の壁12bの上端に連なる環状の底13aと、この底13aの外周端から斜め向きに起立する外周縁部13bとを備えており、過大な力の入力により懸架ばねSが万が一折損する事態となっても、懸架ばねSがスプリングシート1から落下することを防いでいる。
隆起部11の頂部(符示せず)と支持部12の底12aには、それぞれ、水抜孔14が形成されており、これらは一点鎖線X上に設けられている。支持部12の底12aには、二つの肉抜孔15,15が形成されており、これらは一点鎖線Xの両側に設けられている。支持部12の底12aと受皿部13の底13aには、それぞれ、複数の肉抜孔16,16・・・が形成されており、これらは一点鎖線Xの両側に設けられている。上記孔15、水抜孔14及び肉抜孔16は、全てスプリングシート1を上下に貫通している。
上記したように、本実施の形態におけるスプリングシート1の形状が一点鎖線Xを軸として線対称状とされているので、スプリングシート1を構成する連結部10、隆起部11、支持部12、受皿部13、水抜孔14,14、孔15,15、肉抜孔16,16・・・小支持片17,17及び支持片17aの形状及び配置が、それぞれ、一点鎖線Xを軸として線対称状となっている。なお、スプリングシート1の構成は、適宜変更することが可能であり、例えば、連結部10、隆起部11、支持部12及び受皿部13の配置や形状、水抜孔14、孔15、肉抜孔16、小支持片17及び支持片17aの数や形状は、適宜変更することが可能である。また、本実施の形態において、車輪側ブラケットBの図1中左側に車輪が取り付けられるので、支持部12及び受皿部13の底12a,13aが傾斜して、図1,2中左側が高くなるようになっているが、この限りではない。
上記スプリングシート1と懸架ばねSとの間に介装されるスプリングラバーシート2は、ゴム等の弾性体で形成されている。本実施の形態において、スプリングラバーシート2は、図3に示すように、円弧状とされており、上記したようにスプリングシート1の支持部12に嵌められる。図3中一点鎖線Yは、懸架ばねSを構成する線材の中心線を示している。スプリングラバーシート2の上部には、懸架ばねSが着座するシート面20と、このシート面20の一端に連なってシート面20から隆起するストッパ27が形成されており、懸架ばねSの先端がストッパ27に突き当たり、懸架ばねSの螺旋部がシート面20に着座する。
以下、スプリングラバーシート2のストッパ27側端を先端a、反対側端を末端bとすると、シート面20は、ストッパ27の終端(符示せず)からスプリングラバーシート2の末端bにかけて形成されており、当該末端bで懸架ばねSの螺旋部が離れるようになっている。そして、スプリングラバーシート2の末端bから一定の範囲(b〜c)で、シート面20が末端bに向けて高くなるように傾斜している(図4)。以下、スプリングラバーシート2において、傾斜したシート面20aを有する部分(b〜c)をシート面勾配部22とし、傾斜していないシート面20bを有する部分をシート面非勾配部23とする。上記構成によれば、本実施の形態において、スプリングラバーシート2は、先端a側から末端bに向けて、ストッパ27、シート面非勾配部23、シート面勾配部22が順に連なる構造となっている。
なお、本実施の形態において、スプリングラバーシート2が円弧状に形成されており、ストッパ27とシート面勾配部22が切り離されているが、これらを連結する連結部を備え、スプリングラバーシート2が環状に形成されるとしてもよい。また、シート面勾配部22とシート面非勾配部23の境界位置cや、シート面勾配部22とシート面非勾配部23の周方向長さなどは、適宜変更することが可能である。
シート面非勾配部23の外周部には、他の部分よりも外周側に突出する嵌合部24が設けられており、当該嵌合部24の外周に設けた溝24aにスプリングシート1における一点鎖線X上の支持片17aが嵌る。さらに、シート面非勾配部23の下部には、スプリングシート1の二つの孔15,15の内の一方に挿入される一本の脚25が設けられており、当該脚25と、上記溝24aに嵌る支持片17aとでスプリングシート1とスプリングラバーシート2が周方向に相対回転することを防止する。スプリングラバーシート2において、スプリングシート1の支持部12に当接する部分を着座部26とすると、上記脚25の下端は、着座部26の下端d(図4)よりも下側に突出し、孔15に挿入されるようになっている。
他方、シート面勾配部22の下部には、一つの凹部21が設けられており、スプリングラバーシート2が弾性変形していない状態において、上記凹部21がスプリングシート1の支持部12に当接しないように窪んでいる。この凹部21の周囲は、スプリングシート1の支持部12に当接する着座部26で囲われているので、凹部21によって形成される空洞Rに、横から異物が入りこむことを抑制できる。したがって、上記空洞Rに異物が留まり、スプリングシート1とスプリングラバーシート2との間に異物が噛み込まれ、当該異物による疵付きによりスプリングシート1の耐久性が低下することを抑制できる。特に、本実施の形態のように、スプリングシート1が金属製とされる場合には、スプリングシート1に疵が付くと、この部分から錆が生じて耐久性を低下させ易くなるので、異物の噛み込みを抑制する必要性が高いが、スプリングシート1が金属製以外であるとしてもよい。
また、着座部26を支持部12に当接させるとともに、溝24aに支持片17aを嵌め、脚25を孔15に挿入したスプリングラバーシート2の取付時において、上記凹部21は、脚25が挿入されていない方の孔15に対向する。このため、スプリングラバーシート2の凹部21の周囲が着座部26で囲われたとしても、スプリングシート1の孔15から、凹部21により形成される空洞Rに空気を給排できるので、空洞Rを密閉空間とすることによる異音の発生を防ぐことができる。また、凹部21の下側に孔15が配置されることから、結露が生じても水を速やかに排出できるとともに、凹部21により形成される空洞Rに孔15から異物や水が侵入したりしたとしても、これらを速やかに排出できる。
ここで、懸架ばねSの螺旋部が離れる側となるシート面勾配部22では、懸架ばねSの伸縮に伴って当該懸架ばねSを構成する線材が上下に大きく動く。このため、例えば、懸架ばねSが圧縮されて線材の傾斜角度が小さくなる際に、シート面勾配部22の剛性が高いと、線材の動きにシート面20が速やかに追従できず、スプリングラバーシート2が懸架ばねSの圧縮の妨げとなって反力特性に影響を及ぼす。これに対して、本実施の形態においては、シート面勾配部22の下部に凹部21を設けて空洞Rを形成し、シート面勾配部22の剛性を下げているので、懸架ばねSの伸縮時の変形に対するスプリングラバーシート2の追従性を向上させることが可能となる。
また、凹部21の底21aは、シート面20の傾斜に沿って傾斜しており、凹部21の深さがスプリングラバーシート2の末端bに向けて深くなる。このため、シート面勾配部22において、末端bに近くなるほど、懸架ばねSの圧縮時に潰すことのできる空洞Rの上下幅を大きくできるので、懸架ばねSの伸縮時の変形に対するシート面勾配部22の追従性を一層向上させることが可能になる。
さらに、スプリングシート1の孔15の開口面積は、凹部21の開口面積よりも小さく形成されており、当該構成によれば、スプリングラバーシート2を受ける支持部12の面積を確保して面圧を下げることができる。また、孔15の開口面積を小さくすることで、スプリングラバーシート2が加圧されたとき、スプリングラバーシート2が孔15からはみ出すことを抑制し、スプリングラバーシート2の劣化を抑制することが可能となる。そこで、開口面積の小さい複数の孔を凹部21に対向させるようにしてもよい。
なお、スプリングラバーシート2の構成は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。例えば、凹部21や、嵌合部24や、脚25の形状や、数を変更するとしてもよい。
以下、本実施の形態に係る緩衝器Aの作動について説明する。
懸架ばねSが圧縮される緩衝器Aの圧縮作動時において、懸架ばねSを構成する線材がシート面勾配部22のシート面20を押し下げて、凹部21により形成される空洞Rを潰す。反対に、懸架ばねSが伸長する緩衝器Aの伸長作動時においては、懸架ばねSを構成する線材が立ち上がるので、シート面勾配部22の弾性によりシート面20が線材に追従し、凹部21が元の形に戻る。このように、懸架ばねSの伸縮に伴い空洞Rを潰したり戻したりできるので、懸架ばねSの伸縮時の変形に対するスプリングラバーシート2の追従性が良好であり、懸架ばねSとシート面20との間に隙間ができたり、スプリングラバーシート2が懸架ばねSの圧縮の妨げとなったりすることを抑制できる。
また、空洞Rが潰れたり戻ったりする際、スプリングシート1の孔15を介して空気が空洞Rの内外を移動できるので、凹部21の周囲が着座部26により囲われる場合であっても、空気が移動する際の異音の発生がなく、結露が生じても、孔15から水を速やかに排出できる。さらには、凹部21により形成される空洞Rは、孔15を介して外気側と連通するものの、凹部21は下側に開口しているので、外気側からの異物や水が空洞Rに入ったとしても、速やかに排出される。
以下、本実施の形態に係る緩衝器Aの作用効果について説明する。
本実施の形態において、凹部21の底21aは、シート面20の傾斜に沿って傾斜している。
上記構成によれば、懸架ばねSを構成する線材の動きに合わせた上下動が最も大きくなる末端bに向けて、懸架ばねSの圧縮時に潰すことのできる空洞Rの上下幅が大きくなるので、懸架ばねSの伸縮時の変形に対するシート面勾配部22の追従性を一層向上させることが可能になる。なお、凹部21の形状は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。
また、本実施の形態において、スプリングシート1に形成される孔15の開口面積は、スプリングラバーシート2に形成される凹部21の開口面積よりも小さく設定されている。
上記構成によれば、孔15の開口面積が小さくなるので、スプリングラバーシート2を受けるスプリングシート1の支持部12の面積を確保して、面圧を下げることができる。また、スプリングラバーシート2が孔15に押し付けられたとき、スプリングラバーシート2が孔15からはみ出し難くなるので、スプリングラバーシート2の劣化を抑制することが可能となる。なお、スプリングシート1の孔15の大きさは、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。
また、本実施の形態において、スプリングシート1に形成される孔15は、複数設けられるとともに、上記孔15の形状及び配置が線対称状とされており、スプリングラバーシート2には、上記孔15の一つに凹部21が対向したときに、他の上記孔15に挿入される脚25が設けられている。
上記構成によれば、スプリングシート1に形成される孔15を、脚挿入用と、凹部対向用の兼用とすることができるので、一種類のスプリングシート1でも、左右対称構造を有する右巻き懸架ばね用と左側巻き懸架ばね用のスプリングラバーシート(右巻き懸架ばね用のスプリングラバーシート2のみを図示し、左巻き懸架ばね用のスプリングラバーシートは省略する)の両方を取り付けることが可能となる。なお、スプリングシート1に形成される孔15の形状や数は、上記の限りではなく、適宜変更することが可能である。また、スプリングラバーシート2の構成も適宜変更することが可能である。例えば、脚25を孔15に挿入しなくても、スプリングシート1とスプリングラバーシート2との周方向の相対回転を防止できれば、上記脚25を廃するとしてもよく、この場合には、孔15が凹部対向用の一つだけであってもよい。
また、本実施の形態において、スプリングシート1には、上下に貫通する二つの孔15,15が形成されており、上記孔15,15のうちの一つがスプリングラバーシート2の凹部21に対向している。
上記構成によれば、スプリングラバーシート2の凹部21の周囲がスプリングシート1に当接する部分(着座部26)で囲われたとしても、スプリングシート1の孔15から、凹部21により形成される空洞Rに空気を給排できるので、空洞Rを密閉空間とすることによる異音の発生を防ぐことができる。また、凹部21の下側に孔15が配置されることから、結露が生じても水を速やかに排出できるとともに、凹部21により形成される空洞Rに異物や水が侵入したりしたとしても、これらを孔15から速やかに排出できる。なお、スプリングシート1の構成は、適宜変更することが可能である。例えば、スプリングシート1が凹部対向用の孔15を複数備えるとしてもよく、凹部対向用の孔15を廃して脚挿入用の孔15のみを備えるとしてもよく、凹部対向用及び脚挿入用の孔15の両方を廃してもよい。
また、本実施の形態において、緩衝器Aは、緩衝器本体Dと、この緩衝器本体Dの外周に設けられた懸架ばねSと、上記緩衝器本体Dの外周に取り付けられて上記懸架ばねSの下端を支持するスプリングシート1と、このスプリングシート1と上記懸架ばねSとの間に介装されるスプリングラバーシート2とを備えている。そして、上記スプリングラバーシート2の上部には、上記懸架ばねSが着座するシート面20が形成されるとともに、このシート面20は、上記懸架ばねSの螺旋部が離れる末端bから一定の範囲(b〜c)で、上記末端bに向けて高くなるように傾斜している。他方、上記スプリングラバーシート2の下部には、上記シート面20の傾斜する部分(傾斜したシート面20a)の下側に設けられ、上記スプリングシート1に当接する部分(着座部26)で周囲を囲われた凹部21が形成されている。
上記構成によれば、スプリングラバーシート2において傾斜したシート面20aが形成される部分(シート面勾配部22)の下部に凹部21を設け、当該部分の剛性を下げているので、懸架ばねSの伸縮時の変形に対する追従性を向上させることができる。さらに、凹部21の外周部分は、スプリングシート1に当接することから、凹部21によって形成される空洞Rに、横から異物が入りこむことを抑制できる。したがって、スプリングラバーシート2とスプリングシート1との間に異物が噛み込まれ難くなるので、当該異物の噛み込みによるスプリングシート1の疵付きが抑制され、当該スプリングシート1の耐久性の低下を防ぐことが可能となる。
本実施の形態において、スプリングシート1は金属製であることから、疵付きにより錆が生じると耐久が低下しやすい。このため、上記したように、凹部21の外周部分をスプリングシート1に当接させて、異物の噛み込みを防いで、スプリングシート1の疵付きを抑制することが特に有効であるが、スプリングシート1は金属製でなくてもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
A 緩衝器
b 末端
b〜c シート面が傾斜する範囲
D 緩衝器本体
S 懸架ばね
1 スプリングシート
2 スプリングラバーシート
15 孔
20 シート面
20a 傾斜したシート面(上シート面の傾斜する部分)
21 凹部
21a 底
25 脚
26 着座部(スプリングシートに当接する部分)

Claims (4)

  1. 緩衝器本体と、上記緩衝器本体の外周に設けられた懸架ばねと、上記緩衝器本体の外周に取り付けられて上記懸架ばねの下端を支持するスプリングシートと、上記スプリングシートと上記懸架ばねとの間に介装されるスプリングラバーシートとを備えており、
    上記スプリングラバーシートの上部には、上記懸架ばねが着座するシート面が形成されるとともに、上記シート面は、上記懸架ばねの螺旋部が離れる末端から一定の範囲で、上記末端に向けて高くなるように傾斜しており、
    上記スプリングラバーシートの下部には、上記シート面の傾斜する部分の下側に設けられ、上記スプリングシートに当接する部分で周囲を囲われた凹部が形成されており、
    上記スプリングシートには、上下に貫通する一以上の孔が形成されており、上記孔のうちの一以上が上記凹部に対向している
    ことを特徴とする緩衝器。
  2. 上記孔は、複数設けられるとともに、上記孔の形状及び配置が線対称状とされており、
    上記スプリングラバーシートには、上記孔の一つに凹部が対向したときに、他の上記孔に挿入される脚が設けられている
    ことを特徴とする請求項に記載の緩衝器。
  3. 上記孔の開口面積は、上記凹部の開口面積よりも小さく設定されている
    ことを特徴とする請求項または請求項に記載の緩衝器。
  4. 上記凹部の底は、上記シート面の傾斜に沿って傾斜している
    ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載の緩衝器。
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