JP6265973B2 - 黒色用テトラキスアゾ化合物、それを含む染料組成物およびそれを用いる染色方法 - Google Patents
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Description
下記式(1)で表されるテトラキスアゾ化合物又はその塩。
R1の結合位置がその結合するナフチル基の6位又は7位であり、Aが上記式(2)で表されるフェニルアゾ基であり、R 2 、R3の結合位置がその結合するフェニル基の3位、4位、又は5位である上記1)に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
3)
R2の結合位置がその結合するフェニル基の4位であり、R3の結合位置がその結合するフェニル基の3位である上記2)に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
Aが上記式(3)で表されるナフチルアゾ基である上記1)に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
5)
R 4 の結合位置がその結合するナフチル基の2位又は3位であり、R5の結合位置がその結合するナフチル基の6位又は7位である上記4)に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
6)
R4の結合位置がその結合するナフチル基の2位であり、R5の結合位置がその結合するナフチル基の7位である上記5)に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩を含有する黒色系アゾ染料組成物。
8)
C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Red 225、及びC.I.Direct Red 83:1からなる群から選ばれる1種又は2種の染料を、全染料成分に対して0.05〜20質量%含有する上記7)に記載の黒色系アゾ染料組成物。
9)
上記7)又は8)に記載の黒色系アゾ染料組成物を使用してセルロース繊維材料を染色する工程を含むセルロース繊維材料の染色方法。
10)
上記7)又は8)に記載の黒色系アゾ染料組成物により染色されたセルロース繊維材料を含む染色物。
本発明のテトラキスアゾ化合物又はその塩は、上記式(1)で表されるテトラキスアゾ化合物又はその塩であり、式中のAは上記式(2)又は式(3)で表される。
構造式における芳香環上の数字は、置換基の置換位置を示すために便宜的に記載したものである。
R1におけるフェニルアミノ基としては無置換のフェニルアミノ基又はp−カルボキシフェニルアミノ基が好ましく、無置換のフェニルアミノ基がより好ましい。また、その結合するナフチル基上の置換位置は6位又は7位が好ましく、7位がより好ましい。
また、R1の結合位置はその結合するナフチル基の6位又は7位が好ましい。
R4、R5として殊更好ましくは、R4が2位で水素原子、R5が7位でスルホ基が挙げられる。
本発明のテトラキスアゾ化合物の塩としては、スルホ基等の酸性基の塩やアミノ基等の塩基性基の塩が挙げられるが、特に限定されない。酸性基の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。また、塩基性基の塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸との塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩等の有機酸との塩が挙げられる。これらの塩は通常の造塩反応により得られる。
また、本発明の染料組成物は、上記テトラキスアゾ化合物又はその塩以外の他の直接染料を含有していてもよい。中でも、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Red 225、及びC.I.Direct Red 83:1からなる群から選ばれる1種又は2種の染料を配合するのが好ましい。これらの染料は全染料成分に対して0.05〜20質量%程度配合するのが好ましい。これらの染料は公知文献に従い製造することができるが、市販されている染料を使用することもできる。
ジアゾ化反応はジアゾ化する成分の塩酸、硫酸等の鉱酸水溶液又は懸濁液に亜硝酸ナトリウム等の亜硝酸塩を混合するという順法によるか、あるいはジアゾ化する成分の中性〜弱アルカリ性の水溶液に亜硝酸塩を加えておき、これと鉱酸を混合するという逆法によって行われる。ジアゾ化反応の温度は、−10〜40℃が適当である。
ジアゾニウム塩が難溶性で懸濁液となっている場合は、濾過し、プレスケ−キとして次のカップリング反応に使うこともできる。また、塩析を繰り返したり、有機溶媒を使用して水中から析出させたりして精製することもできる。該有機溶媒としては、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル等のアルコ−ル類、アセトン等のケトン類等の水溶性有機溶媒が挙げられる。
まず、下記式(4)で表される化合物をジアゾ化し、下記式(5)で表される化合物と0〜40℃、pH0.5〜11でカップリング反応させ、下記式(6)で表されるモノアゾ化合物を得る。本発明の式中、Tsはトシル基(p−トルエンスルホニル基)を表す。
水500部中、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸4.7部を48%水酸化ナトリウム溶液にてpH4.5〜5.0に調整して溶解し、得られたジアゾ化した懸濁液を10〜15℃の温度で約30分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸ナトリウム水溶液の添加で4.0〜5.0に保持した。滴下終了後、5〜10℃、pH4.0〜5.0で5時間、さらに10〜15℃で終夜撹拌し、反応を終結させた。次いで、反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過、単離、乾燥して、上記式(6)で表される化合物を14.2部得た。
水500部中、8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸4.5部を炭酸ナトリウム溶液にてpH3.4〜3.8に調整して溶解した。その溶解液にジアゾ化した懸濁液を10〜15℃の温度で約30分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸水素ナトリウム水溶液の添加で4.0〜5.5に保持した。滴下終了後、pH4.0〜5.5、10〜15℃で3時間、さらに20〜25℃で終夜撹拌し、反応を終結させた。次いで、塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過、単離、乾燥して、上記式(7)で表される化合物を15.1部得た。
水500部中、4−ヒドロキシ−7−フェニルアミノナフタレン−2−スルホン酸5部を48%水酸化ナトリウム溶液にてpH4.5〜5.0に調整して溶解し、上記のジアゾ化反応の懸濁液を0〜8℃の温度で約60分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸ナトリウム水溶液の添加で2.0〜3.0に保持した。滴下終了後、5〜10℃、pH3.0〜3.5で5時間、さらに15〜20℃で終夜撹拌し、反応を終結させた。次いで、反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過、単離、乾燥して、上記式(13)で表される化合物を7.0部得た。
水500部中、上記工程3で得られた上記式(13)で表される化合物7.0部を48%水酸化ナトリウム溶液にてpH9.5〜10.0に調整して溶解し、この溶液に上記式(7)で表される化合物をジアゾ化した懸濁液を20〜25℃の温度で約30分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸水素ナトリウム水溶液の添加で8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、pH9.0〜9.5、20〜25℃で3時間、さらに終夜撹拌し、反応を終結させた。
水500部中、4−ヒドロキシ−7−フェニルアミノナフタレン−2−スルホン酸5部を48%水酸化ナトリウム溶液にてpH4.5〜5.0に調整して溶解し、上記のジアゾ化反応の懸濁液を0〜8℃の温度で約60分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸ナトリウム水溶液の添加で2.0〜3.0に保持した。滴下終了後、5〜10℃、pH3.0〜3.5で5時間、さらに10〜15℃で終夜撹拌し、反応を終結させた。次いで、反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、濾過、単離、乾燥して、上記式(16)で表される化合物を8.8部得た。
水500部中、上記工程1で得られた上記式(16)で表される化合物8.8部を48%水酸化ナトリウム溶液にてpH9.5〜10.0に調整して溶解し、この溶液に上記式(7)で表される化合物をジアゾ化した懸濁液を20〜25℃の温度で約30分間かけて滴下した。この滴下の間、反応液のpH値を炭酸水素ナトリウム水溶液の添加で8.5〜9.5に保持した。滴下終了後、pH9.0〜9.5、20〜25℃で3時間、さらに終夜撹拌し、反応を終結させた。
実施例1、2で合成した染料1.000部を水1000部に溶解して染浴を調製し、この染浴に叩解クラフトパルプ300部(絶乾パルプ30部、叩解度35SR)を加えて、室温で15分間撹拌した後、ロジンサイズの30%水溶液1部を加え、さらに10分間撹拌した後、結晶硫酸アルミニウム3部を加えて20分間撹拌した。染色したパルプを抄紙し、乾燥して黒色の染色物を得た。
得られた染色物をCOLOR EYE CE3000(Macbeth社製)及び目視による測色を行い、測色機器判定及び変退色用グレースケール比較により判定を行った。また、以下の耐光性試験を行った。両試験の結果を表1に示す。
カーボンアークフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、染色紙に10時間又は20時間照射した。判定級はJIS L−0841に規定されたブルースケールの等級に準じて決定した。等級が大きいほど光照射によって退色しにくいことを意味し、好ましい。なお、本明細書に示す試験では照射時間による耐光性に差がなかった。
1.000部の実施例1で得られた染料、0.102部のC.I.Direct Orange 39、0.034部のC.I.Direct Red 83:1を配合して水1000部に溶解して染浴を調製し、この染浴に叩解クラフトパルプ300部(絶乾パルプ30部、叩解度35SR)を加えて、室温で15分間撹拌した後、ロジンサイズの30%水溶液1部を加え、さらに10分間撹拌した後、結晶硫酸アルミニウム3部を加えて20分間撹拌した。染色したパルプを抄紙し、乾燥して黒色の染色物を得た。得られた染色物を実施例3と同様に染色性について判定し、さらに、耐光性試験を行った。結果を表2に示す。
1.000部の実施例2で得られた染料、0.120部のC.I.Direct Orange 39、0.080部のC.I.Direct Red 83:1を配合して水1000部に溶解して染浴を調製し、この染浴に叩解クラフトパルプ300部(絶乾パルプ30部、叩解度35SR)を加えて、室温で15分間撹拌した後、ロジンサイズの30%水溶液1部を加え、さらに10分間撹拌した後、結晶硫酸アルミニウム3部を加えて20分間撹拌した。染色したパルプを抄紙し、乾燥して黒色の染色物を得た。得られた染色物を実施例3と同様に染色性について判定し、さらに、耐光性試験を行った。結果を表3に示す。
Claims (10)
- R1の結合位置がその結合するナフチル基の6位又は7位であり、Aが前記式(2)で表されるフェニルアゾ基であり、R 2 、R3の結合位置がその結合するフェニル基の3位、4位、又は5位である請求項1に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
- R2の結合位置がその結合するフェニル基の4位であり、R3の結合位置がその結合するフェニル基の3位である請求項2に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
- Aが前記式(3)で表されるナフチルアゾ基である請求項1に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
- R 4 の結合位置がその結合するナフチル基の2位又は3位であり、R5の結合位置がその結合するナフチル基の6位又は7位である請求項4に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
- R4の結合位置がその結合するナフチル基の2位であり、R5の結合位置がその結合するナフチル基の7位である請求項5に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のテトラキスアゾ化合物又はその塩を含有する黒色系アゾ染料組成物。
- C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Red 225、及びC.I.Direct Red 83:1からなる群から選ばれる1種又は2種の染料を、全染料成分に対して0.05〜20質量%含有する請求項7に記載の黒色系アゾ染料組成物。
- 請求項7又は8に記載の黒色系アゾ染料組成物を使用してセルロース繊維材料を染色する工程を含むセルロース繊維材料の染色方法。
- 請求項7又は8に記載の黒色系アゾ染料組成物により染色されたセルロース繊維材料を含む染色物。
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