JP6265474B2 - 熱伝導性に優れる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 - Google Patents
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また、特許文献2に記載された技術では、基盤リングと耐摩耗リングとでは、特性が大きく異なり、そのため、それらを接合して一体化するために、複雑でかつ微妙な調整を必要とし、工業的に生産性が低下するという問題を残していた。
(1)フェイス面側層と支持部材側層との2層を一体化してなる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートであって、前記支持部材側層が、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に、前記フェイス面側層が、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に形成されてなり、前記フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織とを有する鉄基焼結合金製であり、前記支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有する鉄基焼結合金製であり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層にはバルブ当り面が形成され、前記フェイス面側層と前記支持部材側層との境界面が、前記バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
(2)(1)において、前記バルブシートが、外径:15〜65mm、内径:12〜60mmで、高さ:4.0〜10.0mmの大きさであることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
(3)(1)または(2)において、前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成とすることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
(4)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
(5)(1)ないし(4)のいずれかにおいて、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
(6)ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機を用いて、圧粉体を成形し、該圧粉体に焼結処理を施す2層構造の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法において、予め、フェイス面側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末を、フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織となるように、配合し混合してなる混合粉と、支持部材側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末とを、支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有するように、配合し混合してなる混合粉とを準備し、前記2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに前記支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、前記フェイス面側層用混合粉を充填しておき、前記第一のフィーダーを移動させたのち、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記支持部材側層用混合粉を充填し、
ついで、成形面が、バルブシート軸を含む断面で所望のバルブシートのフェイス面側層と支持部材側層との境界面に対してバルブシート軸とのなす角度で20〜50°である面形状に形成された前記仮押しパンチを移動させて、前記充填空間に充填された前記支持部材側層用混合粉を、成形圧が0.01〜3ton/cm2となるように調整して、仮押ししてフェイス面側層との境界面となる上面を形成し、
該仮押ししたのち、前記第二のフィーダーを移動させ、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記フェイス面側層用混合粉を充填し、
前記充填した後、上パンチを下降させて、該上パンチを面圧:5〜10ton/cm2で、かつ前記仮押しの成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、前記フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とし、該圧粉体に焼結処理を施し、さらに仕上加工を施して、フェイス面側層と支持部材側層との境界面が、前記フェイス面側層に形成されたバルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層が前記基地部組成と前記基地部組織とを有し、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に、かつ前記支持部材側層が前記基地部組成を有し、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に形成されてなる、バルブシートとすることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
(7)(6)において、前記焼結処理後に、さらに加圧成形および焼結処理を繰り返して施すことを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
(8)(6)または(7)において、前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成であることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
(9)(6)ないし(8)のいずれかにおいて、前記フェイス面側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
(10)(6)ないし(9)のいずれかにおいて、前記支持部材側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
そして、本発明バルブシートでは、合金元素含有量が高く、熱伝導性が低いフェイス面側層をできるだけ薄くし、合金元素含有量が少なく熱伝導性に優れる支持部材側層を厚くし、しかもシリンダヘッドとの接触面を広くする構成とする。そのために、本発明バルブシートでは、図1に示すように、フェイス面側層12と支持部材側層11との境界面を、バルブ当り面の幅方向の中央位置で、バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面(A面)と、バルブシートの内周面とバルブシートの着座面との交線(B1)と、バルブシートの外周面上で、バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線(B2)とを含む面(B面)と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする。
さらに、本発明バルブシートは、レーザーフラッシュ法で測定された20〜300℃における熱伝導率が、支持部材側層で23〜50W/m・K、フェイス面側層で10〜22W/m・K、を満足するバルブシートとする。支持部材側層の熱伝導率が23W/m・K未満では、所望の高熱伝導性を確保できない。このため、支持部材側層の熱伝導率は23W/m・K以上に限定した。なお、支持部材側層を、熱伝導率が50W/m・Kを超えるような組成とすると、別に強度を高める対策を必要とし、生産性が低下する。フェイス面側層の熱伝導率が10W/m・K未満では、合金元素量が多くなり、所望の強度を確保できなくなる。一方、フェイス面側層を、熱伝導率が22W/m・Kを超えるような組成とすると、所望の耐摩耗性を確保できなくなる。
C:0.2〜2.0%
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させ、焼結時に金属元素の拡散を容易にする元素であり、このような効果を得るためには0.2%以上含有させることが好ましい。一方、2.0%を超える含有は、基地中にセメンタイトが生成しやすくなり、焼結時に液相が発生しやすく、寸法精度が低下する。このため、Cは0.2〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.7〜1.3%である。
Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sはいずれも、焼結体の強度、硬さを増加させ、さらには耐摩耗性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、硬質粒子起因を含め、少なくとも1種以上を選択して、合計で5%以上含有することが望ましい。一方、合計で40%を超えて含有すると、成形性、強度を低下させる。このため、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは合計で30%以下である。
一方、本発明で使用するバルブシートの支持部材側層は、鉄基焼結合金製で、フェイス面側層と境界面を介して一体化されている。支持部材側層は、バルブとは接触せず、フェイス面側層を支え、バルブシートとして所望の強度を確保できる組成とすることが好ましい。
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、バルブシートとして所望の強度、硬さを確保するために、0.2%以上含有することが望ましい。一方、2.0%を超えて含有すると、基地中にセメンタイトが生成しやすくなるとともに、焼結時に液相が生成しやすくなり、寸法精度が低下する。このため、Cは0.2〜2.0%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.7〜1.3%である。
Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上:合計で20%以下
Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuはいずれも、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、必要に応じて、1種または2種以上含有できる。含有する場合、このような効果を得るためには、合計で5%以上含有することが望ましいが、熱伝導性の観点からはできるだけ少なくすることが好ましい。一方、合計で20%を超えると、成形性が低下する。このため、含有する場合には、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上の合計で20%以下に限定することが好ましい。
次に、本発明バルブシートの好ましい製造方法について、説明する。
上記した構成の本発明バルブシートは、ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機(図示せず)を用いて2層構造の圧粉体に成形される。
支持部材側層用混合粉は、原料粉として、鉄系粉末と、黒鉛粉末、他の合金元素粉末等の合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望の支持部材側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練して支持部材側層用混合粉とすることが好ましい。また、フェイス面側層用混合粉は、原料粉としては、鉄系粉末と、黒鉛粉末、他の合金元素粉末等の合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望のフェイス面側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練してフェイス面側層用混合粉とすることが好ましい。
充填した後、上パンチを下降させて、該上パンチを面圧が5〜10ton/cm2の範囲で、かつ仮押し成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、フェイス面側層用混合粉および支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とする。これにより、得られる圧粉体の密度を6.5〜7.5g/cm3とすることができる。なお、圧粉体の密度が、6.5g/cm3未満では、得られる製品が、所望の強度を確保できなくなる。上パンチの面圧が、5ton/cm2未満では、圧粉体の密度が低下し所望の焼結体密度を確保できなくなったり、製品(バルブシート)のフェイス面側層と支持部材側層の境界面が、所望の傾きの境界面を形成できなくなり、バルブシートの耐摩耗性や、熱伝導性が低下する。
なお、本発明バルブシートは、強度確保の観点から、加圧成形(P)と焼結処理(S)とを2回繰返す、いわゆる2P2S工程とすることが更なる密度向上のためにも好ましい。2P2S工程では、1回目の焼結処理は、仮焼結とし、再加圧を行いその後、2回目の焼結処理により、所望の密度を有する焼結体とすることが好ましい。
まず、下パンチを相対的に下降させ、下パンチとダイとコアロッドとで支持部材側層用の充填空間を形成し、該充填空間に、第1のフィーダーを移動させ、支持部材側層用混合粉を充填した。ついで、仮押しパンチを移動させて、充填した支持部材側層用混合粉を仮押し、フェイス面側層との境界面となる上面を成形した。
充填した後、上パンチを下降させて、フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に、加圧成形(面圧:5〜8ton/cm2)して、2層構造のバルブシート用圧粉体を得た。
得られた焼結体は、切削、研削等の加工により外径:15〜65mmφ×内径:12〜60mmφ×高さ4〜10mm)のフェイス面側層と支持部材側層からなる2層構造の鉄基焼結合金製内燃機関用バルブシートとすることができるものとした。
測定用サンプルとして実施例相当材を作成し、レーザーフラッシュ法を利用して20〜300℃における熱伝導率を測定し、表4に併記した。
また、得られた焼結体をバルブシート軸を含む断面で切断し、研磨、腐食して各断面における2層の境界面を現出した。そして、境界面の形状をビデオマイクロスコープを用いて観察(倍率:100倍)し、各断面における境界面の、バルブシート軸となす角度α、バルブシート外周面上でバルブシート着座面からの距離をそれぞれ測定し、各断面について算術平均した。得られた結果を表4に示す。
さらに、得られたバルブシート(焼結体)を、図4に示す単体リグ摩耗試験機に装入し、下記の試験条件で運転し、バルブのフェイス面に取り付けた熱電対によりバルブフェイス面の温度を測定し、飽和した温度をバルブシート面温度とした。
カム回転数:3000rpm
バルブ回転数:10rpm
スプリング荷重:35kgf(345N)(セット時)
リフト量:7.5mm
バルブ材質:SUH35
なお、LPG+Air量、冷却水量は一定とした。
得られた結果を、表5に示す。
11 支持部材側層
12 フェイス面側層
2 セティングプレート
3 熱源(LPG+Air)
4 バルブ
100 ダイ
101 コアロッド
102 下パンチ
103 仮押しパンチ
Claims (10)
- フェイス面側層と支持部材側層との2層を一体化してなる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートであって、
前記支持部材側層が、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に、前記フェイス面側層が、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に形成されてなり、
前記フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織とを有する鉄基焼結合金製であり、
前記支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有する鉄基焼結合金製であり、
前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、
前記フェイス面側層にはバルブ当り面が形成され、
前記フェイス面側層と前記支持部材側層との境界面が、前記バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。 - 前記バルブシートが、外径:15〜65mm、内径:12〜60mmで、高さ:4.0〜10.0mmの大きさであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
- 前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
- ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機を用いて、圧粉体を成形し、該圧粉体に焼結処理を施す2層構造の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法において、
予め、フェイス面側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末を、フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織となるように、配合し混合してなる混合粉と、支持部材側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末とを、支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有するように、配合し混合してなる混合粉とを準備し、
前記2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに前記支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、前記フェイス面側層用混合粉を充填しておき、
前記第一のフィーダーを移動させたのち、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記支持部材側層用混合粉を充填し、
ついで、成形面が、バルブシート軸を含む断面でバルブシート軸とのなす角度で20〜50°となる面形状に形成された前記仮押しパンチを移動させて、前記充填空間に充填された前記支持部材側層用混合粉を、成形圧を、0.01〜3ton/cm2となるように調整して、仮押ししてフェイス面側層との境界面となる上面を形成し、
該仮押ししたのち、前記第二のフィーダーを移動させ、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記フェイス面側層用混合粉を充填し、
ついで、前記上パンチを下降させて、該上パンチを面圧:5〜10ton/cm2で、前記仮押しの成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、前記フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とし、
該圧粉体に焼結処理を施し、さらに仕上加工を施して、
フェイス面側層と支持部材側層との境界面が、前記フェイス面側層に形成されたバルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層が前記基地部組成と前記基地部組織とを有し、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に、かつ前記支持部材側層が前記基地部組成を有し、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に形成されてなる、バルブシートとする
ことを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。 - 前記焼結処理後に、さらに加圧成形および焼結処理を繰り返して施すことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
- 前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成であることを特徴とする請求項6または7に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
- 前記フェイス面側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
- 前記支持部材側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
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