JP6265474B2 - 熱伝導性に優れる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 - Google Patents

熱伝導性に優れる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 Download PDF

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本発明は、内燃機関に使用される、フェイス面側層と支持部材側層の2層を一体化してなる鉄基焼結合金製バルブシートに係り、とくに耐摩耗性を維持しつつ、熱伝導性の向上に関する。
内燃機関で、バルブを着座させるバルブシートには、燃焼室の気密性の保持に加えて、バルブの繰返し当接による摩耗に十分に耐えられる耐摩耗性と、優れた熱伝導性を保持することが要求されている。とくに、バルブシートの熱伝導性は、バルブまわりの温度低下に大きく影響し、ノッキング防止などエンジン出力に大きく影響する特性である。そのため、バルブシートには優れた熱伝導性を保持することが切望されていた。
近年では、異なる材料からなる2層構造のバルブシートが多用されるようになっている。この2層構造のバルブシートでは、バルブを着座させるフェイス面側に、耐摩耗性に優れた材料からなるフェイス面側層を、シリンダヘッドに接する着座面側に、支持部材側層として、熱伝導性に優れた材料からなる層を配し、一体化した構造としている。このような2層構造のバルブシートは、寸法精度が高いこと、特殊な合金を使用できることなどから、最近ではほとんどが、粉末冶金を利用した焼結合金製となっている。
例えば、特許文献1には、フェイス面側層をバルブシート全量に対する体積%で、10〜45%とし、好ましくはフェイス面側層と着座面側層との境界面がバルブシート軸とのなす角度で20〜90°の平均角度を有し、平均位置を基準として高さ方向で±300μm以下に調整した、冷却能に優れた内燃機関用バルブシートが記載されている。特許文献1に記載された技術によれば、優れた耐摩耗性と高い熱伝導性を兼備したバルブシートとすることができるとしている。
また、特許文献2には、熱伝導率および剛性の高い材料からなる基盤リングのフェイス部に耐摩耗性の高い材料からなる薄肉の耐摩耗リングを接合してなる圧入型バルブシートが記載されている。そして、特許文献2には、熱伝導率および剛性の高い材料としては、銅合金、鋳造アルミ合金等が、耐摩耗性の高い材料としては、鉄系焼結合金(PB7E)等が例示されている。
特開2011−157845号公報 特開平07−279627号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、とくにバルブシートの径方向厚さが薄くなる最近の傾向に対して、安定した境界面を生産性高く形成することについて何の言及もない。さらに最近のエンジンの高出力化の傾向に対し、バルブシートの冷却能が十分に対応できないという問題が残されていた。
また、特許文献2に記載された技術では、基盤リングと耐摩耗リングとでは、特性が大きく異なり、そのため、それらを接合して一体化するために、複雑でかつ微妙な調整を必要とし、工業的に生産性が低下するという問題を残していた。
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、安定して、優れた耐摩耗性と、高い熱伝導性とを兼備する、2層構造の鉄基焼結合金製内燃機関用バルブシートを提供することを目的とする。ここでいう「2層構造のバルブシート」とは、フェイス面側層と支持部材側層の2層を一体化してなるバルブシートをいう。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、まず、2層構造のバルブシートの熱伝導性に影響する各種要因について鋭意検討した。その結果、2層構造のバルブシートに高い熱伝導性を保持させるためには、支持部材側層を熱伝導率が高い層とすること、および、合金元素含有量が高く、熱伝導性が低いバルブ当り面側層をできるだけ薄くし、合金元素含有量が少なく熱伝導性に優れる支持部材側層を厚く構成することが肝要となることに思い至った。そして、支持部材側層を、所望の強度を保持しつつ、高い熱伝導率を有する層とするためには、支持部材側層の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法で測定された20〜300℃での値として、23〜50W/m・Kの範囲に調整した層とし、一方、フェイス面側層を、できるだけ熱伝導率の低下を押さえつつ、所望の優れた耐摩耗性を維持するために、フェイス面側層の熱伝導率を、レーザーフラッシュ法で測定された20〜300℃での値として、10〜22W/m・Kの範囲に調整した層としたうえ、可能な限り薄肉の層とすることが必要であるに想到した。
そして、所望の優れた耐摩耗性を維持しつつ、フェイス面側層の薄肉化のための方策について鋭意検討した。その結果、フェイス面側層と支持部材側層との境界面を、バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線(A1)を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面(A面)と、バルブシートの内周面とバルブシート着座面との交線(B1)を含み、バルブシートの外周面上で、バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さhの1/2となる円形状の線(B2)とを含む面(B面)と、に囲まれる領域内に形成することが肝要であることを見出した。このようなバルブシートの形状を模式的に縦断面図で、図1に示す。
本発明者らの更なる研究によれば、上記したバルブシートを安定して製造するには、まず、支持部材側層用混合粉を仮押しする際に、仮押しパンチの成形面形状と、成形圧とのバランスが、またさらに、支持部材側層用混合粉とフェイス面側層用混合粉とを一体として加圧する際の、上パンチの成形圧の調整が、所望の境界面を安定して形成するうえで重要となることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は、つぎの通りである。
(1)フェイス面側層と支持部材側層との2層を一体化してなる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートであって、前記支持部材側層が、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に、前記フェイス面側層が、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に形成されてなり、前記フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織とを有する鉄基焼結合金製であり、前記支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有する鉄基焼結合金製であり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層にはバルブ当り面が形成され、前記フェイス面側層と前記支持部材側層との境界面が、前記バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
)(1)において、前記バルブシートが、外径:15〜65mm、内径:12〜60mmで、高さ:4.0〜10.0mmの大きさであることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
)(1)または(2)において、前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成とすることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
)(1)ないし(3)のいずれかにおいて、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
)()ないし()のいずれかにおいて、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
)ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機を用いて圧粉体を成形し、該圧粉体に焼結処理を施す2層構造の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法において、予め、フェイス面側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末を、フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織となるように、配合し混合してなる混合粉と、支持部材側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末とを、支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有するように、配合し混合してなる混合粉とを準備し、前記2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに前記支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、前記フェイス面側層用混合粉を充填しておき、前記第一のフィーダーを移動させたのち、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記支持部材側層用混合粉を充填し、
ついで、成形面が、バルブシート軸を含む断面で所望のバルブシートのフェイス面側層と支持部材側層との境界面に対してバルブシート軸とのなす角度で20〜50°である面形状に形成された前記仮押しパンチを移動させて、前記充填空間に充填された前記支持部材側層用混合粉を、成形圧が0.01〜3ton/cmとなるように調整して、仮押ししてフェイス面側層との境界面となる上面を形成し、
該仮押ししたのち、前記第二のフィーダーを移動させ、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記フェイス面側層用混合粉を充填し、
前記充填した後、上パンチを下降させて、該上パンチを面圧:5〜10ton/cmで、かつ前記仮押しの成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、前記フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とし、該圧粉体に焼結処理を施し、さらに仕上加工を施して、フェイス面側層と支持部材側層との境界面が、前記フェイス面側層に形成されたバルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層が前記基地部組成と前記基地部組織とを有し、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に、かつ前記支持部材側層が前記基地部組成を有し、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に形成されてなる、バルブシートとすることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
)()において、前記焼結処理後に、さらに加圧成形および焼結処理を繰り返して施すことを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
)(6)または(7)において、前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成であることを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
)()ないし()のいずれかにおいて、前記フェイス面側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
10)()ないし()のいずれかにおいて、前記支持部材側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
本発明によれば、従来に比べて格段に、安定した2層の境界面を有する薄肉のバルブシートを容易に製造することができ、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、内燃機関用として好適な、優れた耐摩耗性を維持しつつ、高い熱伝導性を保持するバルブシートとすることができ、バルブと組み合せた場合、バルブ温度の上昇を有効に抑制し、ノッキングなどの出力低下を抑制でき、自動車の燃費向上に寄与するという効果もある。
本発明バルブシートの構成を模式的に示す説明図である。 本発明における仮押しの状況を模式的に示す説明図である。 従来例として使用したバルブシートの形状を模式的に示す説明図である。 単体リグ試験機の概要を模式的に示す説明図である。
本発明バルブシートは、鉄基焼結合金製のバルブシート10であり、図1に示すように、シリンダヘッドに接するバルブシートの着座面側に支持部材側層11を、バルブと当接する側にフェイス面側層12を有し、支持部材側層とフェイス面側層との2層を一体化してなる2層構造を有するバルブシートである。
そして、本発明バルブシートでは、合金元素含有量が高く、熱伝導性が低いフェイス面側層をできるだけ薄くし、合金元素含有量が少なく熱伝導性に優れる支持部材側層を厚くし、しかもシリンダヘッドとの接触面を広くする構成とする。そのために、本発明バルブシートでは、図1に示すように、フェイス面側層12と支持部材側層11との境界面を、バルブ当り面の幅方向の中央位置で、バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面(A面)と、バルブシートの内周面とバルブシートの着座面との交線(B1)と、バルブシートの外周面上で、バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線(B2)とを含む面(B面)と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする。
フェイス面側層12と支持部材側層11との境界面が、バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線(A1)を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面(A面)よりフェイス面側では、フェイス面側層が薄くなりすぎて、バルブシートの耐久性が低下する。なお、耐久性の観点からは、境界面を、バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mm以上とすることがより好ましい。
さらに境界面が、バルブシートの内周面とバルブシート着座面との交線(B1)と、バルブシートの外周面上で、バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さhの1/2の円形状の線(B2)とを含む面(B面)より支持部材側となると、フェイス面側層の厚さが厚くなりすぎるバルブシートの熱伝導性が低下する。なお、好ましくは、支持部材側層とシリンダヘッドの接触領域を最大とすることができるように、フェイス面側層と支持部材側層との境界面をバルブシート軸とのなす角度αが45°以下で、かつバルブシートの外周面上でバルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さhの1/2以上、好ましくは3/4以上である円形状の線を含む面となるように調整することが好ましい。
また、本発明バルブシートでは、境界面が上記した範囲内となるように調整するとともに、好ましくはフェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%となるように調整する。フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6%未満では、フェイス面側層の厚さが薄く、耐久性が不足する。一方、60%を超えて多くなると、フェイス面側層の厚さが厚くなりすぎて、バルブシートの熱伝導性が低下する。なお、好ましくは、10〜50%である。
なお、本発明バルブシートは、内燃機関のうち、主として、ガソリンエンジン用を目的とした場合、そのサイズは、外径:15〜65mm、内径:12〜60mmで、高さ:4.0〜10.0mmの範囲内とすることが好ましい。
さらに、本発明バルブシートは、レーザーフラッシュ法で測定された20〜300℃における熱伝導率が、支持部材側層で23〜50W/m・K、フェイス面側層で10〜22W/m・K、を満足するバルブシートとする。支持部材側層の熱伝導率が23W/m・K未満では、所望の高熱伝導性を確保できない。このため、支持部材側層の熱伝導率は23W/m・K以上に限定した。なお、支持部材側層を、熱伝導率が50W/m・Kを超えるような組成とすると、別に強度を高める対策を必要とし、生産性が低下する。フェイス面側層の熱伝導率が10W/m・K未満では、合金元素量が多くなり、所望の強度を確保できなくなる。一方、フェイス面側層を、熱伝導率が22W/m・Kを超えるような組成とすると、所望の耐摩耗性を確保できなくなる。
本発明バルブシートのフェイス面側層は、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有する鉄基焼結合金製とする。基地相中に硬質粒子を分散させることにより、バルブシートの耐摩耗性が顕著に向上する。基地相中に分散させる硬質粒子は、Co基金属間化合物粒子等とすることが好ましい。Co基金属間化合物粒子は、比較的軟らかなCo基地中に硬さが高い金属間化合物が分散し、相手攻撃性が低いという特徴がある。なお、好ましいCo基金属間化合物粒子としては、Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子、Mo−Ni−Cr系Co基金属間化合物粒子が例示できる。
フェイス面側層では、硬質粒子を、フェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させることが好ましい。分散させる量が、5%未満では、所望の耐摩耗性が確保できない。一方、40%を超えて多量に分散させても、効果が飽和し、添加量に見合う効果が期待できなくなる。このため、フェイス面側層における硬質粒子の分散量はフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは20〜30%である。
なお、フェイス面側層では、上記した硬質粒子に加えてさらに、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%含有してもよい。含有量が0.5%未満では、所望の潤滑効果が期待できないうえ、切削性が低下する。一方、4%を超えて含有すると、効果が飽和するうえ、強度が低下する。このため、含有する場合には、0.5〜4%の範囲に限定することが好ましい。固体潤滑剤粒子としては、MnS、CaFが例示できる。
フェイス面側層では、基地相と、硬質粒子と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子を含む基地部は、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有することが好ましい。
C:0.2〜2.0%
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させ、焼結時に金属元素の拡散を容易にする元素であり、このような効果を得るためには0.2%以上含有させることが好ましい。一方、2.0%を超える含有は、基地中にセメンタイトが生成しやすくなり、焼結時に液相が発生しやすく、寸法精度が低下する。このため、Cは0.2〜2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.7〜1.3%である。
Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上:合計で40%以下
Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sはいずれも、焼結体の強度、硬さを増加させ、さらには耐摩耗性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、硬質粒子起因を含め、少なくとも1種以上を選択して、合計で5%以上含有することが望ましい。一方、合計で40%を超えて含有すると、成形性、強度を低下させる。このため、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは合計で30%以下である。
上記した以外のフェイス面側層の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
一方、本発明で使用するバルブシートの支持部材側層は、鉄基焼結合金製で、フェイス面側層と境界面を介して一体化されている。支持部材側層は、バルブとは接触せず、フェイス面側層を支え、バルブシートとして所望の強度を確保できる組成とすることが好ましい。
なお、支持部材側層は、必要に応じて、基地中にさらに固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%含有してもよい。含有する場合、含有量が0.5%未満では、所望の潤滑効果が期待できないうえ、切削性が低下する。一方、4%を超えて含有すると、効果が飽和するうえ、強度が低下する。このため、含有する場合には、0.5〜4%の範囲に限定することが好ましい。固体潤滑剤粒子としては、MnS、CaFが例示できる。なお、より好ましくは0.5〜3%である。
本発明で使用するバルブシートの支持部材側層の基地相組成(固体潤滑剤粒子が分散している場合には、それを含む基地部組成)は、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、あるいはさらに、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とすることが好ましい。
C:0.2〜2.0%
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、バルブシートとして所望の強度、硬さを確保するために、0.2%以上含有することが望ましい。一方、2.0%を超えて含有すると、基地中にセメンタイトが生成しやすくなるとともに、焼結時に液相が生成しやすくなり、寸法精度が低下する。このため、Cは0.2〜2.0%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.7〜1.3%である。
上記した成分が支持部材側層の基本の成分であるが、この基本組成に加えてさらに、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有してもよい。
Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上:合計で20%以下
Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuはいずれも、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、必要に応じて、1種または2種以上含有できる。含有する場合、このような効果を得るためには、合計で5%以上含有することが望ましいが、熱伝導性の観点からはできるだけ少なくすることが好ましい。一方、合計で20%を超えると、成形性が低下する。このため、含有する場合には、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上の合計で20%以下に限定することが好ましい。
支持部材側層では、上記した以外の残部は、Fe及び不可避的不純物である。
次に、本発明バルブシートの好ましい製造方法について、説明する。
上記した構成の本発明バルブシートは、ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機(図示せず)を用いて2層構造の圧粉体に成形される。
まず、2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、フェイス面側層用混合粉を充填しておく。
支持部材側層用混合粉は、原料粉として、鉄系粉末と、黒鉛粉末、他の合金元素粉末等の合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望の支持部材側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練して支持部材側層用混合粉とすることが好ましい。また、フェイス面側層用混合粉は、原料粉としては、鉄系粉末と、黒鉛粉末、他の合金元素粉末等の合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望のフェイス面側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練してフェイス面側層用混合粉とすることが好ましい。
ついで、第一のフィーダーを移動させたのち、ダイ100とコアロッド101を下パンチ102に対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に支持部材側層用混合粉を充填する。ついで、仮押しパンチ103を移動させて、充填された支持部材側層用混合粉11aを仮押して、フェイス面側層との境界面となる上面を形成する。この状況を図2に示す。本発明では、この仮押しに際し、成形面が、軸とのなす角度で20〜50°の範囲の角度βを有する面形状に形成された仮押しパンチ103を使用する。この角度βは、バルブシート軸を含む断面でバルブシート(製品)のフェイス面側層と支持部材側層との境界面の傾き(バルブシート軸とのなす角度:α)に対して、20〜40%小さい角度とすることが好ましい。
仮押しパンチの成形面の、バルブシート軸とのなす角度βが、αより40%を超えて小さくなると、成形面の角度βが鋭角的になりすぎて、仮押しパンチの成形面の調整が難しくなる。一方、仮押しパンチの成形面のバルブシート軸とのなす角度βがαより20%未満では、その後の上パンチによる加圧で2層境界面が所望のαに較べて、著しく大きくなるため、所望の傾きの境界面を形成できなくなる。
また、本発明バルブシートでは、上記した形状の成形面を有する仮押しパンチを用いて、0.01〜3ton/cmの範囲の成形圧に調整して、仮押しする。仮押し時の成形圧が3ton/cmを超えて大きすぎると、境界面の強度は増加するが、フェイス面側層用混合粉を充填し成形した後に、支持部材側層とフェイス面側層との密着力が低下する。一方、0.01ton/cm未満と小さすぎると、境界面がバルブシートの周方向や径方向でばらつき、所望の境界面精度を確保できなくなる。
仮押ししたのち、ついで、第二のフィーダーを移動させ、ダイとコアロッドを下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間にフェイス面側層用混合粉を充填する。
充填した後、上パンチを下降させて、該上パンチを面圧が5〜10ton/cmの範囲で、かつ仮押し成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、フェイス面側層用混合粉および支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とする。これにより、得られる圧粉体の密度を6.5〜7.5g/cmとすることができる。なお、圧粉体の密度が、6.5g/cm未満では、得られる製品が、所望の強度を確保できなくなる。上パンチの面圧が、5ton/cm未満では、圧粉体の密度が低下し所望の焼結体密度を確保できなくなったり、製品(バルブシート)のフェイス面側層と支持部材側層の境界面が、所望の傾きの境界面を形成できなくなり、バルブシートの耐摩耗性や、熱伝導性が低下する。
得られた圧粉体は、ついで、焼結処理を施され、焼結体とされたのち、切削等の加工を施されて所望の寸法形状の内燃機関用バルブシートとされる。なお、焼結温度は、1100〜1200℃とすることが焼結を促進する観点から好ましい。
なお、本発明バルブシートは、強度確保の観点から、加圧成形(P)と焼結処理(S)とを2回繰返す、いわゆる2P2S工程とすることが更なる密度向上のためにも好ましい。2P2S工程では、1回目の焼結処理は、仮焼結とし、再加圧を行いその後、2回目の焼結処理により、所望の密度を有する焼結体とすることが好ましい。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す原料粉を、表1に示す配合で混合し、混練してフェイス面側層用混合粉とした。また、同様に、表2に示す原料粉を、表2に示す配合で混合し、混練して支持部材側層用混合粉とした。なお、混合に際しては、鉄系粉末、黒鉛粉末、合金元素粉末、固体潤滑剤粒子粉末の合計100質量部に対し、潤滑剤粒子粉末として、ステアリン酸亜鉛粉末を0.8質量部配合した。
圧粉体の成形に際しては、ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機を用いた。
まず、下パンチを相対的に下降させ、下パンチとダイとコアロッドとで支持部材側層用の充填空間を形成し、該充填空間に、第1のフィーダーを移動させ、支持部材側層用混合粉を充填した。ついで、仮押しパンチを移動させて、充填した支持部材側層用混合粉を仮押し、フェイス面側層との境界面となる上面を成形した。
なお、仮押しには、図2に示す形状の成形面を有する仮押しパンチを使用した。使用した仮押しパンチは、成形面と軸とのなす角度βを、所望の境界面の角度αが得られるように、αに対し20〜40%小さい角度に調整した成形面を有するパンチとした。なお、成形面をフラット面(β:90°)とした仮押しパンチを用いて仮押しして成形し、図3に示す形状のバルブシートとして基準(従来例:焼結体No.1)とした。
ついで、第二のフィーダーを移動させ、ダイとコアロッドを下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間にフェイス面側層用混合粉を充填した。
充填した後、上パンチを下降させて、フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に、加圧成形(面圧:5〜8ton/cm)して、2層構造のバルブシート用圧粉体を得た。
得られた圧粉体を、仮焼結処理を施し、さらに加圧成形(面圧:8〜10ton/cm)し、焼結処理(雰囲気炉中で、1100〜1200℃に加熱)を施す、2P2S工程を施して焼結体とした。なお、一部の焼結体では、加圧成形と焼結を1回とする1P1S工程とした。
得られた焼結体は、切削、研削等の加工により外径:15〜65mmφ×内径:12〜60mmφ×高さ4〜10mm)のフェイス面側層と支持部材側層からなる2層構造の鉄基焼結合金製内燃機関用バルブシートとすることができるものとした。
得られた焼結体の各層について、発光分析により各元素の含有量を求めた。測定は、2層の境界面より内側の断面とした。得られた結果を表3に示す。
測定用サンプルとして実施例相当材を作成し、レーザーフラッシュ法を利用して20〜300℃における熱伝導率を測定し、表4に併記した。
また、得られた焼結体をバルブシート軸を含む断面で切断し、研磨、腐食して各断面における2層の境界面を現出した。そして、境界面の形状をビデオマイクロスコープを用いて観察(倍率:100倍)し、各断面における境界面の、バルブシート軸となす角度α、バルブシート外周面上でバルブシート着座面からの距離をそれぞれ測定し、各断面について算術平均した。得られた結果を表4に示す。
また、焼結体断面の観察から、各層の断面積をもとめ、バルブシートにおけるフェイス面側層の比率(バルブシート全量に対する体積%)を算出し、表4に併記した。
さらに、得られたバルブシート(焼結体)を、図4に示す単体リグ摩耗試験機に装入し、下記の試験条件で運転し、バルブのフェイス面に取り付けた熱電対によりバルブフェイス面の温度を測定し、飽和した温度をバルブシート面温度とした。
試験時間:9hr
カム回転数:3000rpm
バルブ回転数:10rpm
スプリング荷重:35kgf(345N)(セット時)
リフト量:7.5mm
バルブ材質:SUH35
なお、LPG+Air量、冷却水量は一定とした。
焼結体No.1のバルブフェイス面温度を基準にして、焼結体No.1のバルブフェイス面温度と、当該焼結体のバルブフェイス面温度と差を算出し、フェイス面温度低下代とした。なお、基準より高くなった場合には「+」を付した。また、バルブシートの外径、内径が異なる場合は、おのおの境界面角度αが90°の場合を基準としてバルブフェイス面温度低下代を算出した。
また、試験前後の試験片(バルブシート)の形状を測定し、試験前後の差を算出して摩耗量(μm)に換算し、基準(焼結体No.1)の摩耗量を1.00とし、それに対する摩耗量比で耐摩耗性を評価した。摩耗量比が基準(=1.00)の+20%以内であれば「○」と評価し、それ以外の場合を「×」とした。
得られた結果を、表5に示す。
Figure 0006265474
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本発明例はいずれも、耐摩耗性に優れ、さらに高い熱伝導性を有し、内燃機関用として好適な優れた冷却能を有するバルブシートとなっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、熱伝導性が低いか、あるいは耐摩耗性が低下している。
10 バルブシート
11 支持部材側層
12 フェイス面側層
2 セティングプレート
3 熱源(LPG+Air)
4 バルブ
100 ダイ
101 コアロッド
102 下パンチ
103 仮押しパンチ

Claims (10)

  1. フェイス面側層と支持部材側層との2層を一体化してなる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートであって、
    前記支持部材側層が、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に、前記フェイス面側層が、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に形成されてなり、
    前記フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織とを有する鉄基焼結合金製であり、
    前記支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有する鉄基焼結合金製であり、
    前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、
    前記フェイス面側層にはバルブ当り面が形成され、
    前記フェイス面側層と前記支持部材側層との境界面が、前記バルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなることを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
  2. 前記バルブシートが、外径:15〜65mm、内径:12〜60mmで、高さ:4.0〜10.0mmの大きさであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
  3. 前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
  4. 前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
  5. 前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート。
  6. ダイ、コアロッド、上パンチ、下パンチと、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダーと、独立して駆動可能な仮押しパンチとを有するプレス成形機を用いて、圧粉体を成形し、該圧粉体に焼結処理を施す2層構造の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法において、
    予め、フェイス面側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末を、フェイス面側層が、基地相中に硬質粒子が分散した基地部を有し、該基地部が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、Co、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、Sのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で40%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有し、かつ前記硬質粒子を基地相中にフェイス面側層全量に対する質量%で、5〜40%分散させてなる基地部組織となるように、配合し混合してなる混合粉と、支持部材側層用混合粉として、鉄基粉末と、合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末とを、支持部材側層が、質量%で、C:0.2〜2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地部組成を有するように、配合し混合してなる混合粉とを準備し、
    前記2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに前記支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、前記フェイス面側層用混合粉を充填しておき、
    前記第一のフィーダーを移動させたのち、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記支持部材側層用混合粉を充填し、
    ついで、成形面が、バルブシート軸を含む断面でバルブシート軸とのなす角度で20〜50°となる面形状に形成された前記仮押しパンチを移動させて、前記充填空間に充填された前記支持部材側層用混合粉を、成形圧を、0.01〜3ton/cmとなるように調整して、仮押ししてフェイス面側層との境界面となる上面を形成し、
    該仮押ししたのち、前記第二のフィーダーを移動させ、前記ダイと前記コアロッドを前記下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に前記フェイス面側層用混合粉を充填し、
    ついで、前記上パンチを下降させて、該上パンチを面圧:5〜10ton/cmで、前記仮押しの成形圧に対する比率で3.3〜500となるように、前記フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とし、
    該圧粉体に焼結処理を施し、さらに仕上加工を施して、
    フェイス面側層と支持部材側層との境界面が、前記フェイス面側層に形成されたバルブ当り面の幅方向の中央位置で、該バルブ当り面に垂直な方向にバルブ当り面から支持部材側に0.5mmだけ離れた円形状の線を含み、バルブシート軸とのなす角度が45°である面と、前記バルブシートの内周面と前記バルブシートの着座面との交線と、前記バルブシートの外周面上で、前記バルブシートの着座面からの距離がバルブシート高さの1/2である円形状の線とを含む面と、に囲まれる領域内に形成されてなり、前記フェイス面側層が、バルブシート全量に対する体積%で、6〜60%であり、前記フェイス面側層が前記基地部組成と前記基地部組織とを有し、20〜300℃における熱伝導率が10〜22(W/m・K)である層に、かつ前記支持部材側層が前記基地部組成を有し、20〜300℃における熱伝導率が23〜50(W/m・K)である層に形成されてなる、バルブシートとする
    ことを特徴とする耐摩耗性と優れた熱伝導性とを兼備した内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  7. 前記焼結処理後に、さらに加圧成形および焼結処理を繰り返して施すことを特徴とする請求項に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  8. 前記支持部材側層が、前記基地部組成に加えてさらに、質量%で、Mo、Si、Cr、Ni、Mn、W、V、S、P、Cuのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で20%以下含有する組成であることを特徴とする請求項6または7に記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  9. 前記フェイス面側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記フェイス面側層が、前記基地部組織に加えてさらに、基地相中に、固体潤滑剤粒子をフェイス面側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる基地部組織を有することを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  10. 前記支持部材側層用混合粉が、さらに固体潤滑剤粒子粉末を配合され、前記支持部材側層が、基地相中に、固体潤滑剤粒子を支持部材側層全量に対する質量%で、0.5〜4%分散させてなる組織を有することを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
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