JPH0233848B2

JPH0233848B2 - Koontaimamoseibarubushiito

Info

Publication number: JPH0233848B2
Application number: JP324484A
Authority: JP
Inventors: Akira Manabe; Tetsuya Suganuma; Koji Kazuoka; Ryosuke Sagara; Toshio Morimoto
Original assignee: Toyota Motor Corp
Current assignee: Toyota Motor Corp
Priority date: 1984-01-11
Filing date: 1984-01-11
Publication date: 1990-07-31
Anticipated expiration: 2004-01-11
Also published as: JPS60147514A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕本発明は内燃機関に用いられる鉄基焼結バルブ
シートに関するものである。〔従来技術〕内燃機関のバルブシートには、耐摩耗性が良好
であることから、鉄基焼結金属が多用されている
が、強度および耐摩炭化物析出のため、Ｃ量１％
前後の材料が使用されている。一方、近年の内燃
機関の高性能化にともないより熱伝導性の良い材
料が求められているが、焼結金属は本来多くの気
孔を含むことと、従来のものは基地組織がオース
テナイト＋パーライトであることから熱伝導性の
劣る場合が多い。その解決策として、焼結金属に
CuまたはPbを溶浸するという方法があるが、Cu
は溶浸によつて気孔が埋ることにより従来高温で
気孔周辺に生成されていた潤滑作用をもつ酸化物
の生成が阻害され耐摩耗性を低下させるという欠
点を有し、またPbは優れた潤滑作用を有するが
環境汚染の問題がある。そのほか、溶浸するため
その分だけコストアツプするという問題もある。
従つて、非溶浸で熱伝導性の良い高温耐摩耗性の
ある焼結バルブシートが求められていた。〔発明の目的〕本発明は、上記従来の要望に応えるもので、非
溶浸で熱伝導性に優れ、かつ耐摩耗性、耐ゆるみ
性に優れた低コストな焼結バルブシートを提供す
ることを目的とするものである。〔発明の構成〕本発明のバルブシートは、バルブ当り面を含む
第１層と該第１層を支持する基材である第２層と
からなる２層構造の鉄基焼結合金であつて、第１
層と第２層とが冶金学的に焼結接合しており、か
つ第１層が重量比でMo2.5〜15％、Co1〜15％、
Ni1〜15％、C0.2〜0.7％、残部Feおよび２％未
満の不純物からなる成分よりなり、かつ平均粒径
10〜30μのフエロモリブデンが均一に分散してい
る構成よりなり、第２層が重量比でNi1〜５％、C0.2〜0.7％、残
部Feおよび２％未満の不純物からなる成分より
なり、そして第１層と第２層とのＣ量の差が0.3％以下であ
る、ことを特徴とする。本発明のバルブシートは、第１層が上記成分の
ほかに更に、Cu0.5〜５％、Mn0.2〜２％、P0.05
〜0.8％、B0.01〜0.5％、Cr0.5〜20％、W0.5〜８
％、V0.3〜８％、Nb0.1〜３％からなる群のうち
から選ばれる１種もしくは２種以上を含む成分よ
りなるものであつてよい。なお、本発明において％は特記しない限り重量
％を示す。以下、本発明で用いる各成分元素の限定理由に
ついて説明する。まず第１層の成分について説明すると、Mo
（モリブデン）は主として耐摩耗粒子として存在
し、一部はマトリツクスに固溶してこれを強化し
ている。限定値をはずれると上限値以上、下限値
以下ではいずれも、特に耐摩耗性が不足するので
好ましくない。フエロモリブデンの平均粒径の場
合も同様に限定値をはずれると耐摩耗性が悪くな
る。 Co（コバルト）およびNi（ニツケル）は、マト
リツクスに固溶してこれを強化し、バルブシート
の耐熱性、高温強度、耐酸化・耐食性、耐摩耗性
を向上させるが、特にCoは一部がフエロモリブ
デン粒子に拡散し、この粒子のマトリツクスへの
保持力を高めている。いずれも限定値以下では添
加の効果が少なく、限定値を超えるとコスト高に
なるだけでなく、効果も添加した割には向上せ
ず、残留オーステナイトが増して材質安定性をそ
こねることになるのでCoおよびNiともに１〜15
％と限定した。Ｃ（炭素）は、Feマトリツクスに固溶してこれ
を強化し、合金の強度と耐摩耗性を割保するのに
必要であることから添加されるが、0.2％未満で
はフエライトが多く強度が不充分であり、また
0.7％を超えると熱伝導率を低下させる炭化物お
よび残留オーステナイトが増加するため好ましく
ない。それ故Ｃは0.2〜0.7％に限定した。次に、第１層の任意添加元素について説明す
る。 Cu（銅）およびMn（マンガン）はマトリツクス
に固溶してこれを強化するために添加されるが、
限定値以下では効果が少なく、また限定値を超え
るとCuはコスト高となるほか合金の寸法精度が
低下するので５％までとし、またMnは酸化によ
り脆化するので２％以下に限定した。Ｐ（リン）およびＢ（ホウ素）は、焼結時にFe
−Ｐ−Ｃ、Fe−Ｂ−Ｃおよびこれらに一部Moを
含む液相を形成し、焼結の進行を促進し、合金の
気孔を球状化してマトリツクスの強度を高めかつ
また残留液相は耐摩耗粒子としても働くが、限定
値未満ではその効果が少なく、一方限定値を超え
ると合金の寸法精度が著しく悪化しまた合金が脆
化するので好ましくない。 Cr（クロム）、Ｗ（タングステン）、Ｖ（バナジウ
ム）およびNb（ニオブ）は、主としてフエロアロ
イまたは炭化物で存在し、合金の耐摩耗性を向上
させるが、限定値以下では効果が少なく、限定値
を超えるとコスト高となるほか硬くなりすぎて被
削性が低下するのみならず、相手材であるバルブ
への攻撃性も増すので好ましくないので各限定値
以下とした。なお、Cu、Mn、Ｐ、Ｂ、Cr、Ｗ、Ｖ、Nbは、
１種もしくは２種以上を必要に応じ各限定値の範
囲内で添加することができる。また、フエロモリ
ブデンを除く他の元素は適当なプリアロイとして
添加してもよい。Moはフエロモリブデンに含ま
れるMo以外に純Moやプリアロイとして追加し
ても、全合計量が限定値内であるかぎりかまわな
い。次に第２層の成分について説明する。第２層は第１層を支持するためのものであり、
バルブシートがアルミ合金シリンダヘツドに用い
られた場合第２層に要求される性能は低いので、
極力安価な材料を選定する。 Niはマトリツクスを強化し、高温強度を向上
させるほか、焼結体を安定して収縮させ気孔を減
少させるのに寄与することから添加される。しか
し１％未満の添加ではその効果が少なく、５％以
上添加するとコスト高となるだけでなくその効果
も添加した割には増加しなくなり、また残留オー
ステナイトが増加して第１層の場合と同様に熱伝
導性をそこねることから５％以下とした。Ｃの添加による効果および限定理由は第１層と
同じである。なお、本発明では第１層と第２層のマトリツク
スのＣ量の差が0.3％以下と限定しているが、0.3
％を超えると、両層の境界面近傍で高Ｃ含有層側
から低Ｃ含有層側へのＣの拡散が無視できなくな
り、双方の材質が意図するとおりに安定せず好ま
しくないためである。また、焼結時の雰囲気のカ
ーボンポテンシヤルの安定化にも悪影響を及ぼ
し、材質の安定化をそこね好ましくない、なお、
高Ｃ含有層は第１層および第２層のいずれであつ
てもよいが、好ましくは第１層である。第１層と第２層の厚さの比は、目的に応じて選
択され、両者の厚さを適当にすることによつて熱
伝導率などを調整することができる。〔実施例〕以下、本発明を実施例により説明する。実施例１純鉄粉（−100メツシユ：以下（）内は粉粒度
を示す）に、４％のFe−63％Mo合金粉（−100
メツシユ）、１％のCo粉（−100メツシユ）、１〜
のNi粉（粒径5μ）および0.25％のグラフアイト
粉（粒径10μ）を添加してなる混粉100部（重
量：以下同じ）に潤滑剤としてステアリン酸0.8
部を加え、Ｖ型混粉機で30分混合して第１層用粉
末を得た。次に、純鉄粉（−100メツシユ）に１％のNi粉
（粒径5μ）および0.5％のグラフアイト粉（粒径
10μ）を添加してなる混粉100部にステアリン酸
亜鉛８部を加え、Ｖ型混粉機で30分混合して第２
層用粉末を得た。しかるのち、外径30mm、内径20mmの成形キヤビ
テイを有する金型内にまず第２層用粉末を充填
し、上パンチで予備加圧した後、第１層用粉末を
充填して7ton／cm²の圧力で高さ８mmになるように
加圧成形した。なお、成形に際して第１層と第２
層の比率は30：70となるように充填量を調整し
た。また、成形体の上パンチ加圧面は図に示すよ
うに第１層１と第２層２との接合界面形状が環状
体の内径側に向つて下降した曲面となるような形
とした。得られた粉末成形体をアンモニア分解ガス雰囲
気中で1150℃にて60分間焼結して、第１層がFe
−2.5％Mo−１％Co−１％Ni−0.2％Ｃの組成を
有し、第２層がFe−１％Ni−0.2％Ｃの組成であ
り、両層が冶金学的に焼結接合された複合焼結体
を得た。以下、同様に行つて下記表１に記載した組成の
発明材１〜７を製造した。また、同じ原料粉を用
い同様に行つて比較材１〜３を製造した。なお、
比較材２は焼結体にPbを15％溶浸させたもので
あり、比較材３は同様にCuを10％溶浸させた従
来のバルブシート材である。これらの焼結体をバ
ルブシート形状に加工して1600c.c.アルミ合金製シ
リンダーヘツドのエンジンに組み込み、５万Km連
続高速走行相当の台上耐久試験を実施した。結果
を表１に示す。表１の結果からわかるように本発
明材１〜７は、いずれも試験後のタペツトクリア
ランス0.05mm以下で比較材２と同等の結果を示
し、また抜き荷重も1000Kg以上であり、寸法安定
性および耐ゆるみ性も良好であつた。

【表】〓孔側より押出す方法によつて測定した。
実施例２実施例１と同様の原料粉末、組成並びに焼結方
法にて、直径20mm、厚さ20mmの熱伝導率測定用試
片を製造した。なお、本発明材料は第１層：第２
層の割合を50：50とした。また、実施例１に記載
したものと同じ組成で同様に比較材の試片を作成
した。これら試片について熱伝導率を測定した結果を
表２に示す。表２の結果からわかるように、本発
明材２は良好な耐摩耗性を示した溶浸材である比
較材２とほぼ同等の熱伝導性を示した。

〔発明の効果〕

本発明は、耐摩耗性を必要とするバルブ当り面
を含む第１層と、該第１層を支持する基材として
の第２層との２層構造とすることにより、従来単
一構造の焼結体では得られなかつた耐摩耗性、良
熱伝導性、耐ゆるみ性を有するバルブシートを得
ることができる。しかも、第１層と第２層の厚さ
の割合などを調整することによつて熱伝導性、耐
ゆるみ性を調節できるため、アルミ合金製シリン
ダヘツドに限らず従来の鋳鉄製のものなどに巾広
く使用できるという利点をも併用する。

【図面の簡単な説明】

図は本発明のバルブシートを示す断面図であ
る。図中、１…第１層、２…第２層。

Claims

【特許請求の範囲】１バルブ当り面を含む第１層と該第１層を支持
する第２層とからなる２層構造の鉄基焼結合金で
あつて、第１層と第２層が冶金学的に焼結接合し
ており、かつ第１層が重量比でMo2.5〜15％、Co1〜15％、
Ni1〜15％、C0.2〜0.7％、残部Feおよび２％未
満の不純物からなる成分よりなり、かつ平均粒径
10〜30μのフエロモリブデンが均一に分散してい
る構成よりなり、第２層が重量比でNi1〜５％、C0.2〜0.7％、残
部Feおよび２％未満の不純物からなる成分より
なり、そして、第１層と第２層のＣ量の差が0.3％以下である
ことを特徴とする内燃機関の高温耐摩耗性バルブシー
ト。２第１層が上記成分のほかに更に、Cu0.5〜５
％、Mn0.2〜２％、P0.05〜0.8％、B0.01〜0.5％、
Cr0.5〜20％、W0.5〜８％、V0.3〜８％および
Nb0.1〜３％のうち１種もしくは２種以上を含む
成分よりなることを特徴とする特許請求の範囲第
１項記載のバルブシート。