JP2022035265A - バルブシート及びバルブシートの製造方法 - Google Patents

バルブシート及びバルブシートの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022035265A
JP2022035265A JP2020139462A JP2020139462A JP2022035265A JP 2022035265 A JP2022035265 A JP 2022035265A JP 2020139462 A JP2020139462 A JP 2020139462A JP 2020139462 A JP2020139462 A JP 2020139462A JP 2022035265 A JP2022035265 A JP 2022035265A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve seat
side layer
support member
sintered alloy
iron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020139462A
Other languages
English (en)
Inventor
聡史 池見
Satoshi Ikemi
祐二 永岡
Yuji Nagaoka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority to JP2020139462A priority Critical patent/JP2022035265A/ja
Publication of JP2022035265A publication Critical patent/JP2022035265A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

【課題】優れた耐摩耗性と、高い熱伝導性とを兼ね備えるバルブシートを提供する。【解決手段】内燃機関のシリンダヘッドに圧入され、バルブフェイスに繰り返し当接するフェイス面側層12と、シリンダヘッドのバルブシート圧入孔の底面及び内周面に当接する支持部材側層11との二層を一体化してなる焼結合金製のバルブシート10であって、フェイス面側層12が鉄基焼結合金からなり、支持部材側層11が銅基焼結合金からなる。支持部材側層は、Cu、Ni、Siを含む構成とし、さらには、SnとPのいずれかを含む構成として、支持部材側層のビッカース硬さを100HV以上としても良い。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に使用される、フェイス面側層と支持部材側層の2層を一体化してなるバルブシート及びバルブシートの製造方法に関する。
内燃機関で、バルブを着座させるバルブシートは、一般に、バルブの繰返し当接による摩耗に十分に耐えられる耐摩耗性が要求されている。
その一方で、バルブまわりの温度低下がノッキング防止などエンジン出力に大きく影響する特性であることから、近年は、バルブシートに対する熱伝導性の要求も高くなっている。
従来のバルブシートは、粉末冶金によりフェイス面側層と支持部材側層とを形成し、支持部材側層については40重量%以下の銅を含む鉄-銅合金から形成することで、支持部材側層の熱伝導率を向上させていた(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来のバルブシートは、銅基合金からなる銅基地中に硬質粒子を分散した銅基焼結合金から形成することにより、熱伝導率の向上を図っていた(例えば、特許文献2参照)。
特表2015-528053号公報 特開2015-127520号公報
しかしながら、特許文献1のバルブシートは、40重量%以下の銅を含む鉄-銅合金からキャリア層(支持部材側層)を形成しているが、合金材料の主体が鉄であることから十分な熱伝導率の向上を図ることができないという問題があった。
また、特許文献2のバルブシートは、バルブシート全体が鉄系材料からなりフェイス面側相は硬質粒子を分散した鉄基焼結合金からなるので、バルブに対する十分な耐摩耗性はあっても十分な熱伝導率を得ることができないという問題があった。
本発明は、耐摩耗性を高く維持しつつ、熱伝導性を向上させたバルブシート及びバルブシートの製造方法を提供することをその目的とする。
(1)本発明は、内燃機関のシリンダヘッドに圧入され、バルブフェイスに繰り返し当接するフェイス面側層と、前記シリンダヘッドのバルブシート圧入孔の底面及び内周面に当接する支持部材側層との二層を一体化してなる焼結合金製のバルブシートであって、
前記フェイス面側層が鉄基焼結合金からなり、
前記支持部材側層が銅基焼結合金からなることを特徴とする。
(2)さらに、本発明は、前記支持部材側層は、Cu-Ni-Siを含む構成としても良い。
(3)さらに、本発明は、前記支持部材側層は、Cu-Ni-Siを含み、質量%でNi:0.5~2.4%、Si:0.14~0.60%とする構成としても良い。
(4)さらに、本発明は、前記支持部材側層は、少なくともSnとPのいずれかを含む構成としても良い。
(5)さらに、本発明は、前記支持部材側層は、質量%でSn:0~0.74%、P:0~0.8%を
含む構成としても良い。
(6)さらに、本発明は、前記支持部材側層は、ビッカース硬さ100HV以上とする構成としても良い。
(7)さらに、本発明は、前記フェイス面側層は、体積率で9~17%の気孔率と6.50~7.20[g/cm3]の焼結後密度とを有し、基地相中に硬質粒子を分散させた鉄基焼結合金材からなる構成としても良い。
(8)さらに、本発明は、前記硬質粒子がCr、Mo、Co、Si、Niのうちから選ばれた1種または2種以上の元素からなる粒子であり、面積率で5~40%分散している構成としても良い。
(9)さらに、本発明は、前記フェイス面側層は、前記基地相と前記硬質粒子を含む基地部の組成が、質量%で、Ni:1.0~5.0%、Cr:0.4~10.0%、Mo:3.0~15.0%、Cu:0~1.0%、Co:3.0~30.0%、V:0~2.0%、Mn:0.01~2.0%、W:0~6.0%、C:0.5~2.0%、Si:0.1~1.5%、S:0~1.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で13.0~50.0%含有し、残部が実質的にFeからなる組成を有する鉄基焼結合金材である構成としても良い。
(10)さらに、本発明は、上記バルブシートの製造方法であって、
前記鉄基焼結合金及び前記銅基焼結合金を1000~1060[℃]で焼結する構成としても良い。
(11)さらに、本発明は、鉄基焼結合金は、粒度-325メッシュの鉄系粉末を用いる構成としても良い。
(12)さらに、本発明は、前記焼結後、真空又は還元雰囲気中で450℃~500℃の処理温度で1~3時間の時効処理を行う構成としても良い。
なお、本発明及び後述する本発明の実施形態において、「A~B」(A,Bは任意の数値)と記載する場合には、「A以上B以下」の意味であるものとする。
本発明は、バルブフェイスに直接当接するフェイス面側層が鉄基焼結合金からなるため、十分な耐摩耗性を確保することができ、支持部材側層が銅基焼結合金からなるので、銅基材料の特性として高い熱伝導性を得ることができる。
本発明に係るバルブシートの構成を模式的に示す説明図である。 図2(A)はバルブシートを成形する金型と仮押しパンチの軸方向断面図、図2(B)は図2(A)におけるR部分の拡大断面図である。 単体リグ試験機の概要を模式的に示す説明図である。
本発明の実施形態であるバルブシートについて図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態であるバルブシート10の軸方向断面図である。
バルブシート10は、内燃機関等のシリンダヘッドに装着され、開閉を行うバルブのバルブフェイスと接触して燃焼室の気密性を保つリング状の部品である。当該リング状のバルブシート10の中心線であるバルブシート軸Cに沿った方向の一端部には、外周から内周にかけて一又複数の円錐面が形成され、その一部がバルブフェイスに接触するバルブ当り面15となっている。また、バルブシート10のバルブシート軸Cに沿った方向の他端部には、バルブシート軸Cに垂直な平坦面からなる着座面13が形成されている。
さらに、バルブシート10は、図1のバルブシート断面を含め模式的に示すように、シリンダヘッドに接するバルブシート10の着座面13側に支持部材側層11を、バルブシート10のバルブ当り面15側にフェイス面側層12を有し、支持部材側層11とフェイス面側層12とが一体化された二層構造を有するバルブシートである。フェイス面側層1
2は、バルブフェイスに繰り返し当接し、支持部材側層11は、シリンダヘッドのバルブシート圧入孔の底面及び内周面に当接する。
上記バルブシート10は、フェイス面側層12と支持部材側層11との境界面14を、バルブ当り面15の幅方向の中央位置で、バルブ当り面15に垂直な方向にバルブ当り面15から支持部材側に0.5[mm](図1に示すt=0.5mm)だけ離れた線A1を含み、バルブシート軸Cとのなす角度が45°である面Aと、バルブシート10の内周面16とバルブシート10の着座面13との交線B1と、バルブシート10の外周面17上で、バルブシート10の着座面13からの距離がバルブシート高さの1/2である線B2とを含む面Bと、に囲まれる領域内に形成している。
さらに、バルブシート10は、フェイス面側層12が鉄基焼結合金からなり、支持部材側層11が銅基焼結合金からなることを特徴としている。
なお、ここでいう「鉄基焼結合金」とは、Feの含有量が質量%で50%以上又はFeが最多の含有物であるものを示す。
同様に、「銅基焼結合金」とは、Cuの含有量が質量%で50%以上又はCuが最多の含有物であるものを示す。
フェイス面側層12と支持部材側層11との境界面14が、A面よりバルブ当り面15側では、フェイス面側層12が薄くなり、支持部材側層が露出する可能性があり、露出した場合は、バルブシート10の耐摩耗性が低下する。
また、境界面14が、B面より支持部材側では、フェイス面側層12が厚すぎるのでバルブシート10の熱伝導性が低下する。
また、バルブシート10は、好ましくはフェイス面側層12が、バルブシート全量に対する体積%で、6~60%に調整されている。6%未満では、フェイス面側層12が薄くなり、支持部材側層11が露出する可能性があり、露出した場合は、摩耗が進み、耐摩耗性が低下する。60%を超えると、フェイス面側層12が厚く、熱伝導性が低下する。より好ましくは、10~50%である。
バルブシート10が、内燃機関のうち、主として、ガソリンエンジン用を目的とした場合、そのサイズは、外径:15~65[mm]、内径:12~60[mm]で、高さ:4.0~10.0[mm]の範囲内とすることが好ましい。
さらに、バルブシート10は、レーザーフラッシュ法で測定された20~300℃における熱伝導率が、支持部材側層11で125~200[W/m・k]、フェイス面側層12で10~22[W/m・k]を満足する。支持部材側層11は、熱伝導率100[W/m・k]を超えるような組成とすることが好ましい。
フェイス面側層12は、後述するフェイス面側相に示す合金元素量が多くなると、フェイス面側層12の熱伝導率が10[W/m・k]未満と、低くなる。一方、フェイス面側層12を、熱伝導率が22[W/m・k]を超えるような組成とすると、後述するフェイス面側層12に示す合金元素量が少なくなり所望の耐摩耗性を確保できなくなる。
フェイス面側層12を構成する鉄基焼結合金材は、体積率で気孔率:9~17%の気孔を含む。気孔の存在は、高温強度、疲労強度、熱伝導率に影響するが、気孔率が9%未満では、強度、熱伝導率は向上するが、内燃機関運転時の熱負荷による耐摩耗性に有効な酸化鉄の生成が不充分となる。一方、気孔率が17%を超えると、常温強度、高温強度等、強度の低下が著しくなる。このため、本発明では、気孔率を、体積率で9~17%に限定した。なお、本発明でいう気孔率は画像解析法で測定した値を用いるものとする。
また、フェイス面側層を構成する鉄基焼結合金材は、6.5~7.2[g/cm3]の焼結後密度を有する。焼結後密度は、焼結体の強度、熱伝導率に影響し、焼結後密度が6.5[g/cm3]未満では、強度の低下が著しい。一方、7.2[g/cm3]を超えると、内燃機関運転時の熱負荷によ
る耐摩耗性に有効な酸化鉄の生成が不充分となるうえ、密度向上のために工程が複雑となり、製造コストの高騰を招く。このため、本発明では焼結後密度を6.5~7.2[g/cm3]の範囲に限定した。なお、焼結後密度はアルキメデス法により測定した値を用いるものとする。
また、本発明のバルブシートにおけるフェイス面側層用鉄基焼結合金材では、基地相と硬質粒子を含む基地部の組成が、質量%で、Ni:1.0~5.0%、Cr:0.4~10.0%、Mo:3.0~15.0%、Cu:0~1.0%、Co:3.0~30.0%、V:0~2.0%、Mn:0.01~2.0%、W:0~6.0%、C:0.5~2.0%、Si:0.1~1.5%、S:0~1.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で13.0~50.0%含有し、残部が実質的にFeからなる組成を有することが好ましい。
Ni、Cr、Mo、Cu、Co、V、Mn、W、C、Si、Sはいずれも、フェイス面側層用鉄基焼結合金材の基地相および硬質粒子中に含まれ、耐摩耗性を向上させる元素であり、1種または2種以上選択して合計で13.0~50.0質量%含有できる。
Niは、耐摩耗性向上に加えて、硬さ、耐熱性を向上させる元素であるが、1.0質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、5.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Crは、基地相および硬質粒子中に含まれ、耐摩耗性向上に加えて、硬さ、耐熱性を向上させる元素であるが、0.4質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、10.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Moは、基地相および硬質粒子中に含まれ、耐摩耗性向上に加えて、硬さ、耐熱性を向上させる元素であるが、3.0質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、15.0質量%を越えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Cuは、基地相を強化し、靭性を向上させる元素であり、必要に応じて含有できる元素であるが、5.0%を超えると凝着性の低下に繋がる。このため5.0%以下にすることが好ましい。より好ましい範囲としては1.0%以下とすることが好ましい。
Coは、耐摩耗性向上に加えて、硬質粒子と基地相との結合を強化する作用を有し、さらに、耐熱性を向上させる作用を有する元素であるが、3.0質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、30.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Vは、基地相を強化し、耐摩耗性向上に加えて、硬さを増加させる元素であり、必要に応じて含有できる。2.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Mnは、基地相を強化し、耐摩耗性向上に加えて、硬さを増加させる元素であるが、0.01質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、2.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Wは、基地相を強化し、耐摩耗性向上に加えて、硬さを増加させる元素であり、必要に応じて含有できる6.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Cは耐摩耗性向上に加えて、基地相強化及び焼結拡散性を向上させる元素であるが、0.5質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、2.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Siは、耐摩耗性向上に加えて、基地の強度を向上させる元素であるが、0.1質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、1.5質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
Sは、耐摩耗性向上に加えて、基地の強度を向上させる元素であり、必要に応じて含有できる。1.0質量%を超えて含有すると、相手攻撃性が増加する。
なお、フェイス面側層用鉄基焼結合金材では、上記した成分の含有量の合計が、13.0質量%未満では、基地相の硬さ、高温強度やクリープ強度等高温特性が低下する。一方、合計で50.0質量%を超えると、相手攻撃性が増加する。このため、本発明では上記した成分の合計を13.0~50.0質量%の範囲に限定することが好ましい。
なお、フェイス面側層用鉄基焼結合金材の基地相では、上記した成分以外の残部は実質的にFeである。
また、フェイス面側層用鉄基焼結合金材の基地相中に分散する硬質粒子は、耐摩耗性の向上に寄与し、その分散量は、本発明では、面積率で、5~40%とする。硬質粒子が面積率で5%未満では、上記した効果が期待できない。一方、40%を超えて分散すると、相手攻撃性が増加する。このため、本発明では硬質粒子は面積率で5~40%に限定した。なお、好ましくは10~30%である。
上記したフェイス面側層用鉄基焼結合金材の基地相中に分散する硬質粒子は、Cr、Mo、Co、Si、Niのうちから選ばれた1種または2種以上の元素からなる粒子とすることが好ましい。硬質粒子は上記した組成を有し、さらに、600HV~1200HVの範囲の硬さを有することが好ましい。硬質粒子の硬さが600HV未満では耐摩耗性が低下し、一方、1200HVを超えると靭性が低下し、欠けやクラックの発生の危険性が増大する。
このような硬質粒子としては、Cr-Mo-Co系金属間化合物粒子、Ni-Cr-Mo-Co系金属間化合物粒子、Si-Cr-Mo-Co系金属間化合物粒子が例示される。
また、本発明におけるフェイス面側層用鉄基焼結合金材では、基地相中に上記した硬質粒子に加えてさらに固体潤滑剤粒子を分散させてもよい。固体潤滑剤粒子は、被削性、耐摩耗性を向上させ、相手攻撃性を減少させる効果を有する。固体潤滑剤粒子としては、MnS、MoS2などの硫化物およびCaF2などの弗化物のうちから選ばれた1種または2種以上、あるいはそれらを混合したものとするのが好ましい。固体潤滑剤粒子は、面積率で、合計0.3~3.5%分散させることが好ましい。固体潤滑剤粒子量が0.3 %未満では、固体潤滑剤粒子量が少なく被削性が悪化し、凝着の発生が促進され、耐摩耗性が低下する。一方、固体潤滑剤粒子を3.5%を超えて分散させても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなる。このため、固体潤滑剤粒子は面積率で0.3~3.5%に限定することが好ましい。
一方、バルブシート10の支持部材側層11は、銅基焼結合金製で、フェイス面側層12と境界面14を介して一体化されている。支持部材側層11は、バルブとは接触せず、フェイス面側層12を支え、バルブシート10として所望の強度を確保できる組成とすることが好ましい。
バルブシート10の支持部材側層11の基地相組成は、質量%で、Ni:0.5~2.5%、Si:0.1~0.7%を含み、残部Cuおよび不可避的不純物からなる組成とすることが好ましい。
NiとSiは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、バルブシートの支持部材側層11として所望の強度、硬さを確保するために、Niは質量%で0.5%~2.4%、Siは質量%
で0.14%~0.6%を含有することがより望ましい。一方、熱伝導性の観点からは、上記範囲内とすることが好ましい。
上記した成分が支持部材側層11の基本の成分であるが、この基本組成に加えてさらに、Snを質量%で0.2~0.74%又はPを質量%で0.6~0.8%含有してもよい。
Sn、Pは、いずれも、焼結体の強度、硬さを増加させる元素である。これらの含有により強度、硬さの向上を図るためには、Snは0.2~0.74%、Pは0.6~0.8%含有することが望ましいが、熱伝導性の観点からは、これらは例示の範囲内とすることが好ましい。
支持部材側層11では、上記した以外の残部は、Cu及び不可避的不純物である。
支持部材側層11は、上記した組成を有し、さらに、ビッカース硬さで100HV~200HVの範囲の硬さを有することが好ましい。
次に、バルブシート10の製造方法について説明する。図2(A)はバルブシート10を成形する金型と仮押しパンチの軸方向断面図、図2(B)は図2(A)のR部分の拡大断面図である。
上記したバルブシート10は、ダイ100、コアロッド101、上パンチ(図示略)、下パンチ102と、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダー(図示略)と、独立して駆動可能な仮押しパンチ103とを有するプレス成形機(図示せず)を用いて2層構造の圧粉体に成形される。ダイ100、コアロッド101、上パンチ及び下パンチ102により、バルブシート10を成形する金型が構成される。
まず、2種のフィーダーの一方を第一のフィーダーとし、該第一のフィーダーに支持部材側層用混合粉を充填し、他方を第二のフィーダーとし、該第二のフィーダーに、フェイス面側層用混合粉を充填しておく。
支持部材側層用混合粉は、原料粉として、銅系粉末と他の合金元素粉末等の合金用粉末と、潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望の支持部材側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練して支持部材側層用混合粉とすることが好ましい。
また、フェイス面側層用混合粉は、原料粉としては、鉄系粉末と、黒鉛粉末、他の合金元素粉末等の合金用粉末と、硬質粒子粉末と、潤滑剤粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉末と、を上記した所望のフェイス面側層組成となるように、所定量配合し、混合、混練してフェイス面側層用混合粉とすることが好ましい。
ついで、第一のフィーダーを移動させたのち、ダイ100とコアロッド101を下パンチ102に対し相対的に上昇させて、支持部材側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間に支持部材側層用混合粉11aを充填する。
ついで、仮押しパンチ103を下方へ移動させて、充填された支持部材側層用混合粉11aを仮押して、フェイス面側層12との境界面となる上面を形成する。この状況を図2に示す。バルブシート10の成形には、この仮押しに際し、成形面が、バルブシート軸とのなす角度で20~50°の範囲の角度βを有する円錐面形状に形成された仮押しパンチ103を使用する。この角度βは、バルブシート軸Cを含む断面でバルブシート10のフェイス面側層12と支持部材側層11との境界面14の傾き(バルブシート軸Cとのなす角度:α)に対して、20~40%小さい角度とすることが好ましい。
仮押しパンチ103の成形面の、バルブシート軸Cとのなす角度βが、αより40%を超えて小さくなると、成形面の角度βが鋭角的になりすぎて、仮押しパンチ103の成形面の調整が難しくなる。一方、仮押しパンチの成形面のバルブシート軸Cとのなす角度βがαより20%未満では、その後の上パンチによる加圧で2層境界面が所望のαに較べて、著しく大きくなるため、所望の傾きの境界面を形成できなくなる。
また、バルブシート10では、上記した形状の成形面を有する仮押しパンチ103を用
いて、0.01~3[ton/cm2]の範囲の成形圧に調整して、仮押しする。仮押し時の成形圧が3[ton/cm2]を超えて大きすぎると、境界面の強度は増加するが、フェイス面側層用混合粉を充填し成形した後に、支持部材側層11とフェイス面側層12との密着力が低下する。一方、0.01[ton/cm2]未満と小さすぎると、境界面14がバルブシート10の周方向や径方向でばらつき、所望の境界面精度を確保できなくなる。
仮押ししたのち、第二のフィーダーを移動させ、ダイ100とコアロッド101を下パンチ102に対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間にフェイス面側層用混合粉を充填する。
充填後、上パンチを下降させて、該上パンチを面圧が5~10[ton/cm2]の範囲で、かつ仮押し成形圧に対する比率で3.3~500となるように、フェイス面側層用混合粉および支持部材側層用混合粉とを一体的に加圧成形して、圧粉体とする。これにより、得られる圧粉体の密度を6.0~8.7[g/cm3]とすることができる。なお、圧粉体の密度が、6.0[g/cm3]未満では、得られる製品が、所望の強度を確保できなくなる。
上パンチの面圧が、5[ton/cm2]未満では、圧粉体の密度が低下し所望の焼結体密度を確保できなくなったり、製品(バルブシート)のフェイス面側層12と支持部材側層11の境界面14が、所望の傾きの境界面を形成できなくなり、バルブシート10の耐摩耗性や、熱伝導性が低下する。
得られた圧粉体は、焼結処理を施され、焼結体とされたのち、熱処理工程、切削等の加工を施されて所望の寸法形状の内燃機関用のバルブシート10とされる。
バルブシート10は、支持部材側層11に銅基焼結合金材料を使用し、フェイス面側層12に鉄基焼結合金材料を使用することから、鉄基焼結合金材料に適した焼結温度(1100~1200[℃])で焼結を行うと、銅基焼結合金材料の銅成分がフェイス面側層12に溶浸を生じ、フェイス面側層12の耐摩耗強度が著しく低下を生じる。
このため、バルブシート10の焼結温度は、鉄基焼結合金材料の焼結温度1100~1200[℃]よりも低温であって、鉄基焼結合金材料の変態点(910[℃])を超える温度範囲、例えば、1000~1060[℃]の範囲内、より好ましくは、1040[℃]とする。
このように、バルブシート10は、鉄基焼結合金材料の焼結温度よりも低温で焼結を行うことから、フェイス面側層12の鉄基焼結合金材料に純鉄粉を含む場合は、鉄基焼結合金材料のみからなるバルブシートに含まれる純鉄粉よりも粒度が小さいものを使用することが好ましい。例えば、好適な粒度の範囲は、粒度-100~-325メッシュである。
例えば、鉄基焼結合金材料のみからなるバルブシートに含まれる純鉄粉の粒度が-100メッシュ(150[μm])であるのに対して、バルブシート10のフェイス面側層12の鉄基焼結合金材料に含まれる純鉄粉の粒度は-325メッシュ(44[μm])(より微細粒)としている。
なお、バルブシート10は、強度確保の観点から、加圧成形(P)と焼結処理(S)とを2回繰返す、いわゆる2P2S工程とすることが更なる密度向上のためにも好ましい。2P2S工程では、1回目の焼結処理は、仮焼結とし、再加圧を行いその後、2回目の焼結処理により、所望の密度を有する焼結体とすることが好ましい。
ついで、焼結後のバルブシート10は、時効処理が行われる。時効処理は、真空又は還元雰囲気中で450℃~500℃の処理温度で1~3時間行われる。
この時効処理により、バルブシート10は、硬度が高くなり、強度が向上する。
表1は、フェイス面側層用混合粉として使用される各種の混合粉A~K及び支持部材側層混合粉として使用される各種の混合粉1A~1Mについて原料粉末の配合を示す一覧表である。
なお、表1に示す銅系粉末「い」、「ろ」、「は」、「に」、「ほ」は、欄外に記載された複数元素のそれぞれの比率によるプレアロイ型銅粉末の配合量を示している。
混合粉A~Kについて、表1に示す原料粉と配合で混合してフェイス面側層用混合粉とした。なお、混合に際しては、鉄系粉末、黒鉛粉末、合金元素粉末、固体潤滑剤粒子粉末の合計100質量部に対し、潤滑剤粒子粉末として、ステアリン酸亜鉛粉末を1.0質量部配合した。
また、同様に、混合粉1A~1Mについて、表1に示す原料粉と配合で混合して支持部材側層用混合粉とした。なお、混合に際しては、銅系粉末、合金元素粉末の合計100質量部に対し、潤滑剤粒子粉末として、ステアリン酸亜鉛粉末を1.0質量部配合した。
圧粉体の成形に際しては、前述した図2のダイ100、コアロッド101、上パンチ(図示略)、下パンチ102と、互いに独立して駆動可能な2種のフィーダー(図示略)と、独立して駆動可能な仮押しパンチ103とを有するプレス成形機を用いた。
まず、下パンチ102を相対的に下降させ、下パンチ102とダイ100とコアロッド101とで支持部材側層用の充填空間を形成し、該充填空間に、第1のフィーダーを移動させ、支持部材側層用混合粉を充填した。ついで、仮押しパンチ103を移動させて、充填した支持部材側層用混合粉を仮押し、フェイス面側層12との境界面となる上面を成形した。
なお、仮押しには、図2に示す形状の成形面を有する仮押しパンチ103を使用した。使用した仮押しパンチ103は、成形面とバルブシート軸Cとのなす角度βを、所望の境界面の角度αが得られるように、αに対し20~40%小さい角度に調整した成形面を有するパンチとした。なお、実施例の一部のバルブシート(焼結体No.2~19,35,38,41~45)については、成形面をフラット面(β:90°)とした仮押しパンチを用いて仮押しして成形した(面圧:0.5[ton/cm2]、但し、焼結体No.6は面圧:1.0[ton/cm2]、焼結体No.41は面圧:0.1[ton/cm2])。
ついで、第二のフィーダーを移動させ、ダイとコアロッドを下パンチに対し相対的に上昇させて、フェイス面側層用の充填空間を形成しながら、該充填空間にフェイス面側層用混合粉を充填した。
充填した後、上パンチを下降させて、フェイス面側層用混合粉および前記支持部材側層用混合粉を一体的に、加圧成形(面圧:9[ton/cm2]、但し、焼結体No.44は面圧:5[ton/cm2])して、2層構造のバルブシート用圧粉体を得た。
得られた圧粉体を、焼結処理(雰囲気炉中(アンモニア分解ガス)で、1040[℃]に加熱)を施して焼結体とした。
さらに、各焼結体は、真空又は還元雰囲気中で450℃~500℃の処理温度の条件下で1~3時間の時効処理を行った。時効処理後の支持部材側層11のビッカース硬度を表3~表6に示す。測定荷重は0.05HVにて行った。
時効処理後、得られた焼結体は、切削、研削等により外径が15~65[mm]、内径が12~60[mm]、高さが4~10[mm]に加工され、フェイス面側層12と支持部材側層11からなる二層構造の焼結合金製内燃機関用のバルブシート10となる。
得られた焼結体の各層について、発光分析により各元素の含有量を求めた。測定は、二層の境界面14より内側の断面とした。得られた結果を表2に示す。
各焼結体の支持部材側層11及びフェイス面側層12に相当する測定用サンプル材を作成し、レーザーフラッシュ法を利用して20~300℃における熱伝導率を測定し、表3~表6に併記した。なお、表3~表6において「VSI」はバルブシートを示す。
また、各焼結体の支持部材側層11及びフェイス面側層12のトータルの熱伝導率については、支持部材側層11及びフェイス面側層12の体積比率に基づいて算出した。
また、得られた焼結体を支持部材側層11とフェイス面側層12に切断、分離し、各々のサンプルは、アルキメデス法により各層の焼結体密度を算出した。これにより得られた結果も表3~表6に示す。また、フェイス面側気孔率は、断面を切断し研磨面を顕微鏡で確認し画像解析法により算出した。
また、得られた焼結体をバルブシート軸Cを含む断面で切断し、研磨、腐食して各断面における2層の境界面を現出した。そして、境界面14の形状をビデオマイクロスコープを用いて観察(倍率:100倍)し、各断面における境界面14の、バルブシート軸Cとなす角度α、バルブシート外周面上でバルブシート10の着座面13の逆側の端部(図1における上端部)からの距離をそれぞれ測定し、各断面について算術平均した。これにより得られた結果も表3~表6に示す。
また、焼結体断面の観察から、各層の断面積をもとめ、バルブシートにおけるフェイス面側層12の比率(バルブシート全量に対する体積%)を算出し、表3~表6に併記した。
さらに、得られたバルブシート(各焼結体)を、図3に示す単体リグ摩耗試験機に装入し、下記の試験条件で運転し、バルブフェイスに取り付けた熱電対によりバルブフェイスの温度を測定し、飽和した温度をバルブシート面温度とした。
単体リグ摩耗試験機は、バルブシート10を圧入可能なシリンダヘッド相当品の治具2と、駆動源からカムクランク機構を介して上下動を行うバルブ4と、バルブ4およびバルブシート10を加熱する熱源(LPG+Ar)3とを備えており、任意のバルブシート面温度下で、任意のバルブ回転数で、バルブシート10にバルブ4を繰り返し当接させることができる。
この単体リグ摩耗試験機により、下記の試験条件で試験を行い、バルブ沈み量により摩耗量を測定した。この試験により測定された摩耗量について、「基準」の焼結体の摩耗量を1とし、各焼結体No.のバルブシートについて測定された摩耗量から求められた摩耗量比を表3~表6に併記した。
試験時間:9[hr]
カム回転数:3000[rpm]
バルブ回転数:10[rpm]
スプリング荷重:35[kgf](345[N])(セット時)
リフト量:7.5[mm]
バルブ材質:SUH35
なお、LPG+Air量、冷却水量は一定とした。
焼結体No.1のバルブ当り面温度を基準にして、焼結体No.1のバルブ当り面温度と、当該焼結体のバルブ当り面温度と差を算出し、バルブ当り面温度低下代とした。なお、基準より高くなった場合には「+」を付した。また、バルブシートの外径、内径が異なる場合は、おのおの境界面角度αが90°の場合を基準としてバルブフェイス温度低下代を算出した。
表3~表6に示すバルブシート高さは、上記摩耗試験後の支持部材側層11の高さの変形量の比であり、「基準」の焼結体の変形量を1とした場合の比率を示す。
表3~表6に示す支持部材側層11の硬度は、各焼結体No.の支持部材側層11の焼結体に対して、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬さ試験に基づいて測定した。測定荷重は
50g又は100gの各焼結体No.について測定されたビッカース硬さを表3~表6に併記した。
なお、表3~表6に示す焼結体の内、「基準」の焼結体は、支持部材側層11及びフェイス面側層12が鉄系粉末と黒鉛粉末のみからなり、境界面14を有さないバルブシートからなる。
また、焼結体No.1は、支持部材側層11及びフェイス面側層12が銅系の混合粉1Aのみからなり、境界面14を有さないバルブシートからなる。
また、焼結体No.17は、支持部材側層11が銅粉末のみからなるバルブシートからなる。
即ち、「基準」の焼結体と焼結体No.1は、いずれも二層構造を有しておらず、焼結体No.17は、銅基焼結合金ではないので、これらは全て、本願発明の実施例には該当しない、比較例である(表4,表6の「備考」参照)。
また、単体リグ摩耗試験機による試験前後の試験片(バルブシート)の形状を測定し、試験前後の差を算出して摩耗量(μm)に換算し、基準(焼結体No.1)の摩耗量を1.00とし、それに対する摩耗量比で耐摩耗性を評価した。
さらに、単体リグ摩耗試験機による試験前後の試験片(バルブシート)の形状を測定し、支持部材側層11の高さの試験前後の差からバルブシート高さ変形比を算出した。
バルブシートの基準と焼結体No.1~45について、上述した「耐摩耗性」、「熱伝導率(トータル)」、「変形比」の全てが基準のバルブシートより優れているか否かによって評価を行った。
即ち、「耐摩耗性」が基準以下であれば可、「熱伝導率(トータル)」が基準以上であれば可、「変形比」が基準以下であれば可とし、これら三つが全て「可」であれば「○」と評価し、一つでも「可」に持たないものがあれば「×」とした。これらの評価も表3~表6に示した。
Figure 2022035265000002
Figure 2022035265000003
Figure 2022035265000004
Figure 2022035265000005
Figure 2022035265000006
Figure 2022035265000007
本発明の実施例に該当する焼結体No.2~16,18~45はいずれも、耐摩耗性に優れ、さらに高い熱伝導性を有し、変形比も小さく抑えられているので、内燃機関用として好適な優
れた冷却性能を有するバルブシートとなっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、熱伝導性が低いか、耐摩耗性が低下するか、変形比が許容範囲を超えている。
[発明の実施の形態の技術的効果]
発明の実施形態にかかるバルブシート10は、フェイス面側層12が鉄基焼結合金からなり、支持部材側層11が銅基焼結合金から構成されている。
このため、フェイス面側層12の鉄基焼結合金によって高い耐摩耗性を獲得し、支持部材側層11の銅基焼結合金によって高い熱伝導性を確保することができ、高耐摩耗性と高熱伝導性とが両立する優れたバルブシート10を提供することが可能となる。
これにより、内燃機関に上記バルブシート10を使用した場合に、バルブ温度の上昇を有効に抑制し、ノッキングなどの出力低下を抑制でき、内燃機関の燃費向上に寄与することが可能となる。
また、バルブシート10の支持部材側層11は、Cu-Ni-Siを含んでいるので、高熱伝導性を高く維持しつつ、支持部材側層11における高硬度を有し、変形比を低く抑えることが可能となる。
さらに、支持部材側層11に、SnとPのいずれかを含む構成とした場合には、支持部材側層11の強度をさらに向上させることができ、さらに変形性を低く抑えることが可能となる。
また、支持部材側層11は、いずれもビッカース硬さ100HV以上を確保しているので、バルブシートの圧入時、さらに、使用時におけるバルブとの接触が繰り返し行われる環境下において、変形性を低く抑えることができ、高い密閉性を維持することができる。
また、バルブシート10は、その製造工程における焼結時において、鉄基焼結合金及び銅基焼結合金を1000~1060[℃]で焼結している。
これにより、銅基焼結合金からなる支持部材側層11に含まれるCuのフェイス面側層12側への溶浸を抑制することができ、バルブシート10の耐摩耗性の低下を抑制することが可能となる。
また、バルブシート10の製造において、前述した表3に示す焼結体No.5のように、フェイス面側層12の鉄基焼結合金の粒度を、支持部材側層とフェイス面側層とが共に鉄基焼結合金からなるバルブシートに使用される鉄粉の粒度よりも低い-325メッシュ(44[μm])としてもよい(表1:混合粉Eの鉄系粉末b参照)。
この焼結体No.5は、混合粉をフェイス面側層12の材料とする複数の焼結体No.2~7の中で摩耗比が非常に小さくなっていることが分かる(ハイス鋼の配合量を増量させている焼結体No.6を除く)。
このように、鉄基材料の好適な焼結温度よりも低温で焼結を行った場合でも、高い耐摩耗性を維持することが分かる。
10 バルブシート
11 支持部材側層
11a 支持部材側層用混合粉
12 フェイス面側層
13 着座面
14 境界面
15 バルブ当り面
16 内周面
17 外周面
A 面
A1 線
B 面
B1 交線
B2 線
C バルブシート軸

Claims (12)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドに圧入され、バルブフェイスに繰り返し当接するフェイス面側層と、前記シリンダヘッドのバルブシート圧入孔の底面及び内周面に当接する支持部材側層との二層を一体化してなる焼結合金製のバルブシートであって、
    前記フェイス面側層が鉄基焼結合金からなり、
    前記支持部材側層が銅基焼結合金からなることを特徴とするバルブシート。
  2. 前記支持部材側層は、Cu-Ni-Siを含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブシート。
  3. 前記支持部材側層は、Cu-Ni-Siを含み、質量%でNi:0.5~2.4%、Si:0.14~0.60%であることを特徴とする請求項2に記載のバルブシート。
  4. 前記支持部材側層は、少なくともSnとPのいずれかを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のバルブシート。
  5. 前記支持部材側層は、少なくともSnとPのいずれかを含み、質量%でSn:0~0.74%又はP:0~0.8%を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のバルブシート。
  6. 前記支持部材側層は、ビッカース硬さ100HV以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のバルブシート。
  7. 前記フェイス面側層は、体積率で9~17%の気孔率と6.50~7.20[g/cm3]の焼結後密度とを有し、基地相中に硬質粒子を分散させた鉄基焼結合金材からなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のバルブシート。
  8. 前記硬質粒子が、Cr、Mo、Co、Si、Niのうちから選ばれた1種または2種以上の元素からなる粒子であり、面積率で5~40%分散していることを特徴とする請求項7に記載のバルブシート。
  9. 前記フェイス面側層は、前記基地相と前記硬質粒子を含む基地部の組成が、質量%で、Ni:1.0~5.0%、Cr:0.4~10.0%、Mo:3.0~15.0%、Cu:0~1.0%、Co:3.0~30.0%、V:0~2.0%、Mn:0.01~2.0%、W:0~6.0%、C:0.5~2.0%、Si:0.1~1.5%、S:0~1.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で13.0~50.0%含有し、残部が実質的にFeからなる組成を有する鉄基焼結合金材であることを特徴とする請求項7又は8に記載のバルブシート。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のバルブシートの製造方法であって、
    前記鉄基焼結合金及び前記銅基焼結合金を1000~1060[℃]で焼結することを特徴とするバルブシートの製造方法。
  11. 前記鉄基焼結合金は、粒度-325メッシュの鉄系粉末を用いることを特徴とする請求項10に記載のバルブシートの製造方法。
  12. 前記鉄基焼結合金及び前記銅基焼結合金の焼結後、真空又は還元雰囲気中で450℃~500℃の処理温度で1~3時間の時効処理を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載のバルブシートの製造方法。
JP2020139462A 2020-08-20 2020-08-20 バルブシート及びバルブシートの製造方法 Pending JP2022035265A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020139462A JP2022035265A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 バルブシート及びバルブシートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020139462A JP2022035265A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 バルブシート及びバルブシートの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022035265A true JP2022035265A (ja) 2022-03-04

Family

ID=80443900

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020139462A Pending JP2022035265A (ja) 2020-08-20 2020-08-20 バルブシート及びバルブシートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022035265A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022050275A (ja) * 2020-09-17 2022-03-30 株式会社リケン 焼結バルブシート

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022050275A (ja) * 2020-09-17 2022-03-30 株式会社リケン 焼結バルブシート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7089902B2 (en) Sintered alloy valve seat and method for manufacturing the same
JP4584158B2 (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート材
EP1347068A1 (en) Sintered alloy for valve seats, valve seat and manufacturing method thereof
EP2927333B1 (en) Iron-base sintered alloy material for valve seat insert and method for manufacturing the same
WO2015098643A1 (ja) 内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体
JP6527459B2 (ja) 耐摩耗性に優れた内燃機関用バルブシート
CN108026800B (zh) 烧结阀座
JP6265474B2 (ja) 熱伝導性に優れる内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
EP3406865B1 (en) Sintered valve seat
JP2011157845A (ja) 冷却能に優れた内燃機関用バルブシート
JP2006316745A (ja) 高温乾燥条件下ですぐれた耐摩耗性を発揮するFe基焼結合金製バルブシートの製造方法及びそのバルブシート
US7867315B2 (en) Hard-particle powder for sintered body and sintered body
JP6290107B2 (ja) 耐摩耗性に優れた内燃機関用バルブシートおよびその製造方法
JP6871361B2 (ja) 熱伝導性に優れた内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート
JP2022035265A (ja) バルブシート及びバルブシートの製造方法
US20040069094A1 (en) Iron-based sintered alloy material for valve sheet and process for preparing the same
JP2010274315A (ja) 軽金属合金鋳包み用バルブシート
KR101717347B1 (ko) 내마모성 구리계 소결 합금
JP4335189B2 (ja) 内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体
JP2018172768A (ja) 耐酸化性、高温耐摩耗性、耐塩害性に優れる耐熱焼結材及びその製造方法
JP6827683B2 (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
JP7219198B2 (ja) 銅合金摺動材料
JP2002220645A (ja) 硬質粒子分散型鉄基焼結合金
CN116890116A (zh) 内燃机用铁基烧结合金制阀座及其制造方法
JP2023152727A (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230815

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231010

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240227