JP6265099B2 - 半導体装置 - Google Patents

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本発明は、例えば大電流の制御などに用いられる半導体装置に関する。
特許文献1には、IGBTなどの半導体素子を備える半導体装置が開示されている。この半導体装置は、半導体素子の過電流を検出するために電流検出素子(センストランジスタ)を備えている。
特開平6−120495号公報
半導体素子の過電流を検出するために、半導体素子のエミッタ(メインエミッタという)と電流検出素子のエミッタ(センスエミッタという)の間に抵抗を接続し、半導体素子のエミッタ電位(メインエミッタ電位という)を基準とした電流検出素子のエミッタ電位(センスエミッタ電位)をモニターする。そして、センス素子に大きな電流が流れることで、センスエミッタ電位が予め定められた値を超えた場合に半導体素子に過電流が流れていると判断する。
しかしながら、実際に過電流が発生していないにもかかわらず、センスエミッタ電位が予め定められた値を超えてしまうことがあった。例えば、半導体素子をターンオンする際のミラー期間では、その後の期間と比べコレクタ電圧が大きい。そのため、上記の抵抗による電圧降下が大きくなり、センスエミッタ電位が予め定められた値を超えることがあった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、過電流の検出精度を高めることができる半導体装置を提供することを目的とする。
本願の発明に係る半導体装置は、ゲート駆動信号を生成するゲート駆動回路と、該ゲート駆動信号が印加される第1ゲートを有する半導体素子と、第2ゲートを有する電流検出素子と、該ゲート駆動信号を受け該第2ゲートに電圧を印加する補正回路と、該電流検出素子のエミッタ電流が予め定められた値よりも大きくなったときに、該ゲート駆動信号の電圧を低下させるか、該ゲート駆動回路をシャットダウンする保護回路と、を備え、該補正回路は、ミラー期間において、該第1ゲートに印加される電圧よりも低い電圧を該第2ゲートに印加することを特徴とする。
本発明によれば、ミラー期間におけるセンス素子のゲート電圧を低下させるので、過電流の検出精度を高めることができる。
実施の形態1に係る半導体装置の回路図である。 チップの平面図である。 チップの各部における波形図である。 チップの各部における波形図である。 実施の形態2に係る半導体装置のチップ各部における波形図である。 実施の形態3に係る半導体装置の回路図である。 チップの平面図である。
本発明の実施の形態に係る半導体装置について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の回路図である。この半導体装置は、ゲート駆動信号を生成するゲート駆動回路10を備えている。ゲート駆動回路10にはチップ12が接続されている。チップ12の輪郭は破線で示されている。チップ12には半導体素子と電流検出素子が形成されている。半導体素子は主電流が流れる部分である。電流検出素子は半導体素子の過電流を検出するために設けられている。
半導体素子は、ゲート駆動信号が印加される第1ゲート12a、コレクタ12c、及びメインエミッタ12dを有している。電流検出素子は、第2ゲート12b、コレクタ12c及びセンスエミッタ12eを有している。また、チップ12には半導体素子の温度を測定する温度測定部14が設けられている。温度測定部14は、例えば多結晶シリコンダイオードで形成する。
図2は、チップ12の平面図である。チップ12の上面側には第1ゲート12a、メインエミッタ12d、第2ゲート12b、センスエミッタ12e及び温度測定部14が設けられている。なお、チップ12の下面がコレクタ12cとなっている。
図1の説明に戻る。ゲート駆動回路10には補正回路16が接続されている。補正回路16は、ゲート駆動信号を受け第2ゲート12bに電圧を印加する部分である。補正回路16は、第1ゲート12aにゲート駆動信号が印加されてからミラー期間が終わるまで、ゲート駆動信号の電圧を減じて第2ゲート12bに印加する。
補正回路16は、半導体素子の温度の情報を温度測定部14から受け取る。補正回路16は、温度測定部14により測定された温度が予め定められた値よりも大きくなった場合に、ゲート駆動信号の電圧を低下させて第2ゲート12bに印加する。なお、補正回路16は、第1ゲート12aにゲート駆動信号が印加されてからミラー期間が終わるまでの期間、及び上記温度が予め定められた値よりも大きい期間以外の期間においては、ゲート駆動信号をそのまま第2ゲート12bに印加する。
過電流による半導体装置のダメージを抑制するために保護回路17が設けられている。保護回路17は、メインエミッタ12dとセンスエミッタ12eの間に接続された抵抗18を備えている。抵抗18に発生した電圧(センスエミッタ電位)と基準電源20によって与えられた基準電位とがコンパレータ22で比較される。コンパレータ22の出力はゲート駆動回路10に接続されている。そして、過電流が発生しセンスエミッタ電位が予め定められた値を超えると、コンパレータ22がゲート電圧を部分的又は完全に引き込みコレクタ電流を制限する。つまり、ゲート駆動信号の電圧を低下させるか、ゲート駆動回路をシャットダウンする。ここでゲート駆動回路のシャットダウンというのは、ゲート駆動信号を0Vにすることを意味する。
図3は、チップ12の各部における波形図である。上から順に第1ゲート12aの電圧波形、第2ゲート12bの電圧波形、コレクタ12cの電流波形、センスエミッタ12eの電流波形を示している。時刻t1からt2までの期間は、第1ゲート12aの電圧と第2ゲート12bの電圧がほとんど変化しない期間であり、ミラー期間と呼ばれている。
破線BL1と破線BL2は、補正回路16がない場合の波形を示す。つまり、破線BL1は、第2ゲート12bにゲート駆動信号が印加されたときの波形を示す。ミラー期間において、第2ゲート12bにゲート駆動信号をそのまま印加すると、破線BL2に示すように、センスエミッタ電流が非常に大きくなる。破線BL2に示すようにセンスエミッタ電流が非常に大きくなると、保護回路17において過電流を誤検出するおそれがある。
しかしながら、本発明の実施の形態1に係る補正回路16は、第1ゲート12aにゲート駆動信号が印加されてからミラー期間が終わるまで、ゲート駆動信号の電圧を減じて第2ゲート12bに印加する。つまり、補正回路16の働きにより、BL1で表される波形が矢印方向(下方向)に下がる。よって、ミラー期間においてセンスエミッタ電流が非常に大きくなり、過電流を誤検出する問題を解消できる。
ところで、メインエミッタ12dとセンスエミッタ12eの間には寄生抵抗がある。チップ12の温度が高くなりこの寄生抵抗の抵抗値が大きくなると、チップ12の内部に流れる電流が減少し、チップ12の外部の抵抗18に流れる電流が増加する。つまり、チップ12が高温になると、センスエミッタ電流が増大する問題があった。したがって、チップ12が高温になると過電流を誤検出するおそれがある。
しかしながら、本発明の実施の形態1の補正回路16は、温度測定部14により測定された温度が予め定められた値よりも大きくなった場合に、ゲート駆動信号の電圧を低下させて第2ゲート12bに印加する。図4は、チップ各部における波形図である。チップ12の温度が予め定められた温度より低いとき場合(例えば室温)は、第2ゲート12bに第1ゲート12aと同じ電圧V1を印加する。他方、チップ12の温度が予め定められた温度より高いときは、第2ゲート12bにV1より低い電圧V2を印加する。これにより、チップ12が高温になったことによる過電流の誤検出を回避できる。
実施の形態1に係る半導体装置は様々な変形が可能である。例えば、チップ12が十分に放熱される環境にありチップ12が高温になることが想定しづらい場合は、図4で説明した高温時における電圧の補正は不要である。また、半導体素子はIGBT、パワーMOSFET又はその他の素子で構成することができる。保護回路17は、電流検出素子のエミッタ電流が予め定められた値よりも大きくなったときに、ゲート駆動信号の電圧を低下させるか、ゲート駆動回路をシャットダウンすることができる構成であれば図1の構成に限定されない。
これらの変形は以下の実施の形態に係る半導体装置にも適宜応用できる。なお、以下の実施の形態に係る半導体装置は、実施の形態1との共通点が多いので実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る半導体装置のチップ各部における波形図である。実施の形態2の補正回路は、半導体素子をターンオンする際のミラー期間が開始してから予め定められた期間まで第2ゲート12bに電圧を印加しない。具体的には、ミラー期間の後半を過ぎてから第2ゲート12bに電圧を印加する。これにより、ミラー期間においてセンスエミッタ電流が非常に大きくなることを防止できる。
ところで、半導体素子が形成されたチップ12の入力側には、第2ゲート12bへのノイズの影響を低減するためのフィルタを設けることがある。しかし、本発明の実施の形態2では、ミラー期間が開始してから予め定められた期間まで第2ゲート12bに電圧を印加しないので、当該フィルタを省略したり、当該フィルタの時定数を小さくしたりすることができる。
実施の形態1の補正回路は、第1ゲートにゲート駆動信号が印加されてからミラー期間が終わるまで、ゲート駆動信号の電圧を減じて第2ゲートに印加するものであった。他方、実施の形態2の補正回路は、ミラー期間が開始してから予め定められた期間まで第2ゲートに電圧を印加しないものである。これらの方法以外の方法で、センスエミッタ電流が大きくなる問題を解消してもよい。要するに、補正回路は、ミラー期間において、第1ゲートに印加される電圧よりも低い電圧を第2ゲートに印加するものであればよい。
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る半導体装置の回路図である。この半導体装置は、半導体素子が形成されたチップ50と、電流検出素子が形成されたチップ60を備えている。チップ50(半導体素子)は、第1ゲート50a、コレクタ50b及びメインエミッタ50cを備えている。チップ60(電流検出素子)は、第2ゲート60a、コレクタ60b及びセンスエミッタ60cを備えている。このように、半導体素子と電流検出素子は別チップで形成されている。
チップ50には、半導体素子の温度を測定する温度測定部62が設けられている。補正回路16には記憶部64が設けられている。記憶部64には、半導体素子の温度と、半導体素子と電流検出素子の温度差との対応が記憶されている。従って、半導体素子の温度が分かれば、記憶部64のデータを参照することで、半導体素子と電流検出素子の温度差がわかる。
図7は、チップ50、60の平面図である。チップ50の上面側には第1ゲート50aとメインエミッタ50cが形成されている。チップ60の上面側には第2ゲート60aとセンスエミッタ60cが形成されている。半導体素子が形成されたチップ50は、電流検出素子が形成されたチップ60より大きい。
補正回路16は、温度測定部62で測定された温度と記憶部64のデータから半導体素子と電流検出素子の温度差を求める。さらに、補正回路16は、この温度差により生じる半導体素子と電流検出素子の特性差を緩和するように第2ゲート60aに電圧を印加する。例えば、半導体素子と電流検出素子のエミッタ電流が正の温度特性をもち、半導体素子の温度が電流検出素子の温度より高い場合、補正回路16は第2ゲート60aの電圧を高める。言い換えれば、補正回路16は、前述の温度差が大きいほど、第2ゲート60aに印加する電圧を上昇させる。反対に、半導体素子と電流検出素子のエミッタ電流が負の温度特性をもち、半導体素子の温度が電流検出素子の温度より高い場合、補正回路16は第2ゲート60aの電圧を低下させる。
本発明の実施の形態3に係る半導体装置は、半導体素子と電流検出素子を別チップで構成したので、既存の半導体素子をそのまま利用できる点で便利である。また、半導体素子と電流検出素子を1つのチップに形成した場合と比べて、チップ内部の寄生抵抗の影響を受けにくくなる。よって、過電流検出の精度を高めることができる。
しかしながら、半導体素子と電流検出素子を別チップで構成したことにより、半導体素子と電流検出素子の間で温度差が生じてしまう。この温度差により、半導体素子と電流検出素子に特性差が生じると、過電流の検出精度を高めることができない。そこで、本発明の実施の形態3の補正回路は、上述のとおり、この温度差により生じる半導体素子と電流検出素子の特性差を緩和するように第2ゲートに電圧を印加する。よって、過電流の検出精度を高めることができる。
なお、ここまでで説明した各実施の形態は適宜に組み合わせて用いてもよい。
10 ゲート駆動回路、 12 チップ、 12a 第1ゲート、 12b 第2ゲート、 12c コレクタ、 12d メインエミッタ、 12e センスエミッタ、 14 温度測定部、 16 補正回路、 17 保護回路、 18 抵抗、 20 基準電源、 22 コンパレータ、 50 チップ、 50a 第1ゲート、 50b 第1コレクタ、 50c メインエミッタ、 60 チップ、 60a 第2ゲート、 60b コレクタ、 60c センスエミッタ、 62 温度測定部、 64 記憶部

Claims (8)

  1. ゲート駆動信号を生成するゲート駆動回路と、
    前記ゲート駆動信号が印加される第1ゲートを有する半導体素子と、
    第2ゲートを有する電流検出素子と、
    前記ゲート駆動信号を受け前記第2ゲートに電圧を印加する補正回路と、
    前記電流検出素子のエミッタ電流が予め定められた値よりも大きくなったときに、前記ゲート駆動信号の電圧を低下させるか、前記ゲート駆動回路をシャットダウンする保護回路と、を備え、
    前記補正回路は、ミラー期間において、前記第1ゲートに印加される電圧よりも低い電圧を前記第2ゲートに印加することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記補正回路は、前記第1ゲートに前記ゲート駆動信号が印加されてからミラー期間が終わるまで、前記ゲート駆動信号の電圧を減じて前記第2ゲートに印加することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記補正回路は、ミラー期間が開始してから予め定められた期間まで前記第2ゲートに電圧を印加しないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記半導体素子と前記電流検出素子は1つのチップに形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記半導体素子の温度を測定する温度測定部を備え、
    前記補正回路は、前記温度測定部により測定された温度が予め定められた値よりも大きくなった場合に、前記ゲート駆動信号の電圧を低下させて前記第2ゲートに印加することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記半導体素子と前記電流検出素子は別チップで形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体素子の温度を測定する温度測定部と、
    前記半導体素子の温度と、前記半導体素子と前記電流検出素子の温度差との対応が記憶された記憶部と、を備え、
    前記補正回路は、前記温度測定部で測定された温度と前記記憶部のデータから前記半導体素子と前記電流検出素子の温度差を求め、前記温度差により生じる前記半導体素子と前記電流検出素子の特性差を緩和するように前記第2ゲートに電圧を印加することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体素子と前記電流検出素子はコレクタを共有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
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