JP6263434B2 - 1,3−プロパンジオールの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、硫黄成分の多い天然油脂由来のグリセリンを用いる場合であっても、水素化触媒の活性を長時間持続させ、該グリセリンから1,3−プロパンジオールを工業的に効率よく製造する方法を提供することにある。
(1)原料グリセリンを、金属成分を含む吸着剤に接触させて該グリセリン中の硫黄成分を低減する吸着工程、及び前記工程で得られたグリセリンを水素化触媒の存在下で水素と反応させて1,3−プロパンジオールを生成させる水素化工程を含むことを特徴とする1,3−プロパンジオールの製造方法。
(2)原料グリセリンが天然油脂由来のグリセリンである前記(1)記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(3)前記金属成分を含む吸着剤が、コバルト、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及び白金からなる群より選択された少なくとも1種の金属成分を含む吸着剤である前記(1)又は(2)記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(4)前記金属成分を含む吸着剤が0価の金属を含む吸着剤である前記(1)〜(3)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(5)前記金属成分を含む吸着剤が0価のニッケルを含む吸着剤である前記(1)〜(4)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(6)前記吸着工程において原料グリセリンと吸着剤とを接触させる際の温度が10〜150℃である前記(1)〜(5)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(7)原料グリセリン中の硫黄分濃度が0.05〜10重量ppmである前記(1)〜(6)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(8)前記吸着工程においてグリセリン中の硫黄分濃度を1重量ppm以下に低減した後、得られたグリセリンを水素化工程に供する前記(1)〜(7)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
(9)前記水素化触媒が、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及び白金からなる群より選択される少なくとも一種の金属、並びに、モリブデン、タングステン、及びレニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属の2群の金属のうちいずれか一方の金属又は両方の金属を含む固体触媒である前記(1)〜(8)の何れか1に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
本発明において、原料グリセリンは、特に限定されず、精製グリセリンであってもよいし、粗製グリセリンであってもよい。また、上記グリセリンの原料についても特に限定されず、上記グリセリンは、例えば、エチレン、プロピレンなどから化学合成されたグリセリンであってもよいし、バイオディーゼルの製造における植物油などのエステル交換反応で生じるような天然資源由来のグリセリンであってもよい。さらに、上記グリセリンとしては、本発明のプロパンジオールの製造方法により得られる反応結果物(通常、プロパンジオールを含む組成物である)から回収した未反応のグリセリンを利用(再利用)することもできる。本発明では、特に、硫黄成分を多く含有する、バイオディーゼルの製造における植物油などのエステル交換反応で生じるような天然資源由来のグリセリン、すなわち、天然油脂(バイオマス)由来のグリセリンを用いる場合に大きな利益が得られる。とりわけ、原料グリセリン中の硫黄分濃度が0.05〜10重量ppm(特に、0.1重量ppmを超え且つ10重量ppm以下)であるようなグリセリンを原料として用いる場合に有利である。なお、上記硫黄成分としては、例えば、チオール化合物、チオエーテル化合物(スルフィド化合物)、チオフェンなどが挙げられる。
水素化工程では、前記吸着工程で得られたグリセリンを水素化触媒の存在下で水素と反応させて1,3−プロパンジオールを生成させる。
二酸化ケイ素(SiO2)(商品名「キャリアクトQ−15」、富士シリシア化学(株)製、細孔径:15nm)を触媒の担体として使用した。上記担体に、イリジウム(Ir)濃度が4.47重量%となるように調製した塩化イリジウム酸(H2IrCl6)水溶液を滴下して、上記担体全体を湿潤させた後、該担体を110℃で3時間乾燥させた。そして、このような塩化イリジウム酸水溶液の滴下と乾燥を繰り返して、イリジウムがSiO2に対して4重量%となるように担持させた。
次に、上記担体(イリジウムを担持させた担体)に、レニウム(Re)濃度が3重量%となるように調製した過レニウム酸アンモニウム(NH4ReO4)水溶液の滴下と乾燥を、先の塩化イリジウム酸水溶液の滴下と乾燥と同様に繰り返して、イリジウムとレニウムのモル比が1/2[イリジウム/レニウム]となるようにレニウムを担持させた。その後、乾燥後の担体(イリジウムとレニウムを担持させた担体)を、空気雰囲気下(大気中)、500℃、3時間の条件で焼成して、Ir−Re触媒[Ir−ReOx/SiO2]を調製した。
(硫黄成分の除去)
テフロン(登録商標)製の内筒容器を備えたチタン製オートクレーブ(内容量980ml)を用いた。上記のテフロン(登録商標)容器の中にスポンジニッケル触媒(日揮触媒化成(株)製、商品名「N−154D」)16g及び天然油脂由来のグリセリン(和光純薬工業社製の特級試薬)160g(硫黄分濃度:8.5重量ppm)を入れて、オートクレーブを密閉し、オートクレーブ内を水素置換後、40℃まで昇温し、0.5MPaで3時間撹拌した。その後、オートクレーブを冷却、開放し、遠心分離によってグリセリンとスポンジニッケル触媒を分離した。得られたグリセリン中の硫黄分濃度は0.04重量ppmであった。
上記で得られたグリセリンを用いて水素化反応を行った。SUS316製オートクレーブとガラス製の内筒から構成される反応器内に、製造例1で調製したIr−Re触媒0.075g及び水2.0gを充填し、反応器内を水素置換後、200℃まで昇温し、8MPaで1時間触媒を還元した。還元後、オートクレーブを冷却、開放し、上記で得られたグリセリン8.0gを仕込み、再度反応器を密閉した。反応器内を水素置換後、120℃まで昇温し、8MPaまで水素を張り込み、96時間反応を行った。
反応終了後の反応液を分析した結果、グリセリンの転化率は7.4%で、各生成物の選択率は1,3−プロパンジオール40.5%、1,2−プロパンジオール45.8%、1−プロパノール7.4%、2−プロパノール5.9%であり、1,3−プロパンジオールの収率は3.0%であった。
(硫黄成分の除去)
テフロン(登録商標)製の内筒容器を備えたチタン製オートクレーブ(内容量980ml)を用いた。上記のテフロン(登録商標)容器の中にスポンジニッケル触媒(日揮触媒化成(株)製、商品名「N−154D」)16g及び天然油脂由来のグリセリン(和光純薬工業社製の特級試薬)160g(硫黄分濃度:8.5重量ppm)を入れて、オートクレーブを密閉し、オートクレーブ内を窒素置換後、100℃まで昇温し、12MPaで3時間撹拌した。その後、オートクレーブを冷却、開放し、遠心分離によってグリセリンとスポンジニッケル触媒を分離した。得られたグリセリン中の硫黄分濃度は0.10重量ppmであった。
上記で得られたグリセリンを用いて実施例1と同様の方法で水素化反応を行った。反応終了後の反応液を分析した結果、グリセリンの転化率は7.6%で、各生成物の選択率は1,3−プロパンジオール42.3%、1,2−プロパンジオール45.0%、1−プロパノール7.0%、2−プロパノール5.5%であり、1,3−プロパンジオールの収率は3.2%であった。
天然油脂由来のグリセリン(和光純薬工業社製の特級試薬)160g(硫黄分濃度:8.5重量ppm)を用いて、実施例1と同様の方法で水素化反応を行った。反応終了後の反応液を分析した結果、グリセリンの転化率は0.1%で、各生成物の選択率は1,3−プロパンジオール42.0%、1,2−プロパンジオール43.0%、1−プロパノール10.0%、2−プロパノール5.0%であり、1,3−プロパンジオールの収率は0.0%であった。
(硫黄成分の除去)
テフロン(登録商標)製の内筒容器を備えたチタン製オートクレーブ(内容量980ml)を用いた。上記のテフロン(登録商標)容器の中にスポンジニッケル触媒(日揮触媒化成(株)製、商品名「N−154D」)16g及びグリセリン(Vance Bioenergy社製の精製グレード品)160g(硫黄分濃度:8.5重量ppm)を入れて、オートクレーブを密閉し、オートクレーブ内を水素置換後、40℃まで昇温し、0.5MPaで3時間撹拌した。その後、オートクレーブを冷却、開放し、遠心分離によってグリセリンとスポンジニッケル触媒を分離した。得られたグリセリン中の硫黄分濃度は0.09重量ppmであった。
(硫黄成分の除去)
テフロン(登録商標)製の内筒容器を備えたチタン製オートクレーブ(内容量980ml)を用いた。上記のテフロン(登録商標)容器の中にスポンジニッケル触媒(日揮触媒化成(株)製、商品名「N−154D」)16g及びグリセリン(Vance Bioenergy社製の精製グレード品)160g(硫黄分濃度:0.30重量ppm)を入れて、オートクレーブを密閉し、オートクレーブ内を窒素置換後、100℃まで昇温し、12MPaで3時間撹拌した。その後、オートクレーブを冷却、開放し、遠心分離によってグリセリンとスポンジニッケル触媒を分離した。得られたグリセリン中の硫黄分濃度は0.05重量ppm以下であった。
Claims (4)
- 原料グリセリンを、金属成分を含む吸着剤に接触させて該グリセリン中の硫黄成分を低減する吸着工程、及び前記工程で得られたグリセリンを水素化触媒の存在下で水素と反応させて1,3−プロパンジオールを生成させる水素化工程を含む1,3−プロパンジオールの製造方法であって、
前記金属成分を含む吸着剤が、ラネータイプのニッケル含有合金を含む吸着剤であって、ニッケルの総含有量(金属換算)が吸着剤中の金属成分の全量(金属換算)に対して20重量%以上であり、
前記水素化触媒が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及び白金からなる群より選択される少なくとも一種の金属と、レニウムとを含む固体触媒であり、
前記吸着工程においてグリセリン中の硫黄分濃度を0.1重量ppm以下に低減した後、得られたグリセリンを水素化工程に供することを特徴とする1,3−プロパンジオールの製造方法。 - 原料グリセリンが天然油脂由来のグリセリンである請求項1記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
- 前記吸着工程において原料グリセリンと吸着剤とを接触させる際の温度が10〜150℃である請求項1又は2に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
- 原料グリセリン中の硫黄分濃度が0.05〜10重量ppmである請求項1〜3の何れか1項に記載の1,3−プロパンジオールの製造方法。
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