JP6263080B2 - 金属空気電池 - Google Patents
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Description
再び電力を取り出そうとしても、電力を使い切った後で取り出せないという事態が生じ、再び使いたいときは、新しい電池を用意しなければならなかった。
この構成によれば、筐体を上下に反転させる、という容易な作業で電池反応を中断させることができる。
この構成によれば、金属極を容易に待避部に移動させて電池反応を容易に中断させることができる。
また、前記電解液の容積は、前記筐体の容積の30%以上、70%以下が好ましい。30%未満であると、マグネシウム極と反応する面積が少なくなって、取り出せる電池容量が少なくなる。また、70%より多いと、電解液が注入されない退避部の空間が少なくなって、電解液又はマグネシウム極を移動させたとしても、電池反応を中断させることができなくなる。この構成によれば、電解液を待避部に待避可能にしつつ電池の体積エネルギー密度を確保することができる。
また、前記筐体内に、前記筐体の上下の反転により生じる電解液の流れの流速を下げる流速低減部材を設けるようにしても良い。この構成によれば、電解液が勢い良く移動することによる金属極等の悪影響を抑えることができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の金属空気電池の第1実施形態に係るマグネシウム空気電池10の斜視図である。
マグネシウム空気電池10は、図1に示すように、合成樹脂等の剛性材料で形成された縦長中空構造の筐体(外装体)11を備え、筐体11外に露出する空気極13と、空気極13と対向するように筐体11内に収容されるマグネシウム極(金属極)15とを備えている。本構成のマグネシウム空気電池10は、空気極13が正極として作用し、マグネシウム極15が負極として作用する一次電池である。
筐体11は、上下(鉛直方向)に延びる直方体形状であり、上下長の次に前後長が長く、左右長が最も短い箱型に形成されている。詳述すると、この筐体11は、左右一対の側板11L、11Rと、各側板11L、11Rの前縁間を塞ぐ前板11Aと、各側板11L、11Rの後縁間を塞ぐ後板11B、各側板11L、11Rの上縁間を塞ぐ上板11Cと、各側板11L、11Rの下縁間を塞ぐ底板11Dとを一体的に備える。なお、ここでは前後左右の水平方向については、後述する空気極13に連結される正極端子18と、マグネシウム極15に連結される負極端子19とが前方向に設けられている。
この一対の支持板17Aは、マグネシウム極15を、右側板11Rから離れた位置にフローティング支持することにより、マグネシウム極15を右側板11Rに接着等で直接取り付ける場合よりも空気極13に近づけて支持する。
これによって、マグネシウム極15と空気極13との離間距離が小さくなり、後述する放電反応の際に比較的高い電圧を確保し易くなる。
なお、正・負極板13、15間の離間距離が適正範囲内であれば、上記支持板17Aを用いずに、マグネシウム極15を右側板11Rに接着等で直接取り付ける構成にしても良い。
上板11Cには、上下に貫通する貫通孔部21が設けられるとともに、この筐体11を図1に示す電池使用状態から上下に反転させた姿勢(後述する図2)で立設させるための複数(本構成では4本)の足部22が設けられる。
この貫通孔部21は、筐体11内に電解液30を注入したり、後述する放電反応によって筐体11内に生じたガス(本構成では水素ガス)を排出したりするためのガス排出口等に使用され、この貫通孔部21を塞ぐ蓋体(例えば、シリコンキャップ)23が着脱自在に設けられる。
この貫通孔部31は、筐体11を図1に示す使用状態から上下に反転させた姿勢(後述する図2)のときに筐体11内に生じたガスを排出するためのガス排出口等に使用され、貫通孔部31を塞ぐ蓋体(例えば、シリコンキャップ)33が着脱自在に設けられる。
また、この貫通孔部31を、電解液30を注入するときの電解液注入口としても使用することが可能である。なお、図1に示す例では、筐体11を左右半割構造で形成し、内部に空気極13やマグネシウム極15を組み込んだ後に互いを溶着等で接合する組立構造にした場合を示している。
空気極本体は、所定粘度に調整された導電材料スラリーを集電体に塗布した後に焼成して形成される。具体的には、導電材料としてケッチェンブラック粉末を用い、これに触媒として白金を担持させ、水と攪拌混合する。その後、これらをバインダーとして用いられるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性分散液に投入し、攪拌混合することにより所定の粘度の導電材料スラリーを調合する。そして、このスラリーを厚さ1.1mmの発泡ニッケルからなる集電体に塗布した後、100℃で乾燥し、270℃で焼成して、空気極本体となる。前記空気極本体の周囲は予めコイニングされ、その一部に前方向に延出する正極端子18が接続されている。
網状支持体は、ステンレススチール製のエキスパンドメタルで形成された幅0.6mmのストランドで、縦1.7mm、横2.2mmの網目を持つ目の細かいものである。網状支持体は、圧着した絶縁性多孔質シートの外側の面に配置され、空気極本体の周囲と共にその周囲を結着材で結着される。なお、この構成に限らず、開口部を持つ2枚の合成樹脂性パネルで空気極13を挟み込む様にして取り付けても良い。これによって、空気極13は、外部の空気をマグネシウム空気電池10の内部に通気可能とし、内部の電解液30は外部に透過不能な非透水性を有する。
電解液30は、アニオンとして塩化物イオンを含み、カチオンとしてアルカリ金属イオン(Li,Na,K,Rb,Cs,Fr)、アルカリ土類金属イオン(Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra)の少なくとも1つを含む水溶液が用いられる。本実施形態では、電解液30として、安全性及び導電性の高い点からナトリウムイオンを含む塩化ナトリウム水溶液(濃度10%程度)が用いられるが、特にこれに限定されない。
(マグネシウム極)
マグネシウムの発電反応:Mg+2OH−→Mg(OH)2+2e−
マグネシウムの自己放電:Mg+2H2O→Mg(OH)2+H2
そして、電池として使用する場合には、筐体11の容積の30%以上、70%以下に相当する量の電解液30が筐体11内に注入される。ここで、図1では、筐体11の容積の50%に相当する量の電解液30が注入された場合を示している。
このため、図1に示すように、筐体11の底板11Dに設けられた足部32を使用して筐体11を立設させた状態、つまり、空気極13及びマグネシウム極15を有する一方の空間SAが他方の空間SBより下方に位置した状態では、空気極13とマグネシウム極15とが電解液30に浸かる。これによって、上記の放電反応(電池反応)を行うことができる。
上下に反転させた場合、筐体11の上板11Cに設けられた足部22を使用することによって、上下に反転した姿勢で筐体11を立設させることができる。
この場合、空気極13とマグネシウム極15が収容される一方の空間SAが、他方の空間SBよりも上方に位置するため、重力の作用により電解液30が空間SAから流出して他方の空間SB内に流入し、電解液30を空気極13とマグネシウム極15との間から待避させることができる。このため、上記の放電反応(電池反応)を行うことができなくなり、放電反応を中断させることができる。
すなわち、ユーザーがマグネシウム空気電池10を把持し、上下に反転させることによって、電解液30を、電池反応を中断可能な待避部として機能する空間SBに容易に移動させることができ、容易に電池反応を中断させることができる。
この図1の状態では、上板11C及び底板11Dに設けられた蓋体23、33のうち、上側に位置する蓋体23を外すことによって、放電反応によって筐体11内に発生するガス(本構成では水素ガス)を上方に排出することができる。これによって、内部ガスによる正・負極板13、15や筐体11等への悪影響を回避することができる。
なお、この図2に示す状態の場合、上下一対の蓋体23、33のうち、上側に設けられた蓋体(底板11Dに設けられた蓋体)33を外すことによって、上下反転後であっても、内部に残留するガス(水素ガス)や、正・負極板13、15間に残留する電解液30の影響で発生するガス(水素ガス)を上方に排出することができる。これによって、放電反応を中断した状態が継続しても、内部ガスによる正・負極板13、15や筐体11等への悪影響を回避することができる。
また、本構成では、図1に示すように、一対の支持板17A間に上下に連続する隙間が形成されているので、マグネシウム空気電池10を上下にひっくり返す場合に、支持板17Aが電解液30の流れを妨げない。また、マグネシウム極15及び空気極13側が垂直に配置されているので、マグネシウム空気電池10を上下にひっくり返す場合に、これら正・負極板15、13についても電解液30の流れを妨げない。従って、本構成では、空間SA、SB間の電解液30の流れを円滑化することが可能であり、空間SAに残留する電解液30を低減し、電池反応を迅速に中断させることが可能である。
図3は、マグネシウム空気電池10を周辺回路と共に示した図である。
図3では、複数のマグネシウム空気電池10を直列に接続し、両端のマグネシウム極15と空気極13とにDC−DC変換装置(電力変換装置)125が接続される。DC−DC変換装置125は、直流電力を異なる直流電力に変換する変換回路126を備える。これによって、電池反応により出力された直流電力は、携帯電話の充電等に適した直流電力に変換されて出力される。
本構成では、マグネシウム合金を用いることにより、電池反応で発生する酸化物(例えば、亜鉛酸化物)によって、マグネシウム極15の表面に自己放電を阻害し水素の発生を抑制する不動態皮膜(保護被膜とも言う)を形成し、自己放電反応を抑制することができる。
そこで、本構成では、マグネシウム極15と空気極13との間に、開閉式の短絡回路131を設けている。この開閉式の短絡回路131は、直列接続されたマグネシウム空気電池10の両端のマグネシウム極15と空気極13との間に接続され、ユーザーが手動で開閉可能な手動式のスイッチ(いわゆる手動スイッチ)に構成されている。
このため、リフレッシュ後に短絡回路131を閉から開へと戻すことにより、電池反応を再開させることができ、十分な電流を直ぐに出力可能となる。これによって、マグネシウム空気電池10の出力側に利用側機器を接続すれば、その利用側機器の駆動や充電に適した電力を直ぐに供給することが可能になる。
なお、全てのマグネシウム空気電池10を直列接続させた状態で短絡させるため、個々のマグネシウム空気電池10毎に開閉式の短絡回路131を設ける場合に比して、大電流を流し易くなるとともに、部品点数を削減可能である。
しかも、同図3に示すように、短絡回路131を、変換回路126の入力側(マグネシウム空気電池10側)に設けているので、短絡回路131を閉に切り替えた場合にできる閉回路上に変換回路が存在せず、その分、閉回路中の抵抗を小さくすることができる。従って、効率良く大電流(短絡電流)を流すことができ、マグネシウム空気電池10を効率良くリフレッシュさせることができる。
しかも、筐体11の上下を反転した場合に、重力の作用により電解液30が空気極13とマグネシウム極15との間から流出して空間SBに流入するので、筐体11を上下に反転させる、という容易な作業で電池反応を中断させることができる。また、再び上下を反転することによって、電解液30を空間SBから空気極13とマグネシウム極15との間に容易に移動させることもでき、容易な作業で電池反応を再開させることができる。
また、電解液30は、水系であるため、重力を利用して容易かつ迅速に電解液30を移動させることができる。
本構成では、上記条件を満たす範囲で、電解液30の容積を筐体11の容積の30%以上、70%以下に規定することにより、電池の体積エネルギー密度を確保することができる。
また、本構成は、マグネシウム極15を支持する支持部材17(一対の支持板17A)に上下に連続する隙間を有し、且つ、マグネシウム極15及び空気極13が垂直方向に沿って配置されるため、支持部材17、マグネシウム極15及び空気極13が電解液30の流れを妨げない。従って、マグネシウム極15と空気極13との間に残留する電解液30を低減し、電池反応を迅速に中断させることが可能である。
しかも、この短絡回路131は、組電池10Aのマグネシウム極15と空気極13との間に設ければ良く、簡易に設けることができる。従って、部品点数の増大や装置の大型化を抑えることができ、コストアップを抑え易くなる。
また、この開閉式の短絡回路131は、手動式のスイッチで構成されるため、これによっても、簡易に構成でき、且つ、ユーザーが操作し易い。
より具体的には、図4の例では、筐体11を上下に2分割する位置(空間SA、SBの境界位置)に、複数の孔を有する仕切り板35を延在させて配置している。これにより、筐体11を上下に反転させたときに電解液30の流れを仕切り板35で抑えながら仕切り板35の孔を通過させて他方の空間SB(退避部)に流入させ、電解液30の流速が抑えられる。
なお、マグネシウム極15等への悪影響を十分に抑えることが可能な範囲で、仕切り板35を小型にしたり、仕切り板35の位置を変更したりしても良い。また、孔が開いた仕切り板35を用いる方法に限らず、電解液30の流速を下げることが可能な他の流速低減部材を広く適用可能である。
図5及び図6は、第2実施形態に係るマグネシウム空気電池10を示しており、図5は電池使用状態を示し、図6は上下に反転して電池反応を中断させた状態(電池不使用状態)を示している。また、第2実施形態に係るマグネシウム空気電池10も、第1実施形態と同様のDC−DC変換装置(電力変換装置)125を備えている。なお、第1実施形態と同様の構成は、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
第2実施形態のマグネシウム空気電池10は、合成樹脂等の剛性材料で形成された横長中空構造の筐体(外装体)11を備え、筐体11外に露出する空気極13と、空気極13と対向するように筐体11内に収容されるマグネシウム極(金属極)15とが底板11Dと平行(水平)に配置されている。また、筐体11の前板11Aに、空気極13に連結される正極端子18と、マグネシウム極15に連結される負極端子19が設けられている。
また、これら円柱部材17Bは、前後左右に間隔を空けて配置されるので、水平方向(前後方向及び左右方向)に連続する隙間が形成され、電解液30の前後左右の流れを妨げない。
なお、正・負極板13、15間の離間距離が適正範囲内であれば、上記支持部材17(円柱部材17B)を用いずに、マグネシウム極15を底板17Dに接着等で直接取り付ける構成にしても良い。
また、図6に示すように、底板11Dには、空気極13を避けた領域に上下に貫通する貫通孔部31が設けられるとともに、筐体11を図5に示す使用状態で立設させるための複数(本構成では4本)の足部32が設けられる。
また、貫通孔部21、31には、蓋体(例えば、シリコンキャップ)23、33が着脱自在に設けられている。
そして、電池として使用する場合には、筐体11の容積の30%以上、70%以下に相当する量の電解液30が筐体11内に注入される。ここで、図5では、筐体11の容積の40%に相当する量の電解液30が注入された場合を示している。
図5に示す状態では空気極13が下側に配置されており、空気極13が床や地面に密着すると空気の取り込みが阻害されるおそれが考えられるが、本構成では、足部32によって、空気極13が床等から離間して配置し、空気を十分に取り込めるようにしている。このため、適切に放電反応を行うことができる。
一方、図5に示す状態から上下に反転することにより、重力により電解液30が空気極13とマグネシウム極15との間から流出して空間SB(退避部)に流入する。このため、図6に示すように、電解液30が空気極13とマグネシウム極15との間(空間SA)に電解液30が存在せず、放電反応を行うことができない。
従って、図5に示す状態から上下に反転して図6に示す状態にすることにより、放電反応を中断させることができる。
また、本構成では、マグネシウム極15を支持する支持部材17(円柱部材17B)に水平方向(前後方向及び左右方向)に連続する隙間を空けている。このため、筐体11が水平方向に延びる中空構造であるために支持部材17間に上下に連続する隙間を形成困難な構成であっても、上下に反転したときに支持部材17が電解液30の流れを妨げない。従って、マグネシウム極15と空気極13との間に残留する電解液30を低減し、電池反応を迅速に中断させることが可能である。
図7(A)及び図7(B)は、第3実施形態に係るマグネシウム空気電池10を模式的に示した図である。また、第3実施形態に係るマグネシウム空気電池10も、上記実施形態と同様のDC−DC変換装置(電力変換装置)125を備えている。なお、上記実施形態と同様の構成は同一の符号を付して示し、重複する説明は省略する。また、図7(A)及び図7(B)に示す各方向は、図1に示す前後左右、及び、上下の各方向と同じである。
このマグネシウム空気電池10は、マグネシウム極15を下方の空間SAと上方の空間SB(退避部)との間に移動自在に支持するスライド支持部47を有している。
より具体的には、このスライド支持部47は、筐体11と同様合成樹脂等の合成樹脂で形成されており、右側板11R及び左側板11Lから筐体11内部に向けて突出する一対の支持板47Aを有し、これら支持板47Aに上下の空間SA、SBに渡って連続し、マグネシウム極15を上下にスライド自在にするスライド溝47Bが形成されている。
なお、本実施形態では、スライド溝47Bが上方に開放する溝に形成され、マグネシウム極15がスライド溝47Bの下端に当接することにより、下方の空間SA内にマグネシウム極15を位置決めすることができる。
また、一対のスライド溝47Bには、マグネシウム極15を上方の空間SB内に仮支持するための突起状の仮支持部材49が設けられる。本実施形態では、仮支持部材49は、スライド支持部47に一体に設けられ、スライド溝47Bの幅を狭めるように突出する形状に形成されている。
なお、放電反応を再開したい場合には、ユーザーは、マグネシウム極15を下方に向けて若干強く移動させることにより、仮支持部材49が弾性変形によりマグネシウム極15から待避し、マグネシウム極15を下方の空間SAに容易に移動させることができる。これにより、放電反応を容易に再開することもできる。
また、電池反応を再開させるために、マグネシウム極15を電解液30が貯留される下方の空間SAに移動する場合には、上方へ引き出した負極端子19の先端を下方に押し下げることで、マグネシウム極15を下方に移動させることができる。
電池反応を中断させるためにマグネシウム極15を上下に移動させる場合にユーザーが操作する操作部は、本実施形態では負極端子15を兼用しているが、これとは別に独立した専用の操作部を別途設けることが好ましい。専用の操作部として、材料を絶縁性を有する部材で形成したり、位置を操作しやすい場所に形成したりすることで、マグネシウム極15の上下動の操作性等に優れた操作部とすることが可能である。
しかも、マグネシウム極15を空間SBに向けてスライド自在に支持するスライド支持部47を設けるようにしたので、マグネシウム極15の空間SBへの移動を容易に行うことができる。また、第1及び第2実施形態の上下に反転する構成と比べて、上板11Cに足部22(図1、図2、図4〜図6)を設ける必要がなく、底板11Dに貫通孔部31及び蓋体33(図1、図2、図4〜図6)を設ける必要がない、というメリットが得られる。
また、このマグネシウム空気電池10においても、電解液30の容積を筐体11の容積の30%以上、70%以下に規定することにより、電池の体積エネルギー密度を確保することができる。
例えば、上記各実施形態において、筐体11を直方体形状に形成する場合を説明したが、筐体11の形状は適宜に変更しても良く、空気極13やマグネシウム極15の形状も適宜に変更しても良い。また、第3実施形態のスライド支持部47についても、公知のスライド機構を広く適用することができ、また、スライド機構以外の移動機構を用いて、マグネシウム極15を移動自在に設けるようにしても良い。
例えば、150度回転させた場合も、空気極13とマグネシウム極15を有する空間SAが、他方の空間SBよりも上方になるので、電解液30を空間SBに流入させて電池反応を中断させることができる。厳密には、90度を超えて回転させれば、空間SAが空間SBよりも上方になるので、電解液30を空間SBに流入させて電池反応を中断させることができる。従って、電池反応を中断させるための筐体11の上下の反転は180度以外を含んでも良い。
例えば、金属極に亜鉛、鉄、アルミニウム等の金属又はその合金を用いることが可能である。金属極に亜鉛を用いた場合は、電解液30に水酸化カリウム水溶液を用いるようにすれば良く、金属極に鉄を用いた場合は、電解液30にアルカリ系水溶液を用いるようにすれば良い。また、金属極にアルミニウムを用いた場合は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む電解液30を用いるようにすれば良い。
また、上記の各実施形態の短絡回路131については公知の構成を広く適用することができる。例えば、図8(A)に示すように、抵抗とスイッチとで構成される開閉式の抵抗放電回路133を適用し、この抵抗放電回路133のスイッチを開から閉へと一時的に切り替えることによって、組電池10Aを含む閉回路を形成するようにしても良い。
サーキットプロテクタスイッチ133Sを使用することにより、電流値が許容電流以下に設定された所定値を超える前に自動的にスイッチ開にすることができ、回路の保護等を図り易くなる。また、スイッチ開にする操作を不要にすることができるとともに、無断に放電しなくて良いので、放電電力のロスも低減することもできる。また、サーキットプロテクタスイッチ33Sは広く流通する部品であるため、コストアップ低減にも有利である。
また、上記の各実施形態において、DC−DC変換装置125を備えないようにしても良い。この場合でも、組電池10Aのマグネシウム極15と空気極13の間に、開閉式の短絡回路131(抵抗放電回路133を含む)を設けることにより、電池反応を再開させ易くなる、等の上記実施形態と同様の各種効果を得ることができる。
積算電流値を検出することにより、マグネシウム空気電池10をリフレッシュできたか否かを判断可能な情報を得ることができる。自動スイッチ機能においては、例えば、マグネシウム空気電池10をリフレッシュさせるのに十分な積算電流値に至ると、短絡回路131をスイッチ開に切り替えるように予め閾値が設定される。これによって、積算電流値が閾値に至ると自動的に開回路に切り替わり、リフレッシュ動作を終了させることができる。従って、開回路に切り替えるためのユーザー操作を不要にすることができ、且つ、放電電力のロスを低減することができる。積算電流検出部135についても公知の構成を広く適用可能である。
経過時間を検出することにより、マグネシウム空気電池10をリフレッシュできたか否かを判断可能な情報を得ることができる。自動スイッチ機能においては、例えば、マグネシウム空気電池10をリフレッシュさせるのに十分な経過時間に至ると、短絡回路131をスイッチ開に切り替えるように予め閾値が設定される。これによって、経過時間が閾値に至ると自動的に開回路に切り替わり、適切なタイミングでリフレッシュ動作を終了させることができる。従って、開回路に切り替えるためのユーザー操作を不要にすることができ、且つ、放電電力のロスを低減することができる。時間検出部についても公知の構成を広く適用可能である。
また、上記の実施形態では、アルミニウムと亜鉛を添加したマグネシウム極15を備えるマグネシウム空気電池10に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、少なくとも亜鉛を添加したMg−Zn系合金のマグネシウム空気電池に本発明を適用しても良い。
さらに、亜鉛を含まないマグネシウム極を備える金属空気電池や、マグネシウム以外の金属極を備える金属空気電池であっても、本発明を適用しても良い。要は、金属極の素材等により休止後に電池反応の再開が困難になるおそれのある金属空気電池に、本発明を広く適用可能である。
11 筐体(外装体)
13 空気極(正極)
15 マグネシウム極(金属極、負極)
21、31 貫通孔部(ガス排出口、電解液注入口)
30 電解液
35 仕切り板(流速低減部材)
47 スライド支持部(スライド機構)
125 DC−DC変換装置(電力変換装置)
131 短絡回路
133 抵抗放電回路
135 積算電流検出部
SA 空間
SB 空間(待避部)
Claims (9)
- 筐体内に電解液を介して対向する空気極と金属極とを備える金属空気電池において、
前記筐体内に、前記電解液が移動して電池反応を中断可能な待避部を設け、前記筐体の上下を反転した場合に、重力の作用により前記電解液が前記空気極と前記金属極との間から流出して前記待避部に流入することを特徴とする金属空気電池。 - 筐体内に電解液を介して対向する空気極と金属極とを備える金属空気電池において、
前記筐体内に、前記金属極が移動して電池反応を中断可能な待避部を設け、前記金属極を前記待避部に向けてスライド自在に支持するスライド支持部を設けたことを特徴とする金属空気電池。 - 前記空気極と前記金属極とを含む閉回路を選択的に形成する回路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属空気電池。
- 前記閉回路を流れる積算電流値を検出する積算電流検出部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の金属空気電池。
- 前記電解液は水系であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属空気電池。
- 前記電解液の容積は、前記筐体の容積の30%以上、70%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の金属空気電池。
- 前記筐体内で発生したガスを排出するガス排出口が前記筐体の上部又は下部の少なくともいずれかに設置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属空気電池。
- 前記筐体内に、前記筐体の上下の反転により生じる電解液の流れの流速を下げる流速低減部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の金属空気電池。
- 前記金属極はマグネシウム極であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の金属空気電池。
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