JP6261097B2 - 水素水及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素を豊富に含む水素水に関するもので、特に、長い間水素濃度を高くできる水素水及びその製造方法に関するものである。
近年、還元力が高い水素(水素分子、原子状水素、マイナス水素イオン、水素化物イオン)には、強い酸化力によってタンパク質やDNA等に損傷を与えて癌、糖尿病、高血圧、心臓病等の生活習慣病を引き起こすとされている活性酸素を除去する働きがあることがわかってきており、健康志向の高まりと相俟って、水素が含まれている水(所謂、水素水、活性水素水と呼ばれるものである)に高い注目が集められている。
このような水素水、活性水素水(以下、両者を区別することなく単に水素水とする)への関心が高まるにつれ、それらの製造手法も様々開発されており、例えば、水の電気分解により水素水を製造する方法、マグネシウム等の金属と水の反応により水素水を製造する方法、水素ガスを加圧等により水に溶解させることで水素水を製造する方法(加圧溶解法/マイクロ・ナノバブル法)等が知られている。
ところが、一般的に、水素分子は分子が小さく水に溶けにくくて様々な材質を透過しやすいため、上述した従来の方法により製造された水素水では、工場で水素水を調製し、それを安価で取扱い易いPET(ポリエチレンテレフタレート)容器に充填しても、水素分子がPET容器から容易に抜け出てしまい、水素濃度を高い状態で長期間維持することは非常に困難で、PET容器での長期保管や流通には向かないとされていた。
また、従来の方法により製造された水素水では、PET容器よりも水素が抜け難いとされているアルミパウチ等のアルミ容器に充填した場合でも、容器を開封した直後から水素が大気中に散逸してしまい、開封後直ぐに一気に飲まなければ水素が急激に減って殆どなくなってしまっていた。
商品形態が電解等により水素を生成する家庭用や工業用の所謂、水素水サーバー等の設置型のものでも、水素が生成直後から散逸してしまうことは同様である。
したがって、従来、水素水の水素濃度を高いままで長い間維持するのは難しく、水素濃度が高い状態で摂取することは困難であった。このため、水素を効率的に体内に取り入れて水素による病気予防や健康増進等といった有用な効能効果を得るのは難しいとされていた。
ここで、水素の寿命を長くする技術として、特許文献1及び特許文献2において、フッ素系カチオン交換膜からなる隔膜でアノード室とカソード室に分けてアノード電極及びカソード電極をフッ素系カチオン交換膜からなる隔膜に密着させた構造の電解槽にてカソード電解により生成した水素と、糖類やポリフェノールからなる還元性ヒドロキシル基を有する物質(細胞抽出成分)とを水に含有させた水素水が開示されている。この特許文献1及び特許文献2の水素水によれば、糖類やポリフェノールからなる還元性ヒドロキシル基を有する物質を溶存水素分子安定化剤として、水素分子を含有する電解還元水素水と相互作用させることで、溶存水素の寿命を長くできるとされている。
また、水素を含有する飲料に関し、更に還元力を高めるとして、特許文献3では、アミノ酸、アスコルビン酸、フェノール化合物、オキシ酸類、リン酸、リン酸誘導体、コーヒ‐酸誘導体、及びフラボノイドのうち少なくとも一種を用いる抗酸化物質を水素ガスと接触させる前の原水に添加することにより、また、特許文献4では、茶類、果実・野菜・植物類、糖・甘味料類、ポリフェノール類、ビタミン及び補酵素類、アミノ酸・タンパク質類、酸化還元酵素、クエン酸及び酵母エキスからなる群から選択される少なくとも一種の機能性原料を水素を含有する水素水に添加することにより、還元性の持続性を高めた還元性の高い飲料が開示されている。
特開2015‐009175号公報 再表2008/062814号公報 特開2005‐296794号公報 特開2013‐169153号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2では、実施例において、細胞抽出物質が添加されていないものと比較して、細胞抽出物質が添加されているものは製造から24時間後において、酸化還元電位の増大が少なくなっているが、24時間後以降は不明である。また、PET容器に入れた6カ月後においても、細胞抽出物質(実施例ではグルコース、ショ糖、オリゴ糖、CMC)が添加されていないものと比較して、酸化還元電位の増大が少なくなってはいるものの、製造直後の酸化還元電位は維持されていない。特に、還元性ヒドロキシル基を有する物質を添加しているため、酸化還元電位の指標のみでは、溶存水素量が不明である。
また、特許文献3及び特許文献4においては、所定物質の添加により酸化還元電位の上昇が抑制されているが、所定物質の添加は、飲料の還元力を高めて、酸化還元電位を低い値に維持し飲料自体の還元性の持続性を高めるためのものであり、水素濃度の維持を図るものではない。
そこで、本発明は、長い間水素濃度を高くでき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする水素水及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の水素水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とが混合されてなり、酸処理により沈殿物のない分散液を、それに浸漬させた陽極及び陰極の電極間への所定の電圧印加により励起してなる水素水であって、植物エキスが添加されたものである。
ここで、上記酸処理は、酸と混合して好ましくは、pH1以上、pH5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4以下とする。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。そして、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水との混合により生じる沈殿物を、酸を混合することによる酸処理によって溶解(分散)するものである。
更に、上記励起は、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
そして、上記植物エキスとしては、例えば、野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類のエキスが挙げられる。
ここで、上記「エキス」は、広義に捉え、植物成分を水やエタノール等の溶媒に浸して抽出したものに限定されず、植物から搾取した搾汁液等も含まれる。
特に、本発明にかかる水素水は、前記植物エキスが、野菜類、果実類、ハーブ・薬草類、豆、木の実類、花木類から選ばれる少なくとも1種のエキスであるものである。
請求項の水素水は、請求項の構成において、前記植物エキスが植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスであるものである。
上記食用部位としては、例えば、植物の実、花のつぼみ、茎(地下の茎を含む)、葉、根が挙げられる。
請求項の水素水の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液に酸を混合して沈殿物を溶解(分散)し、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間に所定の電圧を印加する水素水の製造方法であって、植物エキスを添加したものである。
ここで、上記酸と混合は、酸と混合して分散液を好ましくは、pH1以上、pH5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4以下とする。上記酸には、好ましくは有機酸が使用される。そして、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水との混合により生じる沈殿物を、酸を混合することによる酸処理によって溶解(分散)するものである。
更に、上記励起は、分散液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
そして、上記植物エキスとしては、例えば、野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類のエキスが挙げられる。植物エキスを添加するタイミングは、好ましくは、電圧印加の後に行われるが、電圧印加の前であってもよく、分散液を調整する段階や、酸処理後の段階で添加してもよい。
ここで、上記「エキス」は、広義に捉え、植物成分を水やエタノール等の溶媒に浸して抽出したものに限定されず、野菜から搾取した搾汁液等も含まれる。
特に、本発明にかかる水素水の製造方法は、前記植物エキスが野菜類、果実類、ハーブ・薬草類、豆、木の実類、花木類から選ばれる少なくとも1種のエキスであるものである。
請求項の水素水の製造方法は、請求項の構成において、前記植物エキスは、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスであるものである。
上記食用部位としては、例えば、植物の実、花のつぼみ、茎(地下の茎を含む)、葉、根が挙げられる。
請求項1の発明の水素水は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とが混合されてなり、酸処理により沈殿物のない分散液を、それに浸漬させた陽極及び陰極の電極間への所定の電圧印加により励起してなる水素水であって、植物エキスが添加されてなるものである。
本出願人は先に、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とが混合されてなり、酸処理により沈殿物のない分散液を、それに浸漬させた陽極及び陰極の電極間への所定の電圧印加により励起してなる水素水では、既存の一般的なPET等の容器に入れて密封し、長期間保管後に開封しても溶存水素が検出されることを確認した。
そして、本発明者らは更に鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とが混合されてなり、酸処理により沈殿物のない分散液をそれに浸漬させた陽極及び陰極の電極間への所定の電圧印加により励起してなる水素水に植物エキスが添加されると、植物エキスを添加しない場合よりも溶存水素濃度が顕著に増大し、長い間溶存水素濃度が高くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
したがって、請求項1の発明の植物エキスが添加されてなる水素水によれば、水素濃度を長い間高くでき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
特に、本発明にかかる水素水によれば、前記植物エキスは、柑橘類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類から選ばれる少なくとも1種である。
本発明者らの実験研究により、植物エキスの中でも柑橘類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類から選ばれる少なくとも1種の植物エキスでは、安定的に高い水素濃度が検出された。
よって、安定的に水素濃度を高くできる。
請求項の発明の水素水によれば、植物エキスは、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスである。
本発明者らの実験研究により、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスでは、安定的に高い水素濃度が長く検出された。
よって、請求項に記載の効果に加えて、安定的に長く水素が高い濃度となる。
請求項の発明の水素水の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液に酸を混合し沈殿物を溶解(分散)し、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する水素水の製造方法であって、植物エキスを添加するものである。
本出願人は先に、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液に酸を混合し沈殿物を溶解(分散)し、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して製造した水素水では、既存の一般的なPET等の容器に入れて密封し、長期間保管後に開封しても溶存水素が検出されることを確認した。
そして、本発明者らは更に鋭意実験研究を積み重ねた結果、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液に酸を混合し沈殿物を溶解(分散)し、更に、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られる水素水に植物エキスを添加することにより、植物エキスを添加しない場合よりも溶存水素濃度が顕著に増大し、長い間溶存水素濃度が高くなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
したがって、請求項の発明の植物エキスを添加した水素水の製造方法によれば、水素濃度を長い間高くでき、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
特に、本発明の水素水の製造方法によれば、前記植物エキスは、柑橘類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類から選ばれる少なくとも1種である。
本発明者らの実験研究により、植物エキスの中でも柑橘類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類から選ばれる少なくとも1種の植物エキスの添加では、安定的に高い水素濃度が検出された。
よって、安定的に水素濃度を高くできる。
請求項の発明の水素水の製造方法によれば、植物エキスは、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスである。
本発明者らの実験研究により、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスの添加では、安定的に高い水素濃度が長く検出された。
よって、請求項に記載の効果に加えて、安定的に長く水素が高い濃度となる。
図1は本発明の実施の形態に係る水素水の製造工程を示すフローチャートである。 図2は本実施の形態の実施例1‐1に係る水素水のサンプル1〜サンプル3について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図3は本実施の形態の実施例1‐1に係る水素水のサンプル4及びサンプル5について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果を示すグラフである。 図4は本実施の形態の実施例1‐1に係る水素水のサンプル6〜サンプル11について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図5は本実施の形態の実施例1‐1に係る水素水のサンプル12〜サンプル14について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果を示すグラフである。 図6は本実施の形態の実施例1‐2に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図7は本実施の形態の実施例1‐3に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図8は本実施の形態の実施例1‐4に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図9は本実施の形態の実施例1‐5に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図10は本実施の形態の実施例2‐1に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図11は本実施の形態の実施例2‐1A〜実施例2‐1Cに係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図12は本実施の形態の実施例2‐1に係る水素水のサンプル1〜3について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図13は本実施の形態の実施例2‐1に係る水素水のサンプル4及びサンプル5について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図14は本実施の形態の実施例2‐2に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図15は本実施の形態の実施例2‐3に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランクと比較して示すグラフである。 図16は本実施の形態の実施例2‐4に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図17は本実施の形態の実施例2‐5に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図18は本実施の形態の実施例3‐1に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図19は本実施の形態の実施例3‐2に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図20は本実施の形態の実施例4‐1に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図21は本実施の形態の実施例4‐2に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図22は本実施の形態の実施例4‐3に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図23は本実施の形態の実施例4‐4に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図24は本実施の形態の実施例4‐5に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図25は本実施の形態の実施例4‐6に係る水素水について、溶存水素濃度を経時的に測定した結果をブランク及び対照と比較して示すグラフである。 図26は本実施の形態に係る水素水を加熱殺菌した後に容器に充填して密封することにより、加熱殺菌して密封容器入り水素水を製造する製造工程を示すフローチャートである。 図27は本実施の形態に係る水素水を加熱殺菌することなく容器に充填して密封することにより非加熱で密封容器入り水素水を製造する製造工程を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態に係る水素水100の製造方法について、図1を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態においては、始めに水素原液1が作製され、それに植物エキス70が添加される。
本実施の形態の水素原液1の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩のリン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40に有機酸50を添加する酸混合工程(ステップS20)と、酸が添加された分散液40にアルカリ60を混合するアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60が混合された分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS40)を具備する。
以下、図1のフローチャートを参照して、本実施の形態の水素原液1の製造方法を具体的に説明する。
本実施の形態では、最初に、混合工程(ステップS10)にて、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する。
ここで、マグネシウム/カルシウム10は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物から選ばれる1種または2種以上であればよく、マグネシウム化合物としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、塩化マグネシウム(MgCl2)等が挙げられ、カルシウム化合物としては、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が挙げられる。本実施の形態の水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。
本発明を実施する場合、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物は、そのままの形態で添加することも可能であるし、水と混合しマグネシウム/カルシウム分散液の形態で添加することも可能である。
リン酸/リン酸塩20は、リン酸またはリン酸塩のうちの何れか1種以上が使用され、リン酸塩としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛等が挙げられる。本実施の形態の水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。
本発明を実施する場合、リン酸、リン酸塩は、そのままの形態で添加することも可能であるし、水と混合しリン酸/リン酸塩水溶液として添加することも可能である。
また、本実施の形態で使用する水30としては、天然水(ナチュラルウォータ、ナチュラルミネラルウォータ、ミネラルウォータ等)や、純水、滅菌水、蒸留水、イオン交換水、濾過水等の精製水、水道水等が挙げられる。但し、後述するように水素水100の分散媒がミネラル分を含む天然水(ナチュラルミネラルウォータ等)であれば確実に水素濃度を高くできることから、全体の溶液量等を考慮して水の種類が選択される。
そして、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製する分散液40を100重量部とするとき、マグネシウム/カルシウム10が、5〜20重量部の範囲内で配合され、リン酸/リン酸塩20が、10〜30重量部の範囲内で配合されるのが好ましい。上記範囲内の配合であれば、確実に長い間水素濃度を高くでき、かつ、風味や透明性が良好で飲用に好適な水素水100が得られる。
なお、本発明者らの実験研究によれば、マグネシウム/カルシウム10としてマグネシウム化合物、特に酸化マグネシウムを使用した場合、溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高い水素水100が得られることを確認している。カルシウム及び/またはその化合物よりもマグネシウム及び/またはその化合物の方が反応性が高くなると考えている。
続いて、本実施の形態では、酸混合工程(ステップS20)にて、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40に有機酸50を混合し、沈殿物を溶解(分散)する。好ましくは、pH1以上、pH5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4以下の酸性とされる。
ここで、分散液40のpHは、pHメータよりもpH試験紙で測定することで、共存イオンの影響を排除して正確なpHを測定できることから、pH試験紙で測定したものである。
有機酸50としては、クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸やそれらの水溶性の塩等が挙げられ、本実施の形態の水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。有機酸50は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
ここで、有機酸50の添加量は、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20との合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内とするのが好ましい。
また、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して作製した分散液(40)100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
有機酸50の添加量を上記範囲内とすることで、その後の処理操作性も高くなり、確実に水素濃度を高くすることができ、また、風味や透明性が良好で飲用に好適なものとなる。
なお、有機酸50は、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合して有機酸水溶液(例えば、3〜20質量%濃度)の形態で、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と混合させてもよい。
酸混合工程(ステップS20)において、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50で酸処理して酸性にすることで、分散液40の分散性が高まり、沈殿物が溶解して、その後の処理操作性も良く、水素水100の水素濃度を高くできる。また、濁度が低下して透明度が増す。
次いで、本実施の形態では、アルカリ混合工程(ステップS30)にて、酸混合工程(ステップS20)で酸処理した分散液40にアルカリ60を混合する。好ましくは、pH試験紙による測定でpH1以上、pH10以下の分散液40とする。より好ましくは、pH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とする。
アルカリ60としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が挙げられ、本実施の形態の水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。アルカリ60は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
なお、アルカリ60の添加量は、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と有機酸50の合計配合量100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。
アルカリ60の添加量を上記範囲内とすることで、確実に水素濃度が高い水素水100が得られ、特にpH5以上、pH8以下であれば風味や透明性が良好で飲用にも好適なものとなる。
アルカリ60は、取扱い性や分散性等の観点から、水と混合してアルカリ水溶液(例えば、1〜12質量%濃度)の形態で、酸混合工程(ステップS20)で酸性にした分散液40と混合させてもよい。
アルカリ混合工程(ステップS30)において、酸性にした分散液40にアルカリ60を混合することで、確実に安定して長い間水素濃度が高い水素水100が得られ、また、風味が良好で飲用に好適な水素水100とすることができる。
なお、本発明を実施する場合には、酸処理後の分散液40にアルカリ60を混合することなく、次の電圧印加工程(ステップS40)に供することも可能であり、電圧印加する分散液40のpHが好ましくはpH1以上、pH10以下であればよい。pH1以上、pH10以下であれば、確実に水素濃度を長い間高くできる。より好ましくは、pH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下であれば、より水素濃度を高くできる。酸処理された分散液40がそのまま電圧印加に供されることもあれば、酸処理後にアルカリ60を混合してpHの調整を行っても良い。
次に、本実施の形態では、電圧印加工程(ステップS40)にて、アルカリ混合工程(ステップS30)でアルカリ60が混合された分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起している。
このときの陰極及び陽極は、不活性な電極であれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることができる。陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良く(例えば、3〜20V)、電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定される(例えば、5〜10A)。電圧を印加し、励起する時間は、溶液量、溶液中の成分量、電圧をかけた後の所望とする溶存水素濃度(例えば、100〜1,500μg/L)等を考慮して適宜設定される(例えば、1〜200分間)。
なお、電圧印加工程(ステップS40)において、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に電圧を印加し、励起することで、水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成することが考えられる。また、電荷(電子)移動が生じ、水素のキャリアーやドナーとなる微粒子(例えば、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の混合により生じるマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物や、電極から溶出した電極材料からなる金属粒子や、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水30に含まれているミネラル分の粒子等が考えられる)が生成されたり、その電荷バランスが調整されたり、または、水との反応で水素を生成するマグネシウムやカルシウムが化学的に安定な状態となったりする等のことが考えられる。
このように、本実施の形態では、混合工程(ステップS10)において、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製し、酸混合工程(ステップS20)において、調製した分散液40を有機酸50との混合により酸処理し、アルカリ混合工程(ステップS30)において、酸処理した分散液40にアルカリ60を混合し、電圧印加工程(ステップS40)において、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ励起する。
ここで、本発明を実施する場合、電圧印加工程(ステップS40)後に、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水で、例えば、10〜1000倍に希釈してもよい。
例えば、マグネシウム/カルシウム10と、リン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製する分散液40を100重量部とするとき、マグネシウム/カルシウム10が5〜20重量部の範囲内で混合され、リン酸/リン酸塩20が10〜30重量部の範囲内で混合され、また、有機酸50の添加総量が、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の合計配合量100重量部に対して100〜200重量部の範囲内とした水素原液1にそれの9〜999倍の水を混合して、水素原液1を10〜1000倍に希釈することで、風味や透明性が良好な飲料水として好適なものとなる。
そして、特に、本発明者らの実験研究により、水素水100(水素原液1)の分散媒を主に天然水(ナチュラルミネラルウォータ等)、好ましくは、pH10以下の軟水とすることにより水素濃度が高くなることを確認しており、希釈された水素原液1は、好ましくは、pH1以上、pH10以下、より好ましくは、pH3以上、pH8以下であれば、確実に水素濃度が高くなる。pH5以上、pH8以下であれば、飲用にも適する。
なお、このような希釈を行った場合には、再度、陰極及び陽極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起する第2の電圧印加工程を実施してもよい。これにより、より安定的に水素水100の水素濃度が高くなる。
こうして、本実施の形態の水素原液1が製造される。
このようにして製造した水素原液1は、既存の一般的なPET容器等に入れて密封保管し、長期間(例えば12カ月以上)経過後に容器を開封して溶存水素濃度を測定しても、所定濃度の溶存水素が検出される。
この理由について科学的な根拠は未詳であるが、例えば、容器開封による圧力変化や振動、振とう、攪拌等の外力をきっかけに水素生成反応が生じるためと考えられる。或いは、水素原液1中の水素のキャリアーやドナーとなる微粒子に、生成した水素が吸着・固定されるためと考えられる。例えば、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の混合によりマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物(一例として、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2の錯体状物や、Mg10(PO46(OH)2の錯体状物等)が生成され、このマグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物に生成した水素が吸着・固定されることで、或いは、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水に含まれているミネラル分の粒子等に水素が吸着・固定されることで水素が散逸し難くなり、また、PET容器に充填して密封しても、水素が吸着固定されている微粒子がPET容器のPET樹脂よりも高分子であることで水素がPET容器から抜け難くなっていることが考えられる。
なお、本発明者らの実験研究では、このようにして製造された水素原液1について、市販の一般的なPET容器に入れて密封保管し、所定期間経過後に開封して測定した溶存水素濃度が、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水で希釈する前の電圧印加工程(ステップS40)直後に測定した溶存水素濃度に対して希釈倍率で換算した値と比較して、高くなることを確認しており、このことからも、生成した水素が上記のキャリアーやドナーとなる微粒子に吸着・固定されて散逸し難くなっていること、或いは、開封による圧力変化や振動、振とう、攪拌等の外力をきっかけに水素生成反応が生じることを裏付けできる。
因みに、本実施の形態の水素原液1においては、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に電圧を印加し、励起することで水が電気分解され、水の電気分解により水素が生成されたことが考えられる。
また、混合工程(ステップS10)におけるマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30の混合により、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の反応でMg2+、Ca2+が生じ(以下、Mg2+の例で示すが、Ca2+も同様である)、例えば、以下の反応式(1)、(2)に示した反応によって水素が生成された可能性もある。
Mg2++4e-+H20→2H2+2MgO・・・(1)
Mg2++2H2O+2e-→Mg(OH)2+H2・・・(2)
または、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水に含まれるミネラルが同様に反応した可能性もある。
更に、酸混合工程(ステップS20)での有機酸50による酸処理で、MgH2(PO4)、Mg82(PO46が生じ、その後のアルカリ混合工程(ステップ30)でのアルカリ60の混合によって以下の反応式(3)と(4)に示した反応が生じ、この反応によっても水素が生成された可能性もある。
Mg82(PO46+5H20+Mg2+4H+
→Mg10(PO46(OH)2+12H+・・・(3)
12H++12e-→6H2・・・(4)
その他、水素化マグネシウムや水素化カルシウム等と水との反応により水素が生成された可能性や、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水と水素原液1との反応による水素生成の可能性や、マグネシウム/カルシウムーリン酸系の錯体状物等の触媒的作用によって、以下の反応式(5)と(6)に示した反応が促進されて水素が生成された可能性もある。
2H2O→2H++2OH-・・・(5)
2H++2e-→H2・・・(6)
このように本実施の形態の水素原液1は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合して沈殿物を溶解(分散)し、また、アルカリ60と混合し、その後、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することにより得られたものである。
また、本実施の形態の水素原液1の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40を酸としての有機酸50の混合により酸処理して沈殿物を溶解(分散)する酸混合工程(ステップS20)と、酸処理した分散液40をアルカリ60と混合するアルカリ混合工程(ステップS30)と、アルカリ60混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起する電圧印加工程(ステップS40)を具備するものである。
ところで、本発明を実施する場合には、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に、更に、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物のうちの少なくとも1種の鉄/亜鉛を添加してもよい。鉄/亜鉛を混合することで、水素濃度が増大し、より高い溶存水素濃度の測定ピーク値が得られ、かつ、長い間水素濃度を高くできる。
このときの鉄/亜鉛は、鉄、鉄化合物、亜鉛、亜鉛化合物から選ばれる1種または2種以上であればよく、鉄化合物としては、例えば、塩化鉄(II)(FeCl2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、硫酸第1鉄(FeSO4・7H2O)、酸化鉄(II)(FeO)、四酸化三鉄(Fe34)、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム等が挙げられる。亜鉛化合物としては、塩化亜鉛(ZnCl2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、グルコン酸亜鉛(C122214Zn)等が挙げられる。水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。また、本発明を実施する場合、鉄/亜鉛は、そのまま添加することも可能であるし、水と混合し鉄/亜鉛水溶液として添加することも可能である。
鉄/亜鉛を添加するタイミングは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して分散液40を調製するときでも良いし、これらを混合して分散液40を調製した後でも良いし、有機酸50と混合して酸性の分散液40とした後でも良いし、アルカリ60と混合した後の分散液40であっても良いし、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起した後の分散液40であっても良い。
特に、分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起することによって電子の移動(供受)が生じることから、電圧印加を行う前までに分散液40に鉄/亜鉛を添加した場合、鉄/亜鉛による高い水素濃度の増大効果が期待できる。更には有機酸50と混合する前の分散液40を調製する段階で添加した場合、鉄/亜鉛によるより高い水素濃度の増大効果が期待できる。
鉄/亜鉛は、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水で希釈される前の水素原液(1)1Lに対して1〜100mgの範囲内で配合されることが好ましい。鉄/亜鉛の配合を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に水素濃度を高くすることができ、飲用にも適する。
また、本発明を実施する場合には、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に、糖類及び/または多糖類を添加してもよい。糖類及び/または多糖類を添加することによっても、水素濃度が増大し、より高い溶存水素濃度の測定ピーク値が得られ、かつ、長い間水素濃度を高くできる。
このときの糖類/多糖類としては、例えば、ブドウ糖、果糖、砂糖、乳糖、麦芽糖等の糖類や、オリゴ糖、デキストリン、でんぷん等の多糖類が挙げられ、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明を実施する場合、糖類/多糖類は、そのまま添加することも可能であるし、水と混合して糖類/多糖類水溶液の形態で添加することも可能である。
糖類/多糖類を添加するタイミングは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して分散液40を調製するときでも良いし、これらを混合して分散液40を調製した後でも良いし、有機酸50が混合されて酸性の分散液40とした後でも良いし、アルカリ60混合後の分散液40であっても良いし、電圧印加後の分散液40であっても良い。
特に、電圧の印加によって電子の移動(供受)が生じることから、電圧印加を行う前までに分散液40に糖類/多糖類を添加した場合、糖類/多糖類による高い水素濃度の増大効果が期待できる。更には有機酸50と混合する前の分散液40を調製する段階で添加した場合、糖類/多糖類によるより高い水素濃度の増大効果が期待できる。
糖類/多糖類の配合は、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水で希釈される前の水素水原液(1)1Lに対して10〜100mgの範囲内で配合されるのが好ましい。
糖類/多糖類の配合を上記範囲内とすることで、風味や透明性の低下を招くことなく顕著に水素濃度を高くすることができ、飲用にも適する。
更に、本発明を実施する場合には、アルカリ混合工程(ステップS30)と電圧印加工程(ステップS40)との間に、アルカリ60混合後の分散液40に再度、有機酸を混合する第2の酸混合工程を入れ、第2の酸混合工程(ステップ120)にてアルカリ60混合後の分散液40に再度、有機酸を混合し、そして、電圧印加工程(ステップS40)にて、再度の有機酸混合後の分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起するようにしても良い。
第2の酸混合工程で使用する有機酸としては、酸混合工程(ステップ20)で使用される有機酸50と同様、クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸、アスコルビン酸やそれらの水溶性の塩等が挙げられ、本実施の形態の水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。酸混合工程(ステップS20)で使用した有機酸50と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
なお、第2の酸混合工程を実施する場合、有機酸の添加総量が、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩の合計配合量100重量部に対して、100〜200重量部の範囲内とするのが好ましい。また、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30を混合して作製した分散液(40)100重量部に対して、20〜50重量部の範囲内とするのが好ましい。添加総量を上記範囲内とすることで、その後の処理操作性も高くなり、確実に水素濃度を高くできる水素水100が得られ、また、風味や透明性が良好な飲用に好適なものとなる。
このように、アルカリ混合工程(ステップS30)後に、第2の酸混合工程として、アルカリ60混合後の分散液40に再度、有機酸を混合し、pH試験紙による測定でpH1以上、pH5以下、好ましくはpH3以上、pH5以下の分散液40としてから、電圧印加工程(ステップS40)にて、pH1以上、pH5以下とした分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけ、励起することによっても、水素濃度が増大する。
なお、第2の酸混合工程を実施した場合、本実施の形態の水素水100の目的、用途等に応じて電圧印加工程(ステップS40)後にpH調整を行ってもよい。例えば、本実施の形態の水素水100を飲用水として提供する場合には、電圧印加工程(ステップS40)後に、第2のアルカリ混合工程を実施し、第2のアルカリ混合工程にて、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられた分散液40に再度アルカリを混合して、pH試験紙による測定でpH5以上、pH8以下として、風味が良好で飲用に好適な水素水100とするpH調整を行う。最終的に希釈された水素原液1は、好ましくはpH1以上、pH10以下、より好ましくは、pH3以上、pH8以下であれば確実に水素濃度が高くなる。特に、pH5以上、pH8以下であれば飲用にも適する。
第2のアルカリ混合工程で使用するアルカリも、アルカリ混合工程(ステップS30)で使用されるアルカリ60と同様、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が挙げられ、水素水100を飲用とする場合には、食品添加物として許可されているものが使用される。アルカリ混合工程(ステップS30)で使用したアルカリ60と同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。
そして、この第2のアルカリ混合工程を実施した後、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水で、例えば、10〜1000倍に希釈することで、風味的に飲用に好適なものとなる。
加えて、本発明を実施する場合には、混合工程(ステップS10)で分散液40を調製するときに、及び/または、混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップS40)の何れか1以上の工程後の分散液40に塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)等の金属の塩化物を混合してもよい。塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)等の金属の塩化物を混合することで、細菌、カビ等の微生物の増殖が抑制され保管性(日持ち)が向上することを確認している。
これは、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等の塩化物イオンが細菌、カビ等の微生物の増殖抑制に関与しており、特に、上記のマグネシウム/カルシウム‐リン酸系の錯体状物等がイオン交換能を有し、この錯体状物に塩化物イオンが取り込まれることで、希釈しても微生物の増殖を抑制する効果が持続的に発揮されるものと思われる。
なお、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等はマグネシウム/カルシウム10として使用することも可能であり、マグネシウム/カルシウム10として塩化マグネシウム、塩化カルシウム使用した場合でも同様の効果が得られる。塩化物として塩化マグネシウム、塩化カルシウムを使用する場合には、電圧印加工程(ステップ40)に至るまでの間に分散液40に混合されることで塩化マグネシウムのマグネシウムや塩化カルシウムのカルシウムが水素の生成や吸着・固定に関与し、水素濃度の増大を期待できる。
更に、本発明を実施する場合、電圧印加工程(ステップS40)後の分散液40にミネラルを添加することも可能である。ミネラルを添加することで、本実施の形態の水素水100を飲用とした場合には、ミネラルの摂取による栄養補給が可能となる。特に、ミネラルとして硫酸銅を添加した場合、細菌、カビ等の微生物の増殖を抑制でき保管性(日持ち)を向上できる。例えば、硫酸銅を電圧印加工程(ステップS40)後の分散液(40)100重量部に対し0.0002重量部〜0.02重量部の範囲内で添加することで、本実施の形態の水素水100を製造後加熱することなく蓋をして放置した場合、6カ月経過後も濁度が上昇することなく微生物の増殖が抑制されることを確認している。
そして、本実施の形態に係る水素水100は、図1で示したように、このようにして製造された水素原液1に植物エキス70が添加されて製造されたものである。
植物エキス70の植物としては、例えば、野菜類、果実類、穀物類、豆類、茶類、竹類、木の実類(種実類)、花木類等が挙げられる。
好適には、果実類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、木の実類(種実類)、花木類のエキスである。より好適には、柑橘類のエキスを添加することにより、安定的に水素濃度のピーク値が高くなり、長い間水素水100の水素濃度が高くなる。
柑橘類としては、例えば、イヨカン、甘夏カン、ハッサク、柚子、キンカン、ミカン、ネーブル、グレープフルーツ、レモン、スダチ、ライム、ダイダイ、カボス、ザボン等が挙げられる。中でも、伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモン等の添加により、極めて高い水素濃度のピーク値が得られ、安定的に長い間水素水100の水素濃度が高くなる。
緑黄色野菜類としては、例えば、ブロッコリー、大麦若葉、ケール、カボチャ、ニラ、ニンジン、小松菜、トマト、ホウレンソウ、モロヘイヤ、小麦若葉、明日葉、クワ若葉、メキャベツ等が挙げられ、中でも、ブロッコリー、大麦若葉、ケール、カボチャ、ニラ等の添加により高い水素濃度のピーク値が得られ、安定的に長い間水素水100の水素濃度が高くなる。
ハーブ・薬草類としては、例えば、カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉、レモンバーム、ミント、シソ、エゴマ、ローズマリー、タイム、セージ、レモングラス等が挙げられ、中でも、カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉、シソ等の添加により高い水素濃度のピーク値が得られ、安定的に長い間水素水100の水素濃度が高くなる。
また、果実類としてはキウイ、イチゴ、リンゴ、ライチ等が挙げられ、豆類としては大豆等、木の実(種実類)としては胡桃等、花木類としては椿等が挙げられる。
植物エキス70は、天然の植物から採取されたものが使用され、例えば、原料である植物から搾取した搾汁や、水やエタノール等の溶媒と混合し、必要に応じて加熱、加圧・減圧、乾燥、遠心分離等による固液分離、濃縮等を行って、抽出した抽出物が使用され、搾取や抽出方法については特に限定されない。添加する形態も粉末状等の固体形態であってもよいし液体等の流動体の形態であってもよい。
また、エキスを採取する植物の部位や成長時期は、特に限定されず、例えば、根、葉、実、実の皮、茎、枝、芽、種子等からの採取が可能であるが、好適には、食用とされる部位、または種子、または種子から発芽した芽(新芽)から採取されたエキスの添加により極めて高い水素濃度のピーク値が得られ、安定的に長い間水素水100の水素濃度が高くなる。
このような植物エキス70を、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50と混合して酸処理した後、分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素原液1に添加することで、植物エキス70を添加しなかったときよりも、溶存水素濃度の測定ピーク値が顕著に高くなり水素濃度が増大し、長い間水素濃度が高くなる。
特に、水素原液1に植物エキス70を添加してなる水素水100を既存の一般的なPET容器に入れて密封し、長期間保管後(例えば、12カ月後)に容器を開封して溶存水素濃度を測定しても、植物エキス70が添加されていない場合と比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値が顕著に高く、長い間水素濃度が高かった。
水素原液1に、上述の植物エキス70を添加することにより、長く水素濃度を高くできる理由についての科学的な根拠は未詳であるが、例えば、植物エキス70が添加されたことにより、水素生成反応や水素遊離反応が促進されたり、水素のキャリアーやドナーとなる微粒子の安定性が高められたり、植物エキス70の添加に起因する酸素の消費により水素の消費が抑えられたりしたこと等が考えられる。または、植物エキス70が水素源となったり水素原液1との反応により水素を生成したり、植物エキス70由来の水素のキャリアーやドナーとなる微粒子に水素が吸着・固定されたりしたこと等も考えられる。
因みに、本発明者らの実験研究によれば、食品添加物として栄養強化等の用途で使用されている栄養素のビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、パントテン酸、食物繊維や、香料(ストロベリーフレーバ、レモンフレーバ)等では、水素原液1に添加しても溶存水素濃度の顕著な増大を確認できなかった。
また、植物エキス70の中でも、柑橘類を含む果実類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、胡桃等の木の実類のエキスの添加により、溶存水素濃度のピーク値がより高くなり、長く溶存水素濃度がより高いものとなる傾向にあった。
そして、これら柑橘類、緑黄色野菜、ハーブ・薬草、胡桃等はビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE(トコフェロール、トコトリエノール)、ポリフェノール(レスベラトロール、アントシアニン、ケルセチン、ルチン、カテキン、カルコン、タンニン、ロズマリン酸、ヘスペリジン、テアフラビン、イソフランボン等のフラボノイド、クロロゲン酸、リグナン、クルクミン、レスベラトロール、クマリン等)、カロテノイド(リコペン、アスタキサンチン、カロテン、ルテイン)、CoQ、αリポ酸等の天然の植物由来の植物性抗酸化物質やナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のミネラルを多く含有するものである。
よって、溶存水素濃度の増大には、植物エキス70に含有される様々な種類の抗酸化物質やミネラルが関与している可能性も考えられ、このように天然の抗酸化物質及び/またはミネラルを含有する植物エキス70の添加により、水素濃度が高くなり、長く水素濃度がより高いものとなる。
また、特に柑橘類等のpHが低いものでは水素濃度が著しく増加したことから、pHの低下の影響により水素濃度が高くなった可能性もある。
こうしてマグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50と混合して沈殿物を溶解(分散)した後、アルカリ60を混合してpHを調整してから分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素原液1に植物エキス70を添加してなる本実施の形態の水素水100によれば、溶存水素濃度が高くなり、安定して長く溶存水素濃度がより高いものとなる。そして、PET容器等の容器に入れ密封して長期保管を行っても、容器開封後の測定で水素濃度が高く、容器開封後も数日間の長い間高い溶存水素濃度が得られ、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。したがって、水素を効率的に体内に取り入れることが可能であり、水素の病気予防や健康増進等といった有用な効能効果が期待できる。
次に、本発明の実施の形態に係る水素水100の実施例を具体的に説明する。
まず、本実施例に係る水素原液1は、図1のフローチャートにしたがい、表1に示した配合内容で製造した。なお、表1の数値は各配合成分を重量部で示したものである。
Figure 0006261097
具体的に、本実施例の水素原液1においては、まず、マグネシウム/カルシウム10としての酸化マグネシウム(MgO)と、水30としての精製水とを混合して酸化マグネシウムの分散液Aを作製し、この酸化マグネシウム分散液Aを、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(H3PO4)及び水30としての精製水を混合して作製したリン酸水溶液Bに加えて攪拌した後、所定時間(例えば、10〜30分間)静置して分散液40を調製することで、混合工程(ステップS10)を実施した。得られた分散液40全体は、混合直後はコロイド状に白濁し、静置後には白い沈殿物と透明な上澄みに分かれた。
次に、混合工程(ステップS10)で調製した分散液40と、有機酸50としてのクエン酸及び精製水を混合して作製した有機酸水溶液Cとを混合し攪拌して酸処理を行うことで、酸混合工程(ステップS20)を実施した。酸処理後の分散液40は、沈殿物がなく殆ど透明であり、pH試験紙による測定でpH=2〜3であった。
続いて、酸混合工程(ステップS20)で有機酸50が添加された分散液40と、アルカリ60としての水酸化カリウム(KOH)及び精製水を混合して作製したアルカリ水溶液Dとを混合し攪拌して、アルカリ混合工程(ステップS30)を実施した。アルカリ60混合後の分散液40全体は、沈殿物もなく殆ど透明であり、pH試験紙による測定でpH=3〜4であった。
次いで、アルカリ混合工程(ステップS30)でアルカリ60が混合された分散液40に対して4〜7Vで7Aの直流を5分間流して電圧印加を行い、電圧印加工程(ステップS40)を実施した。
本実施例では、電圧印加後に、岐阜県の奥長良川(岐阜県関市洞戸)で採水した地下水を原水として後述の図26及び図27で示すような所定の濾過や殺菌等を行った天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈して水素原液1を得た。
そして、100倍希釈された水素原液1を90℃で30分加熱を行った後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後、1〜2カ月室温(10〜25℃程度)下で保管したものを使用した。なお、100倍希釈した後の水素原液1は、pH試験紙による測定でpH=5〜8であり、透明で風味も良いことから飲料にも適する。
念のため、希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)の成分を表2に示す。
Figure 0006261097
次に、このようにして100倍希釈された水素原液1に各種の植物エキス70を添加することにより、実施例に係る水素水100を得た。
そして、各実施例に係る水素水100について、溶存水素濃度の測定を行った。
ここでは、100倍希釈した水素原液1に各種の植物エキス70を添加して得られた水素水100について、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、それを流水で冷却してサンプルを作製した。そして、作製した水素水100のサンプルについて、所定期間経過後に開封し、PET容器に入れた水素水100の溶存水素濃度の測定を経時的に行った。
溶存水素濃度は、共栄電子研究所製KM2100DH(隔膜式ポーラロ方式、溶存水素を定量的に測定する)によって測定した。
溶存水素濃度の測定に際しては、水素水100が入ったPET容器のキャップを開け、PET容器内の水素水100を測定用の容器に移し、磁気スターラで所定時間(30秒〜1分程度)攪拌しながら、測定を行った。測定後の水素水100はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで所定条件下で保管した。測定は、密封されたPET容器の開封直後に初回測定を開始し、1日に1回とした。
〈実施例1〉
実施例1に係る水素水100は、上述のようにして得られた100倍希釈した水素原液1に植物エキス70として柑橘類のエキスを添加したものである。
柑橘類のエキスとして、実施例1‐1では柚子、実施例1‐2では伊予柑、実施例1‐3ではデコポン、実施例1‐4ではグレープフルーツ、実施例1‐5ではレモンを用いた。
まず、実施例1‐1について説明する。実施例1‐1は、柑橘類として柚子を使用した事例である。
実施例1‐1として、100倍希釈した水素原液1に柚子エキスを添加した水素水100のサンプルを作製した。柚子エキスとしては、例えば、オリザ油化(株)製『柚子種子エキス(WSP等)、油』や、柚子種子の搾汁等を使用した。
ここで、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃程度)条件下で保管したものをサンプル1とした。
一方、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものをサンプル2とした。また、サンプル作製日から4日後に初めて開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものをサンプル3とした。
また、比較のために、ブランクとして、上記実施例1‐1で使用した100倍希釈した水素原液(1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却し、1〜2か月室温下で保管されたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
更なる比較として、水素原液1での希釈に使用した天然水(奥長良川で採水した地下水を原水として後述の図26及び図27で示すような所定の濾過や殺菌等を行ったナチュラルミネラルウォータ;表2)350mlに対して、実施例1‐1と同様、柚子エキス50mgを添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても対照(コントロール)作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めに密封PET容器の開封直後に行い(初回測定)、1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで所定条件下で保管した。実施例1‐1のサンプル1、ブランク、対照は初回の溶存水素濃度測定が終わった後、室温(10〜25℃程度)下で保管し、実施例1‐1のサンプル2及びサンプル3では初回の溶存水素濃度測定が終わった後、32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
実施例1‐1のサンプル1〜3、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図2のグラフに示す。
図2のグラフに示したように、柚子エキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液(1))では、5回〜7回目の測定で、溶存水素濃度の測定値が10〜32ppb(μg/L)であったのに対し、100倍希釈した水素原液1に柚子エキスが添加された実施例1‐1のサンプル1の水素水100では、4回目の測定で、溶存水素濃度の測定値が95ppb程度であり、5回目の測定で143ppbの測定ピーク値(最高値)となり、6回目の測定でも35ppb程度、7回目〜9回目の測定でも5ppb〜20ppb程度あり、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く(約4倍に増大)、長い間溶存水素濃度が高かった。そして、開封後、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、測定ピーク値(最高値)が確認されているが、ピーク値検出後に急激に減少して測定値が0となることもなく、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
また、サンプル作製日にPET容器を開封し、開封後は32℃条件下で保管を行った実施例1‐1のサンプル2においても、早くも2回目の測定で溶存水素濃度の測定値が100ppb程度、3回目に215ppbの測定ピーク値となり、4回目でも35ppb程度あり、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
更に、サンプル作製日の4日後にPET容器を開封し、開封後は32℃条件下で保管を行った実施例サンプル1‐1のサンプル3においても、早くも2回目の測定で溶存水素濃度の測定値が406ppbの測定ピーク値となり、3回目でも195ppb程度、4回目でも50ppb程度あり、サンプル作製日から4日後に開封しているにもかかわらず、ブランクよりも溶存水素濃度のピーク値が高い値を示し、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
このように100倍希釈した水素原液1に柚子エキスを添加した実施例1‐1の水素水100のサンプル2及びサンプル3でも、柚子エキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液(1))と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(約7倍〜12倍に増大)、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
特に開封後に32℃の温度条件下で保管を行ったサンプル2及びサンプル3では、開封後室温条件下で保管したサンプル1よりも、高い溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が確認され、しかも、開封後早い段階で溶存水素濃度の増大が見られるが、ピーク値検出直後に急激に減少して測定値が0となることもなく、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
こうして、100倍希釈した水素原液1に柚子エキスを添加することにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度がより高くなり、既存の一般的なPET容器に充填して密封し保管した場合でも、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在する。
念のため、図3において、柚子エキスを添加して1カ月経過後に容器を開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したサンプル5の溶存水素濃度の経時的な測定結果について、柚子エキスを添加してサンプルを作成した日に容器の開封を行ったサンプル4と比較して示す。
図3のサンプル4及びサンプル5では、柚子エキスを添加する水素原液1について、上述と同様に電圧印加(ステップS40)を行ってから水(天然水)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に90℃で30分加熱を行い、その後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月暗所室温下で保管したもの(後述する水素原液1a2)を使用している。
そして、このように100倍希釈されて所定の処理を行った水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作成した当日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものをサンプル4とし、サンプルを作成してから常温で保管して1カ月後に初めて開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものをサンプル5とした。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
図3に示したように、サンプル作成日から1カ月後に開封したサンプル5でも、サンプルを作成した当日に開封したサンプル4と同等以上の高い溶存水素濃度が長く検出された。
更に、本発明者らの実験研究によれば、1年以上もの長い間未開封の状態で常温保管し、長期間保管後に開封して溶存水素濃度を測定しても、開封後も長く水素が高い濃度で存在することを確認している。
したがって、実施例1‐1に係る水素水100によれば、柚子エキスを添加したことにより、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後の溶存水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間溶存水素が高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
ここで、本発明者らは、図4に示すように、柚子エキスの添加量を様々変化させたときの溶存水素濃度の測定も行っている。
即ち、実施例1‐1Aとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加した水素水100のサンプル6、サンプル7を作製した。
また、実施例1‐1Bとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを30mg添加した水素水100のサンプル8、サンプル9を作製した。
更に、実施例1‐1Cとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを100mg添加した水素水100のサンプル10、サンプル11を作製した。
なお、100倍希釈した水素原液1は、上記のサンプル1〜サンプル3のときと同様、第2の電圧印加等の所定の処理を行っていないものを使用した。
そして、全て、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータに入れて保管した。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
このときのサンプル6〜サンプル11の溶存水素濃度の測定結果を、ブランクと比較して示したのが図4のグラフである。なお、ブランクについては、開封後室温条件下で保管を行ったときの測定値である。
図4のグラフに示したように、100倍希釈した水素原液350mlに柚子エキスを30mg〜100mg添加したサンプル6〜11では、柚子エキスが添加されていない100倍希釈した水素原液1のみのブランクと比較して、溶存水素濃度のピーク値(最大値)が増大(約3.4〜11.6倍)しており、PET容器を開封した後も数日間の長い間溶存水素濃度が高かった。
このように、100倍希釈した水素原液350mlに対して柚子エキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内において、100倍希釈した水素原液1(ブランク)と比較して、溶存水素濃度が顕著に増大し、長く水素濃度が高い濃度で存在することが確認された。
なお、ここでは、水素水100を無味、無臭、無着色の飲用水に適用することを想定し、柚子エキスの添加量を30mg〜100mgに設定した。つまり、水素原液(1)350mlに対して柚子エキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内であれば、柚子エキスに由来する風味の影響もなく、天然水本来の風味を生かすことができる。
しかし、本発明を実施する場合には、水素水100の用途等に応じて、植物エキス70の添加量は適宜設定される。本発明者らの実験研究では、更に、100倍希釈した水素原液350mlに対して柚子エキスの添加量を200mgとした場合、1,000ppbを超えるピーク値になることを確認している。
ここで、実施の形態の水素水100においては、容器開封直後の初回測定よりもその次回(開封日の翌日)以降の測定で溶存水素濃度の測定値の増大が確認されていることから、開封をきっかけに(例えば、開封時の圧力(気圧)変化や振動、振とう、攪拌等の外力が加わることにより、或いは、溶存水素量や溶存酸素量等の変化により)溶存水素濃度の変化が生じるものと推測される。
例えば、実施の形態の水素水100においては、開封時の圧力(気圧)変化や振動、振とう、攪拌等の外力が加わること等により上記の反応式(1)〜(6)等で示したような水素生成反応が促進されることが考えられる。或いは、開封時の圧力(気圧)変化や振動、振とう、攪拌等の外力が加わること等により、上記の水素のキャリアーやドナーとなる微粒子(例えば、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20の混合により生じるマグネシウム/カルシウム‐リン酸系の錯体状物や、天然水等(ナチュラルミネラルウォータ等)の水に含まれているミネラル分の粒子等)に吸着・固定された水素の遊離が促進されて、溶存水素として検出されることが考えられる。また、これらの反応が持続的に生じることで、長く溶存水素が高い濃度で存在していることが考えれる。なお、外力を継続的に加えることで反応性や反応速度が高まり早くに水素濃度の増大が見られることが予測される。
更に、図2のグラフで示したように、本発明の水素水100について、開封後に32℃の温度条件下で保管を行ったサンプル2及びサンプル3では、室温(10〜25℃程度)条件下で保管したサンプル1と比較して、開封して早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、しかも、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が顕著に高く、ピーク後も水素が直ぐには消失しておらず長く溶存水素が高い濃度で存在した。
したがって、本発明の水素水100によれば、図2で示したように、容器開封後の温度条件によって溶存水素濃度の測定値が変動することから、温度条件によっても上記反応性(水素生成、水素遊離の促進、酸素の溶解が少なくなることによる水素消費の低減化等)や、反応速度等が変化し、反応促進は温度依存性が高いものと考えている。
特に、本発明者らの究明により、25℃〜35℃の範囲内の常温下で、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が安定的に高くなり、長く溶存水素が高い濃度で存在することを確認している。また、容器開封後早い段階で溶存水素濃度の増大が見られることも確認している。より好ましくは32℃±1℃の温度条件下とすることで、最もピーク値が高くなり、最も長い間高い濃度で水素が存在する。
即ち、本発明の水素水100は、25℃〜35℃の範囲内の温度条件下で安定的に溶存水素濃度が高くなり、より好ましくは、32℃±1℃の温度条件下で最も溶存水素濃度が高くなるものである。
因みに、図5は、100倍希釈した水素原液1に柚子エキスを添加した実施例1‐1において、サンプル作成後の未開封の状態でも32℃の保管を行い、サンプル作成日から所定日数経過後に開封して溶存水素濃度の測定を行ったサンプル13、サンプル14について、サンプル作成日に開封して溶存水素濃度の測定を開始したサンプル12と比較して示したグラフである。
図5のサンプル12は、100倍希釈された水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプルを作成した当日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、初回測定後も32℃に保温したインキュベータで保管を行ったものである。
一方で、サンプル13は、100倍希釈された水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作成後32℃に保温したインキュベータで保管を行い、サンプル作成日から3日後に初めて開封して溶存水素濃度の測定を開始し、初回測定後は32℃に保温したインキュベータで保管したものである。
また、サンプル14は、100倍希釈された水素原液(1)350mlに対して柚子エキスを50mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作成後32℃に保温したインキュベータで保管を行い、サンプル作成日の5日後に初めて開封して溶存水素濃度の測定を開始し、初回測定後も32℃に保温したインキュベータで保管を行ったものである。
なお、100倍希釈した水素原液1には、上記のサンプル1〜サンプル3のときと同様、第2の電圧印加等の所定の処理を行っていないものを使用した。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回の測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまでサンプル12〜14の何れも32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
図5に示したように、サンプルを作成してから32℃条件下で保管を行い、サンプル作成日から数日経過後に開封したサンプル13及びサンプル14では、サンプル作成した当日に開封したサンプル12と同等程度に溶存水素濃度の測定ピーク値が高く示され、開封後から数日間、溶存水素が高い濃度の状態にあった。また、開封後の早い段階で溶存水素濃度の測定ピーク値が確認された。
これより、本発明の水素水100においては、PET等の容器に密封されて未開封の状態で単に特定温度条件下とするだけでは反応性が遅く水素が容器から抜け出ていく恐れも少なく、容器の開封をきっかけとする開封時の圧力(気圧)変化や振動、振とう、攪拌等の外力が加わること等により生じる反応の促進効果が特定温度条件下で高まるものと推測される。
なお、本発明者らの実験により、図2のグラフの天然水(ナチュラルミネラルウォータ)に柚子エキスを添加した対照(開封後常温保管)では溶存水素が検出されなかったが、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)に柚子エキスを添加して開封後32℃条件下の保管では水素濃度の増大が見られたことから、柚子エキスの添加による溶存水素濃度の増大は、柚子エキスと天然水(ナチュラルミネラルウォータ)、または、柚子エキスと天然水(ナチュラルミネラルウォータ)由来以外の水素原液1の成分との組み合わせによるものであることが考えられる。
以上、実施例1‐1の水素水100によれば、水素原液1に柚子エキスが添加されたことにより、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。
次に、実施例1‐2について説明する。実施例1−2は、柑橘類として伊予柑を使用した事例である。
実施例1‐2として、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して伊予柑エキス(果実の食用部位の搾汁)を1.5g(抽出物0.03g相当)添加した水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでは、伊予柑エキスを添加する100倍希釈した水素原液1について、実施例1‐1のときと同様、100倍希釈後、90℃で30分加熱を行って直ぐに容器に充填し密封したもの(以下、水素原液1a1とする。また、特段に記載のない限り、下記の実施例でも水素原液1a1を使用している。)に加え、100倍希釈後に後述の図26、図27で示したように、紫外線殺菌(ステップS113)、(第2の)電圧印加(ステップS114)、85℃〜135℃の30分の加熱殺菌(ステップS115)、精密濾過(ステップS114)を行ってからに容器に充填し密封したもの(以下、水素原液1a2とする)との2種類の水素原液1を用意した。
そして、前者の、希釈してから90℃で30分加熱を行って直ぐに容器に充填し密封して室温で保管しておいた100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対して伊予柑エキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後(初回測定後)は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐2a1とした。
また、後者の、希釈後第2の電圧印加等を行ってから所定の加熱をして容器に充填し密封して室温で保管しておいた100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対して伊予柑エキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐2a2とした。
更に、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについても開封後32℃で保管した。
更なる比較として、水素原液1(1a1、1a2)において希釈に使用した水(天然水)350mlに対して、実施例1‐2と同様、伊予柑エキスを1.5g添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
なお、上述したように、実施例1‐2a1及びブランクに使用した水素原液1a1については、電圧印加(ステップS40)を行ってから天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、所定の加熱をしてからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用しており、実施例1‐2a2に使用した水素原液1a2については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用している。
これら実施例1‐2、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図6のグラフに示す。
図6のグラフに示したように、伊予柑エキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で162ppbの測定ピーク値となり、4回目の測定で90ppb程度、5回目の測定で40ppb程度であったのに対し、100倍希釈した水素原液1(1a1、1a2)に伊予柑エキスが添加された実施例1‐2a1、実施例1‐2a2のサンプルの水素水100では、何れも測定ピーク値がブランクよりも高く、また、長く溶存水素が高い濃度で存在した。
即ち、実施例1‐2a1の水素水100では、2回目の測定で、溶存水素濃度の測定値が398ppbのピーク値となり、3回目の測定で200ppb程度、4回目〜6回目の測定でも60ppb〜85ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、長い間溶存水素濃度が高く検出された。
また、実施例1‐2a2の水素水100では、2回目の測定で、溶存水素濃度の測定値が190ppb程度であり、3回目の測定で235ppbのピーク値となり、4回目〜5回目の測定でも120ppb〜190ppb程度あり、6回目〜7回目の測定でも10ppb〜30ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、長い間溶存水素濃度が高く検出された。
このように、100倍希釈した水素原液1(1a1、1a2)に伊予柑エキスが添加された実施例1‐2では、伊予柑エキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(1.5倍〜2.5倍に増大)、ブランクよりも溶存水素が高い濃度で長く検出された。
以上、実施例1‐2の水素水100においても、伊予柑エキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
次に、実施例1‐3について説明する。実施例1‐3は、柑橘類としてデコポンを使用した事例である。
実施例1‐3として、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してデコポンエキス(果実の食用部位の搾汁)を1.5g(抽出物0.03g相当)添加した水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでも、デコポンエキスを添加する100倍希釈した水素原液1について、上記水素原液1a1と水素原液1a2の2種類を用意した。
そして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してデコポンエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後(初回測定後)は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐3a1とした。
また、100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対してデコポンエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐3a2とした。
更に、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してデコポンエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管したものを実施例1‐3bとした。
加えて、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについては開封後32℃で保管した。
更なる比較として、水素原液1(1a1、1a2)において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、実施例1‐3と同様、デコポンエキスを1.5g添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで所定条件下で保管した。実施例1‐3a、ブランク、対照については開封後32℃に保温したインキュベータで保管を行い、実施例1‐3bについては開封後室温(10〜25℃)下で保管を行った。
なお、上述したように、実施例1‐3a1、実施例1‐3b、ブランクで使用した水素原液1a1については、電圧印加(ステップS40)を行ってから天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、所定の加熱をしてからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用しており、実施例1‐3a2で使用した水素原液1a2については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用している。
これら実施例1‐3、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図7のグラフに示す。
図7のグラフに示したように、デコポンエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で162ppbの測定ピーク値となり、4回目の測定で90ppb程度、5回目の測定で40ppb程度であった。
これに対し、100倍希釈した水素原液1(1a1、1a2)にデコポンエキスが添加された実施例1‐3a1、実施例1‐3a2、実施例1‐3bの水素水100では、何れも測定ピーク値がブランクよりも高く、また、長く溶存水素が高い濃度で存在した。
即ち、実施例1‐3a1(開封後は32℃で保管)の水素水100では、2回目の測定で、432ppbのピーク値となり、3回〜4回目の測定でも90〜160ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、長い間溶存水素濃度が高く検出された。
また、実施例1‐3a2(開封後は32℃で保管)の水素水100でも、2回目の測定で968ppbのピーク値となり、3回目の測定でも810ppb程度、4回〜6回目の測定でも75ppb〜250ppbあり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクより長い間溶存水素濃度が高かった。
更に、実施例1‐3b(開封後は室温下で保管)の水素水100でも、3回目〜6回目の測定で、550ppb〜610ppbのピーク値となり、6回目〜7回目の測定でも50ppb〜75ppb程度あり、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクよりも長く溶存水素濃度が高かった。
このように、100倍希釈した水素原液1にデコポンエキスが添加された実施例1‐3では、デコポンエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(2.5倍〜6倍に増大)、ブランクよりも溶存水素が高い濃度で長く検出された。
特に、開封後に32℃の温度で保管を行った実施例1‐31aでは、室温(10〜25℃)下で保管した実施例1‐3bと比較して、開封して早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、しかも、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が顕著に高く、ピーク後も水素が直ぐには消失しておらず溶存水素が高い濃度で数日間の長い間存在した。
以上、実施例1‐3の水素水100においても、デコポンエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
次に、実施例1‐4について説明する。実施例1‐4は、柑橘類としてグレープフルーツを使用した事例である。
実施例1‐4として、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してグレープフルーツエキス(果実の食用部位の搾汁)を1.5g(抽出物0.03g相当)添加した水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでも、グレープフルーツエキスを添加する100倍希釈した水素原液1について、上記水素原液1a1と水素原液1a2の2種類を用意した。
そして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してグレープフルーツエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後(初回測定後)は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐4a1とした。
また、100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対してグレープフルーツエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐4a2とした。
更に、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してグレープフルーツエキスを1.5g添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管したものを実施例1‐4bとした。
加えて、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについては開封後32℃で保管した。
更なる比較として、水素原液1(1a1、1a2)において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、実施例1‐4と同様、グレープフルーツエキスを1.5g添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで所定条件下で保管した。実施例1‐4a、ブランク、対照については開封後32℃に保温したインキュベータで保管を行い、実施例1‐4bについては開封後室温(10〜25℃)下で保管を行った。
なお、上述したように、実施例1‐4a1、実施例1‐4b、ブランクの水素原液1a11については、電圧印加(ステップS40)を行ってから天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、所定の加熱をしてからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用しており、実施例1‐4a2の水素原液1a2については、第2の電圧印加工程を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用している。
これら実施例1‐4、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図8のグラフに示す。
図8のグラフに示したように、グレープフルーツエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で162ppbの測定ピーク値となり、4回目の測定で90ppb程度、5回目の測定で40ppb程度であった。
これに対し、100倍希釈した水素原液1にグレープフルーツエキスが添加された実施例1‐4a1、実施例1‐4a2、実施例1‐4bの水素水100では、何れも測定ピーク値がブランクよりも高く、また、長く溶存水素が高い濃度で存在した。
即ち、実施例1‐4a1(開封後は32℃で保管)の水素水100では、2回目の測定で、溶存水素濃度の測定値が1042ppbのピーク値となり、3回〜4回目の測定でも100〜350ppb程度、5回目の測定でも50ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクより長い間溶存水素濃度が高く検出された。
また、実施例1‐4a2(開封後は32℃で保管)の水素水100では、2回目の測定で1160ppbのピーク値となり、3回目〜5回目の測定でも180ppb〜610ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクより長い間溶存水素濃度が高かった。
更に、実施例1‐4b(開封後は室温下で保管)の水素水100でも、溶存水素濃度の測定値が3回目〜5回目の測定で200ppb〜299ppbのピーク値となり、6回目の測定でも75ppb程度あり、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクよりも長く溶存水素濃度が高かった。
このように、100倍希釈した水素原液1にグレープフルーツエキスが添加された実施例1‐4では、グレープフルーツエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(1.8倍〜7.2倍に増大)、ブランクよりも溶存水素が高い濃度で長く検出された。
特に、開封後に32℃の温度で保管を行った実施例1‐4aでは、室温(10〜25℃)下で保管した実施例1‐4bと比較して、開封して早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、しかも、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が顕著に高く、ピーク後も水素が直ぐには消失しておらず溶存水素が高い濃度で数日間存在した。
以上、実施例1‐4の水素水100においても、グレープフルーツエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
次に、実施例1‐5について説明する。実施例1‐5は、柑橘類としてレモンを使用した事例である。
実施例1‐5として、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してレモンエキス(果実食用部位の搾汁)を1.5g(抽出物0.03g相当)添加した水素水100のサンプルを作製した。
ここでは、100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対してレモンエキスを1.5gを添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したものを実施例1‐5aとした。なお、レモンエキスを添加した水素原液1a2については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び第2の電圧印加を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用している。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
実施例1‐5についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図9のグラフに示す。
なお、ここでは、ブランクとして100倍希釈した水素原液(1a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)の経時的な溶存水素濃度の測定結果を図9に示した。ブランクについても開封後32℃で保管したときの測定結果である。
また、対照(コントロール)としては、水素原液1において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、実施例1‐5と同様、レモンエキスを1.5g添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却したものについての経時的な溶存水素濃度の測定結果を図9に示した。対照についても、作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管したとき測定結果である。
図9のグラフに示したように、レモンエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では3回目の測定で162ppbの測定ピーク値となり、4回目の測定で90ppb程度、5回目の測定で40ppb程度であったのに対し、100倍希釈した水素原液1a2にレモンエキスが添加された実施例1‐5aの水素水100では、2回目の測定で95ppb程度であり、3回目の測定で217ppbのピーク値となり、4回目〜5回目の測定でも85ppb〜100ppb程度あり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、ブランクよりも長い間溶存水素濃度が高く検出された。
このように、100倍希釈した水素原液1a2にレモンエキスが添加された実施例1‐5では、レモンエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1a1)と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(1.3倍に増大)、ブランクよりも溶存水素が高い濃度で長く検出された。
以上、実施例1‐5の水素水100においても、レモンエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
こうして、柑橘類のエキスを添加することにより、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。そして、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、上記の実施例1‐2〜実施例1‐5では、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)に柑橘類のエキスを添加した対照でも溶存水素が検出されたことから、植物エキス70の添加による溶存水素量の増大は、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)、または、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)由来以外の水素原液1の成分との組み合わせによるものであることが考えられる。
〈実施例2〉
実施例2に係る水素水100は、上述のようにして得られた100倍希釈した水素原液1に植物エキス70として緑黄色野菜類のエキスを添加したものである。
緑黄色野菜として、実施例2‐1ではブロッコリースプラウト、実施例2‐2では大麦若葉、実施例2‐3ではケール、実施例2‐4ではニラ、実施例2‐5ではカボチャを用いた。
まず実施例2‐1について説明する。実施例2‐1は、緑黄色野菜類としてブロッコリースプラウトを使用した事例である。
実施例2‐1として、100倍希釈した水素原液1にブロッコリースプラウトエキス(オリザ油化(株)製の「ブロッコリースプラウトエキス」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
ここでは、ブロッコリースプラウトエキスを添加する100倍希釈した水素原液1について、上記水素原液1a1と水素原液1a2の2種類を用意した。
そして、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを100mg添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、既存の一般的なPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管したものを実施例2‐1a1とした。
また、100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを100mg添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管したものを実施例2‐1a2とした。
加えて、比較のために、ブランクa1として100倍希釈した水素原液(1a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。また、ブランクa2として100倍希釈した水素原液(a1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も同様に経時的に溶存水素濃度の測定を行った。これらのブランクについては開封後も室温で保管した。
更なる比較として、水素原液1(1a1、1a2)において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、実施例2‐1と同様、ブロッコリースプラウトエキスを100mg添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで所定条件下で保管した。
なお、上述したように、実施例2‐1a1、ブランクa1の水素原液1a1については、電圧印加(ステップS40)を行ってから天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、所定の加熱を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用しており、実施例2‐1a2、ブランクa2の水素原液1a2については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管したものを使用している。
これら実施例2‐1、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図10のグラフに示す。
図10のグラフに示したように、ブロッコリースプラウトエキスを添加しなかったブランクa1(100倍希釈した水素原液1a1)では、5回目の測定で5ppb程度であり、6回目で32ppbの測定ピーク値(最大値)が見られ、7回目の測定で8ppbに減少した。また、ブランクa2(100倍希釈した水素原液1a2)では、4回目の測定で溶存水素濃度が30ppbの測定ピーク値(最大値)が見られ、5回目の測定で10ppbに減少した。
これに対し、100倍希釈した水素原液1a1にブロッコリースプラウトエキスを添加した実施例2‐1a1の水素水100では、3回目の測定で5ppb程度、4回目の測定で225ppbの測定ピーク値となり、5回目の測定で160ppb程度、6回目で125ppb程度、7回目でも70ppb程度、8回目でも10ppb程度あった。
また100倍希釈した水素原液1a2にブロッコリースプラウトエキスを添加した実施例2‐1a2の水素水100でも、2回目の測定で10ppb程度、3回目の測定で溶存水素濃度が178ppbの測定ピーク値となり、4回目〜7回目の測定でも40ppb〜140ppb程度あり、8回目の測定でも25ppb程度あった。
このように、100倍希釈した水素原液1にブロッコリースプラウトエキスが添加された実施例2‐1では、ブロッコリースプラウトエキスを添加しなかったブランク(100倍希釈した水素原液1のみ)と比較して、PET容器開封後に測定された溶存水素濃度の測定ピーク値(最高値)が高くなり(6倍〜7倍に増大)、ブランクよりも溶存水素が高い濃度で長く検出された。
ここで、本発明者らは、図11に示すように、ブロッコリースプラウトエキスの添加量を様々変化させたときの水素水100の溶存水素濃度の測定も行っている。
即ち、実施例2‐1Aとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを100mg添加した水素水100のサンプルを作製した。
また、実施例2‐1Bとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを50mg添加した水素水100のサンプルを同様に作製した。
更に、実施例2‐1Cとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを10mg添加した水素水100のサンプルを同様に作製した。
なお、ここでは、100倍希釈した水素原液1は、上記の実施例2‐1a1、ブランクa1と同様の第2の電圧印加を行っていない水素原液1a1を使用した。
そして、全て、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は室温(10〜25℃)下で保管した。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで室温条件下で保管を行った。
このときの実施例2‐1A,2‐1B,2‐1Cの溶存水素濃度の測定結果を、上記のブランクa1と比較して示したのが図11のグラフである
図11のグラフに示したように、100倍希釈した水素原液350mlにブロッコリースプラウトエキスを30mg〜100mg添加した実施例2‐1A,2‐1B,2‐1Cでは、ブロッコリースプラウトエキスが添加されていない100倍希釈した水素原液1のみのブランクと比較して、長い間溶存水素濃度が高かった。しかも開封後早い段階で溶存水素濃度の増大が見られた。
即ち、100倍希釈した水素原液1のブランクでは、5回目〜7回目の測定で溶存水素濃度の測定値が10ppb〜32ppbであったのに対し、100倍希釈した水素原液1にブロッコリースプラウトエキスを添加した実施例2‐1においては、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が35ppb〜225ppbとなっており、100倍希釈した水素原液(ブランク)と比較して、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度が増大し、高い溶存水素濃度が長く存在した。
特に100倍希釈した水素原液(1)350mlにブロッコリースプラウトエキス100mgを添加した実施例2‐1Aの水素水100において、4回目の測定で225ppbあり、5回目〜7回目の測定でも60ppb〜160ppb程度あり、溶存水素濃度が顕著に増大し、最も高い濃度の水素が長く検出された。
このように、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスの添加量が10mg〜100mgの範囲内において、100倍希釈した水素原液1(ブランク)と比較して、安定的に長く水素濃度が高い濃度で存在することが確認された。なお、ここではブロッコリースプラウトエキスの添加量が多いほど、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高くなる傾向にあり、PET容器開封後の数日間の長い間溶存水素濃度が高くなる傾向が示された。
因みに、ここでは、水素水100を無味、無臭、無着色の飲用水に適用することを想定し、ブロッコリースプラウトエキスの添加量を10mg〜100mgに設定した。つまり、水素原液(1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスの添加量が10mg〜100mgの範囲内であれば、ブロッコリースプラウトエキスに由来する風味の影響もなく、天然水本来の風味を生かすことができる。
しかし、本発明を実施する場合には、水素水100の用途等に応じて、添加量は適宜設定される。
念のため、図12及び図13において、サンプルを作製してから所定の日数経過後にPET容器を開封したときの溶存水素濃度の経時的な測定結果を示す。
まずは上記の実施例2‐1Aの水素水100が充填されたPET容器の開封時期を、サンプル作製日、サンプル作製日から1週間後、サンプル作製日2週間後としたときの溶存水素濃度の測定結果について説明する。
具体的には、上記実施例2‐1Aの水素水100のサンプル、即ち、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを100mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填して、キャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日にPET容器を開封し、溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル1とした。
また、サンプル作成後室温(10〜25℃)下で保管し、サンプル作製日から1週間後に初めてPET容器を開封し、溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル2とした。
更に、サンプル作成後室温(10〜25℃)下で保管し、サンプル作製日から2週間後に初めてPET容器を開封し、溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル3とした。
なお、サンプル1〜サンプル3は全て、開封後も室温(10〜25℃)下で保管を行った。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで室温(10〜25℃)下で保管を行った。
このときのサンプル1〜3の溶存水素濃度の測定結果を、上記のブランクa1と比較して示したのが図12のグラフである。
図12のグラフに示したように、サンプル作成日から1週間後に開封したサンプル2及び2週間後に開封したサンプル3でも、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、また、数日間の長い間溶存水素が高い濃度の状態となることが確認された。
続いて、実施例2‐1A及び実施例2‐1Cの水素水100が充填されたPET容器の開封時期を、サンプル作製日から1カ月後としたときの溶存水素濃度の測定結果について説明する。
具体的には、上記実施例2‐1Aの水素水100のサンプル、即ち、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを100mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填して、キャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作成後室温(10〜25℃)下で保管し、サンプル作製日から1カ月後に初めてPET容器を開封し、溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル4とした。
また、上記実施例2‐1Cの水素水100のサンプル、即ち、100倍希釈した水素原液(1a1)350mlに対してブロッコリースプラウトエキスを10mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填して、キャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作成後室温(10〜25℃)下で保管し、サンプル作製日から1カ月後に初めてPET容器を開封し、溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル5とした。
なお、サンプル4及びサンプル5については、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
測定条件は、上記と同様、初めにPET容器開封直後に初回測定を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃で保温されたインキュベータに入れて保管を行った。
このときのサンプル4及びサンプル5の溶存水素濃度の測定結果を、ブランクa1と比較して示したのが図13のグラフである。
図13のグラフに示したように、サンプル作成日から1カ月後に開封したサンプル4及びサンプル5でも、ブランクよりも溶存水素濃度の測定ピーク値が高く、また、ブランクよりも長く溶存水素が高い濃度の状態にあった。
更に、本発明者らの実験研究によれば、1年以上もの長い間未開封の状態で常温保管し、長期間保管後に開封して溶存水素濃度を測定しても、開封後、数日間長い間水素が高い濃度で存在することを確認している。
このように、ブロッコリースプラウトエキスを添加した実施例2‐1についても、ブロッコリースプラウトエキスが添加されたことにより、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。そして、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、図10において、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)にブロッコリースプラウトエキスを添加した対照との比較により、植物エキス70の添加による溶存水素量の増大は、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)、または、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)由来以外の水素原液1の成分との組み合わせによるものであることが考えられる。
次に実施例2‐2について説明する。
実施例2‐2は、緑黄色野菜類として大麦若葉(青汁の一種)を使用した事例である。
実施例2‐2として、100倍希釈した水素原液1に大麦若葉エキス(佐々木食品工業(株)製の「国産大麦若葉粉末」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
ここで、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して大麦若葉エキスを100mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐2Aとした。
また、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して大麦若葉エキスを50mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐2Bとした。
更に、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して大麦若葉エキスを30mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐2Cとした。
なお、ここでは、100倍希釈した水素原液1への大麦若葉エキスの添加により、沈殿物が生じたことから、濾紙による濾過を行ってこの沈殿物を除去し、沈殿物が除去された濾過物について、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却してサンプルを作製した。
また、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
これら全て開封後は室温(10〜25℃)下で保管した。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで室温(10〜25℃)下で保管を行った。
実施例2‐2、ブランクについての溶存水素濃度の測定結果を図14のグラフに示す。
図14のグラフに示したように、大麦若葉エキスを添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1のみ)では、3回目の測定で、62ppbのピーク値となり、4回目の測定で40ppb程度に減少した。
これに対し、100倍希釈した水素原液1に大麦若葉エキスを添加した実施例2‐2A、実施例2‐2B、実施例2‐2Cの水素水100では、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、2回目の測定で、82〜165ppbのピーク値となり、3回目の測定でも何れも65ppb以上あり、4回目の測定でも10ppb〜40ppb程度あった。特に、実施例2‐2Aでは、ブランクと比較して、ピーク値(最大値)の溶存水素濃度が2.5倍以上に増大した。
このように、100倍希釈した水素原液1に大麦若葉エキスを添加した実施例2‐2でも、大麦若葉エキスを添加しなかったブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高くなり、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。なお、ここでは大麦若葉エキスの添加量が多いほど、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高くなる傾向にあり、PET容器開封後の数日間の長い間溶存水素濃度が高くなる傾向が示された。
以上、実施例2‐2の水素水100においても、大麦若葉エキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、このように、100倍希釈した水素原液350mlに対して大麦若葉エキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内において、100倍希釈した水素原液1(ブランク)と比較して、溶存水素濃度が顕著に増大し、長く水素濃度が高い濃度で存在することが確認されたが、水素原液(1)350mlに対して大麦若葉エキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内であれば、大麦若葉エキスに由来する風味の影響もなく、天然水本来の風味を生かすことができる。しかし、本発明を実施する場合には、水素水100の用途等に応じて、添加量は適宜設定される。
次に実施例2‐3について説明する。実施例2‐3は、緑黄色野菜類としてケール(青汁の一種)を使用した事例である。
実施例2‐3として、100倍希釈した水素原液1にケールエキス(佐々木食品工業(株)製の「国産ケール粉末」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
ここで、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してケールエキスを100mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐3Aとした。
また、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してケールエキスを50mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐3Bとした。
更に、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対してケールエキスを30mg添加した水素水100のサンプルを実施例2‐3Cとした。
また、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
これら全て開封後は室温(10〜25℃)下で保管した。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで室温(10〜25℃)下で保管を行った。
実施例2‐3、ブランクについての溶存水素濃度の測定結果を図15のグラフに示す。
図15のグラフに示したように、ケールエキスを添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1のみ)では、3回目の測定で、62ppbのピーク値となり、4回目の測定で40ppb程度に減少した。
これに対し、100倍希釈した水素原液1にケールエキスを添加した実施例2‐3A、実施例2‐3B、実施例2‐3Cの水素水100では、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、2〜3回目の測定で、70ppb〜151ppbのピーク値となり、4回目の測定でも45ppb以上あり、5回目でも15ppb〜25ppb程度あった。
特に、実施例2‐3Bでは、ブランクと比較して、ピーク値(最大値)の溶存水素濃度が2.5倍以上に増大した。
このように、100倍希釈した水素原液1にケールエキスを添加した実施例2‐3でも、ケールエキスを添加しなかったブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高くなり、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
以上、実施例2‐3の水素水100においても、ケールエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、このように、100倍希釈した水素原液350mlに対してケールエキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内において、100倍希釈した水素原液1(ブランク)と比較して、溶存水素濃度が顕著に増大し、長く水素濃度が高い濃度で存在することが確認されたが、水素原液(1)350mlに対してケールエキスの添加量が30mg〜100mgの範囲内であれば、ケールエキスに由来する風味の影響もなく、天然水本来の風味を生かすことができる。しかし、本発明を実施する場合には、水素水100の用途等に応じて、添加量は適宜設定される。
次に実施例2‐4及び実施例2‐5について説明する。
実施例2‐4は、緑黄色野菜類としてニラを使用した事例、実施例2‐5は、緑黄色野菜類としてカボチャを使用した事例である。
実施例2‐4として、100倍希釈した水素原液1にニラエキス(オリザ油化(株)製の「ニラ種子エキスWSP」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
また、実施例2‐5として、100倍希釈した水素原液1にカボチャエキス(アスク薬品(株)製の「西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP940」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでは、水素原液1については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管した水素原液1a2を使用している。
このような100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対して、実施例2‐4ではニラエキスを85.7mg/L添加、実施例2‐5ではカボチャエキスを85.7mg/L添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後(初回測定後)は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
更に、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(ここでは水素原液1a1を使用)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについても開封後は32℃に保温したインキュベータで保管した。
更なる比較として、水素原液1において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、ニラエキス、カボチャエキスをそれぞれ85.7mg/Lを添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それらについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
実施例2‐4についての溶存水素濃度の測定結果を、ブランク、対照と比較して図16のグラフに示す。
また、実施例2‐5についての溶存水素濃度の測定結果を、ブランク、対照と比較して図17のグラフに示す。
図16、図17のグラフにおいて、各種エキスを添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で14ppb、4回目〜5回目の測定で32〜41ppbの測定ピーク値になり、6〜7回目の測定で12〜19ppbに減少した。
これに対し、図16に示したように、100倍希釈した水素原液1にニラエキスを添加した実施例2‐4の水素水100では、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、測定開始から2回目の測定で292ppbのピーク値となり、3回目の測定でも125ppbあった。
また、図17に示したように、100倍希釈した水素原液1にカボチャエキスを添加した実施例2‐5の水素水100でも、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、測定開始から2回〜3回目の測定で209〜225ppbの測定ピーク値となり、4回目の測定でも65ppbあった。
このように、100倍希釈した水素原液1にニラエキスを添加した実施例2‐4、カボチャエキスを添加した実施例2‐5でも、各種エキスを添加していない100倍希釈した水素原液1のブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高い値となり、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
以上、実施例2‐4の水素水100においてもニラエキスが添加されたことにより、また実施例2‐5の水素水100においても、カボチャエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
こうして、緑黄色野菜類のエキスを添加することにより、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。そして、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
〈実施例3〉
実施例3に係る水素水100は、上述のようにして得られた100倍希釈した水素原液1に植物エキス70としてハーブ・薬草類のエキスを添加したものである。
まず、実施例3‐1について説明する。
実施例3‐1では、ハーブ・薬草エキスとして、キク科のカモミール、ドクダミ科のドクダミ、バラ科のセイヨウサンザシ、ブドウ科のブドウ葉の各エキスが混合された混合エキス(商品名『AGハーブMIX』、アークレイ社製)を用いた。
実施例3‐1として、100倍希釈した水素原液(1)350mlに対して上述したカモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉のハーブ・薬草の混合エキスを100mg添加し、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填してキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルを作製し、サンプル作製日に容器を開封して溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル1、サンプル作製後室温(10〜25℃)下で保管を行い、サンプル作製日の2週間後に容器を開封して溶存水素濃度の測定を開始したものをサンプル2とした。
また、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液(1)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
更なる比較として、水素原液1において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、実施例3‐1と同様、ハーブ・薬草の混合エキスを100mg添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
これら全て開封後は室温(10〜25℃)下で保管した。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで室温(10〜25℃)下で保管を行った。
実施例3‐1、ブランク、対照についての溶存水素濃度の測定結果を図18のグラフに示す。
図18のグラフに示したように、ハーブ・薬草混合エキスを添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1のみ)では、5回目の測定で66ppbのピーク値(最大値)となり、6回目の測定で40ppbに減少し、7回目の測定で15ppb程度であった。
これに対し、100倍希釈した水素原液1にハーブ・薬草混合エキスを添加した実施例3‐1のサンプル1水素水100では、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度の増大が見られ、3〜4回目の測定で、130〜147ppbのピーク値となり、5回目の測定でも80ppb程度、6回目でも40ppb程度あり、ブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値が高くなり(2.2倍に増大)、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
更に、100倍希釈した水素原液1にハーブ・薬草混合エキスを添加した実施例3‐1のサンプル2の水素水100でも、ブランク以上に長い間溶存水素濃度が高く検出された。
このように、100倍希釈した水素原液1にハーブ・薬草混合エキスを添加した実施例3‐1でもブランクと比較して、高い溶存水素濃度が長く検出された。
以上、実施例3‐1においてもハーブ・薬草混合エキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、図18において、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)にハーブ・薬草混合エキスを添加した対照との比較により、植物エキス70の添加による溶存水素量の増大は、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)、または、植物エキス70と天然水(ナチュラルミネラルウォータ)由来以外の水素原液1の成分との組み合わせによるものであることが考えられる。
次に実施例3‐2について説明する。実施例3‐2は、ハーブ・薬草類としてシソを使用した事例である。
実施例3‐2として、100倍希釈した水素原液1にシソエキス(オリザ油化(株)製の「シソの実エキスWSP」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでは、水素原液1については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管した水素原液1a2を使用している。
このような100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対して、実施例3‐2ではシソエキスを85.7mg/L添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
更に、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液1(ここでは水素原液(1a1)を使用)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについても開封後は32℃に保温したインキュベータで保管した。
更なる比較として、水素原液1において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、シソエキスをそれぞれ85.7mg/Lを添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
実施例3‐2についての溶存水素濃度の測定結果を、ブランク、対照と比較して図19のグラフに示す。
図19のグラフに示したように、シソエキスを添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で14ppb、4回目〜5回目の測定で32〜41ppbの測定ピーク値になり、6〜7回目の測定12〜19ppbに減少した。
これに対し、100倍希釈した水素原液1にシソエキスを添加した実施例3‐2の水素水100では、測定開始から3回目の測定で、262ppbのピーク値となり、4回目の測定でも74ppbあった。
このように、100倍希釈した水素原液1にシソエキスを添加した実施例3‐2でもブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高い値となり、また、高い濃度の溶存水素が長く検出された。
以上、実施例3‐2においてもシソエキスが添加されたことにより、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
こうして、ハーブ・薬草類のエキスを添加することにより、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。そして、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
〈実施例4〉
実施例4に係る水素水100は、上述のようにして得られた100倍希釈した水素原液1に植物エキス70として柑橘類以外の果実類、木の実類(種実類)、花木類、豆類のエキスを添加したものである。
果実類として、実施例4‐1では苺、実施例4−2ではキウイ、実施例4‐3ではライチを用いた。また、木の実類(種実類)として、実施例4‐4で胡桃を用いた。更に、花木類として実施例4‐5で椿を用いた。加えて、豆類として実施例4‐6で大豆を用いた
即ち、実施例4‐1は、果実類として苺を使用した事例であり、実施例4‐2は、果実類としてキウイを使用した事例であり、実施例4‐3は、果実類としてライチを使用した事例である。また、実施例4‐4は木の実類(種実類)として胡桃を使用した事例であり、実施例4‐5は花木類として椿を使用した事例であり、実施例4‐6は豆類として大豆を使用した事例である。
実施例4‐1として、100倍希釈した水素原液1に苺エキス(オリザ油化(株)製の「イチゴ種子エキスP」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
また、実施例4‐2として、100倍希釈した水素原液1にキウイエキス(オリザ油化(株)製の「キウイ種子エキスWSP」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
更に、実施例4‐3として、100倍希釈した水素原液1にライチエキス(オリザ油化(株)製の「ライチ種子エキスWSP」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
また、実施例4‐4として、100倍希釈した水素原液1に胡桃エキス(オリザ油化(株)製の「クルミポリフェノールエキスWSP10」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
更に、実施例4‐5として、100倍希釈した水素原液1に椿エキス(ビーエイチエヌ(株)製の「ツバキ種子エキスCD25」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
加えて、実施例4‐6として、100倍希釈した水素原液1に大豆(胚芽)エキス(フジッコ(株)製の「フジフラボンP10」)を添加し水素水100のサンプルを作製した。
なお、ここでは、水素原液1については、電圧印加後(ステップS40)に天然水(ナチュラルミネラルウォータ)で100倍に希釈した後、再び電圧印加(第2の電圧印加工程)を行い、更に所定の加熱を行った後、精密濾過を行ってからPET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却後1〜2カ月室温下で保管した水素原液1a2を使用している。
このような100倍希釈した水素原液(1a2)350mlに対して、実施例4‐1では苺エキスを85.7mg/L、実施例4‐2ではキウイエキスを85.7mg/L、実施例4‐3ではライチエキスを85.7mg/L、実施例4‐4では胡桃エキスを85.7mg/L、実施例4‐5では椿エキスを85.7mg/L、実施例4‐6では大豆エキスを85.7mg/L添加したのち、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した水素水100のサンプルについて、サンプル作製日に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後(初回測定後)は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
更に、比較のために、ブランクとして、100倍希釈した水素原液1(ここでは水素原液1a1を使用)350mlについて(PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却して1〜2か月室温下で保管しておいたもの)も経時的に溶存水素濃度の測定を行った。ブランクについても開封後は32℃に保温したインキュベータで保管した。
更なる比較として、水素原液1において希釈に使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)350mlに対して、各種苺エキス、キウイエキス、ライチエキス、胡桃エキス、椿エキス、大豆エキスをそれぞれ85.7mg/L添加し、そして、90℃で30分加熱を行い、その後、PET容器に充填しキャップをして密封し、流水で冷却した対照(コントロール)を用意し、それらについても作製日(エキスを添加した日)に開封して溶存水素濃度の測定を開始し、開封後は32℃に保温したインキュベータで保管し、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。
溶存水素濃度の測定は初めにPET容器開封直後に測定(初回測定)を行い、測定は1日に1回とした。なお、溶存水素濃度を測定する際の攪拌時間は毎回30秒〜1分程度とした。
毎度測定後の液はPET容器に再度戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまで32℃に保温したインキュベータで保管を行った。
実施例4‐1についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図20のグラフに、実施例4‐2についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図21のグラフに、実施例4‐3についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図22のグラフに、実施例4‐4についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図23のグラフに、実施例4‐5についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図24のグラフに、実施例4‐6についての溶存水素濃度の測定結果をブランク、対照と比較して図25のグラフに示す。
図20、図21、図23、図24のグラフにおいて、各種植物エキス70を添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、3回目の測定で14ppb、4回目〜5回目の測定で32〜41ppbの測定ピーク値になり、6〜7回目の測定12〜19ppbに減少した。
また、図22、図25のグラフにおいて、各種植物エキス70を添加していないブランク(100倍希釈した水素原液1a1)では、4回目の測定で12ppb、5回目の測定で20ppbの測定ピーク値になり、6回目の測定で8ppbに減少した。
これに対し、図20に示したように、100倍希釈した水素原液1に苺エキスを添加した実施例4‐1の水素水100では、3回目の測定で171ppbのピーク値となり、4回目の測定でも124ppb、5回目の測定でも54ppbあり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度のピークが見られ、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
図21に示したように、100倍希釈した水素原液1にキウイエキスを添加した実施例4‐2の水素水100においても、3回目の測定で168ppb、4回目の測定で293ppbのピーク値となり、5回目の測定でも110ppbあり、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
また、図22に示したように、100倍希釈した水素原液1にライチエキスを添加した実施例4‐3の水素水100では、4回目の測定で49ppb、5回目の測定で77ppbピーク値となり、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
更に、図23に示したように、100倍希釈した水素原液1に胡桃エキスを添加した実施例4‐4の水素水100においても、2回目の測定で280ppbのピーク値となり、3回目の測定でも126ppbあり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度のピークが見られ、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
図24に示したように、100倍希釈した水素原液1に椿エキスを添加した実施例4‐5の水素水100においても、2回目の測定で252ppbのピーク値となり、3回目の測定でも128ppbあり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度のピークが見られ、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
また、図25に示したように、100倍希釈した水素原液1に大豆エキスを添加した実施例4‐6の水素水100では3回目の測定で41ppbのピーク値となり、3回目の測定でも30ppbあり、ブランクよりも早い段階で溶存水素濃度のピークが見られ、ブランクと比較して溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高く、また、ブランクよりも高い濃度の溶存水素が長く検出された。
このように、100倍希釈した水素原液1に苺エキスを添加した実施例4‐1、キウイエキスを添加した実施例4‐2、ライチエキスを添加した実施例4‐3、胡桃エキスを添加した実施例4‐4、椿エキスを添加した実施例4‐5、大豆エキスを添加した実施例4‐6でも、各種植物エキス70を添加していない100倍希釈した水素原液1のみのブランクと比較して、溶存水素濃度の測定ピーク値(最大値)が高い値となり、また、高い濃度の溶存水素が長く検出された。特に、苺エキス、キウイエキス、胡桃エキス、椿エキスの添加では、溶存水素濃度の増大が大きく、より長い間溶存水素濃度が高く検出された。
以上、実施例4‐1において苺エキス、実施例4‐2においてキウイエキス、実施例4‐3においてライチエキス、実施例4‐4において胡桃エキス、実施例4‐5において椿エキス、実施例4‐6において大豆エキスが添加されたことによっても、溶存水素濃度の測定ピーク値の増大が見られ、水素濃度が顕著に高くなり、長く水素が顕著に高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
こうして、苺、キウイ、ライチ等の果実類エキスや、胡桃等の木の実類のエキス、椿等の花木類のエキス、大豆等の豆類のエキスを添加することにより、長く水素が顕著に高い濃度で存在する。そして、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に測定した水素濃度がより高くなり、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
なお、図20〜図25において、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)に各種植物エキス70を添加した対照(コントロール)では溶存水素が殆ど検出されなかったことから、苺、キウイ、ライチ等の果実類エキスや、胡桃等の木の実類のエキス、椿等の花木類のエキス、大豆等の豆類のエキスの各種植物エキス70の添加による溶存水素量の増大は、天然水(ナチュラルミネラルウォータ)由来以外の水素原液1成分と植物エキス70との組み合わせによるものであることが考えられる。
因みに、上記実施例1〜実施例4の水素水100のサンプルにおいては、容器開封後の溶存水素濃度の測定値は経時的に増大したのち減少して0に収束していくが、溶存水素濃度の増大に伴い、酸化還元電位が減少し、また、溶存水素濃度の減少に伴い、酸化還元電位の増大が見られることを確認している。一方、容器開封後の経時的な測定でpHは徐々に上昇することを確認している。pHが徐々に上昇したことから、圧力変化や攪拌、振とう、振動等の外力が加えられたことで、化学的反応が生じた可能性も考えられる。
なお、上記実施例で使用したエキスに限定されず、その他の市販の抽出物や、植物から搾取した搾取液等でも同様に有効な効果が得られる。
以上説明してきたように、上記実施の形態に係る水素水100によれば、植物エキス70が添加されたことで、数日間の長い間水素が顕著に高い濃度で存在する。このため、例えば、サーバー等の形態での提供にも適する。このとき、特に、上述したように、圧力(気圧)変化や振動、振とう、攪拌等の外力を加えることにより反応性、反応速度等が高まり、その反応促進効果は25℃〜35℃の常温の温度条件下、より好ましくは32℃±1℃の温度条件下とすることで、更に高めることができ、溶存水素濃度が長い間高くなる。
また、既存の一般的なPET等の容器に充填して密封し長期間保管した場合でも、容器開封後に水素が高い濃度で存在し、特に植物エキス70が添加されたことで、容器開封後も数日間の長い間水素がより高い濃度で存在することから、PET等の容器に充填し密封した形態(密封容器入り水素水)での提供にも好適である。特に、上述したように、容器開封後は25℃〜35℃の常温の温度条件下、より好ましくは32℃±1℃の温度条件下とすることで、より高い濃度で溶存水素が長く存在する。
そして、このように数日間の長い間水素が顕著に高い濃度で存在するため、飲用に好適とされるほか、化粧品(育毛剤、整髪料等を含む)、農業用水(植物の生育、肥料、活力用等)、精密機械部品(例えば、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板等)の洗浄水(酸化防止用等)、食品の日持ち向上、酸化防止等の用途にも適する。
ここで、上述のようにして得られた実施の形態に係る水素水100をPET等の容器に充填して密封容器入り水素水を製造する方法について図26及び図27を参照しながら説明する。
最初に、加熱殺菌を行って密封容器入り水素水を製造する方法について、製造方法の概略工程図を示した図26を参照して説明する。
加熱殺菌を行って密封容器入り水素水100を製造する方法においては、汲み上げた地下水(天然水)Wを原水として例えば、30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する原水濾過工程(ステップS111)と、このようにして濾過した水に上記図1に示した電圧印加工程(ステップS40)後の水素原液1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、混合工程(ステップS112)後の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する(第2の)電圧印加工程(ステップS114)と、混合工程(ステップS122)から電圧印加工程(ステップS114)後の間に植物エキス70を添加して水素水100とし、得られた水素水100を例えば、1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素水100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密封する容器充填工程(ステップS117)と、混合工程(ステップS112)で濾過された水、水素原液1及び植物エキス70が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを有する。
図26において、原水の地下水Wは、所謂、天然水等であり、例えば鉱化された地下水等が使用される。地下水(天然水)Wは、地下水汲み上げ用の市販の汲み上げポンプ等によって汲み上げられ、1次フィルタ111に通過させる濾過工程(ステップS111)に入り、1次フィルタ111によって異物、不純物等が除去される。
1次フィルタ111は、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が30μm〜20μm以下の1種または2種以上のフィルタからなり、殆どの地下水Wに入っている鉱物種類の粒子等の異物、不純物が除去できるようになっている。
この1次フィルタ111によって地下水W中の異物、不純物等を除去することにより、水素濃度を安定させることができる。また、下流側のフィルタの負荷を軽減する。更に、微生物の栄養源でもある地下水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減できる。
そして、図26においては、汲み上げポンプ等で汲み上げられ1次フィルタ111を通過して濾過された水は、一時的な汲み上げ用の天然水補助タンク121に収容される流れとなっている。
なお、天然水補助タンク121は、1次フィルタ111からの濾過水を逆流させて1次フィルタ111の洗浄、所謂、逆洗を行う容量を少なくとも有する濾過水のタンクであり、逆洗を行う1次フィルタ111を使用するために必要なもので、使い捨てのフィルタを使用する場合には必要でない。
一時的な汲み上げ用の天然水補助タンク121に収容され、所定容量を満たしたのちは、天然水補助タンク121の下流側に配設された混合タンク123に供給される。
本発明を実施する場合には、後述する1μm以下のファイナルフィルタ114の負荷を軽減して寿命を延ばすために、また、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減するために、必要に応じて、天然水補助タンク121と混合タンク123と間に、2次フィルタ112や3次フィルタ113が配設される。
2次フィルタ112は、1次フィルタ111よりも濾過精度の高いフィルタ、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が30μm〜10μm以下の1種または2種以上のフィルタからなり、3次フィルタ113は、2次フィルタ112よりも更に濾過精度の高いフィルタ、例えば、濾過精度(ポアサイズ)が10μm〜1μm以下の1種または2種以上のフィルタからなる。この2次フィルタ112や3次フィルタ113を1次フィルタ111の下流側で混合タンク123の直前の入力側に設けることによって、1次フィルタ111のときよりも更に細かい異物、不純物、細菌等が除去される。また、後述する1μm以下のファイナルフィルタ114の負荷を軽減して寿命を延ばすことができる。更に、微生物の栄養源でもある地下水W中の異物、不純物等が除去されることで、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク等の設備における衛生管理の負担をより軽減できる。
なお、1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113の濾過精度(ポアサイズ)については、上述のサイズに限定されるものではなく、密封容器入り水素水の製造工程の各機能が効率よく動作するように設定されればよい。原水の汲み取り場所によっては、また、後述のファイナルフィルタ114を短期間に交換することを好む場合には、何れかを省略することも可能であり、結果的に、水素原液1と混合される前段階で地下水Wに入っている鉱物種類の粒子等の不純物を除去できていればよい。勿論、2次フィルタ112、3次フィルタ113についても逆洗可能なフィルタとすることも可能である。このような1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113としては、例えば、ポリプロピレン製ワインドフィルタカートリッジ等を使用できる。各フィルタにおいて、2種以上のフィルタを組み合わせて使用する場合には、フィルタの負荷を軽減するために、上流側から下流側にむかってポアサイズが順に小さくなるように配置するのが望ましい。
このように汲み上げポンプ等で汲み上げられた地下水Wは、濾過工程(ステップS111)において、1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113を順に通過させることにより濾過されたのち、混合タンク123に流れ込み、収容される。
そして、混合工程(ステップS112)において、1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113にて濾過されて混合タンク123に収容された濾過水に、上述の図1に示した製造工程を経て製造され水素原液1及び植物エキス70が混合される。即ち、上述した図1の製造工程を経て製造された水素原液1は、1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113にて濾過されて混合タンク123に収容された濾過水と混合されることで希釈される。また、植物エキス70が添加されることになる。
なお、図26において、上述した図1の製造工程を経て製造された水素原液1は、一時的な貯留用の水素原液貯留タンク122aに所定量収容され、この水素原液貯留タンク122aから混合タンク123内へ供給される。
そして、濾過水と混合される水素原液1には、図1で示した混合工程(ステップS10)、酸混合工程(ステップS20)、アルカリ混合工程(ステップS30)、電圧印加工程(ステップ40)を経て得られたものが使用される。
また、植物エキス70についても、一時的な貯留用の植物エキス貯留タンク122bに所定量収容され、この植物エキス貯留タンク122bから混合タンク123内へ供給される。
この混合工程(ステップS112)においては、例えば、上記図1の電圧印加工程後(ステップS40)の水素原液1(電圧印加直後の測定で溶存水素濃度が例えば、100〜1,500μg/L)の総量1Lに対して、濾過水が9〜999L混合され、水素原液1が濾過された水との混合により10〜1000倍に希釈されるようにする。即ち、水素原液(1)1Lに対し、水素原液1の9〜999倍量の濾過水が混合される。これにより、地下水(天然水)W本来の風味が生かされて、かつ、水素濃度を長い間高くできる密封容器入りの水素水が得られる。
また、この混合工程(ステップS112)では、所定の容積を有し、1次フィルタ111、2次フィルタ112、3次フィルタ113を通過した濾過水が収容され、この濾過水に対応した供給量で水素原液貯留タンク122aから水素原液1が、また、植物エキス貯留タンク122bから植物エキス70が供給される。そして、混合タンク123において、電動機で回転させる攪拌ファン等からなる撹拌手段によって、濾過水、水素原液1及び植物エキス70が撹拌され均一になるようにしている。
なお、ここでは、混合工程(ステップS112)にて、植物エキス70を添加する添加工程が実施されるが本発明を実施する場合には、植物エキス70の添加のタイミングは、水素原液1に添加してから濾過水と混合されてもよいし、水素原液1が濾過水Wと混合されてから添加してもよいし、水素原液1と濾過水Wを混合するタイミングで添加してもよい。
そして、混合タンク123にて濾過水、水素原液1及び植物エキス70が混合されて水素水100とされる。得られた水素水100は、紫外線殺菌工程(ステップS113)にて、紫外線装置が組み込まれた紫外線タンク装置内に収容され、所定時間紫外線殺菌される。後述する加熱殺菌工程(ステップS115)前に紫外線殺菌工程(ステップS113)を組み込むことにより、後の製造工程における微生物の繁殖を抑制し、タンク、配管等の設備における衛生管理の負担を軽減でき、衛生面での製造管理が容易となる。
続いて、紫外線殺菌を終えた水素水100は、(第2の)電圧印加工程(S114)にて、電圧印加装置が組み込まれたタンク装置内に収容され、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧が所定時間かけられ、励起される。陰極及び陽極は、不活性な電極であれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることができる。陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良く(例えば、3〜20V)、電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定される(例えば、5A〜10A)。電圧印加時間は、溶液量、溶液中の成分量、電圧をかけた後の所望とする溶存水素濃度等を考慮して適宜設定される(例えば、1〜200分間)。
濾過水、水素原液1及び植物エキス70を混合して水素水100とした混合工程(S112)後に、電圧印加工程(S114)を組み込むことで、水素濃度が安定的に高くなり、安定した品質を確保できる。
そして、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられ励起された水素水100は、加熱殺菌工程(S115)にて、プレートヒータや加熱管路が配設された加熱タンク内に収容され、例えば、85〜135℃の温度で30分間加熱殺菌される。
そして、加熱殺菌を終えた水素水100は、精密濾過工程(S116)におけるファイナルフィルタ114に供給される。
ファイナルフィルタ114は、例えば、少なくとも精密濾過により異味、異臭、不純物や、水素水100の製造段階で生じた沈殿物を除去できる程度の濾過性能を有していればよく、濾過精度(ポアサイズ)が1μm以下のフィルタを使用する。負荷の軽減のためには、例えば、1μm〜5μmのフィルタと0.5μm以下のフィルタとが併用される。
このファイナルフィルタ114としては、例えば、濾材をポリサルホンとしたポリサルホン製のメンブレンフィルタカートリッジ等が使用できる。
特に、ファイナルフィルタ114の前に加熱殺菌を行っている場合には、加熱殺菌の余熱(例えば、85℃〜135℃、30分保持した余熱)が存在するから、ファイナルフィルタ114において微生物の繁殖が抑制され、長寿命化を図ることができる。
そして、精密濾過工程(S116)において、ファイナルフィルタ114を通過させることにより精密濾過された水素水100は、クリーンルーム内の充填タンク124に供給される。
充填タンク124に収容された水素水100は、容器充填工程(ステップS117)において、クリーンルーム内にて、所定の充填速度で、液体充填機130によりPET容器、アルミニウム、スチール等の金属缶、ガラスや陶器のビン、アルミ等のラミネートフィルムからなる袋状容器等の容器130aに充填される。そして、液体充填機130では、容器130aに水素水100を充填し、充填した後に容器130aのキャップ130bで密封する。キャップ130bには、例えば、バキュームで異物を吸い取った後に、紫外線殺菌処理がなされたものが使用される。なお、必要に応じてスチーム殺菌や無菌エアーブロー処理が行われることもある。また、容器130aは、例えば、消毒薬により殺菌洗浄がなされた後、殺菌洗浄液を除去する濯ぎ洗浄を行って薬剤等を完全に落とし、その後、ビンロウ紫外線処理がなされたものが使用される。このときの洗浄には、濾過水や水素水100を使用できる。
このとき、好ましくは容器の空間容量の90%〜100%の範囲内、より好ましくは95%〜100%の範囲内に水素水100が充填される。これによって、容器内での水素水100の移動や内壁面の衝突を最小限にして、上記反応(水素の生成や水素の遊離の促進等)を抑えることができる。
更に、水素水100が充填された容器130aをキャップ130bで密封した後は、加熱殺菌の余熱(85℃〜135℃、30分保持した余熱)が存在するから、必要に応じて、水素水100が充填された容器130aを転倒することにより、キャップ130bの裏を殺菌することができる。また、図26においては、低温殺菌・冷却工程(ステップS118)にて、パストライザー等を使用し時間をかけながら低温殺菌し、冷却する。これにより、水素水100の味を変化させないようにすることできる。その他、キャップ130bで密栓した容器130aごと水槽内を潜らせることにより、冷却を行っても良い。この低温殺菌・冷却工程(ステップS118)を経て出荷される。このようにして、密封容器入り水素水が製造される。
ここで、上述したように、本実施の形態の水素水100においては、25℃〜35℃の範囲内、特に、32℃±1℃の温度条件下で溶存水素濃度が高くなるから、品質の安定化を図るために、この一連の製造工程は、20℃以下で行うのが望ましい。なお、上記の図1で示した製造方法で製造された水素原液1に植物エキス70が添加された実施の形態に係る水素水100は、殺菌の加熱温度(85℃〜135℃、30分保持)では、水素が消失してしまう可能性が低い。
こうして製造された密封容器入り水素水は、上記の図1で示した製造方法で製造された水素原液1に植物エキス70が添加されたことで、長期間保管した場合でも、容器開封後の水素濃度が高く、数日間の長い間水素が高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
ところで、本発明を実施する場合には、植物エキス70を添加するタイミングは、濾過水と水素原液1を混合する混合工程(ステップS112)に限定されず、混合工程(ステップS112)で濾過水と水素原液1が混合された後から加熱殺菌工程(ステップS115)に至るまでの間であればよく、電圧印加工程(ステップS114)後に植物エキス70を添加してもよい。なお、植物エキス70を添加するタイミングで適当な攪拌手段により均一な攪拌を行うのが望ましい。
また、本発明を実施する場合には、加熱殺菌のタイミングは、濾過水、水素原液1及び植物エキス70を混合した後から、容器充填工程(ステップS117)に至るまでの間であればよく、例えば、混合タンク123にジャケットを有する加熱タンク等を使用して加熱殺菌を行ってもよいし、ファイナルフィルタ114を通過後に加熱殺菌を行っても良い。加熱手段も特に限定されることなく、例えば、ヒータや熱交換が可能な所定の蒸気圧の螺旋状の加熱管路をタンクに配設し加熱蒸気で加熱殺菌を行うことも可能である。加熱タンクには通常、温度を均一化するための撹拌手段が設けられる。
加熱殺菌工程(ステップS115)によって菌を死滅させることで、薬剤による殺菌処理を行うことなく容器入りを可能としており、地下水(天然水)Wの本来の風味を生かした密封容器入り水素水とすることができる。
次に、加熱殺菌を行わず非加熱で密封容器入り水素水を製造する方法について、製造方法の概略工程図を示した図27を参照して説明する。
非加熱で密封容器入り水素水を製造する方法においては、汲み上げた地下水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する原水濾過工程(ステップS111)と、濾過した水に水素原液1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS122)と、混合工程(ステップS122)後の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、混合工程(ステップS122)から電圧印加工程(ステップS114)後の間に植物エキス70を添加して水素水100とし、得られた水素水100を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116A)と、除菌濾過した水素水100を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密封する容器充填工程(ステップS117)とを有する。
非加熱で密封容器入り水素水を製造する場合においては、ファイナルフィルタ114Aに0.2μm以下のフィルタを使用して除菌機能を持たせることにより、水素水100を非加熱除菌し、クリーンルーム内で容器130aに充填した。
即ち、図27に示したように、非加熱で密封容器入り水素水を製造する場合、加熱殺菌を行う図26と比較して、電圧印加工程(ステップS114)までは形式的には同一であり、陰極及び陽極が浸漬されてそれら電極間に所定の電圧がかけられ励起された後に水素水100を0.2μm以下のファイナルフィルタ114Aを通過させることにより、異味、異臭、不純物の除去に加え除菌を行うことで、加熱殺菌工程を省略している。それ以降の処理は、図26と同様、除菌されたクリーンルームで行われ、ファイナルフィルタ114Aを通過した水素水100は、クリーンルーム内の充填タンク124に収容され、所定の充填速度で、充填タンク124から液体充填機130で容器130aとしてのPET容器、アルミニウム缶、スチール缶等に非加熱状態の常温で充填され、充填後に容器130aのキャップ130bで密封された後、出荷される。
このときのファイナルフィルタ114Aは、例えば、非加熱で水素水100の除菌効果があることが確認されている濾過精度(ポアサイズ)が少なくとも0.2μm以下のフィルタを使用することによって、異味、異臭、不純物の除去に加え除菌を行い、加熱殺菌工程を省略できる。この0.2μm以下のフィルタとしては、例えば、濾材をポリサルホンとしたポリサルホン製のメンブレンフィルタカートリッジ等が使用できる。
特に、0.2μm以下のフィルタの前に、それよりも2.5倍〜5倍以上の濾過精度の開きがあるフィルタを配設することにより、0.2μm以下のフィルタの負荷を軽減して非加熱での除菌効果を上げることができる。即ち、0.2μm以下のフィルタの負荷の軽減のためには、それの5倍以下の濾過精度のフィルタを前に配設するのが好適であり、それによって、水素水100の非加熱での除菌効果を上げることができる。このため、0.2μm以下のフィルタの上流側に、1μm〜0.5μmの濾過精度のフィルタを配設するのが好ましい。
しかし、ファイナルフィルタ114Aについては、0.2μm以下のフィルタの機能があれば、フィルタの組合せは上記に限定されない。勿論、ファイナルフィルタ114Aについても逆洗可能なフィルタとしてもよい。
このように、図27では、0.2μm以下のファイナルフィルタ114Aを通過させることによって除菌及び異味、異臭、不純物を除去し、塩素処理等の薬剤による殺菌処理及び加熱による殺菌処理を行うことなく容器130aに非加熱除菌常温充填した。
特に、殺菌のために温度を上昇させないから、塩素処理等の薬剤処理及び加熱処理による風味の劣化もなく、天然水Wの本来の風味をより生かすことができる。また、より安定的に水素濃度が高くなることが期待できる。
加えて、除菌濾過工程(ステップ116A)前に紫外線殺菌を行うことで、除菌濾過工程(ステップ116A)前までの細菌の増殖を抑制でき、製造設備、衛生管理が容易となり、特に、0.2μmフィルタ114Aの長寿命化を図ることができる。
以上説明してきたように、図26において、密封容器入り水素水は、原水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた原水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で原水濾過工程(ステップS111)を経て濾過された水と水素原液1を混合し攪拌手段によって均一にして、電圧印加工程(ステップS114)で混合工程(ステップS112)後の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、また、これら混合工程(ステップS112)から電圧印加工程(ステップS114)後の間に植物エキス70を添加し、こうして濾過水、水素原液1及び植物エキス70が混合された水素水100を精密濾過工程(ステップS116)で1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、精密濾過した水素水100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密封することにより製造される。また、この間の、濾過水、水素原液1及び植物エキス70が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃の30分の加熱殺菌工程(ステップS115)を設けて加熱殺菌する。
したがって、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合したのち、酸としての有機酸50を混合して沈殿物をなくした分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極を所定の電圧で励起して得られた水素原液1に植物エキス70が添加され、容器に充填され密封された密封容器入り水素水の製造方法であって、汲み上げた原水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する原水濾過工程(ステップS111)と、このようにして濾過した水及び水素原液1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、混合工程後(ステップS112)の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する(第2の)電圧印加工程(ステップS114)と、混合工程(ステップS112)から電圧印加工程(ステップS114)後の間に植物エキス70を添加して水素水100とし、得られた水素水100を1μm以下のフィルタ114に通過させることにより精密濾過する精密濾過工程(ステップS116)と、精密濾過した水素水100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密封する容器充填工程(ステップS117)と、濾過水W、水素原液1及び植物エキス70が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に85℃〜135℃、30分の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程(ステップS115)とを具備する密封容器入り水素水の製造方法として捉えることができる。
また、図27において、非加熱の密封容器入り水素水は、原水濾過工程(ステップS111)で汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過し、混合工程(ステップS112)で濾過した水と水素原液1を混合し攪拌手段によって均一し、電圧印加工程(ステップS114)で混合工程(ステップS112)後の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起し、また、混合工程から電圧印加工程後の間に植物エキス70を添加して水素水100とし、除菌濾過工程(ステップS116A)で、水素水100を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過し、容器充填工程(ステップS117)で、除菌濾過した水素水100を容器130aに非加熱除菌常温充填し、容器130aをキャップ130bで密封することにより製造される。
即ち、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合したのち、酸としての有機酸50を混合して沈殿物をなくした分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極を所定の電圧で励起して得られた水素原液1に植物エキス70が添加され、容器に充填され密封された密封容器入り水素水の製造方法であって、汲み上げた天然水Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることにより濾過する原水濾過工程(ステップS111)と、このようにして濾過した水と水素原液1を混合し攪拌手段によって均一にする混合工程(ステップS112)と、混合工程後(ステップS112)の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起する電圧印加工程(ステップS114)と、混合工程(ステップS112)から電圧印加工程(ステップS114)後の間に植物エキス70を添加して水素水100とし、得られた水素水100を0.2μm以下のフィルタ114Aに通過させることにより除菌濾過する除菌濾過工程(ステップS116A)と、除菌濾過した水素水100を容器130aに充填し、容器130aをキャップ130bで密封する容器充填工程(ステップS117)を具備する密封容器入り水素水の製造方法として捉えることもできる。
ここで、上記原水濾過工程(ステップS111)は、汲み上げた原水としての地下水(天然水)Wを30μm以下のフィルタ111、112、113に通過させることによって、殆どの地下水に含まれる鉱物種類の粒子等の異物、不純物を除去する工程である。汲み上げた原水は地下水であるか否かを問わず、湧水、井戸水、精製水、蒸留水、水道水等であっても良い。
上記30μm以下のフィルタ111、112、113は、ここでは、不純物の除去の対象が、主に、地下水Wに含まれる鉱物種類等であることから、鉱物種類等を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が30μm以下と規定したものである。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、原水が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設してフィルタの負荷を軽減する構成とするのが望ましい。
上記混合工程(ステップS112)は、濾過された水、水素原液1等を混合し、撹拌手段によって均一な混合状態とする工程であり、上記攪拌手段は、濾過水と水素原液1等が均一な混合となるように攪拌するものであればよく、例えば、攪拌ファンを用いたり、超音波振動器を用いたりすることによって、均質にすることができる。
また、上記電圧印加工程(ステップS114)は、混合工程(ステップS112)後の混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて、励起する工程である。ここで、混合工程(ステップS112)後の混合液とは、電圧印加工程(ステップS114)前に植物エキス70が添加される場合には、希釈された水素原液1に植物エキス70が混合されて得られた水素水100を示し、電圧印加工程(ステップS114)後に、植物エキス70を添加する場合には、濾過水と水素原液1との混合により希釈された水素原液1を示す。
更に、図26において、上記精密濾過工程(ステップS116)は、水素水100を1μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記1μm以下のフィルタとは、本工程では、除去の対象が、主に、異味、異臭、不純物等の微粒子であることから、かかる微粒子を除去できる能力を持つフィルタとして、濾過精度が1μm以下と規定したものである。特に、0.2μm以下のフィルタを用いることで除菌も可能となる。なお、かかるフィルタとしては、2種以上(2段以上)を適宜組み合わせて用いてもよく、複数のフィルタを使用する場合には、フィルタの目詰まりを少なくして負荷が軽減されるよう、水素水100が濾過性能の低いフィルタから濾過性能の高いフィルタへと順に通過すようにフィルタを配設する構成とし、順次細かいものを除去するのが望ましい。
一方、図27において、上記除菌濾過工程(ステップS116A)は、水素水100を0.2μm以下のフィルタに通過させることによって精密濾過処理を施し除菌及び異味、異臭、不純物を除去する工程である。
上記0.2μm以下のフィルタとは、本工程での除去の対象が、主に、一般細菌及び真菌の微生物等であることから、一般細菌及び真菌の微生物等を除去できる能力を持つフィルタとして濾過精度が0.2μm以下と規定したものであり、除菌効果がある0.2μm以下のフィルタを使用することで、加熱殺菌を不要とすることができる。特に、0.2μm以下のフィルタの前に、0.2μm以下のフィルタの2.5倍〜5倍の濾過精度の開きがある1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタを設け、水素水を1μm〜0.5μmの範囲内のフィルタ及び0.2μm以下のフィルタの順に通過させる2段構成とすることにより、0.2μm以下のフィルタの目詰まりを少なくして負荷を軽減し、非加熱で除菌効果を上げることができる。
加えて、図26において、上記容器充填工程(ステップS117)は、水素水100をPET容器等の容器130aに充填し、容器130aをキャップ(栓)130bで密封する工程である。容器130aの材質は特に問われず、PET等の樹脂、アルミやスチール等の金属、陶器、ガラス等が使用できる。特に、本発明の水素水100によればPET容器に入れて長期間保管後に開封したときでも、高い水素濃度が長く検出される。つまり、既存の一般的なPET容器に充填して密封し長期間保存した場合でも、開封後、長い間水素が高い濃度で持続し、容器を特殊な構造とする必要もないため、低コストである。
また、図27において、上記容器充填工程(ステップS117)は、水素水100をPET容器等の容器130aに非加熱除菌常温充填し、130aをキャップ(栓)130bで密封する工程である。上記非加熱除菌常温充填とは、水素水100をクリーンルーム等の除菌された(無菌の)常温下で充填するものであればよい。なお、容器130aの材質は特に問われず、PET等の樹脂、アルミやスチール等の金属、陶器、ガラス等が使用できる。特に、本発明の水素水100によればPET容器に入れて長期間保管後に開封したときでも、高い水素濃度が長く検出される。
また、図26において、上記加熱殺菌工程(ステップS115)は、濾過水、水素原液1、及び植物エキス70が混合された後から容器充填工程(ステップS117)に至る間に135℃、30分の加熱を設け、そこで殺菌を行う工程である。
更に、図26及び図27において、混合工程(ステップS112)で濾過水と水素原液1が混合された後から電圧印加工程(ステップS114)に至るまでに混合液の紫外線殺菌を行う紫外線殺菌工程(ステップS113)を具備することから、混合工程後(ステップS112)の細菌の増殖が抑制され、衛生面での製造管理が容易となる。
特に、図26において、加熱殺菌前に紫外線殺菌を行うことで、混合工程(ステップS112)後から加熱殺菌工程(ステップ115)までの細菌の増殖を抑制でき、製造設備の衛生管理が容易となる。
また、図27において、除菌濾過工程(ステップ116A)前に紫外線殺菌を行うことで、混合工程(ステップS112)後から除菌濾過工程(ステップ116A)までの細菌の増殖を抑制でき、製造設備、衛生管理が容易となり、特に、0.2μmフィルタ114Aの長寿命化を図ることができる。
このように製造された密封容器入り水素水においては、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合して沈殿物をなくし、好ましくはpH1以上、pH10以下、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とした分散液40に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極を所定の電圧で励起することによって得られた水素原液1に植物エキス70が添加されたことで、水素濃度が増大し、PET等の容器に入れて密封し長期間保管した後開封したときでも、数日間の長い間水素濃度が高くなり、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
そして、上述した密封容器入り水素水によれば、30μm以下のフィルタ111、112、113で濾過された水と水素原液1が混合されて攪拌手段によって攪拌された後、(第2の)電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することで、安定的に水素濃度が高くなり、安定した品質が得られる。
また、溶存水素濃度が100〜1,500μg/Lである水素原液1に対し、9〜999倍量の濾過された水(天然水)を混合することで水素原液1を10〜1000倍に希釈する。これにより、天然水W本来の風味が生かされ風味が良好で飲用に適し、かつ、長い間水素濃度を高くできる。特に、濾過された水(天然水)と混合して水素原液1を希釈した後、(第2の)電圧印加工程(ステップS114)で陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間を所定の電圧で励起することにより、安定して水素濃度を高くできる。
以上説明してきたように、上記実施の形態の水素水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合してなり、酸としての有機酸50の酸処理により沈殿物がなく、好ましくは更にアルカリと混合され、pH1以上、pH10以下、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とした分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素水100であって、植物エキス70が添加されてなるものである。
また、上記実施の形態は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40に酸としての有機酸50を混合して好ましくはpH1以上、pH5以下の酸性にして沈殿物を溶解(分散)し、好ましくはアルカリ60と混合してpH1以上、pH10以下、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とし、その後、陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起し、植物エキス70を添加した水素水100の製造方法と捉えることもできる。
即ち、上記実施の形態の水素水100の製造方法は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して分散液40を調製する混合工程(ステップS10)と、調製した分散液40に酸としての有機酸50を混合して沈殿物を溶解(分散)する酸混合工程(ステップS20)と、沈殿物が溶解(分散)されて透明(または半透明)な分散液40を電気分解する電気分解工程(ステップS40)とを具備し、前記電圧印加工程により得られた水素原液1に植物エキス70を添加するものである。好ましくは、酸混合工程(ステップS10)と電気分解工程(ステップS40)と間にアルカリ60を混合するアルカリ混合工程(ステップS30)とを具備する。
ここで、上記酸混合工程(ステップS20)は、酸50の混合により、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30との混合により生じた沈殿物を溶解(分散)させる工程であり、好ましくはpH1以上、pH5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4以下の酸性とする。
また、上記アルカリ混合工程(ステップS30)では、アルカリ60と混合しても好ましくは、pH1以上、pH10以下とされ、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とされる。
更に、上記電圧印加工程(ステップS40)は、沈殿物が溶解(分散)された分散液40に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われ、このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
上記実施の形態の水素水100によれば、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40に酸としての有機酸50の混合により酸処理して沈殿物を溶解(分散)した後、好ましくはアルカリ60と混合しpH1以上、pH10以下、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とされた分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素原液1に植物エキス70が添加されたことにより、植物エキス70を添加しなかったときよりも、水素濃度が増大し、長い間水素濃度が高くなる。そして、PET容器等の容器に入れて密封し、長期保管後に開封したときでも、数日間の長い間水素濃度を高くできる。
したがって、上記実施の形態の水素水100及びその製造方法によれば、長い間水素が高い濃度で存在し、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
特に、上記実施例1乃至実施例4の水素水100は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を有機酸50と混合して沈殿物を溶解(分散)した後、アルカリ60と混合し、好ましくはpH1以上、pH10以下、好ましくはpH3以上、pH8以下、より好ましくは、pH3以上、pH5以下とされた分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起してなる水素水100であって、植物エキス70として柑橘類、緑黄色野菜類、ハーブ・薬草類、果実類、大豆類、花木類から選ばれる少なくとも1種のエキスが添加されたものであり、安定的に長く高い濃度で水素が存在する。
また、上記実施例1の水素水100は、植物エキス70として伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモンから選ばれる少なくとも1種の柑橘類のエキスが添加されたことから、高い水素濃度となる。
即ち、上記実施例1の水素水は、植物エキスが伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモンから選ばれる少なくとも1種の柑橘類のエキスであるものである。
本発明者らの実験研究により、植物エキスの中でも伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモンから選ばれる少なくとも1種の柑橘類のエキスでは、より水素濃度が高くなった。
よって、水素濃度を高くできる。
また、上記実施例1の水素水の製造方法によれば、植物エキスは、伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモンから選ばれる少なくとも1種の柑橘類のエキスである。
本発明者らの実験研究により、植物エキスの中でも伊予柑、デコポン、柚子、グレープフルーツ、レモンから選ばれる少なくとも1種の柑橘類のエキスの添加では、より水素濃度が高くなった。
よって、水素濃度を高くできる。
更に、上記実施例1乃至実施例4の水素水100は、植物エキス70が、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスであることから、安定的に長く高い水素濃度となる。
ここで、上記実施の形態の水素水100は、25℃〜35℃の範囲内の温度条件下、より好ましくは、32±1℃範囲内の温度条件下とすることにより、早くに溶存水素濃度が増大し、溶存水素量を高くでき、また、長い間溶存水素濃度を高くできる。
よって、上記実施の形態の水素水100は、32℃±1℃範囲内の温度条件下で溶存水素濃度が最も高くなる発明として捉えることもできる。
この発明の水素水100によれば、溶存水素濃度が増大し長い間溶存水素濃度が高くなる。特に、PET容器等の密封容器に入れて長期経過後に開封したときでも、水素濃度が高くなり、長い間高い濃度で水素が存在する。
ここで、上記溶存水素濃度が高くなるとは、32℃±1℃の範囲内の温度条件下とすることにより、該温度の範囲外の温度条件と比較して、隔膜型ポーラログラフ法を用いた溶存水素濃度計により経時的に測定を行った際の測定ピーク値(最高値)が最も高くなることを意味する。
また、水素水100をPET等の容器に入れて密封した場合では、容器開封後に32℃±1℃の範囲内の温度条件下で管理することにより、隔膜型ポーラログラフ法を用いた溶存水素濃度計により経時的に測定を行った際の測定ピーク値(最高値)が該温度の範囲外の温度条件と比較して最も高くなる。
因みに、上記32℃±1℃の±1℃は、誤差範囲の問題である。
なお、上記実施の形態は、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40を酸としての有機酸50と混合して沈殿物を溶解(分散)した後、アルカリ60と混合し、好ましくは、pH1以上、pH10以下、より好ましくはpH3以上、pH8以下、更に好ましくは、pH3以上、pH5以下とされた分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素原液1に植物エキス70を添加する説明としたが、本発明を実施する場合には、植物エキス70を添加するタイミングは、マグネシウム/カルシウム10とリン酸/リン酸塩20と水30とを混合して分散液40を調製するときでも良いし、これらを混合して分散液40を調製した後でも良いし、有機酸50と混合して酸性の分散液40とした後でも良いし、アルカリ60と混合した後の分散液40であっても良いし、陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかけて励起した直後の分散液40であっても良い。
しかし、マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種のマグネシウム/カルシウム10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、水30とを混合して調製した分散液40に酸としての有機酸50を混合して、沈殿物が溶解(分散)された分散液40に陽極及び陰極を浸漬し、それら電極間を所定の電圧で励起して得られた水素原液1に植物エキス70を添加することで、植物エキス70による水素濃度の増大効果が高くなる。
1 水素原液
10 マグネシウム/カルシウム
20 リン酸/リン酸塩
30 水
40 分散液
50 有機酸
60 アルカリ
70 植物エキス
100 水素水

Claims (4)

  1. マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とが混合されてなり、酸処理により沈殿物のない分散液に陽極及び陰極の電極を浸漬して前記陽極及び前記陰極の前記電極間へ電圧印加し、前記電圧印加により電気分解されて水素が生成されてなる水素水に対し、
    植物エキスとして、野菜類、果実類、ハーブ・薬草類、豆、木の実類、花木類から選ばれる少なくとも1種のエキスが添加されてなることを特徴とする水素水。
  2. 前記植物エキスは、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスであることを特徴とする請求項1に記載の水素水。
  3. マグネシウム、マグネシウム化合物、カルシウム、カルシウム化合物のうちの少なくとも1種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、水とを混合して調製した分散液に酸を混合して沈殿物を溶解し、更に、陽極及び陰極の電極を浸漬して前記陽極及び前記陰極の前記電極間へ電圧印加し、前記電圧印加により電気分解されて水素が生成されてなる水素水に対し、
    植物エキスとして、野菜類、果実類、ハーブ・薬草類、豆、木の実類、花木類から選ばれる少なくとも1種のエキスを添加したことを特徴とする水素水の製造方法。
  4. 前記植物エキスは、植物の食用部位、または種子、または種子から発芽した芽の何れかから採取されたエキスであることを特徴とする請求項3に記載の水素水の製造方法。
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