本発明者らが開発した水素水によれば、製造後にペットボトルに密閉して長期間保管しても、ペットボトル開封後は長い間高濃度の溶存水素が検出されることから、多方面、例えば、食品、医薬品、化粧品・入浴剤等の医薬部外品、農業、水産分野等に亘る応用が期待できるところ、特許文献1乃至特許文献3に記載の発明は水素水、即ち、液体であることから、携帯性、運搬性、取扱性等からすると、より多用途へ展開しようにもその使途拡大には限度がある。
そこで、本発明は、汎用性が高く、長い間多量の水素発生を可能とする水素発生剤及び水素発生剤の製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との反応で得た反応生成液の水分を乾燥により除去することで得られた固体状のものである。
ここで、上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記リン酸は、リン酸類に属する化合物を含む広義のリン酸を示すが、好ましくは、オルトリン酸であり、一般的には、75%〜85%のリン酸水溶液の形態で配合される。
上記リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム等、その水溶液が弱酸性を示すリン酸塩の使用が好ましい。
上記リン酸及び/またはリン酸塩は、リン酸またはリン酸塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
更に、上記有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸が好ましい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
上記乾燥は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項1の発明の水素発生剤は、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と、前記有機酸と、前記水との組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上が添加されてなるものである。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
請求項2の発明の水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水との反応で得た反応生成液の水分を乾燥により除去することで得られた固体状のものである。
ここで、上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸が好ましい。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記炭酸塩及び/または金属塩は、炭酸塩または金属塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
上記乾燥は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項2の発明の水素発生剤は、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記有機酸と、前記炭酸塩及び/または金属塩と、前記水との組み合わせに対し、更に、アルカリが添加されてなるものである。
ここで、上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
請求項3の発明の水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との反応で得た反応生成液の水分を乾燥により除去することで得られた固体状のものである。
ここで、上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記リン酸は、リン酸類に属する化合物を含む広義のリン酸を示すが、好ましくは、オルトリン酸であり、一般的には、75%〜85%のリン酸水溶液の形態で配合される。
上記リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム等、その水溶液が弱酸性を示すリン酸塩の使用が好ましい。
上記リン酸及び/またはリン酸塩は、リン酸またはリン酸塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記炭酸塩及び/または金属塩は、炭酸塩または金属塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
上記乾燥は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項4の発明の水素発生剤は、請求項1乃至請求項3の何れか1つの構成において、前記反応生成液は、前記乾燥前に、陽極及び陰極の電極が浸漬されて前記陽極及び前記陰極の前記電極間に電圧が印加されてなるものである。
上記電圧印加は、前記乾燥前であって、所定の原材料を混合した混合液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われる。このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
請求項5の発明の水素発生剤の製造方法は、まず、反応生成液作製工程にてマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水とを反応させて反応生成液を作製し、次いで、乾燥工程にて前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させるものである。
ここで、上記反応生成液作製工程は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水とを反応させて反応生成液を作製する工程である。
上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記リン酸は、リン酸類に属する化合物を含む広義のリン酸を示すが、好ましくは、オルトリン酸であり、一般的には、75%〜85%のリン酸水溶液が配合される。
上記リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム等、その水溶液が弱酸性を示すリン酸塩の使用が好ましい。
上記リン酸及び/またはリン酸塩は、リン酸またはリン酸塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
更に、上記有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸が好ましい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
また、上記乾燥工程は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理工程であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項6の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項5の構成において、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と、前記有機酸と、前記水との組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上が添加されてなるものである。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
請求項7の発明の水素発生剤の製造方法は、まず、反応生成液作製工程にてマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とを反応させて反応生成液を作製し、次いで、乾燥工程にて前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させるものである。
ここで、上記反応生成液作製工程は、反応生成液作製工程にてマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とを反応させて反応生成液を作製する工程である。
上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸等のカルボン酸が好ましい。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記炭酸塩及び/または金属塩は、炭酸塩または金属塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
また、上記乾燥工程は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理工程であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項8の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項7の構成において、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記有機酸と、前記炭酸塩及び/または金属塩と、前記水との組み合わせに対し、更に、アルカリが添加されてなるものである。
ここで、上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
請求項9の発明の水素発生剤の製造方法は、まず、反応生成液作製工程にてマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水とを反応させて反応生成液を作製し、次いで、乾燥工程にて前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させるものである。
ここで、上記反応生成液作製工程は、反応生成液作製工程にてマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水とを反応させて反応生成液を作製する工程である。
上記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種とは、原材料(原料)としての、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等に特定されるものではなく、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給された、例えば、マグネシウムのイオン、ラジカル、原子、原子団、元素、化合物等を包括して示すものである。マグネシウムの化学種またはカルシウムの化学種の何れかの含有であればよいが、マグネシウム及びカルシウムの化学種は、マグネシウムの化学種及びカルシウムの化学種の両方を含有してもよいし、マグネシウムとカルシウムの複合化学種であってもよい。マグネシウムの化学種やカルシウムの化学種のうちの複数の化学種の含有であってもよい。
上記リン酸は、リン酸類に属する化合物を含む広義のリン酸を示すが、好ましくは、オルトリン酸であり、一般的には、75%〜85%のリン酸水溶液の形態で配合される。
上記リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム等、その水溶液が弱酸性を示すリン酸塩の使用が好ましい。
上記リン酸及び/またはリン酸塩は、リン酸またはリン酸塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
上記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好ましい。
上記金属塩は、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等が好ましい。
上記炭酸塩及び/または金属塩は、炭酸塩または金属塩の何れかの配合であればよいが、両者を配合してもよい。
上記アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
そして、上記反応生成液は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との混合によって、所定の化学反応、化学変化等の反応が生じてなるものである。
なお、上記反応とは、主に、原料成分のうちの1以上の化学物質、成分、化学種が別の化学物質、成分、化学種に変化する化学反応、化学変化のことを示し、化学物質、成分、化学種の結合や結合の切断、電子の放出や取り込み、溶媒が溶質に溶ける変化を含む広義の化学反応、化学変化のことである。
また、上記乾燥工程は、前記反応生成液の水分(液体分)の蒸発、除去により固体状の水素発生剤を生じ(析出)させる処理工程であり、例えば、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥、高周波乾燥、赤外線乾燥等により前記反応生成液の水分(液体分)を除去して固体状の水素発生剤を得ることができる。
請求項10の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項5乃至請求項9の何れか1つの構成において、前記反応生成液作製工程の前記反応生成液は、陽極及び陰極の電極が浸漬されて前記陽極及び前記陰極の前記電極間に電圧が印加されてなるものである。
上記電圧印加は、所定の原材料を混合した混合液に陰極及び陽極を浸漬し、その両極を繋ぐ直流電源により直流電圧を印加することにより行われる。このときの陰極及び陽極の電圧は、例えば、水の電気分解に適した値に設定される。
請求項11の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項5乃至請求項10の何れか1つの構成において、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れか1種以上であるものである。必ずしもこれらのうちの1種に限定されることなく、複数種であってもよい。
請求項12の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項5乃至請求項11の何れか1つの構成において、前記乾燥工程における前記反応生成液の乾燥は、真空凍結乾燥であるものである。
上記真空凍結乾燥とは、通常、反応生成液を凍結し、その後、凍結状態にある反応生成液の水分を減圧した真空下で昇華させることによって乾燥するものである。即ち、反応生成液に含まれる水を凍結させて、昇華にて除去するものである。このときの凍結方法としては、例えば、冷媒(例えば、液体窒素、ドライアイス等)中に反応生成液を入れて凍結させる方法、反応生成液を減圧下で凍結させる方法、冷凍設備等の低温雰囲気下で反応生成液を凍結させる方法等があり、反応生成液を低温状態にし、反応生成液を凍結できればよい。好ましくは、低温雰囲気下(例えば、−50℃から−10℃の範囲内)で反応生成液を凍結させる。
請求項13の発明の水素発生剤の製造方法は、請求項5乃至請求項12の何れか1つの構成において、前記乾燥工程で得られた固体物を粉砕し、篩過し所定粒度の粉体とする整粒工程を具備するものである。
ここで、上記整粒工程は、前記乾燥工程で得られた固体物を粉砕し、篩過し、例えば、所定粒度の粉体として、均一な粒子径分布とする微細均一化処理である。
上記粉体は、粉状、粒状を問わず、即ち、粉体の大きさは、粒体との間に境界が存在するものではなく、また、形状、粒径、粒度分布を問うものでもなく、広く微細な粒子の集合体である固体状物を意味する。
請求項1の発明に係る水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水とが反応してなる反応生成液の水分を乾燥により除去してなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との混合反応で得た反応生成液の水分を蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水とを反応させてなる反応生成液を乾燥させ、反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤によれば、水分等の接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固体であるから汎用性も高くなる。
請求項1の発明に係る水素発生剤によれば、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と前記リン酸及び/またはリン酸塩と前記有機酸と前記水との組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上が添加されてなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と前記リン酸及び/またはリン酸塩と前記有機酸と前記水との組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上が添加されてなる反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤について、天然水等に溶解させて溶存水素量を測定したところ、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上を添加したことで、溶存水素濃度が増大し、しかも、より長い間高濃度の溶存水素が検出されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、水素発生量を高めることが可能である。
請求項2の発明に係る水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とが反応してなる反応生成液の水分を乾燥により除去してなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とを混合反応して得た反応生成液の水分を蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とを反応させてなる反応生成液を乾燥させ反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤によれば、水分の接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固体であるから汎用性も高くなる。
請求項2の発明に係る水素発生剤によれば、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記有機酸と、前記炭酸塩及び/または金属塩と、前記水との組み合わせに対し、更に、アルカリが添加されてなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種、前記有機酸、前記炭酸塩及び/または金属塩、及び前記水に対し、更に、アルカリが添加されてなる反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤について、天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、アルカリの添加によって溶存水素濃度が増大し、しかも、より長い間高濃度の溶存水素が検出されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、水素発生量を高めることが可能である。
請求項3の発明に係る水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水とが反応してなる反応生成液の水分を乾燥により除去してなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との混合反応で得た反応生成液の水分を蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水とを反応させてなる反応生成液を乾燥させ、反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤によれば、水分等の接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固体であるから汎用性も高くなる。
請求項4の発明に係る水素発生剤によれば、前記反応生成液は、前記乾燥前に、陽極及び陰極の電極が浸漬されて前記陽極及び陰極の電極間に電圧が印加されてなるものである。
本発明者らは、所定の原材料を混合してから、そこに陽極及び陰極の電極を浸漬して陽極及び陰極の電極間へ電圧印加することにより得られた反応生成液の水分を蒸発、除去して得た固体状の水素発生剤について、天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、電圧印加していない場合よりも安定して高濃度の溶存水素が長い間検出されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つの効果に加えて、安定的に所定の水素発生量を得ることができる。
請求項5の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、反応生成液作製工程でマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水とを反応させて反応生成液を作製し、乾燥工程で前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させる。これにより固体状の水素発生剤を得ることができる。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との反応で得られた反応生成液の水分を乾燥により蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、有機酸と、水との反応で得られた反応生成液を乾燥させ反応生成液の水分を除去することで固体状の水素発生剤を得ることができる。そして、この固体状の水素発生剤によれば、水分との接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固形状であるから汎用性も高くなる。
請求項6の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と、前記有機酸と、前記水との組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上が添加されてなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記リン酸及び/またはリン酸塩と、前記有機酸と、前記水の組み合わせに対し、更に、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上を添加してなる反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤について、天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、炭酸塩、金属塩及びアルカリのうちの何れか1種以上の添加したことで、溶存水素濃度が増大し、しかも、より長い間高濃度で溶存水素が検出されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、請求項5に記載の効果に加えて、水素発生剤の水素発生量を高めることが可能である。
請求項7の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、反応生成液作製工程でマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水とを反応させて反応生成液を作製し、乾燥工程で前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させる。これにより固体状の水素発生剤を得ることができる。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水との反応で得た反応生成液の水分を蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、有機酸と、炭酸塩及び/または金属塩と、水との反応で得た反応生成液を乾燥させ反応生成液の水分を除去することで固体状の水素発生剤を得ることができる。そして、この固体状の水素発生剤によれば、水分との接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固形状であるから汎用性も高くなる。
請求項8の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記反応生成液は、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、前記有機酸と、前記炭酸塩及び/または金属塩と、前記水との組み合わせに対し、更に、アルカリが添加されてなるものである。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種、前記有機酸、前記炭酸塩及び/または金属塩、及び前記水に対し、更に、アルカリが添加されてなる反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤について、溶存水素濃度が増大し、しかも、より長い間高濃度で溶存水素が生じることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、請求項7に記載の効果に加えて、水素発生剤の水素発生量を高めることが可能である。
請求項9の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、反応生成液作製工程でマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水とを反応させて反応生成液を作製し、乾燥工程で前記反応生成液を乾燥させて前記反応生成液の水分を蒸発させる。これにより固体状の水素発生剤を得ることができる。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との反応で得た反応生成液の水分を乾燥により蒸発させると、固体状成分が得られることを見出し、この固体状成分を天然水等の水に溶解させて溶存水素量を測定したところ、高濃度の溶存水素が検出され、しかも、長い間水素が発生することを確認し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種と、リン酸及び/またはリン酸塩と、炭酸塩及び/または金属塩と、アルカリと、水との反応で得た反応生成液を乾燥させ反応生成液の水分を除去することで固体状の水素発生剤を得ることができる。そして、この固体状の水素発生剤によれば、水分との接触により長い間多量の水素を発生させることができる。また、固形状であるから汎用性も高くなる。
請求項10の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記反応生成液作製工程の前記反応生成液は所定の原料を混合した後、そこに陽極及び陰極の電極が浸漬されて前記陽極及び陰極の電極間に電圧が印加されてなるものである。
本発明者らは、所定の原材料を混合してから、そこに陽極及び陰極の電極を浸漬して前記陽極及び陰極の電極間に電圧印加することにより得た反応生成液の水分を蒸発、除去することで得られた固体状の水素発生剤について、天然水等の水に溶解して溶存水素量を測定したところ、電圧印加していない場合よりも、安定して高濃度の溶存水素が長い間検出されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
よって、請求項5乃至請求項9の何れか1つの効果に加えて、安定的に多くの水素を発生する水素発生剤が得られる。
請求項11の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れか1種以上である。
マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種の供給源が酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れかに由来する化学種であれば、安価で入手の容易な材料で供給できる。しかも、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れかに由来するマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種では、高い収率で固体状の水素発生剤が得られる。そのうえ、得られた水素発生剤を天然水等の水に溶解させて溶存水素濃度を測定したときの溶存水素量の値が高く、かつ、より安定的に長く高濃度で溶存水素が検出される。したがって、請求項5乃至請求項10の何れか1つに記載の効果に加えて、安定的に高い水素発生量を確保できる水素発生剤が得られる。
請求項12の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記乾燥工程における前記反応生成液の乾燥は、真空凍結乾燥であるから、収率が高く、高純度も確保され、また、熱的負荷が少なくて短時間での乾燥を可能とする。したがって、請求項5乃至請求項11の何れか1つに記載の効果に加えて、安定した品質の水素発生剤が得られる。
請求項13の発明に係る水素発生剤の製造方法によれば、前記乾燥工程の後に、前記乾燥工程で得られた固体物を粉砕し、篩過し、所定の粒度の粉体とする整粒工程を具備するから、水素発生剤の粉体を得ることが可能で、天然水等の水に溶解しやすくなる。よって、請求項5乃至請求項12の何れか1つに記載の効果に加えて、使い勝手が良く汎用性の高い水素発生剤を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する詳細な説明を省略する。
最初に、本実施の形態の水素発生剤1及びその製造方法について説明する。
本実施の形態の水素発生剤1を得るには、まず、水を含む所定の原料成分を混合して化学反応させた反応生成液100を作製し、次に、この反応生成液100を真空凍結乾燥して反応生成液100の水分(液体分)を蒸発させる。これにより、固体状の水素発生剤1が得られる。即ち、所定の反応生成液100を真空凍結乾燥することで析出した固体成分が本実施の形態の水素発生剤1である。
本実施の形態の反応生成液100について説明すると、本発明者らは、先ず、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40とを各所定量で混合し反応させた反応生成液100を作製し、この反応生成液100について、例えば、天然水等の水で100倍希釈し、念のため微生物等の繁殖を防止するために加熱殺菌(例えば、121℃で2分)してから、初回の溶存水素濃度を測定し、その後、既存の一般的なペットボトルに入れて密閉し、それを所定温度(例えば、32℃)で保管し、次の日以降も1日1回、溶存水素を測定したところ、溶存水素の測定開始日(初回)から1〜5日後に、溶存水素が検出されることを確認した。
そして、本発明者らは、このような、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10とリン酸及び/またはリン酸塩20と有機酸30と水40とを混合してなる反応生成液100を真空凍結乾燥して反応生成液100の水分を蒸発させることにより、固体物が得られることを見出し、この固体物について、天然水等の水に溶解し、初回の溶存水素濃度を測定し、その後、既存の一般的なペットボトルに入れて密閉し、それを所定温度(例えば、32℃)で保管し、次の日以降も1日1回、溶存水素を測定したところ、溶存水素濃度の測定開始日(固体物を天然水等の水に溶解して試料を作製した初回)から1〜5日後に、溶存水素の発生を確認した。
こうして、本実施の形態の水素発生剤1は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10とリン酸及び/またはリン酸塩20と有機酸30と水40とを混合反応してなる反応生成液100を真空凍結乾燥して反応生成液100の水分を蒸発させることにより得られた固体物である。
ここで、反応生成液100の原料成分であるマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10は、例えば、マグネシウム化合物、カルシウム化合物等の形態で供給されるものである。マグネシウムまたはカルシウムの化学種10の供給源としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が使用される。これらの1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。
また、リン酸及び/またはリン酸塩20は、例えば、リン酸や、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸鉄、リン酸亜鉛等のリン酸塩が使用され、これらの1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。なお、リン酸であれば、75%〜85%のリン酸水溶液を使用できる。
更に、有機酸30としては、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソクエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、アコニット酸等を使用できる。これらも1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。
これらマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との混合反応により、それら成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4.5以下とされる。本明細書において、pHは、pHメータよりもpH試験紙で測定することで、共存イオンの影響を排除して正確なpHを測定できることから、pH試験紙で測定したものである。
なお、これらマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との混合反応では、例えば、酸と塩基の中和反応や、金属成分と酸との反応、所定の成分が水との化合する水和反応等の発熱反応や、その発熱を吸収する吸熱反応が生じている可能性がある。
更に、本発明者らの実験研究によれば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40とを各所定量で混合して作製した反応生成液100についても、上記と同様にして溶存水素濃度を測定したところ、溶存水素濃度の測定開始日(初回)から1〜5日後に、溶存水素が検出されることを確認した。
そして、このようなマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40とを混合してなる反応生成液100を真空凍結乾燥して反応生成液100の水分を蒸発させることによっても、固体状の水素発生剤1が得られ、この水素発生剤1についても、天然水等の水に溶解し、初回の溶存水素濃度を測定し、その後、既存の一般的なペットボトルに入れて密閉し、所定温度(例えば、32℃)で保管し、次の日以降も1日1回、溶存水素を測定すると、溶存水素濃度の測定開始日(天然水等に溶解して測定試料を作製した初回)から1〜5日後に、溶存水素が発生することを確認している。
ここで、炭酸塩50には、好ましくは、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が使用される。これらの1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。
また、金属塩60には、好ましくは、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)等が使用される。これらの1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。
マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との混合反応により、それらの成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4.5以下とされる。
なお、これらマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との混合反応では、例えば、酸と塩基の中和反応や、金属成分と酸との反応、所定の成分が水との化合する水和反応等の発熱反応や、その発熱を吸収する吸熱反応が生じている可能性がある。
加えて、本発明者らの実験研究によれば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40とを各所定量で混合して作製した反応生成液100についても、上記と同様にして溶存水素濃度を測定したところ、溶存水素濃度の測定開始日(初回)から1〜5日後に、溶存水素量が検出されることを確認した。
そして、このようなマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40とを混合してなる反応生成液100を真空凍結乾燥して反応生成液100の水分を蒸発させることによっても、固体状の水素発生剤1が得られ、この水素発生剤1についても、天然水等の水に溶解し、初回の溶存水素濃度を測定し、その後、既存の一般的なペットボトルに入れて密閉し、所定温度(例えば、32℃)で保管し、次の日以降も1日1回、溶存水素を測定すると、溶存水素濃度の測定開始日(天然水等に溶解して測定試料を作製した初回)から1〜5日後に、溶存水素が発生することを確認している。
アルカリ70については、好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等が使用される。これらの1種を単独で使用しても良いし、2種以上の併用であってもよい。
したがって、本実施の形態では、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との組み合わせからなる反応生成液100を使用してもよいし、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との組み合わせからなる反応生成液100であってもよし、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40との組み合わせからなる反応生成液100であってもよい。
加えて、本発明者らの実験研究によれば、上述したマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との組み合わせに、更に、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上を添加することにより得られた反応生成液100について、上記と同様に溶存水素濃度を測定すると、溶存水素濃度の測定開始日(初回)から1〜5日後に、例えば、0.7ppm〜1.5ppmの溶存水素が検出され、上述したマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40のみの組み合わせのときよりも溶存水素量が増大することを確認した。
そして、このマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上とを混合して反応させてなる反応生成液100を真空凍結乾燥させると、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上が添加されていないときよりも目的とする固体物である水素発生剤1の収率が向上し、より高い収率で固体状の水素発生剤1を得ることができた。更に、その水素発生剤1について、上記と同様に溶存水素濃度を測定すると、溶存水素濃度の測定開始日(天然水等に溶解して測定試料を作製した初回)から1〜5日後に、溶存水素が発生した。しかも、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40のみの組み合わせのときよりも、より高い濃度の溶存水素量が確認された。
したがって、本実施の形態では、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上との組み合わせからなる反応生成液100であってもよい。
なお、これらマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上を組み合わせたものでは、それらの成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4.5以下とされる。特に、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40のみを組み合わせたものとの比較で、それらに更に炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上を添加したものでは、原料成分の混合液のpHが低下する。つまり、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上の添加で、マグネシウム/カルシウムの化学種10、リン酸/リン酸塩20、有機酸30及び水40のうちの何れか1種以上の成分またはそれらが反応した生成物の成分と反応して、水素イオン(H+)濃度が増大した可能性がある。
このときの各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10の供給源の原料(酸化マグネシウム等)が0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.003質量部以上、7質量部以下、より好ましくは、0.01質量部以上、5質量部以下であり、リン酸等のリン酸及び/またはリン酸塩20が、0.001質量部以上、50質量部以下、好ましくは、0.006質量部以上、18質量部以下、より好ましくは、0.02質量部以上、12質量部以下であり、クエン酸等の有機酸30が0.01質量部以上、50質量部以下、好ましくは、0.013質量部以上、36質量部以下、より好ましくは、0.04質量部以上、24質量部以下であり、水40が10質量部以上、99.99質量部以下、好ましくは、22質量部以上、99.98質量部以下、より好ましくは、46質量部以上、99.93質量部以下であり、炭酸マグネシウム等の炭酸塩50では、0質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.001質量部以上、9質量部以下、より好ましくは、0.01質量部以上、4質量部以下であり、塩化マグネシウム等の金属塩60では、0質量部以上、20質量部以下、好ましくは、0.004質量部以上、9質量部以下、より好ましくは、0.01質量部以上、6質量部以下であり、水酸化カリウム等のアルカリ70では、0質量部以上、20質量部以下、好ましくは、0.005質量部以上、15質量部以下、より好ましくは、0.02質量部以上、10質量部以下である。
更に、本発明者らの実験研究によれば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との組み合わせに、アルカリ70を添加することにより得られた反応生成液100について、上記と同様に溶存水素濃度を測定したところ、溶存水素濃度の測定開始日(初回)から1〜5日後に、例えば、0.7ppm〜1.5ppmの溶存水素量が検出され、上述したマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40のみの組み合わせのときよりも溶存水素量が増大することを確認した。
そして、このマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40と、アルカリ70とを混合して反応させてなる反応生成液100を真空凍結乾燥させると、アルカリ70が添加されていないときよりも目的とする固体物である水素発生剤1の収率が向上し、より高い収率で固体状の水素発生剤1を得ることができた。更に、その水素発生剤1について、上記と同様に溶存水素濃度を測定すると、溶存水素濃度の測定開始日(天然水等に溶解して試料を作製した初回)から1〜5日後に、溶存水素が発生した。しかも、そのときの溶存水素は、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40のみの組み合わせのときよりも、より高濃度であった。
したがって、本実施の形態では、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70との組み合わせからなる反応生成液100であってもよい。
なお、これらマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40と、アルカリ70とを組み合わせたものでは、それらの成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくは、pH2以上、pH4.5以下とされる。特に、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40のみを組み合わせたものとの比較で、それらに更にアルカリ70が添加されたものでは、原料成分の混合液のpHが低下している。つまり、アルカリ70の添加で、マグネシウム/カルシウムの化学種10、有機酸30、炭酸塩50/金属塩60、及び水40のうちの何れか1種以上の成分またはそれらが反応した生成物の成分と反応して、水素イオン(H+)濃度が増大した可能性がある。
このときの各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10の供給源の原料(酸化マグネシウム等)が0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.01質量部以上、5質量部以下、より好ましくは、0.04質量部以上、3質量部以下であり、クエン酸等の有機酸30が0.01質量部以上、50質量部以下、好ましくは、0.08質量部以上、25質量部以下、より好ましくは、0.19質量部以上、14質量部以下であり、塩化マグネシウム等の金属塩60では、0.001質量部以上、20質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、7質量部以下、より好ましくは、0.05質量部以上、4質量部以下であり、炭酸マグネシウム等の炭酸塩50では、0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.01質量部以上、5質量部以下であり、より好ましくは、0.04質量部以上、4質量部以下であり、水40が20質量部以上、99.99質量部以下、好ましくは、52質量部以上、99.9質量部以下、より好ましくは、73質量部以上、999.8質量部以下であり、水酸化カリウム等のアルカリ70は、0質量部以上、20質量部以下、好ましくは、0.03質量部以上、11質量部以下、より好ましくは、0.08質量部以上、6質量部以下である。
更に、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40との組み合わせからなる反応生成液100における各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10の供給源の原料(酸化マグネシウム等)が0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは0.01質量部以上、3質量部以下、より好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下であり、リン酸等のリン酸及び/またはリン酸塩20が、0.001質量部以上、20質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、8質量部以下、より好ましくは、0.04質量部以上、4質量部以下であり、炭酸マグネシウム等の炭酸塩50では、0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.01質量部以上、4質量部以下、より好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下、塩化マグネシウム等の金属塩60では、0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.01以上、4質量部以下、より好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下、水酸化カリウム等のアルカリ70が、0.001質量部以上、10質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、6質量部以下、より好ましくは、0.03質量部以上、4質量部以下、水40が50質量部以上、99.98質量部以下、好ましくは、78質量部以上、99.94質量部以下、より好ましくは、88質量部以上、99.89質量部以下である。
そして、本実施の形態では、このようにして得られた反応生成液100を真空凍結乾燥法により乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発して除去する。これにより、固体成分の水素発生剤1が析出する。こうして、所定の反応生成液100における水分を真空凍結乾燥によって蒸発させることによって、固体状の水素発生剤1を得ることができる。即ち、水素発生剤1は、反応生成液100を真空凍結乾燥により粉末化してなるものであるともいえる。
次に、図1乃至図3のフローチャートを参照して、本実施の形態の水素発生剤1及びその製造方法についての実施例を具体的に説明する。
本実施例に係る水素発生剤1の製造を実施するに際しては、図1または図2または図3に示したフローチャートにしたがい、まず、反応生成液作製工程(ステップ10)で所定の反応生成液100が作製される。
実施例1として、図1に示すように、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40とを組み合わせて反応生成液100を作製する場合には、最初に、これらの原料成分が混合される混合工程が実施される(ステップS11)。この実施例1では、混合工程(ステップS11)で、マグネシウム/カルシウムの化学種10としての酸化マグネシウム(MgO)と、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(H3PO4)と、有機酸30としてのクエン酸(C6H8O7)と、水(H2O)40とが混合される。
例えば、水と酸化マグネシウムを先に混合し、これにリン酸(85%リン酸水溶液)を混合する。なお、水と酸化マグネシウムの混合液(分散液)にリン酸を加えると、発熱反応が生じる。そして、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合液(分散液)は、混合直後はコロイド状の白濁を示すが、所定時間の静置後には白い沈殿物が生じる。
このときの水には、例えば、井戸水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、地下水、海水、海洋深層水等、更には、これら原水に対し精製、加熱、殺菌、濾過、蒸留、沈殿、イオン交換、浸透圧やミネラル分等の調整等の各種処理を施したもの、例えば、精製水、滅菌水、蒸留水、イオン交換水、濾過水、水道水、純水、鉱泉水、天然水(ナチュラルウォータ、ナチュラルミネラルウォータ、ミネラルウォータ)等が使用できる。なお、反応生成液100の溶媒に相当する水40としては、このときの配合に用いる水に加え、リン酸水溶液に含まれている溶媒の水も含まれることになる。また、後の有機酸30を酸水溶液の形態で添加する場合には、その溶媒の水等も含まれることになる。即ち、反応生成液100に含まれることになる水40は、例えば、純水、精製水等に限られず、市販の試薬に含まれる溶媒の水も含まれることになる。
更に、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液にクエン酸が混合される。このとき、反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、水と混合した酸水溶液(例えば、3〜20質量%濃度)の形態で添加してもよい。なお、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液にクエン酸が混合されることで混合液のpHが低下し、それら成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくはpH2以上、pH4.5以下の酸性とされる。
このようなクエン酸等の有機酸30の混合により、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液中の不溶沈殿物が溶解(分散)して分散性が高まる。つまり、濁度(白濁)が低下して透明度が増し、その後の処理操作性も良くなる。これにより、最終生産物である水素発生剤1の収率や水素発生能が向上する。即ち、反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、酸化マグネシウム、リン酸及び水を混合してからクエン酸等の有機酸30を混合するのが好ましい。しかし、本発明を実施する際には、それに限定されなくともよい。
更に、実施例1においては、必要に応じて、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちのいずれか1種以上を添加してもよい。例えば、酸化マグネシウム10とリン酸20とクエン酸30と水40との組み合わせの本実施例1においては、炭酸塩50としての炭酸マグネシウム(MgCO3)を添加したり、金属塩60としての塩化マグネシウム(MgCl2)を添加したり、アルカリ70としての水酸化カリウム(KOH)を添加したりすることにより、水素発生剤1の収率や水素発生能を向上させることができる。好ましくは、金属塩60としての塩化マグネシウム(MgCl2)の添加により、水素発生剤1の収率や水素発生能を大幅に向上させることができる。なお、例えば、酸化マグネシウム10とリン酸20とクエン酸30と水40との組み合わせに対し、金属塩60としての塩化マグネシウムが添加されると、それら成分の混合液は、酸化マグネシウム10とリン酸20とクエン酸30と水40のみの混合液と比較してpHが低下する。
実施例1の各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、酸化マグネシウム10は0.003質量部以上、7質量部以下、好ましくは、0.01質量部以上、5質量部以下、リン酸20は0.006質量部以上、18質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、12質量部以下、クエン酸30は0.013質量部以上、36質量部以下、好ましくは、0.04質量部以上、24質量部以下、水40は22質量部以上、99.98質量部以下、好ましくは、46質量部以上、99.93質量部以下、塩化マグネシウム60では、0質量部以上、9質量部以下、好ましくは、0.01質量部以上、6質量部以下、炭酸マグネシウム50では、0質量部以上、9質量部以下、好ましくは、0.04質量部以上、9質量部以下、水酸化カリウム70は、0質量部以上、15質量部以下、好ましくは、0.005質量部以上、15質量部以下である。
また、実施例2として、図2に示すように、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50及び/または金属塩60とを組み合わせて反応生成液100を作製する場合にも、最初にこれらの原料成分が混合される混合工程が実施される(ステップS11)。この実施例2の混合工程(ステップS11)では、マグネシウム/カルシウムの化学種10としての酸化マグネシウム(MgO)と、有機酸30としてのクエン酸(C6H8O7)と、炭酸塩50/金属塩60としての塩化マグネシウム(MgCl2)と、水(H2O)40とが混合される。
例えば、水と酸化マグネシウムを先に混合し、これにクエン酸及び塩化マグネシウムを混合する。なお、水と酸化マグネシウムの混合液(分散液)にクエン酸を加えると、発熱反応が生じる。このとき、これらの成分の混合液(分散液)は、沈殿物が生じることはない。反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、クエン酸は水と混合した酸水溶液(例えば、3〜20質量%濃度)の形態で添加してもよい。
これら成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくはpH2以上、pH4.5以下の酸性とされる。
反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、水と酸化マグネシウムを先に混合し、これに順にクエン酸及び塩化マグネシウムを混合するのが望ましいが、本発明を実施する場合には、それに限定されず、例えば、酸化マグネシウムと水と塩化マグネシウムを混合してからクエン酸を混合してもよい。
更に、実施例2においては、必要に応じて、アルカリ70を添加してもよい。例えば、酸化マグネシウム10と、クエン酸30と、水40と、塩化マグネシウム60との組み合わせの本実施例2においては、アルカリ70としての水酸化カリウム(KOH)を添加することにより、水素発生剤1の収率や水素発生能を向上させることができる。反応性、分散性、取扱性、処理操作性から、水と混合したアルカリ水溶液(例えば、1〜12質量%濃度)の形態で混合してもよい。なお、例えば、酸化マグネシウム10と、クエン酸30と、水40と、塩化マグネシウム60との組み合わせに対し、アルカリ70としての水酸化カリウムが添加されると、それら成分の混合液は、酸化マグネシウム10と、クエン酸30と、水40と、塩化マグネシウム60のみの混合液と比較してpHが低下する。
実施例2の各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、酸化マグネシウム10は0.01質量部以上、5質量部以下、好ましくは、0.04質量部以上、3質量部以下、クエン酸30は0.08質量部以上、25質量部以下、好ましくは、0.19質量部以上、14質量部以下、水40は52質量部以上、99.9質量部、好ましくは、73質量部以上、99.8質量部以下、塩化マグネシウム60では、0.02質量部以上、7質量部以下、好ましくは、0.05質量部以上、4質量部以下、炭酸マグネシウム50では、0.01質量部以上、5質量部以下、好ましくは、0.04質量部以上、4質量部以下、水酸化カリウム70では、0質量部以上、11質量部以下、好ましくは、0.03質量部以上、11質量部以下である。
更に、実施例3として、図3に示すように、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40とを組み合わせて反応生成液100を作製する場合にも、最初にこれらの原料成分が混合される混合工程が実施される(ステップS11)。この実施例3の混合工程(ステップS11)では、マグネシウム/カルシウムの化学種10としての酸化マグネシウム(MgO)と、リン酸/リン酸塩20としてのリン酸(H3PO4)と、炭酸塩50/金属塩60としての塩化マグネシウム(MgCl2)と、アルカリ70としての水酸化カリウム(KOH)と、水(H2O)40とが混合される。
例えば、水と酸化マグネシウムを先に混合し、これにリン酸(85%リン酸水溶液)を混合する。なお、水と酸化マグネシウムの混合液(分散液)にリン酸を加えると、発熱反応が生じる。そして、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合液(分散液)は、混合直後はコロイド状の白濁を示すが、所定時間の静置後には白い沈殿物が生じる。
更に、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液に塩化マグネシウム及びアルカリが混合される。このとき、反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、水と混合したアルカリ水溶液(例えば、1〜12質量%濃度)の形態で添加してもよい。なお、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液に塩化マグネシウム及びアルカリが混合されることで混合液のpHが低下し、それら成分の混合液は、pH1以上、pH5以下、好ましくは、pH1.5以上、pH4.5以下、より好ましくはpH2以上、pH4.5以下の酸性とされる。
このような塩化マグネシウム及びアルカリの混合により、酸化マグネシウムとリン酸と水との混合によって調製した混合液中の不溶沈殿物が溶解(分散)して分散性が高まる。つまり、濁度(白濁)が低下して透明度が増し、その後の処理操作性も良くなる。これにより、最終生産物である水素発生剤1の収率や水素発生能が向上する。即ち、反応性、分散性、取扱性、処理操作性からすると、酸化マグネシウム、リン酸及び水を混合してから塩化マグネシウム及びアルカリを混合するのが好ましい。しかし、本発明を実施する際には、それに限定されなくともよい。
実施例3の各種成分の配合は、各種成分が混合された混合液(分散液)の全体量(合計量)を100質量部としたとき、その混合液(分散液)全体量100質量部に対し、例えば、酸化マグネシウム10は0.01質量部以上、3質量部以下の範囲内、好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下、リン酸20は0.02質量部以上、8質量部以下の範囲内、好ましくは、0.04質量部以上、4質量部以下、水40は78質量部以上、99.94質量部以下、好ましくは、88質量部以上、99.89質量部以下、塩化マグネシウム60では、0.01質量部以上、4質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下、炭酸マグネシウム50では、0.01質量部以上、4質量部以下、好ましくは、0.02質量部以上、2質量部以下、水酸化カリウム70は、0.02質量部以上、6質量部以下、好ましくは、0.03質量部以上、4質量部以下である。
続いて、実施例1乃至実施例3では、このようにして所定の原料成分が所定の配合で混合されて調製された混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)が実施される。
このときの陰極及び陽極は、不活性な電極であれば良く、例えば、白金や炭素電極を用いることができる。陰極及び陽極の電圧は、水の電気分解に適した値に設定すれば良く(例えば、3〜20V)、電流は、電極の面積や溶液量等を考慮して適宜設定される(例えば、5〜10A)。電圧を印加し、励起する時間は、溶液量、溶液中の成分量、電圧をかけた後の所望とする溶存水素濃度(例えば、100〜1,500μg/L)等を考慮して適宜設定される(例えば、1〜200分間)。
本発明者らの実験研究によれば、このような電圧印加を行うことで、最終生産物である水素発生剤1を水に溶解したときの溶存水素濃度の測定で、安定して長い間高濃度の溶存水素が検出されることを確認している。また、測定開始から早い段階で溶存水素が検出される傾向にある。電圧印加によって安定的に高濃度の水素発生が確保される理由については、必ずしも明らかではないが、上述した所定の原料が混合された混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に電圧を印加することで、水40が電気分解されて水素が生じ、後述するように水素の化学種のキャリアーやドナーにより多くの水素の化学種が結び付くことや、電荷(電子)移動が生じ、水素の化学種のキャリアーやドナーが励起されてその電荷バランスが化学的により安定な状態となること等が理由として考えられる。
このようにして、実施例1乃至実施例3では、所定の原料成分が所定の配合で混合される混合工程(ステップS11)と、混合工程(ステップS11)で各種の原料成分が混合されて調整された混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)の実施により、沈殿物のない無色透明の反応生成液100が得られる。即ち、実施例1及び実施例2では、反応生成液100の作製工程は、混合工程(ステップS11)と電圧印加工程(ステップS12)を具備するものである。
ここで、このようにして製造した実施例1乃至実施例3の反応生成液100については、例えば、天然水等の水で100倍希釈して、溶存水素濃度を毎日(1日1回)測定すると、初回測定日から1〜2日経過後に、溶存水素が増大し、3〜4日後に溶存水素量の測定値がピークに達し、その後溶存水素量が徐々に減少するも、初回測定日から1週間以上経過しても溶存水素が検出されるという特徴を有している。特に、作製した反応生成液100を既存の一般的なペットボトルに入れて密封保管し、長期間(例えば12カ月以上)経過後に開封し、溶存水素濃度を測定したときでも、同様の測定結果が得られ、長期間(例えば12カ月以上)経過後であっても溶存水素濃度の測定値に差がなく、高濃度の溶存水素が検出された。しかも、測定開始(容器開封)から1週間以上経過しても溶存水素が検出され、長い間溶存水素が検出された。
なお、反応生成液100の水素発生機構について科学的な根拠は未詳であるが、マグネシウム/カルシウムの化学種10とリン酸/リン酸塩20と有機酸30と水40との化学反応(化学変化)により、また、マグネシウム/はカルシウムの化学種10と有機酸30と炭酸塩50/金属塩60と水40との化学反応(化学変化)により、更に、マグネシウム/カルシウムの化学種10とリン酸/リン酸塩20と炭酸塩50/金属塩60とアルカリ70と水40との化学反応(化学変化)により、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種が生じ、この反応化学種が水素の化学種のキャリアーやドナーとして水素発生に関与するものと推測している。
次に、実施例1乃至実施例3では、このようにして得られた反応生成液100の水分を蒸発して除去する真空凍結乾燥工程(ステップS20)が実施される。
凍結乾燥工程(ステップS20)では、まず、ステップ21の凍結工程で、反応生成液100の凍結を行う。例えば、反応生成液100をトレーに流し入れて、反応生成液100が充填されたトレー全体をバッチ方式の真空凍結乾燥装置(FD装置)に入れ、−20℃以下で凍結を行う。通常、急速凍結されるが、緩慢凍結であってもよい。
続いて、ステップ22の真空乾燥工程で、凍結された反応生成液100の真空乾燥(FD)を行う。この真空乾燥では、例えば、水分を氷の状態で集めるためのコールドトラップを十分に冷却(例えば、−50℃〜−80℃)した後に、真空排気(例えば、10Pa以下)を行い、また、熱供給(棚加熱)により昇華を促進する。そして、コールドトラップの融氷を行った後、凍結乾燥装置(FD装置)から乾燥物である固体物を取り出す。実施例1乃至実施例3においては、このようにして得られた乾燥物(固体物)は、例えば、10メッシュ〜30メッシュの粒度を有する水素発生剤1の粉体である。
その後、実施例1乃至実施例3では、整粒工程(ステップS30)としてステップS31の粉砕工程が実施され、先の真空乾燥工程(ステップ20)で得た固体状の乾燥物の粉砕を行い、更に、ステップS32の篩過工程で、粉砕された固体状の乾燥物を、例えば、ステンレスメッシュ(例えば、10メッシュ〜100メッシュ、好ましくは、20メッシュ〜90メッシュ、より好ましくは、40メッシュ〜60メッシュ)で篩分けし、また、マグネットセパレータ(10,000〜ガウス)で分離濾過する。これにより、例えば、10メッシュ〜100メッシュ、好ましくは、20メッシュ〜90メッシュ、より好ましくは、40メッシュ〜60メッシュの粒度の粉状(パウダー状)の水素発生剤1を得ることができる。水への溶解性、分散性からすると、40メッシュ〜60メッシュの粒度が好ましい。
このときの粉砕方法としては、特に問われないが、例えば、ミル、クラッシャー、アトマイザー等で粉砕できる。なお、水素発生剤1は、例えば、反応生成液100の重量に対して13重量%〜17重量%で得られる。また、このように反応生成液100を真空凍結乾燥させてなる水素発生剤1について、その粉末の水分値は、赤外線水分計による測定で、例えば、0.1%〜8%の範囲内、好ましくは、1.0%〜4.0%の範囲内である。
こうして、実施例1では、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウムと、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、有機酸30としてのクエン酸と、水40とを混合する混合工程(ステップS11)が実施され、続いて、混合工程(ステップS11)で得られた混合液に陰極及び陽極を浸漬しそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)が実施されることにより反応生成液作製工程(ステップS10)が実施され、反応生成液100が作製される。次に、このようにして作製された反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)が実施され、続いて、凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)が実施されることにより、真空凍結乾燥工程(ステップS20)が実施され、固体状の水素発生剤1を得ている。更に、水素発生剤1の固体物を粉砕する粉砕工程(ステップS31)が実施され、また、粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)が実施されることにより整粒工程(ステップS30)が実施されると、水素発生剤1の粉末(パウダー)が得られる。
即ち、実施例1に係る水素発生剤1の製造方法は、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、有機酸30としてのクエン酸、及び水40を混合する混合工程(ステップS11)と、それら所定の原料成分が混合された混合液に陰極及び陽極を浸漬して陰極及び陽極の電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)とからなり、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、有機酸30としてのクエン酸、及び水40を反応させてなる反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップ10)と、反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)及び凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)からなり、反応生成液100を真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備するものである。また、真空凍結乾燥工程(ステップS20)後に、真空凍結乾燥で得られた固体物の粉体を粉砕する粉砕工程(ステップS31)とその粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)とを具備することで、粉末状(パウダー状)の水素発生剤1が得られる。
ここで、本発明者らの実験研究によれば、実施例1において、電圧印加工程(ステップS12)を省略しても、得られた水素発生剤1を天然水等の水に溶解したときに水素発生することを確認していることから、電圧印加工程(ステップS12)を省略することも可能である。但し、上述したように、電圧印加工程(ステップS12)を実施することで、最終生産物の水素発生剤1が安定した水素発生能を示し、また、水素発生剤1水素発生量を向上させることが可能である。即ち、電圧印加工程(ステップS12)を実施することにより、安定的な水素発生能を有する水素発生剤1が得られ、得られた水素発生剤1を天然水等の水に溶解した際には、安定して高濃度の水素発生を確保できる。
また、本発明を実施する場合には、使用する原料成分を全て電圧印加工程(ステップS12)前の混合工程(ステップS11)で混合する必要はなく、実施例1において混合工程(ステップS11)では、マグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウムと、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、有機酸30としてのクエン酸と、水40とが少なくとも混合されればよい。更に、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちのいずれか1種以上を添加することで、水素発生剤1の水素発生量の向上が可能であるが、それらの原料成分、例えば、金属塩60としての塩化マグネシウムや、アルカリ70としての水酸化カリウムは、混合工程(ステップS11)で添加してもよいし、電圧印加工程(ステップS12)後に添加してもよい。反応性、水素発生剤1の水素発生量の向上効果からすると、好適には、電子の移動(供受)が生じる混合工程(ステップS11)の際に混合されるのが好ましい。
実施例2では、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウムと、有機酸30としてのクエン酸と、金属塩60としての塩化マグネシウムと、水40とを混合する混合工程(ステップS11)が実施され、続いて、混合工程(ステップS11)で得られた混合液に陰極及び陽極を浸漬しそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)が実施されることにより反応生成液作製工程(ステップS10)が実施され、反応生成液100が作製される。次に、このようにして作製された反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)が実施され、続いて、凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)が実施されることにより、真空凍結乾燥工程(ステップS20)が実施され、固体状の水素発生剤1を得ている。更に、水素発生剤1の固体物を粉砕する粉砕工程(ステップS31)が実施され、また、粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)が実施されることにより整粒工程(ステップS30)が実施されると、水素発生剤1の粉末(パウダー)が得られる。
即ち、実施例2に係る水素発生剤1の製造方法は、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、有機酸30としてのクエン酸、金属塩60としての塩化マグネシウム、及び水40を混合する混合工程(ステップS11)と、それら所定の原料成分が混合された混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)とからなり、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、有機酸30としてのクエン酸、金属塩60としての塩化マグネシウム、及び水40を反応させてなる反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップ10)と、反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)及び凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)からなり反応生成液100を真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備するものである。また、真空凍結乾燥工程(ステップS20)後に、真空凍結乾燥で得られた固体物である粉体を粉砕する粉砕工程(ステップS31)とその粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)とを具備することで、粉末状(パウダー状)の水素発生剤1が得られる。
本発明者らの実験研究によれば、実施例2で電圧印加工程(ステップS12)を省略しても、得られた水素発生剤1を天然水等の水に溶解したときに水素発生することを確認していることから、本発明を実施する場合には、電圧印加工程(ステップS12)を省略することも可能である。但し、上述したように、最終生産物の水素発生剤1の水素発生能からすると、電圧印加工程(ステップS12)を実施することで、安定した水素発生能を示し、また、水素発生量を向上させることが可能である。即ち、電圧印加工程(ステップS12)を実施することにより、安定的な水素発生能を有する水素発生剤1が得られ、得られた水素発生剤1を天然水等の水に溶解した際には、安定して高濃度の水素発生を確保できる。
また、本発明を実施する場合には、使用する原料成分を全て電圧印加工程(ステップS12)前の混合工程(ステップS11)で混合する必要はなく、実施例2において混合工程(ステップS11)では、マグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウムと、有機酸30としてのクエン酸と、金属塩60としての塩化マグネシウムと、水40とが少なくとも混合されればよい。更に、アルカリ70を添加することで、水素発生剤1の水素発生量の向上が可能であるが、例えば、アルカリ70としての水酸化カリウムは、混合工程(ステップS11)で添加してもよいし、電圧印加工程(ステップS12)後に添加してもよい。反応性、水素発生剤1の水素発生量の向上効果からすると、好適には、電子の移動(供受)が生じる電圧印加前の混合工程(ステップS11)の際に混合されるのが好ましい。
実施例3では、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウムと、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)と、金属塩60としての塩化マグネシウムと、アルカリ70としての水酸化カリウムと、水40とを混合する混合工程(ステップS11)が実施され、続いて、混合工程(ステップS11)で得られた混合液に陰極及び陽極を浸漬しそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)が実施されることにより反応生成液作製工程(ステップS10)が実施され、反応生成液100が作製される。次に、このようにして作製された反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)が実施され、続いて、凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)が実施されることにより、真空凍結乾燥工程(ステップS20)が実施され、固体状の水素発生剤1を得ている。更に、水素発生剤1の固体物を粉砕する粉砕工程(ステップS31)が実施され、続いて、粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)が実施されることにより整粒工程(ステップS30)が実施されると、水素発生剤1の粉末(パウダー)が得られる。
即ち、実施例3に係る水素発生剤1の製造方法は、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、金属塩60としての塩化マグネシウム、アルカリ70としての水酸化カリウム、及び水40を混合する混合工程(ステップS11)と、それら所定の原料成分が混合された混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に所定の電圧をかける電圧印加工程(ステップS12)とからなり、少なくともマグネシウムの化学種10としての酸化マグネシウム、リン酸20としてのリン酸(オルトリン酸)、金属塩60としての塩化マグネシウム、アルカリ70としての水酸化カリウム、及び水40とを反応させてなる反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップ10)と、反応生成液100を凍結する凍結工程(ステップS21)及び凍結した反応生成液100を真空乾燥する真空乾燥工程(ステップS22)からなり反応生成液100を真空凍結乾燥する真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備するものである。また、真空凍結乾燥工程(ステップS20)後に、真空凍結乾燥で得られた固体物である粉体を粉砕する粉砕工程(ステップS31)とその粉砕物を篩過する篩過工程(ステップS32)とを具備することで、粉末状(パウダー状)の水素発生剤1が得られる。
本発明者らの実験研究によれば、実施例3で電圧印加工程(ステップS12)を省略しても、得られた水素発生剤1を天然水等に溶解したときに水素発生することを確認していることから、電圧印加工程(ステップS12)を省略することも可能である。但し、上述したように、最終生産物の水素発生剤1の水素発生能からすると、電圧印加工程(ステップS12)を実施することで、安定した水素発生能を示し、また、水素発生量を向上させることが可能である。即ち、電圧印加工程(ステップS12)を実施することにより、安定的な水素発生能を有する水素発生剤1が得られ、得られた水素発生剤1を天然水等の水に溶解した際には、安定して高濃度の水素発生を確保できる。
なお、本発明を実施する場合には、原料成分は、上記実施例1乃至実施例3のものに限定されず、例えば、上記実施例1乃至実施例3では、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10として酸化マグネシウムを使用したが、本発明を実施する場合には、それに限定されず、例えば、炭酸マグネシウムを単独で用いたり、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムを用いたり、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム及び酸化マグネシウムを用いたりしてもよい。
更に、本発明を実施する場合には、反応生成液100を作製する段階で、鉄の化学種や亜鉛の化学種を配合してもよいし、糖類を配合してもよいし、ミネラル(ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛等)、例えば、ミネラル源として植物エキスを配合してもよい。本発明者らは、これらを配合した反応生成液100を乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させることにより得られる固体状の水素発生剤1によれば、天然水等の水に添加、溶解して作製した試料において溶存水素濃度が増大し、より高い溶存水素濃度の測定ピーク値が得られ、また、溶存水素濃度が高い状態がより長い間持続することを確認している。即ち、鉄の化学種、亜鉛の化学種、糖類、ミネラル、植物エキスを配合した反応生成液100を乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させてなる水素発生剤1によれば、高濃度の水素の発生がより長い間持続して、水素発生能が高まることを確認している。
ここで、鉄の化学種の供給源には、例えば、塩化鉄(II)(FeCl2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、硫酸第1鉄(FeSO4・7H2O)、酸化鉄(II)(FeO)、四酸化三鉄(Fe3O4)、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム等の鉄化合物や金属鉄が使用できる。
亜鉛の化学種の供給源には、例えば、塩化亜鉛(ZnCl2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、グルコン酸亜鉛(C12H22O14Zn)等の亜鉛化合物や金属亜鉛が使用できる。
例えば、反応生成液100を1Lに対し、鉄の化学種としての塩化鉄等、亜鉛の化学種としての塩化亜鉛等は、1〜100mgの添加が好ましい。
また、糖類としては、ブドウ糖、果糖、砂糖、乳糖、麦芽糖等の糖類や、オリゴ糖、デキストリン、でんぷん等の多糖類が使用できる。
例えば、反応生成液100を1Lに対し、糖類は、10〜100mgの添加が好ましい。
更に、植物エキスの植物としては、例えば、野菜類、果実類、穀物類、豆類、茶類、竹類、木の実類(種実類)、花木類等が挙げられる。好適には、柑橘類(例えば、イヨカン、甘夏カン、ハッサク、柚子、キンカン、ミカン、ネーブル、グレープフルーツ、レモン、スダチ、ライム、ダイダイ、カボス、ザボン)、果実類(キウイ、イチゴ、リンゴ、ライチ)、緑黄色野菜類(例えば、ブロッコリー、大麦若葉、ケール、カボチャ、ニラ、ニンジン、小松菜、トマト、ホウレンソウ、モロヘイヤ、小麦若葉、明日葉、クワ若葉、メキャベツ等)、ハーブ・薬草類(例えば、カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉、レモンバーム、ミント、シソ、エゴマ、ローズマリー、タイム、セージ、レモングラス等が挙げられ、中でも、カモミール、ドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉、シソ等、胡桃等の木の実類(種実類)、椿等の花木類のエキスである。
なお、植物エキスは、天然の植物から採取されたものが使用され、例えば、原料である植物から搾取した搾汁や、水やエタノール等の溶媒と混合し、必要に応じて加熱、加圧・減圧、乾燥、遠心分離等による固液分離、濃縮等を行って、抽出した抽出物が使用され、搾取や抽出方法については特に限定されない。添加する形態も粉末状等の固体形態であってもよいし液体等の流動体の形態であってもよい。
また、エキスを採取する植物の部位や成長時期は、特に限定されず、例えば、根、葉、実、実の皮、茎、枝、芽、種子等からの採取が可能であるが、好適には、食用とされる部位、または種子、または種子から発芽した芽(新芽)から採取されたエキスの添加により得られた水素発生剤1ではそれを天然水等の水に溶解した際に、より高い溶存水素濃度のピーク値が得られ、安定的に溶存水素濃度が高くなる。食用部位としては、例えば、植物の実、葉、花のつぼみ、茎(地下の茎を含む)、根が挙げられる。
なお、これら鉄の化学種、亜鉛の化学種、糖類、ミネラル(植物エキス等)の添加のタイミングは、反応生成液100を作製する段階であれば何れのタイミングでも良く、混合工程(ステップS11)において添加しても良いし、電圧印加工程(ステップ12)後に添加しても良い。反応性、溶存水素濃度の増大効果からすれば、特に、電子の移動(供受)が生じる電圧印加を行う前までの添加が好ましい。
更に、本発明者らの実験研究によれば、反応生成液100の作製段階で、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)等の金属塩50や硫酸銅等の銅が配合されていると、水素発生剤1を天然水等の水に添加して長期間保管したときでも、細菌、カビ等の微生物の増殖が抑制され保管性(日持ち)が向上することを確認している。塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)や銅等の配合によって、水素発生剤1が塩素や銅の化学種を含有し、この塩素や銅の化学種が細菌、カビ等の微生物の増殖抑制に関与していることが考えられる。
次に、本実施の形態の水素発生剤1の特性について説明する。
まず、本実施の形態の水素発生剤1による水素発生能を調べるために、上記実施例に係る水素発生剤1を天然水に添加して作製した試料について水素の発生を調べた。
上述のようにして得られた実施例に係る水素発生剤1の粉末は、水に溶解し(易溶性)、天然水等のミネラルを含有する水であっても、容易にそれに溶解し、不溶性の沈殿物が生じるようなこともない。
ここで、本発明者らの実験研究により、天然水1Lに対し42メッシュの粒度の水素発生剤1の粉末を1.5g以下の溶解では、粉末量が多いほど、後述するように経時的に溶存水素を測定したときに、長い間高濃度の溶存水素が検出されることを確認している。一方で、天然水1Lに対し1.5gを超える添加では、粉末量を多くしても、溶存水素量の最大値(ピーク値)、即ち、最大溶存水素濃度は1.55ppm程度であり、また、毎日測定した溶存水素の濃度もそれほど増大しないことを確認している。但し、天然水1Lに対し42メッシュの粒度の水素発生剤1の溶解量の最大は、50gである。なお、42メッシュの粒度の水素発生剤1では、天然水1Lに対し0.1g以上の添加で溶存水素の発生を確認している。
そこで、以下の溶存水素濃度の測定実験では、天然水1Lに対し、42メッシュの粒度の水素発生剤1の粉末を1.5g添加したときの溶存水素量を示す。42メッシュの粒度の水素発生剤1の粉末であれば、水に添加したときに水面付近でダマになることなく、沈降し、攪拌すれば速やかに分散され水に溶解する。
なお、水素発生剤1を添加(溶解)して溶存水素濃度の測定実験を行うのに用いた天然水は、岐阜県の奥長良川(岐阜県関市洞戸)で採水した地下水を原水として所定の濾過や殺菌等を行った天然水(ナチュラルミネラルウォータ)である。念のため、使用した天然水(ナチュラルミネラルウォータ)の成分を表1に示す。
具体的には、まず、天然水1Lに対し水素発生剤1の粉末1.5gを添加し、攪拌して水素発生剤1を溶解させて試料A1を作製した。次に、作製した試料A1についてその一部を測定用の容器に移し、磁気スターラで所定時間(30秒〜1分程度)攪拌しながら、共栄電子研究所製KM2100DH(隔膜式ポーラロ方式、溶存水素を定量的に測定する)を用いて、初回の溶存水素量の測定を行った。その後、初回の測定に使用した分を含めて試料A1を既存の一般的なペットボトルに入れ、キャップをして密閉し、32℃の温度条件下で保管を行い、以後も1日1回、このペットボトルに入れた試料A1について溶存水素量の測定を行った。ペットボトルに入れた試料A1についての溶存水素量の測定に際しては、試料A1が入ったペットボトルのキャップを開け、ペットボトル内の試料A1を測定用の容器に移し、初回の測定時と同様に、磁気スターラで所定時間(30秒〜1分程度)攪拌しながら、共栄電子研究所製KM2100DHを用いて測定を行った。なお、測定後の試料A1は再度ペットボトルに戻し、キャップを閉めて、次の測定時で使用するまでペットボトルに入れて所定条件下(32℃下)で保管をした。
更に、水素発生剤1の作製に使用した反応生成液100についても、同様に溶存水素濃度の測定を行った。反応生成液100については、天然水で100倍希釈した試料B1を作製し、天然水で100倍希釈された反応生成液100の水素発生能を調べた。反応生成液100を天然水で100倍希釈した試料B1は、試料作製後に、一般的なペットボトルの密封容器に入れて保管(室温条件下)を行っていたものを使用した。そして、溶存水素量の測定に際しては、上記と同様、試料B1が入った密封容器を開封して測定用の容器に移し、磁気スターラで所定時間(30秒〜1分程度)攪拌しながら、共栄電子研究所製KM2100DHを用いて、溶存水素量の測定を行った。初回の溶存水素量の測定を終えた後、測定後の試料B1は再度ペットボトルに入れてキャップを閉めてから、32℃の温度条件下で保管を行い、上記と同様、経時的(1日1回)に溶存水素量の測定を行った。
このときの溶存水素量の測定結果を図4に示す。図4に示したグラフは、代表的に、実施例1として、酸化マグネシウム10、リン酸20、クエン酸30、水40、塩化マグネシウム50及びアルカリ70を反応させてなる反応生成液100の水分を真空凍結乾燥法によって蒸発させることにより得た水素発生剤1についての測定結果を示すものである。
図4に示すように、まず、水素発生剤1の作製に使用した反応生成液100を天然水で100倍希釈して作製した試料B1については、測定開始から2日後に0.1ppm程度の溶存水素が検出され、測定開始から3日後の測定では、前日よりも更に高い濃度の溶存水素が検出され、4日後の測定では、前日よりも更に高い溶存水素が検出され、その測定値は1.55ppm程度であった。その後、溶存水素量の測定値は減少するも、その減少の程度は緩やかであり、測定開始から9日後でも0.2ppm程度の溶存水素が検出された。こうして、水素発生剤1の作製に使用した反応生成液100を天然水で100倍希釈した試料B1では、ピーク値の溶存水素濃度、即ち、最大溶存水素濃度は1.55ppm程度であり、長い間高濃度で溶存水素が検出され、特に、初回測定から9日経過の測定でも溶存水素が検出され、長期間の水素の発生が確認された。
なお、測定に使用した密封容器入りの試料B1については、製造後1年以内のものを使用しているが、製造直後のものであっても、製造後1年経過したものであっても、その溶存水素量の発生の挙動に殆ど変化はなく、最大溶存水素濃度は1.55ppmであることを確認している。
一方、水素発生剤1を天然水に溶解して作製した試料A1においても、測定開始から2日後には0.7ppm程度の溶存水素が確認された。そして、測定開始から3日後の測定では、前日よりも更に高濃度の溶存水素が検出され、4日後の測定では、前日よりも更に高濃度の溶存水素が検出され、その測定値は1.55ppm程度であった。その後、溶存水素量の測定値は減少するも、その減少の程度は緩やかであり、測定開始から9日後でも0.5ppm程度の溶存水素が検出された。こうして、水素発生剤1を天然水に溶解させて作製した試料A1でも、溶存水素の発生が確認され、ピーク値の水素濃度、即ち、最大水素濃度は1.55ppm程度であった。特に、長い間高濃度の溶存水素が検出され、水素発生剤1を天然水に溶解させてから(溶存水素の測定開始日から)、9日経過の測定でも溶存水素が検出され、長期間の水素の発生が確認された。
このように水素発生剤1を天然水に溶解させて作製した試料A1においても、水素発生剤1の作製に使用した反応生成液100を天然水で100倍希釈して作製した試料B1と同様に、長期間の水素の発生が確認された。更に、溶存水素の発生の挙動について、両者の試料とも、測定開始から2日後に水素発生が確認され、その後、溶存水素量の測定値は増大し、4日後に溶存水素量の測定値はピークに達した。ピーク後は、徐々に溶存水素量の減少が見られるも、測定から9日経過しても所定の溶存水素量が検出された。そして、このときの溶存水素量の測定における最大値は、両者の試料とも、1.55ppm程度であることが確認された。
更に、本発明者らの実験研究によれば、製造した水素発生剤1を例えば、ポリ袋等に入れて封をし、更にそれを例えば、金属缶等に入れて常温保管し、製造から長期間(例えば、7カ月)経過した水素発生剤1について、上記と同様に、天然水に溶解させた試料を作製して、溶存水素量の測定を行ったところ、長期間常温保管した後でも、水素発生量の減少が見られることなく、最大水素濃度1.55ppmが確認され、測定開始から長い間溶存水素が検出され、図4に示したグラフと同様の水素発生の挙動を示すことを確認している。
また、本発明者らは、水素発生剤1の安定性について、詳細には、水素発生剤1を加熱したときの水素発生への影響について確認するために、水素発生剤1を所定温度に加熱してから、その加熱した水素発生剤1を天然水に溶解して試料A2を作製し、その試料A2の溶存水素濃度の測定を行った。
水素発生剤1の加熱は、アルミホイルの上に水素発生剤1を載せて、それをオーブンで150℃15分間の加熱または180℃15分間の加熱を行った。そして、150℃で加熱された水素発生剤1の粉末1.5gを天然水1Lに溶解して作製した試料を試料A2aとし、また、180℃で加熱された水素発生剤1の粉末1.5gを天然水1Lに溶解して作製した試料を試料A2bとして、これら試料A2a及び試料A2bについて、上記試料A1のときと同様の測定条件で、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。このときの結果を図5に示す。
図5に示したように、水素発生剤1を所定温度で加熱しても、加熱された水素発生剤1を天然水に溶解して作製した試料A2a及び試料A2bでは、上記試料A1と同様に水素の発生が確認され、高濃度の溶存水素が検出された。特に、水素発生剤1を所定温度に加熱して天然水に溶解して作製した試料A2a及び試料A2bでは、上記試料A1と比較して、溶存水素濃度が高い状態が長く持続する傾向にあり、また、最大水素濃度も高くなる傾向にあった。なお、オーブンの加熱手段では、180℃を超える加熱温度とすると、水素発生剤1の粉末が焦げて水に溶解し難くなるため、溶存水素発生量の減少や測定のばらつきが生じる傾向にあったことから、ここでは、180℃以下の加熱温度の設定とした。
更に、本発明者らは、水素発生剤1を天然水に溶解して作製した試料A3の安定性について、詳細には、水素発生剤1を天然水に溶解して作製した試料A3を加熱または冷凍したときの水素発生への影響について確認するために、水素発生剤1を天然水に溶解して作製した試料A3の加熱や冷凍を行い、加熱後や冷凍・解凍後の試料A3a,A3bの溶存水素量の測定を行った。
このときの実験では、まず、天然水1Lに対し水素発生剤1の粉末1.5gを溶解させて試料A3を作製し、その作製した試料A3を既存の一般的なペットボトルに入れた。そして、試料A3が入った密閉ペットボトルごと、加熱または冷凍を行った。
加熱実験では、試料A3が入れられた密閉ペットボトルを90℃で30分加熱した。
また、冷凍実験では、試料A3が入れられた密閉ペットボトルを−18℃で冷凍した。
そして、加熱された試料A3aと、冷凍された試料A3bについて、上記試料A1のときと同様の測定条件で、経時的に溶存水素濃度の測定を行った。なお、加熱した試料A3aについては、加熱後、室温まで自然冷却してから溶存水素濃度の初回の測定に供した。また、冷凍した試料A3bについては、冷凍庫から取り出して室温で解凍してから、溶存水素濃度の初回の測定に供した。
また、水素発生剤1の作製に使用した反応生成液100を天然水で100倍希釈して作製した試料B3についても、上記と同様条件で加熱または冷凍を行い、加熱後または冷凍・解凍後の試料B3a,B3bの経時的な溶存水素濃度の測定を行った。なお、この試料B3についても、既存の一般的なペットボトルに入れ、試料B3が入れられた密閉ペットボトルごと、加熱または冷凍を行った。
加熱後の試料A3aと試料B3aの経時的な溶存水素濃度の測定結果を図6に示す。また、冷凍、解凍後の試料A3bと試料B3bの経時的な溶存水素濃度の測定結果を図7に示す。
図6に示したように、水素発生剤1を天然水に溶解し所定温度に加熱した試料A3aについても上記試料A1と同様に高濃度の溶存水素の発生が長期間確認された。また、反応生成液100を天然水で希釈し所定温度に加熱した試料B3aについても同様であった。
更に、図7に示したように、水素発生剤1を天然水に溶解し冷凍、解凍した試料A3bについても上記試料A1と同様に高濃度の溶存水素の発生が長期間確認された。また、反応生成液100を天然水で希釈し所定温度に冷凍、解凍した試料B3bも同様であった。
こうして本実施の形態の水素発生剤1を天然水等の水に添加した試料では、水素の発生が確認され、水素発生剤1を天然水等の水に添加してから溶存水素濃度を毎日(1日1回)測定した場合には、水素発生剤1を天然水等の水に添加してから(初回の測定から)1〜2日経過後に、溶存水素量が増大し、3〜4日後に溶存水素量の測定値がピークに達し、その後溶存水素量が徐々に減少するも、添加から1週間以上経過しても溶存水素が検出されるという特徴を有している。
このように、本実施の形態の水素発生剤1によれば、天然水等の水に溶解した際には、反応生成液100と同様の水素発生の特性を示し、初回測定日から1〜2日経過後に、溶存水素が増大し、3〜4日後に溶存水素量の測定値がピークに達し、その後溶存水素量が徐々に減少するも、初回測定日から1週間以上経過しても溶存水素が検出されるという特徴を有し、長期間持続的に水素を発生できる。更に、水素発生剤1を天然水等の水に溶解してなる試料、及び、反応生成液100を天然水で100倍希釈してなる試料の両者とも、1.55ppm程度の溶存水素量を確認している。加えて、本発明者らの実験研究によれば、水素発生剤1を天然水等の水に溶解してなる試料、及び、反応生成液100を天然水で100倍希釈してなる試料の両者とも、還元力を有し、例えば、水素発生剤1を天然水等の水に溶解してなる試料、及び、反応生成液100を天然水で100倍希釈してなる試料では、それら試料に釘を入れたときに、水道水や天然水等と比較し、酸化還元電位が負の値に下がり、釘の酸化(錆の発生)が抑制されることを確認している。
このような水素発生剤1による水素発生機構について科学的な根拠は未詳であるが、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10とリン酸及び/またはリン酸塩20と有機酸30と水40との化学反応(化学変化)により、また、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と有機酸30と炭酸塩50及び/または金属塩60と水40との化学反応(化学変化)により、更にまた、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40との化学反応(化学変化)により、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種が生じ、水素発生剤1に含有されるこの反応化学種が水素の化学種のキャリアーやドナーとして水素発生に関与するものと推測している。
そして、水素発生剤1に含まれる反応化学種が水(H2O)との反応によりまたは天然水等に含まれるミネラル(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、鉄、リン、亜鉛等)や硫酸イオン(SO4 2-)、重炭酸、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等との反応により、水素の発生、放出、生成、遊離が生じていると推測している。
なお、上述した反応化学種としては、例えば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種、リン酸の化学種、水素の化学種、カルボン酸の化学種、炭酸の化学種、塩素の化学種、水酸化物の化学種の何れか1種を含む反応化学種であることが推測される。この反応化学種は、水素の化学種がマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種を含む複合化学種に吸着固定されている化学種と捉えることもできる。
この反応化学種を構成している水素の化学種の由来は、例えば、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10とリン酸及び/またはリン酸塩20と有機酸30と水40との反応によって、また、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と有機酸30とリン炭酸塩50及び/または金属塩60と水40との反応によって、更にまた、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40との反応によって、Mg2+、Ca2+が生じ(以下、Mg2+の例で示すが、Ca2+も同様である)、例えば、以下の反応式(1)、(2)に示した反応によって生じた水素に由来するものが考えられる。
Mg2++4e-+H20→2H2+2MgO・・・(1)
Mg2++2H2O+2e-→Mg(OH)2+H2・・・(2)
また、酸と塩基の中和反応や、金属成分と酸との反応、所定の成分が水との化合する水和反応等によって、MgH2(PO4)、Mg8H2(PO4)6が生じたり、以下の反応式(3)と(4)に示した反応が生じ、これらの反応によって生じた水素に由来するものが考えられる。
Mg8H2(PO4)6+5H20+Mg2+4H+
→Mg10(PO4)6(OH)2+12H+・・・(3)
12H++12e-→6H2・・・(4)
更に、所定の原料成分を混合した混合液に陰極及び陽極を浸漬してそれら電極間に電圧を印加すると、以下の反応式(5)と(6)に示した反応で、水40が電気分解され、水40の電気分解により生じた水素に由来するものが考えられる。
2H2O→2H++2OH-・・・(5)
2H++2e-→H2・・・(6)
ここで、本実施の形態の水素発生剤1によれば、水素発生剤1を天然水等の水に添加した直後の初回測定よりもその次回(添加日から翌日)以降の測定で溶存水素量の増大が確認されていることから、溶存水素の測定操作時に生じる振動、振とう、攪拌等、または、保存のための使用するキャップ付き容器の開封時の圧力(気圧)変化等の外力が加わることにより、水素の発生、放出、生成、遊離が生じることまたは促進されることが推測される。なお、水素発生剤1の作製に使用する反応生成液100についても同様である。
特に、水素発生剤1を天然水等の水に所定量の割合で添加してペットボトルに密閉し長期間(例えば1カ月以上)保管、放置した後に、密封容器を開封して溶存水素濃度を1日1回の経時測定すると、上記同様に溶存水素濃度の測定開始日から1〜2日経過後に溶存水素の増大が検出され、3〜4日後には溶存水素量の測定値がピークに達し、その後溶存水素量が徐々に減少するも、開封後から1週間以上経過しても溶存水素が検出され、長期間継続的に水素が発生する。
即ち、水素発生剤1を天然水等の水に所定量の割合で添加して、それをペットボトルに密閉し長期間保管(例えば1カ月以上)しても、ペットボトル開封後には高濃度の溶存水素が検出される。
このことからも、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる上記反応化学種に水素の化学種が吸着、結合、固定されて散逸し難くなっていること、そして、容器開封による圧力変化や振動、振とう、攪拌等の外力をきっかけに水素の発生、放出、生成、遊離が生じることまたは促進されることを推測できる。
なお、水素発生剤1を天然水等の水に添加した試料の溶存水素量については、測定開始から1〜2日経過後に溶存水素量の増大が見られ、ピークに達したのちは緩やかに減少して0に収束し、また、水素発生剤1を天然水等の水に添加した試料の酸化還元電位の測定では、溶存水素量の増大に伴い、酸化還元電位が減少し、また、溶存水素量の減少に伴い、酸化還元電位が増大することを確認しているが、pHは経時的に徐々に上昇しているのを確認している。このpHの変動からみると、水素発生剤1による水素の発生、放出、生成、遊離に化学反応が関与していることも推測される。
加えて、本発明者らの実験研究によれば、水素発生剤1を天然水等の水に添加して作製した試料について、JIS Z 8703で規定される20℃±15℃(5℃〜35℃)の常温の温度範囲のうち、好ましくは25℃〜35℃の範囲内の常温下で保管を行うことにより、水素発生剤1を天然水等の水に添加して作製した試料を1日1回の経時的な溶存水素量の測定で、安定して高い溶存水素量が得られ、また、早い段階で溶存水素濃度の増大が見られるも数日間のより長い間高濃度の溶存水素が検出されることを確認している。より好ましくは、32℃±1℃の温度条件下で保管することにより溶存水素量のピーク値が最も高くなり、安定的により長い間高濃度の水素が発生する。即ち、水素の発生、放出、生成、遊離に関する化学反応性、反応速度は、温度依存性が高いものと考えている。
このように保管の温度条件によって溶存水素量の測定値が変動する理由の科学的な根拠も未詳であるが、所定の温度条件とすることにより反応性(水素の発生、放出、生成、遊離に関する化学反応性、酸素の溶解が少なくなることによる水素消費の低減化等)、反応速度等が高くなったことが考えられる。
以上説明してきたように、上記実施の形態の水素発生剤1は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と水40とを混合反応させて得た反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させることにより得られた固体状のものである。
また、上記実施の形態の水素発生剤1は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40とを混合反応させて得た反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させることにより得られた固体状のものである。
更に、上記実施の形態の水素発生剤1は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40とを混合反応させて得た反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させることにより得られた固体状のものである。
ここで、上述したように、上記実施の形態は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40とを反応させて反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップS10)と、反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させる真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備する水素発生剤1の製造方法と捉えることもできる。
また、上記実施の形態は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40とを反応させて反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップS10)と、反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させる真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備する水素発生剤1の製造方法と捉えることもできる。
更に、上記実施の形態は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40とを反応させて反応生成液100を作製する反応生成液作製工程(ステップS10)と、反応生成液100を真空凍結乾燥させて反応生成液100の水分を蒸発させる真空凍結乾燥工程(ステップS20)とを具備する水素発生剤1の製造方法と捉えることもできる。
このようにマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との混合反応で得た反応生成液100や、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との混合反応で得た反応生成液100や、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、アルカリ70と、水40との混合反応で得た反応生成液100を真空凍結乾燥させることで得られた固体状の水素発生剤1によれば、水分との接触、反応により長い間持続的に多量の水素を発生させることができる。よって、水素濃度が高い状態での摂取を可能とする。
特に、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40との組み合わせに対し、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上を添加して、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、リン酸及び/またはリン酸塩20と、有機酸30と、水40と、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上とを混合反応して得た反応生成液100を真空凍結乾燥させることにより得られた固体状の水素発生剤1によれば、水分との接触、反応により、より高濃度の水素発生を可能とする。即ち、水素発生量を増大させることが可能であり、最大水素濃度が増大する。更には、水素発生剤1の収率の向上も可能であり、固体状である水素発生剤1が少量でも、天然水等の水に溶解させたときに高い水素濃度が得られ、かつ、長い間溶存水素量が高濃度の状態が維持される。
なお、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上の添加で、水素濃度が増大する理由については、必ずしも明らかではないが、炭酸塩50、金属塩60及びアルカリ70のうちの何れか1種以上が、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10、リン酸及び/またはリン酸塩20、有機酸30、及び水40のうちの何れか1種以上と反応し、或いは、これら原料成分の反応により生じた反応生成物の反応し、それによって水素の化学種が生じ、上述したように、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種により多くの水素の化学種が結び付いたりしたことや、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種の化学的バランスがより安定な状態となったりしたこと等が考えられる。
また、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40との組み合わせに対し、アルカリ70を添加して、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10と、有機酸30と、炭酸塩50及び/または金属塩60と、水40と、アルカリ70とを混合反応して得た反応生成液100を真空凍結乾燥させることにより得られた固体状の水素発生剤1によれば、水分との接触、反応により、より高濃度の水素発生を可能とする。即ち、水素発生量を増大させることが可能であり、最大水素濃度が増大する。更には、水素発生剤1の収率の向上も可能であり、固体状である水素発生剤1が少量でも、天然水等の水に溶解させたときに高い水素濃度が得られ、かつ、長い間溶存水素量が高濃度の状態が維持される。
なお、アルカリ70の添加で、水素濃度が増大する理由についても、必ずしも明らかではないが、アルカリ70が、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10、有機酸30、炭酸塩50及び/または金属塩60、及び水40のうちの何れか1種以上と反応し、或いは、これら原料成分の反応により生じた反応生成物の反応し、それによって水素の化学種が生じ、上述したように、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種により多くの水素の化学種が結び付いたりしたことや、水素の化学種のキャリアーやドナーとなる反応化学種の化学的バランスがより安定な状態となったりしたこと等が考えられる。
更に、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種10が、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、または水酸化カルシウムの何れか1種以上であれば、安定的に高い収率で固体状の水素発生剤1が得られ、また、得られた水素発生剤1においては、安定的に多量の水素発生を可能とする。即ち、固体状の水素発生剤1を天然水等の水に溶解させて溶存水素濃度を測定したときの最大水素濃度が高く、かつ、より安定的に長い間多量の水素が発生し、高濃度でかつ長い間の持続的な水素の発生が安定して確保される。
加えて、反応生成液作製工程(ステップS10)の反応生成液100は、陽極及び陰極の電極が浸漬されて陽極及び陰極の電極間に電圧が印加してなるものであると、即ち、反応生成液100は、乾燥させて水分を蒸発させる前に、陽極及び陰極の電極が浸漬されて陽極及び陰極の電極間に電圧印加してなるものであると、その反応生成液100を真空凍結乾燥させることで得た固体状の水素発生剤1によれば、水分との接触、反応により、より安定して高濃度の溶存水素が検出される。即ち、より安定的に多くの水素を発生する。更には、水素発生剤1の収率も安定する。つまり、より安定した収率で水素発生剤1が得られる。
また、上記実施の形態では、水素発生剤1が反応生成液100を真空凍結乾燥してなるものであるから、高い収率で水素発生剤1が得られ、また、水素発生剤1の高純度も確保される。そして、真空凍結乾燥であれば、熱的負荷が少なくて短時間の乾燥を可能とするから、高い生産性、低コストで安定した特性、品質の水素発生剤1が得られる。よって、得られた水素発生剤1は、高濃度でかつ長い間持続的な水素の発生が安定して確保される。
こうして、本実施の形態の水素発生剤1は、水分との接触、反応により、高濃度でかつ長い間の水素発生を可能とするものであり、持続的な水素の発生を可能とする。
そして、本実施の形態の水素発生剤1は固体状であるから、水素水等の液体物と比較して、携帯性、取扱性等の利便性が高く、汎用性も高い。特に、乾燥工程(ステップS20)の後に、乾燥工程(ステップS20)で得られた固体物を粉砕し、篩過し、所定の粒度の粉体とする整粒工程(ステップ30)を実施すると、均一な粒度分布の水素発生剤1の粉体が得られる。
このような固体状の水素発生剤1は、飲料、食品に添加配合して利用することが可能である。そして、本実施の形態の固体状の水素発生剤1は、苦みやえぐみ等がなく、その殆ど無臭性を生かして、添加配合する飲料、食品の風味や外観性に影響を与えることなく、即ち、添加配合する飲料、食品の風味や外観性を損なうことなく、利用することが可能であり、広範囲の用途に使用可能である。また、経口的な摂取に限らず、化粧品、医薬品、入浴剤等への添加配合によって、経皮的な摂取としてもよい。更に、人に対する摂取に限らず、動物の飼料等に添加の配合や、植物の肥料等への添加配合も可能であり、その他、自動車等の燃料、エネルギー源としての利用も期待できる。特に、水素発生剤1の粉体、粉末は、飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加、配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすくなり、使い勝手が良い。例えば、炭酸飲料、栄養飲料、果実・野菜飲料等の清涼飲料、乳飲料(例えば、乳酸菌飲料、乳飲料、乳製品、乳性飲料)、アルコール飲料(例えば、日本酒、焼酎、果実種、ビール、ワイン、ウィスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、ラム等が挙げられ、アルコール分1%以上を含む飲み物で、製造法では発酵酒・蒸留酒・混成酒の3種を含む)、粉末飲料、食品(食肉等の畜産物、魚等の水産物、ハム、ベーコン、ソーセージ等の水産・畜産加工食品や魚油、植物油等の油脂及び油脂加工食品、惣菜、飴、ガム等の嗜好品等の加工食品)、ヨーグルト等の乳・乳製品、ソース、タレ等の調味料、医薬品(入浴剤等を含む)、化粧品、化学品、肥料等の製品に添加、配合して利用することが可能となる。このとき、粉体、粉末をカプセルに充填したり、錠剤化したりしてもよい。また、食品や機械装置の洗浄水に添加し、使用することも可能である。
例えば、果実飲料(天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果糖ブドウ糖液等を含む)、野菜飲料、茶系飲料(ウーロン茶飲料、紅茶飲料、麦茶飲料、ブレンド茶飲料を含む)、豆乳飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、ココア飲料、栄養飲料(医薬品、医薬部外品を含む)の清涼飲料、乳飲料、アルコール飲料への添加した際では、溶存水素が検出される。
なお、上記実施例では、反応生成液100をそのまま真空凍結乾燥に供しているが、本発明を実施する場合には、真空凍結乾燥の前に、反応生成液100の濃縮(例えば、煮沸濃縮、膜濃縮等)を行うことも可能である。
更に、本発明を実施する場合には、反応生成液100を乾燥させる方法は、真空凍結乾燥(フリーズドライ)に限定されず、真空乾燥、真空加熱乾燥であってもよいし、例えば、反応生成液100の煮沸濃縮または熱風供給(エアードライ)により反応生成液100の水分を蒸発させることで析出した固体状成分を乾燥剤等を用いて乾燥させることで、固体状の水素発生剤1を得ても良いし、攪拌乾燥機の使用やスプレードライヤ(噴霧乾燥)により乾燥させて固体状の水素発生剤1を得ることも可能である。例えば、反応生成液100を10〜200μmの微小液滴に噴霧し、それを高温の熱風で乾燥することで水素発生剤1の粉体を得ることも可能である。更に、熱風(エアードライ)や遠赤外線の供給により、または、ドラムドライにより反応生成液100の水分を蒸発させることで固体状の水素発生剤1を得ることも可能である。しかし、凍結により水分を蒸発させしかも高温の熱を必要としない真空凍結乾燥であれば、高い収率で固体状の水素発生剤1の粉体を得ることができ、また、得られた固体状の水素発生剤1の粉体は、水への溶解性も高く、安定して高い水素発生能を発揮する高品質なものとなる。
上記実施の形態の水素発生剤は、マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れか1種以上であるものである。必ずしもこれらのうちの1種に限定されることなく、複数種であってもよい。
上記実施の形態の水素発生剤によれば、前記マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種は、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れか1種以上である。
マグネシウム及び/またはカルシウムの化学種の供給源が酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れかに由来するものであれば、安価で入手の容易な材料で供給できる。しかも、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムの何れかに由来するマグネシウム及び/またはカルシウムの化学種では、高い収率で固体状の水素発生剤が得られる。そのうえ、得られた水素発生剤を天然水等の水に溶解させて溶存水素濃度を測定したときの溶存水素量の測定値が高く、かつ、より安定的に長い間高濃度の溶存水素が検出される。したがって、安定的に多量の水素発生を確保できる。
上記実施の形態の水素発生剤は、反応生成液の乾燥は、真空凍結乾燥であるものである。
上記真空凍結乾燥とは、通常、反応生成液を凍結し、その後、凍結状態にある反応生成液の水分を減圧した真空下で昇華させることによって乾燥するものである。即ち、反応生成液に含まれる水を凍結させて、昇華にて除去するものである。このときの凍結方法としては、例えば、冷媒(例えば、液体窒素、ドライアイス等)中に反応生成液を入れて凍結させる方法、反応生成液を減圧下で凍結させる方法、冷凍設備等の低温雰囲気下で反応生成液を凍結させる方法等があり、反応生成液を低温状態にして凍結できればよい。好ましくは、低温雰囲気下(例えば、−50℃から−10℃の範囲内)で反応生成液を凍結させる。
上記実施の形態の水素発生剤によれば、前記反応生成液の乾燥は、真空凍結乾燥であるから、収率が高く、高純度も確保され、また、熱的負荷が少なくて短時間での乾燥を可能とする。したがって、安定した品質を確保できる。
上記実施の形態の水素発生剤は、粉体であるものである。
ここで、上記粉体は、粉状、粒状を問わず、即ち、粉体の大きさは、粒体との間に境界が存在するものではなく、また、形状、粒径、粒度分布を問うものでなく、広く微細な粒子の集合体である固体状物を意味する。
上記実施の形態の水素発生剤は粉体であるから、天然水等の水に溶解しやすくなる。よって、使い勝手が良く、汎用性を向上させることができる。