以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1(A)は、この発明の第1実施形態による音響構造体1の構成を示す正面図であり、図1(B)は、同音響構造体1のA−A´線断面図である。図1(A)および(B)は、音響構造体1を正面から見たときの音響構造体1の左右部分を省略したものである。音響構造体1は、上板11、下板12、中板13、上仕切り板14、下仕切り板15、側板16および側板17から構成されている。
上板11、下板12および中板13は、同じ形状(例えば、長方形)の板である。上板11と下板12との間に中板13が配置されており、上板11、下板12および中板13は、それぞれ平行に配置されている。上板11と中板13との間には、複数の上仕切り板14が設けられている。上仕切り板14は、長方形の板である。上仕切り板14の各々は、所定の間隔をあけて平行に配置されており、上板11および中板13に垂直に配置されている。上板11、中板13および隣り合う上仕切り板14により空洞22を内包する角筒状のパイプ(すなわち音響管)21が複数個形成される。パイプ21の長手方向の両端には、側板16が配置されている。
同様に、下板12と中板13との間には、複数の下仕切り板15が設けられている。下仕切り板15も、長方形の板である。下仕切り板15の各々は、所定の間隔をあけて平行に配置されており、下板12および中板13に垂直に配置されている。下板12、中板13および隣り合う下仕切り板15により空洞24を内包する角筒状のパイプ(すなわち音響管)23が複数個形成される。パイプ23の長手方向の両端には、側板17が配置されている。パイプ21の個数とパイプ23の個数は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
上板11、中板13および隣り合う上仕切り板14により形成されるパイプ21の長手方向に垂直な面で当該パイプ21を切断したときの空洞22の形状は略正方形となっている。同様に、下板11、中板13および隣り合う下仕切り板14により形成されるパイプ23の長手方向に垂直な面で当該パイプ23を切断したときの空洞24の形状も略正方形となっている。空洞22の寸法と空洞24の寸法は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
上板11、下板12、中板13および上仕切り板14の光透過率は大きくなっている。具体的には、これら上板11等は、表面(または裏面)に入射される光の量に対する裏面(または表面)から放射される光の量の割合が大きいものである。より具体的には、これら上板11等は、例えば、アクリル樹脂などの透明な合成樹脂を成形してなるものである。また、これら上板11等は、少なくとも可視光に対するす光透過率が大きいものであることが好ましい。これら上板11等を介して音響空間内の人に音響空間外を視認させて、音響空間内の人に開放感を与えることを可能にするためである。
一方、下仕切り板15の光透過率は小さくなっている。具体的には、下仕切り板15は、表面(または裏面)に入射される光の量に対する裏面(または表面)から放射される光の量の割合が小さいものである。より具体的には、下仕切り板15は、例えば、着色された合成樹脂を成形してなるものである。下仕切り板15の色は、例えば、壁面の色と同様の色(例えば、アイボリーなど)である。なお、下仕切り板15の色は、これに限られない。また、下仕切り板15は、少なくとも可視光に対する光透過率が小さいものであることが好ましい。下仕切り板15によって音響空間外から音響空間内を視認することができないようにするためである。
上板11には、その表裏を貫通する開口部25が複数個設けられている。その開口部25は、1のパイプ21に対して1の開口部25が備えられるように設けられている。開口部25は、パイプ21が内包する空洞22を外部に連通させる。これにより、パイプ21には、開口部25を開口端とし一方の側板16を閉口端とする共鳴管と、開口部25を開口端とし他方の側板16を閉口端とする共鳴管とが形成される。パイプ21の長手方向における開口部25の位置は、各パイプ21で異なっていても良いし同じであっても良い。
同様に、下板12には、その表裏を貫通する開口部26が複数個設けられている。その開口部26は、1のパイプ23に対して1の開口部26が備えられるように設けられている。開口部26は、パイプ23が内包する空洞24を外部に連通させる。これにより、パイプ23には、開口部26を開口端とし一方の側板17を閉口端とする共鳴管と、開口部26を開口端とし他方の側板17を閉口端とする共鳴管とが形成される。パイプ23の長手方向における開口部26の位置は、各パイプ23で異なっていても良いし同じであっても良い。また、開口部25と開口部26とは、中板13に対して対称に設けられている。なお、開口部25の位置と開口部26の位置とは、関係があっても良いし、なくても良い。
上仕切り板14の中板13側の端部には、中板13に連結されている可動部が設けられている(図示略)。この上仕切り板14の可動部は、上仕切り板14の長手方向に平行な回転軸であって、パイプ21の長手方向に平行な回転軸を形成し、上仕切り板14を中板13方向に回転移動させるための部材である。上仕切り板14の可動部は、例えば、ゴムなどの弾性部材で形成されており、伸縮可能である。上仕切り板14の可動部が伸縮していない状態のとき、上仕切り板14は、中板13に対して垂直な状態に保持される。また、上仕切り板14の可動部を伸縮させて上仕切り板14を中板13方向に回転させることにより、上仕切り板14を中板13に対して平行な状態に保持させることができる。図2は、上仕切り板14を中板13に対して平行な状態に保持させたときの図1(A)のA−A´線断面図である。この場合、図2に示すように、上仕切り板14が中板13に隣接するため空洞22は埋まる。また、この場合、上板11は、上仕切り板14の板面で保持される。すなわち、音響構造体1では、上仕切り板14を倒して上仕切り板14および上板11をたたむことが可能である。
同様に、下仕切り板15の中板13側の端部には、中板13に連結されている可動部が設けられている(図示略)。この下仕切り板15の可動部は、下仕切り板15の長手方向に平行な回転軸であって、パイプ23の長手方向に平行な回転軸を形成し、下仕切り板15を中板13方向に回転移動させるための部材である。下仕切り板15の可動部も、上仕切り板14の可動部と同様に、例えば、ゴムなどの弾性部材で形成されており、伸縮可能である。下仕切り板15の可動部が伸縮していいない状態のとき、下仕切り板15は、中板13に対して垂直な状態に保持される。また、下仕切り板15の可動部を伸縮させて下仕切り板15を中板13方向に回転させることにより、下仕切り板15を中板13に対して平行な状態に保持させることができる。図3は、下仕切り板15を中板13に対して平行な状態に保持させたときの図1(A)のA−A´線断面図である。この場合、図3に示すように、下仕切り板15が中板13に隣接するため空洞24は埋まる。また、この場合、下板12は、下仕切り板15の板面で保持される。すなわち、音響構造体1では、下仕切り板15を倒して下仕切り板15および下板12をたたむことが可能である。
なお、上仕切り板14の可動部および下仕切り板15の可動部は、弾性部材で形成されるものに限られない。上仕切り板14の可動部および下仕切り板15の可動部は、少なくとも、パイプ21および23を形成する一方、上仕切り板14および下仕切り板15を中板13に平行になるようにたたむことを可能にするものであれば良い。また、上仕切り板14全体または下仕切り板15全体が弾性部材により形成されないことが好ましい。上仕切り板14全体および下仕切り板15全体が弾性部材により形成されると、パイプ21および23における管壁の曲げ剛性が小さくなる。これにより、共鳴周波数に対応する音を適切にパイプ21および23内に留めることができなくなり、開口部25および26近傍での散乱効果および吸音効果が減少するからである。
以上が、音響構造体1の構成である。
次に、音響構造体1の使用態様を説明する。
ユーザは、音響構造体1を、例えば、透明なガラスのパーティションで仕切られた会議室(すなわち音響空間)の当該パーティションのガラス面に設置する。音響構造体1を設置するとき、ユーザは、パーティションのガラス面および音響構造体1を介して会議室外から会議室内に入射される光の量をどのようにしたいかによって、音響構造体1の設置態様を変える。より詳細に説明する。会議室外から会議室内に入射される光の量を多くしたい場合、ユーザは、上仕切り板14を中板13に対して平行になるように回転させて倒し、上仕切り板14および上板11をたたむ(図2参照)。そして、上板11の表面(外側面)をパーティションのガラス面に固定する。なお、ガラス面への固定は、例えば、接着剤や両面粘着テープなどにより行えば良い。この場合、下仕切り板15は中板13に対して垂直にし、パイプ23を形成させておく。このように音響構造体1を設置すると、会議室外からパーティションのガラス面を介して上板11に入射される光は、上板11、上仕切り板14および中板13をそれぞれ透過する。それらを透過した光は、空洞24を進行し、下板12を透過して会議室内に放射される。すなわち、会議室外からガラス面を介して音響構造体1に入射された光は、音響構造体1によって妨げられることなく会議室内に放射される。
また、上板11をガラス面に固定した場合、下板12の開口部26が会議室内に面する。この場合、会議室内から音響構造体1に向かって放射される音は、開口部26近傍で散乱および吸音される。これにより、会議室内の音響が聴き心地の良い音響に調音される。
一方、会議室外から会議室内に入射される光の量を少なくしたい場合、ユーザは、下仕切り板15を中板13に対して平行になるように回転させて倒し、下仕切り板15および下板12をたたむ(図3参照)。そして、下板12の表面(外側面)をパーティションのガラス面に固定する。この場合、上仕切り板14は中板13に対して垂直にし、パイプ21を形成させておく。このように音響構造体1を設置すると、会議室外からパーティションのガラス面を介して下板12に入射される光は、下板12を透過して下仕切り板15に進行する。光透過率の低い下仕切り板15が下板12および中板13に平行に横たわっているため(すなわち、光が入射される方向に対して垂直な方向に横たわっているため)、下仕切り板15に進行した光の多くは、パーティションのガラス面方向に反射する。このため、このように音響構造体1を設置した場合、会議室外から会議室内に入射される光の量は、下仕切り板15を中板13に対して垂直にした場合に比べ少なくなる。また、音響構造体1(具体的には下仕切り板15)を透過する光の量が少ないため、音響構造体1を介して会議室外から会議室内を視認することも困難となる。
また、下板12をガラス面に固定した場合、上板11の開口部25が会議室内に面する。この場合、会議室内から音響構造体1に向かって放射される音は、開口部25近傍で散乱および吸音される。これにより、会議室内の音響が聴き心地の良い音響に調音される。
このように、本実施形態による音響構造体1では、上仕切り板14および上板11をたたむことにより、複数のパイプ23の並列方向に垂直であり、かつ、複数のパイプ23の長手方向に垂直な方向から到来して複数のパイプ23を透過する光の量を多くすることができる一方、下仕切り板14および下板12をたたむことにより、複数のパイプ21の並列方向に垂直であり、かつ、複数のパイプ21の長手方向に垂直な方向から到来して複数のパイプ21を透過する光の量を少なくすることができる。すなわち、複数の音響管の並列方向に垂直であり、かつ、複数の音響管の長手方向に垂直な方向から到来して複数の音響管を透過する光の量(換言すると音響構造体1の光透過率)は、可変である。より詳細には、音響構造体1では、複数のパイプ21および23の側面(より具体的には、複数の音響管の並列方向に垂直な方向であり、かつ、複数の音響管の長手方向に垂直な方向を法線とする投影面)における光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合は、当該光透過率の大きい部分に対する当該光透過率の小さい部分の回転によって可変となっている。このため、複数の音響管の並列方向が音響空間の壁面に平行になるように本音響構造体を音響空間に設置すると、音響空間外から本音響構造体を介して音響空間内に入射する光の量を変えることができる。また、音響構造体1は、下仕切り板を中板に対して垂直にして光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合を小さくした場合と、下仕切り板を中板に対して平行にして光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合を大きくした場合のいずれにおいても、従来の音響構造体と同様に、音響空間内の音響を聴き心地の良い音響に調音する。すなわち、本実施形態による音響構造体1では、調音効果に影響を与えることなく、音響構造体1を透過する光の量を変更することが可能である。従って、本音響構造体によれば、調音効果に影響を与えることなく、外部の光を音響空間内へ十分に採り込み音響空間内の人に十分な開放感を与えることができる一方、音響空間内の様子を秘匿にしたい場合には、音響空間外から音響空間内を視認することができないようにすることも可能である。
<第2実施形態>
図4(A)は、この発明の第2実施形態による音響構造体1Aを示す正面図である。図4(B)は、図4(A)の正面図における下方向から音響構造体1Aを見た時の音響構造体1Aの構成を示す側面図である。図4(C)は、音響構造体1AのB−B´線断面図である。
音響構造体1Aは、複数(図4では5個)の角筒状のパイプ31Aを並列に並べて結合し、パネル状にしたものである。パイプ31Aの各々は、空洞32Aを内包している。パイプ31Aの長手方向に垂直な面でパイプ31Aを切断したときの切断面における空洞32Aの形状は、略正方形となっている。パイプ31Aの長手方向の一端は側板33Aにより塞がれており、他端は側板34Aにより塞がれている。なお、音響構造体1Aを構成するパイプの個数は5個に限られない。
パイプ31Aの正面側には、開口部35Aがそれぞれ設けられている。開口部35Aは、空洞32Aをパイプ31Aの外側の空間(すなわち音響空間)に連通させている。これにより、パイプ31Aには、開口部35Aを開口端とし側板33Aを閉口端とする共鳴管と、開口部35Aを開口端とし側板34Aを閉口端とする共鳴管とが形成される。パイプ31Aの長手方向における開口部35Aの位置は、各パイプ31Aで異なっていても良いし同じであっても良い。
パイプ31A内には、フリップ41Aがそれぞれ設けられている。フリップ41Aは、長方形の板状部材である。フリップ41Aの長手方向は、パイプ31Aの長手方向に重なっている。フリップ41Aの長手方向の長さは、側板33Aの内側面と側板34Aの内側面との間の距離よりも若干短くなっている。また、フリップ41Aの長手方向に垂直な切断面は、略長方形となっている。当該切断面におけるフリップ41Aの長辺の寸法は、パイプ31Aにおける対向する内側面間の距離よりも若干短くなっている。
フリップ41Aの長手方向の一端には円柱形状の軸部43Aが設けられており、他端には円柱形状の軸部44Aが設けられている。軸部43Aおよび44Aは、フリップ41Aの長手方向に垂直な面の一方の短辺近傍の位置に設けられている。
側板33Aの内側面には、軸部43Aを収容する溝が設けられている(図示略)。側板33Aの溝は、パイプ31Aに囲まれた領域内における開口部35Aが設けられている面に対向する面側の一方の角近傍の位置に設けられている。図4の例では、開口部35Aが設けられている面を上にして側板33Aの内側面を見たとき、側板33Aの溝は、パイプ31Aに囲まれた領域内の右下の角近傍の位置に設けられている。
側板34Aには、軸部44Aを挿通する貫通孔が設けられている(図示略)。側板34Aの貫通孔は、側板33Aの溝と同様の位置に設けられている。図4の例では、開口部35Aが設けられている面を上にして側板34Aの外側面を見たとき、側板34Aの貫通孔は、パイプ31Aに囲まれた領域の右下の角近傍の位置に設けられている。側板33Aの溝に軸部43Aが収容されるとともに側板34Aの貫通孔に軸部44Aが挿通されるため、フリップ41Aは、軸部43Aおよび軸部44Aを回転軸としてパイプ31A内において回動自在に保持される。なお、以後、フリップ41Aがパイプ31Aの並列方向に平行な状態で保持されたときのフリップ41Aにおける開口部35A側の面をフリップ41Aの表面と呼び、当該表面の反対側の面をフリップ41Aの裏面と呼ぶ。
貫通孔を介して外側空間に突出した軸部44Aの先端には、棒状のレバー45Aが固定されている。軸部44Aの先端は、レバー45Aの長手方向の一方の端近傍の側面の位置に固定されている。レバー45Aは、その長手方向が、フリップ41Aの長手方向に垂直な切断面における長辺方向に平行となるような姿勢で固定される。このため、レバー45Aは、軸部44Aを回転軸として、回動自在である。そして、レバー45Aの回転に伴って、フリップ41Aも回転する。
パイプ31Aの光透過率は、大きくなっている。具体的には、パイプ31Aは、第1実施形態における上板11等と同様に、例えば、アクリル樹脂などの透明な合成樹脂を成形してなるものである。一方、フリップ41Aの光透過率は、小さくなっている。具体的には、フリップ41Aは、第1実施形態における下仕切り板15と同様に、例えば、着色した合成樹脂を成形してなるものである。
本実施形態による音響構造体1Aは、第1実施形態と同様に、透明なガラスのパーティションで仕切られた会議室における当該パーティションのガラス面などに設置される。このとき、ユーザは、開口部35Aを会議室内(音響空間内)に向けた状態にして音響構造体1Aの背面部分(開口部31Aが設けられている正面部分に対向する部分)をガラス面に固定する。まず、フリップ41Aが、パイプ31Aの並列方向に平行な状態で保持された場合(図4参照)を説明する。会議室外からパーティションのガラス面を介して音響構造体1Aの背面部分に光が入射すると、その入射した光は、音響構造体1Aの背面部分を透過する。パイプ31Aの並列方向にフリップ41Aが横たわっているため、音響構造体1Aの背面部分を透過した光は、フリップ41Aの裏面に進行する。フリップ41Aの光透過率は低いため、フリップ41Aの裏面に進行した光の多くは、パーティションのガラス面方向に反射する。従って、この場合、フリップ41Aを透過し、音響構造体1Aの正面部分を透過して会議室内に放射される光の量は、音響構造体1Aに入射される光の量に対して少なくなる。また、この場合、音響構造体1A(具体的にはフリップ41A)を透過する光の量が少ないため、音響構造体1Aを介して会議室外から会議室内を視認することも困難となる。
フリップ41Aがパイプ31Aの並列方向に平行になっている状態において、ユーザが、レバー45Aを側板34Aの外側面を見たときの時計回り方向に約90度回転させると、フリップ41Aは、パイプ31Aの並列方向に垂直であり、かつ、パイプ31Aの長手方向に垂直な状態で保持される。図5(A)は、このときの音響構造体1Aの構成を示す正面図である。図5(B)は、図5(A)の正面図における下方向から音響構造体1Aを見た時の音響構造体1Aの構成を示す側面図である。図5(C)は、音響構造体1AのC−C´線断面図である。この場合、パイプ31Aの並列方向にフリップ41Aが横たわっていないため、音響構造体1Aの背面部分を透過した光の多くは、フリップ41Aに当たらない。そして、音響構造体1Aの背面部分を透過した光の多くは、空洞32Aおよび音響構造体1Aの正面部分を透過して会議室内に放射される。すなわち、この場合、会議室外からガラス面を介して音響構造体1Aに入射された光は、音響構造体1Aによって妨げられることなく会議室内に放射される。
また、フリップ41Aがパイプ31Aの並列方向に垂直であり、かつ、パイプ31Aの長手方向に垂直になっている状態において、ユーザは、レバー45Aを側板34Aの外側面を見た時の反時計回り方向に約90度回転させることにより、フリップ41Aをパイプ31Aの並列方向に平行な状態に戻すことができる。また、ユーザは、レバー45Aの回転角度を調整することで、パイプ31Aの並列方向に平行な状態と、パイプ31Aの並列方向に垂直であり、かつ、パイプ31Aの長手方向に垂直な状態との間の状態で、フリップ41Aを保持させることができる。
このように、本実施形態による音響構造体1Aは、パイプ31Aの光透過率よりも光透過率の低い板状のフリップ41Aを有している。そして、複数のパイプ31Aの側面(より具体的には、パイプ31Aの並列方向に垂直な方向であり、かつ、パイプ31Aの長手方向に垂直な方向を法線とする投影面)における光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合は、パイプ31Aに対するフリップ41Aの回転によって可変となっている。また、音響構造体1Aは、フリップ41Aをパイプ31Aの並列方向に平行な状態で保持して光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合を大きくした場合と、フリップ41Aをパイプ31Aの並列方向に垂直な状態で保持して光透過率の大きい部分の射影に対する光透過率の小さい部分の射影の割合を小さくした場合のいずれにおいても、音響空間から音響構造体1Aに向かって放射される音を音響構造体1Aの開口部35A近傍で散乱および吸音して音響空間内の音響を聴き心地の良い音響に調音する。このため、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態による音響構造体1Aでは、音響構造体1Aを透過する光の量を調整する際に、音響構造体1Aをガラス面に固定し直す必要はない。
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態による音響構造体1Bは、第2実施形態による音響構造体1Aを変形したものである。図6(A)は、本実施形態による音響構造体1Bを示す正面図である。図6(B)は、図6(A)の正面図における下方向から音響構造体1Bを見た時の音響構造体1Bの構成を示す側面図である。図6(C)は、音響構造体1BのD−D´線断面図である。本実施形態による音響構造体1Bは、側板33Aに代えて側板33Bを設け、側板34Aに代えて側板34Bを設け、フリップ41Aに代えてフリップ41Bを設けた点において第2実施形態による音響構造体1Aと異なる。
側板33Bは、軸部43Aを収容する溝の位置が第2実施形態による側板33Aと異なる(図示略)。側板33Bの溝は、パイプ31Aに囲まれた領域内における開口部35Aが設けられている面側の一方の角近傍の位置に設けられている。図6の例では、開口部35Aが設けられている面を上にして側板33Bの内側面を見たとき、側板33Bの溝は、パイプ31Aに囲まれた領域内の右上の角近傍の位置に設けられている。
側板34Bは、軸部44Aを挿通する貫通孔の位置が第2実施形態による側板34Aと異なる。側板34Bの貫通孔は、側板33Bの溝と同様の位置に設けられている。図6の例では、開口部35Aが設けられている面を上にして側板34Bの外側面を見たとき、側板34Bの貫通孔は、パイプ31Aに囲まれた領域の右上の角近傍の位置に設けられている。
フリップ41Bは、その表裏を貫通する開口部37Bが設けられている点において第2実施形態によるフリップ41Aと異なる。フリップ41Bの開口部37Bは、パイプ31Aの開口部35Aと同様な位置に設けられており、同様な開口形状および開口寸法を有している。より詳細に説明すると、フリップ41Bが開口部35Aに対して平行な姿勢になったときに、正面から開口部35Aおよび開口部37Bを見ると、開口部35Aと開口部37Bとが重複して見える。また、フリップ41Bの開口部37Bは、光透過率の小さな部材であり、かつ、音を容易に通過させる部材で覆われている。具体的には、開口部37Bは、着色した布(例えば、フリップ41Bと同様の色の布)で覆われている。なお、開口部37Bは着色した布などによって覆われていなくても良い。
ユーザは、音響構造体1Bを、第2実施形態と同様に設置する。レバー45Aがパイプ31Aの並列方向に平行になるようにユーザがレバー45Aを操作すると、フリップ41Bは、パイプ31A内における正面部分側においてパイプ31Aの並列方向に平行に保持される。この場合、音響構造体1Bの背面部分を透過した光は、空洞32Aを進行してフリップ41Bの裏面に進行する。フリップ41Bの光透過率は低いため、フリップ41Bの裏面に進行した光の多くは、パーティションのガラス面方向に反射する。従って、この場合、音響構造体1Bを介して会議室内に放射される光の量は少なくなる。また、この場合、開口部35Aと開口部37Bとが重複しているため、音響空間から音響構造体1Bに向かって放射される音は、開口部35Aと開口部37Bとにより散乱および吸音される。
フリップ41Bがパイプ31Aの並列方向に平行になっている状態において、ユーザが、レバー45Aを側板34Bの外側面を見たときの反時計回り方向に約90度回転させると、フリップ41Bは、パイプ31Aの並列方向に垂直であり、かつ、パイプ31Aの長手方向に垂直な状態で保持される。図7(A)は、このときの音響構造体1Bを示す正面図である。図7(B)は、図7(A)の正面図における下方向から音響構造体1Bを見た時の音響構造体1Bの構成を示す側面図である。図7(C)は、音響構造体1BのE−E´線断面図である。このように保持された場合については、第2実施形態と同様である。
本実施形態による音響構造体1Bは、パイプ31Aの並列方向に平行にフリップ41Bを保持したときにフリップ41Bがパイプ31A内における正面部分側に位置するように構成した点を除いて、第2実施形態による音響構造体1Aと同様であるから、本実施形態においても第2実施形態と同様の効果が得られる。
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態による音響構造体1Cは、本体1C1と遮光板1C2とから構成される。図8(A)は、本実施形態による本体1C1の構成を示す正面図である。図8(B)は、図8(A)の正面図における下方向から本体1C1を見た時の本体1C1の構成を示す側面図である。図8(C)は、図8(A)の正面図における上方向から本体1C1を見た時の本体1C1の構成を示す側面図である。図8(D)は、本体1C1のF−F´線断面図である。図8(E)は、音響構造体1Cの遮光板1C2の構成を示す正面図である。図8(F)は、音響構造体1Cの遮光板1C2の構成を示す側面図である。音響構造体1Cは、遮光板1C2により音響構造体1Cを透過する光の量を調整するものである。
本体1C1は、フリップ41A、軸部43A、軸部44Aおよびレバー45Aを削除し、パイプ31Aに代えてパイプ31Cを設け、側板33Aに代えて側板33Cを設け、側板34Aに代えて側板34Cを設けた点において第2実施形態による音響構造体1Aと異なる。パイプ31Cは、スリット51Cを設けた点において第2実施形態によるパイプ31Aと異なる。側板33Cは、軸部43Aを収容する溝を削除した点において側板33Aと異なる。側板34Cは、軸部44Aを挿通する貫通孔を削除し、さらにスリット51Cの開口部52Cを設けた点において側板34Aと異なる。
スリット51Cは、パイプ31Cにおける背面部分(開口部35Aが設けられている正面部分に対向する部分)に設けられている。スリット51Cは、パイプ31Cの長手方向に垂直な方向の切断面が長方形の空洞である。スリット51Cは、パイプ31Cの並列方向の一端のパイプ31C近傍から他端のパイプ31C近傍に亙って設けられている。また、スリット51Cは、パイプ31Cの長手方向の一端近傍から他端近傍に亙って設けられている。スリット51Cは、側板34Cの開口部52Cを介して本体1C1の外部の空間と連通している。すなわち、スリットは、パイプ31Cの並列方向に延在し一部が外部に連通する隙間である。
遮光板1C2は、長方形の板状部材である。遮光板1C2の寸法は、本体1C1のスリット51Cの寸法よりも若干小さくなっている。遮光板1C2は、ユーザによってスリット51C内に収容される。すなわち、スリット51Cは、遮光板1C2を本体1C1に保持するために設けられている。そして、遮光板1C2は、本体1C1に対して着脱可能である。また、音響構造体1Cでは、光透過率の異なる複数種の遮光板1C2が用意されている。例えば、半透明な遮光板1C2と着色された遮光板1C2とが用意される、という具合である。
本体1C1の光透過率は、大きくなっている。具体的には、本体1C1は、第2実施形態におけるパイプ31Aと同様に、例えば、アクリル樹脂などの透明な合成樹脂を成形してなるものである。一方、遮光板1C2の光透過率は、小さくなっている。具体的には、遮光板1C2は、第2実施形態におけるフリップ41Aと同様に、例えば、着色した合成樹脂を成形してなるものである。
ユーザは、音響構造体1Cの本体1C1を、第2実施形態の音響構造体1Aと同様に、例えば、透明なガラスのパーティションで仕切られた会議室のガラス面に、開口部35Aを会議室内に向けた状態で設置する。このとき、開口部52Cがある側板33Cが上方となるように設置する。ユーザは、複数種の遮光板1C2の中からユーザが選択した1の遮光板1C2を開口部52Cからスリット51C内に挿入する。遮光板1C2がスリット51C内に挿入された状態において、会議室外からガラス面を介して本体1C1の背面部分に光が入射すると、その入射した光は、本体1C1の背面部分を透過して遮光板1C2の裏面に進行する。遮光板1C2の光透過率は低いため、遮光板1C2の裏面に進行した光の多くは、パーティションのガラス面方向に反射する。従って、この場合、遮光板1C2を透過し、本体1C1の空洞32Aおよび正面部分を透過して会議室内に放射される光の量は少なくなる。
一方、会議室内に放射される光の量を多くしたい場合、ユーザは、スリット51C内から遮光板1C2を取り出す。遮光板1C2をスリット51Cから取り出した状態において、会議室外からガラス面を介して本体1C1の背面部分に光が入射すると、その入射した光は、本体部1C1およびスリット51Cを透過する。スリット51Cを透過した光は、さらに空洞32Aおよび正面部分を透過して会議室内に放射される。従って、この場合、音響構造体1C(より正確には本体1C1)によってほとんど遮光されることなく会議室外の光が会議室内に採り込まれる。
このように、本実施形態による音響構造体1Cは、複数のパイプ31Cの側面(より具体的には、パイプ31Cの並列方向に垂直な方向であり、かつ、パイプ31Cの長手方向に垂直な方向を法線とする投影面)における光透過率が大きい部分の射影に対する光透過率が小さい部分の射影の割合を変化させるように遮光板1C2を本体1C1に着脱自在に保持するスリットを本体1C1に設けたものである。また、音響構造体1Cは、遮光板1C2をスリット51Cに収容して光透過率が大きい部分の射影に対する光透過率が小さい部分の射影の割合を大きくした場合と、遮光板1C2をスリットから取り出して光透過率が大きい部分の射影に対する光透過率が小さい部分の射影の割合を小さくした場合のいずれにおいても、音響空間から音響構造体1Cに向かって放射される音を音響構造体1Cの開口部35A近傍で散乱および吸音して音響空間内の音響を聴き心地の良い音響に調音する。音響構造体1Cは、遮光板1C2を本体1C1対して着脱可能にすることにより音響構造体1Cを透過する光の量を調整するようにした点を除いて第2実施形態による音響構造体1Aと同様であるから、本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。また、ユーザは、複数種の遮光板1C2の中から所望の光透過率を有する遮光板1C2を選択することにより、会議室外の光の採光量をより詳細に調整することができる。
なお、遮光板1C2または本体1C1に、本体1C1に対して遮光板1C2を着脱しやすくするための機構を設けても良い。例えば、遮光板1C2に側板33Cの開口部52Cから外部に突出する持ち手部分を設ける、という具合である。また、遮光板1C2は複数種類用意されていなくても良い。少なくとも1つの遮光板1C2が用意されていれば、音響構造体1Cの光透過率を変えることができるからである。
<第5実施形態>
この発明の第5実施形態による音響構造体1Dは、第4実施形態による音響構造体1Cを変形したものである。本実施形態による音響構造体1Dは、本体1C1に代えて本体1D1を設け、遮光板1C2に代えて遮光板1D2を設けた点において第4実施形態による音響構造体1Cと異なる。図9(A)は、本実施形態による本体部1D1の構成を示す正面図である。図9(B)は、図9(A)の正面図における下方向から本体1D1を見た時の本体1D1の構成を示す側面図である。図9(C)は、図9(A)の正面図における上方向から本体1D1を見た時の本体1D1の構成を示す側面図である。図9(D)は、本体1D1のG−G´線断面図である。図9(E)は、遮光板1D2の構成を示す正面図である。図9(F)は、遮光板1D2の構成を示す側面図である。
本体1D1は、パイプ31Cに代えてパイプ31Dを設け、側板33Cに代えて側板33Dを設けた点において本体1C1と異なる。パイプ31Dは、スリット51Cに代えてスリット51Dを設け、開口部35Aに代えて開口部35Dを設けた点においてパイプ31Cと異なる。スリット51Dは、パイプ31Dの正面部分に設けられている点においてスリット51Cと異なる。開口部35Dは、スリット51Dを貫通して空洞32Aを外部の空間に連通させている点において開口部35Aと異なる。側板33Dは、開口部52Cに代えて開口部52Dを設けた点において側板33Cと異なる。開口部52Dは、パイプ31Dの正面側に設けられている点において開口部52Cと異なる。また、スリット51Dは、側板33Dの開口部52Dを介して本体1D1の外部の空間と連通している。
遮光板1D2は、その表裏を貫通する開口部53Dが複数個設けられている点において遮光板1C2と異なる。遮光板1D2の開口部53Dは、パイプ31Dの開口部35Dと同様な位置に設けられており、同様な開口形状および開口寸法を有している。より詳細に説明すると、遮光板1D2をスリット51Dに収容した状態において、正面から開口部35Dおよび開口部53Dを見ると、開口部35Dと開口部53Dとが重複して見える。また、開口部53Dは、第3実施形態の開口部37Bと同様に、布などで覆われていても良いし覆われていなくても良い。
音響空間内に透過させる光の量を少なくしたい場合、第4実施形態による音響構造体1Cと同様に、ユーザは、複数種の遮光板1D2の中からユーザが選択した1の遮光板1D2を開口部52Dからスリット51D内に挿入する。このとき、遮光板1D2の開口部53Dが開口部35Dと重複するような姿勢で遮光板1D2をスリット220D内に挿入する。一方、音響空間内に透過させる光の量を多くしたい場合、第4実施形態による音響構造体1Cと同様に、ユーザは、遮光板1D2をスリット51D内から取り出す。
音響構造体1Dは、本体1D1に対して遮光板1D2を着脱させる位置が異なる点を除いて、第4実施形態による音響構造体1Cと同様であるから、本実施形態においても、第4実施形態と同様の効果が得られる。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1から第5実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、光透過率が他の部分と異なる下仕切り板15やフリップ41Aおよび41Bを動かしたり、光透過率が本体1C1および1D1と異なる遮光板1C2および1D2を本体1C1および1D1に取り付けたりすることで、音響構造体1〜1Dのパイプ21、23および31A〜31Dの並列方向に垂直な方向であり、かつ、パイプ21、23および31A〜31Dの長手方向に垂直な方向から到来してパイプ21、23および31A〜31Dを透過する光の量を変化させていた。しかし、パイプの並列方向に垂直な方向であり、かつ、パイプの長手方向に垂直な方向から到来してパイプを透過する光の量を変化させる方法(換言すると、音響構造体の光透過率を変化させる方法)はこれらに限られない。例えば、音響構造体の背面部分に液晶パネルを設けても良い。この態様では、その液晶パネルに電圧などを与えて液晶配向を変化させることにより、液晶を透過する光の量を変化させる。また、例えば、音響構造体の背面部分にバブルを発生させる装置を設けても良い。バブルに入射される光の多くは散乱される。このため、この態様では、バブルを発生させる量によりバブル発生装置を透過する光の量を変化させる。
(2)上記第1実施形態では、パイプ21および23における長手方向に垂直な面でパイプ21および23を切断したときの空洞22および24の断面形状が略正方形であった。しかし、空洞の断面形状は、略正方形でなくても良い。例えば、長方形であっても良いし、平行四辺形であっても良い。上仕切り板14および下仕切り板15をたたむことにより音響構造体の光透過率を変えることができることに変わりはなく、音響構造体の調音効果に変わりはないからである。
(3)上記第2および第3実施形態による音響構造体1Aおよび1Bでは、ユーザによるレバー45Aの操作に応じてフリップ41Aおよび41Bを回動させていた。しかし、フリップ41Aおよび41Bを回動させる態様は、これに限られない。例えば、フリップにステッピングモータなどの電動機の回転子を連結し、電動機に電力を与えて電動機の回転子を回転させることによりフリップを回動させるようにしても良い。この場合、例えば、ステッピングモータに与えるパルス状の電力のパルス数を制御することにより、フリップの回転角度(姿勢)を制御すれば良い。
(4)上記第2および第3実施形態による音響構造体1Aおよび1Bでは、1のフリップ41Aおよび1Bに対して1のレバー45Aが設けられており、フリップ41Aおよび41Bをフリップ41Aおよび41B毎に独立して回動させることが可能であった。しかし、音響構造体は、フリップをフリップ毎に独立して回動させることが可能なもの限られず、複数のフリップを連動させて回動させることが可能なものであっても良い。この場合、連動させるフリップの組が複数あっても良いし、すべてのフリップを連動させるようにしても良い。また、独立して回動させることが可能なフリップと複数のフリップを連動して回動させることが可能なフリップとを混在させても良い。
(5)上記第4および第5実施形態による音響構造体1Cおよび1Dでは、遮光板1C2および1D2を本体1C1および1D1に保持するスリット51Cおよび51Dを有していた。しかし、遮光板を本体に保持する手段はスリットに限られない。例えば、本体の正面部分の外壁に遮光板を引っ掛けて保持するフックを設けても良い。この場合、第5実施形態の遮光板1D2と同様に遮光板に開口部を設けることで、調音機能を損なうことなく音響構造体を透過する光の量を調整することができる。また、遮光板を保持する手段を遮光板に設けても良い。例えば、遮光板にフックを設けて、そのフックを本体の上側の側板に引っ掛けるという具合である。また、本体に保持されて音響構造体を透過する光の量を調整するための部材は、板状の遮光板に限られない。例えば、音響構造体を透過する光の量を調整するための部材として布などを用いても良い。この態様では、当該布にフックを設けて、本体の正面部分の外壁にそのフックを引っ掛ける溝などを設ければ良い。
(6)上記第1実施形態の複数の下仕切り板15の各々は、同一の光透過率を有していた。しかし、複数の下仕切り板15の各々は、光透過率が異なっていても良い。同様に、第2および第3実施形態における複数のフリップ41Aおよび41Bの各々は、光透過率が同一であっても良いし異なっていても良い。また、第4および第5実施形態における遮光板1C2および1D2は、その全体が同一の光透過率であっても良いし、その一部が他の部分と異なる光透過率であっても良い。
(7)上記第4および第5実施形態では、光透過率の異なる複数種の遮光板1C2および1D2を用意していた。しかし、デザイン(例えば、模様や色など)の異なる複数種の板を用意し、その複数種の板の中からユーザが選択した1の板をスリットに挿入するようにしても良い。この態様では、音響構造体をインテリアの1つとすることができる。
(8)上記第1実施形態では、会議室外から会議室内に入射される光の量を多くする場合、上仕切り板14および上板11をたたんでいた。しかし、この場合、上仕切り板14および上板11は、必ずしもたたむ必要はない。上仕切り板14および上板11をたたまなくても音響構造体1を透過する光の量は、上仕切り板14および上板11をたたんだ場合と変わらないからである。
(9)上記各実施形態の音響構造体1〜1Dは、片側開管のパイプを向かい合わせたものであった。しかし、音響構造体を透過する光の量を調整する手段を有する音響構造体は、片側開管のパイプを向い合せたものに限られない。例えば、片側開管のパイプを並べたものに本発明の技術的特徴を付加しても良い。また、例えば、ヘルムホルツ共鳴器に本発明の技術的特徴を付加しても良い。
(10)上記各実施形態による音響構造体1〜1Dは、パイプの長手方向が縦方向となるように音響空間内に設置されても良いし、パイプの長手方向が横方向となるように音響空間内に設置されても良い。