JP6260071B1 - 乾燥装置及び乾燥システム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、ケーシング下流側端部の下部又は側部に排出口が形成されている乾燥装置が記載されている。当該乾燥装置では、汚泥は、排出口に設けられた堰板、スライドゲート等を介して連続的に機外へ排出される。
以下、本発明の第一実施形態の乾燥装置1、及びこの乾燥装置1を備えている乾燥システム50について図面に基づき説明する。
本実施形態の乾燥装置1は、下水汚泥、工場排水汚泥、食品廃棄物・厨芥、し尿汚泥、家畜糞尿、植物搾汁粕など各種バイオマスや廃棄物、などの高粘性の含水物(以下、汚泥と呼ぶ。)を攪拌および搬送しながら加熱乾燥(含水率を低減)して粉粒体にして排出する装置である。汚泥は、例えば100(Pa・s)以上の粘度を有し、かつ、30(%)以上の灰分含有率を有している。
なお汚泥の測定方法としては、例えば灰分含有率であれば、投入汚泥固形物中の無機分含有率として、JIS M8812に準拠して求めることができ、さらに、粘度の測定方法はJIS K7199:1999(ISO 11443:1995、キャピラリーレオメータ使用)に準拠して求めることができる。
乾燥システム50は、乾燥装置1の底面排出口8から排出された汚泥P1を汚泥供給装置53を介して投入口7に投入するリターンライン55と、リターンライン55上に設けられ、リターンライン55によって搬送される汚泥P1の含水率を測定する含水率計56または流量計73と、含水率計56によって測定される汚泥P1の含水率または流量計73によって測定される汚泥P1の流量に基づいて汚泥供給装置53を制御する制御装置60と、を有している。
ガス吸引装置54により吸引されたガスは、スクラバー58により洗浄された後、脱臭装置65により脱臭されて、排出される。
また、乾燥装置1は、底面排出口8に対応する位置からケーシング3内に空気を吸引する空気吸引装置74(図7参照)を有している。
4本の回転軸5のうち、前部F側から見て乾燥装置1の幅方向Wの右側、即ち、第一回転軸組21の右側の2本の回転軸5c,5dは、駆動部72により前部F側から見て共に左回り(反時計回り)に回転している。換言すれば、2本の回転軸5c,5dは、その上部がケーシング3の幅方向Wの中央側に向かって移動する方向に回転している。
ケーシング3は、前部Fを後部Bよりも上方に傾けて配置されている。すなわちケーシング3は、回転軸5とともに所定の傾斜角度で傾斜している。
底面排出口8は、第一回転軸組21のうち第二回転軸組22に最も近い回転軸5bと、第二回転軸組22のうち第一回転軸組21に最も近い回転軸5cの軸間に配置されている。底面排出口8の周囲には、汚泥Pの流入を制限する堰が形成されていない。さらに、複数の円筒面24から形成されている底面3aには、各円筒面24上の汚泥Pの流れを阻害する突起が形成されていない。
幅方向Wに沿う2辺8bのうち、搬送方向Tの下流側の辺は、ケーシング3の壁面3bの際に配置されている。換言すれば、幅方向Wに沿う2辺8bのうち、搬送方向Tの下流側の辺は、ケーシング3の壁面3bに可能な限り近い位置に配置されている。
側面排出口9の下辺9aは、円筒面24の下端よりも十分に高い位置に配置されている。なお、排出ゲート26に変えて高さ調節可能な堰板を配置してもよい。
図2、図3、図4、及び図5に示すように、ディスク6は、各々の回転軸5の軸線A方向の同位置に、軸線Aの周方向に所定の隙間をあけて2つずつ設けられている。ディスク6は、軸線A方向の同位置に配された2つのディスク6を一つの段とし、前部から後部まで、軸線A方向に所定の間隔をあけ、複数段設けられている。このとき、各段における2つのディスク6に形成された所定の隙間は、汚泥Pをケーシング3の前部から後部に流通させるための流路開口Cとされている。回転軸5とディスク6とは、中空状に形成され、内部に蒸気を流通させ、接触する汚泥Pを加熱可能とされている。なお、加熱媒体は蒸気に限ることはなく、熱媒油、温水などでもよい。
一方の回転軸5aに設けられたディスク6aと、他方の回転軸5bに設けられたディスク6bとは、回転軸5がそれぞれ回転しているときに軸線A方向から見て径方向で重なるように配されている。即ち、一方の回転軸5aに設けられたディスク6aは、他方の回転軸5bに設けられた各段のディスク6b間を通過可能とされ、他方の回転軸5bに設けられたディスク6bも、一方の回転軸5aに設けられた各段のディスク6a間を通過可能とされている。
第一回転軸組21の回転軸5aに設けられたディスク6aと、回転軸5bに設けられたディスク6bとは、回転軸5がそれぞれ回転しているときに軸線A方向から見て径方向で重なるように配されている。
同様に、第二回転軸組22の回転軸5cに設けられたディスク6cと、回転軸5dに設けられたディスク6dとは、回転軸5がそれぞれ回転しているときに軸線A方向から見て径方向で重なるように配されている。
つまり、第一回転軸組21の一対の回転軸5a,5bのうち、第二回転軸組22と隣り合う回転軸5bに設けられたディスク6bと、第二回転軸組22の一対の回転軸5c,5dのうち第一回転軸組21と隣り合う回転軸5cに設けられたディスク6cとは、軸線A方向から見てディスク6の回転軌跡が重なっていない。換言すれば、ディスク6bは、回転軸5cに設けられた各段のディスク6c間を通過せず、ディスク6cも、回転軸5bに設けられた各段のディスク6b間を通過しない。
図7に示すように、空気吸引装置74は、底面排出口8に連続する内部シュート28と、内部シュート28の外側に配置され、複数の通気孔30が形成されている外部シュート29と、を有している。外部シュート29の下方には、フレキシブルシュート77を介してリターンライン55であるコンベヤが配置されている。空気吸引装置74によって吸引される空気の流れを符号FLで示す。
底面排出口8から排出される汚泥Pは、内部シュート28内を滑りながら、リターンライン55に導入される。
含水率が約70%以上の状態では、ケーシング3内に充填されている汚泥Pの性状は液体状(流動体)である。例えば、液体状の汚泥Pは、図4のR1で示す範囲にある。図9(a)に示すように、含水率が約70%以上の汚泥Pの水面は、略水平である。
本実施形態の乾燥装置1の回転軸5は上部が幅方向Wの中央側に向かって移動する方向に回転し、ディスク6の回転により汚泥Pが撹拌され、ディスク6の両側面のパドル部11が汚泥Pを掻き揚げる度に、幅方向Wの両端側の水面が一時的にその水面が盛り上がる状態を繰り返す。
この際、汚泥Pは、回転軸5bとケーシング3との間に溜まっている汚泥Pと一体にされる。パドル部11bは、さらに回転軸5bとケーシング3との間に溜まっている汚泥Pの中を通過して、汚泥Pを回転軸5a側へと移動させる。
つまり、汚泥Pは、回転軸5a周りと回転軸5b周りとを交互に周回し、その軸線A方向から見た搬送軌跡が、図9(b)及び図9(c)中の矢印で示すような「8の字状」となる。「8の字状」に撹拌された汚泥Pは、図9(c)に示すように、底面3aの幅方向Wの中央部に集約される。
図1に示すように、本実施形態の乾燥システム50の制御装置60は、含水率計56によって測定される汚泥P1の含水率に基づいて汚泥供給装置53を制御する。具体的には、制御装置60は、汚泥Pの含水率が例えば、60%〜70%であった場合、汚泥Pの投入量が少なくなるように、汚泥供給装置53を制御する。また、汚泥Pの含水率が40%〜50%であった場合、汚泥Pの投入量が多くなるように、汚泥供給装置53を制御する。
このように汚泥供給装置53を制御することによって、より効率的に汚泥Pを乾燥することができる。
特に、100(Pa・s)以上の粘度を有し、かつ、30(%)以上の灰分含有率を有している汚泥の場合は、汚泥が乾燥不十分である場合には底面排出口のみから排出され、これを入り口に戻す。底面排出口のみから排出されるときは側面排出口からは排出されないという格別な作用効果を有する。
また、空気を底面排出口8を介して吸引することによって、ケーシング3に空気吸引用の孔を別途形成することなく、空気を吸引することができる。また、通気孔30が形成されている外部シュート29の内側に内部シュート28を設けることによって、外部シュート29の通気孔30から汚泥を流出することを抑制することができる。
以下、本発明の第二実施形態の乾燥システムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態の乾燥システム50Bは、第一実施形態の乾燥装置1と、乾燥装置1と同種または異種の第二乾燥装置67と、を備えている。
本実施形態の乾燥システム50Bでは、乾燥装置1の底面排出口8から排出される乾燥不十分の汚泥P1は、再度乾燥装置1に戻されることなく、他の乾燥装置である第二乾燥装置67で乾燥される。
このような構成によれば、一台の乾燥装置1では、処理が追いつかない場合に、第二乾燥装置67を用いることができる。
以下、本発明の第三実施形態の乾燥システムについて説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。
本実施形態の乾燥システム50の制御装置60は、汚泥Pの含水率に基づいて、駆動部72を制御し、第一回転軸組21及び第二回転軸組22の回転数を制御する。
具体的には、制御装置60は、汚泥Pの含水率が例えば、60%〜70%であった場合、回転軸組21,22の回転数を下げるように、回転軸組21,22を制御する。また、汚泥Pの含水率が40%〜50%であった場合、回転軸組21,22の回転数を上げるように回転軸組を制御する。
このように回転軸組21,22の回転数を制御することによって、乾燥中の汚泥性状を計測して素早く運転を調整できる可能性が上がるため、より効率的に汚泥Pを乾燥することができる。
本実施形態の乾燥システム50では、リターンライン55で搬送される汚泥P1の含水率に基づいて回転軸組21,22の回転数を制御する構成としたがこれに限ることはない。例えば、リターンライン55に汚泥P1の流量を計測する流量計73を設けて、汚泥P1の流量に基づいて回転軸組21,22の回転数を制御してもよい。
なお、上記実施形態の乾燥装置1においては、回転軸組21,22が2本の回転軸5を備える場合を一例にして説明したが、回転軸5の本数は2本に限られず、3本以上であっても良い。
3 ケーシング
3a 底面
3b 壁面
4 ジャケット
5 回転軸
6 ディスク
7 投入口
8 底面排出口
9 側面排出口
10 対向部
11 パドル部
13 第一パドル部
15 第二パドル部
21 第一回転軸組
22 第二回転軸組
24 円筒面
25 稜線
26 排出ゲート
28 内部シュート
29 外部シュート
30 通気孔
31 扉
50 乾燥システム
51 蒸気供給装置
52 蒸気ドレン排出ライン
53 汚泥供給装置
54 ガス吸引装置
55 リターンライン
56 含水率計
57 第一排出ライン
58 スクラバー
59 第二排出ライン
60 制御装置
61 処理水供給装置
62 排水ライン
65 脱臭装置
67 第二乾燥装置
70 第二汚泥供給装置
71 搬送ライン
72 駆動部
73 流量計
74 空気吸引装置
75 排ガス口
77 フレキシブルシュート
A 軸線
P,P1 汚泥
P2 粉粒体
T 搬送方向
W 幅方向
Claims (7)
- 高粘性の含水物を粉粒体にして排出する乾燥装置であって、
前部に形成されて前記含水物が投入される投入口と、後部の両側面に形成された一対の側面排出口と、を有するケーシングと、
軸線を前記ケーシングの前記前部から前記後部へ配し、前記前部側から見て右回りに回転する複数の回転軸を備えた第一回転軸組と、
前記前部側から見て前記第一回転軸組の右側に配置され且つ左回りに回転する複数の回転軸を備えた第二回転軸組と、
前記回転軸に間隔を開けて配置され、前記含水物に対して間接加熱を行う複数のディスクと、
前記ケーシングの後部の底面、且つ、前記第一回転軸組のうち前記第二回転軸組に最も近い回転軸と前記第二回転軸組のうち前記第一回転軸組に最も近い回転軸の軸間に形成され、前記含水物の流入を制限する堰が周囲に形成されていない底面排出口と、を備え、
前記軸間で回転する前記ディスクは、回転軌跡が重ならないよう配置され、
前記含水物が前記粉粒体まで乾燥された場合は前記一対の側面排出口から前記粉粒体が排出され、
前記含水物が前記粉粒体まで乾燥されない場合は前記底面排出口から前記粉粒体まで乾燥されない乾燥不十分の含水物が排出され、前記底面排出口から排出された前記乾燥不十分の含水物を前記投入口に投入することを特徴とする乾燥装置。 - 前記底面は、複数の前記回転軸の形状に沿った略U字形状が連なる形状であり、
前記ディスクは、前記回転軸の外側から見て回転方向前方に向かうに従って幅が狭くなるくさび形状であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。 - 前記底面排出口には、始動時には前記底面排出口を閉じ、定常運転時には前記底面排出口を全開する扉が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
- 前記底面排出口から排出される乾燥不十分の前記含水物の含水率を計測する含水率計または流量を計測する流量計と、
前記投入口へ投入する前記含水物の投入量または前記第一回転軸組及び前記第二回転軸組の回転数を制御する制御装置とをさらに有し、
前記制御装置は、前記含水率または前記流量に応じて、前記投入量または前記回転数を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の乾燥装置。 - 前記制御装置は、前記乾燥装置のメンテナンス時に、前記第一回転軸組及び前記第二回転軸組の回転軸を各々逆回転させる逆回転部を有することを特徴とする請求項4記載の乾燥装置。
- 前記後部の前記底面排出口に対応する位置から前記ケーシング内に空気を吸引する空気吸引装置を有し、
前記空気吸引装置は、前記底面排出口に連続する内部シュートと、
前記内部シュートの外側に配置され、複数の通気孔が形成されている外部シュートとを有し、
前記空気を前記複数の通気孔を介して吸引することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の乾燥装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
前記乾燥装置と同種または異種の第二の乾燥装置を備えた乾燥システムであって、
前記底面排出口から排出された前記含水物の一部は、前記第二の乾燥装置へ投入されることを特徴とする乾燥システム。
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