JP6139958B2 - 加熱乾燥方法、および、間接加熱式乾燥装置 - Google Patents
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Description
乾燥装置としては、例えば、断面略U字状のケーシングと、ケーシングの内部で互いに逆方向に回転する2本の中空軸と、この中空軸の外周に配列された扇状などの中空の羽根を備えた間接加熱式の乾燥装置が知られている。
液体状や粉体状の被処理物P1は、ケーシング3を搬送方向に傾斜させて撹拌させることで搬送方向に容易に移動させることができる。また粘度が低い処理物では、粘土状の被処理物P1は、各羽根6が噛み合わせされる箇所で、対向する羽根6によってせん断されて小さな塊になるため、この小さな塊が、隣り合う羽根6同士の隙間を抜けて、更に下流側の次段の羽根6の間へと移動して行くことができる。
このような被処理物は、その性質から、流量を十分に低下させた場合であっても乾燥速度が速いことから急激な乾燥の進行によって粘度が急増し、羽根の間で大きな塊となることが考えられる。このように被処理物の灰分含有率が30%以上でなおかつ非常に高い粘度の場合、大きな塊となった粘土状の被処理物に対して羽根が切り込んでいったとしても、被処理物がせん断されずに大きな塊のまま同じ場所で中空軸とともに回転し続けてしまう。そのため、被処理物の移動が滞ってしまうことを防止するためには、被処理物の流量をさらに減少させなければならないため、処理能力が著しく低下してしまうという課題がある。
この発明に係る加熱乾燥方法は、少なくとも2つの隣り合う回転軸に取り付けられた羽根で被処理物を撹拌して下流側に搬送しつつ、該被処理物を加熱して乾燥させる加熱乾燥方法であって、前記回転軸の回転方向の前方側を向く面を前記回転方向の前端部に有する第一の羽根で、前記回転軸の回転に伴い前記被処理物を掻き上げて、搬送方向下流側へ落とし込むステップと、前記回転軸と隣り合う回転軸とを同一方向に回転させて、落とし込んだ前記被処理物を前記隣り合う回転軸に設けられた第二の羽根で撹拌するステップと、を有することを特徴としている。
このように構成することで、被処理物がせん断され難く、被処理物が大きな塊の状態を維持する場合であっても、第一の羽根によって被処理物を掻き上げて搬送方向下流側へと落とし込むことができる。そして、搬送方向下流側へ落とし込んだ被処理物を第二の羽根によって撹拌することができる。そのため、被処理物を移動させながら加熱乾燥の処理を進めることができる。
被処理物が大きな塊を維持し易い、処理前の灰分含有率が30[%]以上、かつ、粘度が100[Pa・s]以上の場合に、被処理物を第一の羽根によって搬送方向下流側へ落とし込み、第二の羽根によって撹拌して、被処理物を下流へ順次移動させることができる。
このように構成することで、一般的な構成の間接加熱式乾燥装置の複数の回転軸を、隣り合う回転軸同士で同一方向に回転させるだけで、逆方向に回転する場合に生じる被処理物による閉塞を防止できる。その結果、既存の間接加熱式乾燥装置を有効利用することができる。
図1は、この実施形態の間接加熱式乾燥装置1の概略構成を示している。
ここで、この実施形態の間接加熱式乾燥装置1は、各種のバイオマス、下水汚泥、工場排水汚泥、食品廃棄物・厨芥、し尿汚泥、家畜糞尿、植物搾汁粕などの廃棄物などの被処理物Pを撹拌および搬送しながら加熱乾燥(含水率を低減)する装置である。
以下、この発明の実施例について説明する。
まず、被処理物Pとして、それぞれ性状の異なる3種類の汚泥「A」,「B」,「C」を用意した。これら汚泥の投入口7における灰分含有率および粘度(処理前の灰分含有率および粘度)を以下の表に示す。
また、図6は、汚泥A,B,Cの乾燥速度を表したグラフである(電子天秤にて加熱し含水率を測定)。なお、図5において、所定の含水率を下回ると各汚泥A,B,Cが粉体状の領域となっている。
この図7のグラフからも分かるように、汚泥A,B,Cの投入量が一定であるのに対して、汚泥A,B,Cの全てにおいて排出量が一定となっている。つまり、汚泥の種類にかかわらず装置内部で閉塞が起こらずに安定的に連続運転が可能となっている。
次に、比較例について説明する。この比較例においても、上述した実施形態と同じ3種類の汚泥A,B,Cを用いた。
図8は、この比較例におけるグラフであって、上述した回転軸5a,5bを互いに逆方向に回転させて連続運転させた場合の、汚泥の投入量と排出量との関係を示している。このグラフにおいても、図7のグラフと同様に、縦軸を汚泥流量、横軸を運転時間としている。
この図8のグラフからも分かるように、汚泥A,B,Cの投入量が一定であるのに対して、汚泥Aは、実施例と同様に一定の排出量で継続して排出される。一方で、汚泥B,Cは、汚泥Aよりも排出量が少なく、途中で過トルクなどにより運転停止してしまった。さらに、汚泥Bで運転停止するまでの時間t2よりも、汚泥Cで運転停止するまでの時間t1の方が短い結果となった。これは、汚泥Cの方が短時間で含水率が低下して、更に元から相対的に高い粘度が含水率の低下に伴い急上昇して、機内が汚泥により閉塞されてしまったためと考えられる。また、汚泥Bの場合も、汚泥Cよりは長く運転できるものの、徐々に汚泥が堆積されて、定格容量(機内の保持量)を超えたため運転停止したと考えられる。
つまり、この図9のグラフに示すように、この発明の加熱乾燥方法、および、間接加熱式乾燥装置1は、被処理物Pである汚泥が、100(Pa・s)以上の粘度を有し、かつ、30(%)以上の灰分含有率を有する場合にとりわけ有効であることが分かる。
その結果、高粘度の粘土状の被処理物Pであっても、移動が滞って閉塞が生じることを防止できる。
その結果、回転軸5aから掻き取った被処理物Pを下流側に落とし込ませて、被処理物Pの移動が滞ることによる閉塞をより確実に防止することができる。
その結果、既存の間接加熱式乾燥装置を有効利用することができる。
例えば、上述した実施形態では、ケーシング3の前部側から後部側の内部に軸線O1回りに回転可能に設けられた2本の回転軸5と、2本の回転軸5の外周面からそれぞれ径方向外側に突出しつつ周方向に延びるとともに、各回転軸5の軸線O1方向に間隔をあけて複数段配され、径方向外側から見てくさび形状をなす複数の羽根6と、を備え、隣り合う回転軸5に設けられた羽根6同士が、互いにくさび形状の先端部側が周方向で反対方向を向くとともに、軸線O1方向で交互に配され、羽根6が、周方向で先端部とは反対側の基部から軸線O1方向に突出するパドル部11を備える場合について説明した。
しかしながら、この実施形態の変形例として図10に示すように、一方の回転軸5の羽根6を省略して、回転方向前方を向く面である掻きあげ面21を備える突出部20を回転軸5bの径方向外側に突出するように設けても良い。
さらに、上述した実施形態においては、回転軸5の軸線O1方向で羽根6を複数段備えるとともに、1段につき2つの羽根6を備える場合について説明したが、3つ以上の羽根6を備えていても良い。
2 トラフ
3 ケーシング
4 ジャケット
5 回転軸
6 羽根
6a 羽根
6b 羽根
7 投入口
8 排出口
9 流路開口
11 パドル部
11a パドル部
11b パドル部
12 後端部
13 前端部
16 回転方向前方を向く面
17 回転方向前方を向く面
20 突出部
21 掻きあげ面
P 被処理物
O1 軸線
Claims (3)
- 少なくとも2つの隣り合う回転軸に取り付けられた羽根で撹拌して下流側に搬送しつつ、加熱乾燥させる被処理物の加熱乾燥方法であって、
前記回転軸の回転方向の前方側を向く面を前記回転方向の前端部に有する第一の羽根で、前記回転軸の回転に伴い前記被処理物を掻き上げて、搬送方向下流側へ落とし込むステップと、
前記回転軸と隣り合う回転軸とを同一方向に回転させて、落とし込んだ前記被処理物を前記隣り合う回転軸に設けられた第二の羽根で撹拌するステップと、を有することを特徴とする加熱乾燥方法。 - 処理前の前記被処理物は、灰分含有率が30[%]以上、かつ、粘度が100[Pa・s]以上である請求項1に記載の被処理物の加熱乾燥方法。
- 前部側に被処理物を投入する投入口、後部側に加熱乾燥処理された被処理物を排出する排出口が形成され、前部側が後部側よりも上方に配されるように傾斜して設けられるケーシングと、
軸線方向を前記ケーシングの前後方向に配し、前記ケーシングの前部側から後部側の内部に軸線回りに回転可能に設けられた複数の回転軸と、
前記回転軸の外周面から径方向外側に突出しつつ周方向に延びるとともに、前記回転軸の軸線方向に間隔をあけて複数段配され、径方向外側から見てくさび形状をなす複数の羽根と、を備え、
前記複数の回転軸のうち、一方の回転軸に設けられた前記羽根は、前記一方の回転軸の回転方向の前端部に、前記一方の回転軸の回転方向の前方側を向く面を有するとともに、軸線方向に突出するパドル部を備え、
前記複数の回転軸のうち、他方の回転軸に設けられた前記羽根は、前記他方の回転軸の回転方向の後端部に、軸線方向に突出するパドル部を備え、
前記隣り合う回転軸同士が同一方向に回転することを特徴とする間接加熱式乾燥装置。
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