JP6259990B2 - 循環流動層ガス化炉 - Google Patents

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本発明は循環流動層ガス化炉に関するものである。
従来、石炭、バイオマス、ごみ、下水汚泥等の炭化水素資源の固体燃料をガス化し、生成したガスを、可燃ガス及び熱源等として利用することにより、有機資源の有効活用を図る技術が開発されている。
従来のガス化装置の1つとして、流動層ガス化炉と流動層燃焼炉を備えた循環式の流動層ガス化システムが知られている(特許文献1)。この流動層ガス化システムは、流動層ガス化炉に炭化水素資源の固体燃料を供給し、砂等の流動媒体の熱を利用して水蒸気でガス化を行う。流動層ガス化炉で生成した未反応のチャー残渣と流動媒体は、流動層燃焼炉に導いてチャー残渣を燃焼させ、加熱された流動媒体は再び前記ガス化炉に戻すようにしたもので、外部循環方式と称される。特許文献1の流動層ガス化システムは、流動層ガス化炉のガス化ガスと流動層燃焼炉の燃焼排ガスを別々に取り出すことができるため、不活性ガスを含まない高カロリーのガス化ガスを製造できる利点がある。
一方、固体燃料をガス化する際の初期の段階では熱分解が主に行われて熱分解ガス(タールを含む炭化水素を主体とするガス)が生成され、熱分解によって生成したチャーがその後にガス化されることでガス化ガス(ガス化剤の種類等によりCO,H,CH等)が生成されることが知られており、又、前記熱分解時に生成するタールはチャーのガス化反応の促進に悪影響を及ぼすことが知られている。
このため、ガス化炉の内部を下部が連通した分割壁により2室に区画し、第一室に燃料を供給して熱分解を行い、第一室で生成したチャーを前記分割壁下部の流動媒体内を通して第二室に導くことにより第二室でチャーのガス化を行い、第二室においてガス化されなかったチャー残渣を流動層燃焼炉に供給するようにした循環式の流動層ガス化方法及び装置がある(特許文献2)。特許文献2の流動層ガス化装置では、燃料の熱分解とチャーのガス化を分けて行うことにより、タールがチャーのガス化反応の促進に悪影響を及ぼす問題を低減できる利点がある。
又、燃料の熱分解とチャーのガス化を切り離した別の装置で実施することにより、タールがチャーのガス化反応の促進に悪影響を及ぼす問題を解消し、且つ、熱分解時に発生するタールを回収してガス化することでガス化ガスの生成量を増加するようにした循環流動層ガス化炉構造がある(特許文献3)。
特許文献3の循環流動層ガス化炉構造は、熱分解部の上部にタール吸収部を備えた二段構造の流動層熱分解炉と、チャーガス化部の上部にコークガス化部を備えた二段構造の流動層ガス化炉とを備えている。前記熱分解部に導入した燃料は流動媒体の熱を利用してガス化剤により熱分解して熱分解ガスとチャーを生成し、熱分解により生成したチャーは流動媒体と共にチャーガス化部に供給されて流動媒体の熱を利用しガス化剤によりガス化してガス化ガスを生成する。チャーガス化部でガス化されなかったチャー残渣は流動媒体と共にチャー残渣燃焼炉に供給され、チャー残渣が燃焼することにより流動媒体が加熱され、加熱した流動媒体は前記熱分解部に供給される。
又、前記熱分解部で生成した熱分解ガスは、上部のタール吸収部に導入され、該タール吸収部に供給されたタール吸収剤によりタールが吸収され、タールが除去された熱分解ガスは外部に取り出される。タール吸収部でタールを吸収することによりコークを担持したタール吸収剤は、コークガス化部に導入されて、前記チャーガス化部からの高温のガス化ガス及びガス化剤によりコークがガス化され、生成したガス化ガスは前記チャーガス化部からのガス化ガスと共に外部に取り出される。コークガス化部内のコーク残渣は、活性が低下したタール吸収剤と共に吸収剤再生炉に供給され、コーク残渣が燃焼することによりタール吸収剤の加熱・再活性化が行われ、再生したタール吸収剤は、前記タール吸収部に供給される。
特許文献3の循環流動層ガス化炉構造では、流動層熱分解炉と流動層ガス化炉を独立して設けたことにより、タールがチャーのガス化反応の促進に悪影響を及ぼす問題を解消でき、且つ熱分解時に発生するタールを回収してガス化するため、ガス化ガスの取出量を増加できる利点がある。
特開2005−041959号公報 特開2008−156552号公報 特開2011−026491号公報
特許文献1〜3に示すような循環流動層ガス化炉においては、流動層燃焼炉はチャー残渣を燃焼することによって流動媒体を加熱しており、流動層燃焼炉で加熱した流動媒体は燃焼排ガスと共にサイクロンからなる粒子分離器に導いて、燃焼排ガスと流動媒体とに分離し、分離した流動媒体を流動層ガス化炉或いは流動層熱分解炉に供給している。又、特許文献3では、吸収剤再生炉でコーク残渣を燃焼することによって加熱・再活性化を行ったタール吸収剤は、燃焼排ガスと共にサイクロンからなる粒子分離器に導いて、燃焼排ガスとタール吸収剤とに分離し、分離したタール吸収剤はタール吸収部に供給している。
このように、循環流動層ガス化炉では、流動層燃焼炉とサイクロンからなる粒子分離器を必須の構成としているために、装置の構成が複雑になる問題があると共に、流動層燃焼炉から所要の流速をもって供給される燃焼排ガスと流動媒体の混合流体から流動媒体を分離するサイクロンは、常に高温の粒子と接触することにより摩耗する問題を有しており、そのためにサイクロンのメンテナンスの必要頻度が多くなり、メンテナンス費用が増加するという問題を有していた。
本発明者らは、上記課題に鑑みてなしたもので、従来必要としていたサイクロンの設置を省略することができる循環流動層ガス化炉を提供することを目的とするものである。
本発明は、流動層ガス化炉の前段に流動層熱分解炉が備えられ、
前記流動層熱分解炉は、熱分解部の上部にタール吸収部を備えた二段構造を有し、
前記流動層ガス化炉は、チャーガス化部の上部にコークガス化部を備えた二段構造を有し、
前記熱分解部に流動媒体を導入しガス化剤を供給することで形成した流動層に燃料を供給して熱分解を行うことにより熱分解ガスを生成すると共にチャーを生成し、熱分解により生成したチャー及び流動媒体は前記チャーガス化部に導入してガス化剤を供給することで形成した流動層によりチャーのガス化を行ってガス化ガスを生成すると共にチャー残渣を生成し、前記熱分解部で生成した熱分解ガスは前記タール吸収部に導入してタール吸収剤による流動層を形成することでタール吸収剤により熱分解ガスのタールを吸収し、タールの吸収によりコークが担持されたタール吸収剤は前記コークガス化部に供給して前記チャーガス化部からのガス化剤により流動層を形成することでコークのガス化によりガス化ガスを生成すると共にコーク残渣を生成するよう構成した循環流動層ガス化炉であって、
前記熱分解部の流動層よりも上部に配置した流動層粒子加熱炉と、前記チャーガス化部から取り出されるチャー残渣及び流動媒体を搬送ガスにより前記流動層粒子加熱炉に導くライザー装置と、前記流動層粒子加熱炉でのチャー残渣の燃焼により加熱されてオーバーフローした流動媒体を前記熱分解部に落下供給する粒子供給路と、
前記タール吸収部の流動層よりも上部に配置した別の流動層粒子加熱炉と、前記コークガス化部から取り出されるコーク残渣が担持されたタール吸収剤を搬送ガスにより前記別の流動層粒子加熱炉に導く別のライザー装置と、前記別の流動層粒子加熱炉でのコーク残渣の燃焼により加熱・再活性化されてオーバーフローしたタール吸収剤を前記タール吸収部に落下供給する別の粒子供給路とを備え、
前記流動層粒子加熱炉は、下部から酸化剤が供給される散気装置の上部に、該散気装置との間に連通部を有して流動層の内部を上方に延びることにより第一室と第二室を形成する区画壁と、前記ライザー装置からのチャー残渣及び流動媒体を前記第一室の流動層に供給するよう形成したライザー装置上端の開口と、前記第二室の前記連通部よりも上部に備えて流動媒体を前記粒子供給路に落下させるオーバーフロー口を有し、
前記別の流動層粒子加熱炉は、下部から酸化剤が供給される散気装置の上部に、該散気装置との間に連通部を有して流動層の内部を上方に延びることにより第一室と第二室を形成する区画壁と、前記別のライザー装置からのコーク残渣担持されたタール吸収剤を前記第一室の流動層に供給するよう形成した別のライザー装置上端の開口と、前記第二室の前記連通部よりも上部に備えてタール吸収剤を別の粒子供給路に落下させるオーバーフロー口を有し、
前記流動層粒子加熱炉の内部における前記ライザー装置の開口の上部にはチャー及び流動媒体の吹きあがりを防止する吹上げ防止板を設け、
前記別の流動層粒子加熱炉の内部における前記ライザー装置の開口の上部にはコーク残渣が担持されたタール吸収剤の吹きあがりを防止する吹上げ防止板を設けた
ことを特徴とする循環流動層ガス化炉、に係るものである。
又、上記循環流動層ガス化炉において、前記粒子供給路は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管を有することが好ましい。
又、上記循環流動層ガス化炉において、前記別の粒子供給路は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管を有することが好ましい。
又、上記循環流動層ガス化炉において、前記粒子供給路の下端、別の粒子供給路の下端、チャーガス化部からチャー残渣及び流動媒体を取り出す取出部、コークガス化部からコーク残渣が担持されたタール吸収剤を取り出す取出部、熱分解部からチャーガス化部にチャー及び流動媒体を導入する導入部、及び、タール吸収部からコークガス化部にコークを担持したタール吸収剤を導入する導入部の夫々にはシール手段を有することが好ましい。
又、上記循環流動層ガス化炉において、前記流動層粒子加熱炉と前記別の流動層粒子加熱炉は一体に構成されていることが好ましい。
本発明の循環流動層ガス化炉によれば、従来必要としていたサイクロンの設置を省略することができ、よって、装置の簡略化が図れると共に、サイクロンのメンテナンス作業を無くして、運転コストを大幅に低減できるという優れた効果を奏し得る。
本発明の循環流動層ガス化炉の参考例の概略を示す側面図である。 (a)は図1のガス化反応炉をIIA−IIA方向から見た形状の一例を示す平面図、(b)は図1のガス化反応炉の流動層粒子加熱炉をIIB−IIB方向から見た正面図である。 本発明の循環流動層ガス化炉実施例の概略を示す側面図である。 図3のガス化反応炉をIV−IV方向から見た形状の一例を示す平面図である。
以下、本発明の実施例を図示例と共に説明する。
図1、図2は本発明の循環流動層ガス化炉の参考例の概略を示すもので、図中、1は流動層ガス化炉であり、流動層ガス化炉1内には流動媒体2が装入されており散気装置3を介して下部から水蒸気、O<SUB>2</SUB>等のガス化剤4を供給することにより流動層5を形成している。そして、この流動層5上に、例えば石炭、バイオマス、ごみ、下水汚泥等の炭化水素資源からなる燃料6を供給することによりガス化を行い、生成したガス化ガス7は上部の取出口8から取り出すようにしている。このガス化ガス7は、熱分解ガスも含んだものとなっている。
前記流動層ガス化炉1での燃料6のガス化によって生成したチャー6aは流動媒体2と共にオーバーフローによる取出部10に設けたL字バルブ、ループシール等のシール手段11により外部に取り出すようにしている。
前記流動層ガス化炉1外部の前記流動層5よりも上部の所要位置には、流動層粒子加熱炉12が配置してあり、前記シール手段11は上下に延びるライザー装置14の下端に接続されており、シール手段11からのチャー6a及び流動媒体2は、ライザー装置14の下端に供給される水蒸気、或いは空気等の搬送ガス13によってライザー装置14内を吹上げられて前記流動層粒子加熱炉12の内側下部に備えた散気装置15上に供給される。
前記流動層粒子加熱炉12の散気装置15の下部には空気16(酸化剤)が供給されて流動層17を形成するようになっており、且つ、流動層粒子加熱炉12の内部には、図2(b)に示すように、上下に延びて流動層粒子加熱炉12の内部を第一室12aと第二室12bとに区画する区画壁18が設けてあり、該区画壁18の下端と前記散気装置15との間には、流動層17の内部で第一室12aと第二室12bを連通する連通部19が形成されている。
そして、前記ライザー装置14の上端は、前記第一室12aの流動層17内における前記連通部19よりも高い位置で開口14aを有しており、又、前記第二室12bの前記連通部19よりも高い所要の位置には外部に開口するオーバーフロー口20が形成されている。前記第一室12aの流動層17内部における前記ライザー装置14の開口14aの上部には、チャー6a及び流動媒体2が吹き上がるのを防止するための中央が上方に突出するように湾曲した吹上げ防止板21を設けている。前記流動層粒子加熱炉12では、空気16(酸化剤)の供給によりチャー6aを流動燃焼させることで流動媒体2を加熱しており、燃焼排ガス22は上部の取出口23から排出される。
前記流動層粒子加熱炉12の第二室12bに設けたオーバーフロー口20には、オーバーフローする流動媒体2を取り出すための下り勾配を有する粒子供給路24の上端が接続されており、該粒子供給路24の下端はL字バルブ、ループシール等のシール手段25を介して前記流動層ガス化炉1の流動層5に接続している。26は前記シール手段25の流動媒体2を安定して前記流動層ガス化炉1に送り込むための水蒸気等の送給ガスである。又、前記粒子供給路24は、前記流動層ガス化炉1を貫通して下端が流動層5に挿入されるように設けることで、前記流動層ガス化炉1内のガス化ガス7が粒子供給路24に逆流するのを防止してもよい。
前記粒子供給路24は、流動媒体2の粒子が内部に堆積しない下り勾配を有する傾斜管24aとしている。
又、前記流動層粒子加熱炉12は、流動層ガス化炉1のチャー残渣6a及び流動媒体2の取出部10側である前側(図1、図2(a)の左側)に設けられており、一方、前記粒子供給路24の下端は、前記流動層ガス化炉1の流動層粒子加熱炉12とは反対の後側(図1、図2(a)の右側)に接続されているため、前記流動層粒子加熱炉12はオーバーフロー口20が側方(図2(a)の下側)を向くように配置されている。従って、前記粒子供給路24は前記流動層ガス化炉1の側方(図2(a)の下側)を迂回して後測の前記シール手段25に接続される長さを短くできるようにしており、更に、前記シール手段25から流動層ガス化炉1に供給された流動媒体2が反対側の取出部10に向かってゆっくり流動されるように工夫されている。しかし、前記流動層粒子加熱炉12の設置方向、前記粒子供給路24の形状は任意に選定することができる。
図1、図2の参考例では、流動層ガス化炉1及び流動層粒子加熱炉12が図(a)に示す平面形状が矩形の角柱形状を有している場合について例示したが、前記流動層ガス化炉1及び流動層粒子加熱炉12は円筒形或いは多角形等の任意の形状とすることができる。
次に、図1、図2の流動層ガス化反応炉の作動を説明する。
流動層ガス化炉1では、水蒸気、O等のガス化剤4が供給されることにより流動媒体2による流動層5が形成されており、この流動層5に燃料6を供給すると、燃料6は流動しながらガス化され、ガス化により生成したガス化ガス7は取出口8から取り出される。一方、ガス化されないチャー6aは流動媒体2と共に取出部10からシール手段11を介して外部に取り出され、水蒸気、空気等の搬送ガス13が供給されるライザー装置14により上方へ搬送されて前記流動層粒子加熱炉12の第一室12aの流動層17内に供給される。このとき、第一室12aには吹上げ防止板21を設けているので、チャー6a及び流動媒体2が吹き上がるのを防止して流動層17を安定して形成することができる。
前記流動層粒子加熱炉12内では、空気16(酸化剤)の供給によりチャー6aが流動燃焼することにより流動媒体2の加熱が行われており、加熱された流動媒体2は、区画壁18の下端の連通部19を通して第二室12bへ移動し、第二室12bの流動媒体2はオーバーフロー口20から粒子供給路24内に落下してシール手段25に供給され、送給ガス26の供給により流動層ガス化炉1の流動層5に供給される。
従って、図1、図2に示した循環流動層ガス化炉の参考例によれば、従来必要としていたサイクロンの設置を省略して流動媒体2を安定して循環供給することができ、よって、装置の構成を大幅に簡略化することができる。更に、サイクロンのメンテナンス作業を無くすことができるため、運転コストを大幅に低減することができる。
前記流動層粒子加熱炉12では、チャー6aの流動燃焼により流動媒体2を加熱しており、このとき、流動層粒子加熱炉12の内部において加熱した流動媒体2と燃焼排ガス22との分離が行われ、分離された流動媒体2はオーバーフロー口20から安定して取り出すことができる。
又、前記粒子供給路24は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管24aとしているので、前記流動層粒子加熱炉12からの流動媒体2を停滞させることなく流動層ガス化炉1の流動層5に容易且つ確実に供給することができる。
又、前記粒子供給路24の下端にシール手段25を有し、流動層ガス化炉1からチャー6a及び流動媒体2を取り出す取出部10にシール手段11を有しているので、流動層ガス化炉1を安定して運転することができる。
又、前記ライザー装置14に供給する搬送ガス13の供給量を調節することにより、流動媒体2の循環量を調節して、流動層ガス化炉1の温度を調節することができる。
図3、図4は本発明の循環流動層ガス化炉実施例の概略を示すもので、この実施例では、流動層ガス化炉27の前段に流動層熱分解炉28を備えた構成を有している。
前段の流動層熱分解炉28は、熱分解部29の上部にタール吸収部30を備えた二段構造を有しており、又、後段の流動層ガス化炉27は、チャーガス化部31の上部にコークガス化部32を備えた二段構造を有している。
前段の流動層熱分解炉28の熱分解部29には、流動媒体2が導入されており、前記ガス化剤4を供給することにより流動層5を形成している。該流動層5に燃料6を供給すると、燃料6は熱分解されて熱分解ガス33を生成し、又、熱分解によって生成したチャー6aは流動媒体2と共にオーバーフローによる導入部34に設けた例えばL字バルブ、ループシール等のシール手段35を介して送給ガス26により後段の流動層ガス化炉27のチャーガス化部31に導入される。
前記チャー6aと流動媒体2が供給されたチャーガス化部31では、下部の散気装置31'から供給されるガス化剤4によって形成される流動層9によりチャー6aのガス化を行ってガス化ガス36を生成し、ガス化されないチャー残渣6'は流動媒体2と共に取出部10から前記シール手段11を介して外部に取り出される。
前記熱分解部29での燃料6の熱分解により生成した熱分解ガス33は、タール吸収剤37が装入された前記タール吸収部30の散気装置30'の下部から導入されて流動層38を形成し、熱分解ガス33のタールはタール吸収剤37により吸収される。タールが除去された熱分解ガス39は取出口40から取り出される。ここで、前記タール吸収剤37としては、タールを効率良く吸収することができる多孔質アルミナ等の多孔質粒子を用いることができる。
前記タールを吸収することでコークが担持されたタール吸収剤37aは、オーバーフローによる導入部41に設けた例えばL字バルブ、ループシール等のシール手段42を介して送給ガス26の供給により前記流動層ガス化炉27におけるコークガス化部32の散気装置32'上に供給される。コークガス化部32では散気装置32'を介して下部のチャーガス化部31からガス化剤4及びガス化ガス36が導入されて流動層43を形成しているので、流動層43に供給されたコークが担持されたタール吸収剤37aはコークがガス化されてガス化ガス36'を生成する。前記チャーによるガス化ガス36とコークによるガス化ガス36'は、取出部47から取り出される。コークガス化部32でガス化されないコーク残渣が担持されたタール吸収剤37'は、取出部44から例えばL字バルブ、ループシール等のシール手段45を介して外部に取り出される。
前記タール吸収部30から取り出される熱分解ガス39と、コークガス化部32から取り出されるガス化ガス36,36'は別々の目的場所に供給することができ、又、破線で示すように、熱分解ガス39とガス化ガス36,36'を混合して目的場所に供給することもできる。尚、前記熱分解ガス39及びガス化ガス36,36'は、熱交換器に導いて熱回収することにより熱を有効利用することもできる。
前記流動層熱分解炉28の熱分解部29の外部における流動層5よりも上部の所要位置には、図1の流動層粒子加熱炉12と同一の構成を有する流動層粒子加熱炉46aが配置してあり、前記チャーガス化部31から取出部10及びシール手段11を介して取り出されたチャー残渣6'及び流動媒体2は、ライザー装置14の下端に供給する搬送ガス13によってライザー装置14内を吹上げられて前記流動層粒子加熱炉46aに供給される。前記流動層粒子加熱炉46aでは、空気16(酸化剤)の供給によりチャー残渣6'を流動燃焼することで流動媒体2を加熱しており、燃焼による燃焼排ガス22は上部の取出口23から排出される。更に、前記流動層粒子加熱炉46aで加熱された流動媒体2は、オーバーフロー口20から下り勾配を有する粒子供給路24に流入して落下し、粒子供給路24の下端に備えたシール手段25を介して前記熱分解部29の流動層5に供給される。前記粒子供給路24は、流動媒体2の粒子が内部に堆積しない下り勾配を有する傾斜管24aとしている。
一方、前記流動層熱分解炉28のタール吸収部30の外部における流動層38よりも上部の所要位置には、図1の流動層粒子加熱炉12と同一の構成を有する別の流動層粒子加熱炉46bが配置してあり、前記コークガス化部32から取出部44及びシール手段45を介して取り出されたコーク残渣を担持したタール吸収剤37'は、別のライザー装置14'の下端に供給する搬送ガス13によりライザー装置14'内を吹上げられて前記別の流動層粒子加熱炉46bに供給される。前記別の流動層粒子加熱炉46bでは、空気16(酸化剤)の供給によりコーク残渣を流動燃焼することによりタール吸収剤37'の加熱・再活性化を行っており、燃焼による燃焼排ガス22は前記取出口23から排出される。更に、前記別の流動層粒子加熱炉46b内で加熱・再活性化されたタール吸収剤37は、オーバーフロー口20から下り勾配を有する別の粒子供給路24'に流入して落下し、粒子供給路24'の下端に備えた例えばL字バルブ、ループシール等のシール手段25'を介して前記タール吸収部30の流動層38に供給される。前記別の粒子供給路24'は、タール吸収剤37の粒子が内部に堆積しない下り勾配を有する傾斜管24aとしている。
尚、図3、図4の実施例においては、前記流動層粒子加熱炉46aと前記別の流動層粒子加熱炉46bが一体に構成された場合を示している。尚、前記流動層粒子加熱炉46aと前記流動層粒子加熱炉46bは別個に設けてもよい。
又、前記流動層粒子加熱炉46a,46bはオーバーフロー口20,20が側方(図4の下側)を向くように配置され、該オーバーフロー口20,20に接続した前記粒子供給路24,24'は、前記熱分解部29及び前記タール吸収部30の反導入部34,41側に接続する場合を示しているが、前記粒子供給路24,24'の接続位置、前記流動層粒子加熱炉46a,46bの設置方向等は任意に選定することができる。
図3、図4の実施例では、流動層ガス化炉27、流動層熱分解炉28、及び、流動層粒子加熱炉46a,46bは図4に示す平面形状が矩形の角柱形状を有した場合について例示したが、前記流動層ガス化炉27、流動層熱分解炉28、及び、流動層粒子加熱炉46a,46bは円筒形或いは多角形等の任意の形状とすることができる。
次に、図3、図4の循環流動層ガス化炉の作動を説明する。
流動層熱分解炉28の熱分解部29に燃料6を供給すると、燃料6は流動層5の流動媒体2により加熱されて熱分解されることにより熱分解ガス33を生成し、熱分解されないチャー6aは流動媒体2と共に流動層ガス化炉27のチャーガス化部31に供給される。チャーガス化部31では、流動層9によりチャー6aのガス化が行われ、ガス化ガス36を生成すると共にガス化されないチャー残渣6'を生成する。ガス化されないチャー残渣6'は流動媒体2と共に取出部10からシール手段11を介して外部に取り出される。
チャーガス化部31から取り出されたチャー残渣6'と流動媒体2は、搬送ガス13が供給されたライザー装置14によって前記流動層粒子加熱炉46aに供給され、空気16の供給によりチャー残渣6'が流動燃焼することにより流動媒体2は加熱される。燃焼による燃焼排ガス22は取出口23から排出される。前記流動層粒子加熱炉46aで加熱された流動媒体2は、オーバーフロー口20から粒子供給路24内に落下してシール手段25に導かれ、シール手段25に供給される送給ガス26により流動層熱分解炉28の熱分解部29に再び供給される。
又、前記熱分解部29において燃料6の熱分解により生成した熱分解ガス33は、上部のタール吸収部30に導入されてタール吸収剤37による流動層38を形成し、熱分解ガス33のタールは流動層38のタール吸収剤37により吸収される。タールが除去された熱分解ガス39は取出口40から取り出される。
前記タールを吸収することでコークが担持されたタール吸収剤37aは、導入部41及びシール手段42を介してコークガス化部32に供給され、前記チャーガス化部31から導入されるガス化剤4とガス化ガス36により形成された流動層43によりコークのガス化が行われてガス化ガス36'を生成する。前記チャーによるガス化ガス36とコークによるガス化ガス36'は、取出部47から取り出される。コークガス化部32でガス化されないコーク残渣が担持されたタール吸収剤37'は、取出部44からシール手段45を介して外部に取り出される。
コークガス化部32から取り出されたコーク残渣を担持したタール吸収剤37'は、搬送ガス13が供給される別のライザー装置14'により別の流動層粒子加熱炉46aに供給され、空気16の供給によりコーク残渣が流動燃焼することによりタール吸収剤37'の加熱・再活性化が行われる。燃焼による燃焼排ガス22は取出口23から排出される。前記別の流動層粒子加熱炉46bで加熱・再活性化されたタール吸収剤37は、オーバーフロー口20から別の粒子供給路24'に落下してシール手段25'に導かれ、シール手段25'に供給される送給ガス26により流動層熱分解炉28のタール吸収部30に再び供給される。
上記したように、図3、図4の実施例では、流動媒体2とタール吸収剤37は、ライザー装置14,14'、流動層粒子加熱炉46a,46b、粒子供給路24,24'を介して独立して循環することができる。
従って、図3、図4に示した循環流動層ガス化炉の実施例によれば、従来必要としていたサイクロンの設置を省略して流動媒体2及びタール吸収剤37を循環させることができ、よって、装置の構成を大幅に簡略化することができる。更に、サイクロンのメンテナンス作業を無くすことができるため、運転コストを大幅に低減することができる。
更に、前記流動層粒子加熱炉46aでは、チャー残渣6'の流動燃焼により流動媒体2を加熱しており、このとき、流動層粒子加熱炉46aの内部において加熱した流動媒体2と燃焼排ガス22との分離が行われ、分離された流動媒体2はオーバーフロー口20から安定して取り出すことができる。
又、前記別の流動層粒子加熱炉46bでは、コーク残渣の流動燃焼によりタール吸収剤37の加熱・再活性化が行われ、このとき、流動層粒子加熱炉46bの内部において加熱・再活性化したタール吸収剤37と燃焼排ガス22との分離が行われ、分離されたタール吸収剤37はオーバーフロー口20から安定して取り出すことができる。
又、前記粒子供給路24は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管24aを有しているので、前記流動層粒子加熱炉46aからの流動媒体2を流動層熱分解炉28の熱分解部29に容易且つ確実に供給することができる。
又、前記別の前記粒子供給路24'は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管24aを有しているので、前記流動層粒子加熱炉46bからのタール吸収剤37を流動層熱分解炉28のタール吸収部30に容易且つ確実に供給することができる。
又、前記粒子供給路24の下端はシール手段25を介して熱分解部29に接続され、別の粒子供給路24'の下端はシール手段25'を介してタール吸収部30に接続され、チャーガス化部31からチャー残渣6'及び流動媒体2を取り出す取出部10にはシール手段11を備え、コークガス化部32からコーク残渣を担持したタール吸収剤37'を取り出す取出部44にはシール手段45を備え、熱分解部29からチャーガス化部31にチャー6a及び流動媒体2を導入する導入部34にはシール手段35を備え、タール吸収部30からコークガス化部32にコークを担持したタール吸収剤37aを導入する導入部41にはシール手段42を備えているので、流動層熱分解炉28での原料6の熱分解と熱分解ガス33からのタールの吸収、並びに、流動層ガス化炉27でのチャー6aのガス化とコークのガス化の一連の作業を安定して行うことができる。
又、前記ライザー装置14に供給する搬送ガス13の供給量を調節することにより、流動媒体2の循環量を調節して、熱分解部29の温度を調節することができ、又、前記別のライザー装置14'に供給する搬送ガス13の供給量を調節することにより、タール吸収剤37の循環量を調節して、タール吸収部30の温度を調節することができる。
又、前記流動層粒子加熱炉46aと前記別の流動層粒子加熱炉46bを一体に構成することにより、装置を簡略化できると共に、燃焼時の熱の放散を抑制することができる。
尚、本発明の循環流動層ガス化炉は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 流動層ガス化炉
2 流動媒体
4 ガス化剤
5 流動層
6 燃料
6' チャー残渣
6a チャー
7 ガス化ガス
9 流動層
10 取出部
11 シール手段
12 流動層粒子加熱炉
12a 第一室
12b 第二室
13 搬送ガス
14 ライザー装置
14' ライザー装置
16 空気(酸化剤)
17 流動層
18 区画壁
19 連通部
20 オーバーフロー口
21 吹上げ防止板
24 粒子供給路
24' 粒子供給路
24a 傾斜管
25 シール手段
25' シール手段
27 流動層ガス化炉
28 流動層熱分解炉
29 熱分解部
30 タール吸収部
31 チャーガス化部
32 コークガス化部
33 熱分解ガス
34 導入部
35 シール手段
36 ガス化ガス
36' ガス化ガス
37 タール吸収剤
37' コーク残渣を担持したタール吸収剤
37a コークを担持したタール吸収剤
38 流動層
39 熱分解ガス
41 導入部
42 シール手段
43 流動層
44 取出部
45 シール手段
36 ガス化ガス
36' ガス化ガス

Claims (5)

  1. 流動層ガス化炉の前段に流動層熱分解炉が備えられ、
    前記流動層熱分解炉は、熱分解部の上部にタール吸収部を備えた二段構造を有し、
    前記流動層ガス化炉は、チャーガス化部の上部にコークガス化部を備えた二段構造を有し、
    前記熱分解部に流動媒体を導入しガス化剤を供給することで形成した流動層に燃料を供給して熱分解を行うことにより熱分解ガスを生成すると共にチャーを生成し、熱分解により生成したチャー及び流動媒体は前記チャーガス化部に導入してガス化剤を供給することで形成した流動層によりチャーのガス化を行ってガス化ガスを生成すると共にチャー残渣を生成し、前記熱分解部で生成した熱分解ガスは前記タール吸収部に導入してタール吸収剤による流動層を形成することでタール吸収剤により熱分解ガスのタールを吸収し、タールの吸収によりコークが担持されたタール吸収剤は前記コークガス化部に供給して前記チャーガス化部からのガス化剤により流動層を形成することでコークのガス化によりガス化ガスを生成すると共にコーク残渣を生成するよう構成した循環流動層ガス化炉であって、
    前記熱分解部の流動層よりも上部に配置した流動層粒子加熱炉と、前記チャーガス化部から取り出されるチャー残渣及び流動媒体を搬送ガスにより前記流動層粒子加熱炉に導くライザー装置と、前記流動層粒子加熱炉でのチャー残渣の燃焼により加熱されてオーバーフローした流動媒体を前記熱分解部に落下供給する粒子供給路と、
    前記タール吸収部の流動層よりも上部に配置した別の流動層粒子加熱炉と、前記コークガス化部から取り出されるコーク残渣が担持されたタール吸収剤を搬送ガスにより前記別の流動層粒子加熱炉に導く別のライザー装置と、前記別の流動層粒子加熱炉でのコーク残渣の燃焼により加熱・再活性化されてオーバーフローしたタール吸収剤を前記タール吸収部に落下供給する別の粒子供給路とを備え、
    前記流動層粒子加熱炉は、下部から酸化剤が供給される散気装置の上部に、該散気装置との間に連通部を有して流動層の内部を上方に延びることにより第一室と第二室を形成する区画壁と、前記ライザー装置からのチャー残渣及び流動媒体を前記第一室の流動層に供給するよう形成したライザー装置上端の開口と、前記第二室の前記連通部よりも上部に備えて流動媒体を前記粒子供給路に落下させるオーバーフロー口を有し、
    前記別の流動層粒子加熱炉は、下部から酸化剤が供給される散気装置の上部に、該散気装置との間に連通部を有して流動層の内部を上方に延びることにより第一室と第二室を形成する区画壁と、前記別のライザー装置からのコーク残渣担持されたタール吸収剤を前記第一室の流動層に供給するよう形成した別のライザー装置上端の開口と、前記第二室の前記連通部よりも上部に備えてタール吸収剤を別の粒子供給路に落下させるオーバーフロー口を有し、
    前記流動層粒子加熱炉の内部における前記ライザー装置の開口の上部にはチャー及び流動媒体の吹きあがりを防止する吹上げ防止板を設け、
    前記別の流動層粒子加熱炉の内部における前記ライザー装置の開口の上部にはコーク残渣が担持されたタール吸収剤の吹きあがりを防止する吹上げ防止板を設けた
    ことを特徴とする循環流動層ガス化炉。
  2. 前記粒子供給路は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管を有する請求項1に記載の循環流動層ガス化炉。
  3. 前記別の粒子供給路は、粒子が内部に堆積しない下り勾配の傾斜管を有する請求項1又は2に記載の循環流動層ガス化炉。
  4. 前記粒子供給路の下端、別の粒子供給路の下端、チャーガス化部からチャー残渣及び流動媒体を取り出す取出部、コークガス化部からコーク残渣が担持されたタール吸収剤を取り出す取出部、熱分解部からチャーガス化部にチャー及び流動媒体を導入する導入部、及び、タール吸収部からコークガス化部にコークを担持したタール吸収剤を導入する導入部の夫々にはシール手段を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の循環流動層ガス化炉。
  5. 前記流動層粒子加熱炉と前記別の流動層粒子加熱炉は一体に構成されている請求項1〜4のいずれか1つに記載の循環流動層ガス化炉。
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