JP5532207B2 - 循環流動層ガス化反応炉 - Google Patents
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該ガス化装置の1つとして、反応炉を流動層ガス化炉と流動層燃焼炉に分離し、流動層ガス化炉に炭化水素資源の固体燃料を供給し、水蒸気でガス化を行い、生成した未燃分(チャー)と流動媒体を流動層燃焼炉で燃焼させ、加熱された流動媒体を前記ガス化炉に戻す循環流動層を用いたものがある(特許文献1)。
上記のガス化反応炉は外部循環方式であるが、特許文献2に記載された反応炉のように、内部循環方式のものもあり、該反応炉においては、流動媒体に粒子状スラグを利用することで、ガス化炉内で生成されたガス中に含まれるタールが改質されタール分の少ない可燃ガスが生成されるとともに、劣化したスラグを未燃チャーとともに燃焼炉へ導入し再活性化して、ガス化炉へ戻される。
これらの流動層ガス化炉と流動層燃焼炉を有する循環流動層ガス化システムにおいては、それぞれの炉から、ガス化ガスと燃焼ガスを別々に取り出すことができ、不活性ガスを含まない高カロリーなガスを製造することができる。
しかしながら、特許文献3に記載された方法では、バイオマスをガス化させた後、炉外へ飛散した灰を回収し、そこへガスを通過させることでタールを改質させており、これにより、ガス化炉後段に高価な触媒を使用する必要がないと記述されているが、炉内でチャーのガス化を促進するものではない。
しかしながら、特許文献4に記載された方法は、多孔質粒子によりタールを効率良く吸着する方法であるが、流動媒体として従来使用されている硅砂よりも極めて高価であるため、コストがかかってしまう。また、流動層炉では、一定間隔で炉下部から灰を抜き出すが、多孔質粒子と混在するために、多孔質粒子も一緒に抜き出さねばならない。したがって、抜き出した量を炉内へ新たに追加供給せねばならない。よって、石炭のような灰分の多い燃料ほど、よりランニングコストがかかる可能性が高い。
この方法は、ガス化炉の前段にアルカリ吸収炉を設け、チャーに揮発ガス中のアルカリを積極的に吸着させてガス化触媒として利用し、ガス化効率を向上させる方法であって、アルカリ吸収炉内でタールをチャーに吸着させてチャーのガス化効率を向上させるとともに、チャーのガス化の阻害効果も避けることができ、さらに、アルカリ吸収炉から生成する熱分解ガスと、ガス化炉から生成するガス化ガスを分離して取り出し、トータルの生成ガス量を高くするメリットがある。
また、特許文献4と同様に、炉内で多孔質粒子と灰粒子が混在するために、一定間隔で炉下部から灰を抜き出す際に、多孔質粒子も一緒に抜き出されてしまう。
さらに、炉後段のタール処理にかかるコスト(改質炉、スクラバなど)も削減する必要がある。
[1]流動媒体が導入された流動層ガス化炉内で原料をガス化させ、ガス化時に生成したチャー及び流動媒体を後段の流動層燃焼炉に導入して、未燃分を燃焼させるとともに、再加熱された流動媒体が反応炉内を循環するように構成された循環流動層ガス化反応炉であって、
前記流動層ガス化炉の前段に、タール吸収炉及び燃料熱分解炉を上下に備えた二段炉構造の熱分解炉を設けるとともに、下段の燃料熱分解炉から取り出される未燃焼チャーを含有する流動媒体と、上段のタール吸収炉から取り出されるタールが吸着した流動媒体とを、それぞれ独立して循環させるようにしたことを特徴とする循環流動層ガス化反応炉。
[2]前記下段の燃料熱分解炉の後段に、チャーガス化炉及びチャー残渣燃焼炉をこの順に連結し、前記上段のタール吸収炉の後段に、コークガス化炉及びコーク残渣燃焼炉をこの順に連結したことを特徴とする上記[1]の循環流動層ガス化反応炉。
[3]前記ガス化炉を、下段に前記チャーガス化炉、上段に前記コークガス化炉を備えた二段炉としたことを特徴とする上記[2]の循環流動層ガス化反応炉。
[4]前記チャーガス化炉及び前記コークガス化炉を、それぞれ別個のガス化炉としたことを特徴とする上記[2]の循環流動層ガス化反応炉。
[5]前記チャーガス化炉を省略し、前記下段の燃料熱分解炉の後段に、チャー残渣燃焼炉を直接連結したことを特徴とする上記[2]の循環流動層ガス化反応炉。
[6]前記コークガス化炉を省略し、前記上段のタール吸収炉の後段に、コーク残渣燃焼炉を直接連結したことを特徴とする上記[2]のの循環流動層ガス化反応炉。
[7]前記上段のタール吸収炉には、流動媒体としてタール吸着性物質を使用し、下段の燃料熱分解炉において生成したタールを該流動媒体に吸着させるようにしたことを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかの循環流動層ガス化反応炉。
[8]前記下段の燃料熱分解炉には、流動媒体として硅砂を使用することを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかの循環流動層ガス化反応炉。
[9]前記燃料熱分解炉において揮発分の熱分解及びタールの改質により生成する熱分解ガス、前記流動層ガス化炉においてチャー及び/又はコークのガス化により生成するガス化ガス、及び前記流動層燃焼炉においてチャー残渣及び/又はコーク残渣の燃焼により生成する燃焼ガスを、それぞれ独立して取り出す手段を備えたことを特徴とする上記[1]〜〔8〕のいずれかの循環流動層ガス化反応炉。
[10]前記燃料熱分解炉が、アルカリ吸収機能を有することを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれかの循環流動層ガス化反応炉。
なお、本発明において、前記の燃料熱分解炉を、前述の特許文献3に記載されたようなアルカリ吸収機能を有する炉とし、チャーに揮発ガス中のアルカリを積極的に吸着させてガス化触媒として利用し、チャーのガス化効率を向上させることができることはいうまでもない。
本発明の循環流動層ガス化反応炉においては、流動層ガス化炉の前段に、タール吸収炉及び燃料熱分解炉を上下に備えた二段炉構造の熱分解炉を備えているので、上段のタール吸収炉の流動媒体に、多孔質粒子等のタール吸着効率の良好なものを使用し、その下段の燃料熱分解炉に導入する流動媒体には、一般的に使用されている安価な硅砂を主成分とするものを使用することにより、高価な流動媒体の使用量を最小限にすることが可能となる。
また、チャー残渣燃焼炉とコーク残渣燃焼炉とが分離しているので、上段のタール吸収炉を循環する多孔質粒子などの流動媒体は、チャー残渣燃焼炉で発生する灰粒子と混在しないようにできる。
また、炉内でタール処理ができるので、従来、炉後段でのタール処理にかかっていたコストを削減できる。
バイオマス、ごみ、下水汚泥、及び石炭などのような炭化水素系固体燃料を、燃料熱分解炉へ供給するとともに、下部より、例えば、生成した燃焼ガスの一部を循環させたCO2ガス、或いはN2やArのような不活性ガス等を、流動ガスとして導入し、燃料分解炉に供給された上記の炭化水素系固体燃料を熱分解させる。
生成した熱分解ガスと同時に生成するタールが上段のタール吸収炉へ流れる。そのタールは、タール吸収炉中の多孔質粒子に吸着され、一部はガスに改質される。タールを含まない熱分解ガスは、上部に設けられた熱分解ガスの取出し手段から取り出すことができる。
取り出された熱分解ガスは、可燃ガスの一種であって、燃料電池やガスエンジンによる発電、液体燃料などに使用される。
なお、本発明においてガス化の原料としては、前述のような炭化水素系固体燃料に限られず、タールの発生し易い液体燃料を用いることも可能である。
一方、上段のタール吸収炉でタールを吸着した多孔質粒子は、チャーガス化炉上段のコークガス化炉へ送られる。
取り出されたガス化ガスは、可燃ガスであり、燃料電池やガスエンジンによる発電、液体燃料などに利用される。
残渣チャー燃焼炉及び残渣コーク燃焼炉は、いずれも流動層とされており、残渣チャー及び残渣コークが完全燃焼可能な滞留時間を確保する。それぞれの燃焼炉では、導入された残渣チャー及び残渣コークを、それぞれの燃焼炉の下部より導入された空気或いは酸素と共に燃焼させ、サイクロンにより燃焼ガスをそれぞれの炉の上部に設けられた取出手段から取り出される。
それぞれの燃焼炉から取り出された燃焼ガスは、主に熱源として利用されるものであり、前述したとおり、その一部を燃料熱分解炉に再循環させることも可能である。また、前記ガス化炉又はそれぞれの燃焼炉に導入する空気や蒸気の予熱源としても利用できる。
一方、チャー残渣燃焼炉で再加熱された硅砂、及びコーク燃焼炉で再加熱された多孔質粒子は、それぞれ、燃料熱分解炉及びタール吸収炉へ戻される。
なお、ガス化炉内で生じる反応(特にシフト反応)には、チャーの濃度が密接に関係しており、熱バランスが成立する範囲内であれば、未燃チャーの一部を再循環させ、ガス化炉内のチャー濃度を反応に適した濃度に制御することで、例えば、ガス化の際のH2/CO比の制御が可能となり、液体燃料への利用が有利となる。
さらに、残渣チャーおよび残渣コークから得られる燃焼熱のみでは、熱バランスが成立しない場合、所定量の熱分解ガス、ガス化ガスをそれぞれの燃焼炉へ供給して燃焼させることにより、熱バランスを維持することも可能である。
図1に示す装置では、ガス化炉を、下段及び上段に、それぞれチャーガス化炉及びコークガス化炉を設けた二段構造とし、生成されたガス化ガスを上段のコークガス化炉から取り出すように構成されているが、図2に示す装置では、これらのガス化炉を、それぞれ別個のガス化炉とし、それぞれのガス化炉の下部からガス化剤を導入し、生成されたガス化ガスを、上部に設けられた取出手段から取り出すように構成されている。この点以外は、図1に示す循環流動層ガス化反応炉と同じである。
本発明の循環流動層ガス化反応炉においては、用いる固体燃料が、高揮発分固体燃料で、チャーをガス化させなくとも、熱分解ガスとその残渣分を燃焼させるだけで、システムの熱バランスが成立する場合、すなわち、熱分解後の残渣チャーをガス化させると、燃焼熱分が不足する場合は、本実施形態に示すように、チャーガス化炉を省略することができる。
図4に示す循環流動層ガス化反応炉においては、硅砂からなる流動媒体及び固体燃料の流れは、燃料熱分解炉→連通路→チャーガス化炉→連通路→チャー残渣燃焼炉→サイクロン(図示せず)→ダウンカマー(図示せず)→燃料熱分解炉となり、一方、多孔質粒子からなる流動媒体の流れは、タール吸収炉→連通路→コーク残渣燃焼炉→サイクロン(図示せず)→ダウンカマー(図示せず)→タール吸収炉となる。
図5に示す循環流動層ガス化反応炉においては、硅砂からなる流動媒体及び固体燃料の流れは、燃料熱分解炉→連通路→チャー残渣燃焼炉→サイクロン(図示せず)→ダウンカマー(図示せず)→燃料熱分解炉となり、一方、多孔質粒子からなる流動媒体の流れは、タール吸収炉→連通路→コーク残渣燃焼炉→サイクロン(図示せず)→ダウンカマー(図示せず)→タール吸収炉となる。
図6及び図7は、その一例を示すものであって、ガス化炉は、チャーガス化炉とコークガス化炉とが、図6に示すように、完全に分離されていてもよく、或いは、図7に示すように、両炉の熱損失を低減させるために、隔壁を隔てて並設されていても良い。
両炉の燃焼炉も、図6のように、両炉の熱損失を低減させるために、隔壁を隔てて並設されていても良いことはいうまでもない。
Claims (9)
- 熱分解炉、流動層ガス化炉、及び流動層燃焼炉がこの順に設けられ、流動媒体が導入された前記流動層ガス化炉内で原料をガス化させ、ガス化時に生成したチャー及び流動媒体を後段の前記流動層燃焼炉に導入して、未燃分を燃焼させるとともに、再加熱された流動媒体が前記熱分解炉、前記流動層ガス化炉及び前記流動層燃焼炉を循環するように構成された循環流動層ガス化反応炉において、
前記熱分解炉は、下段の燃料熱分解炉及びその上段に備えられたタール吸収炉からなる二段炉構造であり、
前記流動層ガス化炉は、チャーガス化炉及びコークガス化炉からなり、
前記流動層燃焼炉は、チャー残渣燃焼炉及びコーク残渣燃焼炉からなり、
前記下段の燃料熱分解炉の後段に、前記チャーガス化炉及び前記チャー残渣燃焼炉をこの順に連結し、前記上段のタール吸収炉の後段に、前記コークガス化炉及び前記コーク残渣燃焼炉をこの順に連結して、
前記下段の燃料熱分解炉から取り出される未燃焼チャーを含有する流動媒体と、前記上段のタール吸収炉から取り出されるタールが吸着した流動媒体とを、それぞれ独立して循環させるようにしたことを特徴とする循環流動層ガス化反応炉。 - 前記流動層ガス化炉を、下段に前記チャーガス化炉、上段に前記コークガス化炉を備えた二段炉としたことを特徴とする請求項1に記載の循環流動層ガス化反応炉。
- 前記チャーガス化炉及び前記コークガス化炉を、それぞれ別個のガス化炉としたことを特徴とする請求項1に記載の循環流動層ガス化反応炉。
- 熱分解炉、流動層ガス化炉、及び流動層燃焼炉がこの順に設けられ、流動媒体が導入された前記流動層ガス化炉内で原料をガス化させ、ガス化時に生成したチャー及び流動媒体を後段の前記流動層燃焼炉に導入して、未燃分を燃焼させるとともに、再加熱された流動媒体が前記熱分解炉、前記流動層ガス化炉及び前記流動層燃焼炉を循環するように構成された循環流動層ガス化反応炉において、
前記熱分解炉は、下段の燃料熱分解炉及びその上段に備えられたタール吸収炉からなる二段炉構造であり、
前記流動層ガス化炉は、コークガス化炉だけからなり、
前記流動層燃焼炉は、チャー残渣燃焼炉及びコーク残渣燃焼炉からなり、
前記下段の燃料熱分解炉の後段に、前記チャー残渣燃焼炉を直接連結し、前記上段のタール吸収炉の後段に、前記コークガス化炉及び前記コーク残渣燃焼炉をこの順に連結して、
前記下段の燃料熱分解炉から取り出される未燃焼チャーを含有する流動媒体と、上段のタール吸収炉から取り出されるタールが吸着した流動媒体とを、それぞれ独立して循環させるようにしたことを特徴とする循環流動層ガス化反応炉。 - 熱分解炉、流動層ガス化炉、及び流動層燃焼炉がこの順に設けられ、流動媒体が導入された前記流動層ガス化炉内で原料をガス化させ、ガス化時に生成したチャー及び流動媒体を後段の前記流動層燃焼炉に導入して、未燃分を燃焼させるとともに、再加熱された流動媒体が前記熱分解炉、前記流動層ガス化炉及び前記流動層燃焼炉を循環するように構成された循環流動層ガス化反応炉において、
前記熱分解炉は、下段の燃料熱分解炉及びその上段に備えられたタール吸収炉からなる二段炉構造であり、
前記流動層ガス化炉は、チャーガス化炉だけからなり、
前記流動層燃焼炉は、チャー残渣燃焼炉及びコーク残渣燃焼炉からなり、
前記下段の燃料熱分解炉の後段に、前記チャーガス化炉及び前記チャー残渣燃焼炉をこの順に連結し、前記上段のタール吸収炉の後段に、前記コーク残渣燃焼炉を直接連結して、
前記下段の燃料熱分解炉から取り出される未燃焼チャーを含有する流動媒体と、上段のタール吸収炉から取り出されるタールが吸着した流動媒体とを、それぞれ独立して循環させるようにしたことを特徴とする循環流動層ガス化反応炉。 - 前記上段のタール吸収炉には、流動媒体としてタール吸着性物質を使用し、下段の燃料熱分解炉において生成したタールを該流動媒体に吸着させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の循環流動層ガス化反応炉。
- 前記下段の燃料熱分解炉には、流動媒体として硅砂を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の循環流動層ガス化反応炉。
- 前記燃料熱分解炉において揮発分の熱分解及びタールの改質により生成する熱分解ガス、前記流動層ガス化炉においてチャー及び/又はコークのガス化により生成するガス化ガス、及び前記流動層燃焼炉においてチャー残渣及び/又はコーク残渣の燃焼により生成する燃焼ガスを、それぞれ独立して取り出す手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の循環流動層ガス化反応炉。
- 前記燃料熱分解炉が、アルカリ吸収機能を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の循環流動層ガス化反応炉。
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