上記特許文献1のようなカーシェアリングでは、専用駐車場に自動車を駐車し、その自動車を24時間利用可能となっている。利用者は、パソコンやスマートフォンを使用して、自分の現在地から近い専用駐車場における自動車の空き状況を確認し、自動車が空いていれば予約をする。しかし、このようなカーシェアリングでは次のような問題点がある。
i)近くの専用駐車場に期待通りに自動車が置いていない場合がある
ii)自動車を使用した後、出発した専用駐車場に返却しなければならない
iii)出発時に燃料が少ないと給油を行う必要がある
iv)出発時に自動車が汚れていて洗車が必要な場合がある
今後、カーシェアリングの利用者が増えてくると、上記i)〜iv)の問題に加えてさらに次の問題が生じると思われる
v)カーシェアリングの利用者が増え、専用駐車場も増えていくが、特に都市部では専用駐車場の用地確保の問題が生じる
vi)カーシェアリングの専用駐車場は、時間帯や季節によってよく利用されるものとされないものとが偏在するようになり、よく利用される専用駐車場は、利用者による予約競争が激化し、期待通りに自動車を利用できない利用者の不満が増大する
vii)電気自動車のカーシェアリングも行われるようになるが、充電設備が整った地域が偏在する状況が続く
そこで、上記i)〜vii)を解決できるカーシェアリングサービスが求められる。具体的には、自分の現在地から近い場所にいつでも洗車間もない車があり、給油又は充電を気にする必要がなく、出発した専用駐車場に返却する必要のないサービスが求められる。
一方で、今後普及が図られる超小型モビリティでは、次の問題がある。
viii)自転車や原付バイクと比べて値段が高い一方、自動車と比べて大きな荷物を積載できないため、自分で購入するとあまりメリットが感じられない
ix)超小型モビリティはスピードがあまり出ない上、高速道路に乗ることができず、長距離移動には向かない
そこで、上記viii)及びix)を解決できるサービスが求められる。具体的には、近くの電車の駅、ショッピング街、コミュニティセンタ等と自宅との間を移動するための、超小型モビリティのカーシェアリングサービスが求められる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で効率よく超小型モビリティのカーシェアリングサービスを行えるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、脱着コンテナで超小型モビリティの運搬、駐車及び充電を行えるようにした。
具体的には、本発明では、荷役車両により運搬されると共に該荷役車両に対して積み込み及び積み降ろし可能な脱着コンテナを前提とし、
上記脱着コンテナは、
複数の電動車両を互いの進行方向がずれるように並列させて駐車可能な複数の駐車台と、
上記複数の電動車両の蓄電部をそれぞれ充電可能な充電部とを備えている。
上記の構成によると、脱着コンテナは、複数の電動車両を互いの進行方向がずれるように並列させて駐車可能であるため、脱着コンテナを載置面に降ろした状態では、複数の車両を運搬する従来の車両運搬車のように車両を車両運搬車の進行方向に順番に出し入れすることなく、それぞれの電動車両を単独で出し入れできる。しかも、脱着コンテナなので、複数の電動車両を脱着コンテナに載せたままで荷役車両により所望の駐車場所(コンテナ置き場)へ移動させるのが容易である。このため、利用者の多い場所へ脱着コンテナごと電動車両を移動させることができる上に、電動車両の駐車場所を気軽に変更できるので、初期投資を最小限にして電動車両の駐車場所を提供しやすい。また、通勤ラッシュ等の1日の時間帯による人の流れの変化や、夏場人気で冬場不人気の観光地等の季節による人の流れの変化に対し、コンテナ置き場における脱着コンテナ及び電動車両の数を変化させて柔軟に対応できる。脱着コンテナは、充電部を備えているので、運搬中にも充電できる上に、所望のコンテナ置き場に脱着コンテナを載置すれば、電動車両専用の駐車場に早変わりする。さらに、利用者は、電動車両を借りた場所に返す必要がなく、不足した電動車両は、随時脱着コンテナごとコンテナ置き場に移動させて補充できる。ここで、電動車両は、超小型モビリティ、電動バイク、電動自転車等充電可能な蓄電部と走行用電動機とを有する車両を意味する。
また、脱着コンテナは、上記複数の電動車両が、それぞれの車幅方向に倒れるのを防止するように、対応する上記駐車台に固縛する固縛装置を備えている。
上記の構成によると、脱着コンテナを荷役車両に積み込むとき及び積み降ろすときには、固縛装置によってそれぞれの電動車両が固縛されているので、電動車両が横転しない。特にL字型アームを有する荷役装置を備えた荷役車両では、脱着コンテナを積み込むとき及び積み降ろすときに脱着コンテナが傾斜することになるので、固縛装置が大いに役立つ。また、運搬時の電動車両の横転も防止される。
また、脱着コンテナは、隣接する2つの上記駐車台を上記電動車両の進行方向に沿って相互にずらす移動機構を備えている。
上記の構成によると、所望の電動車両が載った駐車台自身又はそれに隣接する駐車台を、移動機構によって移動させることで、所望の電動車両が載った駐車台とその隣接する駐車台とを電動車両の進行方向に沿ってずらすことができる。これにより、乗り込もうとする電動車両の真横すぐ近くに別の電動車両がないようにでき、所望の電動車両への乗り降りが極めて容易となる。また、脱着コンテナの運搬の際には、脱着コンテナの長さ方向(前後方向)と幅方向(左右方向)の大きさがなるべく小さくなるようにできる。
なお、上記複数の駐車台が3つの場合には、一対の駐車台に挟まれた中央の駐車台のみ上記移動機構により進行方向に沿ってずらすように構成するのが好ましい。この場合には、3つの駐車台に対して駐車台の移動機構は1つのみで済み、コスト及び質量の低減を図ることができる。また、上記複数の駐車台が4つ以上の場合には、端から交互に上記移動機構が設けられた駐車台と該移動機構がない駐車台とを並列させるように構成するのが好ましい。この場合には、4つ以上の駐車台すべてに移動機構を設ける場合と比較して、移動機構の数を約半減させることができ、コスト及び質量の低減を図ることができる。
また、上記充電部は、上記各駐車台の車両載置面に設けられた非接触式充電部により構成する。
上記の構成によると、非接触により電動車両の充電が可能であるため、利用者がプラグ接続等の充電操作をしなくても自動で充電を行えるようにすることができる。このため、利用者の手間が省けると共に、充電し忘れを防ぐことができる。また、電動車両の充電用プラグを脱着コンテナの充電コンセントに差し込む場合と比較して、充電部と電動車両との接続部が雨に濡れにくい構造にできる。非接触式充電部は、例えば電磁誘導によって電気伝達を行うものが考えられる。
また、脱着コンテナは、上記充電部を介して上記電動車両の蓄電部に電力を供給する電源となるコンテナ側蓄電部を備えている。
上記の構成によると、コンテナ側蓄電部に電力を蓄えておくことで、外部電力を入手できないような場所でも電動車両の充電が可能となる。このため、山間部などでも電動車両用の駐車場所を提供することが可能となる。なお、脱着コンテナ内にエンジンなどを設け、自家発電してコンテナ側蓄電部に電力を蓄えるようにしてもよい。
また、脱着コンテナは、
上記複数の駐車台を覆う屋根部材を有し、
上記屋根部材は、太陽電池パネルで覆われている。
上記の構成によると、太陽電池パネルで得られた電力を電動車両の蓄電部の充電に利用できるので、外部電力を導入できない場所でも脱着コンテナを配置できる。
また、上記屋根部材は、傾動可能に構成され、荷役車両により運搬されるときには、水平となるように構成されている。
上記の構成によると、太陽電池パネルの角度を任意に変えることで発電効率を向上させることができる。また、脱着コンテナを荷役車両に搭載したときに屋根部材を水平にすることで、荷役車両の車幅方向にバランスよくなるように走行風を屋根部材に当てることができるので、荷役車両の走行時の安定性が格段に向上する。
また、上記屋根部材は、上記複数の駐車台の外側の四隅又は該四隅の近傍に設けた柱に支持され、
上記屋根部材は、上記柱を伸縮させることで、傾動可能となっている。
上記の構成によると、屋根部材を四隅又はその近傍に設けた柱で支持することで、駐車台の面積をできるだけ広くすることができると共に、その柱を利用して簡単な構造で屋根部材を傾動させることができる。
また、上記充電部は、上記複数の駐車台のそれぞれに設けられ、すべての充電部は1つの制御盤に電気的に接続されている。
上記の構成によると、1つの制御盤で複数の電動車両の充電制御が可能となる。これにより、各充電部に対応させて複数の制御盤を設ける場合と比較して、電動車両の駐車スペースを多く確保することができる。
また、上記制御盤は、荷役車両のアームに吊り上げる掛合部が設けられた前側壁部と上記柱との間に設けられている。
上記の構成によると、利用者が電動車両の運転を誤って制御盤の方に向かって電動車両を衝突させたとしても、制御盤が剛性の高い前側壁部と柱とで確実に保護される。
また、上記コンテナ側蓄電部は、脱着コンテナの幅方向に固定位置を変更可能に構成され、該コンテナ側蓄電部の固定位置で該幅方向の質量バランスを調整可能に構成されている。
上記の構成によると、質量の大きいコンテナ側蓄電部の脱着コンテナにおける幅方向位置を微調整することで、脱着コンテナの質量バランスを容易に調整できる。これにより、脱着コンテナのみを荷役車両に搭載した場合と、電動車両を駐車台に載せた状態の脱着コンテナを荷役車両に搭載した場合とで荷役車両の車幅方向の質量バランスが異なったとしても、その質量バランスの調整を行うことができる。さらに、前後重量配分が異なる複数種類の電動車両を使用する場合でも、質量バランスの調整を容易に行うことができる。その結果、脱着コンテナ及び電動車両を運搬するときの荷役車両の走行安定性を格段に向上させることができる。
また、脱着コンテナは、荷役車両のアームに吊り上げる掛合部が設けられた前側壁部を有し、
上記コンテナ側蓄電部の側方には、上記前側壁部から延びる突条が係合される係合溝が形成され、該係合溝に上記突条が係合することで、該コンテナ側蓄電部の転倒が防止されている。
上記の構成によると、コンテナ側蓄電部が確実に適切な位置に固定でき、質量の大きいコンテナ側蓄電部が脱着コンテナの荷役車両への搭載時に安定する。
また、上記コンテナ側蓄電部は、上記複数の駐車台の床板の下方に設けられている。
上記の構成によると、質量の大きなコンテナ側蓄電部を脱着コンテナの低い位置に設けることで低重心となり、脱着コンテナの安定性が向上すると共に、コンテナ側蓄電部の充電容量を大きくすることができる。
さらに、上記複数の駐車台には、上記電動車両が倒れるのを防ぐ倒れ防止部材が設けられ、該倒れ防止部材は、上記駐車台の側方に設けた起伏可能な棒状部材を備えている。
上記の構成によると、脱着コンテナ側に倒れ防止用の棒状部材を設けることで、電動車両側に改造をすることなく、電動車両を駐車台に載せた状態で脱着コンテナを荷役車両に積み込むとき及び積み降ろすときに電動車両を安定させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、脱着コンテナに複数の電動車両を互いの進行方向がずれるように並列させて駐車可能な複数の駐車台と、これら複数の電動車両の蓄電部をそれぞれ充電可能な充電部とを設けたことにより、簡単な構成で効率よく超小型モビリティのカーシェアリングサービスを行うことができる。
また、太陽電池パネルを有する屋根部材を設けることで、自然エネルギーを利用した環境に優しい脱着コンテナが得られる。
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
−脱着コンテナ及び脱着車の構成−
図2は本発明の実施形態1の脱着コンテナとしての脱着コンテナ10を示し、この脱着コンテナ10は、複数の電動車両としての超小型モビリティ50の駐車スペースになり、かつ、図1に示すように、荷役車両としての脱着車1にて容易に運搬可能であると共に、脱着車1に対して積み込み及び積み降ろし可能に構成されている。
脱着車1は、キャブ2及び車台3を有し、車台3上に荷役装置5を備えている。詳しくは図示しないが、この荷役装置5は、後端が車台3後端に軸支された水平アームと、この水平アームに伸縮可能に設けられた垂直アームとからなるL字状の荷役アーム6とを備え、垂直アームの上端に脱着コンテナ10の前側壁部11b上部の掛合部12に掛止するフック7が設けられている。水平アームと車台3の前部とに荷役アーム6を車体後方へ回動させるための回動用油圧シリンダが連結されている。図10及び図11に示すように、脱着車1は、走行用のエンジン8を備え、そのエンジン8に動力取出装置(PTO)8a及び発電装置8bが設けられている。PTO8aは、車両側油圧ポンプ9に結合され、これにより発生した油圧により、荷役装置5が駆動されるようになっている。
図2〜図8に示すように、脱着コンテナ10は、側面視L字状のコンテナ本体11を備え、このコンテナ本体の正面に上記掛合部12が設けられている。図6に示すように、例えば、コンテナ本体11の底面前側には、円柱状の一対の脚部13が設けられ、底面後側には、一対の本体側ローラ14がその軸方向を脱着コンテナ10の幅方向となるように回転可能に設けられている。コンテナ本体11の上面には、例えば3台の超小型モビリティ50を互いの進行方向(直進方向)が平行にずれるように、本実施形態では、脱着車1の車幅方向に超小型モビリティ50の進行方向が向くように並列させて駐車可能な3つの駐車台15が設けられている。駐車台15の並列方向は、脱着車1の車幅方向に超小型モビリティ50の進行方向が向くのではなく、脱着車1の進行方向に対して傾斜してもよいが、それぞれの駐車台15に載る超小型モビリティ50が互いに干渉せずに出し入れ可能であることが望ましい。脱着コンテナ10全体の制御は、コンテナ本体11前側に設けた制御ボックス20によって行われる。制御ボックス20は、脱着コンテナ10の位置データを取得するGPS受信部と、脱着コンテナ10の駐車台15に駐車された超小型モビリティ50の充電量を管理する充電管理部と、後述の管理センタ62に対して通信可能な通信部と、利用者のカード読取部と、車両選択スイッチとを有している。
図8及び図11に示すように、駐車台15は、3台の超小型モビリティ50の蓄電部51をそれぞれ充電可能な充電部17を備えている。複数(3個)の充電部17は、例えば電磁誘導を利用して電気を伝達する非接触式であり、詳しくは図示しないが、脱着コンテナ10側の充電部17のコイルに電気を流して磁界を発生させ、超小型モビリティ50側のコイルに電流を発生させて蓄電部51の充電を行うように構成されている。このため、充電部17からの電線を蓄電部51に接続して充電する必要がない。すべての充電部17は、制御ボックス20と電気的に接続されている。各充電部17は、制御ボックス20の充電管理部によって制御され、例えば、利用者が超小型モビリティ50を駐車した状態で、必要に応じて充電を自動で開始及び終了するようにすればよい。そうすることで、利用者等の充電量の管理の手間が省かれると共に、充電し忘れを確実に防止することができる。本実施形態では、1つの制御ボックス20ですべての充電部17の制御を行うことができるようになっている。これにより、各充電部17に対応してカード読取部を有する制御ボックスを設ける場合と比較して、超小型モビリティ50の駐車スペースを多く確保することができている。
また、各駐車台15には、隣接する2つ駐車台15を超小型モビリティ50の進行方向へ相互にずらす移動機構16が設けられている。具体的には、図3(b)、図8(b)等に示すように、移動機構16は、超小型モビリティ50を載せた状態で各駐車台15をそれぞれ独立して移動可能にするための駐車台用シリンダ16aを有している。駐車台用シリンダ16aは、コンテナ本体11に凹陥された3つのシリンダ収容部11aに、コンテナ本体11の幅方向に伸縮自在に支持されている。駐車台用シリンダ16aの先端は、図7に示すように、駐車台15に凹陥されたロッド収容部15aにおいて結合されている。また、駐車台15の先端部下面側には、支持ローラ15bが回転自在に設けられている。支持ローラ15bは、載置面Gに合わせて上下に移動可能とされていてもよい。さらに、駐車台15の下面には例えば4つのスライドローラ15cが回転自在に設けられ、駐車台15のスライド移動が容易となっている。また、駐車台15の4つのスライドローラ15cは、超小型モビリティ50の載置面を基準として駐車台15の張り出し移動先端側の方がより下方位置となるように配設されており、それに対応してコンテナ本体11におけるスライドローラ15cの転動面は駐車台15の張り出し移動先端側へ向かって下傾状となっている。これにより、駐車台15は、駐車台用シリンダ16aを伸長させた際に、超小型モビリティ50の載置面を、一定の角度状態に保ったまま下降させることが可能に構成されている。また、駐車台15の歩み板部15dは、載置面Gに合わせて揺動可能に支持されている。歩み板部15dの端部には、例えば一対のローラ15eが設けられている。このため、図5(a)に示すように載置面Gに合わせて歩み板部15dを揺動させない場合に比べ、図5(b)に示すように、歩み板部15dを揺動させて傾斜させ、滑らかに載置面Gに連続させるようにすることができる。このため、駐車台15の歩み板部15dを載置面Gに合わせて揺動させることができ、滑らかな超小型モビリティ50の出し入れが可能となっている。
コンテナ本体11には、図10に油圧回路22で示すように、油圧ユニット26が設けられている。この油圧ユニット26には、電動モータ24と、電動モータ24の動力により駆動されるコンテナ側油圧ポンプ25と、コントロールバルブ23とが収容されている。駐車台用シリンダ16aは、制御ボックス20に設けたスイッチの操作によって油圧ユニット26内のコントロールバルブ23を切り換えて駆動されるようになっている。駐車台用シリンダ16aを伸長させ、隣接する駐車台15よりも駐車台15を前進させることで、前進した駐車台15の真横には障害物がなくなる。また、前進した駐車台15の両隣の2つの駐車台15の間には、駐車台15の1つ分のスペースが新たに生じる。これにより、例えば3つの駐車台15のすべてに超小型モビリティ50が駐車されていたとしても、各超小型モビリティ50への乗り降りが極めて容易となる。
脱着コンテナ10は、3台の超小型モビリティ50が、それぞれの車幅方向に倒れるのを防止するように、対応する駐車台15に固縛する固縛装置18を備えている。図9に拡大して示すように、固縛装置18は、駐車台15側に設けられた一対のフック部18aと、このフック部18aを駆動する固縛用シリンダ19と(図10にのみ示す)を備えている。固縛用シリンダ19は、制御ボックス20のスイッチによってコントロールバルブ23を切り換えることで駆動され、この固縛用シリンダ19の伸縮により、フック部18aが揺動するようになっている。フック部18aを揺動させて超小型モビリティ50の車幅方向両側に設けた例えばU字状の被係合部18bに引っかけることで、超小型モビリティ50が堅固に固縛されるようになっている。被係合部18bは、超小型モビリティ50の乗り降りの際のステップの役割を果たすようにしてもよい。このようにすれば、脱着コンテナ10を脱着車1に積み込むとき及び積み降ろすときに、脱着コンテナ10が傾斜しても、固縛装置18によってそれぞれの超小型モビリティ50が固縛されているので、超小型モビリティ50が横転しない。また、運搬時の超小型モビリティ50の横転も防止される。例えば駐車時に自動で固縛装置18により固縛を行ったり、制御ボックス20にメンバーズカードをかざすと固縛装置18の固縛が解除され、使用可能となるようにすればよい。
図11に模式的に示すように、脱着コンテナ10は、充電部17を介して超小型モビリティ50の蓄電部51に電力を供給する電源となるコンテナ側蓄電部21を備えている。例えば制御ボックス20によって適宜コンテナ側蓄電部21に対して脱着車1の発電装置8bや外部電力52からの電力を供給して充電を行えるようになっている。そして、コンテナ側蓄電部21に電力を蓄えておくことで、外部電力52を入手できないような場所でも超小型モビリティ50の充電が可能となる。このため、山間部などでも超小型モビリティ50用の駐車場所を提供することが可能となる。なお、後述する変形例の電源コンテナ110のように、脱着コンテナ10内にエンジンなどを設け、自家発電してコンテナ側蓄電部21に電力を蓄えるようにしてもよい。また、脱着車1の走行中に発電装置8bで生じた回生エネルギーを利用してコンテナ側蓄電部21を充電可能とするのが望ましい。
−運行管理システムの構成−
次いで、超小型モビリティ50の運行管理システム60について説明する。
図12に示すように、運行管理システム60は、複数の脱着コンテナ10を配置可能な複数のコンテナ置き場61を有し、脱着コンテナ10を運用して超小型モビリティ50のカーシェアリングサービスを行う。コンテナ置き場61は、人が集まる場所で、ある程度のスペースがあればどこでもよい。既存の駐車場、例えば、ショッピングモール駐車場、マンション駐車場、コンビニエンスストア駐車場、駅前駐車場、病院駐車場、ホテル駐車場、空港駐車場、観光地駐車場などをコンテナ置き場61にして脱着コンテナ10を載置すれば、コンテナ置き場61として新規に専用の場所を確保する必要がない。また、コンテナ置き場61は、外部電力52がある場所に設けるのが望ましいが、外部電力52のない山間部でも載置可能である。コンテナ置き場61は、従来のカーシェアリングの専用駐車場に相当するが、脱着コンテナ10を載置するだけで専用駐車場に早変わりする。脱着コンテナ10は、複数の超小型モビリティ50を互いの進行方向がずれるように並列させて駐車可能であるため、複数の車両を運搬する従来の車両運搬車のように車両を車両運搬車の進行方向に順番に出し入れすることなく、単独で超小型モビリティ50を出し入れできる。
このように、複数の超小型モビリティ50を載せたままで所望のコンテナ置き場61への移動が容易であるため、利用者の多い場所へ脱着コンテナ10ごと超小型モビリティ50を移動させることができる上に、コンテナ置き場61及びコンテナ置き場61における脱着コンテナ10の数を気軽に変更できるので、初期投資を最小限にして超小型モビリティ50の駐車場所を提供しやすい。また、通勤ラッシュ等の1日の時間帯による人の流れの変化や、夏場人気で冬場不人気の観光地等の季節による人の流れの変化に対し、コンテナ置き場61における脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50の数を変化させて柔軟に対応できる。これにより、従来の専用駐車場を使用したカーシェアリングサービスと比較して、超小型モビリティ50の稼働率を大きく向上させることができる。
運行管理システム60は、複数の脱着車1の運行を管理する管理センタ62を有する。管理センタ62は、1つだけでも複数でもよい。脱着車1には、車載通信装置70が設けられている。車載通信装置70は、車両位置データを取得するGPS受信部と、脱着コンテナ10の積み込み及び積み降ろしの時刻や場所等の荷役情報を記憶する記憶部と、管理センタ62に対して通信可能な通信部とを有している。すなわち、脱着車1と管理センタ62とは、無線通信ネットワークで接続されている。管理センタ62は、コンテナ置き場61に脱着コンテナ10を介して駐車された超小型モビリティ50の数が適切になるように脱着車1に指示を出して脱着コンテナ10を超小型モビリティ50と共に移動させる役割を果たす。そして、運行管理システム60の管理下で、脱着車1に脱着コンテナ10を載せた状態で発電装置8bにて発生された電力が脱着コンテナ10のコンテナ側蓄電部21に蓄えられるように構成されている。
運行管理システム60は、さらに脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50のメンテナンスと余剰分の保管とを行うメンテナンス拠点63を備えている。メンテナンス拠点63は、例えば機械式立体駐車場の技術を利用したものであり、乗り入れ口に各々移動可能な多数のパレットにそれぞれ超小型モビリティ50を搭載した状態の脱着コンテナ10を保管できるような建物にて構成されている。メンテナンス拠点63は、脱着車1及び脱着コンテナ10と無線通信ネットワークで接続されている。メンテナンス拠点63は、脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50を充電する充電設備や洗車する洗車設備を備えているのが望ましい。また、メンテナンス拠点63において、脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50の充電状態等多数の状態をチェックしてメンテナンスを行えるようにするとよい。
脱着コンテナ10は、制御ボックス20の通信部によって管理センタ62と無線通信ネットワークで接続されている。管理センタ62からは、各コンテナ置き場61における脱着コンテナ10の数、位置、充電量等を常時把握できるようになっている。
また、脱着コンテナ10に超小型モビリティ50が積載されている間、脱着コンテナ10と超小型モビリティ50とは電気接続される。このことにより、管理センタ62からは、超小型モビリティ50の数と充電量の把握も可能になっている。駐車時や図11で示す脱着車への搭載時等における、脱着コンテナ10に超小型モビリティ50が積載されている間、脱着コンテナ10搭載のコンテナ側蓄電部21の利用により、超小型モビリティ50は充電されるようになっている。
コンテナ置き場61に脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50がなくなりそうであれば、管理センタ62は、すぐに新しいものをその現場に移動させる。その際、脱着車1が利用される。また、逆に、コンテナ置き場61に脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50が増えすぎれば、管理センタ62は、別のコンテナ置き場61に余剰分の脱着コンテナ10を移動させたり、超小型モビリティ50の載っていない脱着コンテナ10を移動させて駐車スペースを確保したりする。なお、常時利用者が多いコンテナ置き場61では、移動可能な脱着コンテナ10の駐車台15のみを超小型モビリティ50の駐車スペースにするだけでなく、固定された駐車スペースに超小型モビリティ50を駐車させてもよい。
管理センタ62は、脱着コンテナ10や超小型モビリティ50の使用時間も把握しており、使用時間が長ければ、それらをメンテナンス拠点63に運搬するように指示する。メンテナンス拠点63において、脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50の状態に合わせて充電、洗車、メンテナンス等が行われる。
運行管理システム60では、脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50の運行状況を認識可能な情報端末64が利用される。情報端末64は、超小型モビリティ50のカーナビで構成してもよいし、利用者の自宅のパソコンで構成してもよいし、利用者が扱うスマートフォン等の携帯型で構成してもよい。利用者は、情報端末64により、最寄りのコンテナ置き場61はどこか、各コンテナ置き場61に脱着コンテナ10があるか、脱着コンテナ10に超小型モビリティ50が積載されているかどうかを常時確認できるのが望ましい。
利用者が利用しようとするコンテナ置き場61の現地に超小型モビリティ50がない場合には、利用者は、情報端末64によりタクシーを呼ぶような感覚で呼び出しをかけることができる。具体的には、情報端末64は、超小型モビリティ50及び脱着コンテナ10を脱着車1にて現地へ移動させる信号を管理センタ62に発することができるように構成されている。情報端末64からの信号により、呼び出しがあったことが管理センタ62で認知される。その場合、管理センタ62は他に優先して新しい脱着コンテナ10をその現場に移動させる。
管理センタ62で脱着コンテナ10及び超小型モビリティ50の管理をしているので、利用者は、出発時のコンテナ置き場61に超小型モビリティ50を返却する必要はない。また、管理センタ62の適切な管理により、利用者は常に充電されて綺麗な超小型モビリティ50を利用できる。
したがって、本実施形態に係る脱着コンテナ10を利用すれば、簡単な構成で効率よく超小型モビリティ50のカーシェアリングサービスを行える。
−実施形態1の変形例1−
図13は本発明の実施形態1の脱着コンテナ10と電源コンテナ110とを共に利用する変形例を示している。なお、図1〜図12の脱着コンテナ10と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
電源コンテナ110は、脱着コンテナ10のコンテナ側蓄電部21を充電可能な箱型の電源部120を備えているが、この電源部120がコンテナ本体111のほぼ全体を占めている。電源部120には、コンテナ側蓄電部21の蓄電容量よりもはるかに多くの蓄電容量(例えば10倍程度)を有するバッテリが内蔵されている。電源部120とコンテナ側蓄電部21とを電気接続することにより、超小型モビリティ50の充電可能時間が大きく増すことになる。電源コンテナ110は、超小型モビリティ50の大きさを考慮する必要がないので様々な大きさに形成できる。例えば、電源コンテナ110は、脱着コンテナ10の運搬用よりも小型の脱着車1により運搬可能に形成できる。
電源コンテナ110は、位置データを取得するGPS受信部と、管理センタ62に対して自身の位置データと充電状態とを通信可能な通信部とを有している。そして、電源コンテナ110は、脱着コンテナ10と同様に管理センタ62でその使用状況が管理される。
電源コンテナ110は、電源部120内のバッテリが予め充電された状態で、外部電力52のない所望のコンテナ置き場61へ脱着車1にて運搬され、脱着コンテナ10のコンテナ側蓄電部21と電気接続される。そして、電源コンテナ110の充電可能時間がわずかになったことが管理センタ62で認識されれば、管理センタ62は、電源コンテナ110を新しいものと差し替えするように脱着車1に指示を出す。
電源コンテナ110は、電源部120内に太陽電池やエンジン等を設けて自家発電可能としてもよい。そうすれば、外部電力52のない山間部でも自家発電により、より長時間の使用が可能となる。
−実施形態1の変形例2−
図14は、本発明の実施形態1の脱着コンテナ10の変形例を示し、駐車台15及び移動機構16の構成が異なる点で図1〜図12の脱着コンテナ10と異なる。
具体的には、図14の脱着コンテナ210は、駐車台15は3つであるが、一対の駐車台15に挟まれた中央の移動式駐車台152のみ移動機構16により進行方向に沿ってずらせるように構成されている。すなわち、中央の移動式駐車台152の両隣は固定式駐車台151となっている。この場合、固定式駐車台151の上面と脱着コンテナ210の載置面とは大きな段差が生じるが、これは、可倒式の長尺歩み板部15fを利用することにより、固定式駐車台151上の超小型モビリティ50を載置面Gまでスムーズに進ませることが可能となっている。このような脱着コンテナ210であっても、中央の移動式駐車台152のみ移動機構16により移動させることで、真横に隣り合う2つの固定式駐車台151の間に移動式駐車台152がないようにできる。これにより、中央の移動式駐車台152とその両隣の固定式駐車台151のすべてに超小型モビリティ50が駐車されていたとしても、各超小型モビリティ50に対する横からの乗り降りが容易となる。また、この構成によると、3つの駐車台15に対して移動機構16は1つのみで済み、3つの駐車台15すべてを移動式にする場合と比較してコスト及び質量の低減を図ることができる。
−実施形態1の変形例3−
図15は、本発明の実施形態1の脱着コンテナ10のさらなる変形例を示し、駐車台15及び移動機構16の構成が異なる点で図1〜図12の脱着コンテナ10と異なる。
具体的には、図15の脱着コンテナ310では、駐車台15が4つであり、端から交互に移動機構16が設けられた移動式駐車台152と移動機構16がない固定式駐車台151とを並列させるように構成されている。この図15の脱着コンテナ310では、図14の脱着コンテナ210と同様、固定式駐車台151に可倒式の長尺歩み板部15fが設けられている。また、脱着コンテナ310は、2つの移動式駐車台152のみ移動機構16により移動させることで、真横に隣り合う2つの固定式駐車台151の間に移動式駐車台152がないようにできる。これにより、2つの移動式駐車台152と2つの固定式駐車台151のすべてに超小型モビリティ50が駐車されていたとしても、各超小型モビリティ50に対する横からの乗り降りが容易となる。また、この構成によると、4つの駐車台15に対して移動機構16は2つのみで済み、4つの駐車台15すべてを移動式にする場合と比較してコスト及び質量の低減を図ることができる。
(実施形態2)
図16〜図22は本発明の実施形態2の脱着コンテナ510を示し、この脱着コンテナ510は、主として屋根部材530を有する点が異なる点で上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図15と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態の脱着コンテナ510において、複数の駐車台15は、矩形板状の屋根部材530で上方を覆われている。屋根部材530は、コンテナ本体11のほぼ4隅から垂直に延びる4本の主柱531,532に支持されている。屋根部材530は、金属、樹脂成形品等で構成すればよく、本実施形態では、形状は平板状となっている。屋根部材530は、例えば脱着コンテナ510の長さ方向に延びるリブや凹凸を設けて剛性を高めると共に、厚さを薄くすることもできる。主柱531,532の上端は、例えばI型鋼などの補強枠533で連結されている。図16、図17等に示すように、第1主柱531は、筒状部531aとこの筒状部531a内を昇降可能な昇降部531bとを備え、内蔵する昇降シリンダ531c(図10にのみ示す)によって、その高さを変更可能に構成されている。図10に示すように、制御盤としての制御ボックス20の指令を受けてコントロールバルブ23が切り換えられ、一対の昇降シリンダ531cが同時に伸縮されて昇降部531bが伸縮されるようになっている。図22及び図27にも示すように、昇降部531bの上端の第1支持ピン531dは、補強枠533の四隅に設けた連結部533aに挿通されている。昇降部531b側の連結部533aは、水平に長い長孔533bを有し、この長孔533bに第1支持ピン531dが挿通されている。長さが一定の第2主柱532側の連結部533aの貫通孔533cには、第2支持ピン532aが挿通されている。このように構成することで、昇降部531bを伸長させたときには、屋根部材530は脱着コンテナ510の幅方向に傾斜する。具体的には、屋根部材530は、車止め部側が低くなるように傾斜され、雨水が車止め部側から流れ出るように構成されている。また、昇降部531bを縮小させると、屋根部材530を水平にさせることもできる。屋根部材530を水平にさせたときには、屋根部材530の高さ位置は前側壁部11bの水平状上端面と略一致すると共に、脱着コンテナ510の長さ方向における屋根部材530と前側壁部11bとの隙間はわずかとなる。これにより、屋根部材530が水平の状態では、前側壁部11bよりも前方からの風が、前側壁部11bの上方から屋根部材530の下側に入り込むことを防ぐことができる。
なお、昇降部531b側の連結部533aにおける長孔533bの長さを長くし、昇降シリンダ531cのストロークを大きくすれば、屋根部材530の起伏可能な角度の範囲は広くなる。また、季節に合わせて最適な角度に太陽電池パネル535の角度を調整できるようにしてもよい。
前側の主柱531,532は、コンテナ本体11の前側壁部11bと所定の間隔を空けて設けられている。これらの主柱531,532とコンテナ本体11の前側壁部11bとの間に制御ボックス20、コンテナ側蓄電部21及び油圧ユニット26が配置されている。
そして、屋根部材530の大部分は、平板状の太陽電池パネル535で覆われている。太陽電池パネル535は、制御ボックス20に電気的に接続され、その太陽発電で得られた電力が充電部17に送られたり、コンテナ側蓄電部21に蓄えられたりするようになっている。
このように、本実施形態では、太陽電池パネル535で得られた電力を超小型モビリティ50の蓄電部51の充電に利用できるので、外部電力を導入できない場所でも脱着コンテナ510を配置できる。
また、屋根部材530は、複数の駐車台15の外側のほぼ四隅に設けた主柱531,532に支持することで駐車台15の面積をできるだけ広くすることができると共に、第1主柱531を伸縮させることにより傾動可能としたので、第1主柱531を利用して簡単な構造で屋根部材530を傾動させることができる。
また、本実施形態では、太陽電池パネル535の角度を任意に変えることで発電効率を向上させることができる。また、脱着コンテナ510を脱着車1に搭載したときに屋根部材530を水平にすることで、脱着車1の車幅方向にバランスよくなるように走行風を屋根部材530に当てることができるので、脱着車1の走行時の安定性を格段に向上させることができる。
また、制御ボックス20を前側壁部11bと主柱531,532との間に設けたので、利用者が超小型モビリティ50の運転を誤って制御ボックス20の方に向かって超小型モビリティ50を衝突させたとしても、制御ボックス20が剛性の高い前側壁部11bと主柱531,532とで確実に保護される。
したがって、本実施形態では、太陽電池パネル535を有する屋根部材530を設けることで、自然エネルギーを利用した環境に優しい脱着コンテナ510が得られる。
(実施形態3)
図23〜図31は本発明の実施形態3の脱着コンテナ610を示し、この脱着コンテナ610は、主としてコンテナ側蓄電部621の構成が異なる点で上記実施形態1及び2と異なる。なお、本実施形態では、図1〜図22と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
本実施形態のコンテナ側蓄電部621は、脱着式でユニット状のもので、例えば、底面に走行可能な下部ローラ621aを有し、超小型モビリティ50を充電するための電力を蓄えることができるようになっている。脱着式のコンテナ側蓄電部621は、脱着コンテナ610に搭載したときに図示しない端子で制御ボックス20と接続可能となっている。
また、コンテナ側蓄電部621は、脱着コンテナ610の幅方向に固定位置を変更可能に構成されている。具体的には、脱着コンテナ610の長さ方向前側壁部11bの背面側には、水平方向に延びる突条643が設けられている。図26に示すように、コンテナ側蓄電部621の側方には、前側壁部11bから延びる突条643が係合される係合溝644が形成されている。例えば、突条643は、断面T字状であり、係合溝644は、この突条643が嵌まるとコンテナ側蓄電部621は、脱着コンテナ610の幅方向には移動できるが、長さ方向には抜け出さない形状を有している。このように係合溝644に突条643が係合することで、コンテナ側蓄電部621の転倒及びガタツキが防止されている。なお、この突条643と係合溝644との係合時に電気的にコンテナ側蓄電部621と制御ボックス20とを接続するようにしてもよい。そうすればコンテナ側蓄電部621の固定位置にかかわらず電気的接続が容易である。
そして、図27〜図30に示すように、コンテナ本体11における前側の主柱531,532の下端間を結ぶ部材には、例えば3つのホルダ部645が間隔を空けてそれぞれ設けられている。前側壁部11bには、これらのホルダ部645と同じ高さに合計6つの係合孔646が設けられている。この3つ連続して設けられたいずれかのホルダ部645及び係合孔646に固定棒647を固定してコンテナ側蓄電部621のうち脱着コンテナ610の幅方向における側面を挟み込むようになっている。このように構成することで、コンテナ側蓄電部621を突条643と固定棒647とで適切な位置に確実に固定でき、質量の大きいコンテナ側蓄電部621が脱着コンテナ610の脱着車1への搭載時に安定する。しかも、コンテナ側蓄電部621の固定位置を変更することで、脱着コンテナ610の幅方向の質量バランスを容易に調整でき、脱着コンテナ610及び超小型モビリティ50を運搬する際の脱着車1の走行安定性を格段に向上させることができる。
駐車台15の側面は、起伏可能に構成されて地面に倒したときに、コンテナ側蓄電部621を積み降ろしするための蓄電部用歩み板648を有している。蓄電部用歩み板648は、垂直に起立された状態で固定レバー649で前側壁部11bに固定可能となっている。
そして、本実施形態の脱着コンテナ610では、前側壁部11bと主柱531,532との間に設けたコンテナ側蓄電部621の他に図24及び図25に示すように、駐車台15の床板の下方にもコンテナ側蓄電部621’が設けられている。このように、質量の大きなコンテナ側蓄電部621’を脱着コンテナ610の低い位置に設けることで低重心となり、脱着コンテナ610の安定性が向上すると共に、コンテナ側蓄電部621,621’の充電容量を大きくすることができる。なお、前側のコンテナ側蓄電部621を設けずに、床下のコンテナ側蓄電部621’のみを設けてもよい。
さらに、本実施形態では、各駐車台15に電動車両が倒れるのを防ぐ倒れ防止部材640が設けられている。この倒れ防止部材640は、駐車台15の側方に設けた起伏可能な棒状部材641を備えている。棒状部材641は、使用しないときには蓋部材642の下方に収容されており、脱着コンテナ610を脱着車1に搭載する前に蓋部材642を空けて棒状部材641を、床上に起立させるようになっている。このように、脱着コンテナ610側に倒れ防止用の棒状部材641を設けることで、超小型モビリティ50側に被係合部18bなどの改造をすることなく、超小型モビリティ50を駐車台15に載せた状態で脱着コンテナ610を脱着車1に積み込むとき及び積み降ろすときに超小型モビリティ50を安定させることができる。なお、棒状部材641は油圧シリンダなどにより油圧を用いて起伏できるようにしてもよい。
本実施形態の歩み板615dは、脱着コンテナ610の長さ方向に長く、3つの駐車台15にまたがる形状をし、超小型モビリティ50の乗り降りの際に起伏可能となっている。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、上記実施形態では、図3及び図14の脱着コンテナ10,210,510,610では3台の超小型モビリティ50を搭載できるようにしており、図15の脱着コンテナ310では4台の超小型モビリティ50を搭載できるようにしているが、2台や5台以上搭載できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、駐車台15の移動機構16を図10に示す油圧ユニット26を動力とするものとしたが、移動機構16の駐車台用シリンダ16aや固縛用シリンダ19を電動シリンダや電動モータで代用すれば、油圧ユニット26を脱着コンテナ10に積み込む必要がなくなる。その結果構成が簡単になったり、作動油漏れ等のトラブルが少なくなったりする点で有利である。また、移動機構は、シリンダを用いて駐車台を移動させるものではなく、チェーン駆動機構やラック及びピニオンによる駆動機構を用いて駐車台を移動させるものでもよい。
また、上記実施形態では、脱着コンテナ10,210,310,510,610は、前端前壁上部に掛合部12が設けられており、L字状の荷役アーム6を備えた脱着車1にて運搬されるように構成されていたが、本発明はこれに限らない。例えば、脱着コンテナに掛合部を設けず、代わりにコンテナ本体の4隅に昇降ジャッキを取り付け、荷役アームを持たない水平脱着車に対して積み込みと積み降ろしができるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、電動車両として超小型モビリティ50の例を示したが、この超小型モビリティ50に限定されず、電動バイク、電動自転車等であっても同様の作用効果を奏する。電動バイクや電動自転車であれば、固縛装置18として、例えば柵状のフレームと、このフレームに電動バイク等を固定する部材とを設ければよい。固縛装置18と充電部とを組み合わせてもよい。電動バイク、電動自転車であれば、超小型モビリティ50よりもさらに小さいので、脱着コンテナ10に4台以上でも容易に積み込むことができる。
また、上記実施形態では、充電部17を非接触式充電部として構成したが、本発明はこれに限らず、超小型モビリティ50に設けた充電用プラグを、脱着コンテナのコンテナ本体や駐車台に設けた充電部としての充電コンセントに差し込んで、超小型モビリティ50と脱着コンテナとを電気接続し、超小型モビリティ50の充電を行うようにしてもよい。各充電コンセントを制御ボックス20に電気的に接続することで、充電コンセントと超小型モビリティ50の蓄電部51とを電気的に接続した状態で1つの制御ボックス20によって複数の超小型モビリティ50の充電制御を行える。
また、上記実施形態では、メンテナンス拠点63は、例えば機械式立体駐車場の技術を利用した建物で構成されていたが、本発明はこれに限らず、メンテナンス拠点は、地面に多数の脱着コンテナを並べて載置しているような場所であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。