JP6257446B2 - 有機−無機ハイブリッドポリマーで封止した紫外発光ダイオードおよびその製造方法 - Google Patents

有機−無機ハイブリッドポリマーで封止した紫外発光ダイオードおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、紫外光透過性および耐熱性に優れた有機−無機ハイブリッドポリマー封止材を用いた紫外発光ダイオードおよびその製造方法に関するものである。
光学部材である発光ダイオード(LED)には、発光素子やワイヤー、リフレクター等の部品を保護する目的で、通常は封止材と呼ばれる弾性樹脂が用いられている。一般的に該封止材に使用する弾性樹脂には、光取り出し性(透過率や適切な屈折率)、密着性(接着性)、耐熱維持性が要求される。最近のLED分野においては、車載用ヘッドライトや広域照明を中心に、高輝度・高出力のLEDや紫外発光LED等が要求されており、封止材をはじめ構成部材に求められる耐熱性が年々上昇している。
これまで上記LEDの封止材として使用される弾性樹脂として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の汎用樹脂が用いられてきた。これら汎用樹脂は歴史も長く、生産性、加工性に優れ、安価で安定した供給が可能である。
しかし、前記の通り、高輝度化・高出力化とともに、使用される光の波長は短波長化し、封止材には耐光性や耐熱性が必要となるとともに、UV域での高い透明性が特性として必要になってきた。高輝度・高出力のLEDでは、要求される耐熱維持温度が従来の150℃から180℃以上に上昇し、配線のジャンクションに至っては200℃前後の高温に耐えることが要求されている。そして、このような200℃前後の高温下ではエポキシ樹脂やシリコーン樹脂といった汎用樹脂は、熱劣化による亀裂や破壊、密着性不良による素子やリフレクターからの剥離といった多くの問題が顕著に現れるようになってきた。
シリコーン樹脂は、一般に200℃以上の耐熱性を有すると云われている。しかし、上記封止材のような光学部材では透明性が重視されるため、フィラーを配合することが出来ず、10,000時間以上の連続使用環境下での硬度上昇や材料破壊といった問題が顕著化している。密着性(接着性)も十分ではない。また、これら汎用樹脂は、可塑剤や硬化剤、不純物イオンなどを多く含有することから、UV波長域に近くなると急激な透過率低下が生じる。特に、高輝度・高出力化とともに使用波長が短波長化している昨今の光学部材では、封止材についても200〜400nmの波長領域での透過率が重要視されており、市場ではこれら汎用樹脂に替わる封止材が求められていた。
上記のような昨今の光学部材への用途に関し、近年は、シロキサンポリマーに無機成分を組み込むことにより特性を向上させた有機−無機ハイブリッド組成物が開発されている。
有機−無機ハイブリッド組成物は、有機成分であるポリオルガノシロキサン骨格構造の柔軟性、撥水性、離型性等の特性と、無機成分の耐熱性、機械的構造の強さ等の特性を兼ね備えた材料であり、該有機−無機ハイブリッド組成物の硬化体は、連続使用温度200℃以上の高い耐熱性と柔軟性、更に高い電気絶縁性や高周波での低誘電性等の優れた電気特性を有する材料である(特許文献1〜6)。
上記有機−無機ハイブリッド材料は、レーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)、LEDプリントヘッド(LPH)、チャージカップルドデバイス(CCD)、インスレイテッドゲイトビポーラートランジスタ(IGBT)等に組み込まれている半導体素子や結線の封止材としての使用が検討されてきた。
特開平1−113429号公報 特開平2−182728号公報 特開平4−227731号公報 特開2009−292970号公報 再公表WO2010/090280号公報 再公表WO2011/125832号公報
ところが、上記ポリオルガノシロキサン系有機−無機ハイブリッド材料は、耐熱性は比較的高いものがあるが、UV域での光透過性に関しては課題が多く、含有する有機物や不純物の影響で400nm以下の波長領域での急激な透過率低下が生じることから、青色域まで短波長化したLEDに使用するには問題があった。
また上記有機−無機ハイブリッド材料として、末端シラノール基ポリジメチルシロキサン(以下、PDMSと云う)と金属アルコキシドとの水またはアルコールの生成を伴う縮合反応によって有機−無機ハイブリッドプレポリマーを作製し、該有機−無機ハイブリッドプレポリマーを加熱硬化させることによって有機−無機ハイブリッドポリマーとするものが提案されている。
上記有機−無機ハイブリッド材料に使用するPDMSは、重縮合によって製造されることが一般的で、比較的広い分子量分布を有している。特に分子量を上げるために合成時間を長くすると、温度不均一により生成されるPDMSの分子量にバラツキが生じやすい。即ち、スケールを上げた際に、合成容器内の温度均一性をいかに上げるかが重要となる。
このような広い分子量分布を有するPDMSから得られたプレポリマーの硬化体は、種々の長さの分子鎖が硬化体中に存在することで、光の透過路に均質性が無く光の散乱も生じやすい。したがって、従来の有機−無機ハイブリッド材料は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等と比べて耐熱性や接着性には優れているものの、光取り出し性(光透過率)に関しては満足できるものではなかった。
分子量分布が狭いPDMSを作製する手法には、リビング重合法がある。この手法では、分子量分布の比較的狭いPDMSを作製することが可能であるが、PDMSの合成中に使用するトルエンなどの溶媒や、僅かではあるが原料である低分子シロキサンが残留し、その結果、透過率の低下に繋がってしまう。
また高輝度・高出力のLEDでは、透過率の維持に耐熱性が重要になる。該耐熱性とは、使用上限温度の高さに係る性能のみならず、LEDが使用された製品の使用時における高温度から該製品の停止時における室温への低下の際に生じる温度ギャップに係る性能をも含む。即ち、熱ストレスと呼ばれる現象がもたらす各部材の接着層へのストレスに係る耐熱性である。
LEDを構成する部品は、LEDチップ(素子)、ワイヤーボンディングなどの金属、パッケージのセラミックスや樹脂、封止材樹脂、カバーガラスなどであり、それぞれ異なる線膨張係数を有する。そのため、使用温度が高くなって停止時の温度とのギャップが大きくなるにつれ、異種材料間に生じる熱ストレスは大きくなる。特に、高出力LEDチップの光放射主面が、放熱性の高い材質、例えば、組成式AlX1GaY1InZ1N(但し、X1、Y1、Z1は、X1+Y1+Z1=1を満足する有理数である)で表される単結晶で形成される場合には、この熱ストレスの影響はより大きくなる。一般的に接着層と封止材は該熱ストレスによる影響が大きく、このため高出力LEDでは該熱ストレスに応じた柔軟性を有する樹脂の使用が必要である。なお、光放射主面とは、LEDチップが光を放出する最も広い面積を有する面であり、封止材が接する面である。
また、上記有機−無機ハイブリッド材料に使用するPDMSとテトラアルコキシシラン等の金属アルコキシドを縮合反応させる際、微小クラスターの生成を抑制することが重要である。テトラアルコキシシランのモノマーよりもオリゴマーを用いることによりクラスター生成が低減する傾向にあるが、オリゴマーを用いても上記縮合反応においては、反応性の差からオリゴマー同士の縮合が優先的に生じることも多い。この場合、微小なクラスターが成長し50μm以上の粒子塊となる。この粒子塊は、光学封止材として使用された際、放射束を遮断し封止材内部に蓄熱効果を生じ、長期の放射によって封止材内部に熱ストレスを溜め込む。特に発光部上部は封止材膜厚も薄く、周辺部との膜厚差による内部歪も発生し、封止材の亀裂や破壊、密着性不良による素子やリフレクターからの剥離といった問題が生じる。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、高い紫外光透過率が要求される紫外発光ダイオード(UV−LED)の封止材として有用な有機−無機ハイブリッドポリマーを含む組成物により、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体(多層膜)を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップを封止した紫外発光ダイオードおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。特に、従来の技術では困難であった高輝度・高出力の紫外発光ダイオードチップを封止してなる紫外発光ダイオード、およびその製造方法を提供するものである。
本発明者らの検討の結果、UV光に相当する短波長域の光透過率向上には、主原料である両末端シラノール基ポリジメチルシロキサンの分子量分布と、有機−無機ハイブリッドプレポリマー、熱硬化させて得られた有機−無機ハイブリッドポリマーに残存する芳香族炭化水素系溶剤の含有量が重要であることが見出された。分子量分布の評価には、分子量分布指数として重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が用いられるが、この数値が1.3を超えると220nm以下の波長領域の透過率低下が著しいことが解った。また、1.3を超えると200℃以上の高温下での耐熱維持特性に問題が生じる恐れもある。200℃以上における高温下での耐熱維持特性を鑑みると、分子量分布指数(Mw/Mn)は1.1以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書中において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定した分子量を示す。
また、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下の両末端シラノール基ポリジメチルシロキサンの合成時に用いられるトルエン等の芳香族炭化水素系溶剤は紫外域に吸収を持つため、原料中に残存すると本発明の紫外発光ダイオードの発光効率に影響を及ぼすことも解った。
上記目的を解決するための手段として、本発明は、下記(A)と、下記(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(B)と、が縮合反応することによって生成される有機−無機ハイブリッドプレポリマーであり、さらに芳香族炭化水素系溶剤の含有量が(A)に対して50ppm以下であるもの(C)を含む組成物により、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップを封止した紫外発光ダイオードおよびその製造方法を提供するものである。
(A):両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであって、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下であるもの。
(B−1):テトラアルコキシシランのオリゴマー。
(B−2):(B−1)が有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物。
(B−3):(B−2)同士による、又は(B−2)と(B−1)による縮合反応生成物。なお上記(C)における芳香族炭化水素系溶剤は結局のところ不純物であるので、(A)に対する芳香族炭化水素系溶剤の残存量は20ppm以下であることがさらに望ましく、究極的には0ppmであることが望ましい。
また、上記(B−1)は、直鎖状であって、4量体〜10量体であることが好ましく、不純物として含まれるテトラアルコキシシランモノマー量は10質量%であることが好ましい。
また、上記(A)と上記(B−1)の配合比(モル比)は、(A)/(B−1)で0.1〜2であることが好ましい。
また、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)は、イソプロピルアルコールおよびtert−ブチルアルコールから選ばれた少なくとも1種の有機溶媒の存在下において製造されたものであることが好ましい。
また、本発明の紫外発光ダイオードにおいて、上記有機−無機ハイブリッドポリマー(F)は、0.5mmの厚みの板状体とした場合、厚み方向で波長220nmの光を85%以上透過することが好ましい。
また、本発明の発光ダイオードにおいて、上記紫外発光ダイオードチップの光放射主面が、組成式AlX2GaY2InZ2N(但し、X2、Y2、Z2は、0.5≦X2≦1.0、0.0≦Y2≦0.5、0.0≦Z2≦0.5、X2+Y2+Z2=1を満足する有理数である)で表される単結晶で形成されていることが好ましい。
また本発明の紫外発光ダイオードは、次の工程により製造される。上記紫外発光ダイオードチップを基板上にマウントする工程、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を含む組成物で上記紫外発光ダイオードチップを被覆する工程、上記組成物で被覆した紫外発光ダイオードチップを180〜230℃の温度で加熱処理することにより、該組成物を硬化させる工程。
〔作用〕
本発明において用いられる(A)両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)は、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下の狭い分子量分布を有していることが必要である。
上記PDMS(A)の製法に制約はないが、分子量分布を狭く作製する手法としてはリビング重合法が望ましい。該リビング重合法を用いたPDMSは、分子量分布指数を1.3以下、さらには1.1以下にすることが可能である。なお、当然のことであるが、分子量分布指数の下限値は1.00である。
但し、上記リビング重合法によるPDMS(A)では、分子量分布指数は満足しても、溶剤であるトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系の有機溶剤が残存するので、結果的に200〜300nmの波長領域の光透過性を悪化させるおそれがある。このような低分子成分やUV域に大きな吸収を有する有機溶剤の除去は重要である。原料であるPDMS(A)からの上記低分子成分や溶剤の除去には、蒸留や洗浄などの手法が用いられる。なお一般的な蒸留では、加熱過程でPDMS(A)の縮合が生じ、平均分子量が大幅に上昇してしまうため、PDMS(A)の縮合が生じないように比較的低温で真空蒸留を行うか、薄膜蒸留装置や分子蒸留装置を使用する等のような、原料に熱履歴が残らない手法を用いることが望ましい。
上記PDMS(A)は、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000とされる。数平均分子量(Mn)を10,000〜100,000にすることで、最終的な加熱硬化体(有機−無機ハイブリッドポリマー(F))の硬度を低下させ、柔軟性を付与することが可能となり、引張試験による切断時伸び150%以上の特性を有することが可能となる。このような機械的特性の加熱硬化体は熱ストレスの緩和能力を発揮し、長期にわたって耐熱性を維持することができる。なお、より好ましくは、数平均分子量は15,000〜40,000であり、耐熱維持特性の観点から、数平均分子量は20,000以上がさらに好ましい。分子量分布指数(Mw/Mn)は1.3以下であることが必要であり、1.1以下であることがより好ましい。
本発明では無機成分として、(B−1)テトラアルコキシシランのオリゴマー、(B−2)テトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物、(B−3)テトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物同士による縮合反応生成物、又はテトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物とテトラアルコキシシランのオリゴマーによる縮合反応生成物、の(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(B)が反応に供される。上記PDMS(A)の分子量分布が狭いことに加えて、該PDMS(A)と上記化合物(B)とを縮合反応せしめて生成された有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)は、硬化反応を均質化することが出来、硬化時間も短縮することが出来る。
上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を加熱硬化させる場合は、該有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を有機金属化合物含有溶液(D)の存在下で加熱硬化(150〜180℃、3〜5時間程度)させることができる。また、光透過性の観点から、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)のみを加熱硬化させることもでき、この場合は、より高温の200〜220℃で3〜5時間程度の加熱処理を行うことが好ましい。
また、本発明においては、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)の合成時において縮合反応に用いる触媒の使用量や、上記有機金属化合物含有溶液(D)の存在下で加熱硬化する場合において該有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)の硬化反応に使用する硬化剤の使用量を大幅に削減出来、光透過性の悪化を防止することが可能となる。
〔効果〕
本発明においては、UV域での光透過性が高く、耐熱性(柔軟性)に優れ、熱ストレスによるクラックが発生しにくい硬化体(封止体)となる有機−無機ハイブリッドポリマーで封止した紫外発光ダイオードが提供される。
上記分子量分布が均一なPDMSによる有機−無機ハイブリッド硬化体は、従来の材料に比べて紫外光透過率、耐熱維持性が高く、本発明によれば、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップが好適に封止され、高UV透過性と耐久性を長時間に亘って維持できる、紫外発光ダイオードの提供が可能となる。
本発明で使用する紫外発光ダイオードチップの一例を示す断面図である。 本発明の紫外発光ダイオードの一実施態様を示す断面図である。 分光透過率を示すグラフである。 分光透過率を示すグラフである。
以下に本発明に用いられる封止材について詳細に説明する。
<両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(A)>
本発明に用いられる有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)の合成に使用するポリジメチルシロキサン(PDMS)は、その両末端に下記の化合物(B)と反応可能なシラノール基を有するものであり、下記の一般式で表される。
Figure 0006257446
ここにmは135〜1351の整数である。
上記PDMS(A)には、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000の範囲にあるものを使用する。数平均分子量(Mn)を10,000以上にすることで、本発明に用いられる有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を主剤とする硬化体(封止体:有機−無機ハイブリッドポリマー(F))の機械的特性(柔軟性)を向上させることが可能となり、引張試験による切断時伸び150%以上、好ましくは200%以上の伸びを有するものとなる。その結果、該硬化体(封止体)は高温から低温まで温度変化の熱衝撃緩和を可能とした熱維持性を確保することが出来、硬化体(封止体)自体のクラック発生が低減される。また数平均分子量(Mn)を100,000以下にすることで、高粘度のPDMSを所定の溶媒で希釈する必要がなくなり、該溶媒の揮発による収縮を無くすことができる。耐熱維持特性等を考慮すると、より好ましい数平均分子量は、15,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜40,000である。
上記PDMS(A)には、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下であるものが使用される。なお、上記PDMS(A)の分子量分布指数(Mw/Mn)は、さらに好ましくは1.1以下である。
上記PDMS(A)の分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下であれば、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)の硬化体(有機−無機ハイブリッドポリマー(F))が220nm以上の波長領域で85%以上の光透過率を維持することが可能となる。また、上記PDMS(A)の分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下であると、200℃以上の高温下における耐熱維持特性に優れる有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)の硬化体(有機−無機ハイブリッドポリマー(F))が得られる。
上記PDMS(A)の製法は、特に限定されないが、アルキルリチウムを開始剤として使用し、リビングアニオン重合法によって合成することにより、分子量分布指数(Mw/Mn)が1.3以下、さらには1.1以下といった狭い分子量分布を有するものが作製可能となる。
上記リビングアニオン重合法で製造したPDMS中には、反応時に使用したトルエン等の芳香族炭化水素系溶剤が残存している。該PDMS中に残存しているこの種の有機溶剤は、200〜380nmの波長領域の光透過性を悪化させるおそれがあり、該PDMS中に残存するこの種の有機溶剤を0ppm若しくは限りなく0ppmとするために除去する必要がある。200〜380nmの波長領域の光透過性を良好なものとするには、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)中における芳香族炭化水素系溶剤の残存量を、PDMS(A)に対して50ppm以下にする必要があり、20ppm以下にすることがより好ましい。もちろん、有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)中に残存する芳香族炭化水素系溶剤は、究極的には0ppmであることが最も好ましい。
上記PDMS(A)中からこの種の有機溶剤を除去する方法として、蒸留が挙げられるが、通常の蒸留では加熱過程でPDMS(A)の縮合が生じ、該PDMS(A)の平均分子量が上昇してしまうため、該PDMS(A)の縮合を抑制するという観点から、比較的低温で真空蒸留を行う、或いは薄膜蒸留装置や分子蒸留装置を使用して蒸留を行うことが好ましい。
<平均分子量の測定>
上記PDMS(A)の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を分子量分布指数とした。標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算分子量を測定した。
なおGPC法によるポリスチレン換算分子量測定は、以下の測定条件で行うものとする。
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :テトラヒドロフラン(THF) 1.0mL/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μL
h)濃度 :0.020g/10mL
i)試料調製:2,6−ジ−tert−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
<化合物(B)>
本発明に用いられる有機−無機ハイブリッドプレポリマーの合成に使用する、無機成分をなす化合物(B)としては、ポリジメチルシロキサンの末端シラノール基と円滑に反応することが出来るテトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)が使用される。
上記テトラアルコキシシシランのオリゴマー(B−1)は下記の一般式を有する。
Figure 0006257446
ここに、テトラアルコキシシランのオリゴマーは、直鎖状であることが好ましく、4量体〜10量体であること(式(2)中のnが4〜10の整数であること)が好ましい。また、式(2)中のRは炭素数1〜3のアルキル基を示し、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、反応性および反応制御の観点から、エチル基であることが最も好ましい。
上記PDMS(A)との縮合反応に際して、上記テトラアルコキシシシランのオリゴマー(B−1)は、該オリゴマーが有するアルコキシ基が完全に又は部分的に加水分解されることで、該オリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物(B−2)となり得る。更に上記オリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物(B−2)同士による、又は上記テトラアルコキシシシランのオリゴマー(B−1)と上記オリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物(B−2)とによる、縮合反応生成物(B−3)が存在し得る。これらを考慮し、本発明に用いられる有機−無機ハイブリッドプレポリマーの合成において、無機成分をなす化合物(B)としては、上記(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種が反応に供される。
なお、上記無機成分をなす化合物(B)としてテトラアルコキシシラン単量体を用いた場合、該テトラアルコキシシラン単量体は、単独での重縮合が進行し、網目状の重縮合体を生成してクラスター粒子となり易く、光透過性の低下を招くので、本発明で使用するものとして望ましくない。該テトラアルコキシシラン単量体に比べて上記オリゴマーは、揮発性が低く、反応性が小さく、PDMSとの反応を穏やかに進めることが出来るため、本発明の有機−無機ハイブリッドプレポリマーの合成に使用する無機成分として好適である。但し、該テトラアルコキシシランのオリゴマーは、4量体未満(式(2)中のnが4未満)になると、テトラアルコキシシラン単量体と変わらない反応性を有するようになり、一方で10量体を上回る(式(2)中のnが10を上回る)と、PDMSとの反応性が小さくなる。
上記テトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)には、テトラアルコキシシラン単量体を主とする不純物が含まれている場合があり、該不純物は、最終的に得られる硬化体(有機−無機ハイブリッドポリマー(F))の高光透過性や耐熱・耐候性、機械的特性等に影響を及ぼし、特にテトラアルコキシシラン単量体は、上記したようにクラスター粒子を生成させて光透過性を低下させる。よって、硬化体の高光透過性や耐熱・耐候性、機械的特性等を考慮すると、該テトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)には、可能な限り不純物を含まないもの、つまり純度の高いものを使用することが望ましい。具体的に、該テトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)に含まれるモノマー量(テトラアルコキシシラン単体量)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
<有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)>
〔有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)のゾルの製造〕
本発明においては前記したように、上記PDMS(A)と、テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく上記(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(B)と、を縮合反応させることによって、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップの封止材として好適に使用される有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)が生成される。
上記縮合反応には、通常ジブチル錫ジラウレートやジブチル錫ジ−2−エチルヘキソエート等の有機錫化合物、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド等の有機チタン化合物などといった有機金属縮合触媒が使用され、また加水分解を目的として塩酸等の酸触媒、アンモニア等のアルカリ触媒などを使用することができる。
上記縮合反応を行う際には、上記テトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)の安定的な加水分解を行うために、反応に使用する容器内に不活性ガスを充満した雰囲気下で加熱することによって、加水分解および縮合反応を行うことが望ましい。不活性ガスとしては、窒素ガスや希ガス類である第18族元素(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等)が挙げられる。また、これらガスを複合して用いてもよい。加水分解の方法としては、反応系に適量な水分を滴下あるいは噴霧するか、水蒸気を導入するなど種々の手法を用いることができる。
有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)は、上記不活性ガス雰囲気下で、上記テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく化合物(B)と、上記PDMS(A)とを含有する混合物を上記縮合触媒存在下で縮合反応させることにより得られる。該縮合反応に際しては、上記PDMS(A)と上記化合物(B)とを均一かつ効率良く反応させるため、上記PDMS(A)と上記化合物(B)との縮合反応に際して、イソプロピルアルコールおよび/またはtert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒を共存させることが好ましい。
反応系にイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等を共存させることにより、紫外発光ダイオードの封止材として使用される際、内部歪の原因となる微小クラスターの成長を抑制することができる。イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコールは安全性に優れ、かつ組成物作製後、熱処理によって容易に除去することも可能である。主剤であるPDMS、テトラアルコキシシランオリゴマーの溶解性等を考慮すると、tert−ブチルアルコールがより好ましい。
上記したように、制御された加水分解を受けた上記化合物(B)は、テトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の一部が−OH基になっていると考えられ、不活性ガスの存在下にて加熱することによって、PDMS(A)の両末端に存在するシラノール基と脱水または脱アルコールを伴う縮合反応を起こす。上記テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく化合物(B)を使用すると、テトラアルコキシシラン単量体を使用した場合に起こる単独縮合が加速されることなく、PDMS(A)と上記化合物(B)との縮合反応を円滑に行うことが出来、その上、架橋密度が向上して硬化体の機械的特性が向上する。
また、テトラアルコキシシランに相当する無機成分にジルコニウムやチタンなどの他の金属のアルコキシド類、またはキレート類を用いることで、屈折率などの特性向上も可能であるが、発色しやすい部位を生成してしまうため透過率は決して良くはない。上記PDMS(A)と、上記テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく化合物(B)との反応が均質に進むことに伴い、硬化体も均質となり、高透過率を実現することが可能となる。
上記テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく化合物(B)は、過剰の水分が存在すると、テトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物(B−2)同士の縮合、又はテトラアルコキシシランのオリゴマーが有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物(B−2)とテトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)との縮合を加速してしまい、無機成分のクラスターを形成しやすくなる。よって上記PDMS(A)と上記テトラアルコキシシランのオリゴマーに基づく化合物(B)とを均一に反応させて有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を安定的に合成するには、水分量を厳密に管理した不活性ガス雰囲気下とすることが極めて重要となる。
〔配合比〕
上記PDMS(A)と、上記化合物(B−1)との配合比((A)/(B−1))は、モル比で0.1〜2の範囲(PDMS(A)が1molに対して、化合物(B−1)を0.5〜10mol添加)に設定されることが好ましく、モル比で0.2〜1の範囲(PDMS(A)が1molに対して、化合物(B)を1〜5mol添加)に設定されることがより好ましい。
(A)/(B−1)のモル比が上記の範囲であれば、縮合反応が円滑に行われ、反応中または反応後のゲル化が起こりにくくなり、したがってゲル化物の生成も起こりにくくなり、低分子量シロキサンの残留が無い安定したゾルが得られる。なお、ここで言うモル比とは、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてゲルパーミュエーションクロマトグラフ(GPC法)により測定したPDMSの数平均分子量(Mn)と、テトラアルコキシシランのオリゴマーの純度と平均分子量に基づいて計算したモル比である。
<有機金属化合物含有溶液(D)>
本発明に用いられる有機−無機ハイブリッドポリマー(F)を好適に得るべく、上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)に有機金属化合物含有溶液(D)を混合することができる。該有機金属化合物含有溶液(D)には、通常、後述する有機金属化合物(E)を溶媒に溶解させて得られたものを使用すればよい。
〔有機金属化合物(E)〕
本発明に用いられる有機金属化合物含有溶液(D)で使用する有機金属化合物(E)は、通常のPDMSの硬化剤として使用されるものを用いることができ、例えばSn系、Ti系、Al系、Zn系、Zr系、Bi系等の有機金属化合物のうち少なくとも1種または2種以上が選択される。
上記有機金属化合物(E)としては、上記金属の有機酸塩(特にカルボン酸塩)、アルコキシド、アルキル金属化合物、アセチルアセトナート錯体、エチルアセトアセテート錯体、金属アルコキシドのアルコキシ基の一部がアセチルアセトナート又はエチルアセトアセテートで置換された金属錯体等があり、具体的には、例えば、オクチル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトナート、チタニウムジ−2−エチルへキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトナート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)等が例示される。
上記有機金属化合物は、UV波長域の光透過率を考慮すると、分子内にπ共役系を持たない化合物であることが好ましい。
さらに、硬化体である有機−無機ハイブリッドポリマー(F)の表面から内部に亘って均一な分子構造とするため、2−エチルヘキサン酸ジルコニル等のカルボン酸ジルコニとオクチル酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛を併用することが特に好ましい。
〔溶媒〕
本発明に用いられる有機金属化合物含有溶液(D)で使用する上記溶媒としては、短波長の光透過に影響しない有機溶媒が好ましく、また、PDMS(A)および化合物(B)の溶解性も良好なtert−ブチルアルコールが好ましい。
〔PDMSの混合〕
本発明に用いられる有機金属化合物含有溶液(D)は、上記有機金属化合物(E)とPDMSとの混合物を含むものとすることができる。この有機金属化合物(E)との混合に用いるPDMSとしては、上記プレポリマーの合成に使用されたPDMS(A)と同じものが好ましい。
〔希釈剤〕
上記有機金属化合物含有溶液(D)における上記有機金属化合物(E)と希釈剤との混合比率は、通常は、質量比で3:97〜50:50に設定されることが望ましい。ここで希釈剤とは、tert−ブチルアルコール等の上記有機溶媒、PDMS、テトラアルコキシシランのオリゴマー等、有機金属化合物含有溶液(D)中の上記有機金属化合物(E)以外の成分をいう。上記有機金属化合物(E)の比率が上記範囲よりも少ない場合には、上記有機金属化合物(E)の硬化剤としての効果を顕著に発揮することが出来なくなり、上記範囲を上回ると上記有機金属化合物含有溶液(D)が不安定になる。
<有機−無機ハイブリッドポリマー(F)>
本発明に用いられる封止材としての有機−無機ハイブリッドポリマー(F)は、上記プレポリマー(C)のゾルのみを加熱硬化させる、又は上記プレポリマー(C)のゾルを、上記有機金属化合物含有溶液(D)と混合して該有機金属化合物含有溶液(D)の存在下にて加熱硬化させることによって得られた硬化体である。
上記プレポリマー(C)に使用された上記PDMS(A)の分子量分布指数(Mw/Mn)を1.3以下、好ましくは1.1以下としたことにより、上記化合物(B)との縮合反応を円滑に完了することができるため、該ポリマー(F)の加熱硬化を従来よりも効率よく進行させることが可能である。さらに上記プレポリマー(C)のゾルを上記有機金属化合物含有溶液(D)の存在下で加熱硬化させる場合、低温、短時間での処理が可能となる。
〔混合比率〕
上記プレポリマー(C)と、上記有機金属化合物含有溶液(D)とを混合してポリマー(F)を得る場合、上記プレポリマー(C)と上記有機金属化合物含有溶液(D)との混合比率は、一般に(C):(D)の質量比として、100:0.1〜100:20の範囲に設定されることが望ましい。上記有機金属化合物含有溶液(D)の比率が上記範囲よりも下回ると、上記プレポリマー(C)の硬化反応の均質化効果が不充分となり、また上記有機金属化合物含有溶液(D)の比率が上記範囲を越えると、耐熱性(重量減少)が低下する。
<紫外発光ダイオードチップ>
本発明において、発光ダイオードチップは、発光ピーク波長が220〜350nmの範囲にある紫外光を放射するものである。
本発明で使用する紫外発光ダイオードチップは、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体(多層膜)を有する。該紫外発光ダイオードは、上記積層構造体部分を有するものであれば、特に制限されるものではないが、以下の構成からなることが好ましい。具体的には、基板、基板上に成長された前記積層構造体、さらに積層構造体上に形成された電極からなることが好ましい。つまり、基板上に、複数の単結晶層を成長させて積層した積層構造体を形成し、その後、積層構造体上に電極を形成することにより、紫外発光ダイオードチップを製造できる。以下、本発明で使用する紫外発光ダイオードチップの代表例を、図1を用いて説明する。
なお、図2は、紫外発光ダイオードチップを有機−無機ハイブリッドポリマー(F)で封止した紫外発光ダイオードの概略図である。紫外発光ダイオード1は、紫外発光ダイオードチップ2、有機−無機ハイブリッドポリマー(F)3を備える。
〔基板〕
紫外発光ダイオードチップ2を製造する際、基板4は、その上に複数の単結晶層が積層された積層構造体を形成するために使用される。積層構造体自体で自立できる程度の強度を有する場合には、基板は除去することができる。また、積層構造体自体で自立できない場合には、紫外発光ダイオード2は基板4上に多層膜を有する積層構造となり、フリップチップ接続を採用する際には、積層構造体が存在しない反対側の面が光放射主面となる。
そのため、基板4は、その表面に、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層がエピタキシャル成長できものでなければならない。具体的には、市販のサファイア、SiC(炭化ケイ素)、Si(シリコン)、組成式AlX1GaY1InZ1N(但し、X1、Y1、Z1は、X1+Y1+Z1=1を満足する有理数である)で表される単結晶基板であることが好ましい。その中でも、高品質の積層構造体を形成することを考慮すると、基板は、組成式AlX1GaY1InZ1N(但し、X1、Y1、Z1は、X1+Y1+Z1=1を満足する有理数である)で表される単結晶基板であることが好ましい。なお、この基板は、紫外光の透過性が低い場合は、研磨等により薄膜化してもよい。
また、組成式AlX1GaY1InZ1Nで表される単結晶基板の中でも、格子整合性、及び屈折率の観点から、組成式AlX2GaY2InZ2N(但し、X2、Y2、Z2は、0.5≦X2≦1.0、0.0≦Y2≦0.5、0.0≦Z2≦0.5、X2+Y2+Z2=1を満足する有理数である)で表される単結晶基板であることがより好ましい。その中でも、窒化アルミニウム(AlN)からなる単結晶基板であることが好ましい。そして、この組成式AlX2GaY2InZ2Nで表される単結晶基板(AlN単結晶基板を含む)は、c面を主面(積層構造体が形成される面)とすることが好ましい。なお、当然のことであるが、組成式AlX2GaY2InZ2Nで表される単結晶基板を有したままフリップチップ接続した場合には、光放射主面は組成式AlX2GaY2InZ2Nで表される単結晶で形成される。AlN単結晶基板を有したままフリップチップ接続した場合には、光放射主面は組成式AlN単結晶で形成される。
さらに、研磨等の工程を短くすることができ、生産性を向上するためには、紫外光の透過性がよい単結晶基板が好ましい。具体的には、220nmの紫外光の透過率(ただしここでは外部透過率、基板厚さ100μmの場合)が40%以上となる基板が好ましい。上記の通り、フリップチップ接続を行った場合、基板が光放射主面を有することになるため、紫外光の透過率が高い基板であることが好ましい。
下記に詳述するが、フリップチップ接続を行った場合、積層構造体が形成された反対の面が光放射主面となる。すわなち基板が存在する場合には、光放射主面は基板となり、紫外光の透過率が高い基板であることが好ましい。基板を除去した場合には光放射主面は以下に詳述する積層構造体を構成する単結晶層の面となる。なお、光放射主面が組成式AlX1GaY1InZ1Nで表される単結晶で形成されることにより、発光層からの光取出し性能が向上するが、光放射主面(基板)からの熱放射性も高くなる。そのため、耐熱性に優れる上記有機−無機ハイブリッドポリマー(F)で封止することが重要となる。
この組成式AlX1GaY1InZ1Nで表される単結晶基板は、公知の方法で製造できる。例えば、AlN単結晶基板は、昇華法、HVPE法等の方法により作製できる。昇華法により作製されたAlN単結晶基板において、紫外光の透過性が低いものについては、積層構造体を形成した後に研削し、薄膜化または除去してもよい。これに対し、HVPE法(ハイドライド気相成長法)によって作製されたAlN単結晶基板は紫外光の透過性が高い。そのため、多層膜成長後にそのまま使用することも可能である。
なお、積層構造体を形成するために使用した基板は、積層構造体が自立できる十分な厚みを有する場合には、上記の通り、該基板を薄膜化したり、取り除くこともできる。また、基板の光放射主面には、光取出し効率を上昇させるため、微細な周期構造を付与することもできる。
〔積層構造体〕
複数の単結晶層が積層された積層構造体5は、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層を複数有し、前記基板上で成長することができる。次の各層に限定されるわけではないが、積層構造体は、n型層、発光層、電子ブロック層、およびp型層がこの順で積層された積層構造を有することが好ましい。これら各層は単結晶層である。以下で説明する各層は、公知の方法で製造することができ、MOCVD法により製造することが好ましい。
〔n型AlGaInN層〕
n型AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)層6は、n型不純物を含むことが好ましい。
不純物としては特に限定されるものではないが、Si、Ge、Snなどが挙げられ、好ましくはSi、Geである。n型不純物の濃度は1.0×1017/cm以上1.0×1020/cm以下、結晶性、コンタクト特性の両観点から、好ましくは、1.0×1018/cm以上1.0×1019cm以下である。
また、n型AlGaInN層の膜厚は100nm以上10000nm以下である。結晶性、n型AlGaInN層の導電性の両観点から、好ましくは500nm以上3000nm以下である。
なお、図1には示していないが、基板4とこのn型AlGaInN層6との間には、AlN、またはn型AlGaInN層を形成するIII族窒化物と同組成のバッファ層を有していてもよい。このn型AlxGayInzN層は、基板を除去した場合には光放射主面となる(組成式AlX1GaY1InZ1Nで表される単結晶を成長基板に用いて形成される光放射主面は、組成式AlGaInNで表され、n型不純物を含む、n型AlGaInN単結晶からなる光放射主面となる。)。
また、220〜350nmの発光波長を放射するためには、n型AlGaInN層は、n型AlX3GaY3InZ3Nの組成式で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、n型AlX3GaY3InZ3N(但し、X3、Y3、Z3は、0.0≦X3≦0.8、0.2≦Y3≦1.0、0.0≦Z3≦0.8、X3+Y3+Z3=1を満足する有理数である。)層であることが好ましい。また、この範囲の組成を満足するn型AlX3GaY3InZ3N層であれば、n型層は多層構造であってもよい。なお、基板を除去してフリップチップ接続した場合には、光放射主面は、このn型AlX3GaY3InZ3Nで表される単結晶から形成される。
〔発光層〕
発光層7は、量子井戸構造を有している。つまり、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される井戸層8と障壁層9から構成される。
井戸層8は、AlX4GaY4InZ4Nの組成式で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、AlX4GaY4InZ4N(X4、Y4、Z4は、0.0≦X4<0.8、0.2≦Y4≦1.0、0.0≦Z4≦0.8、X4+Y4+Z4=1を満足する有理数である)層であることが好ましい。
また、障壁層9は、井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなることが好ましい。AlX5GaY5InZ5Nの組成式で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、AlX5GaY5InZ5N(X5、Y5、Z5は、0.0<X5≦0.8、0.2≦Y5<1.0、0.0≦Z5<0.8、X5+Y5+Z5=1を満足する有理数である)層であることが好ましい。
井戸層の膜厚は1nm以上であり、好ましくは2nm以上であり、上限は100nmである。障壁層の膜厚は1nm以上であり、好ましくは2nm以上であり、上限は1μmである。発光層は、単一量子井戸構造であっても、多重量子井戸構造であってもよい。
(電子ブロック層)
電子ブロック層10は、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。また、電子ブロック層は、障壁層9、および下記に詳述するp型クラッド層12よりもバンドギャップエネルギーが大きくなることが好ましい。AlX6GaY6InZ6Nの組成で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、AlX6GaY6InZ6N(X6、Y6、Z6は、0.1≦X6≦1.0、0.0≦Y6≦0.9、0.0≦Z6≦0.9、X6+Y6+Z6=1を満足する有理数である)層であることが好ましい。
電子ブロック層の膜厚は、1nm〜50nmであることが好ましい。また、この電子ブロック層中には、下記のp型AlGaInN層で説明する不純物が含まれてもよい。
〔p型AlGaInN層〕
p型AlGaInN層11は、特に制限されるものではないが、複数層であることが好ましい。具体的には、p型クラッド層12、p型コンタクト層13から構成されることが好ましい。なお、p型コンタクト層13上にp型電極14(正電極)が形成される。
p型クラッド層12は、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。p型クラッド層12は、p型AlX7GaY7InZ7Nの組成式で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、p型AlX7GaY7InZ7N(X7、Y7、Z7は、0.0≦X7≦0.8、0.2≦Y7≦1.0、0.0≦Z7≦0.8、X7+Y7+Z7=1を満足する有理数である)層であることが好ましい。
p型クラッド層12の不純物としては、Mgが好適に挙げられる。Mgのドーピング濃度は1.0×1016/cm以上、好ましく1.0×1017/cm以上であり、上限値は1.0×1021/cmである。p型クラッド層の膜厚は、5nm以上1000nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下である。
p型コンタクト層13は、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層である。p型コンタクト層13は、p型AlX8GaY8InZ8Nの組成式で表した場合、以下の組成となることが好ましい。すなわち、p型AlX8GaY8InZ8N(X8、Y8、Z8は、0.0≦X8≦0.7、0.3≦Y8≦1.0、0.0≦Z8≦0.7、X8+Y8+Z8=1を満足する有理数である)層であることが好ましい。
p型コンタクト層の不純物としては、p型クラッド層と同様Mgが好適に挙げられる。Mgのドーピング濃度は1.0×1017/cm以上であり、上限値は1.0×1021/cmである。p型コンタクト層の膜厚は、紫外光の透過性とコンタクト特性の観点から、1nm以上50nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下である。
p型コンタクト層の組成は、コンタクト特性の観点から、上記組成の中でも、GaN(Y8=1)とすることが望ましい。ただし、GaNは波長365nmに吸収端を持つため、GaN層の膜厚が厚過ぎると、深紫外領域の光を透過しなくなる。一方、GaN層の膜厚が薄過ぎると十分に電流が拡がらず、紫外発光ダイオードチップの電気特性が悪化するおそれがある。そのため、p型コンタクト層がGaNからなる場合であっても、膜厚は、1nm以上50nm以下であることが好ましく、5nm以上30nm以下であることがより好ましい。
〔電極〕
負電極(n型電極)
負電極15は、n型AlGaInN層6の露出面に形成される。前記n型AlGaInN層の露出面は、エッチングにより形成できる。エッチングの手法としては、反応性イオンエッチング、誘導結合プラズマエッチング等のドライエッチングが挙げられる。前記n型AlGaInN層の露出面を形成後、エッチングのダメージを除去するため、酸またはアルカリの溶液で表面処理を施すことが好ましい。その後、前記n型AlGaInN層の露出面にオーミック性を有する負電極を形成する。
電極のパターンニングは、公知の方法を採用できる。例えば、リフトオフ法を用いて実施できる。リフトオフ法で負電極金属を堆積する手法は、真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられるが、電極金属中の不純物を排除するため真空蒸着が好ましい。
負電極に用いられる材料は、特に制限されるものではなく、例えば、Ti、Al、Rh、Cr、In、Ni、及びPt、Au等である。中でも、Ti、Al、Rh、Cr、Ni、Auを使用することが好ましい。これら負電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む層を有する単層、又は多層構造であってもよく、オーミック性および反射率の観点から好ましい組み合わせは、Ti/Al/Auである。
負電極の厚みは、特に制限されるものではないが、生産の安定性を考えると2nm以上が好ましく上限は2μmである。負電極金属を堆積後、n型層とのコンタクト性向上のため、300℃〜1100℃の温度で30秒〜3分間熱処理を施すことが好ましい。熱処理の温度、時間については、負電極の金属種、膜厚に応じて適宜最適な条件で実施すればよい。
正電極(p型電極)
正電極14は、p型コンタクト層13上に形成される。正電極のパターニングは、負電極のパターニング同様、リフトオフ法を用いることが好ましい。正電極に用いられる金属材料は、特に制限されるものではなく、例えば、Ni、Cr、Au、Mg、Zn、及びPd等である。また、正電極は、これらの金属の合金または酸化物を含む層を有する単層、又は多層構造であってもよい、好ましい組み合わせは、Ni/Auである。
正電極の金属を堆積する方法は、負電極の形成と同様、真空蒸着、スパッタリング、化学気相成長法等が挙げられるが、電極金属中の不純物を排除するため真空蒸着が好ましい。正電極金属を堆積後、p型コンタクト層とのコンタクト性向上のため、200℃〜800℃の温度で30秒〜3分間熱処理を施すことが好ましい。熱処理の温度、時間については、正電極の金属種、膜厚に応じて適宜好適な条件で実施すればよい。
以上のような層を有する紫外発光ダイオードチップは、基板上に各層、電極を形成した後、スクライビング、ダイシング、レーザ溶断等の分離方法で分離して、1つのチップとすることができる
<紫外発光ダイオードの製造>
図2は、紫外発光ダイオードチップを有機−無機ハイブリッドポリマー(F)で封止した紫外発光ダイオードの概略図である。紫外発光ダイオード1は、紫外発光ダイオードチップ2を有機−無機ハイブリッドポリマー(F)3で封止したものであり、実装基板16を備える。
上記有機−無機ハイブリッドポリマー(F)を封止材として使用することにより、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである長寿命の紫外発光ダイオードを製造することができる。
本発明の紫外発光ダイオードは、基板上面に発光ダイオードチップをマウントし、基板表面に設けられた端子と該発光ダイオードチップに設けられた端子とを結線(ワイヤーボンディング)により電気的に接続し、該発光ダイオードチップとともに該結線も該封止材によって被覆される。このとき、該封止材中に気泡が入らないように注意が必要であり、封入後には素早く真空脱泡処理をすることが望ましい。これを180〜230℃の温度で加熱処理することにより、該封止材を0.5mmの厚みの板状体とした場合、厚み方向で波長220nmの光を85%以上透過する、高い紫外光透過性を有する封止材を備えた紫外発光ダイオードを得ることができる。
なお、近年、紫外発光ダイオードチップの上部に光拡散を目的に拡散ガラスやセラミックスを配置するLED構造体もあり、その際に封止材は、該拡散ガラスや該セラミックスの接着層を兼ねることになる。
発光ダイオードチップと実装基板表面に設けられた端子の接続には、該発光ダイオードチップの電極面をマウント側に向けるフリップチップ接続を採用できる。フリップチップ接続を行うことにより、発光層で発生した熱を効率的に実装基板に伝えることができ、紫外発光ダイオードの長寿命化につながる。また、発光層から放射された光を電極によって遮ることなく、光放射主面側に取り出すことが可能となる。
フリップチップ接続を行った場合、紫外発光ダイオードチップ2の光放射主面は基板4の面、基板を除去した場合は上記積層構造体を構成する単結晶層の面となる。光放射主面が基板の面の場合、基板は、AlGaInN積層構造体と屈折率が近い方が好ましい。つまり、基板と積層構造体との屈折率が近い場合には、発光層から放射された光をより多く封止材側へ取り出すことができる。
この点からも、該基板は、一般的に用いられるサファイア基板等よりも、屈折率が積層構造体に近い、組成式AlX2GaY2InZ2N(但し、X2、Y2、Z2は、0.5≦X2≦1.0、0.0≦Y2≦0.5、0.0≦Z2≦0.5、X2+Y2+Z2=1を満足する有理数である)で表される単結晶基板を用いることが好ましい。そして、このような組成の単結晶基板からなる光放射主面は、サファイア基板等よりも熱伝導性がよいため、高輝度・高出力のLEDを作製した際の表面の温度が高くなり、その熱を封止材に伝えやすくなる。そのため、このような単結晶基板を備えた紫外発光ダイオードチップを使用する場合には、耐熱性の高い、上記有機−無機ハイブリッドポリマー(F)が必要となる。
本発明に係る紫外発光ダイオードは、発光ピーク波長が220〜350nmの紫外光が長期に渡って発せられても、該封止材の透明性および透光性を維持することができる。さらに、150℃〜200℃の高温下の環境においても、本発明に用いられる封止材料は、UV−LED発光素子の半導体素子やワイヤーボンディングから発する熱による割れ(クラック)や剥離という破壊現象が発生せず、素子の破壊や、ワイヤーボンディングの断線、絶縁性が劣化するという問題が発生しないので、高品質な半導体素子を提供することができる。
以下実施例を用い、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
なお、実施例における「部」、「%」は特記のない限りいずれも質量基準(質量部、質量%)である。またPDMS中のトルエン含有量は、ガスクロマトグラフィーで測定した。
[実施例1〜4]
〔プレポリマー(C)のゾル液の調製〕
攪拌装置、温度計、滴下ラインを取り付けた反応容器に、窒素ガスを十分に充満させた。このとき、窒素ガスとして、窒素ガス製造装置(ジャパンユニックス社製UNX−200)によって製造したものを用いた。次に、上記窒素ガスを十分に充満させた上記反応容器内に、両末端にシラノール基を有するPDMS(A)と、テトラアルコキシシランのオリゴマー(B−1)と、溶媒とを投入し、室温で30分間攪拌した。次いで縮合触媒を投入した後、室温から140℃まで10℃/分の速度で昇温し、さらに140℃で1時間反応させた。その後室温まで自然放冷し、プレポリマー(C)のゾル液を得た。上記反応の間、窒素ガスは流し続けた。なお、各実施例で使用したPDMS(A)及びオリゴマー(B−1)の種類、質量と、それぞれのモル比、溶媒、縮合触媒とその添加量は、下記の通りである。
(実施例1)
PDMS(A);JNC社製、FM9926(分子蒸留装置による溶媒除去処理品)、数平均分子量(Mn)=23,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.10、トルエン含有量=10ppm未満。
オリゴマー(B−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(A)が85.0g、オリゴマー(B−1)(シリケート45)が15.0gで、FM9926に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比が1:3。
溶媒;tert−ブチルアルコール 150g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.01g。
(実施例2)
PDMS(A);JNC社製、FM9927(分子蒸留装置による溶媒除去処理品)、数平均分子量(Mn)=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09、トルエン含有量=10ppm未満。
オリゴマー(B−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(A)が88.8g、オリゴマー(B−1)(シリケート45)が11.2gで、FM9927に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:3。
溶媒;tert−ブチルアルコール 112g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.01g。
(実施例3)
PDMS(A);JNC社製、FM9926(分子蒸留装置による溶媒除去処理品)、数平均分子量(Mn)=23,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.10、トルエン含有量=10ppm未満。
オリゴマー(B−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(A)が81.0g、オリゴマー(B−1)(シリケート45)が19.0gで、FM9926に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:4。
溶媒;tert−ブチルアルコール 190g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.01g。
(実施例4)
PDMS(A);JNC社製、FM9927(分子蒸留装置による溶媒除去処理品)、数平均分子量(Mn)=32,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.09、トルエン含有量=10ppm未満。
オリゴマー(B−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(A)が88.8g、オリゴマー(B−1)(シリケート45)が11.2gで、FM9927に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:3。
溶媒;tert−ブチルアルコール 112g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.01g。
〔有機金属化合物含有溶液(D)の調製〕
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)と、有機金属化合物(E)と、溶媒とを、上記プレポリマー(C)とは別の反応容器に投入し、60℃に加熱して大気下で30分間撹拌し、有機金属化合物含有溶液(D)を得た。なお、各実施例で使用したPDMS、有機金属化合物(E)、溶媒とそれぞれの添加量は、下記の通りである。
(実施例1)
PDMS;上記〔プレポリマー(C)のゾル液の調製〕(実施例1)で使用したものと同じ 27.2g。
有機金属化合物(E);オクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチックス亜鉛 Zn:18%)1.24g、および2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業製 ニッカオクチックスジルコニウム Zr:12%)1.55g。
溶媒;tert−ブチルアルコール 3.0g
(実施例2)
PDMS;上記〔プレポリマー(C)のゾル液の調製〕(実施例2)で使用したものと同じ 28.2g。
有機金属化合物(E);オクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチックス亜鉛 Zn:18%)0.80g、および2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業製 ニッカオクチックスジルコニウム Zr:12%)1.00g。
溶媒;tert−ブチルアルコール 3.0g
〔混合物(F’)の調製〕
上記プレポリマー(C)のゾル液と、上記有機金属化合物含有溶液(D)とを所定の質量比で混合し、混合物(F’)を得た。
なお実施例3、4については、上記有機金属化合物含有溶液(D)を混合せず、上記プレポリマー(C)のゾル液のみを単独で用いた。
なお、各実施例における上記プレポリマー(C)のゾル液と、上記有機金属化合物含有溶液(D)との質量比は、(C):(D)の質量比で、下記の通りである。
(実施例1); 100:10(質量比)
(実施例2); 100:5 (質量比)
[比較例1〜3]
〔プレポリマー(c)のゾル液の調製〕
上記実施例1〜4と同条件の反応容器に両末端にシラノール基を有するPDMS(a)と、テトラアルコキシシランのオリゴマー(b−1)と、溶媒とを投入し、室温で30分間攪拌した。次いで縮合触媒を投入した後、室温から140℃まで10℃/分の速度で昇温し、さらに140℃で1時間反応させた。その後室温まで自然放冷し、プレポリマー(c)のゾル液を得た。上記反応の間、窒素ガスは流し続けた。なお、各比較例で使用したPDMS(a)及びオリゴマー(b−1)の種類、質量と、それぞれのモル比、溶媒、縮合触媒とその添加量は、下記の通りである。
(比較例1)
PDMS(a);モメンティブ社製 XF3905、数平均分子量(Mn)=20,000)、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.47、トルエン含有量=10ppm未満。
オリゴマー(b−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(a)が78.7g、オリゴマー(b−1)(シリケート45)が21.3gで、XF3905とシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:4。
溶媒;tert−ブチルアルコール 213g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.02g。
(比較例2)
PDMS(a);モメンティブ社製、YF3800、数平均分子量(Mn)=6,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.81、トルエン含有量:10ppm未満。
オリゴマー(b−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(a)が81.6g、オリゴマー(b−1)(シリケート45)が18.4gで、YF3800に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:1。
溶媒;tert−ブチルアルコール 184g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.05g。
(比較例3)
PDMS(a);JNC社製、FM9926の残留溶媒未処理品、数平均分子量(Mn)=22,000、分子量分布指数(Mw/Mn)=1.15、トルエン含有量=100ppm。
オリゴマー(b−1);エチルシリケート、多摩化学工業株式会社製、シリケート45:テトラエトキシシランの直鎖状8〜10量体であるオリゴマー(オリゴマー純度:95質量%)、平均分子量=1282。
モル比;PDMS(a)が84.5g、オリゴマー(b−1)(シリケート45)が15.5gで、FM9926に対するシリケート45のオリゴマー純分のモル比は1:3。
溶媒;tert−ブチルアルコール 155g。
縮合触媒;ジブチル錫ジラウレート 0.02g。
〔有機金属化合物含有溶液(d)の調製〕
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)と、有機金属化合物(e)と、溶媒とを、上記プレポリマー(c)とは別の反応容器に投入し、60℃に加熱して大気下で30分間撹拌し、有機金属化合物含有溶液(d)を得た。なお、各比較例で使用したPDMS、有機金属化合物(e)、溶媒とそれぞれの添加量は、下記の通りである。
(比較例1)
PDMS;上記〔プレポリマー(c)のゾル液の調製〕(比較例1)で使用したものと同じ 28.1g。
有機金属化合物(e);オクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチックス亜鉛 Zn:18%)0.80g、および2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業製 ニッカオクチックスジルコニウム Zr:12%)1.10g。
溶媒;tert−ブチルアルコール 3.0g
(比較例2)
PDMS;上記〔プレポリマー(c)のゾル液の調製〕(比較例2)で使用したものと同じ 22.4g。
有機金属化合物(e);オクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチックス亜鉛 Zn:18%)3.39g、および2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業製 ニッカオクチックスジルコニウム Zr:12%)4.25g。
溶媒;tert−ブチルアルコール 3.0g
(比較例3)
PDMS;上記〔プレポリマー(c)のゾル液の調製〕(比較例3)で使用したものと同じ 27.2g。
有機金属化合物(e);オクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチックス亜鉛 Zn:18%)1.24g、および2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業製 ニッカオクチックスジルコニウム Zr:12%)1.55g。
溶媒;tert−ブチルアルコール 3.0g
〔混合物(f’)の調製〕
上記プレポリマー(c)のゾル液と、上記有機金属化合物含有溶液(d)とを所定の質量比で混合し、混合物(f’)を得た。なお、各比較例における上記プレポリマー(c)のゾル液と、上記有機金属化合物含有溶液(d)との質量比は、(c):(d)の質量比で、下記の通りである。
(比較例1); 100:10(質量比)
(比較例2); 100:15(質量比)
(比較例3); 100:10(質量比)
[光透過率の評価]
〔評価用サンプルの作製〕
上記実施例1、2の混合物(F’)をそれぞれ石英ガラスの間に0.5mmの厚みで挟み、180℃で5時間加熱して硬化させ、硬化体であるポリマー(F)が2枚の石英ガラスで挟み込まれた評価用サンプルを作製し、各実施例の試料とした。上記実施例3、4については、有機金属化合物含有溶液(D)を混合せず、プレポリマー(C)のみを実施例1、2と同様に2枚の石英ガラスの間に挟み、220℃で5時間加熱して硬化させた。上記各比較例の混合物(f’)についても、上記実施例1、2と同様にして硬化させ、硬化体であるポリマー(f)からなる評価用サンプルを作製し、各比較例の試料を得た。
〔測定方法〕
実施例1〜4、比較例1〜3の各試料について、分光光度計U−4100(日立社製)を使い、波長200nm〜800nmでの透過率を測定した。その結果を実施例1〜4については図3のグラフ、実施例1と比較例1〜3については図4のグラフに示す。なお、上記透過率は、予めリファレンスとして石英ガラスの透過率を測定しておき、測定結果から該リファレンス分を引いて得た値とした。
〔光透過率の評価結果〕
図3のグラフより、分子量分布指数が1.09および1.10の実施例1〜4は、光透過性に優れていることが示された。220nmでの透過率はいずれも88%以上であり、200nmにおいても70%以上であった。
図4のグラフより、比較例1、2、3は200nmでの透過率が数%から20%以下、220nmでの透過率がそれぞれ77%、45%、43%であるのに対し、実施例1は200nmでの透過率が89%、220nmでの透過率が95%、300nmでの透過率が98%であり、それ以上の波長での透過率が略100%であることが分かる。よって、分子量分布指数が1.10のPDMSを使用した実施例1(図4中の実線)は、分子量分布指数が1.47および1.81のPDMSを使用した比較例1、2(図4中の一点鎖線、点線)に比べ、あらゆる波長域で光透過性に優れることが示された。また図4のグラフより、比較例3(図4中の破線)はトルエンの残存によりUV域の吸収が大きく、実施例1と比較して220nmでの光透過性が43%と悪く、UV光透過性に劣ることが分かる。
[重量減少率の評価]
〔評価用シートの作製〕
上記各実施例1、2の混合物(F’)、各実施例3、4のプレポリマー(C)および各比較例1、2の混合物(f’)をPFAで表面処理を施した金型(15cm□)に、仕上がり時4mmの厚みになるように注入し、常温〜200℃まで8時間かけて昇温した後、200℃で2時間保持の乾燥焼成処理を行った。その後、金型から脱離し、評価用シート(縦150mm×横150mm×厚さ4mm)とした。
〔評価方法〕
各評価用シートを、対流式の乾燥炉にて大気中200℃の環境下に1,000時間保管し、評価開始前と1,000時間経過後の質量を電子天秤で測定し、重量減少率を算出した。
実施例1、2の混合物(F’)、実施例3、4のプレポリマー(C)から得た評価シートの減少率は、それぞれ6%、5%、4%、4%であった。PDMSの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.10(実施例1、3)および1.09(実施例2、4)であるこれら実施例シートは、200℃で1,000時間保管後も、ほとんど重量減少しておらず、耐熱性が十分高いことが示された。
一方、比較例1、2の混合物(f’)から得た評価シートの減少率は、それぞれ20%、36%であった。PDMSの分子量分布指数(Mw/Mn)が1.47(比較例1)および1.81(比較例2)であるこれら比較例シートにおいては、200℃で1,000時間保管後大きな重量変化が認められ、耐熱性に劣ることが分かった。特に比較例2のシートは割れを生じ、分子量が小さいことによる柔軟性不足も示された。
〔まとめ〕
以上の結果を各実施例、比較例の材料の特徴と共に表1に示す。本発明に係る実施例1〜4のハイブリッド材料は、従来の比較例1、2の材料に比べ、UV域(220nm)を含めた略全ての波長域で光透過性が高く、特性として上回っていることがわかる。そして、実施例1〜4のように分子量が揃った(つまり分子量分布指数が1.3以下、さらには1.1下)PDMSを使用することで、高耐熱性と高光透過性を実現でき、光を均質に透過するハイブリッド材料が得られる。
また比較例3については、UV域(220nm)での光透過性が43%であり、実施例1に比べて劣るため、PDMS中のトルエン含有量を低減することが望ましいことが示された。結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006257446
[紫外発光ダイオードによる光出力の評価]
(紫外発光ダイオードチップ2の作製)
先ず、図1で示した紫外発光ダイオードチップ2を以下の方法で作製した。基板4は、Applied Physics Express 5(2012)122101に記載の方法に準じて、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)法により製造した。
具体的には、基板4として、HVPE法により、Φ25mm、厚さ100μmのC面を積層構造体の多層膜成長面として有する窒化アルミニウム単結晶基板(AlN単結晶基板)を用いた。該基板4を一辺7mm角に切断し、MOCVD法により、まずn型AlGaInN層6として、SiをドープしたAl0.75Ga0.25N層(Si濃度1.0×1019/cm)を膜厚1.0μmとなるように形成した。n型AlGaInN層6上に、発光層7を量子井戸構造として、障壁層9(組成Al0.75Ga0.25N)を膜厚7nm、井戸層8(組成Al0.5Ga0.5N)を膜厚2nmで形成した。そして、障壁層は5層、井戸層は4層形成した。(図1には障壁層9が2層、井戸層8が1層の例しか示していない。)発光層7上に、電子ブロック層10として、MgをドープしたAlN層(Mg濃度5.0×1019/cm)を膜厚30nmで形成した。電子ブロック層10上に、p型AlGaInN層11を形成した。この層においては、p型クラッド層12として、MgをドープしたAl0.75Ga0.25N層(Mg濃度5×1019/cm)を膜厚50nmで形成した。次いで、p型コンタクト層13として、MgをドープしたGaN層(Mg濃度2×1019/cm)を膜厚100nmで形成した。
次いで、窒素雰囲気中、20分間、900℃の条件で熱処理を行った。その後、p型コンタクト層13の表面にフォトリソグラフィーにより所定のレジストパターンを形成し、レジストパターンの形成されていない窓部を反応性イオンエッチングにより、n型AlGaInN層6の表面が露出するまでエッチングした。その後、n型AlGaInN層6の表面に、真空蒸着法によりTi(20nm)/Al(200nm)/Au(5nm)電極(負電極15)を形成し、窒素雰囲気中、1分間、810℃の条件で熱処理を行った。次いで、p型コンタクト層13の表面に、真空蒸着法によりNi(20nm)/Au(50nm)電極(正電極14)を形成した後、酸素雰囲気中、3分間、550℃の条件で熱処理を行った。その後、スクライブ・ブレイクにより素子分離し紫外発光ダイオードチップ2(0.5mm角、厚さ0.1mm)を得た。
〔評価用サンプル〕:紫外発光ダイオード1の作製
紫外発光ダイオードチップ2の正・負電極を、実装基板16(AlN多結晶焼結体製の実装基板)に設けられた電極と対向させ、それぞれの電極パターンが整合するように位置合わせを行った後、はんだにより接合を行った(接合物品を作製した)。この場合、光放射主面は窒化アルミニウム単結晶基板となる。
その後、実施例3のプレポリマー(C)、および実施例4のプレポリマー(C)をピペットを用いて、接合物品の基板4側から滴下し、80℃において1時間加熱した。その後、5℃/分の速度で180℃まで昇温、さらに180℃において5時間加熱し硬化させることにより、プレポリマーを硬化させて、半球状の封止材(有機−無機ハイブリッドポリマー(F)3)を備えた紫外発光ダイオード1を得た。得られた紫外発光ダイオードの発光波長(発光ピーク波長)は265nmであった。
〔評価方法〕
紫外発光ダイオードに、定電流電源(菊水工業製PMC250−0.25A)を用いて通電した。各電流値における光出力の値を積分球ユニット(SphereOptics製SMS−500)を用いて測定し、封止材を有さないもの、即ち、単なる接合物品の光出力と比較し、その増倍率を算出した。
実施例3、4のプレポリマーから得られた(有機−無機ハイブリッドポリマー(F)3)によって封止を行った発光ダイオードの場合、封止を行わない発光ダイオードと比較し、光出力の増倍率はいずれも2.0倍となり、この増倍率は電流値250mAまでの範囲で一定であった。250mA通電時には発光ダイオードチップの表面温度は100℃以上と予想され、該封止材が、高い耐熱性および透過性を持っていることが示唆された。結果を表2にまとめた。
(耐久性の評価結果)
LED寿命評価装置(ダイトエレクトロン製)を用いて、評価開始時の紫外発光ダイオードの光出力が2mWとなる電流値において、100時間連続駆動させ、1時間毎に光出力を測定した。合わせて、接合物品にも同じ電流を注入し、同様に100時間駆動させ測定を行った。これらの結果を比較して、封止材の劣化による光出力の減少を評価した。
100時間までの試験において、実施例3、実施例4のプレポリマーから得られた封止材の劣化による光出力の変化は見られなかった。100時間経過後、各サンプルを光学顕微鏡により観察した。実施例3、4のプレポリマーから得られた封止材は、ともにクラックの発生、剥離はなかった。結果を表2にまとめた。
Figure 0006257446
[変更例]
本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更、削除および付加が可能である。また上記実施例においては、これに限定されるものではなく、異なった種類・特性の有機金属化合物を使用してもよい。
本発明の紫外発光ダイオードは、組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップを、耐熱性(柔軟性)とUV域での光透過性に優れた有機−無機ハイブリッドポリマーで封止したことにより、長期間に亘って安定したUV−LED素子として機能することから、産業上の利用可能性がある。
1 紫外発光ダイオード
2 紫外発光ダイオードチップ
3 有機−無機ハイブリッドポリマー(F)
4 基板
5 積層構造体
6 n型AlGaInN層
7 発光層
11 p型AlGaInN層
15 実装基板

Claims (6)

  1. 組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有し、光放射主面が、組成式Al X2 Ga Y2 In Z2 N(但し、X2、Y2、Z2は、0.5≦X2≦1.0、0.0≦Y2≦0.5、0.0≦Z2≦0.5、X2+Y2+Z2=1を満足する有理数である)で表される単結晶で形成されている、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップを、
    下記の有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を含む組成物を熱硬化させて得られる有機−無機ハイブリッドポリマー(F)で封止したことを特徴とする紫外発光ダイオード。
    (C):下記(A)と下記(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(B)と、が縮合反応することによって生成される有機−無機ハイブリッドプレポリマーであり、さらに芳香族炭化水素系溶剤の含有量が(A)に対して50ppm以下であるもの。
    (A):両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであって、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下であるもの。
    (B−1):テトラアルコキシシランのオリゴマー。
    (B−2):(B−1)が有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物。
    (B−3):(B−2)同士による、又は(B−2)と(B−1)による縮合反応生成物。
  2. 上記(B−1)は、直鎖状であって、4量体〜10量体である請求項1に記載の紫外発光ダイオード。
  3. 上記(A)と上記(B−1)の配合比(モル比)が、(A)/(B−1)で0.1〜2である請求項1または2に記載の紫外発光ダイオード。
  4. 上記有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)が、イソプロピルアルコールおよびtert−ブチルアルコールから選ばれた少なくとも1種の有機溶媒の存在下において、製造されたものである請求項1〜3の何れかに記載の紫外発光ダイオード。
  5. 上記有機−無機ハイブリッドポリマー(F)は、0.5mmの厚みの板状体とした場合、厚み方向で波長220nmの光を85%以上透過する請求項1〜4の何れかに記載の紫外発光ダイオード。
  6. 組成式AlGaInN(但し、X、Y、Zは、X+Y+Z=1を満足する有理数である)で表される単結晶層が複数積層された積層構造体を有する、発光ピーク波長が220〜350nmである紫外発光ダイオードチップを基板上にマウントする工程と、
    下記の有機−無機ハイブリッドプレポリマー(C)を含む組成物で前記紫外発光ダイオードチップを被覆する工程と、
    前記組成物で被覆した紫外発光ダイオードチップを180〜230℃の温度で加熱処理することにより、該組成物を硬化させる工程と、を
    有することを特徴とする紫外発光ダイオードの製造方法。
    (C):下記(A)と下記(B−1)、(B−2)及び(B−3)からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(B)と、が縮合反応することによって生成される有機−無機ハイブリッドプレポリマーであり、さらに芳香族炭化水素系溶剤の含有量が(A)に対して50ppm以下であるもの。
    (A):両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサンであって、数平均分子量(Mn)が10,000〜100,000、かつ分子量分布指数(Mw/Mn;Mwは重量平均分子量)が1.3以下であるもの。
    (B−1):テトラアルコキシシランのオリゴマー。
    (B−2):(B−1)が有するアルコキシ基の完全又は部分加水分解物。
    (B−3):(B−2)同士による、又は(B−2)と(B−1)による縮合反応生成物。
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