JP6255201B2 - 高分子分散剤 - Google Patents
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- 0 CC(C(Oc(cc1)ccc1N1N=C(C(CC(c(cc2)ccc2OC(C(C)=C)=O)O2)=O)C2=CC1c(cc1)ccc1OC(C(C)=C)=O)=*)=C Chemical compound CC(C(Oc(cc1)ccc1N1N=C(C(CC(c(cc2)ccc2OC(C(C)=C)=O)O2)=O)C2=CC1c(cc1)ccc1OC(C(C)=C)=O)=*)=C 0.000 description 1
Description
従って、本発明の課題とするところは、構造の異なる複数の色材への高い吸着性能を示すことのできる吸着部位と、溶剤または樹脂等の媒体に対して優れた分散性を示す分散部位とを有し、分散により適した高分子分散剤を提供することにある。
[1]重合性官能基を有する化合物Aと、該重合性官能基に連結可能な化合物Bとの重合反応物であり、前記化合物Aが、下記一般式(1)または(2)で示される化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする高分子分散剤。
(一般式(1)中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環を示し、Zl、Zm及びZnは、それぞれ独立に、水素原子または重合性官能基のいずれかを示し、且つ、Zl、Zm及びZnのうちの少なくとも1個は重合性官能基である。)
(一般式(2)中、Wは、−CH2−または>C=CH−Ar7−Zrのいずれかを示し、Ar4、Ar5、Ar6およびAr7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環を示し、Zo、Zp、ZqおよびZrは、それぞれ独立に、水素原子または重合性官能基のいずれかを示し、且つ、Zo、Zp、ZqおよびZrのうちの少なくとも1個は重合性官能基である。)
[3]上記における重合性官能基の付加位置が、Ar1〜Ar7のメタ位またはパラ位である高分子分散剤。
[4]上記における化合物Bが、ビニル単量体もしくは共役ジエン系単量体である高分子分散剤。
0.01< a/b < 0.12 式(1)
(一般式(2)中、Wは、−CH2−または>C=CH−Ar7−Zrのいずれかを示し、Ar4、Ar5、Ar6およびAr7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環を示し、Zo、Zp、ZqおよびZrは、それぞれ独立に、水素原子または重合性官能基のいずれかを示し、且つ、Zo、Zp、ZqおよびZrのうちの少なくとも1個は重合性官能基である。)
化合物Aを分散剤の形成に用いた場合に、色材に対する高い吸着性能を示す吸着部位が形成されるが、以下、その理由について説明する。化合物Aは、前記一般式(1)または前記一般式(2)で示されるように、分子内にC=OおよびNを含有するため、形成された分散剤は、その構造中にC=OおよびNが導入されたものとなるが、これらは、色材が持つ親水基と水素結合することが可能であるため、本発明の高分子分散剤によって、複数の色材に対する高い吸着性が実現できたと考えられる。さらに、上記のことに加え、化合物Aは、分子内に不飽和結合やフェニル基を複数有し、平面性が高いことから、吸着した色材とのπ−π相互作用が大きく、この結果、色材への強い吸着性能を示すものになったと考えられる。上記したような理由から、分散剤の吸着部位の形成材料に、特有の構造を有する化合物Aを用いたことで、本発明の高分子分散剤によれば、従来技術では十分に実現できていなかった、色材への高い吸着性能の実現が達成でき、構造の異なる色材に広く適用できたと考えられる。
本発明を構成する化合物Aは、その構造中に少なくとも1つの重合性官能基を有するものであることを要するが、本発明の高分子分散剤は、この重合性官能基を適宜に設計した化合物Aを用いることで、色材を分散する際に用いられる種々の媒体に合わせて様々な分散部位を付加することが可能になる。化合物Aを構成する重合性官能基としては、アクリル基やメタクリル基等の不飽和結合を有するものが好ましく、具体的には、例えば、下記(I−a)〜(II−b)で示される官能基が挙げられる。なお、これらの官能基は、下記(I−a)〜(II−b)が連結基を介して結合したものであってもよい。連結基としては、例えば、アミド基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−NR1−及び−NHCH(CH2OH)−からなる群より選ばれる2価の連結基が挙げられる。ただし、R1は水素原子、アルキル基、フェニル基又はアラルキル基を表す。
前記化合物Aは、いずれも従来より公知の重合方法で合成することが可能であり、例えば、次のようなスキームで合成できる。なお、反応温度、反応時間、使用する反応溶媒や触媒等の反応条件、および合成後の精製方法は、目的物に合わせて適宜に選択すればよい。
1≦(α+γ)/(β+δ)≦18 式(2)
本発明の高分子分散剤を合成する際に使用する化合物Bは、色材の分散溶媒に対して親和性があり、先に説明した化合物Aと重合することが可能な化合物であることが好ましい。具体的には、ビニル単量体もしくは共役ジエン系単量体であることが好ましい。ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、カルボン酸ビニルエステル等が使用できる。また、共役ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン等が使用できる。また、n−オクチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシランモノマーも使用することができる。また、ブチルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の単官能、多官能エポキシモノマーやグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のエポキシアクリレートモノマーも使用することができる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用することも可能であり、使用する分散溶媒によって適宜選択すればよい。
本発明の高分子分散剤は、前記した重合性官能基を有する化合物Aと、前記した該重合性官能基に連結可能な化合物Bとの重合反応物であるが、化合物Aに由来する構成成分(a)と、化合物Bに由来する構成成分(b)のモル比a/bが、下記式(1)を満たしていることが好ましい。
0.01< a/b < 0.12 式(1)
本発明者らの検討によれば、a/bの比が上記式(1)で示される範囲であれば、色材への吸着性と媒体への分散性をよりバランスよく保つことができる。
本発明の高分子分散剤は、前記した重合性官能基を1以上有する化合物Aと、該重合性官能基に連結可能な化合物Bとを用い、ラジカル重合、リビングラジカル重合、アニオン重合等の従来公知の重合方法を用いて合成することができる。反応温度や反応時間、使用する反応溶媒や触媒等の合成条件、および合成後の精製方法は特に限定されず、目的物に合わせて適宜選択できる。本発明の高分子分散剤は、化合物Aに由来する部分と、化合物Bに由来する部分とが、ランダム状態で存在するものでもブロック状態で存在するいずれのものであってもよい。なお、得られた高分子分散剤の同定は、NMRやIRによる官能基の定性・定量や各種クロマトグラフィーによる解析等で行うことが可能である。
本発明者らの検討によれば、上記した構成の本発明の高分子分散剤は、例えば、下記に列挙したような不溶性色材(色材)のいずれに対しても優れた吸着性能を示す。本発明の高分子分散剤を適用できる具体的な色材としては、例えば、下記の、ブラック/イエロー/マゼンタ/シアン系の各色の顔料や油溶性染料が挙げられる。
BlackPearlsL、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1300、Monarch1400(以上、キャボット社製);
ColorBlackFW1、ColorBlackFW2、ColorBlackFW200、ColorBlack18、ColorBlackS160、ColorBlackS170、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack6、SpecialBlack550、Printex35、Printex45、Printex55、Printex85、Printex95、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上、デグッサ社製);
No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.900、No.970、No.2200B、No.2300、No.2400B、MCF−88、MA600、MA77、MA8、MA100、MA230、MA220(以上、三菱化学社製)等の顔料や、
C.I.ソルベントブラック3、5、7、8、14、17、19、20、22、24、26、27、28、29、43、45等の油溶性染料が使用できる。
本発明の高分子分散剤を、上記したような色材に適用する場合における色材に対する高分子分散剤の比率は、色材100質量%に対して、0.05〜200質量%の範囲で混合して使用することが好ましく、0.1〜100質量%の範囲がより好ましい。色材に対する高分子分散剤の使用比率が0.05質量%未満の場合、色材の分散性が低下する場合があるため好ましくない。一方、高分子分散剤の混合量が200質量%を超えても、色材分散性にそれ以上の変化は見られないので、効率的でない。
前記色材の分散媒体としては、特に制限はなく、従来より、インクや塗料に使用されてきた有機溶媒や水溶性有機溶媒、重合性単量体、水等を、単独あるいは混合して用いることができる。
本発明の高分子分散剤を用いた色材分散体は、本発明の高分子分散剤と前記したような色材とを媒体中で混練することで製造できるが、次のような方法で製造すると、色材への高分子分散剤の吸着性がより向上し、安定性の高いものとなるのでより望ましい。まず、本発明の高分子分散剤と色材とを媒体中で混練し、本発明の高分子分散剤が有する化合物Aに由来する吸着部位を色材表面に吸着させる。その後、分散機にて機械的せん断力を加えることで、色材を均一な微粒子に分散する。その後、必要に応じて、下記のようにして高分子分散剤を色材表面に固定化してもよい。例えば、媒体が有機溶媒の場合は、有機溶媒を減圧などの常法にて除去して高分子分散剤を色材表面に固定化してもよい。また、媒体が重合性単量体である場合は、重合性単量体を重合し、これにより高分子分散剤を色材表面に固定化してもよい。さらに必要に応じて、濾過・遠心分離・乾燥などを行って、色材分散体を得てもよい。上記のようにして色材に本発明の高分子分散剤を適用して得られる様々な色相の色材分散体は、各種用途における着色剤として有用である。
色材分散体を製造する際に用いる分散機は、特に限定されず、一般に使用されているものをいずれも使用できる。例えば、ボールミル、超音波、ペイントシェーカー、レッドデビル、サンドミル、ホモジナイザー、振動ボールミル、サンドミル、ロールミル、アトライター、ホモミキサー、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、ペイントシェーカー等が挙げられる。
本発明の高分子分散剤を使用して得られる色材分散体には、上記した成分の他に、界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤などの各種添加剤を添加してもよい。
下記のようにして、化合物A−1〜A−4を合成した。なお、合成した中間体および目的物の化合物の構造は、NMR(核磁気共鳴装置、ECA400、日本電子社製)を使用して確認した。
〔中間体1の合成(アセチルアセトンとジアゾニウム塩との反応)〕
4−アミノフェノール11.0部(0.10モル)に、希塩酸140部加えて、5℃以下に冷却した。この溶液に、19.0%−亜硝酸ナトリウム水溶液37.0部(0.10モル)を氷冷しながら滴下し、ジアゾニウム塩溶液を調製した。次に、アセチルアセトン10.0部(0.10モル)に、エタノール237部、および36.5%−酢酸ナトリウム水溶液126.0部(0.56モル)を加えて撹拌し、5℃以下に冷却した。この溶液に、先に調製したジアゾニウム塩溶液をゆっくりと滴下し、氷冷下で30分、さらに室温で1時間撹拌した。その後、生成した析出物をろ取し、水洗、乾燥して中間体1を得た。
上記で得た中間体1の15.6部(0.07モル)をメタノール80.6部に溶解し、さらに2N−水酸化ナトリウム水溶液86.0部を加えて、これを5℃以下に冷却した。この溶液に、ベンズアルデヒド30.5部(0.29モル)とエタノール20.5部を混合したものを滴下し、氷冷下で3時間反応させた後、冷蔵庫で一晩静置した。静置後、反応液を500部の冷水に投入して、酢酸で中和し、生成した析出物を分取して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体2を得た。
上記で得た中間体2の14.4部(0.04モル)をピリジン170部に溶解した後、5℃以下に冷却した。この溶液に、メタクリロイルクロリド4.21部(0.04モル)を、ピリジン30.0部に溶解したものを滴下して1時間撹拌した。その後、水200部を添加して反応を停止させ、クロロホルムによる抽出、水洗および濃縮を行なって、下記の構造を有する化合物A−1−(1)を得た。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールを1,4−フェニレンジアミンに変更したこと以外は、化合物A−1−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−1−(3)を合成した。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールを1,4−フェニレンジアミンに変更し、メタクリロイルクロリドをアクリロイルクロリドに変更したこと以外は、化合物A−1−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−1−(4)を合成した。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールを、m位に水酸基が置換している3−アミノフェノールに変更したこと以外は、化合物A−1−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−1−(5)を合成した。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールを、o位に水酸基が置換している2−アミノフェノールに変更したこと以外は、化合物A−1−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−1−(6)を得た。
窒素置換されたナス型フラスコに、上記で合成した中間体2を19.8部(0.05モル)と、エピクロロヒドリン4.63部(0.05モル)、炭酸カリウム3.46部(0.025モル)、アセトン40.0部を投入し、4時間還流撹拌した。その後、水20.0部とジエチルエーテル50.0部で分液し、有機層を濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、下記の構造を有する化合物A−1−(7)を得た。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールを4−アミノスチレンに変更したこと以外は、中間体1、中間体2と同様の方法により中間体3を得た。次に、窒素置換されたナス型フラスコに、中間体3を20.3部(0.05モル)と、トリメトキシシラン9.17部(0.075モル)、ヘキサクロロ白金酸0.0100部(0.02ミリモル)、ジエチルエーテル30.0部を投入し、室温で2時間撹拌した。反応後、水洗、アルカリ洗浄、濃縮により、下記の構造を有する化合物A−1−(8)を得た。
〔中間体4の合成(中間体1と4−ヒドロキシベンズアルデヒドとの反応)〕
上記で合成した中間体1の15.6部(0.07モル)をメタノール160部に溶解し、2N−水酸化ナトリウム水溶液86.0部を加えて5℃以下に冷却した。この溶液に、4−ヒドロキシベンズアルデヒド35.1部(0.29モル)とエタノール20.5部を混合したものを滴下し、氷冷下で3時間反応させた後、冷蔵庫で一晩静置した。静置後、反応液を冷水500部に投入して、酢酸で中和し、生成した析出物を分取して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体4を得た。
中間体4の15.6部(0.04モル)をピリジン170部に溶解し、5℃以下に冷却した。この溶液に、メタクリロイルクロリド12.6部(0.12モル)をピリジン90.0部に溶解したものを滴下して、1時間撹拌した。その後、水200部を添加して反応を停止させ、クロロホルムによる抽出、水洗および濃縮を行なって、下記の構造を有する化合物A−2−(1)を得た。
中間体1の合成で用いた4−アミノフェノールをアニリンに変更して得た中間体5を用いたこと以外は、化合物A−2−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−2−(2)を合成した。
〔中間体6の合成(中間体1とベンズアルデヒドとの反応)〕
上記で合成した中間体1を2.21部(0.01モル)とり、ベンズアルデヒド2.23部(0.021モル)とともに氷酢酸52.5部に溶解し、酢酸ナトリウム15.0部を加えて24時間還流した。還流後、氷冷し、冷水500部に投入して、生成した析出物をろ取し、水洗、乾燥させた。アルミナカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体6を得た。
上記で得た中間体6の15.73部(0.04モル)をピリジン170部に溶解し、5℃以下に冷却した。この溶液に、メタクリロイルクロリド4.21部(0.04モル)、ピリジン30.0部に溶解したものを滴下して、1時間撹拌した。その後、水200部を添加して反応を停止させ、クロロホルムによる抽出、水洗および濃縮を行なって、下記の構造を有する化合物A−3−(1)を得た。
〔中間体7の合成(中間体6とベンズアルデヒドとの反応)〕
上記で得た中間体6を19.66部(0.05モル)とり、ベンズアルデヒド5.41部(0.051モル)とともにエタノール15.8部に溶解し、ピペリジン0.43部を加えて、10時間還流した。還流後、氷冷し、冷水500部に投入して、生成した析出物をろ取し、水洗、乾燥させた。アルミナカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体7を得た。
〔中間体8の合成(中間体1とベンズアルデヒドとの反応)〕
上記で得た中間体1を2.23部(0.01モル)とり、4−ヒドロキシベンズアルデヒド2.56部(0.021モル)とともに氷酢酸52.5部に溶解し、酢酸ナトリウム15.0部を加えて24時間還流した。還流後、氷冷し、冷水500部に投入して、生成した析出物をろ取し、水洗、乾燥させた。アルミナカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体8を得た。
上記で得た中間体8の17.1部(0.04モル)をピリジン170部に溶解し、5℃以下に冷却した。この溶液に、メタクリロイルクロリド12.6部(0.12モル)をピリジン30.0部に溶解したものを滴下して1時間撹拌した。その後、水200部を添加して反応を停止させ、クロロホルムによる抽出、水洗および濃縮を行なって、下記の構造を有する化合物A−4−(1)を得た。
〔中間体9の合成(中間体8とベンズアルデヒドとの反応)〕
上記で得た中間体8の23.6部(0.05モル)を、4−ヒドロキシベンズアルデヒド6.23部(0.051モル)とともにエタノール15.8部に溶解し、ピペリジン0.430部を加えて10時間還流した。還流後、氷冷し、冷水500部に投入して、生成した析出物をろ取し、水洗、乾燥させた。アルミナカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、中間体9を得た。
上記で用いた中間体8を中間体9に変更したこと以外は、化合物A−4−(1)の合成と同様の方法により、下記の構造を有する化合物A−4−(2)を合成した。
以下の手順で、高分子分散剤1〜44を合成した。
[実施例1:高分子分散剤1の合成]
窒素置換されたナス型フラスコに、本発明で規定する化合物Bであるスチレン15.6部(0.150モル)、先に調製した化合物A−1−(1)2.90部(6.25ミリモル)、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部を投入し、80℃で撹拌した。GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィ、HLC8220、東ソー社製)で分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤1を得た。
窒素置換されたナス型フラスコに、先に調製した化合物A−1−(1)2.90部(6.25ミリモル)、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部投入し、80℃で撹拌した。NMRおよびGPCによりモニタリングしながら重合を進め、化合物A−1−(1)の消費を確認した。その後、この反応液に、本発明で規定する化合物Bであるスチレン15.6部(0.150モル)投入し、さらに80℃で撹拌した。スチレン追加後もGPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤2を得た。
表1に従い、化合物Aおよび化合物Bの種類、化合物Aと化合物Bの添加量を変更したこと以外は、高分子分散剤1と同様の方法で、高分子分散剤3〜16、19〜27を合成した。合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、その分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを表1に示した。
窒素置換されたナス型フラスコに、先に調製した化合物A−1−(7)2.82部(6.25ミリモル)、本発明で規定する化合物Bであるブチルグリシジルエーテル19.5部(0.150モル)、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アデカオプトマーCP−77(商品名、株式会社ADEKA製)0.100部を投入し、100℃で撹拌した。NMRおよびGPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤17を得た。表1に、合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、その分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを示した。
窒素置換されたナス型フラスコに、先に調製した化合物A−1−(8)3.30部(6.25ミリモル)、本発明で規定する化合物Bであるメチルトリエトキシシラン26.7部(0.150モル)、2−ブタノール42部(0.560モル)、イオン交換水0.031部を投入し、100℃で撹拌した。NMRおよびGPCによりモニタリングしながら縮合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤18を得た。表1に、合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、その分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを示した。
窒素置換されたナス型フラスコに、本発明で規定する化合物Bであるスチレン15.6部(0.150モル)を用い、化合物Aとして互いに分子構造の異なる、第1の化合物A−1−(1)2.03部(4.37ミリモル)および第2の化合物A−2−(1)1.18部(1.87ミリモル)とを用い、これらの化合物AおよびBと、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部を投入し、80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、化合物Aを2種類用いて合成した高分子分散剤28を得た。
表2に従い、化合物Aおよび化合物Bの種類、化合物Aと化合物Bの添加量を変更したこと以外は、高分子分散剤28と同様の方法で、化合物Aを2種類用いて高分子分散剤29〜38をそれぞれ合成した。合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを表2に示した。
窒素置換されたナス型フラスコに、本発明で規定する化合物Bであるスチレン15.6部(0.150モル)を用い、化合物Aとして互いに分子構造の異なる、第1の化合物A−1−(1)1.01部(2.18ミリモル)、第2の化合物A−2−(1)1.18部(1.87ミリモル)、第3の化合物A−3−(1)1.01部(2.18ミリモル)を用い、これらの化合物AおよびBと、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部を投入し、80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤39を得た。
表3に従い、3種の化合物Aおよび化合物Bの種類、化合物Aと化合物Bの添加量を変更したことを除いては、高分子分散剤39と同様の方法により各例に該当する高分子分散剤を合成した。合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを表3に示した。
窒素置換されたナス型フラスコに、本発明で規定する化合物Bであるスチレン15.6部(0.150モル)を用い、化合物Aとして互いに分子構造の異なる、第1のA−1−(1)1.01部(2.18ミリモル)、第2のA−2−(1)0.590部(0.930ミリモル)、第3のA−3−(1)1.01部(2.18ミリモル)、第4のA−4−(1)0.590部(0.930ミリモル)を用い、これらの化合物AおよびBと、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部を投入し、80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、高分子分散剤42を得た。
表4に従い、4種の化合物Aおよび化合物Bの種類、化合物Aと化合物Bの添加量を変更したこと以外は、高分子分散剤42と同様の方法で高分子分散剤43〜44を合成した。合成に用いた化合物AおよびBの種類、合成した高分子分散剤の組成・分子構造、分子量、化合物Aと化合物Bのユニット比a/bを表4に示した。
以下の手順で、分散剤X(色材に吸着する化合物と色材の分散溶媒に溶解するポリマーの混合物)を製造した。
[化合物X(色材へ吸着する化合物)の合成]
比較例で使用する化合物として、特開2007−131832号公報に記載の製造例4に記載された方法を参考にして、下記化合物Xを合成した。
窒素置換されたナス型フラスコに、スチレン15.6部(0.150モル)、1,4−ジオキサン50部(0.560モル)、アゾビスイソブチロニトリル0.270部を投入し、80℃で撹拌した。GPCで分子量をモニタリングしながら重合を進め、分子量が所望の値に達したところで氷水冷却して反応を停止し、スチレンポリマーを得た。次に、得られたスチレンポリマーを透析法にて精製し、NMRおよびGPCを用いて分子量を測定した。分子量は12000であった。
上記で得た化合物X2.47部(5.00ミリモル)と、上記で得たスチレンポリマー12.4部(0.120モル)を、ロールミルで混合して分散剤Xを得た。なお、得られた分散剤Xにおける化合物Xとスチレンポリマーのユニット比a/b(a=化合物X、b=スチレンポリマー)は0.04であった。
本発明の実施例の各高分子分散剤について、合成の容易性、色材への吸着性、色材分散性を評価した。
各高分子分散剤の合成の容易性を、収率を用いて評価した。
具体的には、下記式(3)を用いて収率を算出し、得られた収率に基づいて、下記の基準で評価し、得られた結果を表5に示した。
式(3)
収率(%)=(高分子分散剤の収量/(化合物Aの仕込み量+化合物Bの仕込み量)*100
○:収率80%以上
△:収率70%以上80%未満
×:収率70%未満
以下に示す手順で吸着率を求め、各高分子分散剤および化合物Xの種類の異なる色材への吸着性を評価した。
(高分子分散剤の色材への吸着性評価)
20部のトルエンに、実施例で合成したそれぞれの高分子分散剤を0.25部溶解し、各高分子分散剤の溶液(S)を調製した。そして、この溶液(S)10部に、カーボンブラックを1部加え、30分間超音波分散を行った後、室温で1時間静置し、その後、遠心分離によって上澄み液を回収した。
式(4)
吸着率(%)=(1−T/U)*100
(式中、Tは上澄み希釈液の吸光度(但し、色材が420nmに吸収がある場合は、色材由来の吸光度を差引く)、Uは溶液(S)の希釈液の吸光度を示す。)
〔評価基準〕
◎:吸着率90%以上
○:吸着率80%以上90%未満
△:吸着率70%以上80%未満
×:吸着率70%未満
実施例の各高分子分散剤の代わりに化合物Xを用いたこと以外は、高分子分散剤の色材への吸着性と同じ評価方法、評価基準で評価を行い、得られた結果を表6に示した。
以下に示す手順で粒子径の増加率を求め、各高分子分散剤および分散剤Xの色材分散性を評価した。
(高分子分散剤の色材分散性評価)
20部のトルエンにそれぞれの高分子分散剤を0.25部溶解し、溶液(V)を調製した。この溶液(V)10部に、カーボンブラックを1部加え、30分間超音波分散を行った後、室温で1時間静置し、それぞれの色材分散体を得た。得られた各色材分散体を密閉状態で、60℃で2週間保存した後、粒子径を測定し、保存試験前後での粒子径増加率を下記式(5)により算出し、以下示す基準で評価し、得られた結果を表6に示した。
◎:粒子径増加率(%)が5%未満である。
○:粒子径増加率(%)が5%以上10%未満である。
△:粒子径増加率(%)が10%以上30%未満である。
×:粒子径増加率(%)が30%以上である。
実施例の各高分子分散剤の代わりに化合物Xを用いたこと以外は、高分子分散剤の色材への色材分散性と同じ評価方法、評価基準で評価を行い、得られた結果を表6に示した。
Claims (5)
- 重合性官能基を有する化合物Aと、該重合性官能基に連結可能な化合物Bとの重合反応物であり、前記化合物Aが、下記一般式(1)または(2)で示される化合物の少なくともいずれか1種であることを特徴とする高分子分散剤。
(一般式(1)中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環を示し、Zl、Zm及びZnは、それぞれ独立に、水素原子または重合性官能基のいずれかを示し、且つ、Zl、Zm及びZnのうちの少なくとも1個は重合性官能基である。)
(一般式(2)中、Wは、−CH2−または>C=CH−Ar7−Zrのいずれかを示し、Ar4、Ar5、Ar6およびAr7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいベンゼン環を示し、Zo、Zp、ZqおよびZrは、それぞれ独立に、水素原子または重合性官能基のいずれかを示し、且つ、Zo、Zp、ZqおよびZrのうちの少なくとも1個は重合性官能基である。) - 前記重合性官能基の付加位置が、Ar1〜Ar7のメタ位またはパラ位である請求項1又は2に記載の高分子分散剤。
- 前記化合物Bが、ビニル単量体もしくは共役ジエン系単量体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子分散剤。
- 前記重合反応物中における前記化合物Aに由来する構成成分(a)と前記化合物Bに由来する構成成分(b)のモル比a/bが、下記式(1)を満たす請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子分散剤。
0.01< a/b < 0.12 式(1)
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