以下、本発明における実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。
(1)第1実施形態
(1−1)給湯システムの構成
図1に示すように、第1実施形態における給湯システム1は、給湯器2、水栓3、浴槽4、及び即湯ユニット5を主な構成要素として備える。
この給湯システム1における給湯器2と水栓3とは給湯配管6を介して連結されている。水栓3は、本実施形形態では、浴室水栓3A、台所水栓3B及び洗面所水栓3Cを有する。一般に、浴室水栓3Aは、水と湯を混ぜ合わせて温度を調整する機構を有する混合水栓である。
給湯配管6は、本実施形形態では、浴室給湯配管6A、台所給湯配管6B及び洗面所給湯配管6Cと、これら給湯配管6A〜6Cの直径よりも大きい直径の主給湯配管6Dとを有する。浴室給湯配管6A、台所給湯配管6B及び洗面所給湯配管6Cと、主給湯配管6Dとはヘッダ7で連結されており、当該ヘッダ7は主給湯配管6Dを複数の給湯配管6A〜6Cに分岐する分岐部である。
給湯器2は、給水配管8から水を取り込んで加熱し、その加熱結果として得られた湯を主給湯配管6Dに送り出すことで、当該主給湯配管6Dからヘッダ7及び給湯配管6A〜6Cを介して各水栓3A〜3Cに湯を供給するように構成される。
また、この給湯システム1における給湯器2と浴槽4とは、当該給湯器2と浴槽4とで湯を循環させるための風呂往き管(以下、順方向循環配管という)9A及び風呂戻り管(以下、逆方向循環配管という)9Bを介して連結されている。なお、浴槽4の側面下段には、当該浴槽4と順方向循環配管9A及び逆方向循環配管9Bとを接続するための循環金具MFが設けられており、当該浴槽4の外壁側に突出する循環金具部分に順方向循環配管9A及び逆方向循環配管9Bの一端が接続されている。
給湯器2は、浴槽4から逆方向循環配管9Bを介して湯を取り込んで加熱し、その加熱結果として得られた湯を順方向循環配管9Aを介して浴槽4に送り出すことで、浴槽4との間で湯を循環させるように構成される。
さらに、この給湯システム1における浴室給湯配管6Aと順方向循環配管9Aとは連結配管(以下、ショートカット配管という)10を介して連結されており、当該ショートカット配管10には即湯ユニット5が設けられる。
なお、ショートカット配管10の一端は、浴室給湯配管6Aの途中部位に設けられる継ぎ手部材JT1に接続され、当該ショートカット配管10の他端は、順方向循環配管9Aの途中部位に設けられる継ぎ手部材JT2に接続されている。
即湯ユニット5は、ショートカット配管10内に貯留する湯の温度に基づいて、給湯配管6に貯留する湯の全部又は一部をショートカット配管10を介して浴槽4に供給し、当該給湯配管6A、6D内の湯の温度が一定温度以上となるように調整する構成とされる。
(1−2)給湯器の構成
図2に示すように、給湯器2は、第1熱交換器11、給水流量センサ13、給湯サーミスタ14、経路連通電磁弁15、第2熱交換器16、循環ポンプ17、水流スイッチ18、風呂サーミスタ(以下、浴槽サーミスタという)19、圧力センサ20、湯張り流量センサ(以下、給湯流量センサという)21及び制御部31を主な構成要素として備える。
第1熱交換器11の入力端には給水配管8の一端が接続され、当該第1熱交換器11の出力端には主給湯配管6Dの一端が接続されている。第1熱交換器11は、バーナBN1の着火により生じる熱を用いて、給水配管8から供給される水を加熱する。なお、バーナBN1は、第1ガス弁25を介して供給されるガスにより着火するバーナであり、当該第1ガス弁25は制御部31からの命令に応じて開閉する。
給水流量センサ13は、給水配管8内に設けられており、給水配管8内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号を制御部31に送出する。
給湯サーミスタ14は、主給湯配管6Dのうち第1熱交換器11の出口近傍となる部位の管内に設けられており、当該第1熱交換11の出口近傍における湯の温度を計測し、その温度を示す信号を制御部31に送出する。
経路連通電磁弁15は、主給湯配管6Dと逆方向循環配管9Bとを連結する配管27の所定部位に設けられており、制御部31からの命令に応じて開閉する。この経路連通電磁弁15が開放された状態にある場合、主給湯配管6Dと逆方向循環配管9Bとが連通される。
第2熱交換器16の入力端には逆方向循環配管9Bの一端が接続され、当該第2熱交換器16の出力端には順方向循環配管9Aの一端が接続されている。第2熱交換器16は、バーナBN2の着火により生じる熱を用いて、配管27又は逆方向循環配管9Bから供給される湯を加熱する。なお、バーナBN2は、第2ガス弁26を介して供給されるガスにより着火するバーナであり、当該第2ガス弁26は制御部31からの命令に応じて開閉する。
循環ポンプ17は、逆方向循環配管9Bの所定部位に設けられており、制御部31からの命令に応じて駆動し、浴槽4の貯留する湯を逆方向循環配管9B、第2熱交換器16及び順方向循環配管9Aを順次介して循環させる。なお、この循環ポンプ17の設置部位は順方向循環配管9Aとされてもよい。
水流スイッチ18は、逆方向循環配管9Bの所定部位に設けられており、当該逆方向循環配管9B内で湯の流れがあるか否かを検出し、その検出結果を示す信号を制御部31に送出する。なお、この水流スイッチ18の設置部位は順方向循環配管9Aとされてもよい。
浴槽サーミスタ19は、逆方向循環配管9Bの管内に設けられており、逆方向循環配管9B内における湯の温度を計測し、その温度を示す信号を制御部31に送出する。
圧力センサ20は、配管27のうち経路連通電磁弁15を境界として逆方向循環配管9B側となる部位に設けられており、配管内の湯により加えられる圧力を検出し、その圧力を示す信号を制御部31に送出する。なお、この圧力センサ20の設置部位は逆方向循環配管9Bとされてもよい。
給湯流量センサ21は、配管27のうち経路連通電磁弁15を境界として主給湯配管6D側となる部位に設けられており、配管27内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号を制御部31に送出する。
図3に示すように、制御部31には、給湯システム1における各種機器が多芯ケーブルを介して接続されている。この多芯ケーブルは、電源ライン及び信号ラインを有し、当該電源ライン介して電源から供給される電源電圧を用いて制御部31及びその制御部31に接続されている各種機器が駆動する。
具体的に制御部31には、上述の給水流量センサ13、給湯サーミスタ14、経路連通電磁弁15、循環ポンプ17、水流スイッチ18、浴槽サーミスタ19、圧力センサ20及び給湯流量センサ21が接続されている。
また制御部31には、即湯ユニット5と、外気温センサ32、台所リモートコントローラ33、浴室リモートコントローラ34及び記憶部35とが接続されている。
外気温センサ32は、屋外に設けられており、当該屋外の気温を検出し、その外気温を示す信号を制御部31に送出する。
台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34は、複数の操作子を有し、当該操作子の操作に応じた設定命令や処理開始命令などの命令を制御部31に与える。また、台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34は、表示パネルを有し、当該表示パネルには時刻、給湯器2の動作状態及び記憶部35に記憶されたデータに示される情報などが適宜表示される。
記憶部35には、設定データやプログラムなどの各種データが記憶される。例えば、即湯ユニット5、台所リモートコントローラ33及び浴室リモートコントローラ34と、これらに割り当てられる固有の識別子との対応関係を示す機器データIF1が記憶部35に記憶される。
この機器データIF1は、どのリモートコントローラから命令を受けたかを制御部31が認識するためのデータである。この機器データIF1に基づいて、制御部31では即湯ユニット5がリモートコントローラとして認識される。
なお、リモートコントローラ(即湯ユニット5、台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34)から制御部31に命令が与えられた場合、その命令を与えたリモートコントローラ以外の他のリモートコントローラに対して当該命令を受けた旨が制御部31により通知される。
また、浴槽4の水位と、当該水位時に浴槽4に貯留される水量との相関を示す水位量相関データIF2、循環金具MFまでの水位を示す金具水位データIF3、及び、浴槽4に貯留された湯の温度と水位を測定すべきインターバルを示す測定間隔データIF4が記憶部35に記憶される。
水位量相関データIF2及び金具水位データIF3は、浴槽4の形状及び体積に応じて生成され、例えば試運転時に記憶部35に記憶される。測定間隔データIF4は、即湯ユニット5から与えられる変更命令に応じて制御部31により更新される。
さらに、給湯配管6内に貯留すべき湯の温度を示す給湯温設定データCM1、浴槽4に貯留すべき湯の温度を示す浴槽温設定データCM2、及び、浴槽4に貯留すべき水位を示す水位設定データCM3が記憶部35に記憶される。
給湯温設定データCM1は、台所リモートコントローラ33で設定される給湯温設定データCM1Aと、浴室リモートコントローラ34で設定される給湯温設定データCM1Bと、即湯ユニット5で設定される給湯温設定データCM1Cとを有する。これら給湯温設定データCM1A〜CM1Cは対応する機器からの設定命令に応じて更新される。
なお、給湯温設定データCM1A〜CM1Cのうち、浴室リモートコントローラ34又は即湯ユニット5が優先機器となっていない状態(通常状態)では、給湯温設定データCM1Aが用いられる。
これに対して、優先機器とすべき設定命令が浴室リモートコントローラ34から与えられて浴室リモートコントローラ34が優先機器となっている場合、その設定解除命令が浴室リモートコントローラ34から与えられるまで給湯温設定データCM1Bが用いられる。
また、優先機器とすべき設定命令が即湯ユニット5から与えられて即湯ユニット5が優先機器となっている場合、その設定解除命令が即湯ユニット5から与えられるまで給湯温設定データCM1Cが用いられる。
浴槽温設定データCM2及び水位設定データCM3は、浴室リモートコントローラ34から与えられる設定命令に応じて、制御部31により更新される。
制御部31は、この制御部31に接続されている各機器から出力される信号と、記憶部35に記憶される各種データとに基づいて経路連通電磁弁15、循環ポンプ17、第1ガス弁25及び第2ガス弁26を適宜制御し、各種処理を実行する。
例えば、制御部31は、台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34から湯張り命令を受けた場合、設定水位未満となる量の湯を給湯設定温度で浴槽4に貯留する1次湯張り処理を実行する。
すなわち、制御部31は、第1ガス弁25開放させて第1熱交換器11をバーナBN1で熱するとともに、第2ガス弁26を開放させて第2熱交換器16をバーナBN2で熱する。このとき、制御部31は、記憶部35に記憶される給湯温設定データCM1の温度となるように、給湯サーミスタ14から出力される信号に基づいて第1ガス弁25及び第2ガス弁26を制御し、ガスの供給量を調整する。
これに加えて制御部31は経路連通電磁弁15を開放させ、給水配管8から第1熱交換器11及び第2熱交換器16を経て浴槽4に至る流路を形成し、順方向循環配管9Aを介して浴槽4に湯を供給する。このとき、制御部31は、給水流量センサ13から出力される信号に基づいて浴槽4に供給される湯の量を監視し、その量が規定量となった時点で第1ガス弁25及び第2ガス弁26と、経路連通電磁弁15とを閉鎖させる。
制御部31は、上述のように1次湯張り処理を実行した後、設定水位までの量の湯を浴槽設定温度で浴槽4に貯留する2次湯張り処理を実行する。
すなわち制御部31は、圧力センサ20から出力される信号に基づいて浴槽4に貯留される現在の水位を検出し、この水位と水位量相関データIF2とに基づいて、水位設定データCM3の水位までに要する湯の量を注水量として演算する。
そして制御部31は、第1ガス弁25及び第2ガス弁26と経路連通電磁弁15とを開放させ、上述の1次湯張り処理と同様に、浴槽温設定データCM2の温度で、注水量として演算した量の湯を浴槽4に供給する。その後、制御部31は、1次湯張り処理第1ガス弁25及び第2ガス弁26と経路連通電磁弁15とを閉鎖させる。
このように制御部31は、湯張り命令を受けた場合、浴槽4に湯が残っている可能性を考慮して循環金具MF以上設定水位未満となる量の湯を給湯設定温度で浴槽4に貯留した後、当該設定水位までの量の湯を浴槽設定温度で浴槽4に貯留する。
また制御部31は、湯張り命令を受けてから所定の時間が経過するまで、上述の2次湯張り処理を実行し終えてから測定間隔データIF4の間隔ごとに、浴槽4に貯留された湯の水位及び温度を調整する調整処理を実行する。
すなわち、制御部31は、測定間隔データIF4の間隔を内部クロックに基づいて計時する。そして制御部31は、測定間隔データIF4の間隔が経過するたびに、圧力センサ20から出力される信号に基づいて現在の浴槽4の水位を認識し、その水位を水位設定データCM3の水位と比較する。
ここで、設定水位から所定以上の水位が低下している比較結果が得られた場合、制御部31は、水位設定データCM3の水位になるまで、上述の1次湯張り処理と同様にして給湯設定温度の湯を浴槽4に貯留する。
このように制御部31は、浴槽4に設定水位まで湯を貯留した以後に所定以上の水位の低下を検出した場合には浴槽温度で湯を補充することで、当該浴槽4に貯留する湯の水位を設定水位に維持する。
一方、制御部31は、測定間隔データIF4の間隔が経過するたびに、循環ポンプ17を駆動させた後に浴槽サーミスタ19から出力される信号に基づいて浴槽4の温度を認識し、この温度を浴槽温設定データCM2の温度と比較する。
ここで、浴槽サーミスタ19の温度が浴槽設定温度よりも低い比較結果が得られた場合、制御部31は、浴槽4に貯留した湯を温め直す追い焚き処理を実行する。すなわち、制御部31は、第2ガス弁26を開放させて第2熱交換器16をバーナBN2で熱し、浴槽サーミスタ19から出力される信号に基づく温度が浴槽温設定データCM2の温度となった時点で第2ガス弁26を閉鎖させるとともに循環ポンプ17を停止させる。
このように制御部31は、浴槽4に設定水位まで浴槽設定温度の湯を貯留した以後にその浴槽設定温度よりも低くなった場合には温め直すことで、当該浴槽4に貯留する温度を浴槽設定温度に維持する。
なお、制御部31は、上述の1次湯張り処理を終了した時点、及び、2次湯張り処理を終了した時点でも上述の追い焚き処理を実行し、浴槽4に湯を貯留し終わるたびにその湯の温度を確認し、必要に応じて温め直す。
さらに制御部31は、水栓3の使用を検出した場合、当該水栓3の使用が検出されなくなるまで給湯配管6に給湯設定温度の湯を供給する給湯処理を実行する。
すなわち、制御部31は、給湯流量センサ21から出力される信号で水流が検知できないにもかかわらず、給水流量センサ13から出力される信号で水流が検知できる場合、水栓3の使用を検出する。
この場合、制御部31は、給水流量センサ13から出力される信号で検知される水流と、給湯流量センサ21から出力される信号で検知される水流との差がなくなる時点まで、第1ガス弁25を開放させ、上述の1次湯張り処理と同様に、浴槽温設定データCM2の温度で湯を給湯配管6に供給する。
このように制御部31は、水栓3の使用を検出した場合には、給湯設定温度の湯を給湯配管6に供給し、当該水栓3で使用された分の湯を補充する。
なお、制御部31は、上述の1次湯張り処理、2次湯張り処理、水位調整処理又は温度調整処理の実行中に水栓3の使用を検出した場合、当該実行中の処理を中断して給湯処理を実行する。その後、制御部31は、水栓3の使用が検出されなくなった時点で給湯処理を停止するとともに、中断していた処理を再開する。
(1−3)即湯ユニットの構成
図1に示すように、即湯ユニット5は、ユニット電磁弁41、ユニット逆止弁42、ユニットサーミスタ43、ユニット流量センサ44及びユニット制御部45を主な構成要素として備え、給湯器2から供給される電源電圧を用いて駆動する。
ユニット電磁弁41は、ショートカット配管10の所定部位に設けられており、ユニット制御部45からの命令に応じて開閉する。このユニット電磁弁41が開放された状態にある場合、給湯配管6内の湯はショートカット配管10内を流れて浴槽4に供給される。
ユニット逆止弁42は、ショートカット配管10のうちユニット電磁弁41を境界として順方向循環配管9A側となる部位に設けられており、ショートカット配管10内を流れる湯が順方向循環配管9Aから浴室給湯配管6Aに向かって流れることを防ぐ弁である。
ユニットサーミスタ43は、ショートカット配管10のうちユニット電磁弁41を境界として浴室給湯配管6A側となる部位の管内に設けられており、当該ショートカット配管10内における湯の温度を計測し、その温度を示す信号をユニット制御部45に送出する。
ユニット流量センサ44は、ショートカット配管10のうちユニット逆止弁42を境界として順方向循環配管9A側となる部位の管内に設けられており、当該順方向循環配管9A内に流れる湯の水量を検出し、その量を示す信号をユニット制御部45に送出する。
ユニット制御部45は、図4に示すように、ユニット電磁弁41、ユニットサーミスタ43及びユニット流量センサ44と接続されている。また、ユニット制御部45は、給湯器2の制御部31と多芯ケーブルを介して接続されている。
このユニット制御部45は、給湯器2から多芯ケーブルを介して供給される電源電圧を用いて駆動し、置換処理部51、抽出処理部52、検出処理部53、即湯処理部54及び異常検出処理部55として機能する。
置換処理部51は、給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる置換処理を実行する。
すなわち、置換処理部51は、ユニットサーミスタから出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも低く規定される規定温度だけ低下した時点を契機としてユニット電磁弁41を開放させる。
このユニット電磁弁41が開放されている場合、給湯配管6の湯はショートカット配管10から浴槽4に排出される。またこの場合、給湯器2では水栓3の使用が制御部31によって検出されるため、給湯配管6には給湯温設定データCM1の温度に温められた湯が供給される。
ここで、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯温設定データCM1の温度になった場合、このことは、ユニット電磁弁41を開放させる前に給湯配管6に貯留していた湯全体が給湯設定温度の湯に置換されたことを意味する。この場合、置換処理部51は、ユニット電磁弁41を閉鎖させる。
このように置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも規定温度低下してから給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させ、給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる。
また、置換処理部51は、給湯器2の制御部31から湯張り命令が与えられた旨の通知を受けた後に追い炊きを停止した旨の通知を最初に受けた場合、給湯器2において1次湯張り処理が終わったと認識する。
この場合、置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度を下回っていなくても、当該温度が給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させる。
これにより置換処理部51は、ユニット電磁弁41の開放前に給湯配管6に貯留していた湯全体を給湯設定温度の湯に置換させることに加え、当該置換により給湯配管6から浴槽4に排出された湯を、給湯器2において2次湯張り処理後に実行される追い炊き処理に便乗して温めさせる。
このように置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも規定温度低下していなくても、給湯器2の1次湯張り処理と2次湯張り処理との間に割り込んで給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる。
さらに、置換処理部51は、給湯器2の制御部31から湯張り命令が与えられた旨の通知を受けた後に所定の時間が経過するまで、給湯器2における浴槽サーミスタ19から出力される信号に基づいて現在の浴槽4の温度を認識し、その温度を給湯器2の記憶部35に記憶される浴槽温設定データCM2の温度と比較する。
ここで、現在の浴槽4の温度が浴槽設定温度よりも所定温度だけ低かった場合、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度低下していなくても、当該温度が給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させる。
これにより置換処理部51は、ユニット電磁弁41の開放前に給湯配管6に貯留していた湯全体を給湯設定温度の湯に置換させることに加え、当該置換により給湯配管6から浴槽4に排出された湯を、給湯器2において水温調整処理後に実行される追い炊き処理に便乗して温めさせる。
このように置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも規定温度低下していなくても、給湯器2の水温調整処理に割り込んで給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる。
抽出処理部52は、給湯配管6からショートカット配管10を流れる湯の温度時系列分布を抽出する抽出処理を実行する。
すなわち、抽出処理部52は、置換処理部51によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングし、温度時系列分布を抽出する。
この温度時系列分布は、給湯配管6の湯全体が給湯設定温度の湯に置換されてから規定温度だけ低下するまで貯留された後にショートカット配管10経由で浴槽4に排出させる際に、そのショートカット配管10を流れる湯の温度を計時的に抽出したものである。
このため、図5に示すように、温度時系列分布TD1は、ユニットサーミスタ43近傍の給湯配管部位に貯留している湯が給湯設定温度K0から規定温度K1低下したときを基準として、給湯配管6の下流から上流にわたる単位時間あたりの温度低下量を、当該給湯配管6における実際の設置態様や断熱効果に反映して示すことになる。
なお、図5における温度時系列分布TD1は、詳細には破線で示す回帰曲線のようになるが、便宜上、配管区間T1〜T3の温度を一定として示している。
配管区間T1は、給湯設定温度K0の湯が給湯配管6に貯留された時点からユニット電磁弁41が開放される時点までにおよそ温度K1まで低下する配管部分の水量を置換する際に要する期間を示している。
一方、配管区間T2は、給湯設定温度K0の湯が給湯配管6に貯留された時点からユニット電磁弁41が開放される時点までにおよそ温度K3まで低下する配管部分の水量を置換する際に要する期間を示している。
他方、配管区間T3は、給湯設定温度K0の湯が給湯配管6に貯留された時点からユニット電磁弁41が開放される時点までにおよそ温度K2まで低下する配管部分の水量を置換する際に要する期間を示している。
また、抽出処理部52は、検出処理部53から抽出処理を停止すべき命令が与えられた場合には、上述の抽出処理を停止する。
検出処理部53は、基準とすべき温度時系列分布と、当該基準とすべき温度時系列分布の抽出後に抽出処理部で抽出された温度時系列分布とを比較し、これら温度時系列分布の温度が異なり始める時点を検出する検出処理を実行する。
すなわち、検出処理部53は、例えば1回目に抽出処理部52によって抽出された温度時系列分布を基準とすべき温度時系列分布に決定する。そして検出処理部53は、2回目に以降に抽出処理部52によって温度時系列分布を基準とすべき温度時系列分布との比較対象として、当該比較対象の温度時系列分布が抽出されるたびに基準とすべき温度時系列分布と比較する。具体的には、温度時系列分布におけるサンプリング時点ごとの温度同士が比較される。
なお、別例として、抽出処理部52によって温度時系列分布が抽出されるたびにその温度時系列分布が基準とすべき温度時系列分布として決定され、当該基準の温度時系列分布の1つ後に抽出される温度時系列分布が比較対象とされてもよい。
上述したように、温度時系列分布TD1は、ユニットサーミスタ43近傍の給湯配管部位に貯留している湯が給湯設定温度K0から規定温度K1低下したときを基準として、給湯配管6の下流から上流にわたる単位時間あたりの温度低下量を示すものである。
このため、給湯配管6に貯留している湯が給湯設定温度K0から規定温度K1低下するまでの間に水栓3が使用されない場合、複数回にわたって給湯配管6の湯が置換されてそのつど温度時系列分布が抽出されても、当該温度時系列分布は測定誤差を有しているものの同程度となる。
これに対し、給湯配管6に貯留している湯が給湯設定温度から規定温度低下するまでの間に水栓3が使用された場合、その水栓3には給湯器2からヘッダ7を経て給湯設定温度の湯が供給されるため、少なくともヘッダ7から上流側の湯の温度が変わることになる。
したがって、図6に示すように、水栓3が使用された直後に抽出処理部52によって抽出される温度時系列分布TD2は、水栓3が使用されることなく抽出処理部52によって抽出される温度時系列分布TD1とは異なることになる。ただし、図6では、便宜上、温度時系列分布TD1及びTD2は、配管区間T1〜T3における温度を一定として示している。
具体的には、ユニット電磁弁41とヘッダ7との間の容積分の水量がユニットサーミスタ43を流れた時点Pt1から、当該ユニット電磁弁41が閉鎖された時点Pt2までの期間(以下、温度立上期間という。)PDの温度が持続して異なることになる。
すなわち、温度時系列分布TD2が温度時系列分布TD1と異なる温度立上期間PDは給湯器2からヘッダ7までの給湯配管部分の容積を概略的に示し、当該温度立上期間PDにおいて温度が異なり始める時点Pt1はヘッダ7の位置を概略的に示していることになる。
なお、上述の温度立上期間PDの温度は給湯設定温度K1となっているが、これは給湯配管6の湯を置換する直前(温度時系列分布の抽出を開始する直前)に水栓3が使用されているからである。水栓3の使用時期がユニット電磁弁41の開放時点から時間的に遠ざかるほど温度立上期間PDの温度は低くなる。
ただし、水栓3の使用時期が給湯配管6の湯を置換した直後に水栓3が使用された場合であっても、温度立上期間PDは持続的に出現するため、ノイズ等と区別可能となる。
検出処理部53は、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なる温度立上期間を有しその温度が異なり始める時点Pt1を検出した場合、水栓3の使用があったと認識する。
この場合、検出処理部53は、検出時点Pt1からユニット電磁弁が閉鎖される時点Pt2までの温度立上期間PDを、即湯時にユニット電磁弁41の開放すべき開放期間として決定する。
また、検出処理部53は、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なる温度立上期間を有しその温度が異なり始める時点Pt1を検出した以後における上述の検出処理を停止するとともに、抽出処理部52に対して抽出処理を停止すべき命令を与える。
即湯処理部54は、台所リモートコントローラ33の操作子の1つとして設けられる即湯ボタンが押下された場合、給湯器2からヘッダ7までに貯留している湯を給湯設定温度の湯に置換する即湯処理を実行する。
すなわち、即湯ボタンが押下された場合、台所リモートコントローラ33から給湯器2に対して即湯すべき命令が与えられ、その命令があった旨が給湯器2からユニット制御部45に通知される。
即湯処理部54は、この通知があったときには、検出処理部53によって即湯時にユニット電磁弁41の開放すべき開放期間として決定された温度立上期間PDだけユニット電磁弁41を開放させる。
この温度立上期間PDは、上述したように給湯器2からヘッダ7までの給湯配管部分の容積を概略的に示している。このため、当該温度立上期間PDだけユニット電磁弁41が開放されることで、給湯配管6における給湯器2からヘッダ7までに貯留している湯が給湯設定温度の湯に置換されることになる。
異常検出処理部55は、ユニット電磁弁41が開放された時点を契機として、ユニット流量センサ44から出力される信号に基づいてショートカット配管10内の湯の水量を監視する。ここで、ユニット電磁弁41が開放された時点から一定期間を経過しても水量が検知できない場合、異常検出処理部55は、ユニット流量センサ44が異常であると認識する。
この場合、異常検出処理部55は、ユニット流量センサ44が異常である旨を、例えば給湯器2の制御部31を介して台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34から報知させる。なお、台所リモートコントローラ33又は浴室リモートコントローラ34に代えて、即湯ユニット5に設けられる報知部が報知箇所として適用されてもよい。
次に、上述の置換処理部51、抽出処理部52、検出処理部53及び即湯処理部54として機能するユニット制御部45における処理手順について図7に示すフローチャートを用いて説明する。
図7に示すように、ユニット制御部45は、例えば給湯器2と接続されるケーブルを介して供給される電源電圧を用いて駆動すると、ステップSP1に進んで、ヘッダ7の位置を既に推定できているか否かを判定する。
ここで、ユニット制御部45は、ヘッダ7の位置を未だ推定できていない場合にはヘッダ推定処理ルーチンRT1を実行し、当該ヘッダ7の位置を既に推定できている場合には通常処理ルーチンRT2を実行する。
ユニット制御部45は、ヘッダ推定処理ルーチンRT1では、ステップSP2に進んで、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度低下した否かを判定する。
このステップSP2で否定結果が得られた場合、このことは、給湯配管6に貯留する湯のうち、ユニットサーミスタ43が配置されるショートカット配管10の近傍の湯の温度が給湯設定温度と同程度の範囲内であり、当該湯を浴槽4に排出する必要性が乏しいことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP3に進んで、給湯器2から湯張り命令が与えられた旨の通知を受けたか否かを判定する。
このステップSP3で否定結果が得られた場合、このことは、給湯器2が湯張り処理を実行していないため、当該湯張りを補助する必要性が乏しいことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP1に戻って、ヘッダ推定処理ルーチンRT1を実行し直す。
一方、ステップSP2又はステップSP3で肯定結果が得られた場合、給湯配管内6に貯留する湯を浴槽4に排出する必要性があり、その排出に基づいてヘッダ7の位置を推定できる可能性があることを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP4に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP4では、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させて、給湯配管6内に貯留していた湯全体を給湯設定温度の湯に置換する。これに加えて、ユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放している間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングして温度時系列分布を抽出し、ステップSP5に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP5では、基準とすべき温度時系列分布を保持しているか否かを判定する。ここで、否定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP6に進んで、ステップSP5で抽出した温度時系列分布を基準とすべき温度時系列分布として内部メモリに保持した後、ステップSP1に戻って、ヘッダ推定処理ルーチンRT1を実行し直す。
これに対して肯定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP7に進んで、ステップSP5で抽出した温度時系列分布と、ステップSP6で内部メモリに保持した基準とすべき温度時系列分布とを比較し、温度立上期間PDを有しているか否かを判定する。
ここで、温度立上期間PDを有していない場合、上述したように、水栓3の使用がないため、ヘッダ7の位置の推定ができないことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP7で肯定結果が得られるまで、ヘッダ推定処理ルーチンRT1を繰り返し実行する。
これに対して、温度立上期間PDを有していた場合、上述したように、水栓3の使用があるため、当該温度立上期間PDにおいて温度が異なり始める時点Pt1がヘッダ7の位置を概略的に示していることを意味する。また、温度立上期間PDは、給湯器2からヘッダ7までの給湯配管部分の容積を概略的に示していることを意味する。
この場合、ユニット制御部45は、ステップSP8に進んで、ステップSP7で認識した温度立上期間PDを、即湯時にユニット電磁弁41の開放すべき開放期間として決定し、ステップSP1に戻った後に、通常処理ルーチンRT2に移行する。
このようにユニット制御部45は、ヘッダ推定処理ルーチンRT1では、給湯配管6に貯留している湯全体を必要に応じて給湯設定温度の湯に置換し、その湯の温度時系列分布に基づいて温度立上期間PDを検出し続ける。
ユニット制御部45は、通常処理ルーチンRT2では、ステップSP9に進んで、ステップSP2と同様に、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度低下した否かを判定する。
このステップSP9で否定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP10に進んで、ステップSP3と同様に、給湯器2から湯張り命令が与えられた旨の通知を受けたか否かを判定する。
このステップSP10で否定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP11に進んで、即湯すべき命令を受けたか否かを判定する。このステップSP11でも否定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP1に戻って、通常処理ルーチンRT2を実行し直す。
一方、ステップSP9又はステップSP10で肯定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP12に進む。ユニット制御部45は、ステップSP12では、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させて、給湯配管6内に貯留していた湯全体を給湯設定温度の湯に置換した後、ステップSP1に戻って、通常処理ルーチンRT2を実行し直す。
他方、ステップSP11で肯定結果が得られた場合、ユニット制御部45は、ステップSP13に進む。ユニット制御部45は、ステップSP13では、ヘッダ推定処理ルーチンRT1のステップSP8で決定した温度立上期間PDだけユニット電磁弁41を開放させて、給湯器2からヘッダ7までの給湯配管部分に貯留している湯を給湯設定温度の湯に置換した後、ステップSP1に戻って、通常処理ルーチンRT2を実行し直す。
このようにユニット制御部45は、通常処理ルーチンRT2では、温度時系列分布を抽出することなく、給湯配管6に貯留している湯の全体又は一部を給湯設定温度の湯に置換する。
(1−4)本実施形態の作用及び効果
以上のとおり、本実施形態における即湯ユニット5は、ユニット電磁弁41、ユニットサーミスタ43及びユニット制御部45を備える。このユニット電磁弁41及びユニットサーミスタ43は、給湯器2からヘッダ7を経て複数の水栓3に向かう給湯配管6のうちヘッダ7よりも下流側の所定部位と、当該給湯器2から浴槽4に向かう順方向循環配管9Aの所定部位とを連結するショートカット配管10に設けられる。
ユニット制御部45は、プログラムに基づいて複数の処理部として機能し各種処理を実行するようになっており、当該処理部として置換処理部51、抽出処理部52及び検出処理部53を有する。
置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも規定温度低下してから給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させ、給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる。
抽出処理部52は、置換処理部51によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングし、給湯配管6からショートカット配管10を流れる湯の温度時系列分布を抽出する。
検出処理部53は、基準とすべき温度時系列分布TD1と、当該基準とすべき温度時系列分布TD1の抽出後に抽出処理部52で抽出された温度時系列分布TD2とを比較し、これら温度時系列分布の温度が異なり始める時点Pt1を検出する。
このような即湯ユニット5では、水栓3が使用された場合、その水栓3には給湯器2からヘッダ7を経て給湯設定温度の湯が供給される。このため、給湯配管6に貯留している湯が給湯設定温度から規定温度低下するまでに水栓3が使用されなかった場合と、当該水栓3が使用された場合とでは、少なくともヘッダ7分岐部から上流側の湯の温度が変わることになる。
一方、温度時系列分布TD1及びTD2は、ユニットサーミスタ43近傍の給湯配管部位に貯留している湯が給湯設定温度から規定温度低下したときを基準として、当該給湯配管6の下流から上流にわたる単位時間あたりの温度低下量を表している。
このため、水栓3が使用されることなく抽出された温度時系列分布TD1と、当該水栓3が使用された後に抽出された温度時系列分布TD2とでは、互いに温度の異なる温度立上期間PDが存在することになる。また、互いに温度が異なり始める時点Pt1はおおむねヘッダ7の位置を示していることになる。
本実施形態におけるユニット制御部45は、給湯配管6に貯留する湯が給湯設定温度よりも規定温度低下してから給湯設定温度になるまでの基準とすべき温度時系列分布PT1と、当該温度時系列分布PT1が抽出された後の温度時系列分布PT2との温度が異なり始める時点Pt1を検出している。
このため、ユニット制御部45は、流量センサを用いなくても水栓3が使用されたことを検出することができる。また、ユニット制御部45は、温度時系列分布TD1及びTD2に基づいて給湯配管6におけるヘッダ7のおおむねの位置を推定することができ、この結果、給湯器2からヘッダ7までの湯を給湯設定温度の湯に置換することが可能となる。
したがって、ユニット制御部45は、使用初期に温度の低い湯水が水栓から排出されることを抑制しつつも、給湯配管6に貯留する湯全体を一定温度で維持する場合に比べて給湯器2に対して無駄な湯の温めを抑制させることができる。こうして、給湯器2でのエネルギー効率を向上させ得る即湯ユニット5が実現される。
本実施形態の場合、検出処理部53は、温度時系列分布TD1及びTD2において温度が異なり始める時点Pt1からユニット電磁弁41が閉鎖される時点Pt2までの温度立上期間PDをユニット電磁弁41の開放期間としている。
温度時系列分布TD1及びTD2は、給湯配管6の湯全体が給湯設定温度の湯に置換されてから規定温度だけ低下するまで貯留された後にショートカット配管10経由で浴槽4に排出させる際に、そのショートカット配管10を流れる湯の温度を計時的に抽出したものである。
このため、温度時系列分布TD1及びTD2は、給湯配管6の下流から上流にわたる単位時間あたりの温度低下量を、当該給湯配管6における実際の設置態様や断熱効果に反映して示すことになる。
したがって、検出処理部53は、時季等の様々な要因に応じた変化に順応して温度時系列分布TD1及びTD2を抽出することができる。このため、検出処理部53は、温度時系列分布TD1及びTD2を用いない場合に比べると、給湯器2からヘッダ7までの湯を給湯設定温度の湯へ正確に置換させることができる。
また本実施形態の場合、検出処理部53は、台所リモートコントローラ33の操作子の1つとして設けられる即湯ボタンが押下された場合に、温度立上期間PDだけユニット電磁弁41を開放させる。
したがって、検出処理部53は、給湯器2からヘッダ7までの湯を、ユーザの使用意思に応じて即座に給湯設定温度の湯に置換し、使用初期に温度の低い湯水が台所水栓3Bから排出されることを未然に抑制することができる。
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態における給湯システムについて説明する。ただし、本実施形態の給湯システムでは、上述の第1実施形態における給湯システム1のうち、即湯ユニット5のユニット制御部45だけが異なるため、当該ユニット制御部45以外の説明については省略する。また、本実施形態のユニット制御部45の構成要素のうち第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
(2−1)即湯ユニットの構成
本実施形態におけるユニット制御部45は、図8に示すように、置換処理部51、抽出処理部62、一部置換処理部63、検出処理部64及び異常検出処理部55として機能する。
抽出処理部62は、第1実施形態の抽出処理部52と同様に、置換処理部51によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングして温度時系列分布を抽出する抽出処理を実行する。
この抽出処理部62は、抽出処理を停止せず、置換処理部51によって置換処理が実行されるたびに抽出処理を実行する。そして抽出処理部62は、温度時系列分布を2回目に抽出したときにはこれを内部メモリに記憶する。また抽出処理部62は、温度時系列分布を3回目以降に抽出したときには、既に内部メモリに記憶されている温度時系列分布を、そのとき抽出した温度時系列分布に書き換える。この点については、第1実施形態の抽出処理部52と異なっている。
また、抽出処理部62は、温度時系列分布を抽出し直すべき命令を検出処理部64から受けたときにも抽出処理を実行し、既に内部メモリに記憶されている温度時系列分布を、当該命令を受けたときに抽出した温度時系列分布に書き換える。この点についても、第1実施形態の抽出処理部52と異なっている。
一部置換処理部63は、温度時系列分布に基づいて、給湯配管6の湯の一部を給湯設定温度の湯に置換する一部置換処理を実行する。
すなわち、一部置換処理部63は、抽出処理部62によって内部メモリに温度時系列分布が記憶され、あるいは、内部メモリに記憶された温度時系列分布が書き換えられると、例えば図9に示すように、当該温度時系列分布に近似する温度分布波形(回帰曲線)WVを生成する。
また一部置換処理部63は、温度分布波形WVの最低値BVを基準として給湯配管6の下流側の温度分布波形部分から、温度がおおむね一定の状態に転じる点(以下、変位点という)IP1を検出する。また一部置換処理部63は、温度分布波形WVの最低値BVを基準として給湯配管6の上流側の温度分布波形部分から変位点IP2を検出する。
そして一部置換処理部63は、変位点IP1及びIP2に基づいて、給湯配管6に貯留している湯の温度低下の程度が異なる複数の配管区間T1〜T3に温度分布波形WVを区分する。
一部置換処理部63は、このような配管区間T1〜T3を区分した温度分布波形WVから、最も温度低下が大きい部分に貯留している湯が給湯配管6において許容すべき最低温度(以下、許容最低温度という)にまで低下した場合における予測温度時系列分布を生成する。
具体的には、最も温度低下が大きい部分に貯留している湯が許容最低温度にまで低下した場合に、その部分から下流側の水量を置換していくごとに予測される予測温度時系列分布を生成する。
ここで、n回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合にについて、図10〜図13を用いて具体的に説明する。ただし、理解容易のため、図10〜図13における配管区間T1〜T3の温度は一定温度として示している。
また図10〜図13では、単位時間あたりに配管区間T1がbだけ低下し、配管区間T2が3b(3×b)だけ低下し、配管区間T3が2b(2×b)だけ低下すると仮定している。さらに、配管区間T1に貯留する湯の排出に要する期間をt1とし、配管区間T2に貯留する湯の排出に要する期間をt2とし、配管区間T3に貯留する湯の排出に要する期間をt3と仮定し、許容最低温度がK3であると仮定している。
1回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合に予測される予測温度時系列分布は、図9に示したように、抽出処理部62によって実際に得られた温度分布波形WVと同様の挙動となる。
このため、図10(A)に示すように、一部置換処理部63は、最も速く許容最低温度K3となる配管区間T2から下流側の水量を置換するために要する置換期間をt1+t2と予測する。また、一部置換処理部63は、配管区間T2の温度が許容最低温度K3にまで低下した場合にユニットサーミスタ43で取得されると見込まれる見込温度を、配管区間T1の温度であるbと予測する。
一部置換処理部63は、これら置換期間及び見込温度に基づいてサンプリング期間ごとの温度を演算し、図10(A)に示すような予測温度時系列分布を1回目の予測温度時系列分布として生成する。
そして一部置換処理部63は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度bとなった時点を契機として、ユニット電磁弁41を置換期間t1+t2だけ開放させる。
この結果、図10(B)に示すように、給湯配管6において配管区間T1+T2におけるt1+t2の湯が浴槽4に排出される。また、この湯に相当する給湯設定温度K0の湯が給湯器2から供給されるとともに、配管区間T3に貯留していたt3の湯が下流側に推移することになる。
2回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合、配管区間T3に貯留していたt3の湯は、下流側に推移したことによって配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに相当する部分に貯留していることになる(図10(B))。
このため、図11(A)に示すように、配管区間T2のうちt3の湯が貯留している部分が最も温度低下が大きい部分となる。一部置換処理部63は、この部分から下流側の水量を置換するために要する置換期間をt1+t2−t3と予測する。
一方、配管区間T2のうちt3の湯が貯留している部分が温度3bだけ低下してしまうと許容最低温度K3を超えてしまうため、当該湯が許容最低温度K3となる場合の温度は2b+3b×(1/3)となる。一部置換処理部63は、この場合にユニットサーミスタ43で取得されると見込まれる見込温度を、配管区間T1の温度である2b+b×(1/3)と予測する。
一部置換処理部63は、これら置換期間及び見込温度に基づいてサンプリング期間ごとの温度を演算し、図11(A)に示すような予測温度時系列分布を2回目の予測温度時系列分布として生成する。
そして一部置換処理部63は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度2b+b×(1/3)となった時点を契機として、ユニット電磁弁41を置換期間t1+t2だけ開放させる。
この結果、図11(B)に示すように、配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに貯留していたt3の湯が浴槽4に排出される。また、このt3の湯に相当する給湯設定温度K0の湯が給湯器2から供給されるとともに、配管区間T2の一部と配管区間T3に貯留していたt1+t2の湯が下流側に推移することになる。
なお、このt1+t2の湯は、配管区間T2の一部に貯留していた温度3b×(1/3)であるt1+t2−t3の湯と、配管区間T3に貯留していた温度2b×(1/3)であるt3の湯とで分けられる。
3回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合、配管区間T2の一部に貯留していたt1+t2−t3の湯は、下流側に推移したことによって配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに貯留していることになる(図11(B))。
このため、図12(A)に示すように、配管区間T2のうちt2−t3の湯が貯留している部分が最も温度低下が大きい部分となる。一部置換処理部63は、この部分から下流側の水量を置換するために要する置換期間をt1+t2−t3と予測する。
一方、配管区間T2のうちt2−t3の湯が貯留している部分が温度3bだけ低下してしまうと許容最低温度K3を超えてしまうため、当該湯が許容最低温度K3となる場合の温度はb+3b×(2/3)となる。一部置換処理部63は、この場合にユニットサーミスタ43で取得されると見込まれる見込温度を、配管区間T1の温度であるb+b×(2/3)と予測する。
一部置換処理部63は、これら置換期間及び見込温度に基づいてサンプリング期間ごとの温度を演算し、図12(A)に示すような予測温度時系列分布を3回目の予測温度時系列分布として生成する。
そして一部置換処理部63は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度b+b×(2/3)となった時点を契機として、ユニット電磁弁41を置換期間t1+t2−t3だけ開放させる。
この結果、図12(B)に示すように、配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに貯留していたt1+t2−t3の湯が浴槽4に排出される。また、このt1+t2−t3の湯に相当する給湯設定温度K0の湯が給湯器2から供給されるとともに、配管区間T2の一部に貯留していたt3の湯と配管区間T3に貯留していたt3の湯とが下流側に推移することになる。
4回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合、配管区間T2の一部に貯留していたt3の湯は、下流側に推移したことによって配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに貯留していることになる(図12(B))。
このため、図13(A)に示すように、配管区間T2のうちt3−t1の湯が貯留している部分が最も温度低下が大きい部分となる。一部置換処理部63は、この部分から下流側の水量を置換するために要する置換期間をt3と予測する。
一方、配管区間T2のうちt3−t1の湯が貯留している部分が温度3bだけ低下してしまうと許容最低温度K3を超えてしまうため、当該湯が許容最低温度K3となる場合の温度は8b/3+3b×(1/9)となる。一部置換処理部63は、この場合にユニットサーミスタ43で取得されると見込まれる見込温度を、配管区間T1の温度である8b/3+b×(1/9)と予測する。
一部置換処理部63は、これら置換期間及び見込温度に基づいてサンプリング期間ごとの温度を演算し、図13(A)に示すような予測温度時系列分布を4回目の予測温度時系列分布として生成する。
そして一部置換処理部63は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度8b/3+b×(1/9)となった時点を契機として、ユニット電磁弁41を置換期間t3だけ開放させる。
この結果、図13(B)に示すように、配管区間T1全体と配管区間T2の一部とに貯留していたt3の湯が浴槽4に排出される。また、このt3の湯に相当する給湯設定温度K0の湯が給湯器2から供給されるとともに、配管区間T2の一部に貯留していたt3の湯と配管区間T3に貯留していたt1+t2−t3の湯とが下流側に推移することになる。
このように一部置換処理部63は、n回目に給湯配管6の湯の一部を置換する場合における置換期間及び見込温度を予測し、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度となった時点を契機として、ユニット電磁弁41を置換期間だけ開放させる。
なお、一部置換処理部63は、予測温度時系列分布を生成し直すべき命令を検出処理部64から受けた場合には、その命令に応じて予測温度時系列分布を生成し直す。
検出処理部64は、第1実施形態の検出処理部53の検出処理とは異なる検出処理を実行する。すなわち、第1実施形態の検出処理部53は、実際に得られる温度時系列分布同士を比較し、当該温度時系列分布で温度が異なり始める時点を検出する検出処理を実行していた。
これに対し本実施形態の検出処理部64は、一部置換処理部63によって生成された予測温度時系列分布と、その予測温度時系列分布に基づいてユニット電磁弁41を開放させているときに実際に得られる温度時系列分布とを比較する。
例えば、1回目の予測温度時系列分布として図10(A)に示すような予測温度時系列分布が一部置換処理部63によって生成された場合、この予測温度時系列分布に基づいて、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が見込温度bとなった時点を契機として、ユニット電磁弁41が置換期間t1+t2だけ開放される。
検出処理部64は、この1回目の予測温度時系列分布に基づいてユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングして温度時系列分布を抽出し、その温度時系列分布と、当該予測温度時系列分布とを比較する。
ここで、予測温度時系列分布を生成した際に給湯配管6に貯留している湯が給湯設定温度から規定温度だけ低下するまでに水栓3が使用されない場合、当該予測温度時系列分布と温度時系列分布とは、図6を用いて上述した場合と同様に、おおむね同等となる。
これに対し、水栓3が使用された場合には、温度時系列分布と予測温度時系列分布とでは、図6を用いて上述した場合と同様に、互いに温度の異なる温度立上期間が存在することになり、当該温度が異なり始める時点はおおむねヘッダ7の位置を示していることになる。
検出処理部64は、このように温度時系列分布と予測温度時系列分布とで温度が異なる温度立上期間を検出した場合、当該温度立上期間が置換区間となる予測温度時系列分布を生成し直すべき命令を一部置換処理部63に与える。
この場合、一部置換処理部63では、例えば、温度立上期間のうち温度が異なり始まる時点から上流側に貯留している湯が給湯設定温度で置換されるよう置換期間が予測し直され、その置換期間に基づいて予測温度時系列分布が生成し直される。
また、検出処理部64は、温度時系列分布と予測温度時系列分布とで温度が異なる温度立上期間を検出した場合、当該温度が異なることが水栓3の使用に起因するか否か検証する。
すなわち、検出処理部64は、温度立上期間を検出した場合、ユニット流量センサ44から出力される信号に基づく水量と、給湯流量センサ21から出力される信号に基づく水量とに所定以上の水量差があるか否かで、水栓3の使用に起因するか否か検証する。
ここで、所定以上の水量差がある場合、このことは、水栓3の使用に起因して温度時系列分布と予測温度時系列分布とで温度が異なっていることを意味している。これに対し、所定以上の水量差がない場合、このことは、水栓3の使用に起因して温度時系列分布と予測温度時系列分布とで温度が異なっているのではなく、当該予測温度時系列分布の予測誤差が大きくなっている傾向があることを意味している。
したがって、検出処理部64は、温度時系列分布と予測温度時系列分布とで温度が異なることが水栓3の使用に起因していない検証結果が得られた場合、抽出処理部62に対して温度時系列分布を抽出し直すべき命令を与えて、当該温度時系列分布を抽出し直させる。
次に、上述の置換処理部51、抽出処理部62、一部置換処理部63及び検出処理部64として機能するユニット制御部45における処理手順について図14に示すフローチャートを用いて説明する。
図14に示すように、ユニット制御部45は、例えば給湯器2と接続されるケーブルを介して供給される電源電圧を用いて駆動すると、ステップSP21に進んで、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度を下回った否かを判定する。
ここで、否定結果が得られた場合、このことは、給湯配管6に貯留する湯のうち、ユニットサーミスタ43が配置されるショートカット配管10の近傍の湯の温度が給湯設定温度と同程度の範囲内であり、当該湯を浴槽4に排出する必要性が乏しいことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP22に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP22では、給湯器2から湯張り命令が与えられた旨の通知を受けたか否かを判定する。
ここで、否定結果が得られた場合、このことは、給湯器2が湯張り処理を実行していないため、給湯配管6に貯留する湯を浴槽4に排出する必要性が乏しいことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP21に戻って上述の処理を繰り返す。
これに対して、ステップSP21又はステップSP22で肯定結果が得られた場合、給湯配管内6に貯留する湯を浴槽4に排出する必要性があることを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP23に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP23では、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させて、給湯配管6内に貯留していた湯全体を給湯設定温度の湯に置換する。
またユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放している間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングして温度時系列分布を抽出し、ステップSP24に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP24では、温度時系列分布に基づいて、給湯配管6の湯の一部をn回だけ置換する場合における1回目〜n回目の見込温度及び置換期間を予測する。そしてユニット制御部45は、これら見込温度及び置換期間に基づいて、1回目〜n回目の予測温度時系列分布を生成した後、ステップSP25に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP25では、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が、例えば1回目の予測温度時系列分布で予測した見込温度となった場合には、ステップSP26に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP26では、例えば1回目の予測温度時系列分布で予測した置換期間だけユニット電磁弁41を開放させる。またユニット制御部45は、ユニット電磁弁41を開放させている間に給湯配管6からショートカット配管10を流れる湯の温度をユニットサーミスタ43から出力される信号に基づいて温度時系列分布を抽出し、ステップSP27に進む。
ユニット制御部45は、ステップSP27では、ステップSP26で抽出した温度時系列分布と、ステップSP25で用いた予測温度時系列分布とを比較し、温度立上期間があるか否かを判定する。
ここで、否定結果が得られた場合、このことは、水栓3の使用された可能性がないことを意味している。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP28に進んで、給湯配管6の湯の一部を置換する回数を1つだけインクリメントした後、ステップSP25に戻って上述の処理を繰り返す。
これに対して、肯定結果が得られた場合、このことは、水栓3の使用された可能性が高いこと意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP29に進んで、温度立上期間が水栓3に起因するかを検証する。具体的には、上述したように、ユニット流量センサ44から出力される信号に基づく水量と、給湯器2の給水流量センサ13から出力される信号に基づく水量とに所定以上の水量差があるか否かを判定する。
ここで、否定結果が得られた場合、このことは、水栓3の使用に起因してステップSP27で温度立上期間があったのではなく、ステップSP25で用いた予測温度時系列分布で予測した見込温度及び置換期間の予測誤差が大きいため給湯配管6に貯留する湯の挙動に応じた予測ができていない傾向にあることを意味する。この場合、ユニット制御部45は、温度時系列分布を抽出し直すためステップSP1に戻って上述の処理を繰り返す。
これに対して、肯定結果が得られた場合、このことは、水栓3の使用に起因してステップSP27で温度立上期間があったことを意味する。この場合、ユニット制御部45は、ステップSP30に進んで、給湯配管6の湯の一部を置換する回数を1つだけインクリメントする。
その後、ユニット制御部45は、ステップSP31に進んで、次回以降の置換期間を、ステップSP27で得た温度立上期間のうち温度が異なり始まる時点から上流側に貯留している湯が給湯設定温度で置換されるよう予測し直す。そしてユニット制御部45は、予測し直した置換期間と、既に予測した見込温度とに基づいて予測温度時系列分布が生成し直した後、ステップSP25に戻って上述の処理を繰り返す。
このようにしてユニット制御部45は、給湯配管6の湯の一部を浴槽4に排出する処理を実行する。
(2−2)本実施形態の作用及び効果
以上のとおり、本実施形態におけるユニット制御部45は、プログラムに基づいて複数の処理部として機能し各種処理を実行するようになっており、当該処理部として置換処理部51、抽出処理部62、一部置換処理部63及び検出処理部64を有する。
置換処理部51は、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が給湯設定温度よりも規定温度低下してから給湯設定温度になるまでユニット電磁弁41を開放させ、給湯配管6に貯留している湯全体を給湯設定温度の湯に置換させる。
抽出処理部62は、置換処理部51によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングし、給湯配管6からショートカット配管10を流れる湯の温度時系列分布を抽出する。
一部置換処理部63は、温度時系列分布から、最も温度低下が大きい部分に貯留している湯が給湯配管6において許容すべき最低温度にまで低下した場合における予測温度時系列分布を生成する(例えば図10(A)〜図13(A))。
そして一部置換処理部63は、予測温度時系列分布に基づいて、最も温度低下が大きい部分から下流側に貯留している湯が給湯設定温度の湯に置換されるようにユニット電磁弁41を開放させる。
このようにユニット制御部45は、給湯配管6の湯全体を置換する際にその給湯配管6からショートカット配管10を流れる湯の温度時系列分布から、給湯配管6に貯留する湯の挙動を予測温度時系列分布として生成し、最も温度低下量が大きい部分から下流側に貯留する湯だけを置換する。
このため、即湯ユニット5は、給湯配管6内の湯全体をそのつど置換する場合に比べて、未だある温度よりも低下していない温かい湯を浴槽4に排出することを抑制し、給湯器2に対して無駄な湯の温めを抑制させることができる。
一方、検出処理部64は、一部置換処理部63によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングして抽出した温度時系列分布と、当該開放時における予測温度時系列分布とを比較し、これら温度時系列分布同士で温度が異なり始める時点を検出する。
一部置換処理部63では、温度時系列分布から生成された予測温度時系列分布に基づいてユニット電磁弁41が開放されている。このため、上記第1実施形態と同様に、水栓3が使用されていない場合には、その開放時に得られた温度時系列分布と予測温度時系列分布とはおおむね同等となる。
これに対し、水栓3が使用された場合には、温度時系列分布と予測温度時系列分布とでは互いに温度が異なる温度立上期間が存在することになり、当該温度が異なり始める時点はおおむねヘッダ7の位置を示していることになる。
このため、ユニット制御部45は、上記第1実施形態と同様に、温度時系列分布に基づいて給湯配管6におけるヘッダ7のおおむねの位置を推定することができ、この結果、給湯器2からヘッダ7までの湯を給湯設定温度の湯に置換することが可能となる。
したがって、ユニット制御部45は、使用初期に温度の低い湯水が水栓から排出されることを抑制しつつも、給湯配管6に貯留する湯全体を一定温度で維持する場合に比べて給湯器2に対して無駄な湯の温めを抑制させることができる。こうして、給湯器2でのエネルギー効率を向上させ得る即湯ユニット5が実現される。
また本実施形態の場合、検出処理部64は、温度時系列分布同士で温度が異なり始める時点を検出した場合、その時点から下流側に貯留している湯が給湯設定温度の湯に置換されるように予測温度時系列分布を一部置換処理部63に生成し直させる。
したがって、本実施形態のユニット制御部45は、予測温度時系列分布をし直さない場合に比べて使用初期に温度の低い湯水が水栓から排出されることをより一段と抑制することができる。また、温度時系列分布を用いない場合に比べると、給湯器2からヘッダ7までの湯を給湯設定温度の湯へ正確に置換させることができる。
さらに本実施形態の場合、検出処理部64は、温度時系列分布同士で温度が異なり始める時点を検出した場合、当該温度が異なることが水栓3の使用に起因するか検証する。そして検出処理部64は、水栓3の使用に起因していない場合には、温度時系列分布を抽出処理部52に抽出し直させる。
したがって、本実施形態のユニット制御部45は、時季等の様々な要因に応じた変化に順応して温度時系列分布を抽出することができる。このため、本実施形態のユニット制御部45は、温度時系列分布に基づいて、給湯配管6内の湯の温度低下状況をより正確に捉えてユニット電磁弁41を制御することができる。
(3)変形例
上記実施形態では、ヘッダ7(分岐部)から浴室水栓3Aまでの間の所定部位と順方向循環配管9Aの所定部位とを連結するショートカット配管10に即湯ユニット5が設けられた。これに加えて又はこれに代えて、ヘッダ7(分岐部)から台所水栓3B又は洗面所水栓3Cまでの間の所定部位と順方向循環配管9Aの所定部位とを連結するショートカット配管に即湯ユニット5が設けられていてもよい。また、ヘッダ7(分岐部)から水栓3までの間の所定部位と、逆方向循環配管9Bの所定部位とを連結するショートカット配管に即湯ユニットが設けられていてもよい。
上記実施形態では、給湯配管6の湯がショートカット配管10を介して浴槽4に排出された。しかしながら、このショートカット配管10の接続部である継ぎ手部材JT2の上流側に3方弁を設け、浴槽4に排出するのではなく、浴室排水口に流すようにしてもよい。
上記実施形態では、置換処理部51が、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づく温度が規定温度を下回った時点を契機としてユニット電磁弁41を開放させた。しかしながら、置換処理部51は、所定間隔ごとにユニット電磁弁41を開放させるようにしてもよい。
上記実施形態では、抽出処理部52又は62が、置換処理部51によってユニット電磁弁41が開放されている間にユニットサーミスタ43から出力される信号をサンプリングし、温度時系列分布を抽出した。しかしながら、例えば試運転時や、給湯配管6を組み立てるときなどに予め生成した温度時系列分布を固定として内部メモリに記憶していてもよい。
上記実施形態では、一部置換処理部63が、給湯配管6に貯留している湯の温度低下の度合いが異なる配管区間T1〜T3を区分するための境界点として変位点を検出した。しかしながら、境界点の検出手法は上記実施形態に限らない。例えば、温度分布波形WVの変化率が急峻に転じる点や変曲点が境界点として検出されてもよい。
上記実施形態では、一部置換処理部63が、ユニット電磁弁41を開放させる期間として、配管区間T2における湯のうち最も速く許容最低温度K3となる部分から下流側の水量を置換するために要する置換期間を予測した。しかしながら、例えば、一部置換処理部63は、配管区間T2において最低値を基準とする固定期間を予測してもよい。なお、他の予測手法が適用されてもよい。
上記実施形態では、一部置換処理部63が、ユニットサーミスタ43から出力される信号に基づいてユニット電磁弁41を開放させる時期として、配管区間T2における湯のうち最も速く許容最低温度K3となる場合に配管区間T1で低下すると見込まれる見込温度を予測した。しかしながら、例えば、一部置換処理部63は、配管区間T3における湯のうち最も速く温度K2となる場合に配管区間T1で低下すると見込まれる見込温度を予測してもよい。また、一部置換処理部63は、配管区間T2における湯のうち最も速く許容最低温度K3となる時間(例えば図7(A)のb×(1/3))を予測し、ユニット電磁弁41を閉鎖させてからその予測時間が経過した時点で開放させてもよい。なお、他の予測手法が適用されてもよい。
上記実施形態では、一部置換処理部63が、ユニット電磁弁41を開放させる際に給湯器2に設定される給湯設定温度の湯をそのまま給湯器2に供給させて、給湯配管6に貯留されている湯を給湯設定温度の湯に置換させた。しかしながら、一部置換処理部63は、ユニット電磁弁41を開放させる際に給湯器2に設定される給湯設定温度を、当該ユニット電磁弁41を開放させている間だけ現在の設定値よりも高い値に変更するようにしてもよい。
すなわち、一部置換処理部63は、ユニット電磁弁41を開放させる際に、優先機器とすべき設定命令を給湯器2の制御部31に与え、当該制御部31に対して給湯温設定データCM1A又はCM1Bの設定値よりも高い温度の給湯温設定データCM1Cを使用させる。また、一部置換処理部63は、ユニット電磁弁41を閉鎖させる際に、優先機器を解除すべき設定命令を給湯器2の制御部31に与え、該制御部31に対して給湯温設定データCM1A又はCM1Bを使用させる。
このようにした場合、即湯ユニット5は、給湯配管6における一部の湯を給湯設定温度よりも高い温度の湯に置換することができる。このため、即湯ユニット5は、給湯配管6の湯を置換すべき湯の温度を高くした分だけ次に給湯配管6の湯の一部を置換するまでの間隔を大きくすることができる。したがって、即湯ユニット5は、給湯器2に対して、給湯配管6に湯を供給すべき回数を低減させ、当該給湯器2の処理負荷を抑制させることができる。
上記実施形態では、一部置換処理部63が、浴槽4に設定水位まで貯留された湯の温度を所定の測定期間ごとに測定する処理が給湯器2で実行されている場合、給湯配管6に貯留されている湯の一部を給湯設定温度の湯に置換し、当該一部の湯を浴槽4に排出させた。
この場合、一部置換処理部63は、給湯配管6に貯留されている湯の一部を浴槽4に排出させた後に、浴槽4に設定水位まで貯留された湯の温度を測定する処理の測定間隔を、現在の設定値よりも小さい値に変更するようにしてもよい。
このようにした場合、即湯ユニット5は、給湯配管6に貯留されている湯の一部を浴槽4に排出させた分だけ浴槽4の温度が低くなったとしても、その温度を即座に元の温度に戻させることができる。したがって、即湯ユニット5は、入浴時の不快感をユーザに与えることを未然に抑制することができる。
上記第1実施形態では、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なり始める時点Pt1が検出された後に、抽出処理部52及び検出処理部53はともに処理を停止した。また、即湯処理部54は、温度時系列分布同士で温度が異なり始める時点Pt1が検出された後に台所リモートコントローラ33の即湯ボタンが押下された場合、給湯器2からヘッダ7までに貯留している湯を給湯設定温度の湯に置換した。
しかしながら例えば、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なり始める時点Pt1が検出された後に、置換処理部51、抽出処理部52及び検出処理部53がともに処理を停止する。そして即湯処理部54は、所定のインターバルが経過するたびに、給湯器2からヘッダ7までに貯留している湯を給湯設定温度の湯に置換するようにしてもよい。
上記第1実施形態では、検出処理部53が、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なり始める時点Pt1を検出した場合、水栓3の使用があったと認識した。しかしながら、検出処理部53は、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なり始める時点Pt1を検出した場合、上記第2実施形態のように、ユニット流量センサ44と給湯流量センサ21とを用いて水栓3の使用であるかを検証するようにしてもよい。このようにした場合、基準とすべき温度時系列分布と比較対象の温度時系列分布との温度が異なり始める時点Pt1がノイズであるか否かを区別でき、この結果、検出精度を高めることができる。
上記第2実施形態では、検出処理部64が温度時系列分布と予測温度時系列分布との温度が異なり始める時点を検出した場合、一部置換処理部63がその時点から上流側に貯留している湯が給湯設定温度で置換されるよう予測温度時系列分布を生成し直した。しかしながら例えば、上記第1実施形態と同様に、検出処理部64が温度時系列分布と予測温度時系列分布との温度が異なり始める時点を検出した後に、即湯ボタンが押下された場合、給湯器2からヘッダ7までに貯留している湯を給湯設定温度の湯に置換するようにしてもよい。
上記第2実施形態では、検出処理部64が温度時系列分布と予測温度時系列分布との温度が異なり始める時点を検出する検出処理を繰り返し実行した。しかしながら、上記第1実施形態と同様に、検出処理部64は、温度時系列分布と予測温度時系列分布との温度が異なり始める時点を最初に検出した後に検出処理を停止するようにしてもよい。
また上記実施形態では、ユニット電磁弁41が開放されているときに、ユニット制御部45が、給湯器2に設けられる給水流量センサ13から取得した水量と、ユニット流量センサ44から取得した水量との差に基づいて、水栓3が開放されたか否かを検出した。しかしながら、ユニット流量センサ44に代えてオリフィスを適用し、ユニット電磁弁41が開放されているときに、オリフィスを流れる水量を給湯器2に設けられる給水流量センサ13から取得することによって、水栓3が開放されたことを検出してもよい。
ユニット電磁弁41が開放されている途中に水栓3も開放された場合、給水流量センサ13で検知される水量は水栓3の開放時点から変化する。しかしながら、水栓3から排出される水量が少ない場合など、給水流量センサ13で検知される水量の変化量が小さくなり、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない傾向がある。
例えば、本実施形態のように主管から各水栓に対する分岐路をヘッダに集約するサヤ管ヘッダ工法を用いて給湯器2と各水栓3A〜3Cとを連結するのではなく、主管から各水栓に対する分岐路を水栓ごとに設ける分岐工法を用いると、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない場合がある。例えば、主管がその主管から分岐される分岐配管よりも長い場合などである。
また、サヤ管ヘッダ工法を用いていても、配管の口径や長さなどの連結条件の違いに応じて、給湯配管6の上流側となる給湯器2の水量と、当該給湯配管6の下流側となる即湯ユニット5の水量とに差が殆ど生じない場合がある。例えば、給湯器2からヘッダ7までの主給湯配管6Dが、ヘッダ7から水栓3A、3Bまたは3Cまでの給湯配管6A、6Bまたは6Cよりも十分に長く、それらの口径が同程度である場合などである。
これに対し、ユニット流量センサ44に代えてオリフィスが適用された場合、ユニット電磁弁41が開放されているときにショートカット配管10を流れる水量は、当該オリフィスがない場合に比べて少なく(小流量に)制限される。
このため、給湯器2と水栓3との間を連結する工法や連結条件が異なっていても、ユニット流量センサ44を適用する場合に比べて、ユニット電磁弁41が開放されている途中に水栓3が開放されたときと開放されていないときとの差を大きく捉えることができる。
したがって、即湯ユニット5は、オリフィスで制限される流量(オリフィスを流れる水量)と、給水流量センサ13から信号線を介して取得した水量とに基づいて、水栓3が開放されていることを検出することができる。具体的には、例えば、オリフィスを流れる水量をユニット制御部45の内部メモリに予め記憶しておき、その水量よりも、給水流量センサ13から取得した水量が大きい場合には水栓3が開放されていることを検出する。
また、給湯配管6の容積を内部メモリに記憶しておけば、当該容積と、オリフィスを流れる水量と、給水流量センサ13から信号線を介して取得した水量とを用いて、水栓3で排出される水量を演算することもできる。
このように、上述のユニット流量センサ44に代えて、オリフィスが適用された場合には、ユニット流量センサ44を適用する場合と同じように水栓3の開放を検出できることに加え、水栓3で排出される水量を演算することもできる。また、ユニット流量センサ44を適用する場合に比べて、安価で即湯ユニット5を構築することができる。さらに、オリフィスは、ユニット電磁弁41が開放されているときにショートカット配管10を流れる水量を少なく(小流量に)制限できるため、当該ユニット電磁弁41の開放時に流れる湯量を抑えて静穏な環境を提供することができる。
なお、ショートカット配管10に設けられる器具の異常を検出する場合には、ユニット流量センサ44が適用される。