JP6252755B2 - インクジェット記録用のインク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用のインク組成物に関する。
記録ヘッドのノズル孔からインク組成物の微小な液滴を吐出させ記録媒体に付着させて、画像や文字を記録するインクジェット記録装置が知られている。係る記録に用いるインク組成物として、顔料、顔料分散剤、樹脂などを、水に分散あるいは溶解させた水系(水性)のインク組成物が知られている。さらには、水を含有せずに、顔料、顔料分散剤、樹脂等を有機溶剤に分散あるいは溶解させた非水系(油性)のインク組成物の開発も行われている。
上記のインクのうち、非水系インク組成物は、プラスチック(例えば、塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等)の記録面を備えた記録媒体に対して、インクの濡れ拡がり性が良好であったり、インクの定着性が良好である等の点から、広く使用されてきた。例えば、特許文献1には、アミド系溶剤(エーテルアミド類)を含有するインクジェット記録用非水系インク組成物が開示されている。
また、非水系インク組成物には、顔料の分散性を向上させてインクの保存安定性を高めるために、樹脂分散剤や顔料誘導体(シナジスト)などの顔料分散剤が添加されている場合がある。例えば、特許文献2には、顔料分散樹脂や、フタロシアニン骨格を備えた顔料誘導体等を使用することが記載されている。
特開2013−155275号公報 特開2012−219131号公報
特許文献2に記載されているような顔料誘導体は、水に溶解しにくい性質を備える一方で、有機溶剤に溶解しやすいという性質を備える。そのため、顔料誘導体は、インク中で顔料から分離して、溶媒に溶出した状態で存在しやすい。特に、特許文献1に記載のアミド系溶剤を使用した場合には、顔料誘導体が溶媒に溶出しやすくなる。
しかしながら、特許文献1に記載のアミド系溶剤は、他の有機溶剤(例えば、ラクトン、グリコールエーテル等)と比べて、記録される画像の定着性および乾燥性に優れるという利点を備えるものの、吸水性が高いという性質を備える。そうすると、アミド系溶剤と顔料誘導体を含有する非水系インク組成物を長期間保存した場合、溶媒に溶出していた顔料誘導体が水分量の高くなったインクに溶解しにくくなり、異物として析出するという不具合が生じる。すなわち、顔料誘導体に由来する異物は、アミド系溶剤を併用した場合に顕著に発生する傾向にある。
このように、記録される画像の耐擦性(定着性)を向上しつつ、異物の発生や粘度変化の少ない保存安定性に優れたインクを得ることは困難であった。
本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、記録される画像の耐擦性を向上しつつ、保存安定性に優れたインクジェット記録用の非水系イン
ク組成物を提供することにある。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録用の非水系インク組成物の一態様は、
顔料と、
下記一般式(1)で表される化合物と、
前記顔料を分散する顔料分散剤として、アミン構造を有さない極性基が導入されたフタロシアニン誘導体と、
を含有する。
Figure 0006252755
(上記一般式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、メチル基またはエチル基を示す。)
[適用例2]
適用例1において、
前記顔料が、カーボンブラックであることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
さらに、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有することができる。
[適用例4]
適用例3において、
前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上40質量%以下であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下であることができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
さらに、塩化ビニル系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含有することができる。
[適用例7]
適用例6において、
前記樹脂の含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることができる。
[適用例8]
適用例1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記フタロシアニン誘導体の含有量が、前記顔料100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
前記顔料分散剤として、前記フタロシアニン誘導体以外の化合物をさらに含有することができる。
本実施形態で使用可能なインクジェットプリンターの構成を模式的に示す斜視図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本発明において「画像」とは、ドット群から形成される印字パターンを示し、テキスト印字、ベタ印字も含める。
本発明において「非水系インク組成物」とは、有機溶剤を主要な溶媒として、水を主要な溶媒としないインク組成物である。好ましくは、組成物中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、さらに一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。あるいは、実質的に水を含有しないインク組成物としてもよい。「実質的に含有しない」とは、意図的に含有させないことを指す。
1.非水系インク組成物
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用の非水系インク組成物(以下、単に「非水系インク組成物」ともいう。)は、顔料と、下記一般式(1)で表される化合物と、前記顔料を分散する顔料分散剤としてアミン構造を有さない極性基が導入されたフタロシアニン誘導体と、を含有することを特徴とする。下記一般式(1)で表される化合物は、非水系インク組成物の溶媒として機能する有機溶剤である。
以下、本実施形態に係るインクジェット記録用の非水系インク組成物に含まれる成分、および含まれ得る成分について、詳細に説明する。
1.1.顔料
本実施形態に係る非水系インク組成物は、顔料を含有する。顔料としては、例えば無機顔料および有機顔料が挙げられる。
顔料のうち、無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び酸化チタンが挙げられる。上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファー
ネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、デグサ社(Degussa AG)製)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン社(Columbian Carbon Japan Ltd)製)、コロンビアンケミカルズ(Columbian Chemicals)製、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボット社(Cabot Corporation)製)が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。
上記の顔料の中でも、本実施形態に係る非水系インク組成物に使用されるフタロシアニン誘導体(後述)を用いた場合に分散性が優れるという点から、カーボンブラックおよびフタロシアニン系顔料のうち少なくとも一方を用いることが好ましい。
ここで、顔料としてフタロシアニン系顔料を使用すると、顔料とフタロシアニン誘導体とが共通した構造(フタロシアニン骨格)を有するため、フタロシアニン誘導体がフタロシアニン系顔料から脱離しにくい。これに対して、カーボンブラックはフタロシアニン構造骨格を備えていないため、フタロシアニン誘導体がカーボンブラックから脱離しやすくなる。脱離したフタロシアニン誘導体は、溶剤の吸水作用で水分量の高くなったインク中で、異物化しやすい。しかしながら、本実施形態に係る非水系インク組成物によれば、特定構造のフタロシアニン誘導体(後述)を使用するので、フタロシアニン誘導体が顔料から脱離した場合であっても、異物化の問題が生じにくい。このように、本実施形態に係る非水系インク組成物は、顔料としてカーボンブラックを使用する場合であっても、その効果を良好に発揮できる。
顔料の含有量は、所望に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、非水系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、例えば、0.1質量%以上25質量%以下とすることができ、さらには1質量%以上10質量%以下とすることができる。
1.2.有機溶剤
1.2.1.一般式(1)で表される化合物
本実施形態に係る非水系インク組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 0006252755
上記式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立にメチル基またはエチル基を示す。「炭素数1以上4以下のアルキル基」は、直鎖状または分岐状のアルキル基であることができ、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基であることができる。上記式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
一般式(1)で表される化合物の機能としては、インク低吸収性の記録媒体上に付着させたインクの表面乾燥性および定着性を高めることが挙げられる。特に、上記一般式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を適度に溶解する作用に優れている。そのため、上記一般式(1)で表される化合物は、塩化ビニル系樹脂を含有する記録面を溶解して、記録媒体の内部にインクを浸透させることができる。このようにインクが記録媒体に浸透することで、インクが強固に定着し、かつ、インクの表面が乾燥しやすくなる。したがって、得られる画像は、表面乾燥性および定着性(耐擦性)に優れたものとなる。
上記一般式(1)で表される化合物は、後述する有機溶剤の中でも、吸水性(吸湿性)が高いので、これを含有する非水系インク組成物には、水が取り込まれやすい。そのため、顔料分散剤として通常のフタロシアニン誘導体を使用した場合には、フタロシアニン誘導体に起因する異物の発生が特に顕著になる。このような問題に対して、本実施形態に係る非水系インク組成物では、特定構造のフタロシアニン誘導体を使用するため、上記一般式(1)で表される化合物を含有しても、異物の発生を効果的に抑制できる。これにより、本実施形態に係る非水系インク組成物は、保存安定性に優れる上に、耐擦性に優れた画像を記録できる。
また、上記式(1)中、Rは、メチル基またはn−ブチル基であることが好ましい。これにより、画像の耐擦性および表面乾燥性が一層向上する場合がある。
上記式(1)で表される化合物のHLB値は、8.0以上20.0以下であることが好ましく、8.5以上18.5以下であることがより好ましく、12.0以上18.5以下であることが特に好ましい。上記式(1)で表される化合物のHLB値が上記範囲内にあると、塩化ビニル系樹脂との相互作用の点でより好適となる。なお、本明細書におけるHLB値とは、有機概念図における無極性値(I)と有機性値(O)との比(以下、単に「I/O値」ともいう)から下記式(i)により算出された値である。
HLB値=(無極性値(I)/有機性値(O))×10 ・・・(i)
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
上記一般式(1)で表される化合物の含有量は、非水系インク組成物の全質量(100
質量%)に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。上記一般式(1)で表される化合物の含有量が5質量%以上であることで、画像の耐擦性および表面乾燥性を一層向上でき、50質量%以下であることで、銅フタロシアニン誘導体に起因する凝集物の発生を一層抑制できる。
1.2.2.アルキレングリコールモノアルキルエーテル
本実施形態に係る非水系インク組成物は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有することが好ましい。アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、インクの濡れ拡がり性を向上させる機能を備えており、特にインク低吸収性の記録媒体に対して効果的に作用する。これにより、記録媒体に付着させた液滴のドット径を大きくでき、光沢性に優れた画像を記録できることから、得られる画像の画質が向上する。特に、アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、上記一般式(1)で表される化合物と、を併用することで、画質および耐擦性を両立した画像を記録できる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。これらの中でも、インクの濡れ拡がり性および記録される画像の光沢性を向上させつつ、画像の乾燥性が良好になって、画像の印刷ムラの発生が抑制できるという点から、標準沸点が280℃以下(好ましくは120℃以上280℃以下)のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを使用することが好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有する場合には、その含有量は、非水系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上35質量%以下であることがより好ましい。アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が1質量%以上であることで、インクの濡れ拡がり性および画像の光沢性が一層向上する傾向にあり、40質量%以下であることで、記録される画像の乾燥性が向上して、印刷ムラの発生を抑制できる傾向にある。
1.2.3.上記以外の有機溶剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、上記以外の有機溶剤(すなわち、一般式(1)で表される化合物、およびアルキレングリコールモノアルキルエーテルを除く有機溶媒)を含有してもよい。上記以外の有機溶剤の具体例としては、グリコールエーテル類(ただし、上記のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを除く。例えば、アルキレングリコールジアルキルエーテル等)、ラクトン(例えばγ−ブチロラクトン等)、アルコール類(例えば、エチルアルコール、1−プロパノール、フッ化アルコール等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル等)等が挙げられる。
上記以外の有機溶剤を含有する場合には、その含有量を、非水系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、例えば5質量%以上30質量%以下とすることができる。
1.3.顔料分散剤
1.3.1.特定構造のフタロシアニン誘導体
本実施形態に係る非水系インク組成物は、顔料分散剤として、アミン構造を有さない極性基が導入されたフタロシアニン誘導体を含有する。本明細書において、「アミン構造を有さない極性基が導入されたフタロシアニン誘導体」を、「特定構造のフタロシアニン誘導体」という場合がある。
特定構造のフタロシアニン誘導体は、いわゆる顔料誘導体(シナジスト)である。顔料誘導体は、顔料に吸着したり、顔料の近傍に存在することで、顔料の分散性を向上させるという機能を有する。これにより、顔料の分散性の低下に起因して生じる粘度変化等を良好に抑制できる。
特定構造のフタロシアニン誘導体は、これに導入されたアミン構造を有さない極性基の作用により、水に対する溶解性に優れるという性質を示す。そのため、上記一般式(1)で表される化合物によってインク中での水分量が増大しても、特定構造のフタロシアニン誘導体が水に対して良好に溶解するので、異物の発生を低減できる。このように、特定構造のフタロシアニン誘導体を用いることで、異物の発生や粘度変化の少ない保存安定性に優れたインクが得られる。
ここで、「アミン構造を有する極性基」とは、第4級アンモニウム基(−N)、アミノ基(−NH、−NHR、−NR)、アミン骨格を有し、アミン骨格を構成する窒素原子以外の原子がフタロシアニンに結合する基(例えば、−CONHR、−SONHR、−OCONHR、−CONHCOR、−CONHSO等)などが挙げられる。なお、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基等を示し、Xは、対イオンを示す。また、R、Rは、それぞれ独立に、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基等を示す。また、Rは、水素原子、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基等を示す。アルキル基およびアリール基が置換されている場合の置換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。
「アミン構造を有さない極性基」とは、上記のアミン構造を有する極性基以外のものをいい、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、等が挙げられる。これらの例示した極性基は、フタロシアニン誘導体に特に優れた親水性を付与できるという点から好ましく使用される。上記の例示したアミン構造を有さない極性基の中でも、フタロシアニン誘導体の水に対する溶解度を一層向上できるという点でスルホン酸基が好ましい。
また、特定構造のフタロシアニン誘導体としては、発色性に優れる等の観点から、金属と錯体を形成しているものを用いることが好ましい。このような金属と錯体を形成したフタロシアニン誘導体のうち、中心金属に銅を有する銅フタロシアニン誘導体をより好ましく用いることができる。
特定構造のフタロシアニン誘導体の一分子あたりに2つ以上の極性基が導入されている場合、導入された極性基のうち、1個以上がアミン構造を有さない極性基であり、50%以上(例えば10個の極性基が導入されている場合には5個以上)がアミン構造を有さない極性基であることが好ましく、70%以上(例えば10個の極性基が導入されている場合には7個以上)がアミン構造を有さない極性基であることがさらに好ましく、90%以上(例えば10個の極性基が導入されている場合には9個以上)がアミン構造を有さない極性基であることが特に好ましい。これにより、特定構造のフタロシアニン誘導体がイン
ク中で一層異物化しにくくなる。
特定構造のフタロシアニン誘導体には、市販品も使用することができ、例えば、Solsperse12000(商品名、LUBRIZOL社製)等が挙げられる。
特定構造のフタロシアニン誘導体の含有量は、上述した顔料100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがさらに好ましい。特定構造のフタロシアニン誘導体の含有量が1質量部以上であることで、顔料の分散性を一層向上でき、20質量部以下であることで、フタロシアニン誘導体に起因する異物の発生を一層抑制することができる。
1.3.2.その他の顔料分散剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、特定構造のフタロシアニン誘導体以外の顔料分散剤を含有することが好ましい。このような特定構造のフタロシアニン誘導体以外の顔料分散剤としては、例えば、樹脂分散剤などが挙げられる。
樹脂分散剤は、上記の特定構造のフタロシアニン誘導体との相乗効果により、顔料の分散性を一層向上することができる。
樹脂分散剤としては、ポリビニルアルコール類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を持つモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
樹脂分散剤には、市販品を用いることができ、例えば、ヒノアクトKF1−M、T−6000、T−7000、T−8000、T−8350P、T−8000E(いずれも武生ファインケミカル株式会社製)等のポリエステル系高分子化合物、Solsperse20000、24000、32000、32500、33500、34000、35200、37500(いずれもLUBRIZOL社製)、Disperbyk−161、162、163、164、166、180、190、191、192、2091、2095(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、フローレンDOPA−17、22、33、G−700(いずれも共栄社化学株式会社製)、アジスパーPB821、PB711(いずれも味の素株式会社製)、LP4010、LP4050、LP4055、POLYMER400、401、402、403、450、451、453(いずれもEFKAケミカルズ社製)等が挙げられる。
樹脂分散剤を含有する場合において、その含有量は、顔料100質量部に対して、5質量部以上200質量部以下であることが好ましく、30質量部以上120質量部以下であることがより好ましい。
1.4.樹脂
本実施形態に係る非水系インク組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂の機能としては、皮膜を形成して、非水系インク組成物により得られる画像の耐擦性を向上することが挙げられる。このような樹脂は、定着用樹脂と呼ばれることがある。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン系樹脂、石油樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリオレフィン、テルペン系樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR・SBR・MBR等の各種合成ゴム、およびそれらの変性体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記の樹脂の中でも、画像の耐擦性を一層向上できるという観点から、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂の少なくとも一方を使用することが好ましい。特に、(メタ)アクリル系樹脂および塩化ビニル系樹脂を併用することで、記録される画像の耐擦性が一層向上する傾向にある。
(メタ)アクリル系樹脂とは、従来公知のモノマー成分から得られるポリマーである。このようなモノマー成分には、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチルなどのカルボキシル基含有モノマーの他、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類、アミド基含有モノマー類、グリシジル基含有モノマー類、シアノ基含有モノマー、水酸基含有アリル化合物、三級アミノ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマーなどを単独または複数組合せて用いることができる。本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味するものとし、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味するものとする。
上記の(メタ)アクリル系樹脂には、市販品を用いてもよく、例えば、アクリペットMF(商品名、三菱レイヨン社製、アクリル樹脂)、スミペックスLG(商品名、住友化学社製、アクリル樹脂)、パラロイドBシリーズ(商品名、ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)、パラペットG−1000P(商品名、クラレ社製、アクリル樹脂)などが挙げられる。
塩化ビニル系樹脂は、樹脂の合成時に使用したモノマー成分として少なくとも塩化ビニルを含むものであり、塩化ビニルと、他のモノマー(例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル、マレイン酸、ビニルアルコール等)との共重合体を用いることができる。これらの中でも、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重合させて得られる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましく、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上80℃以下である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用することがより好ましい。
上記の塩化ビニル系樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、カネビニールHM515、S−400(商品名、株式会社カネカ製)、ソルバインC(商品名、日信化学株
式会社)等が挙げられる。
非水系インク組成物に含まれる樹脂には、固形状、溶液状、エマルジョン状態としたもの等、いずれのタイプの樹脂を用いてもよい。
樹脂の固形分換算における含有量は、非水系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。上限は6質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。下限は1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましい。樹脂の含有量を0.5質量%以上とすることで、画像の耐擦性が一層良好となる傾向にある。また、樹脂の含有量を10質量%以下とすることで、インクの粘度をインクジェット記録に適した範囲に容易に設定することができる。また、画像の耐擦性を確保した上で樹脂の含有量を少なくするほど、有機溶剤など他の成分を多く含有させることができ設計の自由度が増す点で好ましい。
1.5.界面活性剤
本実施形態に係る非水系インク組成物は、表面張力を低下させ記録媒体上での濡れ拡がり性を向上させる観点から、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、または非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
界面活性剤を含有する場合において、その含有量は、非水系インク組成物の全質量(100質量%)に対して、0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。
1.6.その他の成分
本実施形態に係る非水系インク組成物は、上記成分の他にも、アミン類、各種の塩類、重合性化合物、pH調整剤、キレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤など、所定の性能を付与するための物質を含有することができる。
1.7.非水系インク組成物の調製
本実施形態に係る非水系インク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、非水系インク組成物の20℃における粘度は、2mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.8.非水系インク組成物の物性
本実施形態に係る非水系インク組成物は、前述した成分を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
2.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記の非水系インク組成物の液滴を記録ヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる工程(以下、「工程(a)」ともいう。)を含む。これにより、記録媒体上に画像の形成された記録物が得られる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、上記の非水系インク組成物を用いるので、異物の発生が少ないことでインクの吐出性に優れており、かつ、定着性に優れた画像を記録できる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、前記工程(a)は、30℃以上50℃以下に加熱された記録媒体に対して行われることが好ましい。このように加熱された記録媒体上に上述のインク組成物を付着させることでインクの乾燥性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、前記工程(a)の後、記録媒体をさらに加熱する後加熱(アフターヒート)(以下、「工程(b)」ともいう。)を備えていてもよい。工程(b)をさらに備えることで、インクの乾燥性をより一層向上させることができる。
上述したような工程を備えることができるインクジェット記録装置としては、記録ヘッドの微細なノズルより上述したインク組成物を液滴として吐出し、該液滴を記録媒体に付着させていかなる装置も使用することができる。以下、本実施形態で使用可能なインクジェット記録装置として、記録媒体を加熱することができる機構を有するインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。
図1は、本実施形態で使用可能なインクジェットプリンター(以下、単に「プリンター」という。)の構成を示す斜視図である。図1に示すプリンター1は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジに記録ヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴って記録ヘッドが移動することにより記録媒体上に液滴を吐出するプリンターのことをいう。
図1に示すように、プリンター1は、記録ヘッド2を搭載すると共にインクカートリッジ3を着脱可能に装着するキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設され記録媒体Pが搬送されるプラテン5と、記録媒体を加熱するための加熱機構6と、キャリッジ4を記録媒体Pの媒体幅方向に移動させるキャリッジ移動機構7と、記録媒体Pを媒体送り方向に
搬送する媒体送り機構8と、を有するものである。また、プリンター1は、当該プリンター1全体の動作を制御する制御装置CONTを有している。なお、上記媒体幅方向とは、主走査方向(ヘッド走査方向)である。上記媒体送り方向とは、副走査方向(主走査方向に直交する方向)である。
インクカートリッジ3は、独立した4つのカートリッジからなる。4つのカートリッジのそれぞれに、上述した非水系インク組成物が充填される。なお、図1の例では、カートリッジの数が4つであるが、これに限定されず、所望の数のカートリッジを搭載することができる。
インクカートリッジ3は、図1に示すようなキャリッジ4に装着するものに限らず、これに替えて例えば、プリンター1の筐体側に装着しインク供給チューブを介してヘッド2に供給するタイプのものであってもよい。
キャリッジ4は、主走査方向に架設された支持部材であるガイドロッド9に支持された状態で取り付けられたものである。また、キャリッジ4は、キャリッジ移動機構7によりガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するものである。なお、図1の例では、キャリッジ4が主走査方向に移動するものを示したが、これに限定されず、主走査方向の移動に加えて、副走査方向に移動するものであってもよい。
加熱機構6は、記録媒体Pを加熱できる位置に設けられていれば、その設置位置は特に限定されるものではない。図1の例では、加熱機構6は、プラテン5上であって、ヘッド2と対向する位置に設置されている。このように、加熱機構6がヘッド2と対向する位置に設置されていると、記録媒体Pにおける液滴の付着位置を確実に加熱できるので、記録媒体Pに付着した液滴を効率的に乾燥できる。
加熱機構6には、例えば、記録媒体Pを熱源に接触させて加熱するプリントヒーター機構や、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長をもつ電磁波)などを照射する機構や、温風を吹き付けたりするドライヤー機構などを用いることができる。
加熱機構6による記録媒体Pの加熱は、ノズル孔(図示せず)から吐出された液滴が記録媒体Pに付着する前または付着する時に行われる。このようにすれば、記録媒体Pに付着した液滴を迅速に乾燥できる。なお、加熱の諸条件の制御(例えば、加熱実施のタイミング、加熱温度、加熱時間等)は、制御装置CONTによって行われる。
加熱機構6による記録媒体Pの加熱は、インクの乾燥性の向上、記録媒体の変形防止等の観点から、記録媒体Pが30℃以上50℃以下の温度範囲を保持するように行われることが好ましい。なお、本願発明において記録媒体を加熱する温度とは、加熱時における記録媒体の記録面の表面の温度を意味する。
プリンター1は、加熱機構6の他に、さらに、図示しない第2の加熱機構を有していてもよい。プリンター1が第2の加熱機構を備えることで、上述の工程(b)をプリンター1で行うことができる。第2の加熱機構は、加熱機構6よりも記録媒体Pの搬送方向の下流側に設置される。第2の加熱機構は、加熱機構6によって記録媒体Pを加熱した後、つまり、ノズル孔(図示せず)から吐出された液滴が記録媒体Pに付着した後に、当該記録媒体Pの加熱を行うものである。これにより、記録媒体Pに付着したインク組成物の液滴の乾燥性をより一層向上できる。第2の加熱機構には、加熱機構6で説明したいずれかの機構(例えば、ドライヤー機構等)を用いることができる。
第2の加熱機構による記録媒体Pの加熱は、上記加熱機構6と同様の理由により、記録
媒体Pが30℃以上50℃以下の温度範囲を保持するように行われることが好ましい。
リニアエンコーダ10は、キャリッジ4の主走査方向上における位置を信号で検出するものである。この検出された信号は、位置情報として制御装置CONTに送信されるようになっている。制御装置CONTは、このリニアエンコーダ10からの位置情報に基づいて記録ヘッド2の走査位置を認識し、記録ヘッド2による記録動作(吐出動作)などを制御するようになっている。また、制御装置CONTは、キャリッジ4の移動速度を可変制御可能な構成となっている。
記録媒体Pとしては、特に限定されないが、本実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、低吸収性記録媒体を使用した場合であっても記録された画像の耐擦性や乾燥性が良好となる。ここで「低吸収性記録媒体」とは、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体のことをいい、少なくとも記録面がこの性質を備えていればよい。この定義によれば、本発明における「低吸収性記録媒体」には、水を全く吸収しない非吸収性記録媒体も含まれる。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
低吸収性記録媒体としては、具体的には、低吸収性の材料を含むシート、フィルム、繊維製品等が挙げられる。また、低吸収性記録媒体は、基材(例えば、紙、繊維、皮革、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等)の表面に、低吸収性の材料を含む層(以下、「低吸収性層」ともいう)を備えたものであってもよい。低吸収性の材料としては、特に限定されないが、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、低吸収性記録媒体としては、塩化ビニル系樹脂を含む記録面を有するものを好ましく用いることができる。上述の非水系インク組成物には一般式(1)で表される化合物が含まれており、この化合物が塩化ビニル系樹脂を含む記録面を溶解することで記録媒体の内部にインク組成物を浸透させることができる。これにより、塩化ビニル系樹脂を含む記録面に記録した画像や文字の耐擦性を一層向上させることができる。塩化ビニル系樹脂の具体例としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルエーテル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−ウレタン共重合体等が挙げられる。なお、低吸収性記録媒体の厚み、形状、色、軟化温度、硬さ等の諸特性については特に制限されない。
3.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
3.1.有機溶剤の合成
3.1.1.下記式(2)で表される化合物
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよびメタノール6.408gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反
応物を除いた。このようにして、下記式(2)で表される化合物(以下、「有機溶剤A」ともいう。)を得た。
Figure 0006252755
なお、得られた有機溶剤Aの、有機概念図におけるI/O値から上記式(i)により算出されたHLB値は、18.3であった。
3.1.2.下記式(3)で表される化合物
撹拌装置、熱電対および窒素ガス導入管を備えた300mlセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド19.828gおよび1−ブタノール14.824gを入れ、窒素ガスを導入しながら撹拌した。次に、ナトリウム t−ブトキシド0.338gを加え、35℃で4時間反応を行った。加熱終了後、リン酸150mgを加え、溶液を均一にした後、3時間放置した。溶液を濾過して、析出物を除去し、さらにエバポレーターで未反応物を除いた。このようにして、下記式(3)で表される化合物(以下、「有機溶剤B」ともいう。)を得た。
Figure 0006252755
なお、得られた有機溶剤Bの、有機概念図におけるI/O値から上記式(3)により算出されたHLB値は、12.2であった。
3.2.非水系インク組成物の調製
容器に、表1に記載の濃度に相当する量の有機溶剤のみをそれぞれのインクごとに攪拌して、混合溶剤を得た。得られた混合溶剤の一部を取り分けて、Solsperse12000またはSolsperse5000(いずれもLUBRIZOL社製の商品名)と、Solsperse37500(LUBRIZOL社製、商品名)と、顔料と、を所定量添加して、ホモジナイザーを用いて予備分散した後に、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより、顔料の平均粒子径130nmの顔料分散体を得た。そして、混合溶剤の一部を取り分けていたものに、樹脂を加えて攪拌して、完全に溶解させた樹脂溶液を得た。上記の顔料分散剤に、混合溶剤の残部、界面活性剤および上記の樹脂溶液を混ぜ入れて、1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、実施例および比較例に係る非水系インク組成物を得た。
なお、表中で使用した成分のうち、商品名または略称で記載した成分は、下記の通りである。
・PB−7(C.I.ピグメントブラック7、カーボンブラック)
・Solsperse37500(商品名、LUBRIZOL社製、樹脂分散剤)
・Solsperse12000(商品名、LUBRIZOL社製、スルホン酸基が導入された銅フタロシアニン誘導体)
・Solsperse5000(商品名、LUBRIZOL社製、アンモニウム塩が導入された銅フタロシアニン誘導体)
・有機溶剤A(上記式(2)で表される化合物)
・有機溶剤B(上記式(3)で表される化合物)
・DPGmME(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、標準沸点187℃)
・TetraEGmBE(テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、標準沸点300℃)
・DEGdEE(ジエチレングリコールジエチルエーテル、標準沸点189℃)
・BYK340(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製、フッ素系界面活性剤)
・HM515(商品名「カネビニールHM515」、株式会社カネカ製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)
・G−1000P(商品名「パラペットG−1000P」、メタクリル樹脂)
3.3.評価試験
評価試験のうち、印刷ムラ、光沢、ドットサイズ、摩擦堅牢性の評価については、次の条件で行った。空調設備と加湿器を利用して、環境試験室の温度および湿度がそれぞれ、25℃,65%RHとなるように調整し、当該環境試験室内に設置したセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター「SC−S30650」(商品名)を用いて行った。なお、温度および湿度は、ヒーター等のインクジェットプリンター自身の発熱の影響を受けない筐体の上に設置した温湿度センサーによって測定した。
また、各評価試験では、プラテン及びプラテンより下流の記録媒体排出部にて、記録中及び記録後1分間、記録媒体を45℃で加熱した。
3.3.1.インクの保存安定性(粘度変化および異物の発生)
セイコーエプソン製プリンターSC−S30650用インクカートリッジに、各非水系インク組成物を充填し、60℃80%環境下に2週間放置した。その後インクを取り出して、アントンパール社製の粘度計(商品名「MCR300」)にて、インクの温度を20℃とした場合の粘度を測定した。初期粘度(測定時のインクの温度20℃)からの変化量が0.1mPa・s以上の水準を×、0.1mPa・s未満の水準を○と判定した。
また、放置後のインク中の異物の析出の有無を電子顕微鏡にて観察し、銅フタロシアニン誘導体に由来する異物の有無を確認した。
3.3.2.印刷ムラ
上記プリンターを用いて、各非水系インク組成物を塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に100%濃度で記録解像度720×720dpiのベタ印刷をした後、60分間、25℃65%RH(相対湿度)にて乾燥させた。その後、目視および光学顕微鏡を用いて印刷面を観察し、印刷ムラの少ないものを6点として、1点まで6水準で評価した。
3.3.3.光沢性
上記プリンターを用いて、各非水系インク組成物を光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度でベタ印刷をした後、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させて記録物を作成した。そして、ベタ印刷部の20°光沢をMULTI GLOSS 268(コニカミノルタ株式会社製)にて測定し、光沢度が26未満を1点、26以上28未満を2
点とし、光沢度を2毎に刻んで光沢を点数で評価した。光沢が優れる場合、特にフィルムなどの光沢性を有する記録媒体において、記録物に記録媒体自身と同様の光沢感を得ることができる利点がある。
3.3.4.ドットサイズ
上記プリンターを用いて各非水系インク組成物を、塩ビバナーシート(3M社製、型番IJ51(ポリ塩化ビニル))上に記録解像度720×720dpiの30%濃度で1辺3cmの正方形を印刷した後、25℃65%RH(相対湿度)にて60分間乾燥させた。その後、光学顕微鏡を用いて印刷部分のドットサイズを観察してドットの直径を10μm毎に分類した。なお、にじみが大きい場合には、ドット形状が円状になっておらず、測定できなかった。また、にじみが小さくなることで真円に近くなっていたが、ドットサイズ(直径)は小さくなっていた。ドットサイズが20μm以下のものを1点として、20μmを超え30μm以下のものを2点、というように10μm毎にランク分けして、点数を算出した。ドットサイズが良好であるということは、インクの記録媒体上での濡れ拡がり性が良いということであり、記録媒体をインクで覆うことができることにより記録物の発色性が良くなるなどの利点がある。
3.3.5.摩擦堅牢性
上記プリンターを用いて、各非水系インク組成物を、光沢ポリ塩化ビニルシート(ローランドDG社、型番SV−G−1270G)上に記録解像度720×720dpiの100%濃度で印刷した後、25℃65%RH(相対湿度)にて1日間、乾燥させて記録物を作成した。次に、JIS L 0849に基づいて、I型試験機にて乾式試験を行った。その後、試験綿布のODをスペクトロリーノ(グレタグマクベス社製)にて測定し、0.4以上を1点、0.4より小さく0.35以上のものを2点と、0.05毎に色移りに関して点数を付けた。
3.4.評価結果
以上の評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0006252755
実施例に係る非水系インク組成物は、いずれも、異物の発生および粘度変化が少なく(すなわち保存安定性に優れる)、記録される画像の耐擦性に優れることが示された。なお、実施例に係る非水系インク組成物は、いずれも、特定構造のフタロシアニン誘導体の含有量が、顔料100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の範囲内にあったため、特定構造のフタロシアニン誘導体の含有量が上記範囲外であった非水系インク組成物(表では示していない)と比べて、粘度変化が一層少なく、異物の発生の低減に一層優れたものであった。
なお、実施例7に係る非水系インク組成物は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを含有しないため、ドットサイズが不十分であり、画質が低下する傾向にあることが示された。
一方、比較例1に係る非水系インク組成物は、顔料誘導体を含有しないため、インクの粘度変化が大きくなって、保存安定性に優れないことが示された。
比較例2に係るインク組成物は、一般式(1)で表される化合物を含有しないため、記録される画像の耐擦性が低下することが示された。また、比較例2のインク組成物は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量の増加に伴って画像の乾燥性が低下したことで、印刷ムラの評価が悪くなった。
比較例3に係る非水系インク組成物は、顔料誘導体として特定構造のフタロシアニン誘導体を使用せずに、アミン構造を有するフタロシアニン誘導体を使用したので、異物の発生が顕著になった。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…プリンター、2…記録ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、6…加熱機構、7…キャリッジ移動機構、8…媒体送り機構、9…ガイドロット、10…リニアエンコーダ、P…記録媒体

Claims (9)

  1. 顔料と、
    下記一般式(1)で表される化合物と、
    前記顔料を分散する顔料分散剤として、スルホン酸基又はカルボキシル基が導入されたフタロシアニン誘導体と、
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルと、
    を含有する、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
    Figure 0006252755
    (上記一般式(1)中、Rは、炭素数1以上4以下のアルキル基を示し、RおよびRは、それぞれ独立に、メチル基またはエチル基を示す。)
  2. 請求項1において、
    前記顔料が、カーボンブラックである、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、1質量%以上40質量%以下である、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、5質量%以上50質量%以下である、インクジェット記録用の非水系インク組成物
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    さらに、塩化ビニル系樹脂および(メタ)アクリル系樹脂の少なくとも一方の樹脂を含有する、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  6. 請求項において、
    前記樹脂の含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下である、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記フタロシアニン誘導体の含有量が、前記顔料100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下である、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記顔料分散剤として、前記フタロシアニン誘導体以外の化合物をさらに含有する、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
    前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量が、前記非水系インク組成物の全質量に対して、10質量%以上36質量%以下である、インクジェット記録用の非水系インク組成物。
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