JP6252043B2 - 培地充填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、培地充填方法に関し、例えば受精卵などの細胞を培養するための培養容器に培地を充填する方法に関するものである。
従来から、家畜領域のみならずヒトの不妊医療などにおいて、培養系で精子と卵子とを体外受精させて受精卵(接合子)を作製し、さらに受精卵を卵割、桑実胚、胚盤胞の段階を経て、透明帯から孵化した脱出胚盤胞の段階まで培養することが可能となり、この卵割から胚盤胞の段階にある受精卵を子宮に移植して産子を得る補助的生殖技術(ART)が確立されている。
上記した受精卵の培養方法としては、培養容器上のウェル内に500μL程度の培養液を入れ、該培養液中で受精卵を培養する方法、培養容器上のウェル内に20μL程度の微小滴を載せ、該微小滴の表面をミネラルオイルで被覆し、その中に受精卵を入れる方法などが知られている。また、近年では、培養容器上に複数の窪みを設け、それぞれの窪みごとに受精卵を導入して培養することにより受精卵を個別に管理する方法なども適用されている。
ところで、培養容器上に複数の窪みを設け、それぞれの窪みごとに受精卵を導入して培養する場合、培養容器への培地の導入に際して前記窪みに気泡が残存する可能性があることが知られている。特に、培養容器がポリスチレン等の疎水性の高い材料から形成されている場合や表面張力が高い培地を使用する場合には、前記窪みに気泡が残存し易くなることが本発明者等により確認されている。培養容器への培地の導入に際して前記窪みに気泡が残存すると、培養環境の変化や、気泡との接触による細胞のダメージ、雑菌による汚染リスクなど細胞への影響が懸念されること、その窪みにおいて細胞を培養できなくなることから、前記窪みに存在する気泡を確実に除去し得る技術の開発が望まれている。
このような要請に対し、特許文献1には、プレートを振る方法、プレートの一方の面から真空に引く方法、静電気の力を利用する方法、浮力によって空気が置き換えられるようにプレートを傾ける方法などが開示されている。また、特許文献2には、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射等を用いる方法、細胞の接着を促すタンパク質であるコラーゲン等を塗布する方法が開示されている。さらに、特許文献3には、真空ポンプを利用して減圧する方法が開示されている。
特開2009−96992号公報 特開2007−228818号公報 特許第4148367号公報
特許文献1に開示されている技術によれば、内面が親水性になるように化学的な処理が施された貫通穴の中にある空気を液体で置き換えることできる。しかしながら、特許文献1には、気泡の除去がより難しいと考えられる凹状の窪みに残存する気泡を除去する方法については一切言及されていない。
また、特許文献2や特許文献3に開示されている技術によれば、マイクロウェルの微細な突起への気泡の付着を防止したり、マイクロウェル内の気泡を除去できるものの、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射等を施したり、コラーゲン等を塗布して細胞培養容器に有機膜や無機膜を形成したり、真空ポンプを使用して減圧する必要があり、培養容器へ培地を充填する工程が煩雑となるといった課題が生じ得る。また、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射等を施したり、有機膜や無機膜を形成した細胞培養容器の表面特性が経年変化等により変化し、マイクロウェル内に気泡が残存し易くなるといった課題も生じ得る。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、培養容器上に設けられた凹状の窪みに残存する気泡を簡単にかつ確実に除去することのできる培地充填方法を提供することにある。
上記する課題を解決するために、本発明者等は、鋭意研究の結果、培地が導入された培養容器を加振することによって、極めて容易に凹状の窪みに残存する気泡を除去し得ることを見出した。
すなわち、本発明の培地充填方法は、細胞を培養するための培養領域を画成する底面と側面とを有し、前記底面に凹部を有する細胞収容部が設けられている培養容器へ培地を充填する培地充填方法であって、前記培養容器の前記細胞収容部に培地を導入する培地導入工程と、前記培養容器を加振して前記細胞収容部の前記凹部に存在する気泡を除去する加振工程と、からなる方法である。
また、上記する培地充填方法は、前記加振工程において、前記培養容器を前記底面と直交する方向へ加振することが好ましく、前記培養容器の加振周波数が5kHz以上かつ1MHzより小さいことが望ましい。
また、上記する培地充填方法は、前記加振工程に続いて、前記培養容器の温度を一定に保持する保温工程を含むことが好ましい。
本発明の培地充填方法によれば、凹部を有する細胞収容部に培地が導入された培養容器を加振することによって、凹部に存在する気泡を簡単にかつ確実に除去することができる。
本発明に係る培地充填方法の実施形態を説明するフロー図である。 本発明に係る培地充填方法で適用される培養容器の一例を示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)は図2aの培養容器の細胞収容部を拡大して示す拡大平面図であり、(c)は図2bのB−B矢視図であり、(d)はその縦断面図である。 図2で示す培養容器の蓋の一例を示す斜視図である。 加振工程で使用される加振装置の一例を示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)はその本体部の上面図であり、(c)はその本体部の側面図であり、(d)はその本体部の一部を拡大して示す拡大断面図である。 実施例1の検査用試料による細胞収容部の凹部を撮像した撮像画像である。 実施例2の検査用試料による細胞収容部の凹部を撮像した撮像画像である。 加振周波数と気泡除去率の関係を示す図である。
以下、本発明に係る培地充填方法の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る培地充填方法の実施形態を示したものである。図示するように、本実施形態の培地充填方法は、主に、準備工程(S11)と培地導入工程(S12)とオイル導入工程(S13)と加振工程(S14)と保温工程(S15)とから構成されている。
[準備工程]
本実施の形態の培地充填方法では、まず、細胞を培養するための培養容器を用意する(S11)。
ここで、本発明の培地充填方法で適用される細胞は、個別管理が必要とされる細胞であり、培養中及び培養後において個々の細胞を特定する必要があるもの、すなわち複数の細胞を培養している培養容器において互いに混同してしまうことが望ましくない細胞である。個別管理が必要とされる細胞としては、例えば、受精卵、卵細胞、ES細胞(胚性幹細胞)及びiPS細胞(人工多能性幹細胞)等が挙げられる。卵細胞は、未受精の卵細胞をさし、未成熟卵母細胞及び成熟卵母細胞が含まれる。受精卵は、受精後、卵割により2細胞期、4細胞期、8細胞期と細胞数が増えていき、桑実胚を経て、胚盤胞へと発生する。受精卵には、2細胞胚、4細胞胚及び8細胞胚などの初期胚、桑実胚、胚盤胞(初期胚盤胞、拡張胚盤胞及び脱出胚盤胞を含む)が含まれる。胚盤胞は、胎盤を形成する潜在能力がある外部細胞と胚を形成する潜在能力がある内部細胞塊からなる胚を意味する。ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊から得られる未分化な多能性又は全能性細胞をさす。iPS細胞は、体細胞(主に線維芽細胞)へ数種類の遺伝子(転写因子)を導入することにより、ES細胞に似た分化万能性を持たせた細胞をさす。すなわち、本発明において培養対象となる細胞には、受精卵や胚盤胞のように複数の細胞の集合体も包含される。本発明の培地充填方法は、好ましくは哺乳動物及び鳥類の細胞、特に哺乳動物の細胞の培養に好適である。哺乳動物は、温血脊椎動物をさし、例えば、ヒト及びサルなどの霊長類、マウス、ラット及びウサギなどの齧歯類、イヌ及びネコなどの愛玩動物、ならびにウシ、ウマ及びブタなどの家畜等が挙げられる。
また、本発明の培地充填方法で適用される培養容器10は、図2aで示すように、略円板状の底部1と該底部1の外縁から立設する側壁2とを有し、底部1の上面(底面)1aと側壁2の内周面(側面)2aとから細胞を培養するための培養領域が画成されている。底部1の略中心には、細胞を収容するための凹部(マイクロウェルとも言う)4を有する細胞収容部3が設けられ、その細胞収容部3の周囲に内壁5が立設されている。なお、細胞収容部3の凹部4は、図2bで示すように、底部1の上面1aに沿って5×5の正方格子状に25個近接して設けられ、各凹部4は、略円形状の開口を有し、図2cで示すように、底部1の上面1aに略垂直な側面4aと上面1aに略平行な底面4bとから形成されている。また、内壁5は、図2dで示すように、側壁2より高さが低く形成され、底部1に設けられた細胞収容部3と内壁5の内周面5aとから培地を導入するための培地領域が画成されている。
なお、培養容器10を構成する底部1の形状は特に制限されず、三角形及び四角形等の多角形状や楕円形状であってもよい。また、細胞収容部3の凹部4は、培養容器10の底部1の表面に直接窪みとして形成してもよいし、底部1から突出した部材により細胞収容部3を形成して該細胞収容部3の表面に窪みとして形成してもよい。また、培養容器10に細胞収容部3を複数設けてもよいし、細胞収容部3の凹部4の基数や配列、各凹部4の開口部や側面4aや底面4bの形状や寸法等は、収容する細胞の種類に応じて適宜に変更してもよい。
例えば、受精卵を培養する場合、胚盤胞の段階まで培養することが望ましいため、凹部4の円形状の開口部の直径(開口幅)は、胚盤胞の段階の細胞の最大寸法より大きいことが望ましい。胚盤胞の段階の細胞の最大寸法は通常100μm〜280μmであることから、円形状の開口部の直径は通常100μm以上である。また、例えば、凹部4の側面4aが、凹部4の最も低い位置から凹部4の外縁へ向かってその高さが高くなるように円錐状又は円錐台状に傾斜している場合には、細胞を配置したい場所(凹部4の最深部)へ移動させ易くなる。また、例えば、細胞を凹部4内に保持するために、凹部4の深さは細胞の最大径の1/3以上であることが好ましく、1/2以上であることがさらに好ましい。また、例えば、凹部4内への培養液の導入を容易にするために、凹部4の深さは凹部直径の1倍以下であることが好ましく、1/2以下であることが特に好ましい。また、凹部4の直径が小さく、その深さが深いほど対流が起き難くなるため、細胞の呼吸や代謝に伴って、周辺の培養液の組成変化が起き易くなる可能性がある。細胞は、周辺の培養液の組成の影響を受けて成長し易さが変化するため、細胞の成長を促すように生物学的な影響を考慮して直径と深さを設定することが好ましい。一般に、細胞の種類に応じて異なるが、凹部4の深さは50μm〜200μm程度であることが好ましい。
また、培養容器10の材質は特に制限されず、具体的には、金属、ガラス、及びシリコン等の無機材料、プラスチック(例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料を挙げることができる。また、培養容器10は、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、プラスチック材料からなる培養容器を製造する場合には、慣用の成形法、例えば射出成形により製造することができる。さらに、培養容器10は、受精卵の発育を促進するような表面処理又は表面コートがなされていてもよい。特に、受精卵の発育を促進するために、他の器官の細胞(例えば、子宮内膜細胞や卵管上皮細胞)と共培養をする場合、これらの細胞を予め培養容器に接着させる必要がある。このような場合に、培養容器の表面に細胞接着性の材料をコートすると有利である。
[培地導入工程]
上記した培養容器10を用意した後、培養容器10の細胞収容部3、特に細胞収容部3の周囲に立設された内壁5の内部に画成される培地領域に例えばピペットやガラスキャピラリー等を用いて受精卵等を含む培地を導入する(S12)。なお、培地は、内壁5の高さまで導入され、当該培地の表面張力により内壁5の外側へ漏出しないように保持されている。培養のための培地は、細胞を培養する能力を有するものであれば特に制限されず、例えば受精卵培養用の培養液としてはM16やCR1aa等が挙げられる。
[オイル導入工程]
次いで、培養容器10の側壁2の内側、すなわち培養容器10の底部1の上面1aと側壁2の内周面2aとから画成される培養領域にミネラルオイルを導入する(S13)。ミネラルオイルは、培養容器10に導入された培地を覆う高さまで導入され、これにより培地の乾燥が防止される。
[加振工程]
上記したように細胞収容部3の凹部4は極めて小さいため、S12の培地導入工程に際して、細胞収容部3の凹部4には気泡が残存する可能性がある。特に、培養容器10がポリスチレン等の疎水性の高い材料から形成されている場合や表面張力が高い培地を使用する場合には、その可能性が高くなる。そこで、培地およびミネラルオイルが収容された培養容器10に例えば図3に示す蓋11を装着した後、その培養容器10を加振して細胞収容部3の凹部4に存在する気泡を除去する(S14)。
具体的には、図4に示す加振装置50を使用して培養容器10を加振する。加振装置50は、図4aに示すように、主に、培養容器10を設置するための設置部20と該設置部20に設置された培養容器10を底部1の上面(底面)1aと直交する方向(鉛直方向)へ加振する加振部21とを有する本体部30と、該本体部30の加振部21の出力(振幅)を調整する調整部40とを備え、本体部30と調整部40とは通信ケーブル39を介して電気的に接続されている。なお、本体部30と調整部40とは通信ケーブル39を介さず一体に構成してもよい。
本体部30の設置部20は、略円筒状の筺体20aと該筺体20aの上端に設けられた上板20bと筺体20aの下端に設けられた底板20cとからなり、上板20bの略中心に開口部20eが形成されている(図4b参照)。本体部30の加振部21は例えば金属製の振動子からなり、設置部20の筺体20a内に埋設され、その先端部(培養容器10との接触部)21aが上板20bの開口部20eに摺動可能に配置され、加振時において加振部21の先端部21aが上板20bの上面20dから延出して培養容器10の底部1の下面と接触するようになっている。
なお、加振部21の先端部21aは、加振時において培養容器10の底部1への衝撃を緩和するために例えば弾性部材21bで覆われている(図4d参照)。この弾性部材21bの材質は特に限定されず、具体的には、天然ゴムの他にニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。また、加振部21の先端部21aの上面、特に加振部21の先端部21aに設けられた弾性部材21bの上面(培養容器10との接触面)の形状は特に限定されず、例えば平面状であってもよいし、上方に向かって凸となる形状であってもよい。
設置部20の上板20bには、棒状の支持部20fが立設され、該支持部20fに板ばね等からなる付勢部20gが取付けられている。この付勢部20gにより、設置部20の上板20b上に設置された培養容器10は上板20b方向(鉛直下方)へ付勢された姿勢で、当該培養容器10が、設置部20の上板20bと付勢部20gにより挟持されるようになっている(図4c参照)。
また、設置部20の上板20bには、培養容器10を設置する位置を規定する規定部(不図示)が設けられている。この規定部は、視覚的に培養容器10の設置位置を規定するマークであってもよいし、物理的に培養容器10の設置位置を規定する突起などであってもよい。この規定部により、設置部20の上板20b上に設置された培養容器10は、加振部21の先端部21aと培養容器10の底部1とが培養容器10の中心から離間する位置、特に加振部21の先端部21aと培養容器10の底部1とが培養容器1の細胞収容部3以外の位置で接触するように設置される。
上記した加振工程S14では、設置部20の上板20b上に設けられた規定部により、培養容器10を上板20b上の所定の位置に設置する。図4cに示すように、培養容器10の蓋11の上側に支持部20fに取付けられた付勢部20gを当接配置し、その付勢部20gにより培養容器10を上板20b方向(鉛直下方)へ向かって付勢した姿勢で、設置部20の上板20bと付勢部20gにより培養容器10を挟持して固定する。この状態で加振部21を駆動させると、図4dに示すように、加振部21の先端部21aが設置部20に設置された培養容器10の底部1の下面、特に培養容器1の細胞収容部3以外の位置の下面と接触し、培養容器10が底部1の上面(底面)1aと直交する方向へ加振される。なお、その際、付勢部20gのうち培養容器10の蓋11と接触する部分も培養容器10の底部1の上面(底面)1aと直交する方向(鉛直下方)へ振動する。
なお、加振部21の先端部21aの上面、特に加振部21の先端部21aに取付けられた弾性部材21bの上面は、加振開始時において、設置部20の上板20bの上面と面一に設定されてもよいし、上板20bの上面よりも僅かに突出して設定されてもよい。また、培養容器10の加振時には支持部20fに取付けられた付勢部20gを用いることなく、例えば使用者自身が培養容器10を設置部20の上板20b上で保持してもよい。また、培養容器10を加振する際に、底部1と直交する方向以外に、底部1の上面(底面)1aと平行な方向や底部1の上面(底面)1aに対して斜めの方向へ加振して細胞収容部3の凹部4内の気泡を当該凹部4から除去してもよい。さらに、培養容器10を加振する際には、培養容器10の底部1の下面以外に、培養容器10の側壁2の外周面や培養容器10の蓋11の上面から培養容器10に対して振動を付与してもよい。
この加振工程S14における培養容器10の振幅等は、各凹部4の開口部や側面4aや底面4bの形状や寸法、培養容器10自体の固有振動数、収容する細胞の種類等に応じて、調整部40の前面に設けられた調整ダイヤル40a等を用いて調整することができる。ただし、細胞収容部3の周囲に立設された内壁5の内部の培地領域にはより多くの培地を導入することが有利であるため、培養容器10の加振周波数や振幅は、内壁5の高さまで導入された培地が当該培地の表面張力により内壁5の外側へ漏出しない値であって細胞収容部3の凹部4内の気泡が当該凹部4から離脱し得る値に設定されることが望ましい。そのような培養容器10の加振周波数は、以下の実施例に基づき説明するように例えば5kHz〜1MHz程度である。また、その鉛直方向の振幅は、上記したように凹部4の深さが50μm〜200μm程度であることから凹部4の深さと同等の約50μm以上であり、かつ、培地の表面張力を考慮すると例えば1mm程度以下であることが好ましい。また、凹部4内の気泡サイズが50μm程度であることから、その鉛直方向の振幅は、凹部4内で気泡を滑動させられればよく、例えば気泡サイズの約1/10以上、すなわち約5μm以上であってもよい。
[保温工程]
そして、上記したように培養容器10を加振して細胞収容部3の凹部4に存在する気泡を除去した後、その培養容器10を培養細胞の発育及び維持に必要なガスを含む環境雰囲気及び一定の環境温度をもたらすインキュベータに投入する(S15)。必要なガスには、水蒸気、遊離酸素(O)及び二酸化炭素(CO)が含まれる。環境温度とCO含有量を調節することにより、培地のpHを一定時間内に安定させることができる。安定なCO含有量と安定な温度により安定なpHが得られる。なお、例えば画像比較プログラムにより、培養中の細胞の画像を予め撮像して保存しておいた画像と比較することにより、培養の際の温度、ガス及び培地などの培養条件を調節することもできる。例えば、ラット受精卵を培養する際のインキュベータの培養条件は、5%CO、5%O、90%空気、37℃、湿度飽和である。
このように、本実施形態の培地充填方法によれば、培地が導入された培養容器10を加振する、特に培養容器10を底部1の上面(底面)1aと直交する方向、すなわち鉛直方向であって凹部4の開口方向へ向かって加振することによって、細胞収容部3の凹部4に存在する気泡を簡単にかつ確実に除去することができる。また、加振後の培養容器10を一定の環境温度をもたらすインキュベータに投入することによって、加振後においても凹部4に残存する気泡を膨張もしくは活性化させて前記凹部4から離脱させることができるため、細胞収容部3の凹部4に存在する気泡をより確実に除去することができる。
なお、上記する実施形態の培地充填方法では、オイル導入工程の後に加振工程を実施したが、加振工程は培地導入工程の後に実施してもよいし、培養容器10に導入された培地の蒸発を許容し得る場合にはオイル導入工程自体を省略してもよい。培養領域にミネラルオイルを導入する前に培養容器を加振する場合には、培地が内壁5の外側へ漏出し易くなるため、それに応じて調整部40の調整ダイヤル40a等を用いて培養容器10の加振周波数や振幅等を調整する必要がある。
<実施例の検査用試料による凹部の気泡除去率を測定した実験とその結果>
本発明者等は、異なる加振周波数で加振した複数の培養容器(実施例1、2、比較例1)において細胞収容部の凹部の画像を撮像し、その撮像画像から凹部の気泡除去率を測定した。
気泡除去率の測定方法を概説すると、培養容器として図2で示す形態の培養容器10を用意した。なお、培養容器はポリスチレン樹脂製であり、その底部の厚さは約1mm、内壁の厚さは約0.5mm、内壁の内周は約φ7mm、内壁の高さは約2mmであった。また、細胞収容部の凹部の開口部の直径は約280μm、凹部の深さは約160μm、隣接する凹部の中心同士の間隔は約400μmであった。その培養容器の培地領域にCR1aaを70μL導入し、培養容器の培養領域にミネラルオイルを導入した後、細胞収容部の凹部の画像を撮像用カメラにより撮像した(この撮像画像を画像1とする)。そして、その培養容器を図4で示す形態の加振装置に設置し、底部の上面と直交する方向すなわち鉛直方向へ向かって1MHz(実施例1)、40kHz(実施例2)、1kHz(比較例1)で加振した後、細胞収容部の凹部の画像を撮像用カメラにより撮像し(この撮像画像を画像2とする)、双方の撮像画像1、2を比較して以下の数式1により凹部内の気泡の除去率を算出した。
(数1)
1−(画像2中の気泡が存在する凹部の数)/(画像1中の気泡が存在する凹部の数)
実施例1の検査用試料では、図5で示すように、凹部内の気泡除去率が約32%(1−17/25)であった。また、実施例2の検査用試料では、図6で示すように、凹部内の気泡除去率が約100%であった。また、比較例1の検査用試料では、凹部内の気泡がほとんど除去されなかった。
この実験結果より、培養容器を底部の上面と直交する方向、すなわち鉛直方向であって凹部が開口する方向へ向かって加振することにより、細胞収容部の凹部に存在する気泡を除去し得ることが実証された。特に、図7で示すように、加振時の加振周波数が5kHz以上かつ1MHzより小さければ、細胞収容部の凹部内に存在する気泡の約1/3以上を除去し得ることが確認された。
1:底部、1a:底部の上面(底面)、2:側壁、2:側壁の内周面(側面)、3:細胞収容部、4:細胞収容部の凹部、4a:凹部の側面、4b:凹部の底面、5:内壁、10:培養容器、11:蓋、20:設置部、20e:開口部、20g:付勢部、21:加振部、21a:加振部の先端部、21b:弾性部材、30:本体部、39:通信ケーブル、40:調整部、40a:調整ダイヤル、50:加振装置

Claims (6)

  1. 細胞を培養するための培養領域を画成する底面と側面とを有し、前記底面に凹部を有する細胞収容部が設けられている培養容器へ培地を充填する培地充填方法であって、
    前記培養容器の前記細胞収容部に培地を導入する培地導入工程と、
    前記培養容器の前記細胞収容部以外の位置の下面に加振部を接触させて前記培養容器を加振して前記細胞収容部の前記凹部に存在する気泡を除去する加振工程と、を含む培地充填方法。
  2. 前記加振工程において、前記培養容器を前記底面と直交する方向へ加振する、請求項1に記載の培地充填方法。
  3. 前記培養容器の加振周波数が5kHz以上かつ1MHzより小さい、請求項2に記載の培地充填方法。
  4. 前記加振工程に続いて、前記培養容器の温度を一定に保持する保温工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の培地充填方法。
  5. 記加振工程において、前記培養容器の加振周波数が5kHz以上かつ1MHzより小さく、振幅が5μm以上かつ1mm以下である、請求項1に記載の培地充填方法。
  6. 前記加振工程において、前記培養容器の振幅が50μm以上かつ1mm以下である、請求項5に記載の培地充填方法。
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