JP6251074B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入力軸および出力軸をクランク式の無段変速機構で接続した車両用動力伝達装置に関する。
エンジンに接続された入力軸の回転を複数のコネクティングロッドの相互に位相が異なる往復運動に変換し、前記複数のコネクティングロッドの往復運動を複数のワンウェイクラッチによって出力軸の回転運動に変換するクランク式の無段変速機構が、下記特許文献1により公知である。
特表2005−502543号公報
図12はかかるクランク式の無段変速機構の出力軸の周辺を模式的に示すもので、両端をベアリング01,01で支持した出力軸02の外周に複数のワンウェイクラッチ03…を介して揺動リンク04…が支持されており、コネクティングロッド05…により揺動リンク04…が一方向に揺動すると、ワンウェイクラッチ03…が係合して出力軸02に駆動力が伝達される。駆動力は出力軸02の一端(拘束端)に設けたスプライン02aからディファレンシャルギヤ06に出力されるため、出力軸02の外周に支持した複数のワンウェイクラッチ03…から入力されるトルクにより、出力軸02の他端(自由端)が前記一端(拘束端)に対して捩じれることになる。
各ワンウェイクラッチ02は、揺動リンク04が一方向に揺動して揺動リンク04の内周面および出力軸02の外周面が相対回転したときに、ワンウェイクラッチ02のローラ07が揺動リンク04の内周面および出力軸02の外周面間に噛み込んでトルクを伝達するため、出力軸02がワンウェイクラッチ02から入力されるトルクで捩じれると、その捩じれ角の分だけ揺動リンク04の内周面および出力軸02の外周面の相対回転角が減少してしまい、ローラ07の噛み込みが局部的に浅くなってローラ07の面圧を軸方向全域に亙って均一化できなくなる問題がある。
具体的には、出力軸02の拘束端に近いローラ07の右端側を基準とすると、出力軸02の自由端に近いローラ07の左端側ほど捩じれ角が大きくなるため、ローラ07の拘束端側(右端側)では揺動リンク04および出力軸02の相対回転角が大きくなり、ローラ07が内周面および外周面間に深く噛み込んで面圧が大きくなるのに対し(図13(A)参照)、ローラ07の自由端側(左端側)では揺動リンク04および出力軸02の相対回転が小さくなり、ローラ07が内周面および外周面間に浅く噛み込んで面圧が小さくなるため(図13(B)参照)、面圧の不均衡によりローラ07が傾いてワンウェイクラッチ03のスムーズな係合が妨げられる可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の無段変速機構の出力軸の捩じれによるワンウェイクラッチのローラの面圧の不均衡を解消することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する変速ユニットを備え、前記変速ユニットは、前記入力軸と一体に偏心回転する偏心部材と、前記出力軸に揺動可能に支持された揺動リンクと、前記出力軸および前記揺動リンク間に配置され、該揺動リンクが一方向に揺動したときに係合して他方向に揺動したときに係合解除するワンウェイクラッチと、前記偏心部材および前記揺動リンクを接続するコネクティングロッドとを備える車両用動力伝達装置であって、前記ワンウェイクラッチは、前記揺動リンクの内周面および前記出力軸の外周面間に配置された複数のローラを備え、前記出力軸は駆動輪に駆動力を出力する駆動力出力部を備え、前記揺動リンクは、該揺動リンクの軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、前記駆動力出力部に近い側を径方向あるいは軸方向に薄肉とし、前記駆動力出力部から遠い側を径方向あるいは軸方向に厚肉としたことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記揺動リンクは、該揺動リンクの軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、前記駆動力出力部に近い側を径方向に薄肉とし、前記駆動力出力部から遠い側を径方向に厚肉としたことを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態のスプライン13bは本発明の駆動力出力部に対応し、実施の形態の偏心ディスク19は本発明の偏心部材に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、偏心部材が入力軸と一体に偏心回転すると、偏心部材に一端を接続されたコネクティングロッドが往復運動し、コネクティングロッドの他端が接続された揺動リンクが往復揺動する。ワンウェイクラッチは、揺動リンクの内周面および出力軸の外周面間に配置された複数のローラを備え、揺動リンクが一方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合し、揺動リンクが他方向に揺動したときにワンウェイクラッチが係合解除することで、入力軸の回転が変速されて出力軸に伝達される。
出力軸は駆動輪に駆動力を出力する駆動力出力部を備えるため、駆動力出力部が設けられた拘束端側に対し、駆動力出力部から離れた自由端側がワンウェイクラッチから入力されるトルクで捩じれ変形することで、揺動リンクの内周面および出力軸の外周面間に配置されたローラの面圧が軸方向に不均一になり、ローラが傾いてワンウェイクラッチのスムーズな係合が阻害される可能性がある。
しかしながら、揺動リンクは、該揺動リンクの軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、駆動力出力部に近い側(面圧が高い側、拘束端側)を径方向あるいは軸方向に薄肉として剛性を低くし、駆動力出力部から遠い側(面圧が低い側、自由端側)を径方向あるいは軸方向に厚肉として剛性を高くしたことにより、ローラの面圧を軸方向に均一化してワンウェイクラッチのスムーズな係合を可能にすることができる。
また請求項2の構成によれば、揺動リンクは、該揺動リンクの軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、駆動力出力部に近い側を径方向に薄肉とし、駆動力出力部から遠い側を径方向に厚肉としたので、揺動リンクを金型を用いて鍛造や鋳造で製造する際に、厚肉の部分を金型の合わせ面に一致させることで、型抜きが容易になって生産性が向上する。
車両用動力伝達装置の全体斜視図。(第1の実施の形態) 車両用動力伝達装置の要部の一部破断斜視図。(第1の実施の形態) 図1の3−3線断面図。(第1の実施の形態) 図3の4部拡大図。(第1の実施の形態) 図3の5−5線断面図。(第1の実施の形態) 偏心ディスクの形状を示す図。(第1の実施の形態) 偏心ディスクの偏心量と変速比との関係を示す図。(第1の実施の形態) OD変速比およびGN変速比における偏心ディスクの状態を示す図。(第1の実施の形態) 揺動リンクの斜視図。(第1の実施の形態) 図9の10−10線断面図。(第1の実施の形態) 図10に対応する図。(第2、第3の実施の形態) ワンウェイクラッチからのトルクによる出力軸の捩じれの説明図。 図12の13A−13A線および13B−13B線断面図。
第1の実施の形態
以下、図1〜図10に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1〜図5に示すように、自動車用の無段変速機Tのミッションケース11の一対の側壁11a,11bに入力軸12および出力軸13が相互に平行に支持されており、エンジンEに接続された入力軸12の回転が6個の変速ユニット14…、出力軸13およびディファレンシャルギヤDを介して駆動輪に伝達される。出力軸13の右端にはディファレンシャルギヤDに接続するスプライン13b(図1参照)が形成されており、このスプライン13bが形成された右端が出力軸13の拘束端と定義され、その反対側の左端が自由端と定義される。
中空に形成された入力軸12の内部に、その入力軸12と軸線Lを共有する変速軸15が7個のニードルベアリング16…を介して相対回転可能に嵌合する。6個の変速ユニット14…の構造は実質的に同一構造であるため、以下、一つの変速ユニット14を代表として構造を説明する。
変速ユニット14は変速軸15の外周面に設けられたピニオン17を備えており、このピニオン17は入力軸12に形成した開口12aから露出する。ピニオン17を挟むように、入力軸12の外周に軸線L方向に2分割された円板状の偏心カム18がスプライン結合される。偏心カム18の中心O1は入力軸12の軸線Lに対して距離dだけ偏心している。また6個の変速ユニット14…の6個の偏心カム18…は、その偏心方向の位相が相互に60°ずつずれている。
偏心カム18の外周面には、円板状の偏心ディスク19の軸線L方向両端面に形成した一対の偏心凹部19a,19aが、一対のニードルベアリング20,20を介して回転自在に支持される。偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれている。即ち、入力軸12の軸線Lおよび偏心カム18の中心O1間の距離dと、偏心カム18の中心O1および偏心ディスク19の中心O2間の距離dとは同一である。
軸線L方向に2分割された偏心カム18の割り面には、その偏心カム18の中心O1と同軸に一対の三日月状のガイド部18a,18aが設けられており、偏心ディスク19の一対の偏心凹部19a,19aの底部間を連通させるように形成されたリングギヤ19bの歯先が、偏心カム18のガイド部18a,18aの外周面に摺動可能に当接する。そして変速軸15のピニオン17が、入力軸12の開口12aを通して偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合する。
入力軸12の右端側はボールベアリング21を介してミッションケース11の右側の側壁11aに直接支持される。また入力軸12の左端側に位置する1個の偏心カム18に一体に設けた筒状部18b(図4参照)が、ボールベアリング22を介してミッションケース11の左側の側壁11bに支持されており、その偏心カム18の内周にスプライン結合された入力軸12の左端側は、ミッションケース11の左側の側壁11bに間接的に支持される。
入力軸12に対して変速軸15を相対回転させて無段変速機Tの変速比を変更する変速アクチュエータ23は、モータ軸24aが軸線Lと同軸になるようにミッションケース11に支持された電動モータ24と、電動モータ24に接続された遊星歯車機構25とを備える。遊星歯車機構25は、電動モータ24にニードルベアリング26を介して回転自在に支持されたキャリヤ27と、モータ軸24aに固定されたサンギヤ28と、キャリヤ27に回転自在に支持された複数の2連ピニオン29…と、中空の入力軸12の軸端(厳密には、前記1個の偏心カム18の筒状部18b)にスプライン結合された第1接続部材43に設けられた第1リングギヤ30と、変速軸15の軸端にスプライン結合された第2接続部材44に設けられた第2リングギヤ31とを備える。各2連ピニオン29は大径の第1ピニオン29aと小径の第2ピニオン29bとを備えており、第1ピニオン29aはサンギヤ28および第1リングギヤ30に噛合し、第2ピニオン29bは第2リングギヤ31に噛合する。
偏心ディスク19の外周には、ローラベアリング32を介してコネクティングロッド33の一端側の環状部33aが相対回転自在に支持される。
出力軸13はミッションケース11の一対の側壁11a,11bに一対のボールベアリング34,35で支持されており、その外周にはワンウェイクラッチ36を介して揺動リンク42が支持され、揺動リンク42の先端はコネクティングロッド33のロッド部33bの先端にピン37を介して枢支される。ワンウェイクラッチ36は、アウター部材を構成する揺動リンク42の内周面42aと、インナー部材を構成する出力軸13の外周面13aとの間に形成された楔状の空間に配置されて複数個のスプリング40…で付勢された複数個のローラ41…を備える。
図6および図8に示すように、偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれているため、偏心ディスク19の外周と偏心凹部19a,19aの内周との間隔は円周方向に不均一になっており、その間隔が大きい部分に三日月状の肉抜き凹部19c,19cが形成される。
次に、無段変速機Tの一つの変速ユニット14の作用を説明する。
図5および図7(A)〜図7(D)から明らかなように、入力軸12の軸線Lに対して偏心ディスク19の中心O2が偏心しているとき、エンジンEによって入力軸12が回転するとコネクティングロッド33の環状部33aが軸線Lまわりに偏心回転することで、コネクティングロッド33のロッド部33bが往復運動する。
その結果、コネクティングロッド33が往復運動する過程で図中左側に引かれると、スプリング40…に付勢されたローラ41…が揺動リンク42の内周面42aおよび出力軸13の外周面13a間の楔状の空間に噛み込み、揺動リンク42および出力軸13がローラ41…を介して結合されることで、ワンウェイクラッチ36が係合してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達される。逆にコネクティングロッド33が往復動する過程で図中右側に押されると、ローラ41…がスプリング40…を圧縮しながら揺動リンク42の内周面42aおよび出力軸13の外周面13a間の楔状の空間から押し出され、揺動リンク42および出力軸13が相互にスリップすることで、ワンウェイクラッチ36が係合解除してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達されなくなる。
このようにして、入力軸12が1回転する間に、入力軸12の回転が所定時間だけ出力軸13に伝達されるため、入力軸12が連続回転すると出力軸13は間欠回転する。6個の変速ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心方向の位相が相互に60°ずつずれているため、6個の変速ユニット14…が入力軸12の回転を交互に出力軸13に伝達することで、出力軸13は連続的に回転する。
入力軸12から出力軸13に駆動力を伝達する過程で、偏心ディスク19の偏心量εが大きいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが大きくなって出力軸13の1回の回転角が増加し、無段変速機Tの変速比が小さくなる。逆に、偏心ディスク19の偏心量εが小さいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが小さくなって出力軸13の1回の回転角が減少し、無段変速機Tの変速比が大きくなる。そして偏心ディスク19の偏心量εがゼロになると、入力軸12が回転してもコネクティングロッド33が移動を停止するために出力軸13は回転せず、無段変速機Tの変速比が最大(無限大)のギヤドニュートラルGNになる。
入力軸12に対して変速軸15が相対回転しないとき、つまり入力軸12および変速軸15が同一速度で回転するとき、無段変速機Tの変速比は一定に維持される。入力軸12および変速軸15を同一速度で回転させるには、入力軸12と同速度で電動モータ24を回転駆動すれば良い。その理由は、遊星歯車機構25の第1リングギヤ30は入力軸12に接続されて該入力軸12と同一速度で回転するが、それと同一速度で電動モータ24を駆動するとサンギヤ28および第1リングギヤ30が同一速度で回転するため、遊星歯車機構25はロック状態になって全体が一体に回転する。その結果、一体に回転する第1リングギヤ30および第2リングギヤ31に接続された入力軸12および変速軸15は一体化され、相対回転することなく同速度で回転するからである。
入力軸12の回転数に対して電動モータ24の回転数を増速あるいは減速すると、入力軸12に結合された第1リングギヤ30と電動モータ24に接続されたサンギヤ28とが相対回転するため、キャリヤ27が第1リングギヤ30に対して相対回転する。このとき、相互に噛合する第1リングギヤ30および第1ピニオン29aの歯数比と、相互に噛合する第2リングギヤ31および第2ピニオン29bの歯数比とが僅かに異なるため、第1リングギヤ30に接続された入力軸12と第2リングギヤ31に接続された変速軸15とが相対回転する。
このようにして入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、各変速ユニット14のピニオン17にリングギヤ19bを噛合させた偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが、入力軸12と一体の偏心カム18のガイド部18a,18aに案内されて回転し、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εが変化する。
図7(A)は変速比が最小の状態(オーバードライブ:OD)を示すもので、このとき入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは、入力軸12の軸線Lから偏心カム18の中心O1までの距離dと、偏心カム18の中心O1から偏心ディスク19の中心O2までの距離dとの和である2dに等しい最大値になる。入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が相対回転することで、図7(B)および図7(C)に示すように、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは最大値の2dから次第に減少して変速比が増加する。入力軸12に対して変速軸15が更に相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が更に相対回転することで、図7(D)に示すように、ついには入力軸12の軸線Lに偏心ディスク19の中心O2が重なり合って偏心量εがゼロになり、変速比が最大(無限大)の状態(ギヤドニュートラル:GN)になって出力軸13に対する動力伝達が遮断される。
図9および図10に示すように、各ワンウェイクラッチ36の揺動リンク42は、その内周面42aが形成された円筒部42bと、円筒部42bの軸方向一端側から径方向外側に延びる第1フランジ部42cと、円筒部42bの軸方向他端側から径方向外側に延びる第2フランジ部42dとを備えており、第1、第2フランジ部42c,42dが最も径方向外側に突出する部分にコネクティングロッド33の小端部がピン37で枢支される。第1、第2フランジ部42c,42dの径方向の肉厚は異なっており、出力軸13の拘束端側(図1の右端側)に位置する第1フランジ部42cの径方向の肉厚t1は、出力軸13の自由端側(図1の左端側)に位置する第2フランジ部42dの径方向の肉厚t2よりも小さく設定される。その結果、揺動リンク42は拘束端側で径方向の剛性が低くなり、自由端側で径方向の剛性が高くなる。
本実施の形態の揺動リンク42は鍛造により製造されるが、その鍛造金型の合わせ面P(図10参照)は、第2フランジ42dの径方向の肉厚t2が最も大きい部分に設定される。これにより、揺動リンク42の型抜きが容易になって生産性が向上する。
さて、図12で既に説明したように、出力軸13は右端(拘束端)に形成したスプライン13b(図1参照)からディファレンシャルギヤDに駆動力を出力するようになっているため、出力軸13の外周に支持した複数のワンウェイクラッチ36…から入力されるトルクにより、出力軸13の左端(自由端)が右端(拘束端)に対して相対的に捩じれることになる、その結果、各ワンウェイクラッチ36のローラ41の左端部では右端部に比べて揺動リンク42の内周面42aおよび出力軸13の外周面13a間の相対回転角が出力軸13の捩じれ分だけ小さくなり、ローラ41の左端部では右端部に比べて揺動リンク42の内周面42aおよび出力軸13の外周面13a間への噛み込みが浅くなって面圧が減少するため、面圧が軸方向に不均一化になってローラ41の傾きが発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、面圧が大きく減少するローラ41の左端側に臨む揺動リンク42の第2フランジ42dの剛性を、その径方向の肉厚t2を大きくすることで増加させ、かつ面圧があまり減少しないローラ41の右端側に臨む揺動リンク42の第1フランジ部42cの剛性を、その径方向の肉厚t1を小さくすることで減少させるので、面圧を軸方向に均一化してローラ41の傾きを防止し、ワンウェイクラッチ36のスムーズな係合を可能にすることができる。
第2、第3の実施の形態
次に、図11に基づいて本発明の第2、第3の実施の形態を説明する。
図11(A)に示す第2の実施の形態の揺動リンク42は、円筒部42bの径方向の肉厚を、拘束端側で小さいt1として剛性を低くし、自由端側で大きいt2として剛性を高くしたものである。また図11(B)に示す第3の実施の形態の揺動リンク42は、拘束端側の第1フランジ部42cの軸方向の肉厚を小さいt1として剛性を低くし、自由端側の第2フランジ部42dの軸方向の肉厚を大きいt2として剛性を高くしたものである。これらの第2、第3の実施の形態によっても、上述した第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では駆動力出力部であるスプライン13bを出力軸13が軸端に設けているが、それを出力軸13の軸方向中間部に設けても良い。
また本発明の駆動源は実施の形態のエンジンEに限定されず、モータ・ジェネレータ等の他種の駆動源であっても良い。
12 入力軸
13 出力軸
13a 外周面
13b スプライン(駆動力出力部)
14 変速ユニット
19 偏心ディスク(偏心部材)
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
41 ローラ
42 揺動リンク
42a 内周面
E エンジン(駆動源)

Claims (2)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(12)の回転を変速して出力軸(13)に伝達する変速ユニット(14)を備え、
    前記変速ユニット(14)は、
    前記入力軸(12)と一体に偏心回転する偏心部材(19)と、
    前記出力軸(13)に揺動可能に支持された揺動リンク(42)と、
    前記出力軸(13)および前記揺動リンク(42)間に配置され、該揺動リンク(42)が一方向に揺動したときに係合して他方向に揺動したときに係合解除するワンウェイクラッチ(36)と、
    前記偏心部材(19)および前記揺動リンク(42)を接続するコネクティングロッド(33)とを備える車両用動力伝達装置であって、
    前記ワンウェイクラッチ(36)は、前記揺動リンク(42)の内周面(42a)および前記出力軸(13)の外周面(13a)間に配置された複数のローラ(41)を備え、前記出力軸(13)は駆動輪に駆動力を出力する駆動力出力部(13b)を備え、前記揺動リンク(42)は、該揺動リンク(42)の軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、前記駆動力出力部(13b)に近い側を径方向あるいは軸方向に薄肉とし、前記駆動力出力部(13b)から遠い側を径方向あるいは軸方向に厚肉としたことを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記揺動リンク(42)は、該揺動リンク(42)の軸方向中心を挟む一端側および他端側のうち、前記駆動力出力部(13b)に近い側を径方向に薄肉とし、前記駆動力出力部(13b)から遠い側を径方向に厚肉としたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
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