JP6581018B2 - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、往復運動するコネクティングロッドおよびワンウェイクラッチを介して入力軸から出力軸に駆動力を伝達するクランク式の伝達ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置に関する。
かかる車両用動力伝達装置のクランク式の伝達ユニットにおいて、変速比を変更する際に相対回転する偏心カムと偏心ディスク(偏心部材)との間のクリアランスにワッシャを挟持することで、入力軸が撓んで前記クリアランスが変動したときに偏心カムと偏心ディスクとが相互に接触して振動や騒音が発生するのを防止するものが、下記特許文献1により公知である。
特開2014−185653号公報
ところで、クランク式の伝達ユニットの偏心カムと偏心ディスクとが相対回転するとき、それらの間に挟持されたワッシャは偏心カムおよび偏心ディスクに対して摺動するが、上記従来のものは、ワッシャとの摺動により偏心カムおよび偏心ディスクが受ける摩擦抵抗については考慮していない。しかしながら、変速比が増加する方向および減少する方向に応じて、すなわち偏心カムおよび偏心ディスクが相対回転する方向に応じて前記摩擦力を変化させれば、伝達ユニットの性能向上に寄与できる可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の伝達ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置において、振動・騒音の低減と変速応答性の向上とを両立させることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の伝達ユニットを軸方向に並置し、前記伝達ユニットの各々は、前記入力軸と一体に回転する偏心カムと、前記偏心カムの外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤが形成された偏心部材と、前記入力軸と同軸に配置されて変速アクチュエータにより回転する変速軸と、前記変速軸に設けられて前記リングギヤに噛合するピニオンと、前記出力軸に設けたワンウェイクラッチと、前記偏心部材および前記ワンウェイクラッチのアウター部材に接続されて往復運動するコネクティングロッドとを備え、前記変速アクチュエータで前記変速軸を前記入力軸に対して相対回転させて前記偏心カムに対する前記偏心部材の位相を変化させることで、前記入力軸の軸線からの前記偏心部材の偏心量を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、前記偏心カムは前記偏心部材の側壁を軸方向両側から挟む一対の支持壁を備え、前記一対の支持壁の少なくとも一方と前記側壁との間に摩擦部材が配置され、前記側壁の側面あるいは前記側壁に対向する前記摩擦部材の側面にV字状あるいはU字状の溝が形成され、前記溝は前記偏心部材が偏心量を増加させる方向に回転するときに摩擦力が大きくなり、前記偏心部材が偏心量を減少させる方向に回転するときに摩擦力が小さくなる方向に配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記溝は前記支持壁に対向する前記摩擦部材の側面にも形成されることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態の偏心ディスク19は本発明の偏心部材に対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、伝達ユニットは、入力軸に設けた偏心カムに支持されて該入力軸と共に回転する偏心部材と、出力軸に設けたワンウェイクラッチのアウター部材とをコネクティングロッドで接続して構成されるので、入力軸が回転してコネクティングロッドが往復運動すると、ワンウェイクラッチが間欠的に係合することで出力軸が間欠的に回転して駆動力が伝達される。その際に、変速アクチュエータで変速軸を入力軸に対して相対回転させ、ピニオンでリングギヤを回転させて偏心カムに対する偏心部材の位相を変化させることで、入力軸の軸線からの偏心部材の偏心量を変化させて変速比を変更することができる。
偏心カムは偏心部材の側壁を軸方向両側から挟む一対の支持壁を備え、一対の支持壁の少なくとも一方と側壁との間に摩擦部材が配置され、側壁の側面あるいは側壁に対向する摩擦部材の側面にV字状あるいはU字状の溝が形成される。偏心部材が偏心量を増加させる方向に回転するときに慣性力を受けても、そのときに溝が摩擦力を増加させるように作用するため、偏心部材を強く拘束して振動や騒音の発生を抑制することができる。逆にキックダウン時のように偏心部材が偏心量を減少させる方向に回転するときには変速応答性を高めることが望ましいが、そのときに溝が摩擦力を減少させるように作用するため、偏心部材を速やかに回転させて変速応答性を高めることができる。
また請求項2の構成によれば、溝は支持壁に対向する摩擦部材の側面にも形成されるので、側壁の側面および摩擦部材の側面間だけでなく、支持壁の側面および摩擦部材の側面間にも溝が介在することになり、その分だけトータルの摩擦力が増加し、偏心部材をより強く拘束して振動や騒音の発生を一層効果的に抑制することができる。
車両用動力伝達装置の縦断面図。 図1の2−2線断面図。 偏心ディスクの正面図および断面図。 偏心ディスクの偏心量と変速比との関係を示す図。 図1の5部拡大図。 摩擦部材の分解斜視図。 偏心カム、偏心ディスクおよび摩擦部材の分解斜視図。 変速軸に作用するトルクを説明するグラフ。
以下、図1〜図8に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に示すように、自動車用のクランク式の無段変速機Tのミッションケース11の一対の側壁11a,11bに入力軸12および出力軸13が相互に平行に支持されており、エンジンEに接続された入力軸12の回転が6個の伝達ユニット14…、出力軸13および図示せぬディファレンシャルギヤを介して図示せぬ駆動輪に伝達される。中空に形成された入力軸12の内部に、その入力軸12と軸線Lを共有する変速軸15が7個のニードルベアリング16…を介して相対回転可能に嵌合する。
6個の伝達ユニット14…の構造は実質的に同一構造であるため、以下、一つの伝達ユニット14を代表として構造を説明する。
伝達ユニット14は変速軸15の外周面に設けられたピニオン17を備えており、このピニオン17は入力軸12に形成した開口12a(図2参照)から露出する。ピニオン17を挟むように、入力軸12の外周に軸線L方向に2分割された円板状の偏心カム18がスプライン結合される。偏心カム18の中心O1は入力軸12の軸線Lに対して距離dだけ偏心している。また6個の伝達ユニット14…の6個の偏心カム18…は、その偏心方向の位相が相互に60°ずつずれている。
偏心カム18の外周面には、円板状の偏心ディスク19の軸線L方向両端面に形成した一対の偏心凹部19a,19aが、一対のニードルベアリング20,20を介して回転自在に支持される。偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれている。すなわち、入力軸12の軸線Lおよび偏心カム18の中心O1間の距離dと、偏心カム18の中心O1および偏心ディスク19の中心O2間の距離dとは同一である。
軸線L方向に2分割された偏心カム18の割り面の外周には、その偏心カム18の中心O1と同軸に一対の三日月状のガイド部18a,18aが設けられており、偏心ディスク19の一対の偏心凹部19a,19aの底部間を連通させるように形成されたリングギヤ19bの歯先が、偏心カム18のガイド部18a,18aの外周面に摺動可能に当接する。そして変速軸15のピニオン17が、入力軸12の開口12aを通して偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合する。
入力軸12の右端側はボールベアリング21を介してミッションケース11の右側の側壁11aに直接支持される。また入力軸12の左端側に位置する1個の偏心カム18に一体に設けた筒状部18b(図1参照)が、ボールベアリング22を介してミッションケース11の左側の側壁11bに支持されており、その偏心カム18の内周にスプライン結合された入力軸12の左端側はミッションケース11に間接的に支持される。
入力軸12に対して変速軸15を相対回転させて無段変速機Tの変速比を変更する変速アクチュエータ23は、モータ軸24aが軸線Lと同軸になるようにミッションケース11に支持された電動モータ24と、電動モータ24に接続された遊星歯車機構25とを備える。遊星歯車機構25は、電動モータ24にニードルベアリング26を介して回転自在に支持されたキャリヤ27と、モータ軸24aに固定されたサンギヤ28と、キャリヤ27に回転自在に支持された複数の2連ピニオン29…と、中空の入力軸12の軸端(厳密には、前記1個の偏心カム18の筒状部18b)にスプライン結合された第1リングギヤ30と、変速軸15の軸端にスプライン結合された第2リングギヤ31とを備える。各2連ピニオン29は大径の第1ピニオン29aと小径の第2ピニオン29bとを備えており、第1ピニオン29aはサンギヤ28および第1リングギヤ30に噛合し、第2ピニオン29bは第2リングギヤ31に噛合する。
コネクティングロッド33は、大端部33a、ロッド部33bおよび小端部33cを備えるもので、大端部33aがローラベアリング32を介して偏心ディスク19の外周に支持される。
出力軸13はミッションケース11の一対の側壁11a,11bに一対のボールベアリング34,35で支持されており、その外周にワンウェイクラッチ36が設けられる。ワンウェイクラッチ36は、コネクティングロッド33の小端部33cにピン37を介して枢支された揺動リンク42と、揺動リンク42の内周に固定されたリング状のアウター部材38と、アウター部材38の内部に配置されて出力軸13に固定されたリング状のインナー部材39と、アウター部材38の内周面とインナー部材39の外周面との間に形成された楔状の空間に配置されて複数個のスプリング40…で付勢された複数個のローラ41…とを備える。
図5および図6に示すように、偏心カム18,18の外周には径方向外側に延びる一対の支持壁18c,18cが形成されており、一対の第2支持壁18c,18c間に一対のニードルベアリング20,20および偏心ディスク19の一対の側壁19c,19cが挟持される。偏心カム18,18の一対の支持壁18c,18cおよび偏心ディスク19の一対の側壁19c,19c間には、偏心カム18,18および偏心ディスク19の相対回転を許容するための軸線L方向のクリアランスが形成されており、このクリアランスに、ゴム製の第1ワッシャ42の両側に金属製の第2ワッシャ43,43を重ね合わせた3層構造の摩擦部材44が配置される。
第2ワッシャ43,43の外面、つまり偏心カム18の支持壁18cおよび偏心ディスク19の側壁19cに対向する面には、多数のV字状の溝43a…が円周方向に沿って形成される。V字状の溝43a…の尖った先端が指向する方向は、図6に示す実施の形態では時計方向である。よって、摩擦部材44を一方向から見た場合、手前側の第2ワッシャ43のV字状の溝43a…の方向(時計方向)と、向こう側の第2ワッシャ43のV字状の溝43a…の方向(反時計方向)とは相互に逆方向となる。
次に、無段変速機Tの一つの伝達ユニット14の作用を説明する。
図2および図4(A)〜図4(D)から明らかなように、入力軸12の軸線Lに対して偏心ディスク19の中心O2が偏心しているとき、エンジンEによって入力軸12が回転するとコネクティングロッド33の大端部33aが軸線Lまわりに偏心回転することで、コネクティングロッド33が往復運動する。
その結果、コネクティングロッド33が往復運動する過程で図中右側に押されると、揺動リンク42と共にアウター部材38が図2において反時計方向に揺動し、スプリング40…に付勢されたローラ41…がアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間に噛み込み、アウター部材38およびインナー部材39がローラ41…を介して結合されることで、ワンウェイクラッチ36が係合してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達される。逆にコネクティングロッド33が往復運動する過程で図中左側に引かれると、揺動リンク42と共にアウター部材38が図2において時計方向に揺動し、ローラ41…がスプリング40…を圧縮しながらアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間から押し出され、アウター部材38およびインナー部材39が相互にスリップすることで、ワンウェイクラッチ36が係合解除してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達されなくなる。
このようにして、入力軸12が1回転する間に、入力軸12の回転が所定時間だけ出力軸13に伝達されるため、入力軸12が連続回転すると出力軸13は間欠回転する。6個の伝達ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心量εは全て同一であるが、偏心方向の位相が相互に60°ずつずれているため、6個の伝達ユニット14…が入力軸12の回転を交互に出力軸13に伝達することで、出力軸13は連続的に回転する。
このとき、偏心ディスク19の偏心量εが大きいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが大きくなって出力軸13の1回の回転角が増加し、無段変速機Tの変速比が小さくなる。逆に、偏心ディスク19の偏心量εが小さいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが小さくなって出力軸13の1回の回転角が減少し、無段変速機Tの変速比が大きくなる。そして偏心ディスク19の偏心量εがゼロになると、入力軸12が回転してもコネクティングロッド33が移動を停止するために出力軸13は回転せず、無段変速機Tの変速比が最大(無限大)になる。
入力軸12に対して変速軸15が相対回転しないとき、つまり入力軸12および変速軸15が同一速度で回転するとき、無段変速機Tの変速比は一定に維持される。入力軸12および変速軸15を同一速度で回転させるには、入力軸12と同速度で電動モータ24を回転駆動すれば良い。その理由は、遊星歯車機構25の第1リングギヤ30は入力軸12に接続されて該入力軸12と同一速度で回転するが、それと同一速度で電動モータ24を駆動するとサンギヤ28および第1リングギヤ30が同一速度で回転するため、遊星歯車機構25はロック状態になって全体が一体に回転する。その結果、一体に回転する第1リングギヤ30および第2リングギヤ31に接続された入力軸12および変速軸15は一体化され、相対回転することなく同速度で回転するからである。
入力軸12の回転数に対して電動モータ24の回転数を増速あるいは減速すると、入力軸12に結合された第1リングギヤ30と電動モータ24に接続されたサンギヤ28とが相対回転するため、キャリヤ27が第1リングギヤ30に対して相対回転する。このとき、相互に噛合する第1リングギヤ30および第1ピニオン29aの歯数比と、相互に噛合する第2リングギヤ31および第2ピニオン29bの歯数比とが僅かに異なるため、第1リングギヤ30に接続された入力軸12と第2リングギヤ31に接続された変速軸15とが相対回転する。
このようにして入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、各伝達ユニット14のピニオン17にリングギヤ19bを噛合させた偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが、入力軸12と一体の偏心カム18のガイド部18a,18aに案内されて回転し、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εが変化する。
図4(A)は変速比が最小の状態(変速比:TD)を示すもので、このとき入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは、入力軸12の軸線Lから偏心カム18の中心O1までの距離dと、偏心カム18の中心O1から偏心ディスク19の中心O2までの距離dとの和である2dに等しい最大値になる。入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が相対回転することで、図4(B)および図4(C)に示すように、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは最大値の2dから次第に減少して変速比が増加する。入力軸12に対して変速軸15が更に相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が更に相対回転することで、図4(D)に示すように、ついには入力軸12の軸線Lに偏心ディスク19の中心O2が重なり合って偏心量εがゼロになり、変速比が最大(無限大)の状態(変速比:UD)になって出力軸13に対する動力伝達が遮断される。
図8は、変速軸15に作用するトルクの変化を示すもので、実線は入力軸12から出力軸13に伝達される駆動力によるトルクを示し、一点鎖線はワンウェイクラッチ36から伝達される慣性力によるトルクを示し、二点鎖線はコネクティングロッド33から伝達される慣性力によるトルクを示し、破線は偏心ディスク19から伝達される慣性力(遠心力)によるトルクを示し、点線はそれらのトルクを全てを合算したトルクを示している。横軸の上側の領域は、偏心ディスク19の偏心量εを減少させる方向のトルクが変速軸15に作用する領域であり、横軸の下側の領域は、偏心ディスク19の偏心量εを増加させる方向のトルクが変速軸15に作用する領域である。
入力軸12と一体に偏心回転する偏心ディスク19により往復運動するコネクティングロッド33が揺動リンク42を押し、ワンウェイクラッチ36が係合して出力軸13が駆動されるとき、偏心ディスク19はコネクティングロッド33を介して出力軸13から押し戻される方向の反力を受けるが、この反力は偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合するピニオン17を介して変速軸15に伝達され、変速軸15に偏心量εを減少させる方向のトルクを加える(図8に実線で示す駆動力によるトルク参照)。
一方、例えば偏心ディスク19に作用する慣性力(遠心力)は、偏心ディスク19を径方向外側に付勢するため、この慣性力は変速軸15に偏心量εを増加させる方向のトルクを加える(図8に破線で示す遠心力によるトルク参照)。同様に、ワンウェイクラッチ36の慣性力も、コネクティングロッド33の慣性力も、変速軸15に偏心量εを増加させる方向のトルクを加える(図8の一点鎖線および二点鎖線参照)。
その結果、それらのトルクを合算したトータルのトルクは図8の点線のように横軸を跨ぐことになり、変速軸15に加わるトルクの方向が偏心量εを増加させる方向と偏心量εを減少させる方向とに切り換わり、その際に偏心ディスク19のリングギヤ19bと変速軸15のピニオン17との間に歯打ち音が発生することになる。
本実施の形態によれば、摩擦部材44により偏心ディスク19に摩擦力を加えて径方向外側への移動を抑制し、変速軸15に偏心量εを増加させる方向のトルクが加わるのを防止することで、変速軸15に加わるトータルのトルクを横軸の上側の領域に移動させ、横軸を跨ぐ際に発生する歯打ち音を防止することができる。
図7において、偏心ディスク19の偏心量εが増加するとき、偏心カム18および偏心ディスク19は矢印A方向に相対回転するとものとする。このとき偏心ディスク19は摩擦部材44のV字状の溝43a…(実線図示)を開いた側から尖った側に摩擦するため、偏心ディスク19および摩擦部材44間に大きな摩擦力が発生し、また偏心カム18も摩擦部材44のV字状の溝43a…(破線図示)を開いた側から尖った側に摩擦するため、偏心カム18および摩擦部材44間に大きな摩擦力が発生する。
逆に、偏心ディスク19の偏心量εが減少するとき、偏心カム18および偏心ディスク19は矢印B方向に相対回転することになる。このとき偏心ディスク19は摩擦部材44のV字状の溝43a…(実線図示)を尖った側から開いた側に摩擦するため、偏心ディスク19および摩擦部材44間に小さな摩擦力が発生し、また偏心カム18も摩擦部材44のV字状の溝43a…(破線図示)を尖った側から開いた側に摩擦するため、偏心カム18および摩擦部材44間に小さな摩擦力が発生する。
以上のように、偏心ディスク19が慣性力で径方向外側(偏心量εを増加させる方向)に移動するとき、摩擦部材44の溝43a…が摩擦力を増加させるように作用するため、偏心ディスク19を拘束して前記慣性力を打ち消すことができる。逆にアクセルペダルを強く踏み込むキックダウン操作が行われて偏心ディスク19が偏心量εを減少させる方向に移動するときには変速応答性を高めることが望ましいが、そのときに摩擦部材44の溝43a…が摩擦力を減少させるように作用するため、前記慣性力で偏心ディスク19を速やかに移動させて変速応答性を高めることができる。
またコネクティングロッド33が出力軸13から受ける反力で入力軸12が撓むことで、偏心カム18の支持壁18c,18cおよび偏心ディスク19の側壁19c,19c間のクリアランスが詰まっても、そこに配置された摩擦部材44が偏心カム18,18および偏心ディスク19が直接接触するのを防止することで、騒音や振動の発生を抑制することができる。このとき、摩擦部材44のゴム製の第1ワッシャ42が弾性変形することで接触による振動を減衰することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では偏心ディスク19の側壁19cに対向する摩擦部材44の側面と、偏心カム18の支持壁18cに対向する摩擦部材44の側面とに溝43a…を設けているが、偏心カム18の支持壁18cに対向する摩擦部材44の側面の溝43a…は省略することも可能であり、また偏心ディスク19の側壁19cに対向する摩擦部材44の側面の溝43a…を省略し、代わりに摩擦部材44の側面に対向する偏心ディスク19の側壁19cの側面に溝を形成しても良い。しかしながら、偏心ディスク19の側壁19cの側面および摩擦部材44の側面間に溝を設け、かつ偏心カム18の支持壁18cの側面および摩擦部材44の側面間に溝を設ければ、その分だけトータルの摩擦力が増加し、偏心ディスク19をより強く拘束して振動や騒音の発生を一層効果的に抑制することができる。
また実施の形態の溝43a…は先端が尖ったV字状であるが、先端が丸みを帯びたU字状であっても良い。
また実施の形態では、偏心ディスク19の軸方向両側の側壁19c,19cに一対の摩擦部材44,44を配置しているが、偏心ディスク19の軸方向一方の側壁19cだけに一個の摩擦部材44を配置しても良い。
またゴム製の第1ワッシャ42の代わりに金属製のウエーブスプリングを用いても良く、ゴム製の第1ワッシャ42やウエーブスプリングを廃止して1枚の金属ワッシャだけで摩擦部材44を構成しても良い。
12 入力軸
13 出力軸
14 伝達ユニット
15 変速軸
17 ピニオン
18 偏心カム
18c 支持壁
19 偏心ディスク(偏心部材)
19b リングギヤ
19c 側壁
23 変速アクチュエータ
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
38 アウター部材
43a 溝
44 摩擦部材
E エンジン(駆動源)
L 入力軸の軸線
ε 偏心部材の偏心量

Claims (2)

  1. 駆動源(E)に接続された入力軸(12)の回転を変速して出力軸(13)に伝達する複数の伝達ユニット(14)を軸方向に並置し、
    前記伝達ユニット(14)の各々は、
    前記入力軸(12)と一体に回転する偏心カム(18)と、
    前記偏心カム(18)の外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤ(19b)が形成された偏心部材(19)と、
    前記入力軸(12)と同軸に配置されて変速アクチュエータ(23)により回転する変速軸(15)と、
    前記変速軸(15)に設けられて前記リングギヤ(19b)に噛合するピニオン(17)と、
    前記出力軸(13)に設けたワンウェイクラッチ(36)と、
    前記偏心部材(19)および前記ワンウェイクラッチ(36)のアウター部材(38)に接続されて往復運動するコネクティングロッド(33)とを備え、
    前記変速アクチュエータ(23)で前記変速軸(15)を前記入力軸(12)に対して相対回転させて前記偏心カム(18)に対する前記偏心部材(19)の位相を変化させることで、前記入力軸(12)の軸線(L)からの前記偏心部材(19)の偏心量(ε)を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、
    前記偏心カム(18)は前記偏心部材(19)の側壁(19c)を軸方向両側から挟む一対の支持壁(18c)を備え、前記一対の支持壁(18c)の少なくとも一方と前記側壁(19c)との間に摩擦部材(44)が配置され、前記側壁(19c)の側面あるいは前記側壁(19c)に対向する前記摩擦部材(44)の側面にV字状あるいはU字状の溝(43a)が形成され、前記溝(43a)は前記偏心部材(19)が偏心量(ε)を増加させる方向に回転するときに摩擦力が大きくなり、前記偏心部材(19)が偏心量(ε)を減少させる方向に回転するときに摩擦力が小さくなる方向に配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置。
  2. 前記溝(43a)は前記支持壁(18c)に対向する前記摩擦部材(44)の側面にも形成されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
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