JP2014185653A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クランク式の変速ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置において、入力軸の撓みによる騒音や振動を低減する。
【解決手段】 偏心カム18は偏心部材19の側面を軸方向両側からを挟む第1、第2支持壁18c,18dを備え、複数の変速ユニット14の一部は、偏心カム18の第1支持壁18cと偏心部材19の側面との間に衝撃吸収部材44が配置され、複数の変速ユニット14の他の一部は、偏心カム18の第2支持壁18dと偏心部材19の側面との間に衝撃吸収部材44が配置されるので、変速ユニット14のコネクティングロッド33が荷重を伝達する反作用で入力軸12が撓み、入力軸12に設けた偏心カム18が傾いて該偏心カム18に支持した偏心部材19との間のクリアランスが変動しても、傾いた偏心カム18の第1、第2支持壁18c,18dと偏心部材19の側面との間に配置した衝撃吸収部材44がクリアランスの変動を吸収することで騒音や振動を低減することができる。
【選択図】 図9
【解決手段】 偏心カム18は偏心部材19の側面を軸方向両側からを挟む第1、第2支持壁18c,18dを備え、複数の変速ユニット14の一部は、偏心カム18の第1支持壁18cと偏心部材19の側面との間に衝撃吸収部材44が配置され、複数の変速ユニット14の他の一部は、偏心カム18の第2支持壁18dと偏心部材19の側面との間に衝撃吸収部材44が配置されるので、変速ユニット14のコネクティングロッド33が荷重を伝達する反作用で入力軸12が撓み、入力軸12に設けた偏心カム18が傾いて該偏心カム18に支持した偏心部材19との間のクリアランスが変動しても、傾いた偏心カム18の第1、第2支持壁18c,18dと偏心部材19の側面との間に配置した衝撃吸収部材44がクリアランスの変動を吸収することで騒音や振動を低減することができる。
【選択図】 図9
Description
本発明は、往復運動するコネクティングロッドおよびワンウェイクラッチを介して入力軸から出力軸に駆動力を伝達するクランク式の変速ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置に関する。
軸部を一体に有するプラネタリキャリヤと、外周にリングギヤを有するリングギヤ支持部材と、プラネタリキャリヤの軸部の外周にスプライン結合された出力部材とを備える遊星歯車機構において、リングギヤ支持部材の右側面を第1スラストベアリングを介してプラネタリキャリヤの左側面し支持し、リングギヤ支持部材の左側面を第2スラストベアリングを介してプラネタリキャリヤの軸部にサークリップで固定されたワッシャの右側面に支持することで、リングギヤ支持部材の振動をワッシャで減衰して出力部材に直接伝達されなくして騒音や振動を低減するものが、下記特許文献1により公知である。
ところで、クランク式の変速ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置では、変速ユニットのコネクティングロッドが駆動力を伝達する反力で入力軸が撓むと、入力軸に固設した偏心カムと、偏心カムの外周に相対回転可能に支持した偏心部材との間のクリアランスが変動し、両部材間にこじりが発生して騒音や振動の原因となる可能性があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランク式の変速ユニットを軸方向に複数個並置した車両用動力伝達装置において、入力軸の撓みによる騒音や振動を低減することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、駆動源に接続された入力軸の回転を変速して出力軸に伝達する複数の変速ユニットを軸方向に並置し、前記変速ユニットの各々は、前記入力軸と一体に回転する偏心カムと、前記偏心カムの外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤが形成された偏心部材と、前記入力軸と同軸に配置されて変速アクチュエータにより回転する変速軸と、前記変速軸に設けられて前記リングギヤに噛合するピニオンと、前記出力軸に設けたワンウェイクラッチと、前記偏心部材および前記ワンウェイクラッチのアウター部材に接続されて往復運動するコネクティングロッドとを備え、前記変速アクチュエータで前記変速軸を前記入力軸に対して相対回転させて前記偏心カムに対する前記偏心部材の位相を変化させることで、前記入力軸の軸線からの前記偏心部材の偏心量を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、前記偏心カムは前記偏心部材の側面を軸方向両側からを挟む第1支持壁および第2支持壁を備え、前記複数の変速ユニットの一部は、前記偏心カムの第1支持壁と前記偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置され、前記複数の変速ユニットの他の一部は、前記偏心カムの第2支持壁と前記偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記複数の変速ユニットの数は偶数であり、前記入力軸は軸方向両端部を第1ベアリングおよび第2ベアリングで支持され、軸方向一端側に位置する半数の前記変速ユニットは、前記偏心カムの軸方向一端側の前記第1支持壁と前記偏心部材の側面との間に前記衝撃吸収部材が配置され、軸方向他端側に位置する半数の前記変速ユニットは、前記偏心カムの軸方向他端側の前記第2支持壁と前記偏心部材の側面との間に前記衝撃吸収部材が配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記複数の変速ユニットの数は偶数であり、前記入力軸は軸方向両端部を第1ベアリングおよび第2ベアリングで支持されるとともに軸方向中央部を第3ベアリングで支持され、前記第1〜第3ベアリングに隣接する前記変速ユニットは、前記第1、第2支持壁のうちのベアリングに隣接する側の支持壁と前記偏心部材の側面との間に前記衝撃吸収部材が配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置が提案される。
尚、実施の形態の偏心ディスク19は本発明の偏心部材に対応し、実施の形態の第1ボールベアリング21、第2ボールベアリング22および第3ボールベアリング45はそれぞれ本発明の第1ベアリング、第2ベアリングおよび際3ベアリングに対応し、実施の形態のエンジンEは本発明の駆動源に対応する。
請求項1の構成によれば、変速ユニットは、入力軸に設けた偏心カムに支持されて該入力軸と共に回転する偏心部材と、出力軸に設けたワンウェイクラッチのアウター部材とをコネクティングロッドで接続して構成されるので、入力軸が回転してコネクティングロッドが往復運動すると、ワンウェイクラッチが間欠的に係合することで出力軸が間欠的に回転して駆動力が伝達される。その際に、変速アクチュエータで変速軸を入力軸に対して相対回転させ、ピニオンでリングギヤを回転させて偏心カムに対する偏心部材の位相を変化させることで、入力軸の軸線からの偏心部材の偏心量を変化させて変速比を変更することができる。
偏心カムは偏心部材の側面を軸方向両側からを挟む第1、第2支持壁を備え、複数の変速ユニットの一部は、偏心カムの第1支持壁と偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置され、複数の変速ユニットの他の一部は、偏心カムの第2支持壁と偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置されるので、変速ユニットのコネクティングロッドが荷重を伝達する反作用で入力軸が撓み、入力軸に設けた偏心カムが傾いて該偏心カムに支持した偏心部材との間のクリアランスが変動しても、傾いた偏心カムの支持壁と偏心部材の側面との間に配置した衝撃吸収部材がクリアランスの変動を吸収することで騒音や振動を低減することができる。
また請求項2の構成によれば、複数の変速ユニットの数は偶数であり、入力軸は軸方向両端部を第1、第2ベアリングで支持され、軸方向一端側に位置する半数の変速ユニットは、偏心カムの軸方向一端側の第1支持壁と偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置され、軸方向他端側に位置する半数の変速ユニットは、偏心カムの軸方向他端側の第2支持壁と偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置されるので、偏心カムの支持壁および偏心部材の側面間のクリアランスが詰まり易い部分に衝撃吸収部材を配置し、衝撃吸収部材の数を必要最小限に抑えながら騒音や振動の発生を抑制することができる。
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、複数の変速ユニットの数は偶数であり、入力軸は軸方向両端部を第1、第2ベアリングで支持されるとともに軸方向中央部を第3ベアリングで支持され、第1〜第3ベアリングに隣接する変速ユニットは、第1、第2支持壁のうちのベアリングに隣接する側の支持壁と偏心部材の側面との間に衝撃吸収部材が配置されるので、偏心カムの支持壁および偏心部材の側面間のクリアランスが詰まり易い部分に衝撃吸収部材を配置し、衝撃吸収部材の数を必要最小限に抑えながら騒音や振動の発生を抑制することができる。
以下、図1〜図12に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1〜図5に示すように、自動車用の無段変速機Tのミッションケース11の一対の側壁11a,11bに入力軸12および出力軸13が相互に平行に支持されており、エンジンEに接続された入力軸12の回転が6個の変速ユニット14…、出力軸13およびディファレンシャルギヤDを介して駆動輪に伝達される。中空に形成された入力軸12の内部に、その入力軸12と軸線Lを共有する変速軸15が7個のニードルベアリング16…を介して相対回転可能に嵌合する。6個の変速ユニット14…の構造は実質的に同一構造であるため、以下、一つの変速ユニット14を代表として構造を説明する。
変速ユニット14は変速軸15の外周面に設けられたピニオン17を備えており、このピニオン17は入力軸12に形成した開口12aから露出する。ピニオン17を挟むように、入力軸12の外周に軸線L方向に2分割された円板状の偏心カム18がスプライン結合される。偏心カム18の中心O1は入力軸12の軸線Lに対して距離dだけ偏心している。また6個の変速ユニット14…の6個の偏心カム18…は、その偏心方向の位相が相互に60°ずつずれている。
偏心カム18の外周面には、円板状の偏心ディスク19の軸線L方向両端面に形成した一対の偏心凹部19a,19aが、一対のニードルベアリング20,20を介して回転自在に支持される。偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれている。即ち、入力軸12の軸線Lおよび偏心カム18の中心O1間の距離dと、偏心カム18の中心O1および偏心ディスク19の中心O2間の距離dとは同一である。
軸線L方向に2分割された偏心カム18の割り面には、その偏心カム18の中心O1と同軸に一対の三日月状のガイド部18a,18aが設けられており、偏心ディスク19の一対の偏心凹部19a,19aの底部間を連通させるように形成されたリングギヤ19bの歯先が、偏心カム18のガイド部18a,18aの外周面に摺動可能に当接する。そして変速軸15のピニオン17が、入力軸12の開口12aを通して偏心ディスク19のリングギヤ19bに噛合する。
入力軸12の一端側は第1ボールベアリング21を介してミッションケース11の一方の側壁11aに直接支持される。また入力軸12の他端側に位置する1個の偏心カム18に一体に設けた筒状部18bが、第2ボールベアリング22を介してミッションケース11の他端側の側壁11bに支持されており、その偏心カム18の内周にスプライン結合された入力軸12の他端側は、ミッションケース11に間接的に支持される。
入力軸12に対して変速軸15を相対回転させて無段変速機Tの変速比を変更する変速アクチュエータ23は、モータ軸24aが軸線Lと同軸になるようにミッションケース11に支持された電動モータ24と、電動モータ24に接続された遊星歯車機構25とを備える。遊星歯車機構25は、電動モータ24にニードルベアリング26を介して回転自在に支持されたキャリヤ27と、モータ軸24aに固定されたサンギヤ28と、キャリヤ27に回転自在に支持された複数の2連ピニオン29…と、中空の入力軸12の軸端(厳密には、前記1個の偏心カム18の筒状部18bの軸端)にスプライン結合された第1リングギヤ30と、変速軸15にスプライン結合された第2リングギヤ31とを備える。各2連ピニオン29は大径の第1ピニオン29aと小径の第2ピニオン29bとを備えており、第1ピニオン29aはサンギヤ28および第1リングギヤ30に噛合し、第2ピニオン29bは第2リングギヤ31に噛合する。
偏心ディスク19の外周には、ローラベアリング32を介してコネクティングロッド33の一端側の環状部33aが相対回転自在に支持される。
出力軸13はミッションケース11の一対の側壁11a,11bに一対のボールベアリング34,35で支持されており、その外周にはワンウェイクラッチ36が設けられる。ワンウェイクラッチ36は、コネクティングロッド33のロッド部33bの先端に連結ピン37を介して枢支されたリング状のアウター部材38と、アウター部材38の内部に配置されて出力軸13に固定されたインナー部材39と、アウター部材38の内周の円弧面とインナー部材39の外周の平面との間に形成された楔状の空間に配置されて複数個のスプリング40…で付勢された複数個のローラ41…とを備える。
図6および図8に示すように、偏心ディスク19の中心O2に対して偏心凹部19a,19aの中心O1(つまり偏心カム18の中心O1)は距離dだけずれているため、偏心ディスク19の外周と偏心凹部19a,19aの内周との間隔は円周方向に不均一になっており、その間隔が大きい部分に三日月状の肉抜き凹部19c,19cが形成される。
次に、無段変速機Tの一つの変速ユニット14の作用を説明する。
図5および図7(A)〜図7(D)から明らかなように、入力軸12の軸線Lに対して偏心ディスク19の中心O2が偏心しているとき、エンジンEによって入力軸12が回転するとコネクティングロッド33の環状部33aが軸線Lまわりに偏心回転することで、コネクティングロッド33のロッド部33bが往復運動する。
その結果、図5において、コネクティングロッド33が往復運動する過程で図中右側に押されると、スプリング40…に付勢されたローラ41…がアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間に噛み込み、アウター部材38およびインナー部材39がローラ41…を介して結合されることで、ワンウェイクラッチ36が係合してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達される。逆にコネクティングロッド33が往復動する過程で図中左側に引かれると、ローラ41…がスプリング40…を圧縮しながらアウター部材38およびインナー部材39間の楔状の空間から押し出され、アウター部材38およびインナー部材39が相互にスリップすることで、ワンウェイクラッチ36が係合解除してコネクティングロッド33の動きが出力軸13に伝達されなくなる。
このようにして、入力軸12が1回転する間に、入力軸12の回転が所定時間だけ出力軸13に伝達されるため、入力軸12が連続回転すると出力軸13は間欠回転する。6個の変速ユニット14…の偏心ディスク19…の偏心方向の位相が相互に60°ずつずれているため、6個の変速ユニット14…が入力軸12の回転を交互に出力軸13に伝達することで、出力軸13は連続的に回転する。
このとき、偏心ディスク19の偏心量εが大きいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが大きくなって出力軸13の1回の回転角が増加し、無段変速機Tの変速比が小さくなる。逆に、偏心ディスク19の偏心量εが小さいほど、コネクティングロッド33の往復ストロークが小さくなって出力軸13の1回の回転角が減少し、無段変速機Tの変速比が大きくなる。そして偏心ディスク19の偏心量εがゼロになると、入力軸12が回転してもコネクティングロッド33が移動を停止するために出力軸13は回転せず、無段変速機Tの変速比が最大(無限大)になる。
入力軸12に対して変速軸15が相対回転しないとき、つまり入力軸12および変速軸15が同一速度で回転するとき、無段変速機Tの変速比は一定に維持される。入力軸12および変速軸15を同一速度で回転させるには、入力軸12と同速度で電動モータ24を回転駆動すれば良い。その理由は、遊星歯車機構25の第1リングギヤ30は入力軸12に接続されて該入力軸12と同一速度で回転するが、それと同一速度で電動モータ24を駆動するとサンギヤ28および第1リングギヤ30が同一速度で回転するため、遊星歯車機構25はロック状態になって全体が一体に回転する。その結果、一体に回転する第1リングギヤ30および第2リングギヤ31に接続された入力軸12および変速軸15は一体化され、相対回転することなく同速度で回転するからである。
入力軸12の回転数に対して電動モータ24の回転数を増速あるいは減速すると、入力軸12に結合された第1リングギヤ30と電動モータ24に接続されたサンギヤ28とが相対回転するため、キャリヤ27が第1リングギヤ30に対して相対回転する。このとき、相互に噛合する第1リングギヤ30および第1ピニオン29aの歯数比と、相互に噛合する第2リングギヤ31および第2ピニオン29bの歯数比とが僅かに異なるため、第1リングギヤ30に接続された入力軸12と第2リングギヤ31に接続された変速軸15とが相対回転する。
このようにして入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、各変速ユニット14のピニオン17にリングギヤ19bを噛合させた偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが、入力軸12と一体の偏心カム18のガイド部18a,18aに案内されて回転し、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εが変化する。
図7(A)は変速比が最小の状態(変速比:TD)を示すもので、このとき入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは、入力軸12の軸線Lから偏心カム18の中心O1までの距離dと、偏心カム18の中心O1から偏心ディスク19の中心O2までの距離dとの和である2dに等しい最大値になる。入力軸12に対して変速軸15が相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が相対回転することで、図7(B)および図7(C)に示すように、入力軸12の軸線Lに対する偏心ディスク19の中心O2の偏心量εは最大値の2dから次第に減少して変速比が増加する。入力軸12に対して変速軸15が更に相対回転すると、入力軸12と一体の偏心カム18に対して偏心ディスク19が更に相対回転することで、図7(D)に示すように、ついには入力軸12の軸線Lに偏心ディスク19の中心O2が重なり合って偏心量εがゼロになり、変速比が最大(無限大)の状態(変速比:UD)になって出力軸13に対する動力伝達が遮断される。
図9および図10に示すように、入力軸12に固定された一対の偏心カム18,18の外周に、軸線L方向に離間して配置された一対のニードルベアリング20,20を介して偏心ディスク19の偏心凹部19a,19aが回転自在に支持される。偏心カム18,18の外周には径方向外側に延びる第1、第2支持壁18c,18dが形成されており、第1、第2支持壁18c,18d間に一対のニードルベアリング20,20および偏心ディスク19の両側面が挟持される。偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dおよび偏心ディスク19の両側面間には、偏心カム18,18および偏心ディスク19の相対回転を許容するための軸線L方向のクリアランスが形成されており、このクリアランスに、ゴム製の第1ワッシャ42の両側に金属製の第2ワッシャ43,43を重ね合わせた3層構造の衝撃吸収部材44が配置される。衝撃吸収部材44は、偏心カム18,18の第1支持壁18cおよび第2支持壁18dの何れか一方だけに接するように、一対の各偏心カム18,18に対して1個ずつ設けられる。
図11(A)は無段変速機Tのレイアウトを示す模式図であって、入力軸12および出力軸13間に軸線L方向に6個の変速ユニット14…が並置されており、変速ユニット14…は入力軸12の一端側(エンジンE側)から他端側(変速アクチュエータ23側)に向かって♯1、♯2、♯3、♯4、♯5、♯6と名付けられる。入力軸12は、♯1変速ユニット14の右側に隣接する位置を第1ボールベアリング21により支持され、♯6変速ユニット14の左側に隣接する位置を第2ボールベアリング22により支持されるため、変速ユニット14…が入力軸12から出力軸13に駆動力を伝達する反力で、第1、第2ボールベアリング21,22に挟まれた入力軸12に撓みが発生する。
図11(B)は♯2変速ユニット14が駆動力を伝達している状態を示すもので、♯2変速ユニット14のコネクティングロッド33が出力軸13から受ける反力で入力軸12が出力軸13から遠ざかる方向に偏倚し、入力軸12が第1ボールベアリング21の近傍で撓んでいる。その結果、♯2変速ユニット14の前部が♯1変速ユニット14に向かって図中右側に傾くことになる。
図11(C)は♯5変速ユニット14が駆動力を伝達している状態を示すもので、♯5変速ユニット14のコネクティングロッド33が出力軸13から受ける反力で入力軸12が出力軸13から遠ざかる方向に偏倚し、入力軸12が第2ボールベアリング22の近傍で撓んでいる。その結果、♯5変速ユニット14の前部が♯6変速ユニット14に向かって図中左側に傾くことになる。
このようにして変速ユニット14の前部が傾くと、入力軸12に固設された偏心カム18,18と、コネクティングロッド33の前端の環状部33aにローラベアリング32を介して支持された偏心ディスク19とが相対移動し、両者の間のクリアランスが詰まることで偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dと偏心ディスク19の側面とが接触して騒音や振動の原因となる可能性がある。
図9および図12に示すように、本実施の形態では、変速ユニット14が傾いたときに、偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dおよび偏心ディスク19の両側面間に形成された軸線L方向のクリアランスが詰まる側に、衝撃吸収部材44が配置される。即ち、エンジンE側に位置する♯1〜♯3変速ユニット14…は、偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dのうち、エンジンE側の第1支持壁18cに接するように衝撃吸収部材44が配置される。一方、変速アクチュエータ23側に位置する♯4〜♯6変速ユニット14…は、偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dのうち、変速アクチュエータ23側の第2支持壁18dに接するように衝撃吸収部材44が配置される。
従って、コネクティングロッド33が出力軸13から受ける反力で入力軸12が図11(B)あるいは図11(C)に示すように撓むことで、偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dおよび偏心ディスク19の側面間のクリアランスが詰まっても、そこに配置された衝撃吸収部材44が偏心カム18,18および偏心ディスク19が直接接触するのを防止することで、騒音や振動の発生を抑制することができる。
このとき、衝撃吸収部材44のゴム製の第1ワッシャ42が弾性変形することで接触による振動を減衰することができ、また衝撃吸収部材44の一対の金属製の第2ワッシャ43,43が接触時のエネルギーを吸収するともに接触面の摩擦抵抗を低減することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、入力軸12に撓みにより偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dおよび偏心ディスク19の側面間のクリアランスが詰まり易い部分に衝撃吸収部材44を配置するので、衝撃吸収部材44の数を必要最小限に抑えながら騒音や振動の発生を抑制することができる。
次に、図13に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
第2の実施の形態は、入力軸12の両端部を支持する第1、第2ボールベアリング21,22に加えて、入力軸12の中間部を支持する第3ボールベアリング45を備える。また出力軸13の両端部を支持するボールベアリング34,35に加えて、中間部を支持するボールベアリング46を備える。入力軸12の中間部を支持する第3ボールベアリング45よりもエンジンE側に♯1〜♯3変速ユニット14…が配置され、第3ボールベアリング45よりも変速アクチュエータ23側に♯4〜♯6変速ユニット14…が配置される。
入力軸12を第1〜第3ボールベアリング21,22,45で3点支持したことにより、入力軸12は第1、第3ボールベアリング21,45間で弧状に撓み、かつ第3、第2ボールベアリング45,22間で弧状に撓むことになる、その結果、例えば♯1変速ユニット14は図中右側に倒れ、♯3変速ユニット14は図中左側に倒れ、♯2変速ユニット14は状況に応じて図中右側あるいは図中左側に倒れる可能性がある。同様に、♯4変速ユニット14は図中右側に倒れ、♯6変速ユニット14は図中左側に倒れ、♯5変速ユニット14は状況に応じて図中右側あるいは図中左側に倒れる可能性がある。
そこで、♯1変速ユニット14では偏心カム18の第1支持壁18c側(右側)に衝撃吸収部材44を配置し、♯2変速ユニット14では偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18d側(右側および左側)の両方に衝撃吸収部材44を配置し、♯3変速ユニット14では偏心カム18の第2支持壁18d側(左側)に衝撃吸収部材44を配置し、♯4変速ユニット14では偏心カム18の第1支持壁18c側(右側)に衝撃吸収部材44を配置し、♯5変速ユニット14では偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18d側(右側および左側)に衝撃吸収部材44を配置し、♯6変速ユニット14では偏心カム18の第2支持壁18d側(左側)の両方に衝撃吸収部材44を配置する。
言い換えると、第1〜第3ボールベアリング21,22,45に隣接する♯1、♯3、♯4および♯6変速ユニット14…は、ボールベアリングに隣接する支持壁に沿って衝撃吸収部材44が配置され、第1〜第3ボールベアリング21,22,45に隣接しない♯2および♯5変速ユニット14…は、第1、第2支持壁18c,18dの両方に沿って衝撃吸収部材44,44が配置される。
本実施の形態によっても、衝撃吸収部材44の数を必要最小限に抑えながら騒音や振動の発生を抑制することができる。
次に、図14および図15に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
第1、第2の実施の形態の衝撃吸収部材44は、ゴム製の第1ワッシャ42の両側に金属製の第2ワッシャ43,43を重ね合わせた3層構造であるが、第3の実施の形態の衝撃吸収部材44は、ゴム製の第1ワッシャ42の片側に金属製の第2ワッシャ43を重ね合わせた2層構造である。ゴム製の第1ワッシャ42は偏心カム18,18の第1、第2支持壁18c,18dに接するように配置され、金属製の第2ワッシャ43は偏心ディスク19の側面に接するように配置される。
本実施の形態によれば,衝撃吸収部材44の構造を簡素化して部品点数を削減することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の駆動源は実施の形態のエンジンEに限定されず、電動モータ等の他の駆動源であっても良い。
また変速ユニット14の数は実施の形態の6個に限定されるものではないが、4個以上の偶数個であることが望ましい。
また衝撃吸収部材44をゴム製の第1ワッシャ42だけで構成しても良く、ウエーブワッシャで構成することもできる。
また本発明の第1〜第3ベアリングは実施の形態の第1〜第3ボールベアリング21,22,45に限定されず、他種のベアリングであっても良い。
12 入力軸
13 出力軸
14 変速ユニット
15 変速軸
17 ピニオン
18 偏心カム
18c 第1支持壁
18d 第2支持壁
19 偏心ディスク(偏心部材)
19b リングギヤ
21 第1ボールベアリング(第1ベアリング)
22 第2ボールベアリング(第2ベアリング)
23 変速アクチュエータ
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
38 アウター部材
44 衝撃吸収部材
45 第3ボールベアリング(第3ベアリング)
E エンジン(駆動源)
L 入力軸の軸線
ε 偏心量
13 出力軸
14 変速ユニット
15 変速軸
17 ピニオン
18 偏心カム
18c 第1支持壁
18d 第2支持壁
19 偏心ディスク(偏心部材)
19b リングギヤ
21 第1ボールベアリング(第1ベアリング)
22 第2ボールベアリング(第2ベアリング)
23 変速アクチュエータ
33 コネクティングロッド
36 ワンウェイクラッチ
38 アウター部材
44 衝撃吸収部材
45 第3ボールベアリング(第3ベアリング)
E エンジン(駆動源)
L 入力軸の軸線
ε 偏心量
Claims (3)
- 駆動源(E)に接続された入力軸(12)の回転を変速して出力軸(13)に伝達する複数の変速ユニット(14)を軸方向に並置し、
前記変速ユニット(14)の各々は、
前記入力軸(12)と一体に回転する偏心カム(18)と、
前記偏心カム(18)の外周に相対回転自在に嵌合するリングギヤ(19b)が形成された偏心部材(19)と、
前記入力軸(12)と同軸に配置されて変速アクチュエータ(23)により回転する変速軸(15)と、
前記変速軸(15)に設けられて前記リングギヤ(19b)に噛合するピニオン(17)と、
前記出力軸(13)に設けたワンウェイクラッチ(36)と、
前記偏心部材(19)および前記ワンウェイクラッチ(36)のアウター部材(38)に接続されて往復運動するコネクティングロッド(33)とを備え、
前記変速アクチュエータ(23)で前記変速軸(15)を前記入力軸(12)に対して相対回転させて前記偏心カム(18)に対する前記偏心部材(19)の位相を変化させることで、前記入力軸(12)の軸線(L)からの前記偏心部材(19)の偏心量(ε)を変化させて変速比を変更する車両用動力伝達装置であって、
前記偏心カム(18)は前記偏心部材(19)の側面を軸方向両側からを挟む第1支持壁(18c)および第2支持壁(18d)を備え、前記複数の変速ユニット(14)の一部は、前記偏心カム(18)の第1支持壁(18c)と前記偏心部材(19)の側面との間に衝撃吸収部材(44)が配置され、前記複数の変速ユニット(14)の他の一部は、前記偏心カム(18)の第2支持壁(18d)と前記偏心部材(19)の側面との間に衝撃吸収部材(44)が配置されることを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 前記複数の変速ユニット(14)の数は偶数であり、前記入力軸(12)は軸方向両端部を第1ベアリング(21)および第2ベアリング(22)で支持され、軸方向一端側に位置する半数の前記変速ユニット(14)は、前記偏心カム(18)の軸方向一端側の前記第1支持壁(18c)と前記偏心部材(19)の側面との間に前記衝撃吸収部材(44)が配置され、軸方向他端側に位置する半数の前記変速ユニット(14)は、前記偏心カム(18)の軸方向他端側の前記第2支持壁(18d)と前記偏心部材(19)の側面との間に前記衝撃吸収部材(44)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
- 前記複数の変速ユニット(14)の数は偶数であり、前記入力軸(12)は軸方向両端部を第1ベアリング(21)および第2ベアリング(22)で支持されるとともに軸方向中央部を第3ベアリング(45)で支持され、前記第1〜第3ベアリング(21,22,45)に隣接する前記変速ユニット(14)は、前記第1、第2支持壁(18c,18d)のうちのベアリングに隣接する側の支持壁と前記偏心部材(19)の側面との間に前記衝撃吸収部材(44)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013059332A JP2014185653A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 車両用動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013059332A JP2014185653A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 車両用動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014185653A true JP2014185653A (ja) | 2014-10-02 |
Family
ID=51833424
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013059332A Pending JP2014185653A (ja) | 2013-03-22 | 2013-03-22 | 車両用動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014185653A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105822744A (zh) * | 2015-01-28 | 2016-08-03 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用动力传递装置 |
-
2013
- 2013-03-22 JP JP2013059332A patent/JP2014185653A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105822744A (zh) * | 2015-01-28 | 2016-08-03 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用动力传递装置 |
CN105822744B (zh) * | 2015-01-28 | 2017-12-01 | 本田技研工业株式会社 | 车辆用动力传递装置 |
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