JP6250523B2 - 大型化及び長寿命化が可能な誘電エラストマートランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、誘電エラストマートランスデューサに関するものであって、さらに詳しくは、人工筋肉に適した誘電エラストマートランスデューサ(dielectric elastomer transducer)に関するものである。
過去十数年間、誘電エラストマートランスデューサからなる人工筋肉の研究は、アクチュエータに焦点を当てて様々な用途を対象に活発な研究がなされてきた。誘電エラストマーは、強い電場の中に置くと、電場の方向に収縮し、電場と垂直な方向に膨張する。これは、クーロン力によるものである。
したがって、誘電エラストマーを2枚の柔軟な電極間に挟むことによって、ゴムのような弾性を持つコンデンサーが構成される。これに電圧をかけると、一方の電極にはプラスの電荷が、反対側の電極にはマイナスの電荷が蓄えられる。その結果、電極間に引力が生じ、この力によって誘電エラストマーが押しつぶされ、面方向に膨張する。この変化をロボットなどのアクチュエータとして用いることが注目を集めている(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、本発明者らは、この素材を用いた作動装置として高効率で形状や利用形態の面で自由度の高いアクチュエータの開発に成功した(例えば、特許文献3参照)。
さらに、本発明者らは、エラストマーの膜厚を端部に近づくほど肉厚に形成すること(特許文献4)、電極にカーボンナノチューブを含有させること(特許文献5)によって、誘電エラストマーの耐久性を向上させることに成功した。
米国特許第6781284号明細書 米国特許第6882086号明細書 特開2008−141380号公報 特許第4837794号公報 特許第4999031号公報
ところが、従来の誘電エラストマートランスデューサは、小型・軽量の用途には適していたが、これを大型で高負荷のかかる人工筋肉等の用途に適用しようとした場合、絶縁耐電圧(破壊電圧)が十分でなく、寿命の面でも十分でなかった。つまり、誘電エラストマー膜を大型化(大面積化)すると、膜中に絶縁破壊を起こすきっかけとなる欠陥が存在する確率が高まり、そこを起点に絶縁破壊が起こり、それが膜全体に伝搬し寿命に至っていた。すなわち、誘電エラストマートランスデューサの大型化(大面積化)と長寿命化は、トレードオフの関係にあり、人工筋肉の普及の障害となっていた。
ここで、絶縁耐電圧とは、誘電エラストマー膜を日本工業規格JISC 2110などに代表される試験方法に準じたものにより、評価した値ではなく、誘電エラストマートランスデューサとしての絶縁耐電圧(破壊電圧)を意味している。すなわち、誘電エラストマー膜自体が単体で高い絶縁耐電圧を示したとしても、それを用いて、誘電エラストマートランスデューサを製造したときに高い絶縁耐電圧(破壊電圧)を示すとは限らない。その理由は、誘電エラストマートランスデューサは、アクチュエータモードであっても発電モードあっても、伸び縮みさせて使用する。そのため、膜厚の変化が起こり、膜内部に存在する傷、泡、残渣などが膜表面の電極に近くなり、それがきっかけで局所的な絶縁破壊を起こし、その破壊現象が膜全体に伝搬し、トランスデューサ自体が寿命に至る。
したがって、膜厚の変化を考慮していない日本工業規格JISC 2110などに代表される試験方法に準じて得られた絶縁耐電圧では、誘電エラストマートランスデューサの絶縁耐電圧を適切に評価することができない。
近年、消費者ニーズの高まりから、誘電エラストマートランスデューサを自動車、産業用ロボット、介護用ロボットなどを駆動可能な、これまでより、大型で高負荷のかかる用途に対応できる人工筋肉として用いることが要望されており、それに対応できる誘電エラストマートランスデューサの開発が焦眉の急であった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、大型化が可能であるとともに長寿命である人工筋肉に適した誘電エラストマートランスデューサを提供することにある。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、誘電エラストマートランスデューサの大型化及び長寿命化を妨げている原因は、トランスデューサを構成するエラストマー膜中に含まれている微細な不純物、傷、泡などに原因があることを突き止めた。すなわち、エラストマー膜中の微細な不純物、傷、泡などは、他の用途においては余り問題にならなかったが、大型の人工筋肉に適用しようとした場合、これが原因で誘電エラストマートランスデューサが寿命に至っていることを突き止めた。しかも、これらの不純物、傷、泡などについて、さらに探求した結果、この微細な不純物、傷、泡などは、誘電エラストマー膜の原料にもともと混入していたものだけではなく、架橋工程で発生する残渣にも起因することを解明した。
すなわち、小型・軽量の用途においては、誘電エラストマー膜の原料に含まれる不純物を低減させることにより、十分実用に耐える寿命を有する誘電エラストマー膜を製造することが可能である。そのため、これまで誘電エラストマー膜中に含まれている微細な不純物、傷、泡などについては、ほとんど着目されていなかった。それどころか、膜中の不純物、傷、泡などを減らす、すなわち、膜の純度や品質を上げること自体、コストパフォーマンスを低下させるものとして、軽視されていた。
ところが、人工筋肉に使うような大型(大面積)の誘電エラストマートランスデューサの主要部材である誘電エラストマー膜においては、誘電エラストマー膜の原料に含まれる不純物をいくら低減しても、満足な寿命を有する誘電エラストマートランスデューサが得られなかった。そこで、本発明者らが鋭意研究したところ、誘電エラストマートランスデューサの寿命を決定づける要因は、誘電エラストマー製造工程中の架橋工程において発生する微細な不純物や傷、泡、残渣などであることを突き止めた。
さらに、この架橋工程において発生する微細な不純物や傷、泡、残渣などは、誘電エラストマー膜の厚み方向に均一に存在するのではなく、膜中に偏析したり、表面付近に多く析出したりしており、その結果、誘電エラストマー膜の表面と、誘電エラストマー膜を挟むように設けた2枚の柔軟な電極との接触が悪くなることを突き止めた。そして、誘電エラストマー膜と電極との接触が悪くなる結果、誘電エラストマートランスデューサの絶縁耐電圧(破壊電圧)を低下させ大型化及び長寿命化を妨げていることを解明した。
そこで、本発明者らは、架橋工程において発生するする微細な不純物や傷、泡、残渣などを誘電エラストマー膜の膜中に偏析させないことや、表面付近に多く析出させないことにより、誘電エラストマートランスデューサの大型化及び長寿命化が達成できることを見出した。
そして、このような条件を満足させるための架橋方法について、本発明者らが鋭意研究したところ、従来の誘電エラストマーの製造に一般的に用いられている過酸化物架橋や硫黄加硫などに代表される熱架橋や紫外線架橋等に替えて、後述する前処理と電離放射線(望ましくは電子線)架橋を用いることによって、誘電エラストマー膜中に生じる微細な不純物や傷、泡、残渣などの析出分布を膜の表面や膜中に偏析することなく、膜の厚み方向に均一もしくは膜の表面より膜の内部の方に多く分散させることが可能となり、その結果、誘電エラストマートランスデューサの大型化(大面積化)と長寿命化の双方を可能にすることに成功した。
誘電エラストマーの前処理としては、ゴムを溶剤で溶解したゴム溶液をロールコーターで支持フィルム上に所定の寸法に塗工して、オーブンなどの乾燥機で溶剤を揮発させて成形する方法が傷、泡の混入が少ないため、好適である。また、泡の混入を防止する意味でゴム溶液を脱泡したり、フィルターなどによりゴム溶液中の不純物を除去することが望ましい。支持フィルムには、ポリエチレンテレフタレートからなる離型性良好なフィルムを使用することで傷の発生が抑制できる。
上記の方法で成形した未架橋ゴムシートをロール状に巻き取った後、電離放射線(望ましくは電子線)で架橋するため、微細な不純物や傷、泡、残渣などを誘電エラストマー膜の膜中に偏析させないことや、表面付近に多く析出させないことが可能となる。
なお、ロール状に巻き取る際、異物混入の防止や支持フィルム背面に未架橋ゴムシートが貼着することを防止するために、支持フィルムの反対面にカバーフィルムを積層しても良い。
これまで誘電エラストマーの製造に一般的に用いられていた熱架橋は、成膜時にゴムが加水分解する可能性が大きかった。また、高圧力と高温がかかるため150℃以上の高圧スチームによるスチーム劣化を起こすことが懸念されていた。また、膜の端が乾燥し過ぎて、それが細かく砕けて、微小片が膜に付着し、膜の品質を低下させていた。
本発明は、
(1)誘電エラストマートランスデューサを大型化(大面積化)を図るときに課題となる長寿命化を妨げている要因は、主として架橋工程で膜中の偏析や膜表面付近により多く発生する微細な不純物や傷、泡、残渣などである。
(2)架橋方法として、前処理と電離放射線(望ましくは電子線)架橋を用いることによって、膜中の偏析や膜の表面付近により多く発生する微細な不純物や傷、泡、残渣などを低減することができる。
という全く新しい知見を得て、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
本発明の誘電エラストマートランスデューサは、誘電エラストマーが前処理と電離放射線(望ましくは電子線)架橋されたものであることによって、前記課題を解決するものである。
さらに、本発明における微細な不純物や傷、泡、残渣などの量が、膜の表面より膜の内部の方が同じか多い誘電エラストマーは、前処理を施した後、架橋方法として電離放射線(望ましくは電子線)架橋を用いることによって、再現性よく製造することができる。さらに、電離放射線(望ましくは電子線)架橋を用いた場合、膜全体に含まれる微細な不純物や傷、泡、残渣などの量そのものを低減することができ、結果として、誘電エラストマートランスデューサの絶縁耐電圧(破壊電圧)を高くすることができる。その結果、誘電エラストマートランスデューサの大型化及び長寿命化に成功した。
本発明に係る誘電エラストマートランスデューサによれば、主として架橋工程などで生じた誘電エラストマー膜中の不純物や傷、泡、残渣などの量が膜の表面や膜内部に偏って存在していないため、これらが介在することによる応力集中が起きにくく、絶縁耐電圧(破壊電圧)も増し、その結果、長寿命化が実現できる。
電離放射線(望ましくは電子線)を用いた架橋工程では、これまでの製膜方式や製造環境に起因すると考えられていた膜の傷や凹凸が減少し、仕上げ精度、厚み精度などのファクターが向上する。そのため、経験と勘に頼っていた膜の傷や凹凸、仕上げ精度、厚み精度などのファクターを、絶縁耐電圧(破壊電圧)を計測するという客観的な基準を用いて評価することが可能になる。
さらに、本発明に係る誘電エラストマートランスデューサによれば、かけられる電圧幅に余裕ができ、従来の誘電エラストマートランスデューサより無理せず高い電圧で駆動することができる。またエラストマーの厚みを薄くすることも可能になることから従来に比べてきわめて精度が高く、性能の良いトランスデューサを作ることが可能になる。さらに絶縁耐電圧(破壊電圧)が向上することで、絶縁破壊を起こしにくくなることから、トランスデューサの耐久性が格段に向上させることができ、各々の要素技術、すなわち、誘電エラストマーに関する技術、架橋に関する技術およびトランスデューサに関する技術からは予見しがたい絶大な効果が奏される。
ここで人工筋肉の原理から、誘電エラストマートランスデューサをアクチュエータとして動作させるために生じる圧力pとバイアス電圧Vbとの間には、E:電極間の電場(V/m)、εr:誘電エラストマー膜の相対誘電率(誘電定数)、ε0:自由空間の誘電率、t:誘電エラストマー膜の厚さとすると、
p=εrε0E2=εrε0(Vb/t)2
という関係が成立する。誘電エラストマートランスデューサを動作させるために生じる圧力pは、バイアス電圧Vbの二乗と誘電エラストマー膜の厚さtの逆数の二乗に比例して増大する。つまり、絶縁耐電圧(破壊電圧)を高くすることは、バイアス電圧を高くできることを意味し、より高いバイアス電圧で駆動できると言うことは、他のアクチュエータに比べて、きわめて効率の良い駆動が可能になる。
また、誘電エラストマートランスデューサを発電デバイスとして動作させる場合は、発電エネルギーEは、誘電エラストマーの静電容量の変化と関係しており、
E=0.5C1Vb2(C1/C2−1)
の式で表される。ここで、C1及びC2は、それぞれ伸張及び収縮した状態における誘電エラストマーの静電容量であり、Vbはバイアス電圧である。発電エネルギーは、より大きな伸張・収縮により増加し、バイアス電圧Vbの二乗で増加する。すなわち、発電デバイスとして動作させる時も、アクチュエータと同様に従来に比べてきわめて性能の良い発電が可能になる。
さらに、電離放射線(望ましくは電子線)による架橋は、架橋度を自由に変えられるため、さまざまなアプリケーションに適した誘電エラストマーを製造することが可能になる。
本発明の実施例1の誘電エラストマートランスデューサの断面図
本発明の誘電エラストマーは、架橋された高分子を主成分とする誘電エラストマー膜(120)と該誘電エラストマー膜(120)の両面に設けた2つの電極(140)を有する誘電エラストマートランスデューサ(100)において、前記誘電エラストマー膜(120)が電離放射線(望ましくは電子線)架橋されたものであり、前述したような効果を奏するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
なお、本発明の誘電エラストマートランスデューサ(100)は、大型化(大面積化)及び長寿命化が要求される人工筋肉に好適に用いられる。
本発明の誘電エラストマートランスデューサ(100)の主要部材となるエラストマーは、人工筋肉として用いることを考慮すると十分に弾性変形可能な材料であるとともに、絶縁強度が高く、吸湿性が低いことが要求される。さらに、粘度が低く、押圧加工時に厚みを均一に加工しやすいゴムが好ましい。これらの条件を満たすゴムとして、実施例1においては、数々の試行実験を繰り返した結果、シリコーンゴムを選択した。シリコーンゴムを用いることにより、絶縁強度が高く、かつ厚みを均一に加工できるという本願発明の効果をより発揮させることが可能となる。
(実施例1)
まず、実施例1に用いたシリコーンゴムの組成について説明する。
このシリコーンゴムには、有機過酸化物からなるラジカル架橋開始剤を含むことが可能である。有機過酸化物は、加硫条件でパーオキシラジカルを発生する公知な有機過酸化物であれば特に限定されない。例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシル−モノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン等が挙げられる。
有機過酸化物の配合量は、シリコーンゴム100重量部に対し、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。なお、架橋方法として、従前の加熱架橋に替えて電離放射線(望ましくは電子線)架橋を行う本発明においては、有機過酸化物は必ずしも必要ではない。
また、本発明においては、例えば、重合禁止剤、充填剤、顔料、安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、老化防止剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、難燃剤、受酸剤などの公知の添加剤を使用することが出来る。
例えば、老化防止剤としては、ジ−t−ブチル−P−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキシ[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェニル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド〕、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン等が挙げられる。
また、シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2,2−ヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンソフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−t−ブチルフェニルサルシレート等が挙げられる。
前述の添加剤の割合は、シリコーンゴム100重量部に対し、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。
前述の各成分は、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の通常の混練機によって混合され、シリコーンゴム組成物とされる。
本発明を構成する誘電エラストマー膜は、前述したシリコーンゴム組成物をシート状に加工して、電離放射線(望ましくは電子線)照射により架橋することで得られる。
次に、本発明の誘電エラストマーの製造方法について説明する。
(未架橋ゴムシートの製造方法)
シリコーンゴム組成物をシート厚さ1.0mm以下のシート状に形成し、未架橋ゴムシートを製造する。
未架橋ゴムシートの前処理として、ゴムを溶剤で溶解したゴム溶液を事前に脱泡し、フィルターによりゴム溶液中の不純物を除去した後、ロールコーターで支持フィルム上に所定の寸法に塗工して、オーブンなどの乾燥機で溶剤を揮発させて成形した。その後、支持フィルムの反対面にカバーフィルムを積層させロール状に巻き取り、未架橋ゴムシートを製造した。
本実施例においては、厚さ0.2mm×幅200mm×長さ300mmの大きさに成形した。
(架橋工程)
次に、前述のようにして得られた未架橋ゴムシートに電子線を照射して架橋する。
電子線照射条件としては、加速電圧が50kV〜3000kV、好ましくは100kV〜800kV、照射線量が10kGy〜400kGy、好ましくは50kGy〜200kGyである。
照射条件として加速電圧が50kV未満では厚さ方向への電子線到達深度が低くなり未架橋部分が残ってしまい、一方、加速電圧が3000kVを超えると設備費用が非常に高価になると共に電子線架橋の効果が希薄となる。また、照射線量が10kGy未満であると架橋が十分でなくアンダー架橋になり、一方、800kGyを超えると過架橋になると共に電子線照射による発熱が大きくなるため好ましくない。なお、照射面は片面だけでなく、両面を照射しても良く。さらに同じ面を複数回照射しても良い。これを幅100mm×長さ100mmに裁断し実施例1の誘電エラストマー膜(120)を作成した。
一方、比較のために前処理をカレンダーロールなどによる一般的なゴムの成形方法に、電子線架橋を過酸化物架橋などの加熱架橋に替えて、比較例1の誘電エラストマーを作成した。なお、比較例1〜3は、加熱架橋後、厚みが0.2mmの部分を幅100mm×長さ100mmに裁断することで比較例1〜3の誘電エラストマー膜(120)を得た。
(トランスデューサ製造工程)
図1に示すように、前述した実施例1及び比較例1〜3の誘電エラストマー膜(120)の外側両面にアクリルゴムなどからなるベースゴムに導電性フィラー(150)として炭素粒などを分散させた伸び縮み可能な電極(140)を接着することにより、トランスデューサを製造した。
(評価)
次に、実施例1と比較例1〜3の誘電エラストマートランスデューサ(100)について、その絶縁耐圧(破壊電圧)を評価した。
表1の記載から明らかなように、電子線架橋によって作られた誘電エラストマー膜(120)を用いたトランスデューサ(実施例1)は、従前の熱架橋や紫外線架橋等によって作られた誘電エラストマー膜(120)を用いたトランスデューサ(比較例1〜3)と比べて、2倍近く絶縁耐電圧が高いことが確認された。
耐久性の評価に関しては、評価試験用に別に作成された円形を有している誘電エラストマートランスデューサ(100)を用いて行った。評価試験用に用いた誘電エラストマートランスデューサ(100)は、前述した実施例1と比較例1〜3に準じた製造方法架橋工程で作製作成された。これらを比較評価した結果、比較例1〜3は5万回以下であった駆動回数が、実施例1の誘電エラストマートランスデューサ(100)は、同じ駆動電圧で10万回以上駆動できることが確認された。
なお、耐久性は、誘電アクチュエータの性能のみならず、その形状や、電極材の種類等により変化するため、絶対値で評価することが難しいので、前述のように実施例1と比較例1〜3との相対的な比較により評価した。
(実施例2)
次に、誘電エラストマー膜(120)のベースゴムとしてアクリルを用いて、前処理と電子線架橋を施した実施例2と、誘電エラストマー膜(120)のベースゴムとしてアクリルを用いて、熱架橋や紫外線架橋等を施した比較例4〜6について、前述と同様の評価を行った。
表2の記載から明らかなように、前処理と電子線架橋によって作られた誘電エラストマー膜(120)を用いたトランスデューサ(実施例2)は、従前のカレンダーロールなどによる成形と熱架橋や紫外線架橋等によって作られた誘電エラストマー膜(120)を用いたトランスデューサ(比較例4〜6)と比べて、2倍近く絶縁耐電圧が高いことが確認された。
耐久性が悪くなる原因として、熱架橋を行った場合、架橋に寄与する添加物の分解による副生成物の形成や、架橋残渣などがゴムシートの均一性を妨げたり、誘電エラストマーと電極(140)との界面に染み出し層を形成する、いわゆるブルーミング現象などが耐久性の悪化を招いたりすると考えられる。
本実施例においては、エラストマーの材料としてシリコーン、アクリルを用いたものについて説明したが、シリコーン、アクリル以外の材料として、スチレン、エチレンプロピレンを例に挙げると、加熱架橋したエラストマー膜を用いて、誘電エラストマートランスデューサ(100)を作成した場合、耐圧が4000〜4500Vで駆動回数が5万回かそれ以下であったのに対し、電子線架橋したエラストマー膜を用いた誘電エラストマートランスデューサ(100)では、耐圧が9000〜9500Vで、駆動回数も10万回以上と、シリコーンと同様の改善効果が確認された。
このように、本発明に於ける架橋された高分子を主成分とする誘電エラストマーとは、実施例で示したシリコーン、アクリル、スチレン、エチレンプロピレン、ウレタン等の各種エラストマーのみならず、エポキシ樹脂のように通常は弾性を有していなくても電離放射線(望ましくは電子線)を照射することで弾性を持たせることが可能な材料であって、前述した本発明の効果と同様な効果を奏するものも本発明に於ける誘電エラストマーに包含される。
本発明の誘電エラストマートランスデューサは、これまで困難とされてきた大型化と長寿命化という二つの課題を同時に解決することに成功したものであり、前処理と電離放射線(望ましくは電子線)架橋を用いることで正確な寸法で薄膜化が可能で、誘電エラストマー膜中に不純物や傷、泡、残渣などが少ないので、高い絶縁耐電圧が実現する。したがって、人工筋肉に特に適したものであって、遠くない将来、この人工筋肉素材は、多方面で多様な使われ方をするものと期待される。 それは、省エネルギー、優しい環境負荷などを考えた際、本発明のようなスマートな材料の活用は不可欠であり、その産業上の利用可能性はきわめて大きい。
100・・・誘電エラストマートランスデューサ
120・・・誘電エラストマー膜
140・・・電極
150・・・導電性フィラー

Claims (3)

  1. 架橋された高分子を主成分とする誘電エラストマー膜と
    該誘電エラストマー膜の両面に設けた2つの電極と
    を有する誘電エラストマートランスデューサにおいて、
    前記誘電エラストマー膜が電離放射線架橋されたものであり、
    該電離放射線架橋は加速電圧及び電子照射線量により電子線到達深度を調節し、
    不純物の析出は表面付近に少ない偏析としたことを特徴とする誘電エラストマートランスデューサ。
  2. 記電離放射線架橋される前に被電離放射線架橋素材から不純物の除去、脱泡等の必要な前処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の誘電エラストマートランスデューサ。
  3. 前記高分子が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘電エラストマートランスデューサ。


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