図1に示すように、スロットマシン(遊技機)10は、収納箱11と、前面扉12とを備えている。収納箱11には、後述する第1〜第3リール20a〜20cがユニット化されたリールユニットや、後述する払い出し口32を介してメダル受け皿34にメダルの払い出しを行うホッパ装置などが収納されている。前面扉12は上扉12aと下扉12bとに分割されており、これら上扉12a及び下扉12bはそれぞれ収納箱11に軸着され、開閉自在に支持されている。
上扉12aには、液晶ディスプレイ(演出装置)13、スピーカ(演出装置)14、及び、表示窓16が設けられている。液晶ディスプレイ13は、各種演出画像を表示する。また、スピーカ14は、各種演出音を出力する。スロットマシン10は、これら液晶ディスプレイ13、及び、スピーカ14を制御することによって遊技を演出する。
表示窓16の奥には、回転自在な第1リール20a、第2リール20b、第3リール20cが設けられている。各リール20a〜20cの外周面には複数種類の図柄が配列されており、各リール20a〜20cが停止すると表示窓16を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。そして、スロットマシン10では、各リール20a〜20cが停止したときに表示された図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが報知される。
下扉12bには、メダルを投入するメダル投入口22、クレジットされたメダルをベットする際に操作されるベットボタン24、遊技を開始する際に操作されるスタートレバー26、回転しているリールを停止させるための第1〜第3ストップボタン30a〜30c、メダルを払い出す払い出し口32、払い出し口32から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿34が設けられている。
スロットマシン10は、メダル投入口22にメダルを投入、または、クレジットされたメダルが存在する状態でベットボタン24を操作することでメダルがベットされ、スタートレバー26が有効化される。そして、有効化されたスタートレバー26が操作されると、これに伴って遊技が開始される。
遊技が開始されると、当選役抽選が行われて複数種類の当選役のいずれか又はハズレが決定されるとともに、各リール20a〜20cが回転を開始する。この後、各リール20a〜20cが定常回転(一定速度で継続して回転する状態)となったことなどに基づいて、各ストップボタン30a〜30cの操作が有効化され、有効化されたストップボタン30a〜30cが操作されると、対応するリールの回転が個別に停止される。
そして、全てのリールが停止したときに、当選役抽選で決定された当選役に対応する図柄の組合せが表示されるとこの当選役が入賞となる。当選役抽選で決定される当選役は、リプレイ、小役、ボーナスの3種類に大別され、リプレイが入賞すると新たなメダルの投入無しに次回の遊技が可能となり、小役が入賞するとホッパ装置が作動されて入賞した小役の種類に対応した枚数のメダルがメダル受け皿34に払い出され、ボーナスが入賞すると次回の遊技からボーナスモード(有利モード)での遊技が実行される。
図2に示すように、スロットマシン10の内部には、スロットマシン10の各部を制御することによって遊技の実行及び進行を制御するメイン制御基板50と、液晶ディスプレイ13及びスピーカ14を制御することによって演出の実行及び進行を制御するサブ制御基板52とが設けられている。
メイン制御基板50とサブ制御基板52とは、メイン制御基板50からサブ制御基板52へは遊技状態を示す情報など各種情報の送信が可能となっているが、サブ制御基板52からメイン制御基板50へは情報を送信できないようになっている(情報の通信はメイン制御基板50からサブ制御基板52への一方通行となっている)。
メイン制御基板50には、リール駆動コントローラ54が接続されている。リール駆動コントローラ54は、メイン制御基板50による制御のもと、各リール20a〜20cの回転を制御する。メイン制御基板50は、遊技開始に伴って各リール20a〜20cの回転を開始させるとともに、ストップボタン30a〜30cが操作されると、操作されたストップボタンに対応するリールの停止制御を行う。停止制御においては、周知の引き込み制御や蹴飛ばし制御が行われる。
また、メイン制御基板50には、前述した当選役抽選を行う当選役抽選部56が設けられている。当選役抽選部56は、遊技開始に伴って当選役抽選を実行する。そして、当選役抽選の結果をサブ制御基板52に対して出力する。
サブ制御基板52には、演出制御部(演出手段、テーブル更新手段)58が設けられている。演出制御部58には、当選役抽選の結果がメイン制御基板50から入力される。演出制御部58は、入力された当選役抽選の結果に基づいて演出抽選を行い、予め用意された複数種類の演出の中から実行する演出を決定し、液晶ディスプレイ13及びスピーカ14を駆動制御して演出抽選で決定された演出を実行する。
以下、演出制御部58の具体的な構成、及び、演出制御部58により演出が決定されて実行される手順について説明を行う。なお、本実施形態では、演出として、スケールの小さな演出(一般演出a及び一般演出b)と、スケールの大きな演出(特定演出A及び特定演出B)との合計4種類の演出が用意されている例で説明を行う。
また、本実施形態では、当選役抽選でボーナスが当選していない場合の演出モードとして、通常演出モードとフェイク演出モードとの2種類の演出モードを設けている。通常演出モードは、後述する第3演出決定テーブル68を用いて実行する演出の種類を決定する演出モードであり、フェイク演出モードは、後述する第2演出決定テーブル66を用いて実行する演出の種類を決定する演出モードである。
なお、通常演出モードとフェイク演出モードとの間のモード移行条件は自由に設定できるが、例えば、通常演出モードからフェイク演出モードへの移行条件としては、予め設定されたレア役(ボーナスと重複当選することが多い当選役であり、当選した場合にボーナスに当選したことへの期待度が高い当選役)が当選(または入賞)することや、通常モードにおいて所定回数の遊技が行われることなど各種の条件が考えられる。
また、フェイク演出モードから通常演出モードへの移行条件としては、ボーナスモードが終了すること(なお、ボーナスが当選している状態では後述する第1演出決定テーブル64が用いられて実行する演出の種類が決定される)や、フェイク演出モードにおいて所定回数の遊技が実行されることや、前述したレア役以外の当選役が当選(または入賞)することなど各種の条件が考えられる。
このように、通常演出モードとフェイク演出モードとの間のモード移行条件は各種の条件が考えられ、本発明はこれらのいずれをモード移行条件としてもよい。ただし、モード移行条件と当選役抽選の結果との間に関連性が無いと、現在の演出モードから当選役抽選の結果を予想するなどといったことができず、現在の演出モードに遊技者が関心を示さなくなってしまう恐れがある。このため、モード移行条件は、当選役抽選の結果に関連する条件であることが好ましい。
図2において、演出制御部58には、演出データ格納部60と、演出決定テーブル格納部(テーブル記憶手段)62とが設けられている。演出データ格納部60には、演出を実行する際に読み出される画像データ及び音声データが格納されている。これら画像データ及び音声データは、前述した一般演出a及び一般演出b、特定演出A及び特定演出Bに対応付けされており、演出制御部58は、実行する演出が決定されると、決定された演出に対応する画像データ及び音声データを演出データ格納部60から読み出す。そして、読み出した画像データを液晶ディスプレイ13に表示するとともに読み出した音声データをスピーカ14から出力することによって、決定された種類の演出を実行する。
図3に示すように、演出決定テーブル格納部62には、演出抽選(すなわち、実行する演出を決定する際)に用いる第1、第2、第3演出決定テーブル64、66、68が格納されている。なお、各演出決定テーブル64、66、68には、演出が割り当てられる記憶枠が設けられているが、この記憶枠は、内容の変更が行われるか否かによって2種類に区別されるので、以下では、内容の変更が行われない記憶枠を固定枠(記憶枠)70、内容の変更が行われる記憶枠を変動枠(記憶枠、特別記憶枠)72として説明を行う。
第1演出決定テーブル64は、当選役抽選でボーナスが当選している場合に用いられる演出抽選用ルックアップテーブルであり、当選役抽選でボーナスが当選している場合は、毎遊技この第1演出決定テーブル64を用いて実行する演出の種類が決定される。第1演出決定テーブル64には、4つの固定枠70が設けられており、各固定枠70には、一般演出a、一般演出b、特定演出A、特定演出Bのいずれかが割り当てられている。また、第1演出決定テーブル64では、各固定枠70の選択確率(演出抽選で各記憶枠の演出が選択される確率)が規定されている。本実施形態では、一般演出aが選択確率10%、一般演出bが選択確率10%、特定演出Aが選択確率40%、特定演出Bが選択確率40%に規定されている。
第2演出決定テーブル66は、当選役抽選でボーナスが当選しておらず、かつ、演出モードがフェイク演出モードである場合に用いられる演出抽選用のルックアップテーブルであり、当選役抽選でボーナスが当選しておらず、かつ、演出モードがフェイク演出モードである場合は、毎遊技この第2演出決定テーブル66を用いて実行する演出の種類が決定される。第2演出決定テーブル66には、2つの変動枠72が設けられている。これら変動枠72は、初期状態ではいずれの演出も記憶されていない空き領域となっており、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選において特定演出A及び特定演出Bのいずれかが選択されると、選択された特定演出が割り当てられる。また、第2演出決定テーブル66では、各変動枠72の選択確率が規定されている。本実施形態では、2つの変動枠72に割り当てられた演出の選択確率がいずれも50%に規定されている。
第3演出決定テーブル68は、当選役抽選でボーナスが当選しておらず、かつ、演出モードが通常演出モードである場合に用いられる演出抽選用のルックアップテーブルであり、当選役抽選でボーナスが当選しておらず、かつ、演出モードが通常演出モードである場合は、毎遊技この第3演出決定テーブル68を用いて実行する演出の種類が決定される。第3演出決定テーブル68には、4つの固定枠70が設けられており、これら固定枠70には、一般演出a、一般演出b、特定演出A、特定演出Bのいずれかが割り当てられている。また、第3演出決定テーブル68では、各固定枠70の選択確率が規定されている。本実施形態では、一般演出aが選択確率70%、一般演出bが選択確率30%、特定演出Aが選択確率0%、特定演出Bが選択確率0%に規定されている。
なお、一般演出aは、1つのみの態様の演出(初めから結末まで同一の態様の演出)に限定されない。つまり、一般演出aの中には、例えば、サブキャラクタが地区予選を戦い、地区予選を突破するものと地区予選を突破できないもの、すなわち、結末が異なる複数種類の演出が含まれていてもよい。この場合、ボーナスに当選した場合に実行される一般演出a(すなわち、第1演出決定テーブル64により決定される一般演出a)は、地区予選を突破するものとし、ボーナスに当選しなかった場合に実行される一般演出a(すなわち、第3演出決定テーブル68により決定される一般演出a)は、地区予選を突破できないものとすればよい。もちろん、結末だけでなく、一般演出aに、例えば、登場するサブキャラクタや、地区予選で戦う相手、地区予選の会場が異なるなど、途中の分岐が異なる複数種類の演出が含まれていてもよい。さらに、一般演出aは、1遊技中に完結する演出に限定されず、複数回の遊技にまたがって実行されるもの(いわゆる、連続演出)であってもよい。
同様に、一般演出b、特定演出A、特定演出Bについても、途中や結末の異なる複数種類の演出が含まれていてもよい。また、一般演出b、特定演出A、特定演出Bは1遊技中に完結する演出に限定されず、連続演出であってもよい。ただし、特定演出は、一般演出よりもスケールの大きな演出であることが好ましい。よって、例えば、一般演出が、サブキャラクタが地区予選を戦うものである場合、特定演出を、メインキャラクタが全国大会を戦うものにするなど、一般演出と特定演出とのスケールを異ならせることが好ましい。
もちろん、上述した例に限定されず、一般演出a、一般演出b、特定演出A、特定演出Bのそれぞれには、演出開始から演出終了までの間に、一部の表示や音声が変化するものなど各種態様の演出が含まれる。
図4に示すように、演出制御部58は、メイン制御基板50から当選役抽選の結果が入力されると、ボーナスモードへの移行条件を満たしたか否か、すなわち、ボーナスに当選したか否かを判定する。そして、演出制御部58は、ボーナスに当選した場合、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選により実行する演出を決定し、決定された演出を実行する。
他方、演出制御部58は、ボーナスに当選しなかった場合、現在の演出モードを判定し、現在の遊技モードがフェイク演出モードである場合、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選により実行する演出を決定し、現在の演出モードが通常演出モードである場合は、第3演出決定テーブル68を用いた演出抽選により実行する演出を決定し、決定された演出を実行する。
なお、演出制御部58は、フェイク演出モードにおいて、第2演出決定テーブル66の変動枠72のうち、一部の変動枠72にのみ特定演出が割り当てられている場合(すなわち、一部の変動枠72が空き領域である場合)、特定演出が割り当てられている変動枠72の演出を実行することが決定された場合にのみ、この変動枠72に割り当てられている特定演出を実行させ、空き領域となっている変動枠72の演出を実行することが決定された場合は、いずれの演出も実行しない。
ここで、いずれの演出も実行しないとは、スロットマシン10の演出デバイス(液晶ディスプレイ13やスピーカ14、ランプなど)の全ての作動を停止させることとは異なり、第2演出決定テーブル66の変動枠72に割り当てられる可能性のある特定演出Aや特定演出Bのいずれも実行しないことを示している。すなわち、演出には、演出抽選により実行することが決定されたときにのみ実行されるものと、演出抽選によらず、所定の動作に伴って実行されもの(例えば、メダルの投入に伴って投入音を鳴らしたり、操作部の操作に伴って操作音を鳴らしたり、遊技開始に伴ってキャラクタが歩き出すなどの所定の画像を表示したり、非遊技状態が一定時間以上続いた場合にデモンストレーション画面を表示したりランプの点灯態様を変化させるなど)とがあり、いずれの演出も実行しないとは、演出抽選で実行されることが決定されたときのみ実行される演出を実行しないことを示している(いずれの演出も実行しない場合であっても、所定の動作に伴って実行される演出については実行される場合がある)。
上述のように演出制御部58は、第1〜第3演出決定テーブル64〜68のいずれかを用いて実行する演出を決定することに加え、変動枠72へ、特別演出Aや特別演出Bの割り当てを行う割り当て処理、及び、変動枠72に割り当てられた特別演出Aや特別演出Bの削除を行い変動枠72を空き領域にする削除処理を行う。
割り当て処理は、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選で特定演出A、特定演出Bのいずれかが決定され、この特定演出が実行された際(すなわち、当選役抽選でボーナスが当選した状態で特定演出が実行された際)に実行される。割り当て処理において、演出制御部58は、変動枠72に空き領域が存在する場合は、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選で決定、実行された特定演出を空き領域に割り当て、変動枠72に空き領域が存在しない場合は、前記割り当てを行わずに割り当て処理を終了する。なお、本実施形態において、演出制御部58は、空き領域が存在する場合、空き領域が1つであるか複数であるかに関わらず、1つの空き領域に対し、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選で決定された特定演出を割り当てる。
他方、削除処理は、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選で特定演出A、特定演出Bのいずれかが決定され、この特定演出が実行された際(すなわち、当選役抽選でボーナスが当選していない状態で特定演出が実行された際)に実行される。削除処理において、演出制御部58は、実行された特別演出を変動枠72から削除して、この変動枠72を空き領域に戻す。なお、本実施形態において、演出制御部58は、実行された特定演出が複数の変動枠72に割り当てられている場合であっても、1つの変動枠72についてのみ前述した削除を行う。
前述のように、特定演出はスケールの大きな演出であり、このようにスケールの大きな演出には、遊技に対する興趣や期待感を盛り上げることができるように、開発・設計段階で大きな手間がかけられる。このため、特定演出の実行機会はできるだけ多くすることが好ましい。しかし、一方で、特定演出の実行機会をいたずらに増加させてしまうと、特定演出に対する信頼感が低下し、遊技に対する興趣や期待感を盛り上げることができずに開発・設計段階での手間が無駄になってしまうだけでなく遊技機の稼働率を低下させてしまう原因ともなってしまう。
特に、近年、演出を多様化して遊技に対する興趣を向上させるために、特定演出を含む演出の絶対数が増加している。また、演出個々の実行頻度は従来と同様に設定されている傾向にあり、このため、特定演出全体の実行頻度は特定演出の数が増えている分だけ増加してしまう傾向にある。ここで、ボーナスの当選確率を従来と同様にした場合、個々の特定演出における期待度が従来よりも低下してしまう。例えば、ボーナスが当選している場合の毎遊技における特定演出の実行頻度が30%であり、特定演出の種類が2種類の場合は、この30%を2種類の特定演出で分け合えばよいが、特定演出の種類が3種類となると、この30%を3種類の特定演出で分け合わなければならない。このため、特定演出1つ当たりの実行頻度の平均は、特定演出が2種類の場合は15%であるのに対し、特定演出が3種類の場合は10%となってしまう。ここで、ボーナスが当選している場合の毎遊技における個々の特定演出の実行頻度が低下したので、特定演出個々の遊技全体における実行頻度を従来と同様とした場合、ボーナスが当選していない場合の毎遊技における個々の特定演出の実行頻度を上昇させる必要があり、結果として個々の特定演出が出現した場合における期待度(特定演出が実行されたときにボーナスに当選している確率)が低下してしまう。
上述のような問題に対し、本発明のスロットマシン10では、当選役抽選でボーナスが1回も当選していない状態では特定演出を実行しない。そして、当選役抽選でボーナスが当選して特定演出が実行された場合に、このボーナス当選時に実行されたことによって信頼感が向上した特定演出を、当選役抽選でボーナスが当選していない状態でも実行するようにした。すなわち、遊技者の視点では、特定演出での当たり(ボーナス当選)を体験すること無しに特定演出でのハズレ(ボーナス非当選)を体験することが無い(特定演出でハズレとなる場合であっても、以前に当たりの体験をした特定演出でハズレとなる)。このように、本発明のスロットマシン10によれば、当選役抽選でボーナスが当選していない状態で特定演出を実行する場合を設けることによって特定演出の実行機会を増加させながら、特定演出に対する信頼感の低下を防止できる。
また、上述のように、当選役抽選でボーナスが当選していない状態で特定演出が実行されても、この特定演出は以前にボーナスが当選した際に実行されたものであるため、この特定演出に対する信頼感の低下を防止できるものの、この特定演出が当選役抽選でボーナスが当選していない状態で繰り返し実行されると、この繰り返し毎に信頼感が低下してしまうといった問題がある。これに対して、本発明のスロットマシン10では、当選役抽選でボーナスが当選していない状態で特定演出が実行された場合、この特定演出を演出決定テーブルの記憶枠(変動枠)から削除するようにした。すなわち、遊技者の視点では、1つの特定演出でのハズレが繰り返されることがない。このように、本発明のスロットマシン10によれば、当選役抽選でボーナスが当選していない状態で特定演出が繰り返し実行されることがないので、特定演出の信頼感の低下を防止できる。また、開発・設計段階で想定した期待度と、遊技者の感じる信頼感との間に著しい乖離が生じるような挙動となってしまうこともない。
なお、本発明は、有利モードへの移行条件の少なくとも1つを満たした状態で実行された後に、実行された特定演出の実行確率や実行機会が向上すればよいので、細部の構成は上記実施形態に限定されず適宜変更できる。
例えば、上記実施形態では、有利モードがボーナスモードである例で説明をしたが、当選した小役を入賞させるための手順を報知するATモードや、リプレイの当選確率が通常モードとは異なるRTモードや、ATモードとRTモードとを組み合わせたARTモードなど、ボーナスモード以外の遊技モードが有利モードであってもよい。
また、上記実施形態では、有利モードの移行条件が、当選役抽選で当選し、かつ、入賞することの2つである例で説明をしたが、有利モードの移行条件の種類や数は自由に設定できる。有利モードの移行条件としては、前述した2つの条件以外に、演出抽選など当選役抽選以外の抽選に当選することや、所定の遊技数を消化することや、これら複数の条件を組み合わせるなど周知の各種条件を適宜設定できる。
さらに、上記実施形態では、演出において液晶ディスプレイやスピーカを用いる例で説明をしたが、例えば、モータやアクチュエータで可動する可動式の役物を演出に用いてもよい。また、ランプなどの電飾装置を用いて演出を行ってもよいし、リールの回転態様やリールを照明する照明態様などを制御することによって演出を行ってもよい。
また、上記実施形態では、第2演出決定テーブル66の変動枠72のうち、一部の変動枠72に特定演出が割り当てられている場合、特定演出が割り当てられている変動枠72の演出を実行することが決定された場合にのみこの変動枠72に割り当てられている特定演出を実行させ、特定演出が割り当てられていない空き領域となっている変動枠72の演出を実行することが決定されても演出を実行しない例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2演出決定テーブル66の変動枠72のうち、一部の変動枠72が空き領域である場合、この空き領域となっている変動枠72については存在しないものとみなし、特定演出が割り当てられている変動枠72の中から、演出抽選で演出を実行するか否かを決定してもよい。さらに、第2演出決定テーブル66の全ての変動枠72が空き領域である場合(すなわち、演出抽選を行ったとしても結果的に演出を実行しないことが確定している場合)、演出抽選を行わずに、いずれの演出も実行しない旨の決定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選において特定演出が決定された場合、この特定演出を第2演出決定テーブル66から削除する例で説明をしたが、第2演出決定テーブル66から特定演出を削除しないようにしてもよい。ただし、この場合は、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選において特定演出が決定、実行された後、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選において特定演出が繰り返し実行されてしまい、この特定演出の信頼感を低下させてしまうといった問題がある。そこで、第2演出決定テーブル66から特定演出を削除しない場合は、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選において決定、実行された特定演出の選択確率を低下させることが好ましい。具体的には、例えば、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選において特定演出が決定された場合、この特定演出の選択確率を低下させ、他方の選択確率を増加(例えば、一方の選択確率を50%から5%に低下させ、他方の選択確率を50%から95%に増加)させるように第2演出決定テーブル66の内容を更新することが好ましい。なお、各選択確率の合算値が100%となる例で説明したが、例えば、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選において特定演出が決定された場合、この特定演出の選択確率を低下させ、他方の選択確率は維持する(例えば、一方の選択確率を50%から5%に低下させ、他方の選択確率は50%を維持することで、45%の確率で演出が実行されない)ように第2演出決定テーブル66の内容を更新してもよい。
また、特定演出が実行されて有利モードへと移行した場合であっても、この後に遊技者が代わってしまうと、初めて特定演出が実行されたにも関わらず有利モードへの移行条件を満たしておらず、この特定演出の信頼感が低下してしまう恐れがある。このため、遊技者が代わったと見なせる場合に(例えば、日付が代わったり、スタートレバーやストップスイッチなどが最後に操作されてから所定時間以上経過した場合や、非遊技状態が一定時間以上続いてデモンストレーション画面が表示された場合や、電源の投入や設定変更が行われた場合や、遊技者を検知するセンサにより遊技者が替わったことが検知されたなどの場合に)、第2演出決定テーブル66を初期状態に戻す初期化を行ってもよい。この場合、演出制御部58(図2参照)を、前記初期化を行う初期化手段として機能させればよい。なお、遊技者が代わったと見なせる場合に、前述した初期化に代えて特定演出の選択確率を低下させるように第2演出決定テーブル66の内容を更新してもよい。また、前記初期化や前記更新を行うためのリセットボタンを設け、リセットボタンが操作された際に前記初期化や前記更新を行ってもよい。
さらに、上記実施形態では、演出決定テーブルとして、第1〜第3演出決定テーブルを設けた例で説明をしたが、演出決定テーブルの種類や数、内容については適宜変更できる。例えば、上記実施形態では、第1演出決定テーブル64(図3参照)において、一般演出a及び一般演出bの選択確率が同じである例で説明をしたが、一般演出a及び一般演出bの選択確率が互いに異なっていてもよい。同様に、上記実施形態では、第1演出決定テーブル64において、特定演出A及び特定演出Bの選択確率が同じである例で説明をしたが、特定演出A及び特定演出Bの選択確率が互いに異なっていてもよい。
また、上記実施形態では、第2演出決定テーブル66(図3参照)において、2つの変動枠72の選択確率が同じである例で説明をしたが、2つの変動枠72の選択確率が互いに異なっていてもよい。
さらに、上記実施形態では、第3演出決定テーブル68(図3参照)において、一般演出a及び一般演出bの選択確率が異なっている例で説明をしたが、一般演出a及び一般演出bの選択確率が同じであってもよい。
また、上記実施形態では、第3演出決定テーブル68(図3参照)において、特定演出A及び特定演出Bの選択確率を共に0%とする例で説明をしたが、例えば、図5に示す第3演出決定テーブル78のように、特定演出A及び特定演出Bの選択確率を0%以外としてもよい。なお、図5以降の図面を用いた説明では、前述した実施形態と同様の部材については同様の符号を付して説明を省略している。
図5において、第3演出決定テーブル78は、前述した実施形態の第3演出決定テーブル68(図3参照)と比較して、特定演出A及び特定演出Bの選択確率が、それぞれ、5%に引き上げられている。この第3演出決定テーブル78を用いることで、有利モードへの移行条件を1回も満たしていない状態であっても特定演出が実行される場合があり、この点においては、特定演出の信頼感を低下させてしまう恐れがある。しかし、有利モードへの移行条件を1回も満たしていない状態で特定演出が実行される確率は低いので、特定演出に対する信頼感の低下は最小限に抑えることができる。また、第3演出決定テーブル68を用いた場合(有利モードへの移行条件を1回も満たしていない状態では特定演出が実行されない場合)、1回目に特定演出が実行された時点で有利モードの移行条件を満たしたことが確定(判明)してしまうといった問題があるが、第3演出決定テーブル78を用いた場合、有利モードへの移行条件を1回も満たしていない状態であっても特定演出が実行されることがあるので、このような問題を防止できる。
また、上記実施形態では、割り当て処理を行う際に、空き領域が存在する場合、空き領域が1つであるか複数であるかに関わらず、1つの空き領域に対し、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選で決定された特定演出を割り当てる例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第1演出決定テーブル64を用いた演出抽選で決定された特定演出を、空き領域の全てに割り当ててもよい。なお、割り当て処理を行う際に、空き領域が存在しない場合、割り当て済みの特定演出のうち、先に割り当てられた(割り当てが古い)特定演出を削除し、新たに決定された特定演出を代わりに割り当ててもよいし、全ての変動枠72に同一の特定演出を新たに割り当ててもよい。また、変動枠72に空き領域が生じるまで、この特定演出を一時的に記憶する予備の記憶枠を設け、変動枠72に空き領域が発生したときに、予備の記憶枠に記憶された特定演出を空き領域となった変動枠72に割り当ててもよい。
また、上記実施形態では、削除処理を行う際に、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選で実行された特別演出を変動枠72から削除して、この変動枠72を空き領域に戻す例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2演出決定テーブル66の複数の変動枠72に同一の特定演出が割り当てられていた場合は、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選で特定演出が決定、実行された場合、同一の特定演出が割り当てられている複数の変動枠72の全てを空き領域に戻してもよい。
さらに、上記実施形態の第2演出決定テーブル66(図3参照)では、初期状態として変動枠72を空き領域とする例で説明をしたが、変動枠72に一般演出のいずれかが割り当てられた状態を、初期状態としてもよい。このように、変動枠72の一方が空き領域であり、変動枠72の他方に一般演出が割り当てられている場合、第2演出決定テーブル66を用いた演出抽選により他方の変動枠72に割り当てられた一般演出を実行することが決定されると、この一般演出が実行される。
また、上記実施形態の第2演出決定テーブル66(図3参照)では、変動枠72のみが設けられている例で説明をしたが、図6に示す第2演出決定テーブル86のように、変動枠72に加えて固定枠70を設けてもよい。図6において、第2演出決定テーブル86では、固定枠70と変動枠72とが2つずつ設けられている。固定枠70は、一般演出a及び一般演出bが割り当てられ、それぞれ選択確率が5%に規定されている。また、変動枠72は、初期状態では空き領域となっており、それぞれ選択確率が45%に規定されている。
また、上記実施形態では、第2演出決定テーブルの内容を変更する際に、1つの変動枠72のみ内容の更新を行う例、すなわち、新規に特定演出を割り当てる際には、割り当てを行う変動枠72のみ内容を変更し、特定演出を削除する場合も、削除する変動枠72のみ内容を変更する例で説明をしたが、第2演出決定テーブルの内容を変更する際に、第2演出決定テーブル全体(または、全ての変動枠72)の内容を一斉に変更してもよい。
以下、第2演出決定テーブル全体(または、全ての変動枠72)の内容を一斉に変更する例について、図7(a)、(b)を用いて具体的に説明を行う。なお、図7(a)は、第2演出決定テーブル96の初期状態を示しており、同図(b)は、初期状態で第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Aが決定され、この特定演出Aが実行された後の第2演出決定テーブル96の状態を示している。
図7(a)に示すように、第2演出決定テーブル96には、2つの変動枠72が設けられている。変動枠72の一方は、一般演出aが割り当てられ、選択確率が60%とされ、他方には、一般演出bが割り当てられ、選択確率が40%とされている。この状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Aが決定、実行されると、同図(b)に示すように、特定演出Aの選択確率が60%となり、一般演出aの選択確率が40%となるように第2演出決定テーブル96の内容が更新される。すなわち、特定演出Aが図の上段に新規に割り当てられ、この特定演出Aに押し出されるように一般演出aが図の下段に割り当てられ、一般演出aに押し出されるように一般演出bが第2演出決定テーブル96から削除される。
なお、図7(b)の状態で、第2演出決定テーブル96を用いた演出抽選で特定演出Aが決定、実行されると、図の上段に割り当てられた特定演出Aが削除され、図の下段に割り当てられた一般演出aが図の上段に戻り、図の下段には一般演出bが戻ることで、同図(a)の状態に戻る。
また、同図(b)の状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出が決定、実行されると、この特定演出が図の上段に新規に割り当てられ、この特定演出に押し出されるように特定演出Aが図の下段に割り当てられ、特定演出Aに押し出されるように一般演出aが第2演出決定テーブル96から削除される。
このように、本例では、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選で特定演出が決定、実行されると、実行された特定演出が第2演出決定テーブル96の上段に割り当てられ、この割り当てまで各段に割り当てられていた演出が順次1つ下の段に繰り下がる。また、本例では、第2演出決定テーブル96を用いた演出抽選で特定演出が決定、実行されると、実行された特定演出が、第2演出決定テーブル96から削除され、この削除により形成された空き段を埋めるように、この空き段よりも下の段に割り当てられた演出が順次1つ上の段に繰り上げられる。
なお、図7の例において、例えば、第2演出決定テーブル96に特定演出Aが割り当てられた状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選でさらに特定演出Aが決定、実行された場合、前述した割り当てを行わないようにしてもよい。すなわち、第2演出決定テーブル96に同一の特定演出が1つのみ割り当てられるようにしてもよい。
また、図7の例において、例えば、第2演出決定テーブル96に特定演出Aが割り当てられた状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選でさらに特定演出Aが決定、実行された場合、第2演出決定テーブル96に特定演出Aが2つ割り当てられるようにしてもよい。すなわち、第2演出決定テーブル96の複数の段に同一の特定演出が割り当てられるようにしてもよい。
なお、第2演出決定テーブル96の複数の段に同一の特定演出が割り当てられた状態で、第2演出決定テーブル96を用いた演出抽選により、この特別演出が決定、実行された場合、実行された特定演出1つのみを第2演出決定テーブル96から削除してもよいし、実行された特定演出と同一種類の特定演出の全てを第2演出決定テーブルから削除してもよい。
また、上記実施形態では、第2演出決定テーブルの変動枠72の内容が変化(演出の割り当ての有無や割り当てる演出の種類が変化)する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。変動枠72の個数を変化させてもよい。
以下、図8(a)、(b)、(c)を用いて、第2演出決定テーブルの変動枠72の個数を変化させる構成の具体例について、変動枠を増設する例で説明を行う。なお、図8(a)は、第2演出決定テーブル106の初期状態を示しており、同図(b)は、初期状態で第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Aが決定され、この特定演出Aが実行された後の第2演出決定テーブル106の状態を示している。また、同図(c)は、同図(b)の状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Bが決定され、この特定演出Bが実行された後の第2演出決定テーブル106の状態を示している。
図8(a)に示すように、第2演出決定テーブル106には、初期状態では、1つの変動枠72が設けられ、空き領域となっている。この状態で第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Aが決定、実行されると、同図(b)に示すように、特定演出Aが変動枠72に割り当てられて選択確率が100%となる。さらに、同図(b)に示す状態で第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により特定演出Bが決定、実行されると、同図(c)に示すように、変動枠72が1つ増設され、2つの変動枠72に特定演出A及び特定演出Bが割り当てられて選択確率がそれぞれ50%となる。
なお、図8(b)の状態で、第2演出決定テーブル106を用いた演出抽選で特定演出Aが決定、実行されると、同図(a)の状態に戻る。また、同図(c)の状態で、第1演出決定テーブルを用いた演出抽選により、特定演出Aや特定演出Bが決定、実行されると、変動枠72が1つ増設され、この増設された3つ目の変動枠72に実行された特定演出Aまたは特定演出Bが割り当てられる。そして、このような増設を経て作成された3つの変動枠72の選択確率がそれぞれ約33%となる。
上述した図7、図8の例のように、第2演出決定テーブルの内容の変更には、第2演出決定テーブル全体(または、全ての変動枠72)を変更する構成(図7参照)や、第2演出決定テーブルの変動枠72の個数を変動させる構成が含まれる。なお、第2演出決定テーブル全体(または、全ての変動枠72)を変更する具体的な構成や、第2演出決定テーブルの変動枠72の変動枠72の個数を変動させる具体的な構成については前述した2つの例に限定されず細部の構成については適宜変更できる。
なお、上記実施形態では、通常演出モードとフェイク演出モードとの2種類の演出モードを設ける例で説明をしたが、演出モードを設けず、有利モードへの移行条件を満たしたか否かで区別するようにして、上述した実施形態で説明した第3演出決定テーブルを廃止してもよい。この場合、有利モードへの移行条件を満たしている場合は、第1演出決定テーブルを用い、有利モードへの移行条件を満たしていない場合は、第2演出決定テーブルを用いて実行する演出の種類を決定すればよい。
以上のように、有利モードへの移行条件の少なくとも1つを満たした状態で実行された後に、この特定演出の実行確率や実行機会を向上させるための具体的な構成については、複数の構成が考えられ、これらのいずれを採用してもよい。もちろん、前述した複数の構成を組み合わせて用いたり、前述した複数の構成のいずれを用いるかを演出モードの種類に応じて異ならせてもよい。
また、上記実施形態では、演出として、2種類の一般演出(一般演出a及び一般演出b)と、2種類の特定演出(特定演出A及び特定演出B)とを設けた例で説明をしたが、一般演出や特定演出の種類や数、内容については適宜変更できる。
さらに、上記実施形態では、本発明をスロットマシンに適用する例で説明をしたが、本発明をパチンコ機に適用してもよい。本発明をパチンコ機に適用する場合も、本発明をスロットマシンに適用した場合と同様に、有利モードへの移行条件のうち少なくとも1つを満たした状態で実行された後に、実行された特定演出の実行確率や実行機会を向上させればよい。
また、本発明は、実物のリールを回転させるスロットマシンや、遊技領域に実物のパチンコ球を流下させるパチンコ機に限定されず、モニタに表示されたリールを回転させるスロットマシンや、モニタにパチンコ球が流下される画像を表示するパチンコ機など、モニタ上で実際の遊技を再現するタイプの遊技機に対しても適用できる。