JP6247799B1 - ゴム補強用コードの製造方法、ゴム補強用コード及びゴム製品 - Google Patents

ゴム補強用コードの製造方法、ゴム補強用コード及びゴム製品 Download PDF

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Abstract

本発明のゴム補強用コードの製造方法は、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードを製造する方法であって、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が4.0を超え7.0未満であるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを混合して、前記フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含有する処理剤を調製する工程と、前記処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布して乾燥させて、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に被膜が形成されたゴム補強用コードを得る工程と、を含む。前記被膜における塩素含有率は、1〜30質量%である。

Description

本発明は、ゴム補強用コードの製造方法、ゴム補強用コード及びゴム製品に関する。
歯付きゴムベルトなどのゴム製品について、その強度や耐久性を向上させるために、ガラス繊維や化学繊維などの補強用繊維を含む補強用コードをマトリックスゴム内に埋設することが広く行われている。補強用コードでは、一般に、マトリックスゴムと補強用繊維との接着性を高めるために、補強用繊維の表面に被膜が設けられる。このような被膜の材料として、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムは、その高い耐熱性から幅広く使用されている(特許文献1〜6)。
特公平4−56053号公報 特開平11−158744号公報 特開2007−291332号公報 特開2004−3044号公報 特開2008−291395号公報 特公昭45−028497号公報
クロロスルフォン化ポリエチレンゴムを含む被膜は、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスを含む処理剤を補強用繊維の表面に塗布したのち乾燥させることによって形成される。被膜の形成に用いられる処理剤のpH値は、形成される被膜の接着性などの特性に影響を及ぼすため、処理剤に塩基(アンモニアなど)を添加してpH値を調整することが知られている。
しかし、処理剤のpH調整のみによって改善できる被膜の接着性には限界があり、被膜の接着性については更なる向上が求められていた。
そこで、本発明の目的の一つは、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムを含む被膜が設けられたゴム補強用コードであって、被膜の接着性の向上が実現されたゴム補強用コードを提供することである。さらに、本発明の別の目的の一つは、そのようなゴム補強用コードによって補強された、マトリックスゴムとゴム補強用コードとが高い接着力で接着されたゴム製品を提供することである。
本発明者らは、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムを含む被膜の接着性向上を目的とし、鋭意検討の末、被膜形成用の処理剤の調製に用いられるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値及び遊離塩素濃度が、形成される被膜の接着性に大きな影響を及ぼすという事実を突き止め、以下の本発明のゴム補強用コードの製造方法及びゴム補強用コードに至った。
本発明は、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードを製造する方法であって、
フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が4.0を超え7.0未満であるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを混合して、前記フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含有する処理剤を調製する工程と、
前記処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布して乾燥させて、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に被膜が形成されたゴム補強用コードを得る工程と、
を含み、
前記被膜における塩素含有率が1〜30質量%である、
ゴム補強用コードの製造方法を提供する。
また、本発明は、ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
ゴム補強用繊維と、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に形成された被膜とを含み、
前記被膜は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含む処理剤を、前記ゴム補強用繊維に塗布して乾燥させることによって形成されており、
前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.0を超え7.0未満であり、
前記被膜における塩素含有率が1〜30質量%である、
ゴム補強用コードを提供する。
また、本発明は、上記本発明のゴム補強用コードの製造方法で得られたゴム補強用コード、又は、上記本発明のゴム補強用コードで補強されたゴム製品を提供する。
本発明のゴム補強用コードの製造方法及び本発明のゴム補強用コードによれば、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムを含む被膜が設けられたゴム補強用コードであって、被膜の接着性の向上が実現されたゴム補強用コードを提供することができる。また、本発明のゴム製品は、このようなゴム補強用コードで補強されているので、マトリックスゴムとゴム補強用コードとが高い接着力で接着されたゴム製品とできる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の記載は本発明を限定するものではない。
[ゴム補強用コード及びゴム補強用コードの製造方法]
本実施形態のゴム補強用コードは、ゴム製品を補強するためのコードである。このゴム補強用コードは、ゴム補強用繊維と、ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に形成された被膜とを含む。被膜は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含む処理剤を、ゴム補強用繊維に塗布して乾燥させることによって形成されている。処理剤に含まれるクロロスルフォン化ポリエチレンゴム(以下、CSMと記載する。)ラテックスのpH値は、4.0を超え7.0未満である。また、被膜における塩素含有率は1〜30質量%である。
また、本実施形態のゴム補強用コードの製造方法の一実施形態は、
フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が4.0を超え7.0未満であるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを混合して、前記フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含有する処理剤を調製する工程と、
前記処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布して乾燥させて、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に被膜が形成されたゴム補強用コードを得る工程と、
を含み、
前記被膜における塩素含有率が1〜30質量%である、
製造方法である。
以下、本実施形態のゴム補強用コード及びゴム補強用コードの製造方法について、より具体的に説明する。
(補強用繊維)
本実施形態のゴム補強用コードに含まれるゴム補強用繊維及びゴム補強用コードの製造方法で用いられる補強用繊維は、ゴム製品の形状安定性や強度を高めることができる繊維であればよく、その材質や形状は特に限定されない。
ゴム補強用繊維としては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維に代表されるポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、アラミド(芳香族ポリアミド)などのポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維、炭素繊維又はポリパラフェニレンベンゾオキサゾール(PBO)繊維などを利用することができる。これらのなかでも、寸法安定性、耐熱性及び引張り強度などに優れる炭素繊維及びガラス繊維が好適に用いられる。例えば、高い耐久性が要求されるゴム製品を補強するためのゴム補強用コードを作製する場合には、十分な強度を有するガラス繊維(例えば高強度ガラス繊維)を用いることが好ましい。
ガラス繊維におけるガラスの種類は、特に限定されるものではないが、一般的な無アルカリガラスよりも、引張り強度に優れる高強度ガラスが好ましい。
なお、繊維の構成は特に限定されるものではないが、例えばガラス繊維の場合は、繊維の最小構成単位であるフィラメントの平均径が5〜13μmのものが好ましい。例えば、このフィラメント50〜2000本を集束剤によって集束して、ゴム補強用繊維を作製する。複数本のゴム補強用繊維を集束して繊維ストランドとしてもよい。
また、ゴム補強用繊維とゴム製品のマトリックスゴムとの接着性、及び、ゴム補強用繊維の耐ほつれ性をさらに向上させるために、ゴム補強用繊維(又は繊維ストランド)に撚りが施されてもよい。撚り数は、使用する繊維に応じて適切な撚り数を設定すればよい。例えば、ゴム補強用繊維としてガラス繊維を用いる場合には、撚り数は0〜4.0回/25mmの範囲であることが好ましい。また、必要なゴム補強用コードの太さや仕様に合わせて、複数回に分けて撚りを施してもよく、その撚り方向も限定されない。2段階に分けて撚りを施す場合には、例えば補強用繊維を数本束ねた繊維ストランドを下撚りして子縄を作り、さらにその子縄を数本束ねて上撚りしてコードを形成するとよい。このような繊維ストランド及びコードの作製に用いられる装置は、特に限定されないが、例えば、リング撚糸機、フライヤー撚糸機、撚り線機などを用いることができる。
上述したように、繊維ストランドは複数のゴム補強用繊維を集束させて形成されるが、表面に被膜が形成されているゴム補強用繊維を用いて繊維ストランドが形成されてもよいし、表面に被膜が設けられる前のゴム補強用繊維を用いて繊維ストランドが形成されて、その後に被膜が形成されてもよい。
(被膜)
被膜は、処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布し、それを乾燥させる(処理剤中の溶媒を除去する)ことによって形成されている。
処理剤は水性であり、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、CSMラテックスとを混合することによって調製される。
処理剤におけるフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の含有率は、固形分質量比で、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、処理剤におけるフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の含有率は、固形分質量比で、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。処理剤がフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂を固形分質量比で1質量%以上含むことにより、繊維の保護層としての機能に優れた被膜を形成できる。一方、処理剤がフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂を固形分質量比で20質量%以下含むことにより、形成される被膜の耐動的疲労性を向上させることができる。
フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂におけるフェノール由来芳香族化合物としては、例えば、モノ又は多価ヒドロキシフェノール、モノ又は多価クロロフェノールなどが挙げられる。フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の一例として、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂を挙げることができる。
処理剤におけるCSMラテックスの含有率は、固形分質量比で、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、処理剤におけるCSMラテックスの含有率は、固形分質量比で、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。処理剤がCSMラテックスを固形分質量比で10質量%以上含むことにより、形成される被膜の耐熱特性を向上させることができる。
CSMラテックスは、長期保存過程で加水分解反応してpH値の低下を引き起こす。このpH値の低下は、形成される被膜の接着性に大きな影響を及ぼす。そこで、本実施形態では、最終的に形成される被膜の接着性を向上させるために、処理剤の調製にpH値が4.0を超え7.0未満の範囲内であるCSMラテックスが用いられる。pH値が4.0を超えるCSMラテックスを用いることにより、形成される被膜の接着性が向上する。形成される被膜の接着性のより確実な向上のために、CSMラテックスのpH値を4.1以上とすることが好ましい。一方、pH値が7.0以上となると、ラテックスとしての状態を保つことが困難となって、形成される被膜の接着性の向上が困難となるため、CSMラテックスのpH値を7.0未満とし、好ましくは6.9以下とし、より好ましくは6.0以下とする。CSMラテックスのpH値を上記範囲内に調整するために、処理剤の調製前にCSMラテックスにpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤は、アンモニア、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種を含有してもよい。
処理剤における塩素含有率が高すぎる場合、処理剤のpH調整が困難となり、その結果、形成される被膜の接着性を向上させることが困難になる。このような問題を生じさせないために、処理剤における塩素含有率は、形成される被膜における塩素含有率が1〜30質量%の範囲内となるように調整される必要がある。処理剤における塩素含有率を決定する要因には、CSMのポリマー上の塩素量と、CSMラテックスの長期保存過程で起こる加水分解反応に起因する遊離塩素とが含まれる。そこで、遊離塩素の増加も考慮した上で、用いるCSMのポリマー上の塩素量を決定し、形成される被膜における塩素含有率が1〜30質量%の範囲内となるようにする。なお、CSMではポリマー上の塩素量の変更が可能であるので、処理剤によって形成される被膜における塩素含有率が1〜30質量%の範囲内となるように、CSMのポリマー上の塩素量を変更するとよい。具体的には、被膜における塩素含有率が30質量%以下となるように、使用されるCSMラテックスのCSMポリマーのグレードを適宜選択して処理剤における塩素含有率を調整することにより、被膜の接着性を向上させることができる。被膜における塩素含有率は、2〜25質量%とすることが好ましい。なお、被膜における塩素含有率は、形成された被膜の塩素含有率をエネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)を用いて測定することによって得られる。
処理剤は、被膜の接着力を高めたり安定性を改善したりするために、CSMラテックス以外のゴムラテックスなどをさらに含んでいてもよい。例えば、処理剤は、ブタジエンラテックス、ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレン・ターポリマーラテックス、イソプレンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス及びポリオレフィンエマルジョンからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種を含んでいてもよい。処理剤に含まれるこれらのラテックス及び/又はエマルジョンの合計は、例えば5〜85質量%であり、好ましくは15〜80質量%である。
処理剤には、被膜の接着力を高めたり安定性を改善したりするために、充填材、可塑剤、老化防止剤、金属酸化物及び架橋助剤などが適宜加えられてもよい。例えば、処理剤は、イソシアネート及び熱硬化系樹脂などの添加材をさらに含んでいてもよい。
なお、処理剤の調製に用いられるCSMラテックスのpH値を4.0を超え7.0未満の範囲内とすることは上述のとおりであるが、さらに調製された処理剤のpH値を調整してもよい。したがって、処理剤には、アンモニアや水酸化ナトリウムなどの塩基がpH調整剤としてさらに添加されてもよい。なお、処理剤のpH値は、例えば5.0〜12.0の範囲内に調整される。
被膜の厚さや、ゴム補強用コード全体に占める被膜の割合には特に限定はなく、ゴム補強用コードに要求される特性やゴム補強用繊維の種類などに応じて適宜決定することが可能である。例えば、ゴム補強用繊維とゴム製品のマトリックスゴムとの接着性及びゴム補強用繊維の耐ほつれ性をさらに向上させるためには、ゴム補強用コード全体に占める被膜の割合を5〜30質量%とすることが好ましく、7〜27質量%とすることがより好ましく、10〜25質量%とすることがさらに好ましい。
なお、被膜は、ゴム補強用繊維の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、ゴム補強用繊維とマトリックスゴムとの接着性及びゴム補強用繊維の耐ほつれ性をさらに向上させるためには、ゴム補強用繊維の全体を覆うように設けられていることが好ましい。
必要に応じて、上記の被膜上にさらに別の被膜が設けられていてもよい。別の被膜は、マトリックスゴムの種類に応じて公知の被膜から適宜選択すればよいため、特には限定されない。例えば、CSM及び架橋剤を含む被膜などを用いることができる。
処理剤の塗布方法及び乾燥方法については特に限定はない。通常は、処理剤の入った浴槽中にゴム補強用繊維又はゴム補強用繊維を集束した繊維ストランドを浸漬した後、乾燥炉内で乾燥して溶媒を除去して被膜を形成する。
被膜が形成された補強用繊維又は繊維ストランドを複数作製して、それらを撚り合わせてもよい。これにより、被膜を介して複数の補強用繊維を互いに密着させることができる。
上記被膜の上にさらに別の被膜を設ける場合は、次に、その被膜を形成するための工程を実施するとよい。
[ゴム製品]
本実施形態のゴム製品について説明する。本実施形態のゴム製品は、マトリックスゴムと、マトリックスゴムに埋め込まれたゴム補強用コードとを含む。ゴム補強用コードには、上記の本実施形態のゴム補強用コードが用いられる。ゴム製品のマトリックスゴムにゴム補強用コードを埋設する手段は、特に限定されるものではなく、公知の手段を適用できる。本実施形態のゴム製品は、マトリックスゴムの特性に由来する高い耐熱性と、ゴム補強用コードを埋設することによる高い強度及び高い耐屈曲疲労性とを併せ備える。したがって、このゴム製品は、様々な用途に適用でき、車輌用エンジンのタイミングベルトなどの用途に特に適している。
本実施形態のゴム製品は、例えば、まず本実施形態のゴム補強用コードを準備し、次にこのゴム補強用コードをゴムと架橋剤とを含むマトリックスゴムに埋め込み、そして、架橋剤の反応が充分に進行する条件で熱処理を行い、ゴム補強用コードの被膜のゴムとゴム製品のマトリックスゴムとを同時に架橋する。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。
[実施例1〜20及び比較例1〜10]
<ゴム補強用コードの製造>
ガラスフィラメント(Eガラス組成、平均直径9μm)を200本集束したガラス繊維(ゴム補強用繊維)を用意した。このガラス繊維を3本引き揃えて、以下の表2〜5に示す処理剤を含浸させたのち、250℃で2分間熱処理を施して処理剤を乾燥させて、繊維ストランドを作製した。繊維ストランドでは、3本のガラス繊維の表面を覆うように被膜が形成されていた。3本のガラス繊維は、この被膜によって互いに接着されていた。なお、実施例5〜8,11,14及び18、並びに、比較例2,4,5及び8では、CSMラテックスのpH値を調整するために、CSMラテックスにアンモニアが添加された。表2〜5には、pH調整前後のCSMラテックスのpH値が示されている。また、実施例1〜20及び比較例1〜6においては、調製された処理剤にもpH調整剤が添加されて、処理剤のpH値が10.5に調整された。
このようにして得られた繊維ストランドを、2.0回/25mmの割合でZ方向に下撚りした。そして、下撚りした繊繊ストランドを11本引き揃え、2.0回/25mmの割合でS方向に上撚りした。このようにして得たゴム補強用コードにおける被膜の割合は、20質量%であった。
各実施例及び各比較例のゴム補強用コードについての評価項目及びその方法は、以下のとおりである。
<被膜における塩素含有率>
ゴム補強用コードの表面から被膜の一部をカッターナイフで摘出し、EDX(日本電子株式会社製「JSM−IT100」)でその被膜の塩素含有率を分析した。
<マトリックスゴムとの接着性(破壊形態)>
ゴム補強用コードを、表1に示す組成を有するマトリックスゴムに埋め込み、150℃で20分間熱処理を行って、幅25mm、長さ100mm、厚さ5mmの試験片(平ベルト)を作製した。この試験片を、マトリックスゴムとゴム補強用コードとが剥離するまで、引張試験機で長手方向に引っ張った。マトリックスゴムとゴム補強用コードとの間の剥離状態、すなわち試験片の破壊形態が、ゴム補強用コードとマトリックスゴムとが接着したまま破壊が生じた「ゴム破壊」であるのか、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの界面で剥離が生じたことによる、ゴム破壊なしの「界面剥離」であるのか、あるいは「ゴム破壊」と「界面剥離」との間の状態である「部分破壊」であるのか、を確認した。より詳しく説明すると、「ゴム破壊」とは、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの界面で剥離するのではなく、マトリックスゴム内に亀裂が入って破壊された形態のことであり、ゴム補強用コードにおける剥離界面の90%以上がマトリックスゴムによって覆われている状態をいう。「部分破壊」とは、ゴム補強用コードにおける剥離界面の20%以上90%未満がマトリックスゴムによって覆われている状態をいう。一方、「界面剥離」とは、マトリックスゴムとゴム補強用コードとの間で剥離して、ゴム破壊が起こっていない形態のことであり、剥離されたゴム補強用コードの表面において、破壊されたゴムの存在が20%未満であることを示す。ここで、剥離界面におけるゴムの存在割合は、剥離界面の写真の印刷画像を用いて求めた。具体的には、先ず、試料片における剥離界面の全体が入るように写真をとり、その写真の印刷画像から試料片全体を切り取って、切り取られた試料片全体の印刷画像の重量Wを量る。次に、その試験片全体の印刷画像からゴムの箇所を切り取って、切り取られたゴムの箇所の全体の重量wを量る。得られた重量W,wの値から、残存するゴムの存在割合((w/W)×100%)を求める。結果を表2〜5に示す。
Figure 0006247799
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表2及び3に示されているように、処理剤の調製に用いられるCSMラテックスのpH値が4.0を超え7.0未満の範囲内であり、かつ被膜における塩素含有率が1〜30質量%の範囲内である実施例1〜20のゴム補強用コードは、剥離形態がゴム破壊であり、マトリックスゴムとの優れた接着性を有していた。これに対し、表4及び5に示されているように、処理剤の調製に用いられるCSMラテックスのpH値が4.0以下又は7.0以上である比較例1〜6のゴム補強用コードと、被膜における塩素含有率が30質量%を超えている比較例7〜10のゴム補強用コードは、剥離形態が部分破壊又は界面破剥離であり、マトリックスゴムとの接着性が不十分であった。
本発明のゴム補強用コードは、ゴム製品のマトリックスゴムとの優れた接着性を有するので、強度や耐久性が求められるゴム製品を含む様々なゴム製品のゴム補強用コードとして適用できる。

Claims (21)

  1. ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードを製造する方法であって、
    フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が4.0を超え7.0未満であるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを混合して、前記フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含有する処理剤を調製する工程と、
    前記処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布して乾燥させて、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に被膜が形成されたゴム補強用コードを得る工程と、
    を含み、
    前記被膜における塩素含有率が1〜30質量%である、
    ゴム補強用コードの製造方法。
  2. 前記処理剤を調製する工程よりも前に、前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値を、pH調整剤を用いて4.0を超え7.0未満に調整する工程をさらに含む、
    請求項1に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  3. 前記pH調整剤が、アンモニア、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種を含有する、
    請求項2に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  4. 前記処理剤の調製に用いられる前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.1〜6.9である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  5. 前記処理剤の調製に用いられる前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.1〜6.0である、
    請求項4に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  6. 前記被膜における塩素含有率が2〜25質量%である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  7. 前記処理剤におけるフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の含有率が、固形分質量比で1〜20質量%である、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  8. 前記処理剤におけるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスの含有率が、固形分質量比で10〜90質量%である、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  9. 前記処理剤が、ブタジエンラテックス、ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレン・ターポリマーラテックス、イソプレンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス及びポリオレフィンエマルジョンからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種をさらに含有する、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  10. 前記フェノール由来芳香族化合物が、モノ又は多価ヒドロキシフェノールである、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  11. 前記被膜の質量が、前記ゴム補強用コードの質量の5〜30%である、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  12. 前記ゴム補強用繊維が、ガラス繊維及び炭素繊維からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種である、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  13. 前記ゴム補強用繊維がガラス繊維である、
    請求項12に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  14. 前記ガラス繊維が高強度ガラス繊維である、
    請求項12又は13に記載のゴム補強用コードの製造方法。
  15. ゴム製品を補強するためのゴム補強用コードであって、
    ゴム補強用繊維と、前記ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に形成された被膜とを含み、
    前記被膜は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含む処理剤を、前記ゴム補強用繊維に塗布して乾燥させることによって形成されており、
    前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.0を超え7.0未満であり、
    前記被膜における塩素含有率が1〜30質量%である、
    ゴム補強用コード。
  16. 前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスは、前記処理剤の調製前にpH調整剤によってpH値が4.0を超え7.0未満に調整されたものである、
    請求項15に記載のゴム補強用コード。
  17. 前記pH調整剤が、アンモニア、水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムからなる群より選ばれる少なくともいずれか1種を含有する、
    請求項16に記載のゴム補強用コード。
  18. 前記処理剤に用いられる前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.1〜6.9である、
    請求項15〜17のいずれか1項に記載のゴム補強用コード。
  19. 前記処理剤に用いられる前記クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスのpH値が4.1〜6.0である、
    請求項18に記載のゴム補強用コード。
  20. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のゴム補強用コードの製造方法で得られたゴム補強用コード、又は、請求項15〜19のいずれか1項に記載のゴム補強用コードで補強されたゴム製品。
  21. 前記ゴム補強用コードがマトリックスゴムに埋設されたゴムベルトである、請求項20に記載のゴム製品。
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