JP2007186818A - 繊維処理剤とそれを用いて製造されたゴム補強用コード、並びにそのゴム補強用コードを用いたゴム製品 - Google Patents

繊維処理剤とそれを用いて製造されたゴム補強用コード、並びにそのゴム補強用コードを用いたゴム製品 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン系材料を用いることなく繊維とゴム組成物との良好な接着力を実現できる繊維処理剤を提供し、さらに、その繊維処理剤を用いて形成されたゴム補強用コードとゴム製品とを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の繊維処理剤は、ゴム製品を補強する繊維を処理するための繊維処理剤であって、メラミン樹脂と、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と、ゴムラテックスと、ウレタン樹脂とを含み、かつ、ウレタン樹脂の含有率が固形分質量比で10〜30質量%である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム製品を補強する繊維を処理するための繊維処理剤と、この繊維処理剤を用いて製造されたゴム補強用コードと、このゴム補強用コードで補強されたゴム製品とに関する。
エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体からなるゴム組成物(以下EPDMゴムと記載する。)は、耐熱性、耐寒性、耐候性および耐オゾン性に優れているので、伝動ベルトやホース等に使用されている。また、EPDMゴムはハロゲンを含まないので、環境負荷の観点からも、クロロプレンゴムに代わるゴム組成物として更なる注目を集めている。
伝動ベルト等のゴム製品は、強度の点等から、繊維との複合体として使用されることが多い。例えば、ガラス繊維やアラミド繊維を補強用の繊維として用いたゴムベルトは、その耐寸法安定性および耐屈曲疲労性の点から、高負荷に耐え得る材料として、自動車の内燃機関のカムシャフト駆動、インジェクションポンプ等の補助駆動および産業機械の動力伝達等の用途に広く利用されている。
しかし、EPDMゴムは繊維との接着性が劣るため、その用途が大きく限られている。そこで、EPDMゴムと繊維との接着を十分なものにするために、様々な提案がなされている。EPDMゴムと繊維との接着性を向上させるための技術としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
従来、EPDMゴムと繊維とを接着する方法としては、ヘキサメチレンテトラミン等のメチレン供与体とレゾルシン等のメチレン受容体とをEPDMゴムに配合するHRH法が知られていた。また、特許文献1には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とスルホハロゲン化ポリマーとを含む処理液を用いて繊維を処理する方法が開示されている。特許文献2には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とスルホハロゲン化ポリマーとを含む処理液を用いて繊維を処理し、かつレゾルシン系樹脂およびメラミン系樹脂の両者を未加硫ゴム中に混合して繊維とゴム組成物との接着性を高める方法が開示されている。特許文献3には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とポリクロロプレンラテックスとを含む処理液を用いて繊維を処理する方法が開示されている。特許文献4には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とラテックスとを含む処理液で繊維を処理した後、さらにその繊維をハロゲン化フェノール化合物とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とラテックスとを含む処理液で処理する方法が開示されている。特許文献5には、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂とポリクロロプレンラテックスとを含む処理液を用いて繊維を処理する方法が開示されている。
特開昭57−105476号公報 特開昭58−132542号公報 特公昭63−10732号公報 特開平2−167346号公報 特公平5−86968号公報 特開平9−296055号公報
しかし、上記の方法では、繊維の処理に使用する処理液にハロゲン系の材料が含まれるため、環境負荷の観点から好ましくない。例えば特許文献6にはハロゲン系の材料を使用しない接着方法も提案されているが、ポリイソシアネート化合物やエポキシ化合物などを用いた前処理やEPDMゴムの組成の変更等が必要となり、その条件が大きく制限されている。
従って、EPDMゴムと繊維材料との高い接着力を得るには、やはりハロゲン系の材料を含む処理液を使用しなければならず、環境負荷の観点から問題となっていた。
そこで、本発明では、ハロゲン系材料を用いないか、または低減させた場合でも繊維とゴム組成物との良好な接着性が実現できる繊維処理剤を提供し、さらに、その繊維処理剤を用いて作製されたゴム補強用コードとそのゴム補強用コードを用いたゴム製品とを提供することを目的とする。
本発明の繊維処理剤は、ゴム製品を補強する繊維を処理するための繊維処理剤であって、メラミン樹脂(メラミン・ホルムアルデヒド樹脂)と、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と、ゴムラテックスと、ウレタン樹脂とを含んでおり、かつ前記ウレタン樹脂の含有率が、固形分質量比で10〜30質量%である。
本発明のゴム補強用コードは、繊維と、前記繊維の表面に設けられた被膜とを含み、前記被膜が本発明の繊維処理剤を用いて形成されている。
本発明のゴム製品は、本発明のゴム補強用コードを含むゴム製品であって、前記ゴム補強用コードがゴム組成物に埋め込まれている。
本発明の繊維処理剤は、メラミン樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂、ゴムラテックスおよびウレタン樹脂の4つの成分を含み、かつウレタン樹脂を固形分質量比で10〜30質量%含んでいる。これにより、本発明の繊維処理剤で処理が施された繊維は、EPDMゴム等のゴム組成物との良好な接着性を実現できる。さらに、ハロゲン系材料を含まない、または低減することが可能であるため、環境への悪影響も抑制できる。
本発明のゴム補強用コードは、繊維の表面に設けられた被膜が本発明の繊維処理剤を用いて形成されているので、EPDMゴム等のゴム組成物との良好な接着性を実現できる。さらに、ゴム補強用コードとして必要な耐屈曲疲労性も備えることができる。また、ハロゲン系材料を含まない、または低減することが可能であるため、環境への悪影響も抑制できる。
本発明のゴム補強用コードを用いて形成されたゴム製品は、ゴム補強用コードとゴム組成物との接着性が良好であり、さらに十分な耐屈曲疲労性を備えたゴム補強用コードを用いているので、高負荷に耐え得ることができる。さらに、ハロゲン系材料を含まない、または低減することが可能であるため、環境への悪影響も抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の繊維処理剤について説明する。この繊維処理剤は、ゴム製品を補強するための繊維の処理に用いられ、繊維とゴム組成物との接着性を高めるために用いられる。
本実施の形態の繊維処理剤には、メラミン樹脂と、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と、ゴムラテックスと、ウレタン樹脂とが含まれている。
メラミン樹脂は、水分散性を有するものが好ましい。例えば、低分子化されたメラミン樹脂や、エマルジョン化されたメラミン樹脂が好適に用いられる。
レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂には、例えば、アルキル修飾のレゾルシンまたはレゾルシンとホルムアルデヒドとをアルカリ金属水酸化物やアミンなどのアルカリ性触媒の存在下で反応させて得られるレゾール型で水溶性の付加縮合物、または酸性触媒の存在下で反応させて得られるノボラック型で水溶性の付加縮合物が、好適に使用できる。特に、レゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)との反応モル比をR/F=1/3〜2とし、酸触媒存在下で反応させて得たノボラック型のレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂を用いることが好ましい。
本実施の形態の繊維処理剤は、メラミン樹脂とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂(以下、両樹脂という場合がある。)との両方を含むことにより、繊維材料に良好な接着性を与えることができる。両樹脂の混合比率は、ゴム製品に用いられるゴム組成物や処理対象の繊維に応じて適宜決定すればよい。接着対象のゴム組成物が一般的なEPDMゴムの場合、固形分質量比で、[メラミン樹脂]/[レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂]=1/3〜3を満たす比率で両樹脂を混合することが好ましい。このような比率で混合すれば、繊維とEPDMゴムとの良好な接着性が得られる。なお、EPDMゴムはその使用環境が多様であるため、その重合度や組成が多数存在し、中には特殊なものも存在する。従って、両樹脂の混合比率は、接着対象のゴム組成物やゴム製品の使用環境等を考慮して必要な接着強度が得られる最適な比率を決定するとよい。
繊維処理剤に含まれるメラミン樹脂およびレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の割合は特には限定されないが、メラミン樹脂およびレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の合計の含有率が、固形分質量比で10〜30質量%であることが好ましい。両樹脂の合計の含有率を10質量%以上とすることにより、繊維とゴム組成物との高い接着力が実現できる。また、両樹脂の合計の含有率を30質量%以下とすることにより、例えばガラス繊維に塗布した場合であっても、高い接着力と良好な耐屈曲疲労性とを共に実現できる。なお、上述したように、EPDMゴムには組成等が異なるものが多数存在する。そのため、接着対象のゴム組成物やゴム製品の使用環境等に応じて、繊維処理剤に含まれる両樹脂の最適な含有率を決定するとよい。
ゴムラテックスは、ハロゲン系材料を含有しないものが好ましい。例えば、ブタジエンラテックス、ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレンターポリマーラテックス、イソプレンラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスまたはポリオレフィンエマルジョン、並びにこれらの混合物の使用が可能である。ポリオレフィンエマルジョンとしては、例えば、三井化学株式会社製の「ケミパール」が挙げられる。
本実施の形態におけるウレタン樹脂としては、低分子ウレタン樹脂の水分散体が使用できる。このウレタン樹脂は、エーテル骨格、エステル骨格、アクリル骨格およびポリカーボネート骨格から選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。繊維とゴム組成物とのより良好な接着性を得るために、特に、ブロックイソシアネートで修飾されたウレタン樹脂が含まれることが好ましく、ブロックイソシアネートで修飾されたウレタン樹脂の水分散体が好適に用いられる。ブロックイソシアネートで修飾されたウレタン樹脂としては、例えば、第一工業株式会社製の「エラストロン」等がある。このように、本実施の形態の繊維処理剤はウレタン樹脂を含むので、その極性や、樹脂中に含まれるアミン基およびカルボニル基等により、繊維とゴム組成物との高い接着力を実現できる。
繊維処理剤におけるウレタン樹脂の含有率は、固形分質量比で10〜30質量%である。ウレタン樹脂の含有率が30質量%を越える繊維処理剤を用いて補強用コードを作製した場合、耐屈曲疲労性が低下してしまう。また、含有量が10質量%未満だと、処理剤塗布時に均一に塗布することが困難となる。その結果、補強用コードのカット性、耐屈曲疲労性に悪影響を及ぼす。
なお、繊維処理剤は、pHを調整するためのアンモニア等の塩基を含んでいてもよいし、さらに、安定剤、増粘剤、老化防止剤等を含んでいてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明のゴム補強用コードについて説明する。
本実施の形態のゴム補強用コードは、繊維と、その繊維の表面に設けられた被膜とを含む。この被膜は、実施の形態1で説明した繊維処理剤を用いて形成される。
用いられる繊維の材質や直径等は特に限定されないが、補強用コードに要求される特性に応じて選択することが好ましい。例えば、ゴムベルトを補強するためのゴム補強用コードを作製する場合は、繊維の表面に被膜が形成された際に、ベルトの抗張体として使用可能な強度を有する繊維を選択すればよい。例えば、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維またはこれらの混合繊維は、十分な強度を有するので、あらゆる用途のゴム補強用コードに使用できる。
繊維に形成される被膜の厚みや、ゴム補強用コードに占める被膜の割合は、特に限定されないが、ゴム補強用コード全体に占める被膜の割合が5〜30質量%であることが好ましい。
次に、本実施の形態のゴム補強用コードの製造方法の一例について説明する。
まず、繊維を繊維処理剤の中に浸漬した後、過剰分の繊維処理剤を除去して、必要により熱乾燥させる。これにより、繊維の表面に繊維処理剤の被膜が形成される。なお、処理される繊維には、前処理剤や、紡糸時に添加された収束剤等が含まれていてもよい。なお、ここでいう前処理剤とは、繊維処理剤が繊維に馴染みやすいように、または繊維とゴム製品との接着性を向上させる目的で塗布される処理剤のことである。
次に、被膜が形成された繊維を所定の本数集めて撚りを施し、ゴム補強用コードを形成する。本実施の形態では、撚りを施す前の繊維に繊維処理剤を塗布する。この方法により、繊維に対する繊維処理剤の含浸性がよくなり、カットのしやすいゴム補強用コードが作製できる。この効果は、特に径の大きいゴム補強用コードを作製する場合に顕著に表れる。また、アラミド繊維や炭素繊維を用いる場合も、その効果が顕著に表れる。なお、繊維の合糸および撚糸装置は特に限定されるものではなく、リング撚糸機、フライヤ撚糸機または撚り線機等が使用できる。撚り数は、使用する繊維に応じて適切な撚り数を設定すればよい。例えば、ガラス繊維の場合、撚り数を0.25〜10.0回/25mm程度とすることが好ましい。また、必要なゴム補強用コードの太さや仕様に合わせて、複数回に分けて撚りを施してもよく、その撚り方向も限定されない。ガラス繊維に対し2段階に分けて撚りを施す場合は、ガラス繊維を数本束ねて下撚りした子縄を作り、さらにその子縄を数本束ねて上撚りしてコードを形成することが好ましい。
以上の方法により、本実施の形態のゴム補強用コードを作製できる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、本発明のゴム製品について説明する。
本実施の形態のゴム製品は、実施の形態2で説明したゴム補強用コードを含むものであり、このゴム補強用コードがゴム組成物に埋め込まれて形成されている。ゴム製品の一例としては、伝動ベルト等のゴムベルトが挙げられる。
ここで用いるゴム組成物は、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体を主成分として含むゴム組成物であることが好ましい。なお、ここでいう主成分とは、50質量%以上含まれる成分のことである。例えば、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体からなるEPDMゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性および耐オゾン性に優れており、さらに、ハロゲンを含まないので環境負荷の観点からも好ましい。
[実施例]
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
平均直径9μmの無アルカリガラス(Eガラス組成)のフィラメントを紡糸し、これを集束剤により集束して、33.7g/1000m(33.7テックス)のガラス繊維を得た。このガラス繊維を3本引き揃えて、以下の表1に示す組成のサンプル1〜16の繊維処理剤(固形分含有率:30質量%)に含浸し、その後熱処理(200℃で2分間)することにより乾燥させた。これにより、ガラス繊維の表面に、繊維処理剤の固形分にて被膜が形成された。この被膜付きガラス繊維を2.0回/25mmの割合で下撚りし、この下撚した繊維を11本引き揃えて2.0回/25mmで上撚りして、サンプル1〜16の繊維処理剤を用いてゴム補強用コードを作製した。このようにして得たゴム補強用コード全体に対する被膜の割合は20質量%であった。
Figure 2007186818
以上のように作製されたゴム補強用コードの各サンプルについて、ゴム組成物との接着性と耐屈曲疲労性とをそれぞれ評価した。接着性は、補強用コードとゴム組成物との接着強度を測定することにより評価した。耐屈曲疲労性は、屈曲試験前の引張強度に対する屈曲試験後の引張強度の割合(強度保持率)を算出することにより評価した。具体的な評価方法は以下のとおりである。
<接着性評価>
以下の表2に示す組成のマトリックスゴムシート(幅25mm、長さ50mm、厚み5mm)を2枚用意した。ゴム補強用コードがゴムシートの長手方向と平行になるように、2枚のゴムシートの間に長さ50mmのゴム補強用コードを20本配置し、160℃で30分間プレス加硫して、ゴム補強用コードとゴムシートとを互いに接着して試験片とした。この試験片に対し、長手方向に引張試験機で引張力を加えて、マトリックスゴムとゴム補強用コードとが互いに剥離する強度を測定し、その測定値を接着強度とした。この接着強度が高いほど良好な接着性を有しているといえ、本実施例では接着強度が75N/25mm以上で良好な接着性を有すると判断した。なお、接着強度の測定は、試験片の破壊面を目視で観察して、繊維とマトリックスゴムとが接着した状態での「ゴム破壊」であるのか、あるいは繊維とマトリックスゴムとの界面で両者が互いに分離した「界面剥離」であるのかを確認し、「界面破壊」の場合のみの測定値を採用することで行った。
<耐屈曲疲労性>
以下の表2に示す組成のマトリックスゴムシート(幅10mm、長さ300mm、厚み1mm)を2枚用意した。ゴム補強用コードがゴムシートの長手方向と平行になるように、2枚のゴムシートの間に長さ300mmのゴム補強用コードを1本配置し、160℃で30分プレス加硫して、ゴム補強用コードとゴムシートとを互いに接着して試験片とした。各試験片に対し、長手方向に引張試験機で引張力を加えて、屈曲試験前の引張強度(試験片が破壊された時の引張強度)を測定した。次に、屈曲試験機を用いて室温中でこの試験片を100000回往復運動させて屈曲した後、再度試験片の引張強度を測定した。これらの測定値から、屈曲試験前の引張強度に対する屈曲試験後の引張強度の割合を算出し、ゴム補強用コード1本当たりの強度保持率とした。この強度保持率が高いほど耐屈曲疲労性が優れていると判断でき、本実施例では強度保持率30%以上で良好な耐屈曲疲労性を有すると判断した。
Figure 2007186818
表3に、各サンプルについての接着強度および強度保持率の結果を示す。
Figure 2007186818
以上の結果から、メラミン樹脂と、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と、ゴムラテックスと、ウレタン樹脂との4つの成分を含み、かつ、ウレタン樹脂の含有率が固形分質量比で10〜30質量%の範囲内にある繊維処理剤を用いたサンプル1〜11については、良好な接着性と耐屈曲疲労性との両方を実現できることが確認された。これに対し、メラミン樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂またはウレタン樹脂の何れかが含まれていないサンプル14〜16は、共に接着強度が不十分であった。さらに、ウレタン樹脂が固形分質量比で5質量%しか含まれていないサンプル12についても、接着性が不十分であった。一方、ウレタン樹脂が固形分質量比で40質量%含まれたサンプル13は、強度保持率が25%と低く、耐屈曲疲労性が不十分であった。
また、より好ましいゴム補強用コードは、ゴム組成物との接着強度が100N/25mm以上、強度保持率が60%以上を満たすものである。従って、サンプル1〜7の繊維処理剤のように、固形分質量比で、メラミン樹脂およびレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の合計の含有率が10〜30質量%、ゴムラテックスの含有率が40〜80質量%であり、さらに、メラミン樹脂とレゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂との比率が、固形分質量比で、[メラミン樹脂]/[レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂]=1/3〜3の範囲内である繊維処理剤を用いると、EPDMゴムに対するより良好な接着性が得られ、かつ、より良好な耐屈曲疲労性が得られることも確認できた。
本発明の繊維処理剤は、繊維とゴム組成物との良好な接着性を実現できるので、例えばEPDMゴム等の繊維との接着性が低いゴム組成物を接着対象とする場合に好適に適用できる。本発明のゴム補強用コードは、繊維とゴム組成物との良好な接着性と十分な耐屈曲疲労性を有するので、様々なゴム製品の補強に適用可能である。本発明のゴム製品は、高負荷に耐え得ることができるので、様々な用途に適用可能である。

Claims (10)

  1. ゴム製品を補強する繊維を処理するための繊維処理剤であって、
    メラミン樹脂と、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂と、ゴムラテックスと、ウレタン樹脂とを含み、
    前記ウレタン樹脂の含有率が、固形分質量比で10〜30質量%である繊維処理剤。
  2. 前記ウレタン樹脂は、ブロックイソシアネートで修飾されたウレタン樹脂を含む請求項1に記載の繊維処理剤。
  3. 前記メラミン樹脂および前記レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂の合計の含有率が、固形分質量比で10〜30質量%であり、前記ゴムラテックスの含有率が、固形分質量比で40〜80質量%であり、かつ、
    前記メラミン樹脂と前記レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂との比率が、固形分質量比で、[メラミン樹脂]/[レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂]=1/3〜3である請求項1に記載の繊維処理剤。
  4. 前記レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂は、ノボラック型である請求項1に記載の繊維処理剤。
  5. 前記ゴムラテックスは、ブタジエンラテックス、ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン・スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレンターポリマーラテックス、イソプレンラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックスおよびポリオレフィンエマルジョンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の繊維処理剤。
  6. 繊維と、前記繊維の表面に設けられた被膜とを含み、
    前記被膜は、請求項1〜5の何れか1項に記載の繊維処理剤を用いて形成されているゴム補強用コード。
  7. 前記繊維は、アラミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維およびポリエステル繊維から選ばれる少なくとも1つの繊維である請求項6に記載のゴム補強用コード。
  8. 前記被膜が5〜30質量%含まれる請求項6に記載のゴム補強用コード。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載のゴム補強用コードを含むゴム製品であって、
    前記ゴム補強用コードがゴム組成物に埋め込まれているゴム製品。
  10. 前記ゴム組成物が、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体ゴムを主成分とするゴム組成物である請求項9に記載のゴム製品。
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