JP2020083918A - 接着剤、接着剤の製造方法、及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを含み、保存安定性に優れた接着剤を提供する。【解決手段】フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む、接着剤。【選択図】なし
Description
本発明は、接着剤、接着剤の製造方法、及び成形品に関する。
従来、様々な技術分野において、ゴム製品が使用されている。ゴム製品の強度や耐久性を向上させる方法としては、例えば、ガラス繊維、化学繊維などの補強用繊維を含む補強用コードをマトリックスゴム内に埋設する方法が知られている。
例えば、歯付きゴムベルトなど工業分野で使用されるゴム製品は、過酷な環境で使用される場合がある。このため、マトリックスゴムと補強用繊維との密着性を高めて、ゴム製品の耐久性を向上させることが求められる。マトリックスゴムと補強用繊維との密着性を高める方法としては、補強用繊維の表面に被膜を設ける手法が知られている。
補強用繊維の表面の被膜としては、例えば、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムが知られている(特許文献1)。クロロスルフォン化ポリエチレンゴムの被膜は、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスを含む処理剤を接着剤として用い、これを補強用繊維の表面に塗布したのち乾燥させることによって形成される。
特許文献1には、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.0以上2.5未満であるクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを混合して、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂とクロロスルフォン化ポリエチレンゴムラテックスとを含有する処理剤を調製し、当該処理剤をゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に塗布して乾燥させて、ゴム補強用繊維の少なくとも表面の一部に被膜が形成されたゴム補強用コードを得る方法が開示されている。
しかしながら、本発明者が検討したところ、特許文献1に開示された処理剤は、保存安定性に改善の余地があり、当該処理剤を接着剤として成形品を製造する場合、生産性が低下させる場合があることを見出した。
このような状況下、本発明は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを含み、保存安定性に優れた接着剤を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該接着剤の製造方法、及び当該接着剤を利用した成形品を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む接着剤は、保存安定性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の構成を備える発明を提供する。
項1. フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む、接着剤。
項2. フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を超え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で混合する工程を備える、接着剤の製造方法。
項3. 項1に記載の接着剤が使用された成形品。
項1. フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む、接着剤。
項2. フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を超え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で混合する工程を備える、接着剤の製造方法。
項3. 項1に記載の接着剤が使用された成形品。
本発明によれば、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを含み、保存安定性に優れた接着剤を提供することができる。また、本発明によれば、当該接着剤の製造方法、及び当該接着剤を利用した成形品を提供することができる。
以下、本発明の接着剤、接着剤の製造方法、及び成形品について、詳述する。なお、本明細書において、「〜」で結ばれた数値は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「〜」で結ぶことができるものとする。
本発明の接着剤は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含むことを特徴とする。本発明の接着剤は、このような構成を備えていることにより、保存安定性に優れている。以下、本発明の接着剤について、詳述する。
本発明の接着剤は、接着対象物の表面の少なくとも一部に塗布し、乾燥させることにより被膜を形成することができる。当該被膜は、例えばマトリックスゴムとの親和性、及びガラス繊維化学繊維などの補強用繊維との親和性に優れており、ゴム製品におけるマトリックスゴムと補強用繊維との接着に好適に使用することができる。従って、本発明の接着剤による被膜を形成する対象物(接着対象物)としては、ゴム製品の補強用繊維が好適である。以下の説明では、主として、補強用繊維とマトリックスゴムとの接着を想定して説明を行うが、本発明の接着剤の接着対象物は、これらに限定されない。
フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂としては、特に制限されず、例えばゴム製品の補強用繊維の被膜に使用されている、公知のものを使用することができる。フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂におけるフェノール由来芳香族化合物としては、例えば、モノ又は多価ヒドロキシフェノール、モノ又は多価クロロフェノールなどが挙げられる。フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の一例として、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。
本発明の接着剤に含まれるフェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂の固形分含有量としては、好ましくは11〜15質量%程度、より好ましくは12〜14質量%程度が挙げられる。
また、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとしても、pH値が2.5を越え4.0未満の範囲に設定されていれば、特に制限されず、例えばゴム製品の補強用繊維の被膜に使用されている、公知のものを使用することができる。クロロスルホン化ポリエチレンラテックスのpHを上記範囲内に設定するためには、アンモニアや水酸化ナトリウムなどの塩基をpH調整剤として添加してもよい。当該pHとしては、好ましくは2.8〜3.8程度、より好ましくは3.0〜3.7程度が挙げられる。
本発明の接着剤においては、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満の範囲のクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを1:5〜1:9の質量比(フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂:クロロスルホン化ポリエチレンラテックス)で含む。当該質量比としては、好ましくは1:5.5〜1:8程度、より好ましくは1:6〜1:7程度が挙げられる。
本発明の接着剤に含まれるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスの固形分含有量としては、好ましくは85〜89質量%程度、より好ましくは86〜88質量%程度が挙げられる。
本発明の接着剤には、クロロスルホン化ポリエチレンラテックスとは異なるラッテクスが含まれていてよい。このようなラテックスとしては、ブタジエンラテックス、ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ジカルボキシル化ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス、ビニルピリジン・ブタジエン・スチレン・ターポリマーラテックス、イソプレンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリオレフィンエマルジョンなどが挙げられる。ラテックスは、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の接着剤における塩素含有量としては、特に制限されないが、接着剤によって形成させる被膜の耐酸性及び耐アルカリ性を向上させる観点から、被膜中の塩素含有量が1〜30質量%となるように調整されていることが好ましい。被膜中の塩素含有量は、接着剤に含まれるクロロスルホン化ポリエチレンラテックス中の塩素含有量などによって調整することができる。
本発明の接着剤は、被膜の接着力を高めたり安定性を改善したりするために、充填材、可塑剤、老化防止剤、金属酸化物、架橋助剤などの添加剤を含んでいてもよい。また、本発明の接着剤は、イソシアネート及び熱硬化系樹脂などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明の接着剤の溶媒としては、通常、水が使用される。前記の通り、本発明の接着剤は、接着対象物の表面に塗布し、水などの溶媒を乾燥させることにより被膜を形成することができる。
本発明の接着剤は、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を超え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で混合する工程を備える方法によって好適に製造される。フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂及びクロロスルホン化ポリエチレンラテックスの種類、含有量、pH、添加剤、溶媒等については前述の通りである。
本発明の接着剤の処理対象としては、前述の通り、ゴム製品の補強用繊維が挙げられる。補強用繊維は、ゴム製品の形状安定性や強度を高めることができる繊維であればよく、その材質や形状は特に限定されない。
補強用繊維としては、例えば、ガラス繊維、ビニロン繊維に代表されるポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、アラミド(芳香族ポリアミド)などのポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリケトン繊維、炭素繊維又はポリパラフェニレンベンゾオキサゾール(PBO)繊維などが挙げられる。これらのなかでも、寸法安定性、耐熱性及び引張り強度などに優れる炭素繊維及びガラス繊維が好適である。例えば、高い耐久性が要求されるゴム製品を補強するためのゴム補強用コードを作製する場合には、十分な強度を有するガラス繊維(例えば高強度ガラス繊維)を用いることが好ましい。
ガラス繊維を構成するガラスの種類は、特に限定されないが、一般的な無アルカリガラスよりも、引張り強度に優れる高強度ガラスが好ましい。
なお、繊維の構成は特に限定されないが、例えばガラス繊維の場合は、繊維の最小構成単位であるフィラメントの平均径が5〜13μmであることが好ましい。例えば、このフィラメント50〜2000本を集束剤によって集束して、補強用繊維を作製する。複数本の補強用繊維を集束して繊維ストランドとしてもよい。
また、マトリックスゴムと補強用繊維との接着性、補強用繊維の耐ほつれ性を向上させるために、補強用繊維(又は繊維ストランド)に撚りが施されてもよい。撚り数は、使用する繊維に応じて適切な撚り数を設定すればよい。例えば、補強用繊維としてガラス繊維を用いる場合には、撚り数は0〜4.0回/25mmの範囲であることが好ましい。また、必要なゴム補強用コードの太さや仕様に合わせて、複数回に分けて撚りを施してもよく、その撚り方向も限定されない。2段階に分けて撚りを施す場合には、例えば補強用繊維を数本束ねた繊維ストランドを下撚りして子縄を作り、さらにその子縄を数本束ねて上撚りしてコードを形成するとよい。このような繊維ストランド及びコードの作製に用いられる装置は、特に限定されないが、例えば、リング撚糸機、フライヤー撚糸機、撚り線機などを用いることができる。
上述したように、繊維ストランドは複数の補強用繊維を集束させて形成されるが、表面に被膜が形成されている補強用繊維を用いて繊維ストランドが形成されてもよいし、表面に被膜が設けられる前の補強用繊維を用いて繊維ストランドが形成されて、その後に被膜が形成されてもよい。
本発明の接着剤によって形成される被膜の厚さや、例えばゴム補強用コード全体に占める被膜の割合には特に限定はなく、ゴム補強用コードに要求される特性やゴム補強用繊維の種類などに応じて適宜決定することが可能である。例えば、ゴム補強用繊維とゴム製品のマトリックスゴムとの接着性及びゴム補強用繊維の耐ほつれ性をさらに向上させるためには、ゴム補強用コード全体に占める被膜の割合を5〜30質量%とすることが好ましく、7〜27質量%とすることがより好ましく、10〜25質量%とすることがさらに好ましい。
被膜は、補強用繊維などの接着対象物の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、例えば補強用繊維とマトリックスゴムとの接着性及びゴム補強用繊維の耐ほつれ性をさらに向上させるためには、補強用繊維の全体を覆うように設けられていることが好ましい。
また、本発明の接着剤によって形成される被膜の上に、さらに別の被膜が設けられていてもよい。別の被膜は、接着対象物の種類に応じて公知の被膜から適宜選択すればよいため、特には限定されない。
本発明の接着剤の塗布方法及び乾燥方法については特に限定はない。通常は、接着剤の入った浴槽中に接着対象物(例えば補強用繊維や、ゴム補強用繊維を集束した繊維ストランドなど)を浸漬した後、乾燥炉内で乾燥して溶媒を除去して被膜を形成する。なお、被膜が形成された補強用繊維又は繊維ストランドを複数作製して、それらを撚り合わせてもよい。これにより、被膜を介して複数の補強用繊維を互いに密着させることができる。
上記被膜の上にさらに別の被膜を設ける場合は、次に、その被膜を形成するための工程を実施するとよい。
本発明の成形品は、本発明の接着剤が使用されて接着対象物が接着されることで得られるものである。すなわち、本発明の成形品は、本発明の接着剤によって形成された被膜を含んでいる。本発明の成形品の具体例としては、マトリックスゴムと、マトリックスゴムに埋め込まれたゴム補強用コードとを含むゴム製品が挙げられる。ゴム補強用コードには、本発明の接着剤によって補強用繊維に被膜が形成されたゴム補強用コードが用いられる。ゴム製品のマトリックスゴムにゴム補強用コードを埋設する手段は、特に限定されず、公知の方法を適用できる。ゴム製品は、マトリックスゴムの特性に由来する高い耐熱性と、ゴム補強用コードを埋設することによる高い強度及び高い耐屈曲疲労性とを併せ備える。したがって、このゴム製品は、様々な用途に適用でき、車輌用エンジンのタイミングベルトなどの用途に特に適している。
ゴム製品は、例えば、ゴム補強用コードを準備し、次にこのゴム補強用コードをゴムと架橋剤とを含むマトリックスゴムに埋め込み、そして、架橋剤の反応が充分に進行する条件で熱処理を行い、ゴム補強用コードの被膜のゴムとゴム製品のマトリックスゴムとを同時に架橋することで製造される。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
水401.74gにレゾルシン18.00gを溶解した水溶液を調製し、これに37%ホルマリン26.54gと水酸化ナトリウム1.18gとを混合して溶解した。この溶液を30℃で5時間保持し、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂水溶液を得た。得られたレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂水溶液35.61g、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)36.00gおよび水29.04gを混合し、30℃で2時間保持してRFL接着剤(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス接着剤)を得た。
水401.74gにレゾルシン18.00gを溶解した水溶液を調製し、これに37%ホルマリン26.54gと水酸化ナトリウム1.18gとを混合して溶解した。この溶液を30℃で5時間保持し、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂水溶液を得た。得られたレゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂水溶液35.61g、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)36.00gおよび水29.04gを混合し、30℃で2時間保持してRFL接着剤(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス接着剤)を得た。
[実施例2]
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.1)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.1)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
[実施例3]
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.0)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.0)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
[比較例1]
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値2.5)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値3.7)に代えて、40%クロロスルホン化ポリエチレンラテックス(pH値2.5)を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、RFL接着剤を得た。
[保存安定性評価]
25℃の恒温器で静置保管したポリ瓶を、定期的に軽く揺らして、RFL接着剤の流動性を目視確認した。短い保管期間(例えば1日)で流動性が低下し、RFL接着剤がゲル化した場合は、保存安定性が悪いと判断することができる。
25℃の恒温器で静置保管したポリ瓶を、定期的に軽く揺らして、RFL接着剤の流動性を目視確認した。短い保管期間(例えば1日)で流動性が低下し、RFL接着剤がゲル化した場合は、保存安定性が悪いと判断することができる。
表1に示されるように、フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む実施例1〜3の接着剤は、保存安定性に優れていた。
[実施例4]
(RFL接着剤の接着力の評価試験1)
実施例1と同様の操作を行なって、RFL接着剤を製造した。得られたRFL接着剤にナイロン66の織布(10cm×10cm×0.2mm)を浸漬した後に150℃で3分間熱処理して定着させ、ゴム補強用繊維布帛を得た。得られたゴム補強用繊維布帛と表2に示す配合により調製したEPDMゴムシート(エチレン・プロピレン・ジエンゴムシート、10cm×10cm×2mm)とを両表面にEPDMゴムシートが配置されるよう5層に交互に積層し、これを160℃で20分間プレスして加硫接着することで、ゴム補強用繊維布帛で補強されたEPDMゴム複合体を得た。得られたEPDMゴム複合体を25mm幅に裁断し、試験機(株式会社島津製作所の商品名「AGS−J」)を用いて引張スピード50mm/分および角度180度の条件で剥離強度を測定した。評価の結果、剥離強度は23kgf/25mmであり、優れた接着力を示した。
(RFL接着剤の接着力の評価試験1)
実施例1と同様の操作を行なって、RFL接着剤を製造した。得られたRFL接着剤にナイロン66の織布(10cm×10cm×0.2mm)を浸漬した後に150℃で3分間熱処理して定着させ、ゴム補強用繊維布帛を得た。得られたゴム補強用繊維布帛と表2に示す配合により調製したEPDMゴムシート(エチレン・プロピレン・ジエンゴムシート、10cm×10cm×2mm)とを両表面にEPDMゴムシートが配置されるよう5層に交互に積層し、これを160℃で20分間プレスして加硫接着することで、ゴム補強用繊維布帛で補強されたEPDMゴム複合体を得た。得られたEPDMゴム複合体を25mm幅に裁断し、試験機(株式会社島津製作所の商品名「AGS−J」)を用いて引張スピード50mm/分および角度180度の条件で剥離強度を測定した。評価の結果、剥離強度は23kgf/25mmであり、優れた接着力を示した。
(RFL接着剤の接着力の評価試験2)
評価試験1で剥離強度を測定した後のゴム補強用繊維布帛の表面に付着しているゴムの面積を目視で測定し、布帛の面積に対する付着ゴムの面積の割合(%)をゴム付着量として評価した。ゴム付着量は、大きいほどEPDMゴムシートの破壊の程度が大きく、ゴム補強用繊維布帛とEPDMゴムシートとの接着力が大きいことを示している。評価の結果、ゴム付着量は95%であり、優れた接着力を示した。
評価試験1で剥離強度を測定した後のゴム補強用繊維布帛の表面に付着しているゴムの面積を目視で測定し、布帛の面積に対する付着ゴムの面積の割合(%)をゴム付着量として評価した。ゴム付着量は、大きいほどEPDMゴムシートの破壊の程度が大きく、ゴム補強用繊維布帛とEPDMゴムシートとの接着力が大きいことを示している。評価の結果、ゴム付着量は95%であり、優れた接着力を示した。
*1:住友化学工業株式会社の商品名「エスプレンE501A」
*2:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーBZ−P」)
*3:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーTT−P」)
*4:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興工業株式会社の商品名「ノクセラーM−P」)
*2:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーBZ−P」)
*3:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新興化学工業株式会社の商品名「ノクセラーTT−P」)
*4:2−メルカプトベンゾチアゾール(大内新興工業株式会社の商品名「ノクセラーM−P」)
Claims (3)
- フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を越え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で含む、接着剤。
- フェノール由来芳香族化合物−ホルムアルデヒド樹脂と、pH値が2.5を超え4.0未満であるクロロスルホン化ポリエチレンラテックスとを、1:5〜1:9の質量比で混合する工程を備える、接着剤の製造方法。
- 請求項1に記載の接着剤が使用された成形品。
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