以下、本発明の実施の形態による建設機械としてハイブリッド油圧ショベルを例に挙げて、添付図面に従って説明する。
図1ないし図5は本発明の実施の形態を示している。図1において、ハイブリッド式油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に設けられた旋回軸受装置3と、旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載され下部走行体2と共に車体(基体)を構成する上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置5とを含んで構成されている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ2Eによって回転駆動される。一方、トラックフレーム2Aの中央部の上側には、旋回軸受装置3が取付けられている。
作業装置5は、旋回フレーム6の前側に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧シリンダ(アクチュエータ)からなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
上部旋回体4は、支持構造体をなす旋回フレーム6を含んで構成されている。旋回フレーム6は、旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。旋回フレーム6の下面側には、旋回軸受装置3が取付けられている。一方、旋回フレーム6上には、後述のキャブ7、カウンタウエイト8、エンジン9、アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11、蓄電装置19、旋回装置20、電力制御装置23等が設けられている。
キャブ7は、旋回フレーム6の左前側に設けられ、キャブ7内にはオペレータが着座する運転席(図示せず)が設けられている。運転席の周囲には、後述の操作装置14、キースイッチ29、再始動スイッチ30、ゲートロックレバー17等が配置されている。カウンタウエイト8は、旋回フレーム6の後端側に取付けられ、作業装置5との重量バランスをとるものである。
エンジン9は、キャブ7とカウンタウエイト8との間に位置して旋回フレーム6に設けられている。このエンジン9は、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関を用いて構成されている。エンジン9の出力側には、後述するアシスト発電モータ10と油圧ポンプ11が機械的に接続されている。これにより、エンジン9は、油圧ポンプ11の動力源となっている。
ここで、エンジン9の作動はエンジンコントロールユニット9A(以下、ECU9Aという)によって制御され、例えば、燃料の供給量が燃料噴射装置(図示せず)により可変に制御される。即ち、ECU9Aは、後述のメインコントローラ32から出力される指令に基づいてエンジン9のシリンダ(図示せず)内に噴射される燃料の噴射量(燃料噴射量)を可変に制御する。また、ECU9Aは、後述するキースイッチ29を停止操作したとき、または、メインコントローラ32のアイドリングストップ機能が動作したときには、メインコントローラ32の指令により燃料噴射装置の燃料噴射を停止し、エンジン9を停止させる。
さらに、エンジン9には、動力源駆動状態検出手段としての回転センサ9Bが設けられている。回転センサ9Bは、エンジン9の駆動状態としてエンジン回転数を検出し、その検出結果をメインコントローラ32に出力している。
アシスト発電モータ10は、エンジン9と油圧ポンプ11とに機械的に接続された電動機である。このアシスト発電モータ10は、例えば永久磁石式の同期電動機によって構成され、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行い、または電力が供給されることによりエンジン9の駆動を補助(アシスト)する。即ち、アシスト発電モータ10は、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行う作用(発電機作用)と、後述の電力制御装置23を介して電力供給されることにより電動機としてエンジン9および油圧ポンプ11を駆動する作用(電動機作用)とを有する。
アシスト発電モータ10の発電電力は、後述する第1のインバータ24を介して、第2のインバータ25およびチョッパ27に供給され、旋回電動モータ22の駆動、蓄電装置19の充電(蓄電)が行われる。一方、エンジン9の駆動を補助するときは、アシスト発電モータ10は、蓄電装置19に充電された電力、または旋回電動モータ22の回生電力により駆動される。
また、アシスト発電モータ10は、エンジン9の始動時にはスタータとして機能する。このため、エンジン9を始動するときには、アシスト発電モータ10は、蓄電装置19からの電力によって回転駆動し、エンジン9および油圧ポンプ11を始動させる。
油圧ポンプ11は、エンジン9、アシスト発電モータ10およびパイロットポンプ12に機械的に接続されている。この油圧ポンプ11は、パイロットポンプ12、作動油タンク13と共に油圧源を構成している。油圧ポンプ11は、例えば斜板式、斜軸式、ラジアルピストン式等のような各種の油圧ポンプによって構成され、エンジン9およびアシスト発電モータ10によって駆動される。図2に示すように、油圧ポンプ11は、走行油圧モータ2E、シリンダ5D〜5F、後述の旋回油圧モータ21等を駆動するために、作動油タンク13内の作動油を昇圧して後述のコントロールバルブ16に向けて供給する。
パイロットポンプ12は、油圧ポンプ11に連なって設けられている。このパイロットポンプ12は、後述する操作装置14を操作したときに、パイロット用の圧油(パイロット圧)をコントロールバルブ16に供給する。
操作装置14は、キャブ7内に位置して、流量制御弁15に接続されている。操作装置14は、走行用の操作レバー・ペダルや作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)により構成されている。この操作装置14を用いて流量制御弁15を操作することにより、パイロットポンプ12から吐出する圧油の流量と方向を制御し、パイロット圧をコントロールバルブ16に供給する。これにより、コントロールバルブ16は、油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fに対する圧油の方向が切り換え制御される。即ち、操作装置14は、油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令として、コントロールバルブ16に対するパイロット圧を出力する。
コントロールバルブ16は、旋回フレーム6に設けられ、油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fを制御する複数個の方向制御弁を含んで構成されている。コントロールバルブ16は、油圧ポンプ11から供給される圧油の供給と排出を、操作装置14の操作に基づく駆動指令(パイロット圧)に応じて切り換える(圧油の吐出量および吐出方向を制御する)。これにより、油圧ポンプ11からコントロールバルブ16に供給された圧油は、油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5F等のアクチュエータに適宜分配され、これらを駆動(回転、伸長、縮小)する。
ゲートロックレバー17は、ロック装置を構成し、アクチュエータ(油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5F)の駆動を許可するロック解除状態と、アクチュエータの駆動を禁止するロック状態とを切り換える。ゲートロックレバー17は、キャブ7内に位置して、パイロットカット弁18に接続されている。このゲートロックレバー17は、流量制御弁15に付加されるパイロット圧を遮断することで、操作装置14による油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令の有効と無効とを切り換える。
ゲートロックレバー17がロック位置(上げ位置)に操作されると、パイロットカット弁18がパイロットポンプ12から流量制御弁15への圧油を遮断し、操作装置14による油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fの操作が不能となる。一方、ゲートロックレバー17がロック解除位置(下げ位置)に操作されると、パイロットカット弁18がパイロットポンプ12からの圧油を連通し、操作装置14による油圧モータ2E,21、シリンダ5D〜5Fの操作が可能になる。
また、ゲートロックレバー17がロック状態のときには、スタータとして機能するアシスト発電モータ10への電力供給が許可される。一方、ゲートロックレバー17がロック解除状態のときは、スタータカットリレー(図示せず)が作動し、スタータとして機能するアシスト発電モータ10への電力供給が遮断される。従って、ゲートロックレバー17がロック解除状態のときには、アシスト発電モータ10は駆動せず、エンジン9は始動されない。
さらに、ゲートロックレバー17は、2つのスイッチ(図示せず)を備え、それぞれのスイッチから「ロック状態」や「ロック解除状態」に応じた第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbを出力する。これらのゲートロック信号Sga,Sgbは、メインコントローラ32のエンジン始動制御部33とモータ駆動遮断部34とにそれぞれ入力される。
なお、ゲートロックレバー17は、2つのスイッチを備えるものとしたが、単一のスイッチによってゲートロック信号Sga,Sgbを出力してもよい。また、ロック装置は、上,下方向に回動するレバー式のゲートロックレバー17に限らず、例えば各種のスイッチ、ペダル等によって構成してもよい。
蓄電装置19は、上部旋回体4に設けられ、後述するチョッパ27、第1のインバータ24、第2のインバータ25を介して、アシスト発電モータ10、旋回電動モータ22に電気的に接続されている。蓄電装置19は、電力を蓄えるものであり、例えば、リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリ等の二次電池、または、電気二重層のキャパシタを用いて構成されている。即ち、蓄電装置19は、アシスト発電モータ10による発電電力、旋回電動モータ22による旋回減速時の発電電力(回生電力)によって充電(蓄電)され、または、充電された電力をアシスト発電モータ10、旋回電動モータ22に向けて放電(給電)する。蓄電装置19には、バッテリコントロールユニット19A(以下、BCU19Aという)が設けられ、BCU19Aにより充電動作や放電動作が制御される。
旋回装置20は、上部旋回体4(旋回フレーム6)に設けられ、減速機(図示せず)、旋回油圧モータ21、旋回電動モータ22等によって構成されている。旋回装置20は、旋回軸受装置3に回転力を伝達することにより、上部旋回体4を下部走行体2に対して旋回動作させる。ここで、旋回装置20は、旋回油圧モータ21と旋回電動モータ22とが協働して上部旋回体4を旋回駆動する、いわゆるハイブリッド型の旋回装置として構成されている。
旋回電動モータ22は、旋回油圧モータ21と一緒に、減速機に取付けられている。旋回電動モータ22は、例えば永久磁石型同期電動機を用いて構成され、アシスト発電モータ10による発電電力と蓄電装置19からの電力により駆動される。また、旋回電動モータ22は、旋回動作を減速するときに発生するエネルギを電気エネルギに変換して発電を行う。即ち、旋回電動モータ22は、後述の電力制御装置23を介して電力が供給されることにより旋回油圧モータ21を補助(アシスト)して上部旋回体4を旋回させる作用(旋回アシスト作用)と、旋回減速時に上部旋回体4の運動エネルギ(回転エネルギ)を電気エネルギに変換(回生発電)する作用(旋回回生作用)とを有する。旋回電動モータ22の発電電力(回生電力)は、後述する第2のインバータ25および直流母線28A,28Bを介して、後述する第1のインバータ24およびチョッパ27に供給され、アシスト発電モータ10の駆動、蓄電装置19の充電(蓄電)が行われる。
次に、ハイブリッド式油圧ショベル1の電動システムの構成について説明する。
図2に示すように、油圧ショベル1の電動システムは、上述したアシスト発電モータ10、蓄電装置19、旋回電動モータ22に加えて、後述する第1のインバータ24、第2のインバータ25、インバータコントローラ26、チョッパ27、キースイッチ29、再始動スイッチ30、メインコントローラ32等によって構成されている。この場合、例えば、第1,第2のインバータ24,25、インバータコントローラ26、およびチョッパ27は、電力制御装置(PCU:パワーコントロールユニット)23を構成している。この電力制御装置23は、上部旋回体4に搭載されている。
第1のインバータ24は、アシスト発電モータ10に電気的に接続され、アシスト発電モータ10の駆動を制御する。第1のインバータ24は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数(例えば6個)のスイッチング素子を用いて構成され、一対の直流母線28A,28Bに接続されている。第1のインバータ24のスイッチング素子は、そのオン状態(ON)とオフ状態(OFF)がインバータコントローラ26から出力される三相(U相、V相、W相)のPWM信号によって制御される。また、メインコントローラ32がモータ駆動切断要求信号S3を出力したときには、第1のインバータ24のスイッチング素子は、インバータコントローラ26から出力に拘らず、オフ状態になる。
第2のインバータ25は、旋回電動モータ22に電気的に接続され、旋回電動モータ22の駆動を制御する。第2のインバータ25は、第1のインバータ24とほぼ同様に、複数(例えば6個)のスイッチング素子を用いて構成され、一対の直流母線28A,28Bに接続されている。第2のインバータ25のスイッチング素子は、そのオン状態とオフ状態がインバータコントローラ26から出力される三相のPWM信号によって制御される。
インバータコントローラ26は、入力側がメインコントローラ32に接続され、出力側が第1,第2のインバータ24,25に接続されている。インバータコントローラ26は、メインコントローラ32からの指令に基づいて、第1のインバータ24のスイッチング素子を制御する。これにより、アシスト発電モータ10の発電機作用時には、第1のインバータ24は、アシスト発電モータ10による発電電力を直流電力に変換して直流母線28A,28Bに供給する。一方、アシスト発電モータ10の電動機作用時には、第1のインバータ24は、直流母線28A,28Bの直流電力から三相の交流電力を生成し、アシスト発電モータ10に供給する。これにより、アシスト発電モータ10は、指令されたトルクで駆動する。
また、インバータコントローラ26は、メインコントローラ32からの指令に基づいて、第2のインバータ25のスイッチング素子を制御する。これにより、旋回電動モータ22の旋回駆動時には、第2のインバータ25は、直流母線28A,28Bの直流電力から三相の交流電力を生成し、旋回電動モータ22に供給する。一方、旋回電動モータ22の旋回減速時(回生時)には、第2のインバータ25は、旋回電動モータ22による回生電力を直流電力に変換して直流母線28A,28Bに供給する。これにより、旋回電動モータ22は、指令されたトルクで駆動する。
チョッパ27は、一端が蓄電装置19に接続され、他端が直流母線28A,28Bに接続されている。チョッパ27と第1,第2のインバータ24,25は、一対の直流母線28A,28Bを介して互いに電気的に接続されている。チョッパ27は、例えばIGBT等からなる複数(例えば2個)のスイッチング素子とリアクトルとを備える。チョッパ27は、チョッパコントロールユニット27A(以下、CCU27Aという)によってスイッチング素子のオン状態とオフ状態が制御される。そして、蓄電装置19の充電時には、チョッパ27は、降圧回路(降圧チョッパ)として機能し、例えば直流母線28A,28Bから供給される直流電圧を降圧して蓄電装置19に供給する。一方、蓄電装置19の放電時には、チョッパ27は、昇圧回路(昇圧チョッパ)として機能し、蓄電装置19から供給される直流電圧を昇圧して例えば直流母線28A,28Bに供給する。
第1,第2のインバータ24,25およびチョッパ27は、正極側(プラス側)と負極側(マイナス側)で一対の直流母線28A,28Bを通じて相互に接続されている。直流母線28A,28Bには、直流母線28A,28Bの電圧を安定させるために、平滑用のコンデンサ(図示せず)が接続されている。直流母線28A,28Bには、例えば数百V程度の所定の直流電圧が印加される。
キースイッチ29は、キャブ7内の運転席付近に設けられている。このキースイッチ29は、メインコントローラ32に接続され、エンジン9の始動と停止とを切り換える。キースイッチ29が例えばSTART位置に操作されると、キースイッチ29は、エンジン始動要求信号S0をメインコントローラ32に出力する。これにより、メインコントローラ32は、ECU9A、BCU19A、インバータコントローラ26、CCU27A等にエンジン始動用の制御指令を出力し、スタータとなるアシスト発電モータ10を用いてエンジン9を始動する。また、キースイッチ29が停止位置に操作されると、メインコントローラ32は、ECU9A、インバータコントローラ26等に停止信号を出力し、エンジン9を停止させると共に、アシスト発電モータ10の駆動を停止させる。
再始動スイッチ30は、キースイッチ29と共に、油圧ショベル1の起動を要求する起動要求手段を構成している。再始動スイッチ30は、キャブ7内の運転席付近に設けられている。この再始動スイッチ30は、メインコントローラ32に接続され、アイドリングストップ状態のエンジン9を再始動させる。具体的には、アイドリングストップ状態で再始動スイッチ30が操作されると、再始動スイッチ30は、エンジン再始動要求信号S1をメインコントローラ32に出力する。これにより、メインコントローラ32は、ECU9A、BCU19A、インバータコントローラ26、CCU27A等にエンジン始動用の制御指令を出力し、スタータとなるアシスト発電モータ10を用いてエンジン9を再始動する。
表示装置31は、キャブ7内で運転席の前方に設けられ、メインコントローラ32に接続されている。この表示装置31は、例えば液晶モニタにより構成され、燃料の残量、エンジン冷却水の水温、稼動時間、車内温度等のように車体に関する各種の情報を表示する。
メインコントローラ32は、エンジン9、アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11等を制御する制御装置を構成している。メインコントローラ32は、ECU9A、BCU19A、インバータコントローラ26、CCU27A、CAN(Controller Area Network)35等に接続されている。このメインコントローラ32は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、エネルギマネジメント機能、異常監視・異常処理機能、アイドリングストップ機能等を有している。メインコントローラ32は、電力制御装置23等に対する制御指令を生成し、電動システムに対するエネルギマネジメント等の制御を行う。
メインコントローラ32は、エネルギマネジメント機能によって、電動システム全体のエネルギを制御している。例えば、旋回電動モータ22が加速時に消費するエネルギと減速時に回生するエネルギの差によって、蓄電装置19の蓄電量が増加または減少することになる。これを制御するのがエネルギマネジメント機能である。メインコントローラ32は、アシスト発電モータ10に対して発電指令またはアシスト指令を出力することによって、蓄電装置19の蓄電量を所定の範囲に保つ制御を行う。
メインコントローラ32は、異常監視・異常処理機能によって、アシスト発電モータ10、蓄電装置19、旋回電動モータ22、電力制御装置23等の電動システムに故障、異常、警告等の異常状態が発生したか否かを監視している。電動システムの異常状態が検知されると、メインコントローラ32は、電動システムを停止する等の異常処理を行う。
メインコントローラ32は、アイドリングストップ機能によって、作業休止状態か否かを監視している。例えば操作装置14が所定時間に亘って操作されないときには、メインコントローラ32は、油圧ショベル1の走行動作、旋回動作、掘削動作等が停止された作業休止状態であると判定する。このような作業休止状態では、メインコントローラ32は、燃料噴射を停止するための指令をエンジン9のECU9A等に出力する。これにより、メインコントローラ32は、エンジン9を自動的に停止させると共に、アシスト発電モータ10の駆動(発電機駆動および電動機駆動)も停止させる。アイドリングストップ機能によってエンジン9が停止したときには、メインコントローラ32は、例えばフラグの設定や信号の出力によって、アイドリングストップ中であることを認識する。
なお、アイドリングストップ機能の動作条件は、上述したものに限らない。例えばゲートロックレバー17が所定時間に亘ってロック位置に固定されたときに、アイドリングストップ機能が動作してもよく、他の条件に基づいて、アイドリングストップ機能が動作してもよい。
また、メインコントローラ32は、エンジン9を始動させるエンジン始動機能を有している。図3に示すように、メインコントローラ32は、エンジン始動機能を実行するために、メインコントローラ32は、エンジン始動制御部33、モータ駆動遮断部34を備えている。
エンジン始動制御部33は、入力側がゲートロックレバー17、キースイッチ29、再始動スイッチ30等に接続され、出力側が電力制御装置23に接続されている。エンジン始動制御部33は、機械状態判定部33A、駆動指令部33Bを備えている。エンジン始動制御部33は、ゲートロックレバー17からの第1のゲートロック信号Sga、スイッチ29,30の操作等に応じて、電力制御装置23にエンジン始動のためのアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する。
機械状態判定部33Aは、油圧ショベル1が休止状態か否かを判定する状態判定手段を構成している。ここで、油圧ショベル1が休止状態となったときには、少なくとも油圧ポンプ11の動力源となるエンジン9が停止状態となる。機械状態判定部33Aには、CAN35を介して、例えば操作装置14の操作状態、キースイッチ29の位置、エンジン回転数等のような油圧ショベル1の駆動状態に関連する各種の情報が入力される。機械状態判定部33Aは、これらの情報に基づいて、機械休止、エンジン始動、機械稼動、アイドリングストップ中といった機械状態(油圧ショベル1の状態)を判定する。機械状態判定部33Aは、機械状態の判定結果MCを駆動指令部33Bに出力する。
駆動指令部33Bは、機械状態判定部33Aの判定結果MCと、ゲートロックレバー17の状態と、キースイッチ29または再始動スイッチ30からの起動要求(信号S0,S1)とに基づいて、アシスト発電モータ10の駆動を制御する電動機駆動制御手段を構成している。駆動指令部33Bの入力側は、機械状態判定部33A、ゲートロックレバー17、キースイッチ29および再始動スイッチ30に接続されている。駆動指令部33Bは、ゲートロックレバー17からの第1のゲートロック信号Sga(第1のロック装置状態信号)を受信する。駆動指令部33Bの出力側は、電力制御装置23のインバータコントローラ26に接続されている。駆動指令部33Bは、機械状態判定部33Aの判定結果MCと、ゲートロックレバー17からの第1のゲートロック信号Sgaと、スイッチ29,30の操作とに応じて、インバータコントローラ26に対してアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する。
具体的には、駆動指令部33Bは、機械状態判定部33Aが機械休止と判断し、かつ、第1のゲートロック信号Sgaが「ロック状態」であるときに、キースイッチ29の操作(エンジン始動要求信号S0)でエンジン始動が要求されると、電力制御装置23のインバータコントローラ26にエンジン始動のためのアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する。
また、駆動指令部33Bは、機械状態判定部33Aが休止状態であるアイドリングストップと判断し、かつ、ゲートロック信号Sgaが「ロック状態」であるときに、再始動スイッチ30の操作(エンジン再始動要求信号S1)でエンジン再始動が要求されると、電力制御装置23のインバータコントローラ26にエンジン始動のためのアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する。
モータ駆動遮断部34は、入力側がゲートロックレバー17等に接続され、出力側が電力制御装置23に接続されている。モータ駆動遮断部34は、エンジン停止判定部34A、モータ駆動切断要求部34Bを備えている。モータ駆動遮断部34は、エンジン9が停止状態か否かの判定結果ESと、ゲートロックレバー17からのゲートロック信号Sgbと応じて、電力制御装置23にアシスト発電モータ10の切断を要求するモータ駆動切断要求信号S3を出力する。
エンジン停止判定部34Aは、機械状態判定部33Aと共に、油圧ショベル1が休止状態か否かを判定する状態判定手段を構成している。エンジン停止判定部34Aには、CAN35を介して、例えばエンジン回転数等のようなエンジン9の駆動状態に関連する各種の情報が入力される。エンジン停止判定部34Aは、これらの情報に基づいて、油圧ショベル1の動力源としてのエンジン9が停止状態か否か、即ち油圧ショベル1が休止状態か否かを判定する。エンジン停止判定部34Aは、エンジン9が停止状態か否かの判定結果ESを、モータ駆動切断要求部34Bに出力する。
モータ駆動切断要求部34Bは、第1のインバータ24と共に、電動駆動遮断手段を構成している。このため、モータ駆動切断要求部34Bおよび第1のインバータ24は、エンジン停止判定部34Aの判定結果ESとゲートロックレバー17の状態とに基づいて、アシスト発電モータ10の駆動を遮断する。モータ駆動切断要求部34Bの入力側は、エンジン停止判定部34Aと、ゲートロックレバー17とに接続されている。モータ駆動切断要求部34Bは、ゲートロックレバー17からの第2のゲートロック信号Sgb(第2のロック装置状態信号)を受信する。モータ駆動切断要求部34Bの出力側は、電力制御装置23の第1のインバータ24に接続されている。モータ駆動切断要求部34Bは、エンジン停止判定部34Aの判定結果ESと、ゲートロックレバー17からの第2のゲートロック信号Sgbとに応じて、第1のインバータ24に対してモータ駆動切断要求信号S3を出力する。
具体的には、モータ駆動切断要求部34Bは、エンジン停止判定部34Aが休止状態であるエンジン停止状態(動力源停止状態)と判断し、かつ、第2のゲートロック信号Sgbが「ロック解除状態」であるときに、モータ駆動切断要求信号S3を出力する。第1のインバータ24は、モータ駆動切断要求信号S3を受信すると、全てのスイッチング素子をオフ状態にすることで、アシスト発電モータ10と直流母線28A,28Bとの間を電気的に切断する。これにより、駆動指令部33Bからのアシスト発電モータ駆動指令S2やインバータコントローラ26からのPWM信号の出力に依らず、アシスト発電モータ10は駆動されない。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述のような構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗して運転席に着座し、ゲートロックレバー17をロック位置に固定した状態で、キースイッチ29をSTART位置に操作する。これにより、アシスト発電モータ10が回転駆動すると共に、エンジン9に燃料が供給され、エンジン9を始動する。そして、エンジン回転数が所定の回転数(例えば、アイドル回転数)以上となり、エンジン始動完了状態になったら、オペレータは、ゲートロックレバー17をロック位置からロック解除位置に切り換える。この状態で、オペレータが操作装置14の走行用操作レバー・ペダルを操作すると、コントロールバルブ16を通じて油圧ポンプ11からの圧油が下部走行体2の走行油圧モータ2Eに供給される。これにより、油圧ショベル1は、前進、後退等のような走行動作を行う。また、オペレータが操作装置14の作業用操作レバーを操作すると、コントロールバルブ16を通じて油圧ポンプ11からの圧油が旋回油圧モータ21やシリンダ5D〜5Fに供給される。これにより、油圧ショベル1は、旋回動作や作業装置5の俯仰動による掘削動作等を行う。
操作装置14が例えば予め決められた所定時間に亘って操作されないときには、メインコントローラ32は、油圧ショベル1の走行、旋回、掘削等の動作が休止された作業休止状態であると判定する。このような作業休止状態では、メインコントローラ32は、エンジン9をアイドリングストップ状態にするために、燃料噴射を停止するための指令をエンジン9のECU9A等に出力する。これにより、エンジン9は、自動的に停止する。
アイドリングストップ状態でエンジン9を再始動させるためには、オペレータは、ゲートロックレバー17をロック位置に切り換えた後に、再始動スイッチ30を操作する。これにより、メインコントローラ32は、ECU9A、電力制御装置23等にエンジン再始動の指令を出力し、アシスト発電モータ10を用いてエンジン9を回転駆動すると共に、エンジン9に燃料を供給する。この結果、作業装置5等がロックされた状態で、エンジン9は再始動する。
ここで、油圧ショベル1は、エンジン再始動の信頼性を高めるために、所定条件の下でエンジン9の再始動を禁止する機能を備えている。そこで、メインコントローラ32により実行されるエンジン9の再始動処理について、図4および図5のタイミングチャートを用いて説明する。
図4は、ゲートロックレバー17がロック解除位置に固定された状態で「ロック状態」を示す第1のゲートロック信号Sgaを誤って出力した場合を示している。図4に示すように、時点aでは、メインコントローラ32は、油圧ショベル1の作業休止状態を判定して、エンジン9を停止させる。これにより、油圧ショベル1は、休止状態であるアイドリングストップ状態になる。
このようなアイドリングストップ状態の時点bで、例えばスイッチの不具合や信号線の接続不良等によって、第1のゲートロック信号Sgaが誤って「ロック状態」を出力した場合を仮定する。この場合、駆動指令部33Bは、アイドリングストップ状態で、かつ、ゲートロック信号Sgaによって「ロック状態」と認識する。このため、再始動スイッチ30の操作でエンジン再始動が要求されると、ゲートロックレバー17がロック解除位置に固定されているにも拘らず、駆動指令部33Bは、電力制御装置23にエンジン始動のためのアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する(時点c〜時点d)。
このとき、モータ駆動切断要求部34Bは、油圧ショベル1の休止状態であるエンジン停止状態で、かつ、第2のゲートロック信号Sgbによって「ロック解除状態」と認識するので、モータ駆動切断要求信号S3を出力する。第1のインバータ24は、モータ駆動切断要求信号S3を受信すると、全てのスイッチング素子をオフ状態にすることで、アシスト発電モータ10と直流母線28A,28Bとの間を切断する。これにより、駆動指令部33Bからアシスト発電モータ駆動指令S2が出力されても、アシスト発電モータ10は駆動されない。
次に、時点eで、オペレータがゲートロックレバー17をロック位置に戻すと、モータ駆動切断要求部34Bは、エンジン停止状態で、かつ、第2のゲートロック信号Sgbによってゲートロックレバー17が「ロック状態」と認識するので、モータ駆動切断要求信号S3の出力を停止する。これにより、第1のインバータ24におけるアシスト発電モータ10の駆動切断が解除されるので、再始動スイッチ30の操作でエンジン再始動が要求されると、アシスト発電モータ10が駆動して、エンジン9が再始動される(時点f〜時点g)。
図5は、ゲートロックレバー17がロック解除位置に固定された状態で駆動指令部33Bがアシスト発電モータ駆動指令S2を誤った出力した場合を示している。図5に示すように、時点aでメインコントローラ32は、油圧ショベル1の作業休止状態を判定して、エンジン9を停止させる。これにより、油圧ショベル1がアイドリングストップ状態になる。
その後、時点bから時点eの間では、オペレータがゲートロックレバー17をロック解除位置に操作している。この状態で、駆動指令部33Bが誤って電力制御装置23にエンジン始動のためのアシスト発電モータ駆動指令S2を出力した場合を仮定する(時点c〜時点d)。
このとき、モータ駆動切断要求部34Bは、エンジン停止状態で、かつ、第2のゲートロック信号Sgbによって「ロック解除状態」と認識するので、モータ駆動切断要求信号S3を出力する。第1のインバータ24は、モータ駆動切断要求信号S3を受信すると、全てのスイッチング素子をオフ状態にすることで、アシスト発電モータ10と直流母線28A,28Bとの間を切断する。これにより、駆動指令部33Bからアシスト発電モータ駆動指令S2が出力されても、アシスト発電モータ10は駆動されない。なお、時点e以降の処理については、図4と同様である。
かくして、実施の形態では、モータ駆動切断要求部34B(電動駆動遮断手段)を備え、モータ駆動切断要求部34Bは、エンジン停止判定部(状態判定手段)によってエンジン9が停止状態(休止状態)であると判定し、かつ、ゲートロックレバー17(ロック装置)が「ロック解除状態」のときに、アシスト発電モータ10(電動機)と直流母線28A,28Bとの間を遮断する。このため、メインコントローラ32が「ロック状態」の誤認識や誤作動に基づいて、アシスト発電モータ10にアシスト発電モータ駆動指令S2を出力するときでも、モータ駆動切断要求部34Bによって、アシスト発電モータ10(電動機)と直流母線28A,28Bとの間を遮断し、アシスト発電モータ10の起動を回避することができる。
具体的に説明すると、例えばゲートロックレバー17や信号線等の不具合によって、誤った第1のゲートロック信号Sgaが出力され、駆動指令部33Bが「ロック状態」と誤認識すると、駆動指令部33Bは、ゲートロックレバー17が「ロック解除状態」であるにも拘らず、アシスト発電モータ10にアシスト発電モータ駆動指令S2を出力することがある。また、駆動指令部33Bの誤作動によって、アシスト発電モータ10に対して不必要なアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する可能性がある。
これに対し、駆動指令部33B(電動機駆動制御手段)は、ゲートロックレバー17からの第1のゲートロック信号Sga(第1のロック装置状態信号)を受信し、モータ駆動切断要求部34B(電動駆動遮断手段)は、ゲートロックレバー17からの第2のゲートロック信号Sgb(第2のロック装置状態信号)を受信する。このため、ゲートロックレバー17の状態を2系統で駆動指令部33Bとモータ駆動切断要求部34Bとに伝達することができるから、駆動指令部33Bとモータ駆動切断要求部34Bは、別個のゲートロック信号Sga,Sgbに基づいてゲートロックレバー17の状態を判断し、アシスト発電モータ10の駆動と非駆動を決定することができる。
従って、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbのうちいずれか一方に伝達誤りが生じたとき、駆動指令部33Bの誤作動が生じたとき、または、モータ駆動切断要求部34Bの不作動が生じたときのうちいずれか1つが生じたときでも、「ロック解除状態」でのアシスト発電モータ10(電動機)の起動を回避することができ、信頼性を高めることができる。
次に、図1、図2、図6および図7は本発明の参考例を示している。参考例の特徴は、第1のゲートロック信号と第2のゲートロック信号とを比較して一致しないときに異常と判定するゲートロック信号診断部を備え、モータ駆動切断要求部は、ゲートロック信号診断部が異常と判定したときに、アシスト発電モータの駆動を遮断することにある。なお、参考例では、上述した実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
参考例によるハイブリッド式油圧ショベル41は、実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体2、上部旋回体4、作業装置5、エンジン9、アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11、ゲートロックレバー17、再始動スイッチ30、メインコントローラ42等を含んで構成されている。
メインコントローラ42は、実施の形態によるメインコントローラ32とほぼ同様に構成されている。このため、メインコントローラ42は、実施の形態によるエンジン始動制御部33、モータ駆動遮断部34と同様のエンジン始動制御部43、モータ駆動遮断部44を備えている。また、メインコントローラ42は、ロック装置状態信号診断手段としてのゲートロック信号診断部45をさらに備えている。
ゲートロック信号診断部45は、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとを比較して、比較結果に応じたゲートロック状態信号GLを出力する。具体的に説明すると、ゲートロック信号診断部45は、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致しないときには、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbが「信号異常」であることを示すゲートロック状態信号GLを出力する。一方、ゲートロック信号診断部45は、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致しているときには、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbが正常であるので、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbと同じゲートロック状態信号GLを出力する。
エンジン始動制御部43は、入力側がキースイッチ29、再始動スイッチ30、ゲートロック信号診断部45等に接続され、出力側が電力制御装置23に接続されている。エンジン始動制御部43は、機械状態判定部43A、駆動指令部43Bを備えている。
機械状態判定部43Aは、実施の形態による機械状態判定部33Aとほぼ同様に構成され、油圧ショベル1が休止状態か否かを判定する状態判定手段を構成している。機械状態判定部43Aは、各種の情報に基づいて、機械状態(油圧ショベル1の状態)を判定し、機械状態の判定結果MCを駆動指令部43Bに出力する。
駆動指令部43Bは、実施の形態による駆動指令部33Bとほぼ同様に構成されると共に、電動機駆動制御手段を構成している。但し、駆動指令部43Bには、ゲートロックレバー17からの第1のゲートロック信号Sgaに代えて、ゲートロック信号診断部45からのゲートロック状態信号GLが入力される。ここで、ゲートロック状態信号GLは、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致している正常状態では、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbと同じ信号になっている。このため、正常状態では、駆動指令部43Bは、実施の形態による駆動指令部33Bとほぼ同様に動作し、機械状態判定部43Aの判定結果MCと、ゲートロック信号診断部45からのゲートロック状態信号GLと、スイッチ29,30の操作とに応じて、インバータコントローラ26に対してアシスト発電モータ駆動指令S2を出力する。
一方、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致していないときは、ゲートロック状態信号GLは「信号異常」を示している。このとき、駆動指令部43Bは、機械状態判定部43Aの判定結果MC、スイッチ29,30の操作に拘らず、アシスト発電モータ駆動指令S2を出力しない。このとき、アシスト発電モータ10は駆動されない。
モータ駆動遮断部44は、入力側がゲートロック信号診断部45等に接続され、出力側が電力制御装置23に接続されている。モータ駆動遮断部44は、エンジン停止判定部44A、モータ駆動切断要求部44Bを備えている。
エンジン停止判定部44Aは、実施の形態によるエンジン停止判定部34Aとほぼ同様に構成されている。このため、エンジン停止判定部44Aは、機械状態判定部43Aと共に、油圧ショベル1が休止状態か否かを判定する状態判定手段を構成している。エンジン停止判定部44Aは、エンジン回転数等のようなエンジン9の駆動状態に関連する各種の情報に基づいて、エンジン9が停止状態か否かを判定し、エンジン9が停止状態か否かの判定結果ESを、モータ駆動切断要求部44Bに出力する。
モータ駆動切断要求部44Bは、実施の形態によるモータ駆動切断要求部34Bとほぼ同様に構成される。このため、モータ駆動切断要求部44Bは、第1のインバータ24と共に、電動駆動遮断手段を構成している。但し、モータ駆動切断要求部44Bには、ゲートロックレバー17からの第2のゲートロック信号Sgbに代えて、ゲートロック信号診断部45からのゲートロック状態信号GLが入力される。ここで、ゲートロック状態信号GLは、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致している正常状態では、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbと同じ信号になっている。このため、正常状態では、モータ駆動切断要求部44Bは、実施の形態によるモータ駆動切断要求部34Bとほぼ同様に動作し、エンジン停止判定部44Aの判定結果ESと、ゲートロック信号診断部45からのゲートロック状態信号GLとに応じて、第1のインバータ24に対してモータ駆動切断要求信号S3を出力する。
一方、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致していないときには、ゲートロック状態信号GLは「信号異常」を示している。このとき、モータ駆動切断要求部44Bは、エンジン停止判定部44Aの判定結果ESに拘らず、モータ駆動切断要求信号S3を出力する。これにより、第1のインバータ24の全てのスイッチング素子がオフ状態に切り換わるから、アシスト発電モータ10と直流母線28A,28Bとの間が切断され、アシスト発電モータ10は駆動されない。
次に、メインコントローラ42により実行されるエンジン9の再始動処理について、図7のタイミングチャートを用いて説明する。
図7は、ゲートロックレバー17がロック解除位置に固定された状態で「ロック状態」のゲートロック信号Sgaを誤って出力した場合を示している。図7に示すように、時点aでは、メインコントローラ42は、油圧ショベル1の作業休止状態を判定して、エンジン9を停止させる。これにより、油圧ショベル1はアイドリングストップ状態になる。このようなアイドリングストップ状態の時点bで、第1のゲートロック信号Sgaが誤って「ロック状態」を出力した場合を仮定する。
この場合、ゲートロック信号診断部45は、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致しないから、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbが「信号異常」であることを示すゲートロック状態信号GLを出力する(時点b〜時点e)。この結果、駆動指令部43Bは、「信号異常」を示すゲートロック状態信号GLに基づいて、アシスト発電モータ駆動指令S2の出力を停止する。これに加えて、モータ駆動切断要求部44Bは、「信号異常」を示すゲートロック状態信号GLに基づいて、第1のインバータ24に対してモータ駆動切断要求信号S3を出力する。このため、オペレータが再始動スイッチ30を操作してエンジン9の再始動を要求しても、アシスト発電モータ10は駆動されない。
次に、時点eで、オペレータがゲートロックレバー17をロック位置に戻すと、第1のゲートロック信号Sgaと第2のゲートロック信号Sgbとが一致する。このため、ゲートロック信号診断部45は、第1,第2のゲートロック信号Sga,Sgbと同じロック状態に応じたゲートロック状態信号GLを出力する。このとき、モータ駆動切断要求部44Bは、エンジン停止状態で、かつ、ゲートロック状態信号GLによってゲートロックレバー17が「ロック状態」と認識するので、モータ駆動切断要求信号S3の出力を停止する。これにより、第1のインバータ24におけるアシスト発電モータ10の駆動切断が解除されるので、再始動スイッチ30の操作でエンジン再始動が要求されると、アシスト発電モータ10が駆動して、エンジン9が再始動される(時点f〜時点g)。
かくして、参考例でも、実施の形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、参考例では、駆動指令部43B(電動駆動遮断手段)は、ゲートロック信号診断部45(ロック装置状態信号診断手段)が異常と判定したときに、アシスト発電モータ10の駆動を遮断する。このため、ゲートロックレバー17の状態を判別できない場合には、アシスト発電モータ10が駆動されない。この結果、「ロック状態」に応じた第1のゲートロック信号Sgaがメインコントローラ42に入力されるときでも、アシスト発電モータ10によるエンジン9の再始動を回避することができる。
なお、前記実施の形態では、アシスト発電モータ10によってエンジン9を始動する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えばアシスト発電モータに加えてエンジンを始動するためのスタータモータを設け、スタータモータとアシスト発電モータとを併用してエンジンを始動してもよい。
前記実施の形態では、エンジン9を油圧ポンプ11の動力源とした建設機械に適用した場合を例に挙げて説明したが、電動機を油圧ポンプの動力源とした電動式建設機械に適用してもよい。
前記実施の形態では、旋回油圧モータ21と旋回電動モータ22との両方を備えた場合を例に挙げて説明したが、旋回油圧モータと旋回電動モータとのうちいずれか一方を省いてもよい。
前記実施の形態では、直流電圧を昇圧または降圧するチョッパ27を備えるものとした。しかし、蓄電装置19を二次電池によって構成する場合には、チョッパ27を省いて、蓄電装置19を直流母線28A,28Bに直接的に接続してもよい。
前記実施の形態では、キースイッチ29とは別個に再始動スイッチ30を備えるものとした。しかし、本発明はこれに限らず、再始動スイッチを省き、キースイッチによってエンジン再始動の操作を行う構成としてもよい。
前記実施の形態では、建設機械として、自走可能なクローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、自走可能なホイール式油圧ショベル、移動式クレーン、さらには、走行しない基体上に旋回可能に旋回体が搭載された設置式のショベル、クレーン等に適用してもよい。また、建設機械として、例えばホイールローダ、フォークリフト等のように、旋回体を備えない各種の作業車両、作業機械等にも広く適用することができるものである。