以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。すなわち、図1に示すAは、本実施形態に係る田植機であり、田植機Aは、自走可能な走行部1の後方に、苗Nを圃場Gの田面Fs(図5参照)に植え付け可能とした植付部2を、昇降機構部3を介して昇降自在に取り付けるとともに、植付部2の直前方に田面Fsを整地する整地装置4を上下位置調節可能に取り付けている。圃場Gは田面Fs上に田面水を数cmの所望深さで張る場合と、田面水を張らない場合とがあり、本実施形態では田面水を張っていないが、田面水を張っている場合にも、本実施形態の田植機Aは適用可能である。
[田植機の概略説明]
走行部1は、図1に示すように、下部構成体10と、その下部構成体10の上に配設した上部構成体11とから構成している。下部構成体10は、左右一対の前輪12,12を取り付けたフロントアクスルケース(図示せず)と、左右一対の後輪14,14を取り付けたリヤアクスルケース15とを、前後方向に一定の間隔をあけて配置するとともに、両ケース15を前後方向に延伸する連結支持機体16を介して連結している。フロントアクスルケース上にはミッションケース18を連動連設して、ミッションケース18から前方へ延出させて前部支持機体17を形成している。ミッションケース18とリヤアクスルケース15は、伝動シャフト19を介して連動連結している。12aは前輪12の車軸、14aは後輪14の車軸である。
上部構成体11は、前部支持機体17上にエンジン20を搭載し、エンジン20とミッションケース18とを連動連結している。エンジン20とその直後方に配置したステアリングシャフト21は、ボンネット22により被覆して、ステアリングシャフト21の上端部にステアリングホイール23を取り付けている。ボンネット22の上端部には操作パネル部22aを張設している。ボンネット22の周囲及びその後部には平坦なステップ部24を張設しており、ステップ部24から後方へ座席支持台25を一体に連設している。26は、座席支持台25上に設けた座席である。27は、伝動シャフト19の後部に設けるとともに、リヤアクスルケース15の前壁に取り付けた伝動機構ケースである。伝動機構ケース27は、エンジン20から伝動シャフト19を介して伝達される動力を、後述する整地装置4に伝達するようにしている。
そして、エンジン20から動力をミッションケース18→フロントアクスルケース及び伝動シャフト19→リヤアクスルケース15に伝達して、前・後車輪12,12,14,14の四輪駆動が行えるようにしている。なお、上部構成体11には運転部1と植付部2をそれぞれ操作、さらには、植付部2を昇降操作するための操作具(図示せず)を設けている。
植付部2は、図1及び図2に示すように、植付フレーム31を介して植付ミッションケース29を設けている。植付フレーム31は、上下方向に延伸する左右一対の上下延伸片31a,31aと、両上下延伸片31a,31aの中途部間に左右方向に延伸させて横架した中途部左右延伸片31bと、両上下延伸片31a,31aの下部間に左右方向に延伸させて横架した下部左右延伸片31dとを具備して、正面視で四角形枠状に形成するとともに、前上方へ向けて立設している。下部左右延伸片31dは、断面四角形パイプ状に形成して、下部左右延伸片31dから後方に向けて複数(本実施形態では四つ)の植付伝動ケース30をそれぞれ延設しており、植付伝動ケース30は左右方向に適宜の間隔をあけて配置している。下部左右延伸片31dの中央部上には植付ミッションケース29を載設し、植付ミッションケース29の後部から左右両側方に伝動軸ケース38,38を延設して、伝動軸ケース38,38を介して植付ミッションケース29に各植付伝動ケース30を連動連結している。植付ミッションケース29の上方には、植付フレーム31を介して苗載台32を左右往復移動自在に取り付けている。
各植付伝動ケース30の後部には、回転軸39を介してロータリケース33の中央部を回転可能に取り付け、ロータリケース33の両端部に植付爪34,34を取り付けている。植付伝動ケース30等の下方には、センサーフロートであるセンターフロート35と、その左右側方にそれぞれ二つずつサイドフロート36を配置して、これらのフロート35,36により植付伝動ケース30等を田面Fs上に支持させている。37は植付伝動シャフトであり、植付伝動シャフト37は、走行部1の後端部に設けた動力取出軸(図示せず)と、植付ミッションケース29から前方へ突出させた入力軸(図示せず)との間に介設している。
そして、走行部1から植付伝動シャフト37を介して植付ミッションケース29に動力を取り込んで、植付ミッションケース29から伝動軸ケース38を介して植付伝動ケース30に動力を伝達し、植付伝動ケース30に取り付けたロータリケース33を回転させることで、ロータリケース33の両端部に取り付けた植付爪34,34により苗載台32上に載置した苗マットMから苗N(苗株)を切削して、田面Fsに苗N(苗株)を植え付けるようにしている。Kは植付軌跡である(図5参照)。45は苗取り量調節レバーである。
昇降機構3は、図1及び図2に示すように、走行部1のリヤアクスルケース15上に立設した縦フレーム28と、植付部2の植付フレーム31との間に、前後方向に延伸するトップリンク40及び前後方向に延伸する左右一対のロワリンク41,41を介設し、両ロワリンク41,41の前部から上方へ突出させて形成した連結片42,42の上端部と、走行部1の連結支持機体16との間に昇降シリンダ43を介設して構成している。そして、昇降シリンダ43を伸縮作動させることによりロワリンク41,41及びトップリンク40を介して植付部2を昇降させるようにしている。
整地装置4は、田面Fs(特に、荒れた枕地)を整地するための装置であり、図1〜図3に示すように、植付部2の植付フレーム31に取り付けている。すなわち、整地装置4は、田面Fsに接地して整地機能を果たす整地手段50と、整地手段50を上下位置調節する上下位置調節手段52と、後述する田面Fsの実高さの検出結果に基づいて、上下位置調節手段52により整地手段50を上下位置調節することで、整地手段50の整地高さを制御する制御手段53と、を備えている。制御手段53は走行部1の適宜箇所に配設している。整地手段50と、走行部1の伝動機構ケース27との間には、整地伝動シャフト54を介設している。そして、エンジン20からの動力を伝動シャフト19→伝動機構ケース27→整地伝動シャフト54→整地手段50に伝達して、整地手段50により田面Fsを整地するようにしている。
[本実施形態の特徴的な構造の説明]
次に、上記のように構成した田植機Aにおける本実施形態の特徴的な構造について説明する。本実施形態としての植付部2は、図4〜図7に示すように、植付部2の所定箇所から田面Fsまでの高さである田面高さを検出する田面高さ検出手段160と、田面高さ検出手段160を入力側に接続するとともに、上下位置調節手段52を出力側に接続した制御手段53と、を備えている。制御手段53は、田面高さ検出手段160により検出された検出値を取得して、この検出値に基づいて上下位置調節手段52を制御して、整地装置4の整地高さを調節するようにしている。ここでの植付部2の所定箇所は、本実施形態においては後述するフロート支持軸121の軸芯位置であり、フロート支持軸121の軸芯位置から田面Fsまでの高さを田面高さH4としている。また、フロート支持軸121の軸芯位置からその直下方に位置するセンターフロート35の中央部の下面までの高さを植深さ設定高さH2としている。
このように構成した本実施形態では、制御手段53が、田面高さ検出手段160により検出された田面高さH4の検出値を取得して、この検出値に基づいて上下位置調節手段52を制御して、整地装置4の整地高さH1(田面Fsから後述する整地ロータ61の下端部までの高さ)を調節するようにしているため、整地装置4を適切な整地高さH1に配置できて、整地精度を良好に確保することができる。例えば、制御手段53が、田面高さ検出手段160の検出値から田面高さH4が高いと判定した場合には、整地装置4を適宜下降させて配置する一方、田面高さ検出手段160の検出値から田面高さが低いと判定した場合には、整地装置4を適宜上昇させて配置する。
制御手段53は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を備えたマイクロコンピュータ装置である。図4に示すように、制御手段53の入力側には、植深さ設定操作手段190と、整地高さ微調整操作手段192と、調節動作検出手段(セクタギヤ検出体)110と、設定植深さ検出手段135と、フロート角検出手段157と、田面高さ検出手段160と、ピッチング角検出手段180と、車速検出手段185等とを接続している。また、制御手段53の出力側には、電動モータ82と、制御弁44と、植深さ設定モータ191等とを接続している。
田面高さ検出手段160は、走行部1に牽引されるとともに、植付作業位置に配置された植付部2の移動に伴って、田面Fsに沿って(田面Fsの表面をなぞるように)摺動されるようにしている。つまり、田面高さ検出手段160は、田面Fsの実高さ(苗Nを植え付ける田面高さ)を検出するようにしている。そして、検出した田面Fsの実高さの検出値に基づいて、上下位置調節手段52を制御することにより、整地装置4の整地高さH1を適切に調節するようにしている。
また、センターフロート35が田面Fsに対して沈下すると、田面高さ検出手段160により検出された検出結果に基づいて、センターフロート35の沈下量(泥状の田面Fsへの沈み込み量)H5を演算することができるようにしている。
すなわち、田面Fsの起伏に対応して支持ロッド166の軸線を中心にして検出体167が上下回動されると、その上下回動変位量がセンサ本体168により検出されて、その検出結果は、制御手段53に送信される。制御手段53では、田面高さ検出手段160により検出された田面高さH4の検出値等を取得して、センターフロート35の沈下量H5を算出・換算することができる。
また、上部構成体11上の座席26後方の所定箇所には、走行部1の前後方向のピッチング角(傾斜角度)を検出するピッチング角検出手段180(ピッチング角検出センサ)を設けている。そして、ピッチング角検出手段180により走行部1の前後方向のピッチング角を検出し、その走行部1が前上がりになっているのか、又は前下がりになっているのかを検出するようにしている。ピッチング角検出手段180は、前記したように制御手段53の入力側に接続しており、制御手段53では、田面高さ検出手段160により検出された検出値に、ピッチング角検出手段180により検出された検出値を加味して補正値を算出し、算出した補正値に基づいて上下位置調節手段52を制御することにより、整地装置4の整地高さH1を調節するようにしている。
すなわち、田面高さ検出手段160により検出された検出値に、ピッチング角検出手段180により検出された検出値を加味することで、田面高さH4の検出値を補正し、その補正値に基づいて上下位置調節手段52の電動モータ82を制御して、整地装置4の整地高さH1を調節するようにしている。そのため、整地精度を高めることができる。
ここで、走行部1のピッチング角が前上がり(仰角)になると、植付部2のフロート35は田面Fsに沈下する傾向となる一方、走行部1のピッチング角が前下がり(俯角)になると、植付部2のフロート35は田面Fsから浮き上がる傾向となる。そこで、例えば、1秒以上の平均ピッチング角の検出値に応じて田面高さ検出手段160により検出された検出値を補正することで、田面高さH4の検出値を補正する。つまり、例えば、1秒以上の規定時間において、平均ピッチング角に応じたフロート35の姿勢変化の傾向を強める方向に田面高さH4の検出値を補正することで、田面高さH4の補正値に基づいた整地装置4の適切な上下位置調節制御が可能となる。ここでの田面高さH4の補正値は、田面高さ検出手段160により検出された検出値に、ピッチング角検出手段により検出された規定時間以上の平均ピッチング角の検出値を加算することで算出することができる。
また、下部構成体10の所定位置(例えば、前輪12の車軸12a又は後輪14の車軸14a)には、走行部1の車速(前進方向の速度)を検出する車速検出手段185(車速センサ)を設けている。車速検出手段185は、前記したように制御手段53の入力側に接続しており、制御手段53では、田面高さ検出手段160の検出値に、車速検出手段185により検出された検出値を加味して補正値を算出し、算出した補正値に基づいて上下位置調節手段52の電動モータ82を制御することにより、整地装置4の整地高さH1を調節するようにしている。
すなわち、田面高さ検出手段160により検出された田面高さH4の検出値に、車速検出手段185により検出された検出値を加味することで、田面高さH4の検出値を補正し、その補正値に基づいて上下位置調節手段52の電動モータ82を制御して、整地装置4の整地高さH1を調節するようにしている。そのため、整地精度を高めることができる。
ここで、走行部1の車速が増速されるに連れて植付部2のフロート35の角度が前上がり(仰角)になると、フロート35の田面Fsへの沈下量が増大する傾向となる一方、走行部1の車速が減速されるに連れて植付部2のフロート35の角度が前下がり(俯角)になると、フロート35の田面への沈下量H5が減少する傾向となる。そこで、車速の検出値に応じて田面高さ検出手段160により検出された検出値を補正することで、田面高さH4を補正する。つまり、車速に応じたフロート35の姿勢変化の傾向を弱める方向に田面高さH4の検出値を補正することで、田面高さH4の補正値に基づいた整地装置4の適切な上下位置調節制御が可能となる。ここでの田面高さH4の補正値は、田面高さ検出手段160により検出された検出値に、車速検出手段185により検出された検出値を減算することで算出することができる。
また、田面高さ検出手段160により検出された検出値には、ピッチング角検出手段180により検出された検出値と、車速検出手段185により検出された検出値の両方を加味することで、田面高さH4の検出値を補正し、その補正値に基づいて上下位置調節手段52の電動モータ82を制御して、整地装置4の整地高さH1を調節することもできる。そうすることで、適正な整地高さH1を保持することができて、整地精度を向上させることができる。
上記した検出手段180,185は、少なくともいずれか一方を採用することができるものであり、本実施形態では両方の検出手段180,185を採用している。そして、上記検出手段160,180,185により検出された検出値が所定値以上で、かつ、検出時間が所定時間未満であった場合には、それらの検出値を取得した制御手段53は、上記検出手段160,180,185の検出値に基づいた上下位置調節手段52の電動モータ82の制御が実行されないようにしている。
このように、例えば、土塊や夾雑物による田面の局所的な変化を、検出手段である田面高さ検出手段160及びピッチング角検出手段180及び車速検出手段185の内の少なくとも一つが検出した場合には、それらの検出値に基づいた田面高さH4の補正値は算出されない。そして、その場合には、整地装置4の上下位置調節手段52による上下位置調節制御(整地高さ制御)が実行されないようにしているため、突発的な田面Fsの起伏に対応して不必要に整地装置4の整地高さH1が制御されるのを防止することができる。
本実施形態は、以下の構成にも特徴を有する。すなわち、前記したように制御手段53の入力側には、オペレータの好みに応じて整地高さを微調整するための整地高さ微調整操作手段192と、上下位置調節手段の調節動作を検出する調節動作検出手段110等とを接続している。そして、制御手段53は、図8に示すように、次の制御手順(ステップS1〜S11)で制御するようにしている。
(1)田面高さ検出手段160により田面高さH4が検出される(ステップS1)。車速検出手段185により検出(ステップS2)された走行部1の車速の検出値と、ピッチング角検出手段180により検出(ステップS3)された走行部1のピッチング角の検出値とから整地高さ制御値が算出される(ステップS4)。この整地高さ制御値は、ステップS1で検出された田面高さH4の検出値に加算されて、第1補正目標値が算出される(ステップS5)。
(2)オペレータにより好みに応じて整地高さ微調整操作手段192が操作されて整地高さが微調整され、整地高さの微調整値が設定されると(ステップS6)、設定された整地高さの微調整値に、あらかじめ測定した本機の調節動作検出手段110の実測値と設計値とのズレ量(Δh)が、初期設定値として加算されて(ステップS7)、整地高さ制御目標値が算出される(ステップS8)。このズレ量(Δh)は、整地高さとの関係を示す特性データとしての設計特性マップM1と実測特性マップM2(図9参照)に基づいて換算した本機の調節動作検出手段110の出力値とから算出することができる。これらの特性マップM1,M2は、あらかじめ実測等を通じて設定され、あらかじめ制御手段53のROMに格納されている。なお、特性データとしては、実施形態のようなマップ形式に限らず、例えば関数表やセットデータ(データテーブル)等でも差し支えない。
(3)前記したようにして算出された整地高さ制御目標値は、前記ステップS5で算出された第1補正目標値に加算されて、第2補正目標値が算出される(ステップS9)。
(4)後述する調節動作検出手段(セクタギヤ検出体)110による検出値から現状の整地高さH1が算出されて(ステップS10)、この算出値と前記ステップS9で算出された第2補正目標値とのズレ量が所定の制御不感帯に入るまで上下位置調節手段52が制御されて、整地装置4の整地高さが調節される(ステップS11)。
このように構成した本実施形態では、オペレータの好みが加味された精度の高い整地高さ制御目標値を算出することができて、整地装置の整地高さ制御の精度をオペレータ好みに向上させることができる。
[前記した各手段等の具体的な説明]
次に、田面高さ検出手段(田面高さ検出センサ)160の構成について具体的に説明する。すなわち、田面高さ検出手段160は、図5〜図7に示すように、センターフロート35の直上方に位置する下部左右延伸片31dの部分の前壁に、検出手段支持体161を介して取り付けている。検出手段支持体161は、下部左右延伸片31dの前壁に固定側支持片162を取り付け、固定側支持片162に左右方向に軸線を向けた枢軸163を介して可動側支持片164の後端部を枢支して、可動側支持片164を上下揺動自在となしている。可動側支持片164には、左右方向に軸線を向けた円筒状枢支片165を取り付けている。
田面高さ検出手段160は、円筒状枢支片165に左右方向に軸線を向けた支持ロッド166の中央部をその軸線廻りに正逆回転自在に枢支している。支持ロッド166の左右側端部には、それぞれ左右一対の検出体167,167の基端部を取り付けて、両検出体167,167の先端部を田面Fsに当接させるようにしている。可動側支持片164には、ポテンショメータ等のセンサ本体168を取り付けて、センサ本体168により両検出体167,167の昇降動作に連動して正逆回転する支持ロッド166の回転動作(回転角度の変化量)を検出するように構成している。センサ本体168が検出した検出値(検出情報)は、制御手段53に送信されるようにしている。
左右一対の検出体167,167は、支持ロッド166の左右側端部にそれぞれ同様に取り付けているので、以下に左側方の検出体167の取付構造のみについて説明する。すなわち、検出体167は、支持ロッド166の左側端部に筒状のボス部176を外嵌して取り付け、ボス部176から後下方へ向けて検出アーム169を延出して、検出アーム169の後端部に横長四角形板状の取付板170を上下方向に面を向けて取り付け、取付板170に鋤状の検出本体171の前端縁部を取り付けて形成している。検出本体171は、側面視L状に折曲させた複数本(本実施形態では6本)の棒状の検出本体形成片172を左右方向に間隔をあけて配置し、検出本体形成片172の前端縁部に、上下方向に面を向けて左右方向に横長板状に形成した一体連結片173を一体に連結して形成している。そして、取付板170の下面に一体連結片173の上面を重合させて取付ボルト174により取り付けている。
検出本体171は、後半部が田面Fsに線接触状に接地するとともに、田面Fs上を田面Fsに沿って摺動するようにしており、田面Fsの形状変化やセンターフロート35の昇降動作に応じて昇降回動(揺動)するようにしている。例えば、田面Fsに対して沈下するか、又は、(田面水を張っている場合に)田面水中に浮き上がると、相反方向に検出本体171が上下揺動されるとともに、支持ロッド166が正逆回転される。その時の支持ロッド166の回転角度の変化量をセンサ本体168が検出することで、検出本体171の上下方向の揺動角度を検出して、その検出結果を制御手段53に送信する。制御手段53は、取得した検出結果から田面高さH4を算出するようにしている。そして、田面高さH4の算出値から、前記したようにセンターフロート35の沈下量H5(泥状の田面Fsへの沈み込み量)を計測することができる。
検出本体形成片172は、細長く形成することで、田面Fs及び田面水(田面水を張っている場合)との接触面積を小さくして、田面Fsに対する検出本体形成片172の抵抗を低減し、検出本体形成片172が田面Fsから離れ難くなるようにしている。そして、検出本体形成片172を複数の棒体で構成して熊手形状に形成することによって、検出本体形成片172に夾雑物が噛み込まれるのを防いでいる。検出本体形成片172を構成する材料としては針金等、所望の長さに対して形状を保持できる程度の強度を有するものが適している。検出本体形成片172の長さは、例えば、検出本体形成片172が田面Fsに接触した状態で、田面水よりも上方に延出される程度が適している。なお、検出アーム169には、検出本体171の下方への回動角度を規制する規制部材(図示せず)を設けて、検出本体171の回動範囲を制限することができる。そうすることで、植付部2を上昇させた際に検出本体171を確実に地面から離隔させることができる。
[センターフロート35の説明]
センターフロート35は、図6に示すように、左右横長四角形板状に形成した前部35aと、前部35aの後端縁中央部から後方へ延出させて前後縦長四角形板状に形成した後部35bとから形成している。後部35bの左右幅は、前部35aの後端縁部の左右幅よりも幅狭に形成して、前部35aの後端縁左右部と後部35bの左右側縁前部により形成される隅部175に検出本体171を配置している。つまり、検出本体171は、前部35aの左右側部が滑動した後の田面Fs上を滑動し、検出本体171の背後において植付爪34により苗Nが田面Fsに植え付けられるようにして、検出本体171が堅実に検出機能を果たすようにしている。
[植深さ制御に係わる構造の説明]
植付部2は、制御手段53を介して昇降機構部3により植深さ設定高さH2を維持するための植深さ制御を可能としており、以下にこの植深さ制御に係わる構造について、具体的に説明する。
すなわち、植付部2には、図10〜図12に示すように、植付伝動ケース30の下部に左右方向に延伸するフロート支持軸121をその軸芯廻りに回転自在に枢支している。フロート支持軸121には、前後方向に延伸する左右一対のフロート支持アーム122の基端部(前端部)を左右方向に間隔をあけて連設し、フロート支持アーム122の先端部(後端部)に枢支ブラケット123を介して各フロート35,36の上面後部を左右方向に軸線を向けた枢軸124により枢支連結している。そして、センターフロート35及びサイドフロート36の前端部及び後端部は、枢軸124の軸線廻りに、上下方向に揺動自在に支持されている。フロート支持軸121の中途部には、植深さ設定レバー125の下端部を固設して、植深さ設定レバー125を前上方へ向けて延出させて、植深さ設定手段193の一部を構成している。
[植深さ設定手段193の構成の説明]
植深さ設定手段193は、センターフロート35及びサイドフロート36を設定植深さに設定可能に構成している。すなわち、植深さ設定レバー125は、図10,図13及び図14に示すように、レバーガイド体126の前面部に形成した縦長四角形の開口部127中に通して、前上方へ突出させるととともに、その先端部を把持して手動操作により植深さを設定可能としている。レバーガイド体126は、前面部と、前面部の左右側端縁部から後下方へ延出させた左右側面部とから形成している。そして、植付フレーム31の下部左右延伸片31dに、ガイド体支持アーム143を前上方へ突設して、ガイド体支持アーム143の先端部と下部左右延伸片31dの上面部とでレバーガイド体126を支持している。レバーガイド体126の開口部127の背面側には、左右一対のスライドガイド片128,128を取り付けて、両スライドガイド片128,128間で四角形板状のスライド体129を上下方向にスライド自在に配設している。スライド体129には、植深さ設定レバー125の基部に設けた係止片130を係止する横長の係止溝131を上下方向に多段に形成するとともに、これらの係止溝131の左側端部には上下方向に延伸して各係止溝131の左側端部と連通するレバーガイド溝132を形成している。
レバーガイド体126の左側上部には、植深さ設定モータ191を配設し、植深さ設定モータ191には、上下方向に軸線を向け延伸するスライド支軸体133の上端部を連動連設して、レバーガイド体126の前面部の背後にスライド支軸体133を配置している。スライド支軸体133の外周面にはスライドリング134を外嵌するとともに、スライドリング134はスライド支軸体133の回動動作に連動して、スライド支軸体133の軸線に沿って昇降可能としている。スライドリング134にはスライド体129を連結して、スライド体129がスライドリング134と一体的に昇降動作するようにしている。レバーガイド体126の左側面部には、ポテンショメータ等の設定植深さ検出手段135を取り付けている。
設定植深さ検出手段135は、検出本体136と、検出本体136から前方へ延伸させて取り付けた検出端子137とを具備し、植深さ設定レバー125の基端部に取り付けた係合片138に検出端子137を上方から直交状態に係合させている。そして、植深さ設定レバー125の上下回動変位量を、直交状態に係合している係合片138及び検出端子137を介して検出本体136が検出するようにしている。検出本体136は、検出値(検出情報)を制御手段53に送信するようにしている。レバーガイド体126の左側面部には、リミットスイッチ等の上限及び下限停止センサ139,140を設けて、スライドリング134に突設した作用ピン141がいずれかのセンサ139,140に作用した場合には、植深さ設定モータ191を停止させることで、スライドリング134のスライド動作を上限位置ないしは下限位置で停止して規制するようにしている。
フロート支持軸121の中途部には、レバー支持体142を前方へ突設しており、レバー支持体142は、前上方へ突出するとともに、中途から屈曲して前方へ突出させて形成している。レバー支持体142の上面には、植深さ設定レバー125の基端部を上下に重合させて連設している。そして、植深さ設定レバー125とレバー支持体142とフロート支持軸121とフロート支持アーム122とを一体的に連設している。144はアクチュエータカバーである。
このように構成して、植深さ設定レバー125を、フロート支持軸121の軸線を中心に、上(下)方向に回動操作すると、それに相反してフロート支持アーム122が下(上)方向に回動されて、フロート支持アーム122に連結されたセンターフロート35及びサイドフロート36が昇降されるようにしている。つまり、植深さ設定レバー125によりフロート支持軸121を支点にしてフロート支持アーム122を回動操作して、枢軸124の軸芯位置(センターフロート35及びサイドフロート36)を上下方向に変更することによって、植深さ設定高さH2(設定深さ)を変更することができる。この際、レバーガイド溝132に沿わせて植深さ設定レバー125を上下方向に摺動させるとともに、所望のスライド体129の係止溝131に係止片130を介して係止させることで、枢軸124の軸芯位置(センターフロート35及びサイドフロート36)を固定して、センターフロート35及びサイドフロート36を植深さ設定高さH2(設定深さ)に設定することができる。
そして、植深さ設定操作手段190により植深さが設定されると、制御手段53が設定植深さ検出手段135を介して植深さ設定モータ191を制御する。つまり、植深さ設定モータ191に連動連結したスライド支軸体133の軸線に沿って、スライドリング134とそれに連結したスライド体129が一体的に昇降制御されて、スライド体129の係止溝131に係止された係止片130を介して設定されている植深さ設定レバー125は、適宜上下方向に回動動作(微調整)されて、センターフロート35及びサイドフロート36が植深さ設定高さH2に配置される。このようにして、センターフロート35及びサイドフロート36は、植深さ設定レバー125により設定された位置から、設定植深さ検出手段135を介して植深さ設定モータ191により正式な設定位置まで微調整される。
センターフロート35は、図6に示すように、その前端部に連結片145を介して連結ロッド146の下端部を枢支連結し、連結ロッド146の上端部を植深さ連動機構147に連動連結している。植深さ連動機構147は、下部左右延伸片31dの中途部の前壁に固定体148を取り付け、固定体148に左右方向に軸線を向けた枢軸149を介して側面視鉤状に形成した可動体150の折曲部を枢支し、可動体150の前端部に連結ピン151を介して連結体152を連結する一方、可動体150の下端部に連動ロッド153を介してフロート支持軸121に立設した連動アーム154を連結して形成している。連結体152には、左右方向に軸線を向けた揺動支軸155を軸支し、揺動支軸155の左側端部に上下揺動アーム156の基端部(後端部)を連結し、上下揺動アーム156の先端部(前端部)に連結ロッド146の上端部を連結している。連結体152の右側部には、図12に示すように、揺動支軸155の揺動角度(揺動変位量)を検出するポテンショメータ等のフロート角検出手段157を取り付けており、フロート角検出手段157は、センターフロート35の上下方向の姿勢を示すフロート角(枢軸124を中心に上下方向に揺動するセンターフロート35の仰角ないしは俯角)を検出可能としている。そして、フロート角検出手段157の検出情報(検出値)は、制御手段53に送信されるようにしている。
このように構成して、植深さ設定操作がなされると、フロート支持軸121のその軸線廻りの回動動作に植深さ連動機構147が連動して、センターフロート35の前端部が設定植深さに昇降動作される。つまり、センターフロート35の後部が植深さ設定されると、センターフロート35が植深さ設定位置にて略水平に保持されるようにセンターフロート35の前端部が連動して昇降される。そして、この植深さ設定操作がなされたことで、センターフロート35の前端部が昇降動作された場合や、田面Fsの変化に応じてセンターフロート35の前端部が昇降動作された場合には、連結ロッド146及び上下揺動アーム156を介して揺動支軸155が揺動されるとともに、その揺動変位量がフロート角検出手段157により検出されて、その検出値が制御手段53に送信される。
フロート角検出手段157は、上記したようにセンターフロート35の姿勢を検出可能としており、例えば、フロート角検出手段157の検出値が、植深さ設定操作手段190により設定された植深さ設定高さH2(設定深さ)に対応する設定検出値と一致しない場合には、それらの検出値が一致するように、例えば、センターフロート35の底面が水平となるように、制御手段53が制御弁44を介して昇降シリンダ43により植付部2を昇降制御する。
すなわち、センターフロート35は田面Fsに接地追従するのに対して、走行部1の姿勢変化に追従して植付部2が上下動した場合には、これに伴って田面Fsから植付部2までの高さ(植付爪34による苗Nの植付深さH3)が変化することがある。そうすると、田面Fsから植付部2までの高さ(植付爪34による苗Nの植付深さH3)の変化が、フロート角検出手段157により検出されて、フロート角検出手段157の検出値が設定検出値(植深さ設定高さH2(設定植深さ))となるように、昇降シリンダ43に作動油を給排操作する制御弁44が制御手段53により制御され、昇降シリンダ43により植付部2が昇降駆動されて、植付部2(植付爪34)による苗Nの植付深さH3が設定深さに維持される。以上が植深さ制御である。
また、センターフロート35が田面Fsに対して沈下した状態であることを田面高さ検出手段160が検出し、センターフロート35のフロート角が仰角(俯角)をなしていることをフロート角検出手段157が検出した場合には、制御手段53は、圃場Gの土質が硬質(軟質)と判断して、整地装置4を下降(上昇)側に制御するようにしている。
前記した植深さ設定手段193は、手動操作する植深さ設定レバー125を有するものであるが、図15及び図16は、植深さ設定手段193の変形例を示すものであり、植深さ設定レバー125を設けることなく、植深さ設定操作手段190をつまみ回転操作するだけで自動的に植深さが設定されるものである。
すなわち、変形例としての植深さ設定手段193は、前記した植深さ設定手段193と基本的構造を同じくしているが、植深さ設定手段193により植深さを設定することなく、植深さ設定操作手段190により植深さを設定できるようにしている点で異なる。
具体的な相違点は、次の通りである。つまり、図15及び図16に示すように、レバー支持体142の前端部に前下方へ延伸する棒状の第1連動片200の基端部(後上端部)を取り付け、第1連動片200の先端部(前下端部)に第2連動片201をスライド支軸体133側に突設する一方、第2連動片201にはスライド支軸体133に外嵌したスライドリング134から第1連動片200側に第3連動片202を突設して、第2連動片201と第3連動片202を連結している。スライドリング134には係合片138を取り付けて、係合片138に設定植深さ検出手段135の検出端子137を上方から直交状態に係合させている。そして、スライドリング134の上下摺動変位量を、直交状態に係合している係合片138及び検出端子137を介して検出本体136が検出するようにしている。
このように構成して、植深さ設定操作手段190により植深さが設定されると、制御手段53が設定植深さ検出手段135を介して植深さ設定モータ191を制御するようにしている。つまり、植深さ設定モータ191に連動連結したスライド支軸体133の軸線に沿って、スライドリング134が昇降制御されて、第1〜第3連動片200〜202を介してレバー支持体142がフロート支持軸121を支点として上下回動制御されるようにしている。レバー支持体142の上下回動動作に連動してフロート支持アーム122が相反方向に上下回動動作して、センターフロート35及びサイドフロート36が植深さ設定高さH2に配置されるようにしている。158はスライドリング134に突設した廻り止め片、159は廻り止め片158を挿入してスライドリング134を廻り止めするためにレバーガイド体126に形成した廻り止め溝である。177はスライド支軸体133の下端部をその軸線廻りに回転自在に支持する支軸体支持片である。
[整地装置4の構成の具体的な説明]
次に、整地装置4を構成する各手段50〜53をより具体的に説明する。すなわち、整地手段50は、図1〜図3に示すように、ロータギヤケース60と、ロータギヤケース60の左右側方に配置した一対の整地ロータ61,61を具備している。ロータギヤケース60内には、前方へ軸線を向けた入力軸60aと、後外側方へ軸線を向けた左・右側出力軸60b,60cを配設して、入力軸60aの先端部(前端部)に整地伝動シャフト54の後端部を着脱自在に連結するとともに、入力軸60aの基端部(後端部)にギヤを介して左・右側出力軸60b,60cの基端部を連動連結している。
整地ロータ61は、左右方向に軸線を向けて延伸するロータ軸62の外周面に多数のロータ形成片63を同軸的に取り付けて構成している。ロータ形成片63は、図2に示すように、四角形筒状に形成したロータ軸62の外周面に外嵌するボス部64と、ボス部64の外周面から半径方向に突出させて形成するとともに、円周方向に等間隔をあけて形成した複数本(本実施形態では6本)の支持片65と、各支持片65の先端部に軸線方向に延伸させて一体に形成した整地片66とから形成している。左・右側出力軸60b,60cの先端部に、それぞれロータ軸62,62の内側端部を連動連結して、各ロータ軸62,62を各出力軸60b,60cの軸線の延長線上に配置している。つまり、ロータ軸62,62は、ロータギヤケース60を中心にして後外方へ向けて延伸させている。そして、左右に隣接する整地片66同士は、軸線方向に整合させて配置し、ロータ軸62に連動してロータ軸62の外周廻りに一体的に回転して、田面Fsを整地するようにしている。
ロータギヤケース60の上壁には、板状の連結体67を重合状態に取り付け、連結体67の後部に、左側のロータ軸62に平行に沿わせて後左側方へ伸延する円管状の左側のフレーム68と、右側のロータ軸62に平行に沿わせて後右側方へ向けて伸延する円管状の右側のフレーム68の内側端部を連設している。各フレーム68には整地ロータ61の上部及び後部を覆うロータカバー69を取り付けている。
上下位置調節手段52は、図17〜図21に示すように、左右方向に延伸させて正逆回転自在となした回転軸80と、回転軸80の両端部に各上端部を連動連結して回転軸の正逆回転に連動して上下動する左右一対の上下動機構81と、両上下動機構81の各下端部間に架設した前記整地手段50を上下位置調節するために回転軸80を正逆回転させるアクチュエータとして正逆回転駆動可能な電動モータ82と、を具備している。このように、制御手段53に制御された電動モータ82により回転軸80を正逆回転させることで、左右一対の上下動機構81を介して整地手段50を上下位置調節することができて、整地高さH1(図2参照)、つまり、田面Fsから整地ロータ61の最下端までの高さを、構造簡易にして堅実に制御することができる。なお、アクチュエータとしては、電動モータ82に限らず、電動式や油圧式のシリンダ等を適宜採用することができる。Lは仮想前後延伸線である。
より具体的に説明すると、植付フレーム31の一部を形成する左右一対の上下延伸片31a,31aの中途部間に中途部左右延伸片31bを横架し、中途部左右延伸片31bに左右一対の軸支持片31c,31cを垂下して、両軸支持片31c,31c間に、左右方向に軸線を向けた回転軸80を、その軸線廻りに回転自在に横架している。左右一対の上下動機構81,81は、回転軸80の左右側部に前方へ向けて突出する左右一対の上アーム84,84の基端部を取り付ける一方、左右一対の上下延伸片31a,31aの各下部を支持する下部左右延伸片31dに、左右一対の枢支片83,83を前方へ突設し、各枢支片83,83に前方へ向けて突出する左右一対の下アーム85,85の基端部を枢支している。各上アーム84,84の先端部(前端部)には、上下方向に延伸する左右一対の上下動ロッド86,86の上端部を連結するとともに、各下アーム85,85の先端部(前端部)には、各上下動ロッド86,86の下部を連結している。
そして、両上下動ロッド86,86は、その上下摺動動作が平行リンクを形成する上アーム84,84と下アーム85,85の上下揺動動作に連動するように、上アーム84,84と下アーム85,85に支持されている。各上下動ロッド86,86の下端部にはリング状の枢支片87,87を設けて、各枢支片87,87に各ロータ軸62の外側部を貫通させて枢支している。88は後輪14により跳ね上げられた泥がその後方に配置された各フロート35,36,36上に載るのを防止するための防泥板、89はフレーム68と上下動ロッド86との間に介設した補強用の斜張材である。
回転軸80の右側部には、筒状のセクタギヤボス部90を回転自在に外嵌し、セクタギヤボス部90の外周面にセクタギヤ91の基端部を連設するとともに、セクタギヤ91の前端縁部を前方へ膨出させて、セクタギヤボス部90の軸芯を中心とする仮想円周上にセクタギヤ91の歯部を配置している。植付フレーム31には、板状の支持側壁体92をセクタギヤ91に平行状態に隣接させて取り付け、支持側壁体92の上端縁部と前端縁部から左側方へ延出させて上面形成体93と前面形成体94を形成している。前面形成体94にはブラケット95を介して電動モータ等のアクチュエータ82を取り付け、アクチュエータ82にピニオンギヤケース96を取り付けている。アクチュエータ82の駆動軸82aにピニオンギヤ96aを取り付けて、ピニオンギヤ96aをピニオンギヤケース96内に配置している。
そして、ピニオンギヤ96aはセクタギヤ91に噛合させている。97はセクタギヤ91から後下方へ延設した可動側連結片、98は前面形成体94から後下方へ延設した固定側連結片、99は可動側連結片97と固定側連結片98との間に介設した引っ張りスプリングであり、引っ張りスプリング99により可動側連結片97を介してセクタギヤ91を左側面視にて時計廻りに回動付勢している。このように構成して、アクチュエータ82の駆動軸を正逆回動させることにより、ピニオンギヤ96aを介してセクタギヤ91を正逆回転させることができるようにしている。
回転軸80には、セクタギヤボス部90を跨ぐように門型に形成した連動体100を取り付けている。すなわち、連動体100は、基端部が回動軸80に固定状態に取り付けられて、セクタギヤ91の上端部よりも前上方へ向けて延出されたアーム片101,101と、両アーム片101,101間に架設した横架片102とから門型に形成して、セクタギヤ91との干渉を回避している。右側のアーム片101の前端縁部の先端部には係合凹部103を形成し、セクタギヤ91の上端部から右側方へ向けて係合ピン104を突設して、係合ピン104の周面に係合凹部103を当接させている。セクタギヤボス部90の外周面には、ねじりコイルばね105を巻回し、ねじりコイルばね105の一端をセクタギヤ91の下端縁部に係合させる一方、ねじりコイルばね105の他端を左側のアーム片101の後端縁部に係合させて、ねじりコイルばね105により係合ピン104と係合凹部103とが当接する方向に弾性付勢している。
このように構成することで、セクタギヤ91の正逆回転に連動して連動体100を介して回転軸80が正逆回転されるようにしている。そして、回転軸80の正逆回転動作に、左右一対の上アーム84,84の上下動作が連動し、上アーム84,84の上下動作に左右一対の上下動ロッド86,86の上下摺動動作が連動して、上下動ロッド86,86の下端部に枢支片87,87を介して枢支連結した整地ロータ61,61を上下位置調節可能としている。また、回転軸80は、ねじりコイルばね105により下方へ回動するように付勢されているため、整地ロータ61が勢いよく凸部等に当接した場合でも、整地ロータ61は、上方へバウンドすることもなく、凸部を通過した後は速やかに下降することになる。また、田面Fsの凸面や異物により整地ロータ61,61に下方から上方へ向けて押し上げる突発的な負荷が作用した際には、上下動ロッド86,86→上アーム84,84→回転軸80→連動体100に負荷が伝播されて、連動体100がねじりコイルばね105の弾性付勢力に抗して左側面視にて時計廻りに回動されるようにしている。つまり、図20に示すように、連動体100がセクタギヤ91から離隔する方向に回動されることで、セクタギヤ91を介してアクチュエータ82に負荷が作用するのを防止するリミッターとして機能するようにしている。
支持側壁体92の上部には、セクタギヤ91の回転動作を検出する調節動作検出手段であるポテンショメータ等のセクタギヤ検出体110を取り付けている。セクタギヤ検出体110は、検出本体111に検出端子112を係合ピン104側に向けて突設して、検出端子112の下端縁部を係合ピン104の周面に当接状態に付勢させている。そして、セクタギヤ91が正逆回転動作すると、係合ピン104を介して検出端子112が連動するようにして、検出端子112を介してセクタギヤ検出体110がセクタギヤ91の正逆回転角度を検出するようにしている。
制御手段53は、セクタギヤ検出体110から取得した検出結果に基づいてアクチュエータ82に制御信号を送信して、アクチュエータ82を回転停止させる。このようにして、整地ロータ61の田面Fsからの高さ(整地高さ)が適正に制御される、つまり、整地高さ制御がなされる。
[上下位置調節手段52の他実施形態としての昇降制御構造]
図22は、上下位置調節手段52の他実施形態としての昇降制御構造を示しており、この上下位置調節手段52は、前記した整地装置4と基本的構造を同じくしているが、フロート支持軸121のその軸線廻りにおける正逆回動角度の変位量に連動させて整地高さH1を変更可能とした点、及び、セクタギヤ検出体110を設けていない点において異なる。
すなわち、この上下位置調節手段52は、図22に示すように、回転軸80の右側部に揺動体支持筒210を回転自在に外嵌し、揺動体支持筒210に連動揺動体211の前端部を取り付けている。一方、フロート支持軸121の右側部には、後方へ向けて作動アーム212を突設している。作動アーム212の先端部(後端部)と、連動揺動体211の後端部との間には、上下方向に延伸する連動連結ロッド213を介設している。連動揺動体211には、ポテンショメータ等の揺動検出体214を取り付け、回転軸80に突設した係合ピン215に、揺動検出体214から突出させた検出端子216を係合させている。揺動検出体214は、制御手段53に電気的に接続している。なお、電動モータ82に代えてアクチュエータとしての電動シリンダを採用することもできる。また、物理的に押し引き力を伝達する機能を有するものであれば、連動連結ロッド213に代えて、例えば、プッシュプルワイヤを採用することもできる。
このように構成した整地装置4では、植深さが変更された際に、フロート支持軸121が回動されると、その回動動作に、作動アーム212及び連動連結ロッド213を介して連動揺動体211が連動して揺動動作される。
図24は、他の実施形態としての走行部1であり、この走行部1は前記した実施形態の走行部1と基本的な構造を同じくしているが、伝動機構ケース27を備えていない点で異なる。つまり、伝動シャフト19の終端部(後端部)にリヤアクスルケース15が連動連結され、リヤアクスルケース15に整地伝動シャフト54の始端部(前端部)が連動連結されている。そして、リヤアクスルケース15内には、整地伝動シャフト54への動力を接続・切断するクラッチ(図示せず)を設けており、このクラッチは、機械的に接続・切断作動する形態を採用することも、また、電動式に接続・切断する形態を採用することもできる。