JP6247025B2 - エアシャワー装置及び除菌方法 - Google Patents
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気流の噴射口に導電性プラスチック帯を取り付けた場合、気流により動く導電性プラスチック帯が衝突することにより利用者の被服が傷つくおそれや利用者が不快に感じるおそれがある。また、電荷が完全に除去される前に気流を噴射するため、完全に除塵ができず、次段の除塵が必要となる。さらに、導電性プラスチック帯により気流が弱められ、除塵が充分にできないおそれもある。さらに、除菌液を噴霧する場合、導電性プラスチック帯に噴霧した除菌液が付着し、除菌液の必要量が増加するおそれもある。
前記エアシャワー室内の入口側に設けられ、前記エアシャワー室内の中央部に向けて移動する被処理体の静電気を除去することで静電気力により前記被処理体に付着している粒子を脱離させる除電手段と、
前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に向けて気体を吹き付けることで、前記被処理体に付着していた前記粒子よりも小さな微粒子を前記被処理体から脱離させ除去する除塵装置と、
前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に除菌液を噴霧する除菌装置と、を備え、
前記除塵装置の前記気体の吹き出し口は、少なくとも前記エアシャワー室の側壁に設けられ、
前記除菌装置の前記除菌液の噴霧口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられた前記吹き出し口に対して、前記エアシャワー室における高さ方向の上方に設けられ、
前記除菌装置は、前記除塵装置による前記気体の吹き付け開始後、前記除菌液の噴霧を開始し、
前記除塵装置は、前記除菌装置が前記除菌液の噴霧を開始した後も前記気体の吹き付けを継続することを特徴とするエアシャワー装置である。
前記除菌液は次亜塩素酸溶液であることが好ましい。また、エアシャワー装置の筐体の腐食を防ぐために、前記除菌液のpHは7.5〜12.8であることが好ましい。
次に、エアシャワー室の扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動させた被処理体に向けて気体を吹き付けることで、前記被処理体に付着している前記粒子よりも小さな塵埃を前記被処理体から脱離させ、
その後、前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に除菌液を噴霧することにより前記被処理体の表面を除菌し、
前記気体の吹き出し口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられ、
前記除菌液の噴霧口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられた前記吹き出し口に対して、前記エアシャワー室における高さ方向の上方に設けられ、
前記気体の吹き付け開始後、前記除菌液の噴霧を開始し、
前記除菌液の噴霧を開始した後も前記気体の吹き付けを継続する、ことを特徴とする除菌方法である。
以下、本発明のエアシャワー装置について詳細に説明する。
また、被処理体に導電性の素材を接触させることで直接、被処理体の静電気を除去してもよい。除電手段30として接触型の導電性素材を用いる場合、例えば導電性材料の一端をエアシャワー室17への入口に固定し、他端がエアシャワー室17へ入る被処理体に接触するようにしてもよい。例えば導電性繊維を含む複数の紐体31の上端部を、天井部12の下面であって入口側扉15側よりもエアシャワー室17内側の端部に所定の間隔で固定し、吊り下げることで、のれん状の除電手段30を設けてもよい。ここで、紐体31は、導電性繊維を含む糸であってもよいし、導電性繊維を含む短冊状の織布、不織布であってもよいし、テープ状であってもよい。また、紐体31を上下方向に所定の間隔を空けて水平方向に配置することで、すだれ状に設けてもよい。このように、各紐体31を吊り下げることで、被処理体が各紐体31に接触する確率を高くし、被処理体の静電気を確実に除去することができる。このような接触型の導電性素材を用いることで、被処理体に帯電した電荷が導電性素材を通じて放電されるため、非接触型のイオナイザを用いる場合よりも短時間で被処理体の帯電量を減衰させることができる。
なお、塵埃を含む微粒子の被処理体への付着力には、一般に、静電気力のほか、ファンデルワールス力(ロンドン分散力)が寄与するが、粒径が大きい粒子ほど静電気力が支配的となる。このため、除電により大きい粒子を自然落下させることができる。
吸気口51は、床部11の上面に設けられている。吸気口51からは、エアシャワー室17内の空気が床部11内に吸引される。なお、吸気口51は、被処理体の落下を防ぐために、格子状の蓋56(例えば、グレーチング)により塞がれている。
エアフィルタ53の具体的なろ材として、例えば、微細ガラス繊維で抄紙したガラス繊維紙、微細合成繊維にエレクトレット加工して構成された帯電不織布、あるいはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂膜を延伸加工したPTFE膜を用いることができる。これらのろ材を、セパレータ、リボン(ホットメルト樹脂)あるいはエンボス加工を用いてプリーツ化して、樹脂あるいは金属製のフィルタ枠にウレタン樹脂等のシール剤で固定したものをエアフィルタ53として用いることができる。
タンク71には、除菌液が貯留されている。除菌液として、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液を用いることができる。次亜塩素酸ナトリウムを水中に安定化させるために、除菌液をアルカリ性にすることが好ましく、除菌液のpHを7.5〜12.8にすることが好ましい。また、除菌液をアルカリ性にすることで、筐体10が除菌液により腐食されることを防ぐことができる。
タンク71内の除菌液は、配管74により噴霧装置73に供給される。
コンプレッサ72は送気ダクト54内の空気を圧縮し噴霧装置73に供給する。
図5は噴霧装置73の一例の断面図である。噴霧装置73は、内部ノズル75と、内部ノズル75の外側に設けられた外部ノズル76とからなる。内部ノズル75は配管74に接続され内部に除菌液が供給される。外部ノズル76はコンプレッサ72と接続され、コンプレッサ72より圧縮空気が供給される。
内部ノズル75及び外部ノズル76の噴射口はともにエアシャワー室17内に向けて設けられており、図5に示すように、内部ノズル75の噴射口は、外部ノズル76の噴射口の中央部に配置されている。外側の外部ノズル76より圧縮空気がエアシャワー室17内に向けて噴出されることで、ベンチュリ効果により内側の内部ノズル75から除菌液が引き出され、除菌液が微細な(例えば直径10μm以下の)液滴となって圧縮空気と混合され、エアシャワー室17内に供給される。なお、除菌液の液滴の大きさは内部ノズル75及び外部ノズル76の噴射口径、及び圧縮空気の圧力により調整することができる。除菌液の液滴の直径が大きいと、液滴中の水が蒸発しにくいので、利用者の衣服が濡れるのを防ぐために、液滴の直径を10μm以下とすることが好ましい。また、除菌液を微細な液滴として噴霧することで、除菌液中の水がエアシャワー室17内で蒸発するため、エアシャワー室17内の湿度を高めることができる。これにより、静電気による塵埃の利用者への再付着が防止できる。
なお、図1に示すように、第1側壁部13(または第2側壁部14)の前面に、利用者の手に除菌液を噴霧する手洗装置77を設けてもよい。手洗装置77には、図示しない光センサ等の検知手段が設けられており、検知手段が利用者の手を検知すると、利用者の手に対して除菌液を噴霧する。手洗装置77から噴霧する除菌液はタンク71に貯留される除菌液と同一の組成の用いてもよい。また、手洗装置77から除菌液を噴霧するノズルとして、噴霧装置73と同様のノズルを用いてもよい。
また、図示しない制御装置により、検知手段による利用者の手の検出および除菌液の噴霧と、入口側扉15の開閉動作およびジェットエア用ファン52の駆動を連動させてもよい。
以上が、エアシャワー装置1の概略の説明である。
また、除電手段30が入口側扉15側よりもエアシャワー室17内側の端部に設けられているので、除電手段30がエアシャワー装置1の外部の空気に常時さらされることがなく、外部の空気に含まれる粒子および微粒子による除電手段30の汚染を防ぐことができる。
以下、本発明の実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
以下の通り、除電、除塵、除菌を行った後、残存塵数、残存菌数の評価を行った。
〔被処理体〕
被処理体としてガーゼを用いた。同一の形状、大きさで一定の帯電量のガーゼを複数用意し、一定の塵埃量の空間に一定時間放置した後、各ガーゼに既知の大腸菌およびブドウ球菌を付着させた。
エアシャワー装置の入口に、紐体として直径6mmの除電組紐(株式会社トスコ製、TSJO425)を30mm間隔で天井からぶら下げるとともに上端部を接地し、除電手段を形成した。エアシャワー室にガーゼを入れる際に紐体をガーゼに接触させることで除電を行った。
エアシャワー装置において、20秒間、風速25m/秒の風をガーゼに吹き付けることで除塵を行った。
除塵の開始から10秒後、風速25m/秒の風を吹き付けながら、ガーゼに対して除菌液を0.3μL/秒で、20秒間継続して噴霧した。除菌液として0.002wt%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いた。
<比較例1>
実施例と同様に除電、除塵を行ったが、除菌を行わなかった。
<比較例2>
除電を行わずに、実施例と同様に除塵、除菌を行った。
<比較例3>
除電、除塵、除菌のいずれも行わなかった。
実施例および比較例1〜3において5枚のガーゼを処理した後、各ガーゼをそれぞれ生理食塩水に浸漬した。各溶液を0.1〜0.3mlずつ寒天培地に塗布し、35℃で2日間培養し、35℃で48時間培養した後、各寒天培地のコロニー数を計測した。実施例、比較例1〜3において5枚の培地のコロニー数の平均値を求め、比較例3のコロニー数の平均値を10としたときの相対値(四捨五入した整数値)で評価した。
結果を表1に示す。
また、除菌液と圧縮空気とを外部で混合する噴霧装置73について説明したが、本発明はこれに限らず、除菌液と圧縮空気とを内部で混合する噴霧装置を用いてもよい。
10 筐体
11 床部
12 天井部
13 第1側壁部
14 第2側壁部
15 入口側扉
16 出口側扉
17 エアシャワー室
18 入口
19 出口
30 除電手段
31 紐体
50 除塵装置
51 吸気口
52 ジェットエア用ファン
53 エアフィルタ
54 送気ダクト
55 パンカールーバ
56 蓋
57 プレフィルタ
70 除菌装置
71 タンク
72 コンプレッサ
73 噴霧装置
74 配管
Claims (6)
- エアシャワー室内への入口を塞ぐ扉と、
前記エアシャワー室内の入口側に設けられ、前記エアシャワー室内の中央部に向けて移動する被処理体の静電気を除去することで静電気力により前記被処理体に付着している粒子を脱離させる除電手段と、
前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に向けて気体を吹き付けることで、前記被処理体に付着していた前記粒子よりも小さな微粒子を前記被処理体から脱離させ除去する除塵装置と、
前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に除菌液を噴霧する除菌装置と、を備え、
前記除塵装置の前記気体の吹き出し口は、少なくとも前記エアシャワー室の側壁に設けられ、
前記除菌装置の前記除菌液の噴霧口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられた前記吹き出し口に対して、前記エアシャワー室における高さ方向の上方に設けられ、
前記除菌装置は、前記除塵装置による前記気体の吹き付け開始後、前記除菌液の噴霧を開始し、
前記除塵装置は、前記除菌装置が前記除菌液の噴霧を開始した後も前記気体の吹き付けを継続することを特徴とするエアシャワー装置。 - 前記除菌液は次亜塩素酸溶液であることを特徴とする請求項1に記載のエアシャワー装置。
- 前記除菌液のpHは7.5〜12.8であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアシャワー装置。
- 前記除塵装置は、
前記粒子および微粒子を除去することで前記エアシャワー室内の気体を清浄化するエアフィルタと、
前記エアシャワー室内の気体を前記粒子および微粒子とともに前記エアフィルタに送るファンと、
前記エアフィルタにより清浄化された気体を前記被処理体に吹き付けるノズルと、
を備え、
前記除菌装置は、前記除菌液を粒径10μm以下の液滴にして前記エアシャワー室内の被処理体に噴霧する噴霧装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のエアシャワー装置。 - 前記除電手段は導電性繊維を含む複数の紐体を所定の間隔で前記エアシャワー室内の入口側の天井から吊り下げ、上端部で接地してなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエアシャワー装置。
- エアシャワー室の入口からエアシャワー室内の中央部に向けて被処理体を移動させる際に、エアシャワー室の入口側に設けられた除電手段に前記被処理体を接触させることにより、前記被処理体の静電気を除去することで静電気力により前記被処理体に付着している粒子を脱離させ、
次に、エアシャワー室の扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動させた被処理体に向けて気体を吹き付けることで、前記被処理体に付着している前記粒子よりも小さな塵埃を前記被処理体から脱離させ、
その後、前記扉を閉じた状態で、前記エアシャワー室内の中央部に移動した被処理体に除菌液を噴霧することにより前記被処理体の表面を除菌し、
前記気体の吹き出し口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられ、
前記除菌液の噴霧口は、前記エアシャワー室の側壁に設けられた前記吹き出し口に対して、前記エアシャワー室における高さ方向の上方に設けられ、
前記気体の吹き付け開始後、前記除菌液の噴霧を開始し、
前記除菌液の噴霧を開始した後も前記気体の吹き付けを継続する、ことを特徴とする除菌方法。
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