JPS6038944Y2 - 暖簾 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、人体や着衣に蓄積された静電気を除去するこ
とのできる暖簾（のれん）に関するものである。

静電気を発生しやすい合成繊維の普及に伴ない、身体を
動かしたときの身体と着衣間の摩擦、着衣と着衣間の摩
擦、椅子その他の内装材と着衣や髪などとの間の摩擦等
により、かなりの静電気が人体や着衣に蓄積する。

特に、衣服の着脱に際しての静電気の発生が大きいこと
は、誰もが経験しているところである。

静電気の蓄積や放電ははなはだ不快である上、半導体の
取扱いやコンピューター操作にあたっては半導体の破損
、コンピューターの誤作動の原因になり、溶剤や粉塵を
取扱う工場では爆発源にもなりかねない。

又静電気の蓄積はほこりの吸着、菌の付着を伴なうので
、無塵、無菌が品質管理の決め手になるエレクトロニク
ス製品、精密機器、医療機器、薬品、食品関係の分野で
は特に注意が払われている。

このような種々の害を持つ静電気を除去するためには、
帯電防止処理を施した衣類を着用すればよいわけである
が、全ての衣類を帯電防止処理することは不可能であり
、又帯電防止剤は低湿度条件下では帯電防止効果が劣る
こと、一般に耐洗濯性が劣ること、衣類の風合を変えて
しまうおそれがあることなどの難点がある。

本考案は、上記のような従来の問題点に鑑み、人体や着
衣に蓄積された静電気を簡単に除去する用具を提供する
ことを目的とするものである。

本考案は、′シアノ基を有する繊維に銅イオンを吸着さ
せた後還元して得られる銅吸着繊維を使用して作製した
紐状物を、多数本垂下するように設けた構造を有する人
体や着衣に蓄積された静電気除去用の暖簾。

ヨをその要旨とするものであり、次に列挙するようなす
ぐれた効果を有している。

（１）導電性が、垂下した紐状物の両末端間でも１（Ｐ
〜１σΩ程度であり、静電気除去に最適な表面抵抗値を
有する。

（２）本考案の暖簾をくぐるとき、この暖簾が髪、手、
着衣と接触するため、人体や着衣に蓄積された静電気が
直ちに除去される。

しかも本考案の暖簾は紐状物でできているので、人体や
着衣に接触しやすく、静電気の除去が確実になされる。

従ってこの暖簾を出入口に設置すれば、特に帯電防止服
などに着換えもなくても、出入のたびに自然に静電気を
除去することができる。

（３）人体や着衣の静電気が除去される結果、静電気障
害の防止、塵や菌の持ち込みの防止、衣類の汚れの減少
、不快感の解消が図られる。

（４）銅吸着繊維を用いているので、静電気除去効果に
加えて、抗菌、防カビ効果も図られ、衛生的である。

（５）銅吸着繊維を用いているので、任意の色に染色が
可能であり、デザイン的にもカラフルな美麗なものとす
ることができる。

（６）紐状物であるので、必要に応じてその紐の１本を
アース線とすることができる。

しかもこのアース線は極めて軽くかつ見映えもよいので
、通常の被覆銅練製の重いアース線に比しはるかに有利
である。

（７）低湿度条件下においてもすぐれた静電気除去効果
を奏する。

（８）洗濯を繰り返しても静電気除去効果が低下しない
。

本考案においては、銅吸着繊維を素材として用いること
が重要な要件である。

銅吸着繊維とは、シアノ基を有する繊維に銅イオンを吸
着させた後還元して得られる繊維を言う。

銅吸着繊維は伝導による静電気除去作用を有するのみな
らず、無数にある繊維先端からの自己放電により、該繊
維に触れた相手側材料の静電気をすみやかに除去する。

銅吸着繊維からは紐状物が作製される。

紐状物の作製は、銅吸着繊維を少なくとも一部使用した
繊維、或いはそれから作られた糸、その他の加工物を、
集束したり、撚ったり、編んだりすることによりなされ
る。

紐状物の素材となる繊維原料は、その全てが銅吸着繊維
である必要はなく、全繊維原料のうち銅吸着繊維の割合
が１％或いはそれ未満でもすでに効果が認められ、銅吸
着繊維の割合を３〜５０％にもすれは充分に満足しうる
効果が得られる。

もちろん銅吸着繊維の割合を５０％を越えて１００％ま
でとしてもよい。

この紐状物の多数本を、上端側で布、紐、レース、棒な
どにより固定して垂下することにより、本考案の暖簾が
得られる。

本考案の暖簾は、アースをしなくても静電気除去ができ
るが、アースすれば静電気の除去がより迅速になしうる
ので効果的である。

その際は、垂下している紐の一本をアース線とするだけ
でよい。

本考案の暖簾は、家庭、更衣室、自動車その他の乗物、
半導体工場のクリーンルーム、無菌室、コンピューター
ルーム、研究室、病院、各種工場などにおいて、好適に
用いられる。

次に実施例をあげて、本考案の暖簾をさらに説明する。

なお、以下の実施例において、静電気の測定は、２０℃
、４５％ＲＨの低湿度条件下に行った。

実施例 １ 第１図に示したような暖簾を作製した。

第１図中１は、アクリル系鋼吸着繊維のカット繊維を紡
績糸を多数本撚り合せた紐で、染色したものである。

２はレース地で、棒が挿入できるように縫製しである。

この暖簾の巾は約８０ｃｍ、紐の長さは約９０ｃｍとし
た。

この暖簾を竹棒に通して出入口にセットし、そこを通り
抜けるときの静電気除去効果を次のようにして調べた。

まず、合繊製の長袖のアンダーシャツと同じく合繊製の
カッターシャツを着用し、ついでカッターシャツを脱い
だところ、バチバチという音がし、脱いだカッターシャ
ツの裾がアンダーシャツにまとわりついた。

この状態で静電気測定器（シムコジャパン株式会社製電
気測定器５ｓ−２型）をカッターシャツ及びアンダーシ
ャツも約５ｃｒ！Ｌの距離まで近づけて帯電圧を測定し
た。

帯電圧は約３〜５ＫＶであった。

次に、脱いだカッターシャツを手に持って、垂下してい
る紐にカッターシャツもアンダーシャツも接触するよう
にして暖簾を通り抜けたところ、帯電圧は約０．２ＫＶ
以下にまで減少した。

又暖簾に触れながらカッターシャツを脱いだときは、バ
チバチという音やまとわりつきは全く認められなかった
。

又別に、予め摩擦により５ＫＶまで帯電させた布地を前
記暖簾に接触させたところ、帯電圧は直ちに０．２ＫＶ
以下にまで減少した。

実施例 ２ 第２図に示したように木製の棒にアクリル系鋼吸着繊維
製の染色糸を束にして取り付け、暖簾を作製した。

予め摩擦により５ＫＶに帯電させた布地をこの暖簾に接
触させたところ、帯電圧は直ちに０．２ＫＶ以下にまで
減少した。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案の暖簾の一例を示した斜視図、第２図は
他の一例を示した斜視図である。 １・・・・・・銅吸着繊維製の紐、 ２・・・・・・レース地。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シアノ基を有する繊維に銅イオンを吸着させた後還元し
   て得られる銅吸着繊維を使用して作製した紐状物を、多
   数本垂下するように設けた構造を有する人体や着衣に蓄
   積された静電気除去用の暖簾。