JP6246544B2 - Cigs太陽電池用絶縁基板およびcigs太陽電池 - Google Patents

Cigs太陽電池用絶縁基板およびcigs太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、CIGS太陽電池の絶縁基板、並びにその絶縁基板を用いたCIGS太陽電池に関するものである。
CIGS太陽電池は、カルコパイライト型の化合物層を光吸収層(光電変換層)とし、酸化亜鉛(ZnO)を窓層とする構造の化合物半導体型太陽電池である。図1に、従来一般的なCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示する。基板1の表面に金属Moからなる下部電極層2が形成されている。基板1としては一般にソーダライムガラスが適用される。ソーダライムガラスにはNaが含まれており、CIGS層成膜中にそのNaがCIGS層中へと拡散し、CIGS太陽電池の特性が向上する。下部電極層2の表面上に光吸収層としてCIGS層3が形成されている。さらにその上に、CdSからなるバッファ層4を介して、窓層である酸化亜鉛層5、およびITO(酸化インジウム錫)などからなる透光性導電層6が形成されている。透光性導電層6の一部表面に金属からなる上部電極層7が設けられている。下部電極層2と上部電極層7にそれぞれ導線8が接続され、負荷9に電力が供給される。
特開2000−164909号公報 特開2009−267335号公報 特開昭62−276883号公報 特開2006−80370号公報 特開平10−74966号公報 特開平10−74967号公報 特開平9−55378号公報 特開平10−125941号公報 特開2006−210424号公報 特開2005−117012号公報 WO2009−116626号公報
CIGS太陽電池では一般に基板としてガラス基板が用いられているが、軽量化、可とう性(フレキシビリティー)を有する太陽電池としてガラス基板以外にステンレス鋼板等の金属基板を用いた太陽電池も報告されている。金属基板を用いた太陽電池は、基板の軽量化、可とう性を実現できるため広い用途への適用が可能である。また、金属基板は400℃以上の高温プロセスに対する耐性もあることから、太陽電池の高効率化が期待できる。
しかしながら、ステンレス鋼板等の導電性基板を用いた場合には、太陽電池を直列接続するために、基板の裁断や導線での配線など複雑な製造プロセスが必要となり、コスト低減に課題がある。従って、基板上で複数のユニットセルを直列接続するため、金属基板上に絶縁層を設けることが必須となる。
絶縁層の形成方法として、例えば特許文献1にはゾルゲル法で絶縁層を形成する方法が記載されている。しかし、ゾルゲル法により作製した薄い膜では十分な絶縁耐圧を得ることは難しい。また、CIGS半導体層を作製する温度は500℃以上であり、この温度にさらされても絶縁層にクラックが生じないためには、半導体層との熱膨張係数差が小さい絶縁層が必要となる。
特許文献2には、金属基板上に陽極酸化膜を有し、陽極酸化膜の表面に細孔が形成された基板が記載されている。このような多孔質陽極酸化膜を絶縁層として用いた場合、クラックの発生しづらい酸化膜が得られるが、多孔質であるために水分が吸着しやすく、リーク電流が流れやすいという問題を有している。
ところで、従来、CIGS太陽電池においてガラス基板としてソーダライムガラスが多用されているのは、光電変換半導体層を形成する際にナトリウムが光電変換半導体層に拡散することが発電効率の向上に寄与するという知見に基づくものである。しかしながら、上述の絶縁層を有する金属基板を太陽電池基板として用いた場合には、基板からナトリウムを供給することができないため、変換効率が上がらないという問題がある。
特許文献3および特許文献4には、金属基板上にガラス層を設けて金属基板使用時の絶縁性を確保するとともに、絶縁層にNaを含有させる試みがなされている。しかしながら、特許文献3の琺瑯は鉛を含有しており製品の安全性を損ねるとともに、熱膨張係数を鋼板の熱膨張係数と近づけることはできていない。特許文献4で設けられたガラス層もシリカ系ガラスであり、絶縁耐圧を高くすることができても熱膨張係数を合わせるまでには至っていない。さらに、Naを拡散しCIGS層の結晶成長を促進させるためには、NaFやNaAlFを含むようにするとの記載(段落0009)があるように、ベースのガラス層のみではNa拡散による効果は少ないと考えられる(表1)。
光電変換半導体層へのアルカリ金属イオンの一般的な供給技術としては、例えば、特許文献5および6にはNaSeを、特許文献7ではNaを、特許文献8ではNaSを光電変換半導体層を構成する元素と共蒸着する方法が記載されている。また、特許文献9ではモリブデン(Mo)上にリン酸ナトリウムを蒸着する方法が、特許文献10ではNaMoOに浸漬することによりNa層を形成する方法が記載されている。さらに、特許文献11では、基板と下部電極層との間にケイ酸塩層を設ける方法が提案されている。ケイ酸塩層は、マグネトロンスパッタリング法により形成され、このケイ酸塩層に由来するアルカリ金属が裏面電極層を通過してCIGS系薄膜中に拡散されるため、CIGS系太陽電池のさらなる高効率化が可能とされている。しかし、いずれも絶縁層の上にさらに蒸着でサブミクロンオーダーの薄膜を形成させる必要があり、一層で絶縁性とNa供給による変換効率増大の両方の特性を与えることができない。
本発明は、表面平滑性に優れるとともに高温耐熱性を有し、CIGS系太陽電池の用途に好適な絶縁性と変換効率増大に寄与するアルカリ金属の供給を両立することが可能な絶縁基板、並びにその絶縁基板を用いたCIGS太陽電池を提供することを目的とするものである。
発明者らの詳細な研究の結果、基板材料として鋼板・鋼箔を用いると共に、アルカリ金属含有ビスマス系ガラスのペーストを用いて10〜50μmのガラス層を形成させると、太陽電池に要求される絶縁耐圧とアルカリ金属の拡散による変換効率の高いCIGS太陽電池が得られることがわかった。また、鋼板表面に形成される酸化皮膜とビスマス系ガラスとの密着性が良く、熱膨張係数の差も小さくすることができるため、厚膜被覆してもクラックや剥離が生じず耐久性も良好となる。さらには、加熱時のガラスのレベリング性が良く平坦な表面が得られるため、薄膜であるCIGS層の欠陥が少なく電池性能も良好となる。加えて、太陽電池基板として供するためには、絶縁膜上に金属の電極を形成する必要があり、マイグレーションが起こらない絶縁層としなければならないが、所定のビスマス系ガラス組成のみがアルカリ金属を含有しながらマイグレーションを防止する効果を示す。本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、熱膨張係数が9〜13×10-6/℃である普通鋼またはステンレス鋼板・箔に、熱膨張係数が8〜13×10-6/℃のビスマス系ガラスを被覆したCIGS太陽電池用絶縁基板が提供される。ここで、ビスマス系ガラスの皮膜としては、軟化温度が550℃以上で、結晶化温度が800℃以上又は結晶化しない組成とする。具体的には、Bi23:30〜90質量%、SiO2+B23:3〜55質量%(但し、質量%で、B 2 3 /SiO 2 の比が0.15〜5)を含み、さらにLi2O,Na2O,K2Oのいずれか1種以上を合計0.5〜20質量%含むガラス組成のものが挙げられる。10質量%までの範囲でTiO2,Al23等を添加しても良い。基材である鋼としては、種々の鋼種が適用対象となるが、例えば普通鋼やフェライト系ステンレス鋼を挙げることができる。その具体的な成分組成を例示すると以下のようになる。
〔普通鋼〕
質量%で、C:0.001〜0.15%,Si0.001〜0.1%,Mn:0.005〜0.6%,P:0.001〜0.05%,S:0.001〜0.5%,Al:0.001〜0.5%,Ni:0.001〜1.0%,Cr:0.001〜1.0%,Cu:0〜0.1%,Ti:0〜0.5%,Nb:0〜0.5%,N:0〜0.05%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
〔フェライト系ステンレス鋼〕
質量%で、C:0.0001〜0.15%、Si:0.001〜1.2%、Mn:0.001〜1.2%、P:0.001〜0.04%、S:0.0005%〜0.03%、Ni:0〜0.6%、Cr:11.5〜32.0%、Mo:0〜2.5%、Cu:0〜1.0%、Nb:0〜1.0%、Ti:0〜1.0%、Al:0〜0.2%、N:0〜0.025%、B:0〜0.01%、V:0〜0.5%、W:0〜0.3%、Ca、Mg、Y、REM(希土類元素)の合計:0〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼。
ここで、下限が0%である元素は任意元素であり、「0%」は通常の製鋼工程における分析値が測定限界以下である場合を意味する。
また本発明では、上記の基板のガラス層上に、Mo皮膜を有するCIGS太陽電池用電極基板が提供される。また、その電極基板のMo皮膜上に、Cu(In,Ga)Se型化合物層を有するCIGS太陽電池が提供される。
本発明では、CIGS太陽電池の絶縁基板の絶縁層として、アルカリ金属含有ビスマス系ガラスを設けることにより、500V以上の絶縁耐圧を有し、ソーダライムガラス基板を用いたCIGS太陽電池と同様に高い変換効率が得られる。成膜時には500℃以上の高温加熱が可能であり、ポリマーフィルムを基材に使用する場合と比べ、成膜条件の自由度が大幅に拡大する。また、箔状のステンレス鋼板を使用することでフレキシブル化が可能となる。フェライト系ステンレスの熱膨張係数は、9〜13×10-6/℃であり、アルカリ金属含有ビスマス系ガラスの熱膨張係数も8〜13×10-6/℃に合わせているため、絶縁基板製造時およびCIGS層形成時、さらには太陽電池として長期使用時(冷熱サイクル)においても絶縁層にクラックが発生して絶縁性が低下することを防止できる。また、ガラス組成は比較的軟化温度が低いため、焼成においてレべリングし平滑な表面が得られる。したがって本発明は、CIGS太陽電池の軽量化、フレキシブル化、および低コスト化に寄与するものである。
従来一般的なCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示した図。 本発明の基板を用いたCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示した図。
図2に、本発明の基板を用いたCIGS太陽電池の断面構造を模式的に例示する。図1に示した従来一般的なCIGS太陽電池と大きく相違する点は、ソーダライムガラスからなる基板1(図1)の替わりに、アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12を有するステンレス鋼板11を用いていることにある。本発明では、鋼板11の表面にアルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12を有するCIGS太陽電池用の基板を絶縁基板12と称する。 ガラス層の表面上には例えばスパッタリング法などにより金属Moからなる下部電極層2が形成される。ガラス層を後述の所定厚さ以上とすることにより、CIGS層3を成膜する際の高温加熱でステンレス鋼板11からステンレス成分元素のFeやCrなどがCIGS層3中に拡散することが防止されるとともに、太陽電池基板として要求される500V以上の耐電圧性を示すことができる。また、アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12にはアルカリ金属が含有されているため、CIGS層中3へのIa族アルカリ金属元素供給源として機能し、電池性能の向上をもたらす。
絶縁基板12の板厚は、例えば0.02〜2.00mm程度とすればよい。特にフレキシブル化を重視するためには、0.02〜0.5mmとすることが望ましい。
〔鋼基材〕
絶縁鋼板12の鋼板11としては、熱膨張係数がCIGS層と比較的近い普通鋼()や、フェライト系ステンレス鋼が好適な対象となる。ステンレス鋼は耐食性に優れるため、高い耐久性・信頼性が重視される用途においては好適である。規格鋼種としては、普通鋼の場合、例えばJIS G3141:2009に規定される冷延鋼板(鋼帯を含む)を素材とするものが適用できる。また、ステンレス鋼の場合、例えばJIS G4305:2005に規定されるフェライト系の化学組成を有する鋼板(鋼帯を含む)が適用できる。具体的な化学組成範囲は前述のとおりである。
〔アルカリ金属含有ビスマス系ガラス〕
アルカリ金属含有ビスマス系ガラスの組成は、Bi:30〜90質量%、SiO+B:3〜55質量%を含み、さらにLiO,NaO,KOのいずれか1種以上を合計0.5〜20質量%含むガラス組成のものが好適である。10質量%までの範囲で、TiO、Alを添加しても良い。Bi成分はガラス形成酸化物の役割を果たし、ガラスの安定性の向上に大きく寄与し、特に500℃以下の低いガラス転移点(Tg)という本発明の目的を達成するのに欠かせない成分である。本発明においてガラスの低Tg化にはBiの含有量が強く依存するので、含有量が少ないと低Tgのガラスを得がたい。しかし、Biを過剰に含有するとガラス安定性が損なわれ、少なすぎると本発明の目的を満たすことが出来ない。よって、Bi量は上限を90質量%とするのが好ましく、下限を30質量%とするのが好ましい。
SiOまたはBはガラスの形成酸化物であり、安定なガラスを得るのに有用な成分である。この効果を得るにはこれら成分の1種または2種合計の含有量の下限を3質量%とすることが好ましく、500℃以下のTgを得るためには、これらの含有量の上限を55質量%とすることが好ましい。この二つの成分は単独でガラス中に導入しても本発明の目的の達成が可能であるが、同時に使うことにより、ガラスの溶融性、安定性及び化学的耐久性が増すので、同時に使うのが好ましい。また、上記の効果を最大限に引き出すために、B/SiOの比を0.15〜5の範囲にするのが好ましい。
LiO, NaO及びKOの何れか1種以上は、先にも述べたように無鉛ガラス組成を低軟化点化するのに有効な成分であるとともに、無鉛ガラス組成物に高い熱膨張係数を付与するために有効な成分である。ガラス成分に占めるこれらの合計含有量は、通常、重量百分率で0.5〜20%の範囲の内の何れかとされる。なお、これらの成分は、そのうちの何れか1種が含まれていればよく、2種又は3種全てが含有されていてもよい。これらの合計含有量が上記範囲の内の何れかとされるのは、例えば、その合計含有量が0.5%未満では、アルカリ金属のCIGS層への拡散により太陽電池形成時の変換効率を増大させるという効果が得られない。20%を超えると、無鉛ガラス組成物に十分な化学的耐久性を付与することが困難となるおそれがあるためである。TiO、Alの添加は化学的耐久性を向上させることができる。
このガラス層の熱膨張係数は8〜13×10-6/℃であることが必要である。熱膨張係数が8×10-6/℃に満たない場合、基材の普通鋼またはステンレス鋼の熱膨張係数と差が大きくなるため、基材へのガラス層形成やCIGS層形成時にクラックが発生し、絶縁性を有する皮膜を得ることができない。一方、13×10-6/℃を超えると、CIGS層の熱膨張係数との差が開き過ぎ、CIGS層形成時にCIGS層に欠陥を生じやすい。
また、このガラス層は、軟化温度が550℃を超え、結晶化温度が800℃以上又は結晶化しない組成とする。ガラス転移点が500℃以下で、かつ軟化点が550℃を超える組成とすることで、CIGS層を形成する550℃で溶融せずに絶縁性に優れたガラス層が形成させる。また、結晶化温度が800℃以上又は結晶化しない組成にすると、軟化点に対してより高温で焼き付ける際にレべリング性が良好となり、平滑な表面が得られる。
アルカリ金属含有ガラス上における電極金属のマイグレーションは、アルカリ金属の溶出に伴う金属の溶出が影響すると考えられる。
アルカリ金属含有ビスマス系ガラスにおいてMoマイグレーションを防止できるのは、Biが所定量含まれた状態で、SiOおよびBを適量含有されることにより、ガラスの網目構造内にアルカリ金属が安定して存在できるようになるため、アルカリ金属溶出が抑制されてマイグレーションの防止効果が発現するものと考えられる。
アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12は、CIGS層中へのIa族アルカリ金属元素の供給源として機能する。主としてCIGS層成膜時の高温加熱によって、ガラス層中のIa族アルカリ金属元素(Naなど)が下部電極層2(Mo皮膜)を通ってCIGS層中へ拡散する。アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12の平均厚さは5〜50μmとすることが望ましい。5μmより薄いと、太陽電池基板で要求される500Vの耐電圧性を得ることが難しく、50μmを超えるとロールコートなどにより巻き取る際にアルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12にクラックが発生し、絶縁性が低下する。
アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12は、微細に粉砕したガラス粉末を有機溶剤に分散した液を塗布・焼成することにより形成することができる。例えば、バーコート、ロールコート、スクリーン印刷などにより基板上に塗布後、基板11の表面温度が570〜800℃の範囲に保持されるように焼成することでアルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12を形成することができる。
塗布液は、微粉砕したガラス粉末とビヒクルとを混合し、ペーストを調整する。ビヒクルは、バインダ成分である樹脂を溶剤に溶解したものである。ビヒクル用の樹脂としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、オキシエチルセルロース、ベンジルセルロース、プロピルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマーの1種以上を重合して得られるアクリル系樹脂等の有機樹脂が用いられる。溶剤としては、セルロース系樹脂の場合は、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤が、アクリル系樹脂の場合は、メチルエチルケトン、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等の溶剤が用いられる。
ビヒクル中の樹脂成分は、ガラス粉末のバインダとして機能するものであり、焼成時に除去される。 ペーストの粘度は、基材に塗布する装置に対応した粘度に合わせればよく、有機バインダとしての樹脂成分と、有機溶剤等の割合や、封着材料とビヒクルとの割合により調整することができる。ペーストには、消泡剤や分散剤のようにガラスペーストにおいて公知の添加物を加えてもよい。ペーストの調製には、攪拌翼を備えた回転式の混合機やロールミル、ボールミル等を用いた公知の方法を適用することができる。
〔下部電極(Mo皮膜)〕
アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層12の表面上に、下部電極層2としてMo皮膜を形成することにより、電極基板が得られる。Mo皮膜の形成手法は、スパッタリング法等、公知の手法が適用できる。この下部電極層2の厚さは0.2〜3.0μm程度とすればよい。
〔太陽電池セルの作製〕
上記の下部電極層2(Mo電極)の表面上に、CIGS層3、バッファ層4、酸化亜鉛層5、透光性導電層6を順次形成することにより太陽電池セルが作製される。これら各層の形成方法としては従来公知の手法が適用可能である。例えばCIGS層3の形成は、下部電極層2(Mo皮膜)上にCu, In, Ga, Seを同時あるいは順次蒸着し、加熱拡散によりCIGS層を合成する手法が採用できる。加熱温度は500〜550℃の高温とすることが可能である。通常、この温度範囲でCIGS層の合成に最適な条件を見出すことができる。
鋼板11として、以下の化学組成を有する普通鋼冷延鋼板およびSUS430鋼板を用意した。
普通鋼冷延鋼板:質量%で、C:0.003%、Al:0.038%、Si:0.003%、Mn:0.12%、P:0.012%、S:0.122%、Ni:0.02%、Cr:0.02%、Cu:0.01%、Ti:0.073%、N:0.0023%、残部Feおよび不可避的不純物
SUS430鋼板:質量%で、C:0.01%、Si:0.52%、Mn:0.19%、Ni:0.10%、Cr:18.4%、残部Feおよび不可避的不純物
普通鋼冷延鋼板の熱膨張率は10.8×10−6/℃、SUS430鋼板の熱膨張率は11.0×10−6/℃である。
これら鋼板を基材として、ビスマス系、亜鉛系、シリカ系のアルカリ金属含有ガラス層を形成し、絶縁基板を得た。
ガラス材料とビヒクルとを、ガラス材料が80質量%、ビヒクルが20質量%となるように混合して塗布用ペーストを調製した。ビヒクルはバインダ成分としてのエチルセルロース(2.5質量%)をターピネオールからなる溶剤(97.5質量%)に溶解したものである。なお、ガラス組成は表1に示すように変化させた。バーコーターにより板厚0.1mmのSUS430へペーストを塗布して300℃で乾燥後、700℃で10分焼き付けた。ガラス層の膜厚を15μmとした。
得られた絶縁基板について、ガラス層の各種特性と絶縁基板のクラック発生の有無、マイグレーション発生の有無との関係を調査した。 その結果を表1に示す。
<軟化点・結晶化温度の測定>
各ガラス粉末試料を白金セル中に投入し、示差熱分析装置(DTA)にて測定した。
<熱膨張係数の測定>
JIS R 3102に基づいた測定方法により、絶縁層を形成するガラスフリット単体で棒状に焼成し、焼成後の熱膨張係数を測定した。
<クラック発生の有無>
ガラスペーストを塗布・焼成後、空冷した後の表面を観察することによって、クラック発生有無を評価した。目視および光学顕微鏡による観察のいずれでもクラックの発生がなかったものを○とし、目視ではクラックの発生がなく、光学顕微鏡による観察でクラックの発生があったものを△とし、目視および光学顕微鏡による観察のいずれでもクラックの発生があったものを×とした。
<マイグレーション試験>
くし型電極をコートした絶縁鋼板を、設定温度121℃、2気圧、湿度95%の環境下に96時間保持し、その試験の前後において絶縁抵抗値を測定し、抵抗の低下のないものを○、低下が見られたものを×とした。
Figure 0006246544
表1からわかるように、ガラスの熱膨張係数が8×10-6/℃未満では、鋼板との熱膨張係数との差が大きすぎて、焼成後に冷却した時点でクラックが認められた。また、熱膨張係数が8×10-6以上でSUS430の熱膨張係数に近いガラス組成としても、結晶化温度が800℃未満のガラス組成では、マイグレーション試験後に絶縁抵抗の低下が認められ、太陽電池基板として使用できないことがわかった。一方、本発明例のようなビスマス系のガラス組成にすることによって、クラックの発生がなく、マイグレーションによる絶縁抵抗低下の無い絶縁鋼板が得られることがわかった。
そこで、ガラス材料の組成は、Bi:54質量%、SiO:38質量%、B:8質量%をベースとしてアルカリ金属の酸化物の含有量およびガラス層厚さを表2のように変化させ、CIGS太陽電池の変換効率および絶縁耐圧への影響を調査した。
上述のように絶縁鋼板を作製した後、下部電極層としてRFスパッタリング法により平均厚さ1μmのMo皮膜を形成し、電極基板を得た。
各絶縁基板のMo皮膜上に、以下に示す方法で太陽電池セルを作製した。
まず、絶縁基板温度を約550℃とした状態でCu, In, Ga, Seを同時に蒸着することにより、厚さ2μmのCIGS層を形成した。
次に、CIGS層表面のセル部となる部分のみが露出するようマスクした状態でケミカル・バス・デポジション法(CBD法)により厚さ0.1μmの酸化亜鉛(ZnO)層および厚さ0.1μmのITO透光性導電層を順次形成した。太陽電池セルの大きさは5mmx5mmである。
このようにして作製した太陽電池セルのITO透光性導電層の一部表面のみが露出するようにマスクした状態で、その露出部分に上部電極層となるAuを蒸着法により形成し、CIGS太陽電池を得た。
<耐圧性の評価>
JIS C 2110に基づいた測定方法により、ガラス層を形成した絶縁鋼板の絶縁破壊電圧を測定した。
<耐冷熱衝撃性の評価>
サンプル温度を−40℃に30分間保持したあと、次いで250℃に30分間保持する条件を1サイクルとする冷熱衝撃試験を1000サイクル実施した。その後、試験実施後の鋼板とガラス層との界面や、ガラス層における亀裂や欠陥の発生有無を、目視および光学顕微鏡を用いて観察して評価した。クラック発生については、目視および光学顕微鏡による観察のいずれでもクラックの発生がなかったものを○とし、目視ではクラックの発生がなく、光学顕微鏡による観察でクラックの発生があったものを△とし、目視および光学顕微鏡による観察のいずれでもクラックの発生があったものを×とした。
<変換効率の評価>
上記の方法により作製したCIGS太陽電池に、山下電装社製「ソーラーシミュレーター:YSS−100」を用いてAM1.5、100mW/cmの模擬太陽光を照射しながら、KEITHLEY社製「2400型ソースメータ」によりI−V特性を測定して、短絡電流密度Jsc、開放電圧Voc、形状因子FFの値を得た。これらの値から下記(1)式により光電変換効率ηの値を求めた。
光電変換効率η(%)=短絡電流密度Jsc(mA/cm)x開放電圧Voc(V)x{形状因子FF/入射光100(mW/cm)}x100・・・・(1)
ソーダライムガラスを基板に使用したCIGS太陽電池(表1の試験No.0)の光電変換効率η0を標準として、η0に対する各CIGS太陽電池の光電変換効率ηの比率η/η0の値(「変換効率比」という)を求めた。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 0006246544
表2から分かるように、本発明の絶縁基板は、耐電圧性に優れ、CIGS太陽電池の変換効率は、ソーダライムガラスを基板に用いた従来タイプのCIGS太陽電池に対する光電変換効率の減少はわずかであり、フレキシブル基板でありながら、高性能のCIGS太陽電池を実現することができた。
1 ソーダライムガラス基板
2 下部電極層
3 CIGS層
4 バッファ層
5 酸化亜鉛層
6 透光性導電層
7 上部電極層
8 導線
9 負荷
11 鋼板
12 アルカリ金属含有ビスマス系ガラス層
20 絶縁基板

Claims (2)

  1. 鋼板の表面に、軟化点が550℃以上、結晶化温度が800℃以上または結晶化せず、熱膨張係数が8〜13×10-6/℃であるアルカリ金属含有のガラス層からなる絶縁層が形成されCIGS太陽電池用絶縁基板であって、
    前記ガラス層は、Bi 2 3 :30〜90質量%、SiO 2 +B 2 3 :3〜55質量%(但し、質量%で、B 2 3 /SiO 2 の比が0.15〜5)を含み、さらにLi 2 O,Na 2 O,K 2 Oのいずれか1種以上を合計0.5〜20質量%含む組成のアルカリ金属含有ビスマス系ガラスで形成されると共に、その厚さが5〜50μmである、
    ことを特徴とするCIGS太陽電池用絶縁基板。
  2. 請求項1に記載のCIGS太陽電池用絶縁基板の上にMo皮膜を有し、さらにそのMo皮膜上にCu(In,Ga)Se 2 型化合物層を有するCIGS太陽電池。
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