JP6244839B2 - 内燃機関 - Google Patents

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本発明は、内燃機関に関する。
従来、内燃機関から排出される窒素化合物(以下、NOx)を低減する技術として、排気の一部を吸気系に環流して燃焼温度を低下させるEGR装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、排気がリーン雰囲気のときにNOxを吸蔵すると共に、排気がリッチ雰囲気のときにNOxを還元するNOx吸蔵還元型触媒(以下、LNT)等も知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、EGR装置では燃焼状態が悪化し、LNTでは還元剤として余分な燃料を噴射する必要があるため、これら何れの技術においても燃費の悪化を招く可能性がある。
これに対し、ピストン頂部のキャビティに複数の溝を設けて、燃焼室内における燃料の過濃領域の形成を抑制することで、スモークの発生を低減する技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−2184号公報 特開2008−121455号公報 特開2010−285907号公報
ところで、メイン噴射で生成された一酸化窒素(以下、NO)は、燃焼過程において燃料から生じる炭化水素ラジカル(CH3,HCCO等)と反応する還元反応経路を有する。
このようなNO還元反応を利用すれば、燃焼室内において燃料とNOとを混合させて燃焼させることで、NOの還元浄化を図ることができる。燃焼室内でNOと燃料とを効果的に混合させるためには、メイン噴射により生成されたNOを含む既燃ガスを燃料噴射ノズルの先端部近傍に向けて導くと共に、メイン噴射直後の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射(還元用噴射)を行うことが重要となる。
本発明の目的は、メイン噴射により生成されたNOを含む既燃ガスを燃料噴射ノズルの先端部近傍に効果的に導くことができる内燃機関を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の内燃機関は、シリンダを有するシリンダブロックと、前記シリンダ内に上下移動自在に収容されて、その頂部にキャビティが凹設されたピストンと、前記シリンダブロックの上部に設けられて、その下面の少なくとも一部を前記キャビティに臨ませたシリンダヘッドと、前記シリンダブロックに設けられて、前記キャビティ内に燃料を噴射するインジェクタと、前記キャビティの表面に設けられて、前記インジェクタから噴射される燃料の噴射方向と平行に延びる複数の第1ガイド溝と、前記キャビティに臨む前記シリンダヘッドの下面に設けられて、前記第1ガイド溝と平行に延びる複数の第2ガイド溝とを備えることを特徴とする。
また、前記シリンダヘッドに設けられて、その下面を前記キャビティに臨ませた吸排気バルブをさらに備え、前記第2ガイド溝の少なくとも一部が前記吸排気バルブの下面に設けられてもよい。
また、前記インジェクタが、前記ピストンの圧縮上死点近傍でメイン噴射を行うと共に、該メイン噴射よりも遅角側の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行うことが好ましい。
本発明の内燃機関によれば、メイン噴射により生成されたNOを含む既燃ガスを燃料噴射ノズルの先端部近傍に効果的に導くことができる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関を示す部分断面図である。 (a)は本実施形態の燃焼室Aを示す縦断面図、(b)はピストンの頂面をシリンダヘッド側から下方視した平面図、(c)はシリンダヘッドの下面をピストン側から上方視した平面図である。 本実施形態の燃料噴射制御の一例を示すタイムチャートである。 (a)は本実施形態の燃焼室内における燃料噴霧の移動を説明する図、(b)は従来の燃焼室内における燃料噴霧の移動を説明する図である。
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る内燃機関を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、内燃機関10の部分断面図であって、符号11はシリンダヘッド、符号20はシリンダブロック、符号30はピストン、符号50は電子制御ユニット(以下、ECUと称する)を示している。なお、説明の便宜上、シリンダヘッド11側を上方、シリンダブロック20側を下方として説明する。
シリンダヘッド11には、吸気バルブ13の開閉により燃焼室A内に吸気を導入する吸気ポート14及び、排気バルブ15の開閉により燃焼室A内から排気を導出する排気ポート16が形成されている。また、シリンダヘッド11には、燃焼室A内に燃料を直接噴射するインジェクタ12が設けられている。
インジェクタ12は、先端部が円錐状に形成されたノズル12aを燃焼室A内に突出させている。このノズル12aの先端部には複数の微細な噴孔(不図示)が形成されており、これら複数の噴孔から燃焼室A内に燃料が放射状に噴射される。また、インジェクタ12には、コモンレール17が接続されており、コモンレール17内で畜圧された高圧燃料が常時供給されている。
シリンダブロック20には、略円筒状のシリンダ21が形成されている。このシリンダ21内には、ピストン30が上下方向に往復移動自在に収容されている。
ピストン30の頂部には、薄皿型のキャビティ31が凹設されている。なお、キャビティ31の形状は薄皿型に限定されず、トロイダル型やリエントランス型等であってもよい。
次に、図2(a)〜(c)に基づいて、燃焼室Aの詳細について説明する。図2(a)は燃焼室Aを示す縦断面図、図2(b)はピストン30の頂面をシリンダヘッド11側から下方視した平面図、図2(c)はシリンダヘッド11の下面をピストン30側から上方視した平面図である。
図2(a)に示すように、燃焼室Aは、キャビティ31と、スキッシュエリアSと、キャビティ31に臨むシリンダヘッド11の下面11aと、吸気バルブ13の下面13aと、排気バルブ15の下面15aとで構成されている。
図2(a),(b)に示すように、キャビティ31の表面(底面31a及び、側面31b)には、ノズル12aの各噴孔から放射状に噴射された燃料の噴霧Fx(図2(b)にのみ示す)が衝突する部分に複数の第1ガイド溝群41Gがそれぞれ設けられている。これら複数の第1ガイド溝群41Gは、燃料の噴射方向と略平行にキャビティ31の径方向(内外方向)に延びる複数の第1ガイド溝41で構成されており、ノズル12aから噴射された燃料の噴霧Fxをキャビティ31の径方向外方に案内すると共に、キャビティ31内の周方向への広がりを抑止するように機能する。なお、図2(b)には、ノズル12aから噴射された4つの噴霧Fx及びこれに対応する4つの第1ガイド溝群41Gのみを示し、他の噴霧に対応する第1ガイド溝群41Gについては図示を省略している。
図2(a),(c)に示すように、シリンダヘッド11の下面11a、吸気バルブ13の下面13a及び、排気バルブ15の下面15aには、第1ガイド溝群41G(図2(a),(b)に示す)と対向する複数の第2ガイド溝群42Gが設けられている。これら第2ガイド溝群42Gは、第1ガイド溝41と略平行にノズル12aの先端部に向かって延びる複数の第2ガイド溝42で構成されており、ノズル12aの各噴孔から噴射されてキャビティ31に衝突した燃料の噴霧をノズル21先端部に導く(戻す)ように機能する。なお、図2(c)には、4つの第2ガイド溝群42Gのみを示し、他の第2ガイド溝群42Gについては図示を省略している。
ECU50は、インジェクタ12の燃料噴射を制御するもので、本実施形態では、特にメイン噴射で生成されたNOを還元するためのアフタ噴射を実行するように構成されている。より詳しくは、図3に示すように、圧縮上死点近傍でメイン噴射FMを行うと共に、このメイン噴射FMよりも遅角側の燃焼可能なタイミングでNO還元用のアフタ噴射FAを実行する。これにより、メイン噴射で生成されるNOを含んだ既燃ガスに向けてNO還元用のアフタ噴射が噴霧されて、これら既燃ガス及びアフタ噴射の燃料を効果的に混合することができる。
次に、本実施形態の内燃機関10による作用効果を説明する。
図4(a)に示すように、キャビティ31の表面には、ノズル12aから噴射された燃料の噴霧Fxをキャビティ31の径方向外方に案内しつつ周方向への広がりを抑止する第1ガイド溝群41Gが設けられている。さらに、シリンダヘッド11の下面11a(吸気バルブ13の下面13a及び、排気バルブ15の下面15aを含む)には、キャビティ31に衝突した燃料の噴霧(既燃ガス)FGをノズル12aの先端部に導く複数の第2ガイド溝群42Gが設けられている。
したがって、本実施形態の内燃機関10によれば、図4(b)に示す溝加工を施していない従来の燃焼室Bに比べて、ノズル12aから噴射された燃料の噴霧Fxをキャビティ31の表面に効果的に衝突させつつ、衝突後の噴霧(既燃ガスFGを含む)をノズル12aの先端部に向けて効果的に移動させることが可能になる。
また、本実施形態の内燃機関10では、圧縮上死点近傍でメイン噴射FMが行われると共に、このメイン噴射FMよりも遅角側の燃焼可能なタイミングでNO還元用のアフタ噴射FAが行われる。すなわち、図4(a)に示すように、第2ガイド溝群42Gによってノズル12a側に戻されるNOを含んだ既燃ガスFGに向けて、NO還元用のアフタ噴射を効果的に噴霧することが可能になる。
したがって、本実施形態の内燃機関10によれば、メイン噴射で生成されたNOを含む既燃ガスFGとアフタ噴射の燃料との混合が促進されて、NOの還元反応を効果的に向上することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
10 内燃機関
11 シリンダヘッド
12 インジェクタ
13 吸気バルブ
15 排気バルブ
20 シリンダブロック
21 シリンダ
21a ノズル
30 ピストン
31 キャビティ
41 第1ガイド溝
41G 第1ガイド溝群
42 第2ガイド溝
42G 第2ガイド溝群
50 ECU

Claims (3)

  1. シリンダを有するシリンダブロックと、
    前記シリンダ内に上下移動自在に収容され、頂部に薄皿型のキャビティが凹設されたピストンと、
    前記シリンダブロックの上部に設けられ、下面の少なくとも一部を前記キャビティに臨ませたシリンダヘッドと、
    前記シリンダヘッドに設けられ、前記キャビティ内に燃料を噴射するインジェクタと、
    前記キャビティの表面に設けられ、前記インジェクタから噴射される燃料の噴射方向と平行に延びる複数の第1ガイド溝と、
    前記キャビティに臨む前記シリンダヘッドの下面に設けられ、前記第1ガイド溝と平行に延びる複数の第2ガイド溝と、を備え
    前記第1のガイド溝は、前記キャビティの径方向中間位置から外周端まで延びて形成されると共に、先端を前記ピストンの移動方向に沿う上方に向けて形成され、
    前記第2のガイド溝は、前記第1ガイド溝の先端が向かう方向の延長線上の前記シリンダヘッドから前記インジェクタの方向に延びて形成されると共に、前記第1ガイド溝と対向して形成される
    ことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記シリンダヘッドに設けられ、下面を前記キャビティに臨ませた吸排気バルブをさらに備え、
    前記第2ガイド溝の少なくとも一部が前記吸排気バルブの下面に設けられた
    請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記インジェクタが、前記ピストンの圧縮上死点近傍でメイン噴射を行うと共に、該メイン噴射よりも遅角側の燃焼可能なタイミングでアフタ噴射を行う
    請求項1又は2に記載の内燃機関。
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