JP5262386B2 - 火花点火式直噴エンジン - Google Patents
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Description
上記構成によれば、第2の斜面がキャビティ側に徐々に広がる略U字形状として形成されることで、第2噴霧が第2の斜面に衝突した後に、円滑にキャビティ側に案内されることになる。
よって、第2噴霧をより確実にキャビティに入れることが可能になり、濃い混合気を確実に点火プラグ周りに位置させることができる。
上記構成によれば、燃料噴射時に、第2噴霧の下側に第3噴霧が位置するため、第2噴霧に加えて第3噴霧も、第2の斜面等に衝突することになる。
このため、第2の斜面等を利用して、上下に並ぶ第2噴霧と第3噴霧を、キャビティ側に案内することができ、より多くの噴霧をキャビティ内に入れることができる。
よって、さらに多くの濃い混合気(噴霧)を、点火プラグ周りに滞留させることができる。
上記構成によれば、ピストンが上死点近傍に位置するときに、燃料を噴射することで、ピストン冠面に正確に噴霧を衝突させることができ、第1噴霧と第2噴霧等を、より正確にキャビティ内に入れることができる。そして、点火プラグの点火時期を上死点後に設定して、点火タイミングを遅らせたとしても、点火プラグ周りに、濃い混合気を滞留させているため、エンジンの燃焼性を確保することができる。
よって、点火タイミングを遅角して燃焼することが可能となり、排気ガス温度を昇温することができる。
上記構成によれば、吸気行程でも燃料噴射を行なって、二分割噴射とすることにより、筒内をいわゆる弱成層化することができる。
よって、点火タイミングを遅角して燃焼させる場合の燃焼安定性を高めることができ、より確実に排気ガス温度を昇温することができる。
よって、本発明は、エンジン冷間時における触媒活性化促進を図る火花点火式直噴エンジンにおいて、エンジンの圧縮比を高い状態で維持しつつ、キャビティ内に多くの噴霧を確実に入れて滞留させるようにすることで、エンジン冷間時の燃焼状態を安定させることができる。
図1は本発明を採用した実施形態の火花点火式直噴エンジンの概略構成図である。
この図1に示すように、このエンジンEは、いわゆる4サイクルのレシプロエンジンであり、クランクシャフト1を回転自在に支持するシリンダブロック2と、シリンダブロック2の上部に配置されたシリンダヘッド3とで一体的に構成している。また、このシリンダブロック2とシリンダヘッド3には、複数の気筒4を設けている。
なお、このマルチホール型インジェクタ11の詳細構造については、後述する。
図2に示すように、マルチホール型インジェクタ11は、先端の噴射面11aが斜め下方に向くように設置しており、ピストン6の冠面30側に向けて複数の噴霧Gを噴射するように構成している。
ここで、弱成層状態とは、点火プラグ周りの混合気の濃度を濃くして、その周囲の混合気を薄くなるように、筒内(4)の混合気比率を調整する状態をいう。
このため、後述するように、マルチホール型インジェクタ11から噴射された噴霧(Ga、Gb…)が、凹状キャビティ34内に、入り易く、かつ、出にくくなる。
よって、エンジン始動時などにおいて、早期に排気ガスを浄化することができる。
このため、第一噴霧Gaは、図7の(b)に示すように、内周面35の円弧状傾斜面35aに案内されて、上方にスムーズに反転して、点火プラグ14側(天井壁部8側)に向かうことになる。
このため、第二噴霧Gbは、受け面37に衝突して勢いが弱まり、受け面37の上方を漂うことになる。しかし、図7の(b)に示すように、第一噴霧Gaが通過した後には、凹状キャビティ34内に引き込む負圧が発生しているため、第二噴霧Gbは、この負圧によって、凹状キャビティ34内に引き込まれる。
このように、第二噴霧Gbが凹状キャビティ34に引き込まれることで、点火プラグ14周りに、濃い混合気を多く位置させることができる。
このため、第五噴霧Geも、凹状キャビティ34内に引き込まれることになり、点火プラグ14周りに、より濃い混合気が多く位置することになる。
また、図8の噴射状態を示した平面図に示すように、第一噴霧Gaと重なるように噴射される第二噴霧Gbは、傾斜面31aから一段凹んだ受け面37に噴射されるため、側方側(ライナ側)に漏れることがなく、確実に凹状キャビティ34内に案内されることになる。
この実施形態では、隆起部31の傾斜面31aに凹状キャビティ34に繋がるように一段凹んだ受け面37を形成して、凹状キャビティ34のインジェクタ側上縁端34aを、反インジェクタ側上縁端34bより低く設定して、エンジン冷間時の運転領域において、圧縮行程後半に燃料を噴射することで、第一噴霧Gaが凹状キャビティ34に入るように噴射し、第二噴霧Gbが受け面37に衝突するように噴射するように設定している。
これにより、第二噴霧Gbが受け面37に衝突した後に、円滑に凹状キャビティ34側に案内されることになる。
よって、第二噴霧Gbをより確実に凹状キャビティ34に入れることが可能になり、濃い混合気を、確実に点火プラグ14周りに位置させることができる。
これにより、燃料噴射時に、第二噴霧Gbの下側に第五噴霧Geが位置するため、第二噴霧Gbに加えて第五噴霧Geも受け面37等に衝突することになる。
このため、受け面37と水平面部32を利用して、上下に並ぶ第二噴霧Gbと第五噴霧Geを、凹状キャビティ34側に案内することができ、より多くの噴霧Gを凹状キャビティ34内に入れることができる。
よって、さらに多くの濃い混合気(噴霧G)を点火プラグ14周りに滞留させることができる。
これにより、ピストン6が上死点近傍に位置するときに、燃料を噴射することで、ピストン冠面30に正確に噴霧を衝突させることができ、第一噴霧Gaと第二噴霧Gb等を、より正確に凹状キャビティ34内に入れることができる。そして、点火プラグ14の点火時期(S)を、上死点後に設定して、点火タイミングを遅らせたとしても、点火プラグ14周りに濃い混合気を滞留させているため、エンジンの燃焼性を確保することができる。
よって、点火タイミングを遅角して燃焼することが可能となり、排気ガス温度を昇温することができる。
上記構成によれば、燃料噴射を、吸気行程と圧縮行程で行なう二分割噴射(F1,F2)とすることにより、筒内をいわゆる弱成層化することができる。
よって、点火タイミングを遅角して燃焼させる場合の燃焼安定性を高めることができ、より確実に排気ガス温度を昇温することができる。
したがって、より安定的な燃焼を得つつ、排気系の昇温を図ることができ、触媒の活性化を図ることができる。
この発明のインジェクタは、実施形態のマルチホール型インジェクタ11に対応して、
以下、同様に、
キャビティは、凹状キャビティ34に対応し、
ペントルーフ状の斜面は、傾斜面31aに対応し、
第2の斜面は、受け面37に対応し、
第1噴口は、第一噴口40aに対応し、
第2噴口は、第二噴口40bに対応し、
第3噴口は、第五噴口40eに対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる火花点火式直噴エンジンに適用する実施形態を含むものである。
8…天井壁部(燃焼室天井壁)
11…マルチホール型インジェクタ(インジェクタ)
14…点火プラグ
30…ピストン冠面
31…隆起部
31a…傾斜面(ペントルーフ状の斜面)
34…凹状キャビティ(キャビティ)
37…受け面(第2の斜面)
40a…第一墳口(第1噴口)
40b…第二墳口(第2噴口)
40e…第三墳口(第3噴口)
Ga…第1噴霧
Gb…第2噴霧
Ge…第3噴霧
Claims (5)
- 燃焼室天井壁の周縁に斜め下方に複数の噴霧を噴射する多噴口を設けたインジェクタを備え、燃焼室天井壁の中央部に点火プラグを備えた火花点火式直噴エンジンであって、
ピストン冠面には前記点火プラグに対応する凹状のキャビティを形成し、
該キャビティのインジェクタ側にはペントルーフ状の斜面を形成すると共に、
前記インジェクタには、上側に位置する第1噴霧を平面視で前記キャビティを指向するように噴射する第1噴口と、
平面視で前記第1噴霧と重なり、正面視で第1噴霧の下側に位置する第2噴霧を噴射する第2噴口と、の少なくとも2つの噴口を設け、
前記ペントルーフ状の斜面には、前記第2噴霧が衝突する一段低い第2の斜面を設けており、
該第2の斜面を前記キャビティに繋がるように形成することで、キャビティの周縁部のインジェクタ側を、反インジェクタ側より低く設定して、
エンジン冷間の運転領域で、圧縮行程後半の所定時期に、燃料を噴射することで第1噴霧がキャビティに入るように、第2噴霧が第2の斜面に衝突するように設定すると共に、
前記第2の斜面に衝突した第2噴霧は、第1噴霧の通過によって発生した負圧により前記凹状のキャビティ内に引き込まれるように噴射時期が設定された
火花点火式直噴エンジン。 - 前記第2の斜面を、平面視でキャビティ側に徐々に広がるように形成された略U字形状とした
請求項1記載の火花点火式直噴エンジン。 - 平面視で前記第2噴霧と重なり、正面視で第2噴霧の下側に位置する第3噴霧を噴射する第3噴口を設けた
請求項1または2に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記所定時期の燃料噴射終了時期を、圧縮行程の3/4以降に設定すると共に、
前記点火プラグの点火時期を、上死点後に設定した
請求項1〜3の何れか1項に記載の火花点火式直噴エンジン。 - 前記圧縮行程の燃料噴射に加えて、吸気行程で燃料噴射を行なう
請求項4記載の火花点火式直噴エンジン。
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