JP6243499B2 - タイヤ用の側壁 - Google Patents
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Description
側壁は、クラウンとビードの間で、タイヤの内部空洞に対してカーカス補強材の外側に配置してクラウンからビードに及ぶカーカス補強材領域を完全にまたは部分的に覆っているエラストマー層である。
従って、当業者であれば、側壁のカービングに対する抵抗性を、低転がり抵抗性および良好な亀裂抵抗性能に悪影響を及ぼすことなく改良するための解決策を見出さなければならない。
・上記ジエンエラストマーおよび上記補強用充填剤を、110℃と190℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
・混合物を100℃よりも低い温度まで冷却する工程;
・その後、上記架橋系を混入する工程;
・全てを110℃よりも低い最高温度に達するまで混練してゴム組成物を得る工程;
・上記ゴム組成物をカレンダーまたは押出加工する工程。
有利には、本発明に従うタイヤは、重量物運搬車または乗用車、より好ましくは乗用車に装着することを意図する。
上記ゴム組成物またはこれらのゴム組成物を含む側壁は、以下に示すように、硬化後に特性決定する。
ゴム組成物中の補強用充填剤の容量画分は、組成物の全ての構成成分の容量に対する補強用充填剤の容量の比であると定義する;全ての構成成分の容量は、組成物の各々の構成成分容量を集計することによって算出するものと理解されたい。従って、組成物中の補強用充填剤の容量画分は、組成物の各々の構成成分容量の総計に対する補強用充填剤の容積比と定義する。
動的特性tanδmaxを、ASTM D 5992‐96規格に従って、粘度アナライザー(Metravib VA4000)において測定する。単純な交互正弦波剪断応力に、10Hzの周波数で、ASTM D 1349‐09規格に従う標準温度条件(23℃)下に供した加硫組成物のサンプル(厚さ2mmおよび79mm2の断面積を有する円筒状試験標本)の応答を記録する。頂点間歪み振幅掃引を、0.1%から50%まで(外方向サイクル)、次いで、50%から0.1%まで(戻りサイクル)で実施する。収集する結果は、損失係数tanδである。戻りサイクルにおいて、観察したtanδの最高値(tanδmax)が示される。
性能指数は、対照組成物のtanδmax値対検討例のtanδmax値の比である。対照は指数100を有するので、100よりも高い値が良好な転がり抵抗性能を示す。
寸法205/55R16のタイヤを製造して、フライホイール上で70km/時にて回転させる;このタイヤの側壁に、先ずは、20mmの長さおよび1.7mmの深さを有する亀裂を切り込む。試験は、25000kmの後または圧力低下が観察されたときに中止する。
性能指数は、対照タイヤの表面において伝播した長さ対測定するタイヤの表面において伝播した長さの比である。対照は指数100を有するので、100よりも高い値が良好な亀裂抵抗性能を示す。
この試験は車両において実施し、その前輪左タイヤが舗装道路を遅い動きで擦る。試験は、カーカスプライのコードが現れたときまたは圧力低下が観察されたときに中止する。提供する結果は、走行距離当りのタイヤの質量損失である。性能指数は、対照の走行距離当りの質量損失対検討例の走行距離当りの質量損失の比である。対照は指数100を有するので、100よりも高い値が良好なカービング抵抗性能を示す。
本説明においては、特に明確に断らない限り、全てのパーセント(%)は、質量%である。さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに至る値の範囲を示し(即ち、限界値aとbを除く)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の間隔は、いずれも、aからbまでに至る値の範囲を意味する(即ち、厳格な限定値aおよびbを含む)。
もう1つの好ましい実施態様によれば、側壁のこの部分は、クラウンからビードまでに及ぶ。
もう1つの好ましい実施態様によれば、本発明に従う組成物を含む側壁のこの部分は、舗装道路を擦る傾向を有する側壁領域に適用した形状要素の形であり得る。
II‐1. ジエンエラストマー
用語“ジエン”エラストマーまたはゴムは、知られている通り、ジエンモノマー(共役型であり得るまたは非共役型であり得ない二個の炭素‐炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも一部由来する1種以上のエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものと理解すべきである。
(a) 4〜12個の炭素原子を含有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンをもう1つのジエンまたは8〜20個の炭素原子を含有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) 例えば、エチレンおよびプロピレンと、下記のタイプの非共役ジエンモノマー、特に、例えば、1,4‐ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンとから得られるエラストマーのような、エチレンおよび3〜6個の炭素原子を含有するα‐オレフィンを、6〜12個の炭素原子を含有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー;
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
コポリマーは、99質量%と20質量%の間のジエン単位と1質量%と80質量%の間のビニル芳香族単位を含有し得る。
上記補強用充填剤は、有機充填剤として、50m2/g〜69m2/gの範囲にあるBET比表面積を有する少なくとも1種(即ち、1種以上)のカーボンブラックを含む。これらのカーボンブラックは、例えば、Sid Richardson社からのSR401ブラック類およびCabot社からのSpheron 1416ブラック類である。これらのカーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形でイソプレンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
上記BET比表面積は、ASTM D6556‐09規格[多点(5点)法(ガス:窒素;相対圧力範囲:P/P0:0.05〜0.30)]に従って測定したと説明を受けている。
特に、そのような混合物を構成するカーボンブラックは、種々のASTM級のカーボンブラックである。
・40phrよりも多い補強用充填剤で13.0%よりも高いこの補強用充填剤の容量画分によっては、その組成物は、タイヤ側壁としての用途においてはヒステリシス性であり過ぎ且つ剛性であり過ぎるようになる;
・40phrよりも多い補強用充填剤で8.0%と13.0%の間のこの補強用充填剤の容量画分によっては、その組成物中のジエンエラストマーの含有量は、その組成物の十分な固着力を確保するには低過ぎる;
・20phrよりも少ない補強用充填剤においては、この補強用充填剤の容量画分とは無関係に、補強用充填剤の量は、その側壁組成物の十分な補強力を可能にするには少な過ぎる;
・8.0%よりも低い補強用充填剤の容量画分は、補強用充填剤の含有量とは無関係に、高過ぎる充填剤の希薄化に相当し、カービング磨耗の低下をもたらす;
・13.0%よりも高いこの補強用充填剤の容量画分でもっての20phrと40phrの間の補強用充填剤含有量に相当する範囲は、諸性質の所望の妥協点を有する組成物を得ること可能にしない。事実、この範囲内の最低の補強用充填剤含有量(即ち、上記下限に近い)においては、13.0%よりも高い補強用充填剤の容量画分を達成することは不可能であり、そして、この範囲の最高の含有量においては、その組成物は、タイヤ側壁としての用途においてはヒステリシス性であり過ぎおよび/または剛性であり過ぎる。
また、出願WO‐A‐2006/069792号およびWO‐A‐2006/069793号に記載されているような官能化ポリビニル芳香族有機充填剤も、補強用有機充填剤として適切である。
架橋系は、好ましくは、加硫系、即ち、イオウ(またはイオウ供与剤)と、一次加硫促進剤とをベースとする。この加硫系に、各種既知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸もしくは等価の化合物、またはグアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)を、さらに説明するような第1非生産段階中および/または生産段階中に混入する。
イオウは、好ましくは、0.5phrと12phrの間、特に1phrと10phrの間、好ましくは1phrと3phrの間の好ましい含有量で使用する。一次加硫促進剤は、好ましくは0.5phrと10phrの間の、好ましくは0.5phrと5.0phrの間、より好ましくは0.5phrと3phrの間の含有量で使用する。
また、本発明によれば、上記ゴム組成物は、例えば、可塑剤、好ましくは、非芳香族性または極めて僅かに芳香族性の可塑剤、例えば、ナフテン系オイルまたはパラフィン系オイル、MESオイルまたはTDAEオイル、グリセリンエステル(特にトリオレアート)、特に、ナタネまたはヒマワリ植物油のような天然エステル;顔料;オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤;または戻り防止剤のような、タイヤまたはタイヤ用の半製品の製造を意図するエラストマー組成物において慣用的に使用する標準の添加剤の全部または数種も含み得る。
上記ゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の2つの連続する製造段階、即ち、110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階とも称する)、および、その後の、典型的には110℃よりも低い、例えば、40℃と100℃の間の低めの温度まで機械加工する第2段階(“生産”段階とも称する)を使用して製造し;その仕上げ段階において、架橋系を混入する。
・上記ジエンエラストマーおよび上記補強用充填剤を、110℃と190℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
・混合物を100℃よりも低い温度まで冷却する工程;
・その後、上記架橋系を混入する工程;
・全てを110℃よりも低い最高温度に達するまで混練してゴム組成物を得る工程;
・上記ゴム組成物をカレンダーまたは押出加工する工程。
上記方法のもう1つの好ましい実施態様によれば、補強用充填剤の割合は、20phr〜35phr、好ましくは25phr〜30phrで変動する。
上記第1の2つの工程は、同じミキサーを使用して交互に実施してもよく、或いは、100℃よりも低い温度に冷却する工程によって切り離してもよく、その場合、最終工程は、第2のミキサーを使用して実施する。
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明を限定するものではない。
III‐1. ゴム組成物の製造
下記の試験を、以下の方法で実施する:70%満たし、およそ90℃の初期容器温度を有する密閉ミキサー内に、ジエンエラストマー(NRとBRの混合物)および上記カーボンブラックを、その後、1〜2分間混練した後、加硫系を除いた各種他の成分、例えば、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、加硫活性化剤を導入する。その後、熱機械的加工(非生産段階)を、およそ165℃の最高“落下”温度に達するまで1工程で実施する(およそ5分に等しい総混練時間)。そのようにして得られた混合物を回収し、冷却し、その後、加硫系(イオウとスルフェンアミド促進剤)を70℃の開放ミキサー(ホモ・フィニッシャー)において添加し、全ての成分を約5〜6分間混合する(生産段階)。
本試験の目的は、乗用車用の対照タイヤ側壁と比較しての本発明に従うタイヤ側壁の諸性質の改良を証明することである。また、これらの試験は、組成物が、50m2/g〜69m2/gの範囲にある比表面積を有するカーボンブラックを含むものの、本発明に従わない補強用充填剤含有量または本発明に従わない補強用充填剤の容量画分のいずれかにより、或いは共に本発明に従わない補強用充填剤の含有量および容量画分により、本発明の技術的問題を解決することを可能にしないことも実証する。
・乗用車用の側壁として一般的に使用される対照組成物Aは、39m2/gに等しいBET比表面積を有する50phrのカーボンブラックを15.5%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
・本発明に従う組成物Bは、62m2/gに等しいBET比表面積を有する28phrのカーボンブラックを9.2%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
・本発明に従う組成物Cは、62m2/gに等しいBET比表面積を有する25phrのカーボンブラックを9.1%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
・本発明に従う組成物Dは、64m2/gに等しいBET比表面積を有し、60%のN347と40%のN683からなる25phrのカーボンブラック混合物を9.1%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
・補強用充填剤の含有量および容量画分によって本発明に従わない組成物Eは、62m2/gに等しいBET比表面積を有する43phrのカーボンブラックを15.2%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
・これも、補強用充填剤の含有量によって本発明に従わない組成物Fは、62m2/gに等しいBET比表面積を有する43phrのカーボンブラックを12.4%に等しい補強用充填剤容量画分でもって含む。
(1) 天然ゴム;
(2) 96%(モル%)のシスを含むLanxess社からのポリブタジエンCB 24;
(3) カーボンブラック N683 (39m2/gに等しいBET;COAN:89ml/100g);
(4) Sid Richardson社からのカーボンブラック SR401 (BET:62m2/g;COAN:107ml/100g);
(5) 60%のN347 (BET:88m2/g;COAN:98ml/100g)と40%のN683の混合物;
(6) MESオイル(Flexon 683;Exxon Mobil社);
(7) N‐1,3‐ジメチルブチル‐N'‐フェニル‐パラ‐フェニレンジアミン(6‐PPD);
(8) N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(Flexsys社からのSantocure CBS)。
組成物A、B、CおよびDそれぞれを含む側壁FA、FB、FCおよびFDのカービング抵抗性能および亀裂抵抗性能を下記の表3に示している。
Claims (11)
- 少なくとも、ジエンエラストマー、架橋系および補強用充填剤をベースとするゴム組成物を、少なくとも1部分に含むタイヤ側壁であって、前記組成物中の補強用充填剤の含有量が20〜35phr (phr: エラストマー100質量部当りの質量部)で変動し、前記組成物中の補強用充填剤の容量画分が8.0%〜13.0%の範囲にあること、並びに50m 2 /g〜69m 2 /gの範囲にあるBET比表面積を有するカーボンブラックまたはカーボンブラック混合物が、前記補強用充填剤の少なくとも85質量%を構成することを特徴とする前記タイヤ側壁。
- 50m2/g〜69m2/gの範囲にあるBET比表面積を有する前記カーボンブラックまたはカーボンブラック混合物が、80ml/100g〜120ml/100gの範囲にあるCOAN吸油価を有する、請求項1記載のタイヤ側壁。
- 前記組成物中の補強用充填剤の割合が、25phr〜30phrで変動する、請求項1または2記載のタイヤ側壁。
- 前記組成物中の補強用充填剤の容量画分が、8.0%〜10.0%で変動する、請求項1〜3のいずれか1項記載のタイヤ側壁。
- 前記組成物中の補強用充填剤の容量画分が、8.7%〜9.4%で変動する、請求項4記載のタイヤ側壁。
- 前記ゴム組成物が、30〜55質量%の天然ゴム、合成ポリイソプレンまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンの混合物と、45〜70質量%の、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエンコポリマー、イソプレン/ブタジエンコポリマー、イソプレン/スチレンコポリマーおよびイソプレン/ブタジエン/スチレンターポリマー並びにこれらの混合物から選ばれるジエンエラストマーとからなるエラストマー混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のタイヤ側壁。
- 前記ジエンエラストマーが、ポリブタジエンである、請求項6記載のタイヤ側壁。
- 前記ジエンエラストマーが、90%(モル%)よりも多いシス‐1,4‐結合含有量を有するポリブタジエンであり、かつ前記合成ポリイソプレンが、90%(モル%)よりも多いシス‐1,4‐結合含有量を有するポリイソプレンである、請求項6記載のタイヤ側壁。
- 前記ゴム組成物が、可塑剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のタイヤ側壁。
- 前記可塑剤が、ナフテン系オイルまたはパラフィン系オイル、MESオイルまたはTDAEオイル或いはこれらの混合物から選ばれる、請求項9記載のタイヤ側壁。
- 請求項1〜10のいずれか1項記載のタイヤ側壁を含むタイヤ。
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