JP6241843B2 - シリカ被膜付きペーパーハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、紙からなる原料を用いたハニカムコア材(ペーパーハニカムコア)を基材としたハニカム構造体の場合、耐水性の向上や強度面での補強を図るために、例えば、ペーパーハニカムコアに熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化させること(例えば、特許文献1参照)、などが提案されている。
しかしながら、この場合、使用する樹脂量の多さ、処理工程の煩雑さ、取扱いの困難さ、コスト高、などの問題がある。
しかしながら、斯かる技術には、使用する無機物量の多さ、高温焼成、などの問題がある。
しかしながら、前記特許文献3に記載された技術には、ケイ酸ナトリウムを含浸させたハニカムコアが乾燥時に脆くなり、アルカリに起因してセルロース繊維の劣化が生じ、耐久性が低下するという問題があり、前記特許文献4に記載された技術には、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩中のナトリウムを除去していないために、水中に浸漬するとナトリウムが溶解するという問題や、水ガラスの耐食性を得るためにガラス化(600℃以上)が必要となりコスト高となるという問題があり、前記特許文献5に記載された技術には、ハニカム構造体の製造工程が煩雑であり、細孔構造を形成するための酸処理によりシリカ分子の結合が弱くなり、焼成を高温で行うため焼結に伴って細孔が潰されて細孔が減少すると共にコスト高となるという問題や、ガラス化させて不燃性、強度補強等の目的で利用されている水ガラスに含まれるナトリウムの影響により、空気中の炭酸ガスと反応して炭酸塩が生成し、白華現象が生じるという問題があった。
しかしながら、斯かる技術は、ガラス、アルミニウム、マグネシウム、マグネシウム合金、ステンレス、などの基材に対して適用されるものであり、ペーパーハニカムコアに対して適用されるものではない。
よって、耐水性、調湿機能、強度、及び難燃性を向上させることができるシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体は未だ開発されておらず、このようなシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の開発が切望されていた。
この構成によれば、基材としてのペーパーハニカムコアの表面にシリカ膜を有することにより、耐水性、調湿機能、強度、及び難燃性を向上させることができる。
この構成によれば、ケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化及び蒸気養生することにより、シリカ及び炭酸アルカリ金属塩を生じ、該炭酸アルカリ金属塩を蒸気(好ましくは、加熱された蒸気)により洗い流すとともに、該シリカを蒸気によって安定した形にすることで、アルカリ金属が除去されたシリカ膜を形成することができる。なお、一部のアルカリ金属が除去されなかった場合は、水又は弱酸性溶液で処理することによって除去することができる。これにより、前記シリカ膜は、空気中に長時間放置してもアルカリ金属の炭酸化による白華現象が生じない。
この構成によれば、前記シリカ膜は、シリカ純度が高くなり、耐水性、耐衝撃性等に優れたものとなる。
この構成によれば、前記シリカ膜におけるシリカが高BET比表面積を有しているので、シリカゲルと同様に、触媒担体、吸着材、調湿材などの幅広い用途に好適に応用できる。
この構成によれば、前記シリカ膜は、基材表面に形成された場合に、基材表面から剥離し難くなる。
この構成によれば、前記炭酸化蒸気養生工程において、ケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化及び蒸気養生することにより、シリカ及び炭酸アルカリ金属塩を生じ、該炭酸アルカリ金属塩を蒸気(好ましくは、加熱された蒸気)により洗い流すとともに、該シリカを蒸気によって安定した形にすることで、アルカリ金属が除去されたシリカ膜を形成することができる。これにより、本発明のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法は、空気中に長時間放置してもアルカリ金属の炭酸化による白華現象が生じないシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができる。
この構成によれば、効率的にシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができ、もって大量処理が容易に可能となり、コストを低減することができる。
なお、本明細書において、「常温」は、5℃〜35℃の範囲内の温度を意味する。
この構成によれば、効率的にシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができ、もって大量処理が容易に可能となり、コストを低減することができる。
この構成によれば、効率的にシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができ、もって大量処理が容易に可能となり、コストを低減することができる。
なお、本明細書において、「常圧」は、約1013.25hPa(1atm)の圧力を意味する。
この構成によれば、シリカ膜の中のアルカリ金属をより確実に除去することができる。
さらに、本発明によれば、シリカ被膜が多孔質であることにより吸着能及び脱臭能が向上された、環境負荷の小さい産業用軽量材料としてのシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体及びその製造方法を提供することができる。
本発明のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体は、少なくとも、基材としてのペーパーハニカムコアと、該ペーパーハニカムコアの表面に形成されたシリカ膜とを有し、必要に応じて、その他の部材を有する。
前記ペーパーハニカムコアは、非常に安価で、大きさを容易に調整することができるものである。
前記ペーパーハニカムコアの構造としては、ハニカム構造である限り、特に制限はなく、目的に応じて、連続する空隙の形状や大きさを適宜選択することができ、例えば、図1における側面Sにおいて、空隙の形状が、三角形が連続した形状であり、前記ペーパーハニカムコアの空隙の断面形状(図1における上面Uと平行な面に沿った断面の形状)が、六角形が連続した断面形状であるハニカム構造、などが挙げられる。
前記ペーパーハニカムコアの材料としては、紙(ペーパー)である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下級印刷紙、未塗工紙、コート紙、アート紙、工業用雑種紙、板紙、ダンボール紙、クラフト紙、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記ペーパーハニカムコアは、古紙を原料として製造することもできる。この場合は、古紙を水と攪拌してパルプ化したものに添加剤(例えば、サイズ剤、紙力増強剤)を加え、製造される。
前記ペーパーハニカムコアの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、容易に調整することができる。
前記シリカ膜としては、基材としてのペーパーハニカムコアの表面に形成されている限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化して得られるシリカ及び炭酸アルカリ金属塩を、蒸気養生して形成されているもの、炭酸化されなかった一部のアルカリ金属が水又は弱酸性溶液で処理されることで形成されるもの、などが挙げられる。
前記シリカ膜は、空気中に長時間放置しても白華現象を生じないとの観点からは、ナトリウム、カリウム及びリチウムの合計含有量が少ない方が好ましい。これにより、シリカ膜は、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の合計含有量が少ないため、空気中に長時間放置してもアルカリ金属の炭酸化による白華現象が生じない。
一方、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の合計含有量が多い場合には、断熱材などの建材として使用するときに、長期間においてシリカ膜の内部から少しずつアルカリ金属が溶出してくることにより、シリカ膜表面が弱アルカリ性になることによって、断熱材などのカビ発生を防止する効果がある。
さらに、前記シリカ膜を形成させたペーパーハニカムコアの表面に、シリカと石灰との水熱反応によって生成するケイ酸カルシウム水和物を形成させる場合、シリカ中にアルカリ金属を含有していると、この水熱反応は低温化と短時間化の効果がある。
前記シリカ膜におけるシリカの含有量が70質量%以上であると、耐衝撃性、耐水性を向上させることができ、また、前記より好ましい範囲内であると、高比表面積、絶縁性の点で有利である。
ここで、前記シリカ膜におけるシリカ以外の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、上述したナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、などが挙げられる。
前記シリカ膜におけるシリカのBET比表面積が30m2/g〜700m2/gであると、シリカゲルと同様に、触媒担体、吸着材、調湿材、保温材などの幅広い用途に好適に応用でき、また、前記より好ましい範囲内であると、耐熱衝撃や調湿機能の点で有利である。
なお、ここで、BET比表面積は、従来公知の測定方法にて算出することができる。
前記シリカ膜の膜厚が1μm〜700μmであると、基材表面に形成された場合に、基材表面から剥離し難くなり、また、前記より好ましい範囲内であると、熱衝撃を受けても剥離しにくく、湿度調節の点で有利である。
本発明のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法は、本発明のペーパーハニカム構造体を製造する方法であり、少なくとも、塗布工程と、炭酸化蒸気養生工程とを含み、さらに必要に応じて、除去工程等の他の工程を含む。
前記塗布工程は、基材としてのペーパーハニカムコアの表面にケイ酸アルカリ金属塩水溶液を塗布する工程である。この塗布により、ケイ酸アルカリ金属塩が基材としてのペーパーハニカムコアに含浸される。
前記ケイ酸アルカリ金属塩水溶液は、「水ガラス」とも称されるが、ケイ酸アルカリ金属塩水溶液の中のケイ酸アルカリ金属塩は、一般式M2O・nSiO2で示され、Mは、アルカリ金属であるナトリウム(Na)、カリウム(K)及びリチウム(Li)からなる群より選択される少なくとも1つを示し、nは、M2OとSiO2とのモル比を示す。本発明では、nは、1〜5であり、前記ケイ酸アルカリ金属塩水溶液の中におけるケイ酸アルカリ金属塩の濃度は、2質量%〜30質量%であることが好ましい。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗り、スプレー塗り、刷毛塗り、ローラーブラシ塗り、へら塗り、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、浸漬塗りが、絡み合った繊維の裏側や繊維間の奥深くまで浸透していく点で、好ましい。
前記炭酸化蒸気養生工程は、炭酸化工程と、蒸気養生工程とを含む工程である。
前記炭酸化工程は、前記塗布されたケイ酸アルカリ金属塩水溶液におけるケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化する工程である。
前記炭酸化は、炭酸ガスを流す方法ではなく、炭酸ガスを充填する方法にて行うことができる。炭酸ガスを充填する方法における炭酸化は、炭酸ガスが存在すると可能であり、特に炭酸ガスの濃度を規定する必要はない。ただし、炭酸ガスの濃度が高い場合には、炭酸化の促進効果がある。
2KOH+CO2→K2CO3+H2O
ここで、従来の技術によれば、ケイ酸アルカリ金属塩水溶液に炭酸ガスを接触させると、白い粉状の炭酸アルカリ金属塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)とシリカ(酸化ケイ素)とに分離して、白い粉状の炭酸アルカリ金属塩が析出する(「白華現象」と称する)ため、できるだけこの炭酸塩を生成しないように炭酸ガスを除去する方法又は炭酸ガスを用いない方法でシリカ被膜形成が行われていた。
前記蒸気養生工程は、前記炭酸化工程にて得られたシリカ及び炭酸アルカリ金属塩を蒸気養生する工程である。
前記蒸気養生とは、適度な温度と湿度を確保して、水ガラスを炭酸化して基材の表面に形成されたシリカ膜を、強固で安定したシリカ膜にするために行われるものである。蒸気養生における加温には、養生促進効果がある。
これらの中でも、炭酸アルカリ金属塩を溶解しやすい点で、水が最も好ましい。また、水を用いた場合には、基材の特性を阻害しない限り、水以外の他の物質を添加してもよい。
前記蒸気養生の温度が40℃〜160℃であると、効率的にシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができ、もって大量処理が容易に可能となり、コストを低減することができ、また、前記さらに好ましい範囲内であると、コスト低減化と共に高比表面積になる点で有利である。
前記蒸気養生の時間が0.5時間〜10時間であると、効率的にシリカ膜をペーパーハニカムコアの表面に形成することができ、もって大量処理が容易に可能となり、コストを低減することができ、また、前記さらに好ましい範囲内であると、コスト低減化と共に高比表面積になる点で有利である。
但し、蒸気養生槽へ炭酸ガスを流す方式を採用した場合にはこの限りではない。
前記除去工程は、前記炭酸化蒸気養生工程の後に、炭酸アルカリ金属塩を水又は弱酸性溶液で除去する工程である。
前記除去工程において、蒸気養生工程にて除去されなかった炭酸アルカリ金属塩に加えて、炭酸化工程にて炭酸化されなかった一部のアルカリ金属も、水又は弱酸性溶液で処理されてもよい。
また、本発明のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法により得られたシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体は、難燃化された上に高強度で水中に長時間浸漬しても変形や崩壊することなく、高比表面積を有し、優れた吸湿機能があることから、建材として調湿機能を有する耐火性断熱材、水中や空気中での浄化材、吸着材、調湿材として利用でき、難燃性、耐衝撃性材料としても応用可能である。
<試験体>
ペーパーハニカム(基材)として、新日本フェザーコア株式会社製の積層板を用いた。試験体は、図1に示すように、A(50mm)×B(15mm)×C(30mm)の大きさに調整した。
各濃度のケイ酸アルカリ金属塩水溶液(水ガラス)に試験体を浸漬させた後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温にて2時間程度放置した。なお、一部の試験体については、水ガラスへの浸漬と室温放置とを繰り返した。試験体は半乾き状態にしてから次のシリカ被膜形成処理を行った。
図2に示したように、乾燥器内に小型蒸気養生装置1を準備し、その内部にステンレス製の網2を置き、その網2上にケイ酸アルカリ金属塩を含浸させた試験体3を載せた。蒸気養生装置1の下部には水4を入れ、さらに炭酸ガス5を充填して蒸気養生を行い、シリカ被膜形成処理を行った。次に、シリカ被膜処理した試験体を流水中に浸漬し、Na2CO3の残存やアルカリ金属の内部からの溶出がないことを確認するために、リトマス試験紙を用いて試験体表面のpHが中性であることを判定の基準とした。
<シリカ被膜の膜厚測定>
膜厚は、デジタルマイクロスコープVHX−200(株式会社キーエンス製)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
圧縮強度は、島津製作所製のAutograph AG−100kNGを用いて、クロスヘッド移動速度2mm/min.で、試験体の垂直方向(B方向)に圧縮して強度を測定した。なお、湿度は75%であった。測定結果を表1と図4に示す。
BET比表面積測定装置(湯浅アイオニクス株式会社製オートソーブ−1−AG)を用いて、十分に加熱脱気した試験体について、窒素ガスを吸着させる3点法により測定を行った。測定結果を表1に示す。
ガラス製デシケータの底部に過飽和塩化ナトリウム水溶液を入れ、デシケータ用中板の上に試験体を置き、湿度70%で15時間吸湿させた後に吸湿率測定を行った。測定結果を表1に示す。過飽和塩化ナトリウム水溶液を用いることで湿度75%を想定したが、試験体の吸湿により15時間後のデシケータ内の湿度は70%であった。測定結果を表1に示す。
ガスバーナーを用いて、バーナーの出口より炎の高さが50mmになるように調整した。その位置にステンレス製網をセットし、網の上に試験体を置いて30秒間燃焼試験を行った。その時の炎の温度は950℃であった。具体的には、試験体の形体が全く変化しなかった状態を「◎」、燃焼せずに形体の変形が確認できた状態を「○」、燃焼によって変化した状態を「×」とした。試験結果を表1に示す。
流水試験は、試験体を流水中に一週間浸漬させ、その後の試験体の状態を目視により評価した。具体的には、試験体に全く変化がない状態を「◎」、試験体にほとんど変化がない状態を「○」、試験体の積層状態に変化が見られた状態(崩れた状態)を「×」とした。評価結果を表1に示す。
走査型顕微鏡(日本電子製のJSM−5200LV)により各試験体の表面を観察した。比較例1と実施例2の観察結果を図3(a)及び(b)に示す。
試験体を水溶液濃度5質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、60℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:200hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝すと、白煙が上がり、変形が始まった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度20質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、60℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:200hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
未処理の試験体(後述する比較例1)とシリカで被覆処理された試験体(実施例2)とのSEM観察写真を図3(a)と(b)に示す。未処理の試験体は、図3(a)に示すようにセルロース繊維が絡み合って構成されているのが観察される。シリカで被覆された試験体は、図3(b)に示すように全面に小さな斑点状の模様は観察されるが、亀裂はなく滑らかな表面状態であった。左側の白い2つの大きな斑点は異物である。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度20質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、40℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:74hPa)を5時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度30質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、120℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:2019hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度30質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、140℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:3707hPa)を1時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度20質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置し、その後、水ガラスに浸漬し、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置するという工程を3回繰り返し、前記繰り返し工程における最後の放置は2時間程度の放置として、半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、60℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:200hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
未処理の試験体(後述する比較例1)とシリカで被覆処理された試験体(実施例6)との圧縮強度を図4(a)と(b)に示す。未処理の試験体は、図4(a)に示すように圧縮強度は弱く、圧縮応力に対して急激には破壊されないが、少しずつ歪みながら破壊されていくのがわかる。一方、シリカで被覆された試験体は、図4(b)に示すように圧縮強度は強く、シリカ被膜を形成することによって圧縮応力に対する抵抗力が大きく、破壊は急激に進むことがわかる。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度30質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置し、その後、水ガラスに浸漬し、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置するという工程を3回繰り返し、前記繰り返し工程における最後の放置は2時間程度の放置として、半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、60℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:200hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度30質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置し、その後、水ガラスに浸漬し、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に1時間程度放置するという工程を6回繰り返し、前記繰り返し工程における最後の放置は2時間程度の放置として、半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、60℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:200hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度20質量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)30gと水溶液濃度20質量%のK2O・SiO2水溶液(水ガラス)30gを混合した水ガラスに浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置して半乾き状態にした。
次に、図2に示すような蒸気養生装置内の下部に水を入れ、ステンレス網の上に試験体を載せた。さらに、炭酸ガスを充填して、90℃で蒸気養生処理(蒸気の分圧:706hPa)を3時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが中性であることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸漬しても形体の変化は全く見られず、浸漬前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
試験体を水溶液濃度30重量%のNa2O・3.4SiO2水溶液(水ガラス)に浸漬した後、表面の過剰な水ガラスを除去して室温に2時間程度放置として、半乾き状態にした。
次に、ステンレス網の上に試験体を載せ、図2に示すような蒸気養生装置(下部に水を入れていない)内に入れた。さらに、炭酸ガスを充填して、23℃(室温)で養生処理(蒸気の分圧:28hpa)を72時間行い、試験体表面にシリカ被膜を形成させた。
その後、試験体は流水中に浸漬し、リトマス試験紙を用い、試験体表面のpHが9.2あることを確認した。
得られたシリカ被膜が形成された試験体について、シリカ被膜の膜厚測定、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸水率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、30秒間バーナーの炎に曝しても形体を保持したまま燃焼しなかった。
流水試験においては、水中に1週間浸透しても形態の変化は全く見られず、浸水前後の強度を指圧によって比較した結果、変化はなかった。
未処理の試験体(シリカ被膜が形成されていない試験体)について、圧縮強度測定、BET比表面積測定、吸湿率測定、燃焼試験、流水試験を行った。結果を表1に示す。
燃焼試験においては、バーナーの炎に曝されると5秒間で燃焼し始めた。
流水試験においては、10分間浸漬後に試験体の積層部分が膨潤したようになり、水を緩やかに掻き回すと積層の接着面が剥がれて試験体はバラバラになった。
処理温度が低くなると、比表面積が大きくなり、それに伴い吸湿率も大きくなる傾向がある。しかしながら、処理温度が高くなると、シリカ分子同士の結合が進み、細孔が減少するために、比表面積が小さくなり、それに伴って吸湿率も小さくなるが、強度が大きくなり、燃焼温度が高くなり、流水中での試験体の形体はより安定性を増す傾向がある。
2 ステンレス製の網
3 基材
4 水(溶媒又は溶液)
5 炭酸ガス(CO2)
A 横幅
B 縦幅
C 高さ
S 側面
U 上面
Claims (8)
- 基材としてのペーパーハニカムコアの表面に、シリカ膜を有しており、
前記シリカ膜におけるシリカのBET比表面積が520m 2 /g〜603m 2 /gであり、
前記シリカ膜は、膜厚が126μm〜320μmであることを特徴とするシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体。 - 前記シリカ膜は、ケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化及び蒸気養生して形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体。
- 前記シリカ膜におけるシリカの含有量が70質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペーパーハニカム構造体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体を製造する方法であって、
基材としてのペーパーハニカムコアの表面にケイ酸アルカリ金属塩水溶液を塗布する塗布工程と、
前記塗布されたケイ酸アルカリ金属塩水溶液におけるケイ酸アルカリ金属塩を炭酸化及び蒸気養生する炭酸化蒸気養生工程と、を含むことを特徴とするシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法。 - 前記炭酸化蒸気養生工程において、常温〜160℃の温度範囲内で蒸気養生することを特徴とする請求項4に記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法。
- 前記炭酸化蒸気養生工程において、0.5時間〜90時間の範囲内で蒸気養生することを特徴とする請求項4又は5に記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法。
- 前記炭酸化蒸気養生工程において、蒸気の分圧を常圧〜6500hPaの範囲内として蒸気養生することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法。
- 前記炭酸化蒸気養生工程の後に、炭酸アルカリ金属塩を水又は弱酸性溶液で除去する除去工程をさらに含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載のシリカ被膜付きペーパーハニカム構造体の製造方法。
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