JP5868102B2 - シリカボードの製造方法並びにその製造方法により得られる強耐火性シリカボード - Google Patents

シリカボードの製造方法並びにその製造方法により得られる強耐火性シリカボード Download PDF

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Description

本発明は、シリカボードを製造するための方法並びにその製造方法により得られるシリカボードに関し、詳しくは、吸水状態において高い強度を有する強耐火性のシリカボード並びに該シリカボードの製造方法に関するものである。
従来より、耐火性を有するボードとして、シリカボードやケイカル(ケイ酸カルシウム)系ボード、セラミック系ボードなどがあり、トンネルや地下駐車場など、火災発生直後の消火が困難な構造物の壁面に有効に利用されている。
そのうち、シリカボードは、二酸化ケイ素を主成分とするものであって、1000度を越える熱に対して耐性を有し、かつ、コストパフォーマンスに優れていることから、建造物壁面の耐火ボードとして多く利用されている。
しかしながら、かかる従来のシリカボードについて、表面温度が上昇するにつれ裏面温度も上昇していくものであり、例えば表面温度が1000度を超えるような場合、耐火ボードとして多く採用されている寸法の厚さ20mm程度の従来シリカボードでは、裏面が350度以上にまで上昇してしまうこととなる。これは、通常シリカボード裏面にはコンクリートが当接しており、該コンクリートのが350度以上の温度で劣化が始まることに鑑みると、火災の際にシリカボードでは本来保護すべき対象であるコンクリートの劣化を防ぐことができないこととなる。
ところで、シリカボードの主成分である二酸化ケイ素には、水分の吸着性能が強く備わっており、かつ、吸着した水分の蒸発には時間がかかる性質を有している。したがって、該二酸化ケイ素を多く含むシリカボード自体も、水分を良く吸収するとともに、吸収した水分が外部に蒸発するのにかなりの時間を要する。そこで、かかるシリカボードの性質を利用し、該シリカボードに予め水分を吸収させた状態で耐火ボードとして使用することで、耐火性能の向上を図ることが可能である。具体的には、シリカボードの表面温度が1000度を超えるような場合であっても、該シリカボードに吸収されている水分の作用で、裏面は水の沸点である100度までしか上昇せずに、その状態がシリカボードから水分が蒸発するまで維持される。
しかしながら、従来のシリカボードは、水分を吸収することで強度が著しく低下してしまうという問題があった。すなわち、シリカボードを壁材として使用する場合にある程度の強度が要求されるところ、耐火性を重視して水分を多く含ませれば含ませるほど、その強度は低下してしまって(加水劣化)、壁材としての利用に支障をきたしてしまうこととなる。したがって、従来のシリカボードを耐火ボードとして使用する場合には、水分を吸収させることなしに使用されているのが現状である。
また、従来のシリカボードの耐久性について、1000度以上の環境下において、せいぜい2時間程度が限界であり、それを超えると耐火ボードとして意味を成さなくなってしまう。
特許第2754316号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、水分を含有した状態でも高い強度を有した、強耐火性を備えるシリカボードを提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、二酸化ケイ素とアルミナを主成分として組成されたシリカ繊維を、裁断機で裁断して長さ1〜4mmのシリカ片を生成する裁断工程と、前記裁断工程により生成されたシリカ片を所定容器に入れ、そこへ水並びにポリビニルアルコールを混入して撹拌を行うことでシリカペーストを生成する第一撹拌工程と、前記第一撹拌工程により生成されたシリカペーストを所定型枠に入れ、所定圧力にて加圧して脱水することで、所定形状のシリカ固体を生成する脱水工程と、前記脱水工程により生成されたシリカ固体を所定容器に入れ、そこへ水、ボロン並びにポリビニルアルコールを混入して撹拌を行うことで再度シリカペーストを生成する第二撹拌工程と、前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストを所定型枠に入れ、所定圧力にて加圧して脱水することで、所定形状のシリカ原板を成型する成型工程と、前記成型工程により成型されたシリカ原板を70〜150度の低温域に熱せられた低温炉内に置いて乾燥処理を行う乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥したシリカ原板を、高温炉内で加熱・焼成する焼成工程と、前記焼成工程により加熱・焼成されたシリカ原板を冷却する冷却工程と、から成るシリカボードの製造方法である。
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に係る発明に加え、前記第二撹拌工程後に前記成型工程へ移行する前工程として、前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストについて、所定容器に入れて振動を加えることで、シリカペースト上方に浮上する水分を除去する振動工程が備えられているシリカボードの製造方法である。
さらに、請求項3に係る発明は、前記裁断工程において用いられる前記シリカ繊維の組成割合として、二酸化ケイ素85〜99質量%、アルミナ1〜10質量%から成るシリカ繊維を採用したシリカボードの製造方法である。
またさらに、請求項4に係る発明は、前記第一撹拌工程における混合割合として、シリカ片100gに対し、水1〜3リットル、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルを採用したシリカボードの製造方法である。
さらにまた、請求項5に係る発明は、前記第二撹拌工程における混合割合として、シリカ固体100gに対し、水100〜1000ミリリットル、ボロン2〜10g、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルを採用したシリカボードの製造方法である。
そしてまた、請求項6に係る発明は、前記焼成工程において、高温炉内の温度を始めに1〜2時間かけて700度まで上昇させ、次いで700度の状態で1〜2時間保持し、その後1時間かけて1100度まで上昇させ、次いで1100度の状態で1時間保持する過程を経て、シリカ原板が加熱・焼成されるシリカボードの製造方法である。
本発明にかかるシリカボードの製造方法によれば、従来製法により製造されるシリカボードに比して、水分を含有していない通常の状態においても高い強度を有するとともに、吸水状態において通常時よりも更に強度が向上するという、従来為し得なかった優れたシリカボードを製造することが可能である。そして、本製造方法により製造されたシリカボードを吸水状態のまま耐火ボードとして使用することで、特にシリカボード裏面の温度上昇が抑制され、耐火性能の向上に優れた効果を発揮するものである。
本発明に係る製造方法によりシリカボードが製造される工程を示すフローチャートである。(実施例1) 本発明に係る製造方法における加熱・焼成の過程を示すグラフ図である。(実施例1) 本発明に係る製造方法によりシリカボードが製造される工程を示すフローチャートである。(実施例2) 本発明に係る製造方法により製造されたシリカボードと従来製法により製造されたシリカボードとの性能比較表である。(実施例3) 本発明に係る製造方法により製造されたシリカボードについての乾燥状態と吸水状態との性能比較表である。(実施例3)
本発明は、二酸化ケイ素とアルミナとで組成されたシリカ繊維から、裁断工程、第一撹拌工程、脱水工程、第二撹拌工程、成型工程、乾燥工程、焼成工程、冷却工程、という各工程を経てシリカボードを製造することを最大の特徴とする。以下、本発明にかかるシリカボードの製造方法並びにその製造方法により得られる強耐火性シリカボードの実施形態を、図面に基づいて説明する。
なお、本発明は、下記の実施形態に示した構成・態様に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の要旨に逸脱しない範囲で、任意に変更することができるものである。
図1は、本発明の第一の実施例に係る製造方法によりシリカボードが製造される工程を示すフローチャートである。本実施例に係るシリカボードの製造方法は、裁断工程と、第一撹拌工程と、脱水工程と、第二撹拌工程と、成型工程と、乾燥工程と、焼成工程と、冷却工程と、から構成されている。
裁断工程は、シリカ繊維を裁断してシリカ片を生成する工程である。
具体的には、シリカ繊維をチップ状に細かく裁断するものであって、裁断後の一のシリカ片の長さについて、裁断長さが長くなるほど最終的に通気性が良く軽いボードが製造されることとなるが、逆に強度は低下してしまうため、本発明においては一のシリカ片の長さをおよそ1〜4mm程度とする。なお、裁断により一のシリカ繊維から多数のシリカ片が生成されるが、シリカ片の長さを全て揃える必要はなく、夫々不揃いであって構わない。
裁断方法については、特に限定はしないが、裁断機による機械的に裁断する方法を採用することが好ましい。
本工程において使用するシリカ繊維は、二酸化ケイ素とアルミナを主成分として組成されている。二酸化ケイ素はシリカ繊維の主成分であり、本発明にかかるシリカボードの主成分にもなる。また、アルミナはシリカボードの強度に影響を及ぼすものであって、本工程においてアルミナが含有されたシリカ繊維を使用することで、強度的向上が図られる。
なお、該シリカ繊維について、二酸化ケイ素やアルミナ以外に、他の組成物が含まれているものも使用可能である。他の組成物としては、例えばチタンや砒素などが挙げられる。
シリカ繊維の組成割合については、特に限定するものではなく、上記二酸化ケイ素並びにアルミナの夫々の機能・役割を考慮して適宜決定すればよい。このとき、本発明にかかるシリカ繊維として、例えば、二酸化ケイ素85〜99質量%、アルミナ1〜10質量%の組成割合から成るものを使用することが考え得る。アルミナの組成割合は、完成したシリカボードに所定強度を保持させるため必要な量として決定されている。なお、本工程において使用するシリカ繊維については、組成割合だけを考慮するのではなく、高密度のものを使用することが望ましい。
なお、シリカ繊維に他の組成物が含まれる場合に、その組成割合について、例えばチタン0〜5質量%が含まれている場合が考え得る。
前記裁断工程後、次に第一撹拌工程へ移行する。該第一撹拌工程は、前記裁断工程により生成されたシリカ片からシリカペーストを生成する工程である。
具体的には、所定容器にシリカ片を入れ、そして該容器へ水とポリビニルアルコールを混入した状態で、撹拌機等により撹拌を行う。これにより、シリカペーストが生成される。このとき、シリカ片と水だけでなくポリビニルアルコールを混入するのは、シリカ片と水とが馴染み易くするためである。
本工程におけるシリカ片と水とポリビニルアルコールの混合割合については、特に限定するものではなく、夫々の機能・役割を考慮して適宜決定すればよい。本発明においては、例えばシリカ片100gに対し、水1〜3リットル、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルの混合割合とすることが考え得る。すなわち、シリカ片100gがペースト状となるために必要な水は、およそ1〜3リットルである。また、このシリカ片と水の混合割合においてお互いを馴染み易くするために必要なポリビニルアルコールは、およそ10〜50ミリリットルとなることから、当該混合割合が決定されている。
本工程の撹拌には、およそ5〜30分程度の時間を要することとなる。かかる撹拌の所要時間については、シリカ片がペースト状となるまでであって、すなわちシリカペーストが生成された段階で撹拌は終了する。
なお、本工程で撹拌に使用する容器については、特に限定するものではない。
前記第一撹拌工程後、次に脱水工程へ移行する。該脱水工程は、前記第一撹拌工程により生成されたシリカペーストを脱水し、シリカ固体を生成する工程である。
具体的には、シリカペーストを所定型枠に入れた状態で圧力を加えることで、余分な水分がシリカペーストから放出されて脱水が為されると同時に、当該所定型枠形状に固形化され、シリカ固体が生成されることとなる。
なお、本工程でのシリカペーストへの加圧は、単に余分な水分を脱水するためだけに行うものではなく、シリカ繊維の組織内部にまで水分を吸収させる目的もあり、この作用によりボードの硬質化が図られることとなる。
本工程において使用する型枠については、特に限定はなく、例えば100cm×100cm×100cmの立方型枠などが用いられる。かかる型枠にシリカペーストを入れ、上方から下方へ加圧機により圧力を加える。これによりシリカペースト内の余分な水分が放出され、かかる放出された水分を除去して脱水が行われる。なお、加圧にかかる圧力については、例えば5〜50kg/平方cm程度とし、当該圧力にて1〜20分ほどかけて加圧を行う。加圧により、シリカペーストは、型枠内において当初厚さからおよそ1/5〜1/2程度の厚さにまで凝縮されて固形化され、型枠形状に従った形状のシリカ固体となる。
前記脱水工程後、次に第二撹拌工程へ移行する。該第二撹拌工程は、前記脱水工程により生成されたシリカ固体から再度シリカペーストを生成する工程である。
具体的には、所定容器にシリカ固体を入れ、そして該容器へ水とボロンとポリビニルアルコールを混入した状態で、撹拌機等により撹拌を行う。これにより、再度シリカペーストが生成される。このとき、シリカ固体と水だけでなくボロンを混入するのは、ボロンにはシリカの融解温度を下げる性質があるためであり、これによりシリカの融点よりも低い温度で繊維同士を融着させることが可能となる。また、同様にポリビニルアルコールを混入するのは、シリカ固体と水とが馴染み易くするためであり、かつ、前記ボロンは単体だと約700度で焼失してしまうが、ポリビニルアルコールと混ぜ合わさることで、陶器のように固まる性質があるからである。
本工程におけるシリカ固体と水とボロンとポリビニルアルコールの混合割合については、特に限定するものではなく、夫々の機能・役割を考慮して適宜決定すればよい。本発明においては、例えばシリカ固体100gに対し、水100〜1000ミリリットル、ボロン2〜10g、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルの混合割合とすることが考え得る。すなわち、シリカ固体には既に水分が吸収されており、該シリカ固体100gをペースト状とするために必要な水は、前記脱水工程における脱水の状況にもよるが、およそ100〜1000ミリリットルとなる。また、シリカ固体100gの融解温度を下げるために必要なボロンは、およそ2〜10gである。さらに、このシリカ固体と水の混合割合においてお互いを馴染み易くするために必要なポリビニルアルコールはおよそ10〜50ミリリットルとなることから、当該混合割合が決定されている。
本工程の撹拌には、およそ5〜30分程度の時間を要することとなる。かかる撹拌の所要時間については、シリカ固体がペースト状となるまでであって、すなわちシリカペーストが再度生成された段階で撹拌は終了する。
なお、本工程で撹拌に使用する容器については、上記第一撹拌工程と同様、特に限定するものではない。
前記第二撹拌工程後、次に成型工程へ移行する。該成型工程は、前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストを脱水し、シリカ原板を成型する工程であり、上記脱水工程と特に工程に違いはなく、同様の構成態様となっている。
すなわち、シリカペーストを所定型枠に入れた状態で圧力を加えることで、余分な水分がシリカペーストから放出されて脱水が為されると同時に、当該所定型枠形状に固形化され、シリカ原板が成型されることとなる。
本工程において使用する型枠については、最終的に完成するシリカボードの形状に合わせて決定されるものであり、特に限定するものではなく、例えば100cm×100cm×100cmの立方型枠などが用いられる。加圧の方法や加圧圧力、加圧時間等については、上記脱水工程における場合と同様であるため、説明は省略する。加圧により、シリカペーストは、型枠内において当初厚さからおよそ1/5〜1/2程度の厚さにまで凝縮されて固形化され、型枠形状に従った形状のシリカ原板が成型されることとなる。
前記成型工程後、次に乾燥工程へ移行する。該乾燥工程は、前記成型工程により成型されたシリカ原板を乾燥する工程である。
すなわち、本工程は、上記脱水工程並びに成型工程において加圧脱水処理を行ってもなおシリカ繊維内に吸収され残存する水分について、さらに強制的に水分除去を行うための工程である。
具体的には、炉内温度が70〜150度の範囲内で低温域に熱せられた低温炉内に、前記成型工程で成型されたシリカ原板を載置して、乾燥処理が行われる。
本工程の乾燥には、およそ10〜50時間程度の時間を要することとなる。かかる乾燥のための所要時間については、シリカ原板が乾燥するまでにかかる時間によって決定される。
前記乾燥工程後、次に焼成工程へ移行する。該焼成工程は、前記乾燥工程により乾燥させたシリカ原板を加熱・焼成する工程である。
すなわち、500〜1300度程度の高温炉内に乾燥させたシリカ原板を載置し、およそ2〜7時間ほど加熱することで焼成が行われる。
本工程における焼成方法については、常法に従えばよく、特に限定するものではないが、例えば図2に示すような過程を経て、シリカ原板を加熱・焼成することが考え得る。
すなわち、高温炉内の温度設定について、始めに1〜2時間をかけてボロンの融点である700度まで徐々に上昇させる。次いで、該700度の状態を1〜2時間の間維持し、炉内を安定させる。その後、およそ1時間をかけて1100度まで更に徐々に上昇させる。そして最後に、該1100度の状態を約1時間の間維持する。以上の炉内温度設定の過程を経て、シリカ原板を加熱・焼成する方法が採り得る。かかる焼成方法を採用することにより、いったん700度域にて安定させることで、ボロンとポリビニルアルコールの相乗作用によりボードの硬質化を図ることができ、完成したシリカボードの強度向上に資することとなる。
前記焼成工程後、次に冷却工程へ移行する。該冷却工程は、前記焼成工程により加熱・焼成されたシリカ原板を冷却する工程である。
本工程における冷却の手法については、常法に従えばよく、自然冷却と人工的冷却とを問うものではない。
本実施例にかかるシリカボードは、以上の各工程を経て製造される。完成したシリカボードは、アルミナ成分が含有されているとともに、ボロンとポリビニルアルコールとの相乗作用により硬質化が図られていることから、高い強度を有するとともに、図4からわかるように、水分を吸収した状態で優れた強度を備えたシリカボードを提供するものである。
図3は、本発明の第二の実施例に係る製造方法によりシリカボードが製造される工程を示すフローチャートである。本実施例に係るシリカボードの製造方法は、裁断工程と、第一撹拌工程と、脱水工程と、第二撹拌工程と、振動工程と、成型工程と、乾燥工程と、焼成工程と、冷却工程と、から構成されている。
なお、本実施例における裁断工程から第二撹拌工程まで、及び、成型工程から冷却工程までは、上記第一の実施例と同様であるため、説明を省略する。
本実施例においては、前記第二撹拌工程後に振動工程が行われる。該振動工程は、前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストに振動を加える工程である。
すなわち、前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストを所定容器に入れた状態において、該容器ごと振動を加えることで、容器内のシリカペーストの上方に水分が浮上してくる。かかる浮上した水分を除去することで、シリカペーストにおけるシリカ繊維密度をより向上させることが可能となる。
本実施例にかかるシリカボードは、以上の各工程を経て製造される。完成したシリカボードは、高密度であるとともにアルミナ成分が含有されており、また、ボロンとポリビニルアルコールとの相乗作用により硬質化が図られていることから、高い強度を有するとともに、図4からわかるように、水分を吸収した状態で優れた強度を備えたシリカボードを提供するものである。
上記第一の実施例または第二の実施例に係る製造方法により製造されたシリカボード(以下、「本発明品」という。)について、従来製法により製造されたシリカボード(以下、「従来品」若しくは「従来シリカボード」という。)との性能比較試験を行った。また、本発明品について、乾燥状態と吸水状態との性能比較試験も行った。図4及び図5は、かかる性能比較試験の結果を示す表図である。
〈曲げ強度試験〉
図4は、本発明品と従来品について行った曲げ強度試験についての結果が示されている。なお、当該試験の方法については、図4中に記載されている通りである。
かかる試験結果からわかるように、従来品は通常時(吸水前)と吸水後とで約25%ほど強度が低下しているのに対し、本発明品では通常時と吸水後とで逆に約38%も強度が増している結果が得られた。また、通常時において本発明品は従来品の1.74倍の強度比であるのに対し、吸水時においては3.2倍の強度比となるため、本発明品が水に強いことが判る。なお、本発明品の試料7の試験結果について他試料に比し極端に数値が落ちているのは、該試料7が当初よりひび割れ等の欠陥があったものと推測される。
本試験により、加水劣化する従来品に比して、吸水後に強度が上昇する本発明品の性能が非常に優れているという結果を得られた。
〈加熱試験〉
図5は、本発明品における乾燥状態と吸水状態とについて行った加熱試験についての結果が示されている。当該試験の方法としては、試料であるボードの表面をガスバーナーによって900〜1100度で熱し、ボード裏面の温度を赤外線放射温度計にて計測する方法を採用した。なお、吸水状態の試験については、常に試料が吸水状態を保てるよう、水の入れられた容器内に試料をセットした状態で試験を行った。
かかる試験結果からわかるように、乾燥状態のシリカボードは、加熱開始から時間の経過とともにシリカボードの温度が右肩上がりで上昇していくのがわかる。具体的には、約10分経過した時点で約300度に達し、40分経過時には370度にまで上昇してしまった。これに対し吸水状態のシリカボードでは、加熱開始からシリカボードの温度が約60度に達するまで(約5分)は同じ様に上昇するが、60度を超えた時点で温度上昇が弱まって、約60〜80度の範囲内で温度推移する状態が40分経過時点まで継続維持される結果となった。以上の結果から、シリカボードを吸水状態とすることで、ボード裏面の温度上昇を抑制する作用効果を発揮することがわかった。
なお、吸水状態の本試験において、容器内に入れられた水の量は、試験前に比べ試験後に減っていることがわかった。これは、加熱によりボード中の水分が水蒸気となって蒸発し、その蒸発した分量だけ容器内の水をボードが吸水したものと推測される。
以上の試験を通し、本発明品は、吸水状態で使用することで、構造物壁材としての強度を充分に備えるとともに、耐火性能にも非常に優れたものとなる。これは、加水劣化する従来シリカボードでは、決して為しえなかった優れた作用効果である。すなわち、シリカボードを耐火ボードとして使用した場合に、ボード表面温度が1000度以上の環境下において、ボード裏面温度については従来シリカボードで350度以上に達してしまうのに対し、本発明品は60〜80度までしか上昇せず、しかもこの状態がボード中に水分を有している限り継続することとなる。したがって、本発明品は、強耐火性を備えるものである。
なお、上記本発明の作用効果を応用し、シリカボードに対して常に吸水できる吸水管を配置しておく態様も考え得る。この場合、シリカボード裏面に隣接して吸水管を配置する態様や、シリカボード内に配管用の孔若しくは凹部を形成する態様などが考え得る。かかる態様を採用することにより、シリカボードを常に吸水状態とすることが可能となって、ボード表面温度が1000度以上の環境下であっても、常にボード裏面温度を約60〜80度程度に抑えることが可能となる。
本発明に係る製造方法により製造されたシリカボードは、高密度であるとともにアルミナ成分が含有されており、また、ボロンとポリビニルアルコールとの相乗作用により硬質化が図られていることから、高い強度を有するとともに、特に水分を吸収した状態において優れた強度を備えているといった、従来にはない優れた作用効果を発揮するものであって、本発明に係るシリカボードの製造方法並びにその製造方法により得られる強耐火性シリカボードの産業上の利用可能性は大である。

Claims (6)

  1. 強耐火性を有するシリカボードの製造方法であって、
    二酸化ケイ素とアルミナを主成分として組成されたシリカ繊維を、裁断機で裁断して長さ1〜4mmのシリカ片を生成する裁断工程と、
    前記裁断工程により生成されたシリカ片を所定容器に入れ、そこへ水並びにポリビニルアルコールを混入して撹拌を行うことでシリカペーストを生成する第一撹拌工程と、
    前記第一撹拌工程により生成されたシリカペーストを所定型枠に入れ、所定圧力にて所定時間加圧して脱水することで、所定形状のシリカ固体を生成する脱水工程と、
    前記脱水工程により生成されたシリカ固体を所定容器に入れ、そこへ水、ボロン並びにポリビニルアルコールを混入して撹拌を行うことで再度シリカペーストを生成する第二撹拌工程と、
    前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストを所定型枠に入れ、所定圧力にて所定時間加圧して脱水することで、所定形状のシリカ原板を成型する成型工程と、
    前記成型工程により成型されたシリカ原板を70〜150度の低温域に熱せられた低温炉内に置いて乾燥処理を行う乾燥工程と、
    前記乾燥工程により乾燥したシリカ原板を、高温炉内で加熱・焼成する焼成工程と、
    前記焼成工程により加熱・焼成されたシリカ原板を冷却する冷却工程と、
    から成ることを特徴とするシリカボードの製造方法。
  2. 前記シリカボードの製造方法において、
    前記第二撹拌工程後に前記成型工程へ移行する前工程として、
    前記第二撹拌工程により生成されたシリカペーストについて、所定容器に入れて振動を加えることで、シリカペースト上方に浮上する水分を除去する振動工程が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のシリカボードの製造方法。
  3. 前記裁断工程において用いられる前記シリカ繊維の組成割合が、二酸化ケイ素85〜99質量%、アルミナ1〜10質量%、であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカボードの製造方法。
  4. 前記第一撹拌工程における混合割合が、シリカ片100gに対し、水1〜3リットル、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシリカボードの製造方法。
  5. 前記第二撹拌工程における混合割合が、シリカ固体100gに対し、水100〜1000ミリリットル、ボロン2〜10g、ポリビニルアルコール10〜50ミリリットルであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のシリカボードの製造方法。
  6. 前記焼成工程において、高温炉内の温度を始めに1〜2時間かけて700度まで上昇させ、次いで700度の状態で1〜2時間保持し、その後1時間かけて1100度まで上昇させ、次いで1100度の状態で1時間保持する過程を経て、シリカ原板が加熱・焼成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のシリカボードの製造方法。
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