JP6241375B2 - 着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物 - Google Patents

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本発明は、2−シアノアクリル酸エステルと着色剤を含有する着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物に関する。
2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、主成分である2−シアノアクリル酸エステルが有する特異なアニオン重合性により、被着体表面に付着する僅かな水分等の微弱なアニオンによって重合を開始し、各種材料を短時間で強固に接合することができる。そのため、所謂、瞬間接着剤として、工業用、医療用及び家庭用等の広範な分野において用いられている。例えば、特許文献1及び2には、各種の硬化促進剤を含有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物が記載されており、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(以下、「EPDM」と略す)等の難接着材料の接着に適していることが開示されている。
一方、接着工程における接着箇所や塗布量などを識別して、生産性を向上させるために、2−シアノアクリレート系接着剤組成物を着色することも提案されている。例えば、特許文献3には特定の酸で洗浄した油溶性染料を溶解させてなる着色された接着剤組成物が開示されている。また、特許文献4には、アニオン重合促進効果を示す基を有しない建染染料等を含む着色されたシアノアクリレート系接着剤組成物が開示されている。特許文献5には、金属原子を含有しないアゾ系色素顔料により着色されたシアノアクリレート系接着剤組成物が開示されている。更に、特許文献6には、2−シアノアクリレートに不溶解の合成樹脂膨張中空微小球と着色剤とを配合してなる2−シアノアクリレート系接着剤組成物が開示されている。
特開2001−164199号公報 特開2008−184527号公報 特開昭55−98268号公報 特開昭57−53577号公報 特開平2−202567号公報 特開平4−63885号公報
しかしながら、上記の特許文献1及び2に記載された2−シアノアクリレート系接着剤組成物では、EPDM等の黒色ゴムに対する接着速度は向上するものの、接着剤硬化物自体の白濁が生じ、接着部の見栄えが悪くなるという問題がある。
また、特許文献3〜5に記載の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、接着部を識別するために使用されるものであり、黒色被着体における白化を防止することや、接着剤硬化物の光沢を消すことはできない。更に、特許文献6に記載された2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、黒色の組成物を得ることはできるが、合成樹脂中空微小球の添加により増粘するため、低粘度品を必要とする場合に不適である。また、この組成物に硬化促進剤を添加すると、十分な白化防止ができない場合がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いて接着やポッティングを行う際に、接着剤硬化物自体の白濁を防止するとともに、硬化物の光沢を消すことができる2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、2−シアノアクリル酸エステルと着色剤を所定量含有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物であり、当該接着剤組成物の硬化物の明度L*及び光沢度が特定範囲の場合に、接着剤硬化物が白濁することなく、光沢も消すことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.2−シアノアクリル酸エステル(a)、着色剤(b)及び硬化促進剤(c)を含有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物であって、
前記2−シアノアクリル酸エステル(a)を100質量部とした場合に、着色剤(b)は0.0025〜10質量%であり、
前記着色剤(b)は、油溶性黒色染料又は補色関係にある油溶性染料の混合物であり、
前記2−シアノアクリレート系接着剤組成物をエチレン−プロピレン−ジエンゴム上に、厚さ100μmで成膜させた硬化物の明度L*が20以下であり、かつ、入射角60°の該硬化物の光沢度が70以下であることを特徴とする着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
2.上記硬化促進剤(c)、上記2−シアノアクリル酸エステル(a)を100質量部とした場合に、10〜20000ppmである上記1に記載の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
3.上記硬化促進剤(c)が、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、及び下記一般式(1)で表されるオニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種である上記1又は2に記載の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
+- (1)
[式中、C+はオニウムカチオンである。A-はR1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、アリール基、若しくはハロゲン原子である)。]
本発明に係る着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、2−シアノアクリル酸エステルと着色剤を所定量含有し、EPDM上で成膜させた硬化物の明度L*及び光沢度が特定の範囲である。そのため、接着剤硬化物自体が白濁することなく、光沢も消すことができるという効果を奏する。本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いると、EPDM等の黒色の被着体であっても接着部が目立たず、被着体の外観を損なうことはない。
前記2−シアノアクリレート系接着剤組成物が、更に硬化促進剤を含有する場合でも、接着剤硬化物の白濁や光沢が生じることはなく、硬化性を向上させることができる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る2−シアノアクリレート系接着剤組成物(以下、単に「接着剤組成物」ともいう)は、2−シアノアクリル酸エステル(a)と着色剤(b)を所定量含有し、EPDM上に、厚さ100μmで成膜させた硬化物の明度L*及び光沢度が特定の範囲のものである。本発明に係る接着剤組成物の各構成要素について、具体的に説明する。
前記「2−シアノアクリル酸エステル(a)」としては、2−シアノアクリレート系接着剤組成物に一般に使用される2−シアノアクリル酸エステルを特に限定されることなく用いることができる。この2−シアノアクリル酸エステルとしては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、2−オクチル、n−ノニル、オキソノニル、n−デシル、n−ドデシル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル、2,2,2−トリフルオロエチル及びヘキサフルオロイソプロピル等のエステルが挙げられる。これらの2−シアノアクリル酸エステルは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの2−シアノアクリル酸エステルのうち、EPDM等の難接着材料に対する接着性に優れることから、炭素数3以下のアルキル基を有する2−シアノアクリル酸エステルが好ましく、2−シアノアクリル酸エチルがより好ましい。
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、「着色剤(b)」を含有する。この着色剤は、接着剤組成物を着色するものであり、硬化物の明度L*及び光沢度が本発明の範囲内に入るものであれば、いずれの着色剤も使用することができる。着色剤(b)は、暗色の染料若しくは顔料、又は、赤色と青緑色、紫色と黄緑色、若しくは黄色と青紫色などの補色関係にある染料若しくは顔料の混合物が好ましい。
本発明に用いることが可能な顔料としては、例えば、アルミニウムレーキ系、モノアゾ系、ジアゾ系、アジン系、アントラキノン系、及び無機系等の顔料を挙げることができる。
上記アルミニウムレーキ系顔料としては、C.I.Acid Yellow 23、C.I.Acid Red 27、C.I.Food Red 14、及びC.I.Food Blue 1等が挙げられる。また、モノアゾ系顔料としては、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 167、及びC.I.Pigment Red 22等が挙げられる。ジアゾ系顔料としては、C.I.Pigment Orange 13、C.I.Pigment Yellow 63、及びC.I.Pigment Orange 16等が挙げられる。アジン系顔料としては、C.I.Pigment Black 1等が挙げられ、アントラキノン系顔料としては、C.I.Pigment Black 20、及びC.I.Pigment Black 31等が挙げられる。ここで、「C.I.」はカラーインデックス名(Colour Index Generic Name)の略称である。
上記無機系顔料としては、C.I.Pigment Black 7、C.I.Pigment Black 10、C.I.Pigment Black 11、C.I.Pigment Blue 27、及びC.I.Pigment Blue 29等が挙げられる。
また、本発明に用いることが可能な染料としては、例えば、モノアゾ系、ジアゾ系、キサンテン系、アジン系、アントラキノン系、インジゴイド系、ペリノン系、メチン系等の染料、及びこれらの混合染料が挙げられる。
上記モノアゾ系染料としては、C.I.Solvent Yellow 14等があり、ジアゾ系染料としては、C.I.Solvent Black 3等が挙げられる。また、キサンテン系染料としては、C.I.Acid Red 50、及びC.I.Acid Red 52等があり、アジン系染料としては、C.I.Solvent Black 5、及びC.I.Solvent Black 7等が挙げられる。
上記アントラキノン系染料としては、C.I.Disperse Red 9、C.I.Disperse Red 60、C.I.Solvent Green 3、C.I.Solvent Blue 35、C.I.Solvent Blue 105、C.I.Solvent Violet 12、C.I.Solvent Violet 13、C.I.Vat Blue 18、C.I.Vat Blue 19、C.I.Vat Blue 20、C.I.Vat Green 1、C.I.Vat Violet 1、C.I.Vat Violet 9、C.I.Vat Orange 1、C.I.Vat Orange 3、及びC.I.Vat Yellow 4等が挙げられる。
上記インジゴイド系染料としては、C.I.Food Blue 1、C.I.Vat Red 1、C.I.Vat Red 1、C.I.Vat Violet 2、C.I.Vat Blue 1、C.I.Vat Blue 3、C.I.Vat Blue 5、及びC.I.Vat Blue 14等が挙げられる。
これらの顔料及び染料は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記着色剤の中でも、黒色の被着体において接着部が目立たないことから、油溶性黒色染料又は補色関係にある油溶性染料の混合物を使用する。このような染料は市販されており、例えば、日本化薬社 登録商標「Kayaset」、山陽色素社 登録商標「SOPROTONER」、オリエント化学工業社 登録商標「NUBIAN」、大日精化工業社 登録商標「セイカファースト」、保土谷化学社 登録商標「AIZEN」、住化ケムテックス社 登録商標「Spirit」等を用いることができる。
上記着色剤は接着剤組成物の貯蔵安定性を向上させるために、予め有機酸で洗浄してから2−シアノアクリル酸エステルに添加することが好ましい。有機酸による洗浄方法は、例えば、特許文献3(特開昭55−98268号公報)、及び特許文献5(特開平2−202567号公報)等に記載された公知の方法を用いることができる。
着色剤(b)の含有量は、2−シアノアクリル酸エステル(a)を100質量部とした場合に、0.0025〜10質量%である。着色剤の含有量は0.005〜5質量%であることが好ましく、0.005〜3質量%であることがより好ましい。着色剤の含有量が0.0025質量%未満では、着色効果が不十分であり、本発明の効果を得ることができない。一方、着色剤の含有量が10質量%を超えると、接着剤組成物の貯蔵安定性が低下する場合がある。
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、EPDM上に厚さ100μmで成膜させた硬化物の明度L*が20以下であり、かつ、入射角60°の該硬化物の光沢度が70以下である。
上記硬化物の明度L*が20を超えると、接着剤硬化物自体が白濁し、被着体の外観を損なう場合がある。硬化物の明度L*は、着色剤の種類や添加量、及び後述する硬化促進剤の種類や添加量により、調整することができる。
また、上記入射角60°の硬化物の光沢度は、60以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましい。この光沢度が70を超えると、硬化物自体が白濁しない場合でも、光沢(ツヤ)があって、接着部が目立ってしまう。光沢度は、上記明度L*と同様に、着色剤の種類や添加量、及び後述する硬化促進剤の種類や添加量により、調整することができる。
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、更に硬化促進剤(c)を含有する一般的に接着剤組成物が硬化促進剤を含む場合は、硬化が速く、接着剤組成物が揮散する前に硬化するため、接着部周辺の白化現象を抑えることができるが、接着剤組成物が硬化促進剤を含むことにより、硬化物の白濁は生じやすくなる。本発明の接着剤組成物は硬化促進剤を含有する場合でも、硬化物の白濁が生じることはなく、光沢も消すことができる。
硬化促進剤は、2−シアノアクリレート系接着剤組成物のアニオン重合を促進するものであれば、いずれも使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類、ピロガロールアレン類、及びオニウム塩等が挙げられるが、接着剤硬化物の白濁がなく、光沢も消すことができることから、ポリエーテル化合物、及び下記一般式(1)のオニウム塩が好ましい。
+- (1)
[式中、C+はオニウムカチオンである。A-はR1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、アリール基、若しくはハロゲン原子である)。]
上記ポリエーテル化合物とは、複数のエーテル部分構造を骨格とする鎖状又は環状化合物のことである。このポリエーテル化合物としては、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、シラクラウンエーテル類及びシクロデキストリン類等が挙げられる。これらの中でも優れた接着速度を発現し、貯蔵安定性にも優れることからポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類及びシラクラウンエーテル類が好ましく、及びクラウンエーテル類がより好ましい。
上記ポリアルキレンオキサイド類とは、ポリアルキレンオキサイド及びその誘導体であって、例えば、特公昭60−37836号、特公平1−43790号、特開昭63−128088号、特開平3−167279号、米国特許第4386193号、米国特許第4424327号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、(1)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレンオキサイド、(2)ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリエチレングリコールジアルキルエステル、ポリプロピレングリコールジアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル等のポリアルキレンオキサイドの誘導体などが挙げられる。
また、クラウンエーテル類としては、例えば、特公昭55−2238号、特開平3−167279号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ベンゾ−12−クラウン−4、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、トリベンゾ−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6、ジベンゾ−14−クラウン−4、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、シクロヘキシル−12−クラウン−4、1,2−デカリル−15−クラウン−5、1,2−ナフト−15−クラウン−5、3,4,5−ナフチル−16−クラウン−5、1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−tert−ブチル−18−クラウン−6、1,2−ビニルベンゾ−15−クラウン−5等が挙げられる。シラクラウンエーテル類としては、例えば、特開昭60−168775号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、ジメチルシラ−11−クラウン−4、ジメチルシラ−14−クラウン−5、ジメチルシラ−17−クラウン−6等が挙げられる。
上記オニウム塩のカチオンは、下記一般式(2)で表される第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン及び一般式(3)で表される第三級スルホニウムカチオンが挙げられる。
Figure 0006241375
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の非置換若しくは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である;あるいは、R3〜R6の一部又は全部が、Aで示される原子と一緒になって、非置換又は置換の3〜10員環(ここで、該環はO、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し、該環の形成に関与していないR3〜R6は、前記で定義したとおりである;そしてAは、窒素原子又はリン原子を表す。なお、上記置換のアルキル基の具体例としては、例えば、アルコキシ基及びアルカノイル基が挙げられる。また、R3〜R6の一部が環を形成する場合、通常、R3〜R6のうちの2又は3つが環を形成する。R3〜R6の2つが環を形成する式(2)化合物の具体例としては、ピペリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。]
Figure 0006241375
[式中、R7〜R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の非置換若しくは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である;あるいは、R7〜R9の一部又は全部が、硫黄原子と一緒になって、非置換又は置換の3〜10員環(ここで、該環はO、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し、該環の形成に関与していないR7〜R9は、前記で定義したとおりである。なお、上記置換のアルキル基の具体例 としては、例えば、アルコキシ基及びアルカノイル基が挙げられる。]
第四級アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、イソプロピルトリメチルアンモニウム、n−ブチルトリメチルアンモニウム、イソブチルトリメチルアンモニウム、t−ブチルトリメチルアンモニウム、n−ヘキシルトリメチルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジイソプロピルジメチルアンモニウム、イソプロピルジメチル−n−プロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、トリイソプロピルメチルアンモニウム、イソプロピルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、メチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−プロピルアンモニウム、トリエチルイソプロピルアンモニウム、n−ブチルトリエチルアンモニウム、トリエチルイソブチルアンモニウム、t−ブチルトリエチルアンモニウム、ジ−n−ブチルジメチルアンモニウム、ジイソブチルジメチルアンモニウム、ジ−t−ブチルジメチルアンモニウム、n−ブチルエチルジメチルアンモニウム、イソブチルエチルジメチルアンモニウム、t−ブチルエチルジメチルアンモニウム、n−ブチルイソブチルジメチルアンモニウム、n−ブチル−t−ブチルジメチルアンモニウム、t−ブチルイソブチルジメチルアンモニウム、ジエチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルジイソプロピルアンモニウム、ジエチルイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、エチルトリ−n−プロピルアンモニウム、エチルトリイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルジ−n−プロピルアンモニウム、エチルジイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、ジエチルメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルジメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルイソプロピルメチルアンモニウム、エチルイソプロピルジメチルアンモニウム、エチルジイソプロピルメチルアンモニウム、エチルメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、トリイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、ジイソプロピルジ−n−プロピルアンモニウム、イソプロピルトリ−n−プロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルノニルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、トリメチルウンデシルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジメチルジスチリルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジパルミチルアンモニウム、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウム、ドデシル(フェロセニルメチル)ジメチルアンモニウム、N−メチルホマロトビニウム等のテトラアルキルアンモニウムカチオン;ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム等の芳香族アルキル基置換アンモニウムカチオン;トリメチルフェニルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム等の芳香族置換アンモニウムカチオン;ピロリジニウム(例えば、1,1−ジメチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、1,1−ジエチルピロリジニウム、1,1−テトラメチレンピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム)、ピペリジニウム(例えば、1,1−ジメチルピペリジニウム、1−エチル−1−メチルピペリジニウム、1,1−ジエチルピペリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム)、モルホリニウム(例えば、1,1−ジメチルモルホリニウム、1−エチル−1−メチルモルホリニウム、1,1−ジエチルモルホリニウム)等の脂肪族環状アンモニウムカチオン等が挙げられる。
また、第四級ホスホニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム等のカチオンを挙げることができる。
イミダゾリウムカチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウム、1,2,4−トリメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウム、2−n−ヘプチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾイミダゾリウム、3−メチル−1−フェニルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチル−1−フェニルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、2−ベンジル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ウンデシルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプタデシルイミダゾリウム等のカチオンが挙げられる。
ピリジニウムカチオンとしては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−n−プロピルピリジニウム、1−イソプロピルピリジニウム、1−n−ブチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルピリジニウム等のカチオンが挙げられる。
上記一般式(3)で表される第三級スルホニウムカチオンの具体例としては、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリプロピルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム等のカチオンが挙げられる。
上記カチオンの中でも、2−シアノアクリル酸エステルへの溶解性に優れること、及び硬化促進能と接着剤組成物の貯蔵安定性のバランスの点から、第四級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン又はピリジニウムカチオンがより好ましい。
次に、上記オニウム塩のアニオンは、R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、アリール基、若しくはハロゲン原子である)。R1及びR2のアルキル基の炭素数は1〜15が好ましい。
前記R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオンの具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、フッ化スルホン酸、塩化スルホン酸、臭化スルホン酸等のアニオンが挙げられる。また、炭素数1〜10のパーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘキサフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸のアニオン等が挙げられる。
また、前記(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンの具体例としては、ビス(メタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(エタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(プロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン等が挙げられる。
これらのアニオンの中でも、極性の低い熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現し、接着剤組成物の貯蔵安定性に優れること、また硬化物の外観も良好であることから、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、及びビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが好ましい。当該アニオンにおけるパーフルオロアルキル基の炭素数は、対応するオニウム塩の2−シアノアクリル酸エステルに対する溶解性や、接着剤硬化物の外観の観点から、1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
本発明に用いられるオニウム塩は、上記カチオンとアニオンの組合せであれば特に限定されない。オニウム塩の具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウムメタンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムメタンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムメタンスルホネート、1−エチルピリジニウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムメタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、アミルトリエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジルトリブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジラウリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ドデシル(フェロセニルメチル)ジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−ヘプチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−4−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラメチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルメチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルホスホニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及びトリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
これらの硬化促進剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物における上記硬化促進剤(c)の含有量は、2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜20000ppmであることが好ましく、25〜15000ppmであることがより好ましく、50〜10000ppmであることが更に好ましい。前記含有量が10ppm未満であると、硬化促進剤としての効果が十分に発現しない。一方、20000ppmを超えると、接着剤組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
本発明の接着剤組成物には、上記硬化促進剤の他に、従来、2−シアノアクリル酸エステルを含有する接着剤組成物に配合して用いられている安定剤、可塑剤、増粘剤、粒子、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤等を、目的に応じて、接着剤組成物の硬化性、接着強さ、及び硬化物の外観等を損なわない範囲で適量配合することができる。
安定剤としては、(1)二酸化硫黄及びメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、三弗化ホウ素メタノール及び三弗化ホウ素ジエチルエーテル等の三弗化ホウ素錯体、HBF4、並びにトリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤、(2)ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、カテコール及びピロガロール等のラジカル重合禁止剤などが挙げられる。これらの安定剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、可塑剤としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジペンタデシル、テレフタル酸ジオクチル、イソフタル酸ジイソノニル、トルイル酸デシル、ショウノウ酸ビス(2−エチルヘキシル)、2−エチルヘキシルシクロヘキシルカルボキシレート、フマル酸ジイソブチル、マレイン酸ジイソブチル、カプロン酸トリグリセライド、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、2−シアノアクリル酸エステルとの相溶性が良く、かつ可塑化効率が高いという点から、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエートが好ましい。これらの可塑剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとの共重合体、メタクリル酸メチルとその他のメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリアルキル−2−シアノアクリル酸エステル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの増粘剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。なお、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
(1)硬化物の明度L*
縦50mm×横50mm×厚さ3mmのEPDM板上に、着色された接着剤組成物を厚さ100μmになるように塗布し、23℃、60%RH環境下で3日間放置して硬化させた。この硬化物の明度L*を、JIS Z 8722「色の測定方法−反射及び透過物体色」に準じて、色彩色差計を用いて測定した。使用したEPDM、及び色彩色差計は以下の通りである。
黒色EPDM板:中京ゴム社製 EPDM−5065
測定装置:コニカミノルタ社製 CR−400
(2)硬化物の光沢度
上記(1)と同様にEPDM板上で接着剤組成物の硬化物を作製し、JIS Z 8741「鏡面光沢度−測定方法」に準じて、入射角60°の光沢度を測定した。
測定装置:コニカミノルタ社製 GM−268
(3)硬化物の外観
上記(1)で使用したEPDM板に、着色された接着剤組成物を数滴(約20mg)垂らし、23℃、60%RH環境下で3日間放置して硬化させた。この硬化物の外観を目視で観察した。
<評価基準>
3:硬化物が目立たない
2:硬化物があまり目立たない
1:硬化物が白濁、又は硬化物に光沢がある
2.着色剤の洗浄
1%メタンスルホン酸含有のメタノール溶液50gを撹拌しながら、着色剤5gを徐々に添加した。添加完了後、更に5分間撹拌して、濾別した。これを50℃で24時間減圧乾燥して、洗浄した着色剤を得た。
なお、洗浄しない着色剤は、市販品をそのまま使用した。
3.2−シアノアクリレート系接着剤組成物の製造
参考例1
2−シアノアクリル酸エチル100質量部に、二酸化硫黄20ppm、及びハイドロキノン1000ppmを配合し、これにペリノン及びアントラキノン系が混合された油溶性黒色染料(日本化薬社製 商品名「Kayaset Black A−N」)0.025%を加えて、室温(15〜30℃)で60分間撹拌、混合して接着剤組成物を製造した。得られた接着剤組成物を用いて、硬化物の明度L*、光沢度及び外観を評価した。結果は表3の通りである。
実施例1〜8、参考例2〜4
接着剤組成物に配合する着色剤、及び硬化促進剤を表1のように代えた以外は、参考例1と同様に製造した。評価結果は、表3の通りである。
Figure 0006241375
表1、2に記載した着色剤及び硬化促進剤は、以下のものを使用した。
Kayaset Black A−N、Kayaset Black B、Kayaset Black G、Kayaset Red A−BR、Kayaset Violet A−R、Kayaset Yellow A−G:日本化薬社製 商品名
SOPROTONER BLUE 2802:山陽色素社製 商品名
三菱カーボンブラック#2600:三菱化学社製 商品名
15−クラウン−5:日本曹達社製 商品名「クラウンエーテル O−15」
18−クラウン−5:キシダ化学社製 試薬
メチルトリ(n−オクチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:東京化成工業社製 試薬
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート:東京化成工業社製 試薬
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド:東京化成工業社製 試薬
メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート:新中村化学工業社製 商品名「M−90G」
4−tert−ブチルカリックス〔4〕アレーン−O,O’,O”,O’’’−四酢酸テトラエチル:スガイ化学工業社製 商品名「CALIXB4−EA」
・比較例1〜6
接着剤組成物に配合する着色剤、及び硬化促進剤を表2のように代えた以外は、実施例1と同様に製造した。評価結果は、表3の通りである。
Figure 0006241375
Figure 0006241375
表3の結果によれば、実施例1〜の接着剤組成物は、硬化物の明度L*及び光沢度が本発明の範囲内であることから、硬化物は白濁や光沢がなく、EPDM上でほとんど目立たなかった。一方、本発明の着色剤を含まない接着剤組成物(比較例1〜3)は、硬化物の明度L*又は光沢度が本発明の範囲外であることから、硬化物が白濁したり、硬化物に光沢が残ったりした。また、着色剤及び硬化促進剤を含有する接着剤組成物(比較例4〜6)でも、硬化物の明度L*及び光沢度が本発明の範囲内でない場合は、硬化物が白濁したり、硬化物に光沢が残ったりした。
本発明の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、所謂、瞬間接着剤として工業用、医療用及び家庭用等の広範な分野において、幅広い製品に利用することができる。特に、EPDM等の黒色系被着体を接着する場合など、従来から要求されている接着速度に加えて、接着部の外観も要求される用途に有用である。

Claims (3)

  1. 2−シアノアクリル酸エステル(a)、着色剤(b)及び硬化促進剤(c)を含有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物であって、
    前記2−シアノアクリル酸エステル(a)を100質量部とした場合に、着色剤(b)は0.0025〜10質量%であり、
    前記着色剤(b)は、油溶性黒色染料又は補色関係にある油溶性染料の混合物であり、
    前記2−シアノアクリレート系接着剤組成物をエチレン−プロピレン−ジエンゴム上に、厚さ100μmで成膜させた硬化物の明度L*が20以下であり、かつ、入射角60°の該硬化物の光沢度が70以下であることを特徴とする着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
  2. 上記硬化促進剤(c)、上記2−シアノアクリル酸エステル(a)を100質量部とした場合に、10〜20000ppmである請求項1に記載の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
  3. 上記硬化促進剤(c)が、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、及び下記一般式(1)で表されるオニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
    +- (1)
    [式中、C+はオニウムカチオンである。A-はR1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、アリール基、若しくはハロゲン原子である)。]
JP2014133628A 2014-06-30 2014-06-30 着色された2−シアノアクリレート系接着剤組成物 Active JP6241375B2 (ja)

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