JP2014167097A - 2−シアノアクリレート系接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現するとともに、貯蔵安定性も良好な2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供する。
【解決手段】2−シアノアクリル酸エステル(a)と、特定のオニウム塩(b)と、包接能を有する化合物(c)とを含有することを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。前記包接能を有する化合物(c)が、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類及びピロガロールアレン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、2−シアノアクリル酸エステルを主成分とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物に関する。
2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、主成分である2−シアノアクリル酸エステルが有する特異なアニオン重合性により、被着体表面に付着する僅かな水分等の微弱なアニオンによって重合を開始し、各種材料を短時間で強固に接合することができる。そのため、所謂、瞬間接着剤として、工業用、医療用及び家庭用等の広範な分野において用いられている。しかし、2−シアノアクリレート系接着剤組成物の硬化はアニオン重合により進行するため、被着体が酸性を呈する木材、酸化被膜を形成し易い金属の場合には、アニオン重合が阻害され、結果として接着速度が遅くなり、十分な接着強さを得ることはできないという問題がある。また、被着体が極性の低い熱可塑性エラストマー等の場合には、アニオン重合が抑制され、接着速度が遅くなるという問題がある。従来このような問題を解決するために、各種の添加剤が提案されている。例えば、特許文献1にはクラウンエーテル類を含有する接着剤組成物が開示されており、特許文献2にはポリアルキレンオキサイド類を含有する接着剤組成物が開示されている。また、特許文献3及び4には、カリックスアレン類を含有する接着剤組成物が開示されている。更に、特許文献5には、相間移動触媒を2−シアノアクリレート系組成物の硬化促進剤として使用することや、特許文献6にはトリハロゲンアルカンスルホン酸塩を配合することが記載されている。
特開昭53−129231号公報 特開昭63−128088号公報 特開昭60−179482号公報 特開2000−44891号公報 英国特許出願公開第2228943号明細書 特開2000−73014号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示される接着剤組成物は、各種被着体の接着速度を短縮することはできるものの、被着体が極性の低い熱可塑性エラストマーの場合の接着速度は満足できるものではなかった。また、特許文献5に具体的に記載された相間移動触媒を硬化促進剤として使用した場合や、特許文献6に記載されたトリハロゲンアルカンスルホン酸塩を配合した場合でも、被着体が極性の低い熱可塑性エラストマーの場合の接着速度は不十分であった。更に接着速度を向上させたいがために、こうした硬化促進剤を多量に加えた場合、接着剤組成物の貯蔵安定性の悪化を招くという問題があった。
本発明は、前記の従来の状況に鑑みてなされたものであり、極性が低い熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現するとともに、長期保管後の接着速度の劣化が起こりにくい接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の構造を有するオニウム塩と包接能を有する化合物を2−シアノアクリル酸エステルに配合することにより、極性が低い熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現するとともに、貯蔵安定性にも優れた接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下のとおりである。
1.2−シアノアクリル酸エステル(a)と、下記一般式(1)で表されるオニウム塩(b)と、包接能を有する化合物(c)とを含有することを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
+- (1)
[式中、C+は第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及び第三級スルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一つのオニウムカチオンであり、A-は硫酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基 、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、パーフルオロアルキル基、若しくはアリール基である)。]
2.前記包接能を有する化合物(c)が、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類及びピロガロールアレン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である上記1に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
3.前記ポリエーテル化合物が、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、シラクラウンエーテル類及びシクロデキストリン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である上記2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
4.前記オニウム塩(b)の含有量が、前記2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜20000ppmである上記1〜3のいずれかに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
5.前記包接能を有する化合物(c)の含有量が、前記2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜30000ppmである上記1〜4のいずれかに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物は、2−シアノアクリル酸エステルと、特定構造のオニウム塩と、包接能を有する化合物とを含有しているため、極性が低い熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現するとともに、貯蔵安定性も良好であり、特に長期保管後に接着速度の劣化が起こりにくい。
前記の通り、特定のオニウム塩と包接能を有する化合物を併用した場合に、熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現するとともに、貯蔵安定性も良好である理由は明らかではないが、次のように推定される。特定のオニウム塩のみの場合には、接着剤中の微量の水分と特定のオニウムから生じたごく微量の酸が触媒となり、2−シアノアクリル酸エステルが加水分解される。その結果生じた2−シアノアクリル酸により、接着時の重合が抑制されるため、長期保管後に接着速度が劣化する。これに対し、包接能を有する化合物を併用した場合には、加水分解の触媒となる酸と包接化合物を形成し、触媒としての作用を失活させるため、優れた接着速度の発現と貯蔵安定性の両立が可能となり得ると推定される。
以下、本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物(以下、単に「接着剤組成物」ともいう)について詳しく説明する。
本発明の接着剤組成物は、2−シアノアクリル酸エステル(a)と、特定の構造を有するオニウム塩(b)と、包接能を有する化合物(c)とを含有する。
前記「2−シアノアクリル酸エステル(a)」としては、この種の接着剤組成物に一般に使用される2−シアノアクリル酸エステルを特に限定されることなく用いることができる。この2−シアノアクリル酸エステルとしては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、2−オクチル、n−ノニル、オキソノニル、n−デシル、n−ドデシル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソプロピル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル、2,2,2−トリフルオロエチル及びヘキサフルオロイソプロピル等のエステルが挙げられる。これらの2−シアノアクリル酸エステルは1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの2−シアノアクリル酸エステルのうち、硬化性に優れることから、炭素数3以下のアルキル基を有する2−シアノアクリル酸エステルが好ましく、2−シアノアクリル酸エチルが更に好ましい。
本発明の接着剤組成物は、「下記一般式(1)で表されるオニウム塩(b)」を含有する。このオニウム塩は接着剤組成物の硬化促進剤として機能し、特に極性が低い熱可塑性エラストマーに対する接着速度を向上させる化合物である。
+- (1)
[式中、C+は第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及び第三級スルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一つのオニウムカチオンであり、A-は硫酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基 、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、パーフルオロアルキル基、若しくはアリール基である)。]
前記オニウム塩のカチオンは、下記一般式(2)で表される第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン及び一般式(3)で表される第三級スルホニウムカチオンが挙げられる。
Figure 2014167097
[式中、R3〜R6は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の非置換若しくは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である;あるいは、R3〜R6の一部又は全部が、Aで示される原子と一緒になって、非置換又は置換の3〜10員環(ここで、該環はO、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し、該環の形成に関与していないR3〜R6は、前記で定義したとおりである;そしてAは、窒素原子又はリン原子を表す。なお、上記置換のアルキル基の具体例としては、例えば、アルコキシ基及びアルカノイル基が挙げられる。また、R3〜R6の一部が環を形成する場合、通常、R3〜R6のうちの2又は3つが環を形成する。R3〜R6の2つが環を形成する式(2)化合物の具体例としては、ピペリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。]
Figure 2014167097
[式中、R7〜R9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の非置換若しくは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基又はアルキニル基である;あるいは、R7〜R9の一部又は全部が、硫黄原子と一緒になって、非置換又は置換の3〜10員環(ここで、該環はO、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい)を形成し、該環の形成に関与していないR7〜R9は、前記で定義したとおりである。なお、上記置換のアルキル基の具体例 としては、例えば、アルコキシ基及びアルカノイル基が挙げられる。]
第四級アンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、イソプロピルトリメチルアンモニウム、n−ブチルトリメチルアンモニウム、イソブチルトリメチルアンモニウム、t−ブチルトリメチルアンモニウム、n−ヘキシルトリメチルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジイソプロピルジメチルアンモニウム、イソプロピルジメチル−n−プロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、トリイソプロピルメチルアンモニウム、イソプロピルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、メチル−n−プロピルジイソプロピルアンモニウム、トリエチル−n−プロピルアンモニウム、トリエチルイソプロピルアンモニウム、n−ブチルトリエチルアンモニウム、トリエチルイソブチルアンモニウム、t−ブチルトリエチルアンモニウム、ジ−n−ブチルジメチルアンモニウム、ジイソブチルジメチルアンモニウム、ジ−t−ブチルジメチルアンモニウム、n−ブチルエチルジメチルアンモニウム、イソブチルエチルジメチルアンモニウム、t−ブチルエチルジメチルアンモニウム、n−ブチルイソブチルジメチルアンモニウム、n−ブチル−t−ブチルジメチルアンモニウム、t−ブチルイソブチルジメチルアンモニウム、ジエチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルジイソプロピルアンモニウム、ジエチルイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、エチルトリ−n−プロピルアンモニウム、エチルトリイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルジ−n−プロピルアンモニウム、エチルジイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、ジエチルメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルジメチル−n−プロピルアンモニウム、エチルメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジエチルイソプロピルメチルアンモニウム、エチルイソプロピルジメチルアンモニウム、エチルジイソプロピルメチルアンモニウム、エチルメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトライソプロピルアンモニウム、トリイソプロピル−n−プロピルアンモニウム、ジイソプロピルジ−n−プロピルアンモニウム、イソプロピルトリ−n−プロピルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、トリメチルペンチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルノニルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、トリメチルウンデシルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジメチルジスチリルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジパルミチルアンモニウム、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウム、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウム、ドデシル(フェロセニルメチル)ジメチルアンモニウム、N−メチルホマロトビニウム等のテトラアルキルアンモニウムカチオン;ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム等の芳香族アルキル基置換アンモニウムカチオン;トリメチルフェニルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム等の芳香族置換アンモニウムカチオン;ピロリジニウム(例えば、1,1−ジメチルピロリジニウム、1−エチル−1−メチルピロリジニウム、1,1−ジエチルピロリジニウム、1,1−テトラメチレンピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム)、ピペリジニウム(例えば、1,1−ジメチルピペリジニウム、1−エチル−1−メチルピペリジニウム、1,1−ジエチルピペリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム)、モルホリニウム(例えば、1,1−ジメチルモルホリニウム、1−エチル−1−メチルモルホリニウム、1,1−ジエチルモルホリニウム)等の脂肪族環状アンモニウムカチオン等が挙げられる。
また、第四級ホスホニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム等のカチオンを挙げることができる。
イミダゾリウムカチオンの具体例としては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−n−ブチル−2,3−メチルイミダゾリウム、1,2,4−トリメチル−3−n−プロピルイミダゾリウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリウム、1,2,3,4,5−ペンタメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウム、2−n−ヘプチル−1,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−エチル−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルベンゾイミダゾリウム、3−メチル−1−フェニルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチル−1−フェニルイミダゾリウム、1−ベンジル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−フェニルイミダゾリウム、2−ベンジル−1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ウンデシルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2−n−ヘプタデシルイミダゾリウム等のカチオンが挙げられる。
ピリジニウムカチオンとしては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−n−プロピルピリジニウム、1−イソプロピルピリジニウム、1−n−ブチルピリジニウム、1−n−ブチル−3−メチルピリジニウム等のカチオンが挙げられる。
前記一般式(3)で表される第三級スルホニウムカチオンの具体例としては、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、トリプロピルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム等のカチオンが挙げられる。
前記カチオンの中でも、2−シアノアクリル酸エステルへの溶解性に優れること、及び硬化促進能と接着剤組成物の貯蔵安定性のバランスの点から、第四級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン又はピリジニウムカチオンがより好ましい。
次に、前記オニウム塩のアニオンは、硫酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、パーフルオロアルキル基、若しくはアリール基である)。R1及びR2のアルキル基の炭素数は1〜15が好ましい。
前記R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオンの具体例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、10−カンファースルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、フッ化スルホン酸、塩化スルホン酸、臭化スルホン酸等のアニオンが挙げられる。また、炭素数1〜10のパーフルオロアルキルスルホン酸アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸、ヘキサフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸のアニオン等が挙げられる。
また、前記(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンの具体例としては、ビス(メタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(エタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(プロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン等が挙げられる。
これらのアニオンの中でも、極性の低い熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現し、接着剤組成物の貯蔵安定性に優れることから、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオン、硫酸水素アニオン及びビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオンが好ましく、パーフルオロアルカンスルホン酸アニオンが更に好ましい。
本発明に用いられるオニウム塩は、前記カチオンとアニオンの組合せであれば特に限定されない。オニウム塩の具体例としては、テトラエチルアンモニウム硫酸水素塩、テトラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩、メチルトリ−n−オクチルアンモニウム硫酸水素塩、アミルトリエチルアンモニウム硫酸水素塩、シクロヘキシルトリメチルアンモニウム硫酸水素塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム硫酸水素塩、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウム硫酸水素塩、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウム硫酸水素塩、2−n−ヘプチル−1,3−ジメチルイミダゾリウム硫酸水素塩、1−エチル−1−メチルピペリジニウム硫酸水素塩、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム硫酸水素塩、1−エチル−1−メチルピロリジニウム硫酸水素塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム硫酸水素塩、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム硫酸水素塩、1−エチルピリジニウム硫酸水素塩、1−エチル−3−メチルピリジニウム硫酸水素塩、1−ブチル−3−メチルピリジニウム硫酸水素塩、1−エチル−4−メチルピリジニウム硫酸水素塩、1−ブチルピリジニウム硫酸水素塩、1−ブチル−4−メチルピリジニウム硫酸水素塩、テトラメチルホスホニウム硫酸水素塩、トリエチルメチルホスホニウム硫酸水素塩、テトラエチルホスホニウム硫酸水素塩、テトラ−n−ブチルアンモニウムメタンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムメタンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムメタンスルホネート、1−エチルピリジニウムメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムメタンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルホスホニウムp−トルエンスルホネート、テトラエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリ−n−ブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、アミルトリエチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジルトリブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジデシルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジラウリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ヘキシルジメチルオクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ドデシル(フェロセニルメチル)ジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、2−エチル−1,3−ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−プロピルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−ペンチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1,3−ジメチル−2−n−ヘプチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピペリジウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピペリジウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−4−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−4−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラメチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルメチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラエチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。
本発明のオニウム塩は、公知の方法により製造することができる。例えば、Hiroyuki OhnoらのJ.Am.Chem.SOc.,2005,27,2398−2399、又はPeter WasserscheidらのGreen Chemistry,2002,4,134−138に記載のように、対応するオニウムハライドから製造することができる。
接着剤組成物における前記オニウム塩(b)の含有量は、2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜20000ppmであることが好ましく、25〜15000ppmであることがより好ましく、50〜10000ppmであることが更に好ましい。前記含有量が10ppm未満であると、硬化促進剤としての効果が十分に発現しない。一方、20000ppmを超えると、接着剤組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
本発明の接着剤組成物は、「包接能を有する化合物(c)」を含有する。ここで、包接能を有する化合物とは、金属イオン又はヒドロニウムイオンのような無機カチオンや、一級アンモニウムイオンのような有機カチオンを取り込み、対アニオンの活性化ができる化合物で、2−シアノアクリレート系接着剤組成物の硬化促進剤として従来知られているものである。本発明における包接能を有する化合物は、硬化促進機能を有するとともに、接着剤組成物の経時的な酸分の上昇を抑制する働きがある。該化合物の中では、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類及びピロガロールアレン類が本発明の目的を達成するとの理由から好ましい。また、これらの包接能を有する化合物は、2種以上を併用することもできる。
前記ポリエーテル化合物とは、複数のエーテル部分構造を骨格とする鎖状又は環状化合物のことである。このポリエーテル化合物としては、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、シラクラウンエーテル類及びシクロデキストリン類等が挙げられる。これらの中でも優れた接着速度を発現し、貯蔵安定性にも優れることからポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類及びシラクラウンエーテル類が好ましく、ポリアルキレンオキサイド類及びクラウンエーテル類がより好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイド類とは、ポリアルキレンオキサイド及びその誘導体であって、例えば、特公昭60−37836号、特公平1−43790号、特開昭63−128088号、特開平3−167279号、米国特許第4386193号、米国特許第4424327号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、(1)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレンオキサイド、(2)ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリエチレングリコールジアルキルエステル、ポリプロピレングリコールジアルキルエステル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル等のポリアルキレンオキサイドの誘導体などが挙げられる。
また、クラウンエーテル類としては、例えば、特公昭55−2238号、特開平3−167279号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ベンゾ−12−クラウン−4、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、トリベンゾ−18−クラウン−6、asym−ジベンゾ−22−クラウン−6、ジベンゾ−14−クラウン−4、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、シクロヘキシル−12−クラウン−4、1,2−デカリル−15−クラウン−5、1,2−ナフト−15−クラウン−5、3,4,5−ナフチル−16−クラウン−5、1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−tert−ブチル−18−クラウン−6、1,2−ビニルベンゾ−15−クラウン−5等が挙げられる。シラクラウンエーテル類としては、例えば、特開昭60−168775号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、ジメチルシラ−11−クラウン−4、ジメチルシラ−14−クラウン−5、ジメチルシラ−17−クラウン−6等が挙げられる。
シクロデキストリン類としては、例えば、特表平5−505835号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、α−、β−又はγ−シクロデキストリン等が挙げられる。
前記カリックスアレン類、チアカリックスアレン類及びピロガロールアレン類とは、フェノール類がメチレン基又は硫黄原子を介して複数個繋がった環状化合物のことである。
カリックスアレン類としては、例えば、特開昭60−179482号、特開昭62−235379号、特開昭63−88152号等で開示されているものが挙げられる。具体的には、5,11,17,23,29,35−ヘキサ−tert−butyl−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42−ヘキサ−(2−オキソ−2−エトキシ)−エトキシカリックス〔6〕アレン、25,26,27,28−テトラ−(2−オキソ−2−エトキシ)−エトキシカリックス〔4〕アレン、4−tert−ブチルカリックス〔4〕アレン−0,0’,0’’,0’’’−四酢酸テトラエチル等が挙げられる。
チアカリックスアレン類としては、例えば、特開2002−69261号で開示されている化合物が挙げられる。具体的には、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラキス(エトキシカルボメトキシ)−2,8,14,20−テトラチア[19,3,1,13,7 ,19,13 ,115,19 ]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン等が挙げられる。
ピロガロールアレン類としては、特開2000−191600号等で開示されている化合物が挙げられる。具体的には、3,4,5,10,11,12,17,18,19,24,25,26−ドデカエトキシカルボメトキシ−C−1、C−8、C−15、C−22−テトラメチル[14]−メタシクロファン等が挙げられる。
本接着剤組成物における前記包接能を有する化合物(c)の含有量は、2−シアノアクリル酸エステル100質量部に対して、10〜30000ppmであることが好ましく、50〜20000ppmであることがより好ましく、100〜10000ppmであることが更に好ましい。前記含有量が10ppm未満であると、極性が低い熱可塑性エラストマーに対する接着速度を向上させることができない。一方、前記含有量が30000ppmを超えると、接着剤組成物の貯蔵安定性が悪くなる場合がある。
本発明の接着剤組成物には、上記必須成分の他に、従来、2−シアノアクリル酸エステルを含有する接着剤組成物に配合して用いられている安定剤、可塑剤、増粘剤、粒子、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤等を、目的に応じて、接着剤組成物の硬化性及び接着強さ等を損なわない範囲で適量配合することができる。
安定剤としては、(1)二酸化硫黄及びメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、三弗化ホウ素メタノール及び三弗化ホウ素ジエチルエーテル等の三弗化ホウ素錯体、HBF4、並びにトリアルキルボレート等のアニオン重合禁止剤、(2)ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、カテコール及びピロガロール等のラジカル重合禁止剤などが挙げられる。これらの安定剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、可塑剤としては、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジペンタデシル、テレフタル酸ジオクチル、イソフタル酸ジイソノニル、トルイル酸デシル、ショウノウ酸ビス(2−エチルヘキシル)、2−エチルヘキシルシクロヘキシルカルボキシレート、フマル酸ジイソブチル、マレイン酸ジイソブチル、カプロン酸トリグリセライド、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、2−シアノアクリル酸エステルとの相溶性が良く、かつ可塑化効率が高いという点から、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、安息香酸2−エチルヘキシル、ジプロピレングリコールジベンゾエートが好ましい。これらの可塑剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増粘剤としては、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステルとの共重合体、メタクリル酸メチルとその他のメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリアルキル−2−シアノアクリル酸エステル及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの増粘剤は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着剤組成物に配合する粒子は、接着剤層の厚さを調整するためのものである。平均粒子径は10〜200μm、特に15〜200μm、更には15〜150μmであることが好ましい。粒子の材質は、2−シアノアクリル酸エステルに不溶であり、重合等の変質を引き起こさないものであれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ジアリルフタレート重合体等の架橋樹脂;球状シリカ、ガラスビーズ、ガラスファイバー等の無機化合物;シリコーン化合物;有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を含んでなる有機無機複合粒子等が挙げられる。また、粒子の含有量は特に限定されないが、2−シアノアクリル酸エステルを100質量部とした場合に、0.1〜10質量部、特に1〜5質量部、更に1〜3質量部であることが好ましい。粒子の含有量が0.1〜10質量部である場合は、硬化速度や接着強さに与える影響を少なくすることができる。
尚、本発明の粒子の平均粒子径は、電気的検知帯式粒度分布測定装置、又はレーザー回折式粒度分布測定装置によって測定した値である。
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
1.評価方法
(1)接着速度
JIS K 6861「α−シアノアクリレート系接着剤の試験方法」に準じて、23℃、60%RH環境下で接着速度を測定した。使用した試験片は次のとおりである。
・スチレン系熱可塑性エラストマー:リケンテクノス社製 商品名「アクティマー AE−2060S」
(2)粘度
E型粘度計を用い、25℃、100rpmの条件下にて測定した。
(3)貯蔵安定性
初期の接着速度及び粘度と、50℃、95%RH環境下で2週間保管後の接着速度及び粘度を比較して評価した。保管は、接着剤組成物1.5gを2gポリエチレン容器に密封して行った。
(4)酸分
[1]容量200mlの三角フラスコに試料3gを取り精秤する。
[2]この試料に試薬特級アセトン90mlを加えて希釈する。
[3]よく振り混ぜた後、蒸留水3mlを加える。
[4]指示薬として、ブロモフェノールブルー溶液(キシダ化学社製;pH試験用)数滴を加える。
[5]ミクロビュレットを用いて1/100規定のNaOH水溶液を1滴ずつ滴下し、溶液の色が黄色から青色に変わる点を中和終了点とする。
2.オニウム塩の合成
(1)合成例1(メチルトリ−n−オクチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホナート)
50mlナス型フラスコにメチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド(試薬)4.041g(10.00mmol)、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライトIRA900A OH AG」、強塩基型)13.2g(20mg当量)、トルエン25mlを仕込み、室温下で48時間攪拌した。イオン交換樹脂をろ別後、氷冷下でトリフルオロメタンスルホン酸1.501g(10.00mmol)を滴下した。氷浴を外し、室温下で更に12時間攪拌を続けた。これをイオン交換水25mlで3回洗浄し、更に無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をメタノール25mlに溶解し、不溶物をろ別した。減圧下で溶媒を留去し、淡黄色半固体5.022g(オニウム塩A)を得た。
(2)合成例2(1−ブチル−3−メチルピリジニウム硫酸水素塩)
50mlナス型フラスコに1−ブチル−3−メチルピリジニウムブロミド(試薬)2.302g(10.00mmol)、陰イオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライトIRA900A OH AG」、強塩基型)13.2g(20mg当量)、イオン交換水25mlを仕込み、室温下で48時間攪拌した。イオン交換樹脂をろ別後、氷冷下で49%硫酸水溶液2.002g(10.00mmol)を滴下した。氷浴を外し、室温下で更に12時間攪拌を続けた。これにトルエン25mlを加えて洗浄し、更にイオン交換樹脂(オルガノ社製、商品名「アンバーライトIRC748」キレート型)2.0g(3.6mg当量)で精製後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をメタノール25mlに溶解し、不溶物をろ別した。減圧下で溶媒を留去し、粘稠な黄色液体2.873g(オニウム塩B)を得た。
3.2−シアノアクリレート系接着剤組成物の製造
(1)実施例1
2−シアノアクリル酸エチルに、二酸化硫黄を20ppm、ハイドロキノンを1000ppm(2−シアノアクリル酸エチルを100質量部とする)配合した。これに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナート(試薬)を500ppm、15−クラウン−5(日本曹達社製「クラウンエーテルO−15」)を500ppm配合して、室温(15〜30℃)で30分間撹拌し、混合して接着剤組成物を製造した。結果は表1のとおりである。
(2)実施例2〜13及び比較例1〜7
接着剤組成物に配合するオニウム塩、又は添加剤を表1〜3のように代えた以外は、実施例1と同様にして接着剤組成物を製造した。結果は表1〜3のとおりである。実施例4、8及び比較例1については、初期と保管後の酸分についても評価した(表4)。なお、試薬はそのまま使用した。
Figure 2014167097
Figure 2014167097
Figure 2014167097
Figure 2014167097
表1〜3の結果によれば、実施例1〜13の接着剤組成物は、従来の硬化促進剤を配合した接着剤組成物(比較例1〜7)に比べ、熱可塑性エラストマーに対して優れた接着速度を発現する。また、50℃、95%RH×2週間後の接着速度の劣化は2倍以内であり、また粘度変化も1.5倍以内であることから、貯蔵安定性にも優れていることがわかる。更に、表4より、オニウム塩と包接能を有する化合物を含有する接着剤組成物は、アニオン重合を阻害する酸分の上昇が低く、接着速度の評価結果と整合する。
本発明は、2−シアノアクリル酸エステルを含有し、所謂、瞬間接着剤として一般家庭用、医療分野等の他、各種産業界などの広範な製品、技術分野において利用することができる。特に、自動車部品、電気・電子部品、各種履物の接着に有用である。

Claims (5)

  1. 2−シアノアクリル酸エステル(a)と、下記一般式(1)で表されるオニウム塩(b)と、包接能を有する化合物(c)とを含有することを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
    +- (1)
    [式中、C+は第四級アンモニウムカチオン、第四級ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、及び第三級スルホニウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一つのオニウムカチオンであり、A-は硫酸水素アニオン、亜硫酸水素アニオン、R1SO3 -で表されるスルホン酸アニオン(R1はアルキル基、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基、シクロアルキル基、ビニル基、アリール基、パーフルオロアリール基、アラルキル基 、若しくはハロゲン原子である)、又は(R2SO22-で表されるビス(置換スルホニル)イミドアニオンである(R2はアルキル基、パーフルオロアルキル基、若しくはアリール基である)。]
  2. 前記包接能を有する化合物(c)が、ポリエーテル化合物、カリックスアレン類、チアカリックスアレン類及びピロガロールアレン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
  3. 前記ポリエーテル化合物が、ポリアルキレンオキサイド類、クラウンエーテル類、シラクラウンエーテル類及びシクロデキストリン類からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項2に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
  4. 前記オニウム塩(b)の含有量が、前記2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜20000ppmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
  5. 前記包接能を有する化合物(c)の含有量が、前記2−シアノアクリル酸エステル(a)100質量部に対して、10〜30000ppmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
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