JP6241287B2 - 可変コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 - Google Patents

可変コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、2本以上の導体路が並んで巻かれて構成される可変コモンモードチョークコイルおよびその製造方法に関するものである。
従来、可変コイルとしては、例えば、特許文献1に開示されたノイズ減衰器用可変インダクタがある。この可変インダクタは、中心軸を共通にして配置され、一部に磁気ギャップが設けられた少なくとも2個の環状磁性体コアを備える。環状磁性体コアは、回転駆動手段よって回転自在に環状コア収納体に収納され、環状コア収納体の一部には、環状コア収納体の中空穴を通じてコイル用巻線が巻き付けられる。可変インダクタのインダクタンス値は、環状磁性体コアの位置を回転駆動手段によって回動させ、一方と他方の各環状磁性体コアの磁気ギャップの位置をずらすことで、可変設定される。
また、従来、可変コイルとして、例えば、特許文献2に開示された可変インダクタもある。この可変インダクタは、巻線がそれぞれ巻かれた2つの中空コイルボビンと、これらコイルボビン内にそれぞれ出し入れ可能な2つの第1コアと、2つのコイルボビンに接合され、2つの第1コアの一端部に突き合わされて磁路を形成する第2コアと、2つの第1コアの他端部に接合され、2つの第1コアおよび第2コアと閉磁路を形成する第3コアとを備えて構成される。第2コアおよび2つのコイルボビンと、2つの第1コアおよび第3コアは、互いに接近離反自在に構成される。可変インダクタのインダクタンス値は、2つのコイルボビンに巻かれる巻線の巻線数を選択し、4本のシャフト等から構成される位置決め案内機構により、第2コアおよび2つのコイルボビンを、2つの第1コアおよび第3コアに対して接近離反させることで、可変設定される。
また、従来、可変コイルとして、例えば、特許文献3に開示された可変インダクタもある。この可変インダクタは、積層体内部に積層方向に沿って巻回された主コイル導体に対して、調整用コイル導体が積層体内で対向配置されて、構成される。各コイル導体の端部は積層体表面の端子電極に接続され、調整用コイル導体に接続される一対の端子電極間には、積層体外部でスイッチ素子が接続される。可変インダクタのインダクタンス値は、スイッチ素子のオン・オフにより、主コイル導体と調整用コイル導体との結合度が変えられることで、可変設定される。
特開2013−149801号公報 特開2005−167037号公報 特開2007−123785号公報
上記のように、上記従来の特許文献1に開示された可変インダクタは、インダクタンス値を可変させるために、環状磁性体コアの位置を回動させる回転駆動手段が必要とされる。また、上記従来の特許文献2に開示された可変インダクタは、インダクタンス値を可変させるために、第2コアおよび2つのコイルボビンを、2つの第1コアおよび第3コアに対して接近離反させる位置決め案内機構が必要とされる。また、上記従来の特許文献3に開示された可変インダクタは、インダクタンス値を可変させるために、主コイル導体と調整用コイル導体との結合度を変えるスイッチ素子が必要とされる。
このため、上記従来のいずれの可変コイルも、インダクタンス値を可変させるために、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構が必要とされるため、可変コイルの素子構造を小型化することは困難である。
また、上述の、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を有する従来の可変コイルでは、放射ノイズ測定時にこれら機構が放射ノイズの測定を阻害する可能性があり、正確な放射ノイズ測定を行えないことが考えられる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
電気絶縁性を有するシートと、
シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられてシートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
シートの下方に宛がわれてシートの曲げ形状をシートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
シートの上方に宛がわれてシートを介して前記凹凸形状と嵌合することでシートの曲げ形状をシートの上方からかたどる凹凸形状が下面に形成された上側基材とを備えて構成され、
上側基材の下面に形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路の巻き形状に対応して選択される可変コモンモードチョークコイルを構成した。
本構成によれば、2本以上の単一の導体路が並んで蛇行して設けられたシートが下側基材と上側基材との間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート上に形成された各導体路が巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイルが形成される。この際、上側基材の下面に形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路の巻き形状に対応して適宜選択されることで、各導体路の巻き形状が変化して、各導体路の巻き面積は所望のインダクタンス値に対応したものとなる。従って、各導体路の巻き内部を通過する磁束量が変化して、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値が可変する。
このため、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コイルの小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための上記各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コイルが提供される。
また、本発明は、
電気絶縁性を有するシートと、
シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられてシートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
シートの下方に宛がわれてシートの曲げ形状をシートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
シートの上方に宛がわれてシートを介して前記凹凸形状と嵌合することでシートの曲げ形状をシートの上方からかたどり、導体路を所望のインダクタンス値を呈する巻き形状にする凹凸形状が下面に形成された上側基材とを備えて構成され、
上側基材が、導体路を異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面に形成された複数の上側基材の中から選択される可変コモンモードチョークコイルを構成した。
本構成によっても、2本以上の単一の導体路が並んで蛇行して設けられたシートが下側基材と上側基材との間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート上に形成された各導体路が巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイルが形成される。この際、導体路を異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面に形成された複数の上側基材の中から、一の上側基材が適宜選択されることで、各導体路の巻き形状が変化して、各導体路の巻き面積は所望のインダクタンス値に対応したものとなる。従って、各導体路の巻き内部を通過する磁束量が変化して、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値が可変する。
このため、本構成によっても、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コイルの小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コイルが提供される。
さらに、本構成によれば、コモンモードチョークコイルを回路基板に実装した後でも、上側基材を別の上側基材に交換することで、そのインダクタンス値を可変させることができる。このため、回路基板に実装したコモンモードチョークコイルを実装し直すことなく、そのインダクタンス値を可変させることができるので、コモンモードチョークコイルを用いた機器のノイズ評価にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、本発明は、
電気絶縁性を有するシートと、
シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられてシートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
シートの下方に宛がわれてシートの曲げ形状をシートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
シートの上方に宛がわれてシートを介して前記凹凸形状と嵌合することでシートの曲げ形状をシートの上方からかたどる凹凸形状が下面に形成された、磁性材料からなる上側基材とを備えて構成され、
各前記凹凸形状が、導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に上側基材が移動自在に、下側基材の上面および上側基材の下面に形成される可変コモンモードチョークコイルを構成した。
本構成によっても、2本以上の単一の導体路が並んで蛇行して設けられたシートが下側基材と上側基材との間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート上に形成された各導体路が巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイルが形成される。この際、導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に上側基材が移動することで、各導体路の巻き内部において上側基材が占める割合が変化して、コモンモードチョークコイルの磁路の平均透磁率は所望のインダクタンス値に対応したものとなり、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値が可変する。
このため、本構成によっても、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コイルの小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コイルが提供される。
さらに、本構成によっても、コモンモードチョークコイルを回路基板に実装した後でも、上側基材を下側基材に対して移動させることで、そのインダクタンス値を可変させることができる。このため、回路基板に実装したコモンモードチョークコイルを実装し直すことなく、そのインダクタンス値を可変させることができるので、コモンモードチョークコイルを用いた機器のノイズ評価にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、本発明は、
下面に形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路の巻き形状に対応して選択される上側基材、または、導体路を異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面に形成された複数の上側基材の中から選択される上側基材が磁性材料からなり、
各凹凸形状が、導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に上側基材が移動自在に、下側基材の上面および上側基材の下面に形成される
ことを特徴とする。
本構成によれば、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値は、上側基材の下面に形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路の巻き形状に対応して適宜選択されることで、可変すると共に、導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に上側基材が移動することでも、可変する。また、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値は、導体路を異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面に形成された複数の上側基材の中から、一の上側基材が適宜選択されることで、可変すると共に、導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に上側基材が移動することでも、可変する。このため、コモンモードチョークコイルのインダクタンス値は、複数の方法で可変し、その値をきめ細かく調整することが可能となる。
また、本発明は、
シートが、谷面と山面とが側面を介して交互に現れる、連続する4つの面を1周期とする周期で折り曲げられ、
各導体路が、シートの片面または両面において、連続する4つの面に形成される部分を1周期として蛇行する
ことを特徴とする。
本構成によれば、各導体路は、曲げられたシートの谷面への下降と山面への上昇を側面を介して交互に繰り返しながら蛇行することで、巻き形状を呈する。従って、1枚のシートが、連続する4つの面を1周期とする周期で単に折り曲げられことで、シートの片面または両面に形成された各導体路が巻かれて、所望のインダクタンス値を呈するコモンモードチョークコイルが簡単に形成される。
また、本発明は、
上側基材が、下側基材の両側部を覆って山面が下側基材の底面と並ぶ凸部を両端部に備え、
各導体路が両端部に電極パットが一体に形成され、
シートが、上側基材の両端部に備えられた凸部の山面に電極パットが露出して曲げられる
ことを特徴とする。
本構成によれば、各導体路の両端部に各導体路に一体に形成された電極パットが、上側基材の両端部に備えられた凸部の山面に露出し、外部電極を構成する。このため、導電体の接続部を全く有すること無く、各コイルに外部電極を備えることができ、外部電極を備えた横巻き構造の可変コモンモードチョークコイルを安価にかつ接続信頼性高く提供することができる。
また、本発明は、下側基材と上側基材との間にシートを挟んでプレスすることでシートを曲げる可変コモンモードチョークコイルの製造方法を構成した。
本構成によれば、シートを曲げて各導体路を巻き構造に加工する工程と、下側基材と上側基材とを嵌合させてシートの曲げ形状を保つ強度に加工する工程とが、下側基材と上側基材との間にシートを挟んでプレスする1つの工程で行われる。このため、製造工程が少なくなり、横巻き構造の可変コモンモードチョークコイルの製品コストをさらに低減することができる。
また、本発明は、シートの両面に接着剤を付けてプレスを行うことを特徴とする。
本構成によれば、シートを曲げて各導体路を巻き構造に加工する工程と、下側基材と上側基材とを嵌合させてシートの曲げ形状を保つ強度に加工する工程と、下側基材と上側基材との間にシートを接合する工程とが、下側基材と上側基材との間にシートを挟んでプレスする1つの工程で行われる。このため、製造工程がさらに少なくなり、横巻き構造の可変コモンモードチョークコイルの製品コストをさらに低減することができる。
本発明によれば、上記のように、インダクタンス値を可変できるコモンモードチョークコイルの小型化を容易に図ることができると共に、正確な放射ノイズ測定を行える可変コモンモードチョークコイルを簡単に提供することができる。
本発明の第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。 (a)は、図1に示す可変コモンモードチョークコイルを構成する上側基材の外観斜視図、(b)は下側基材の外観斜視図である。 (a)は、第1の実施形態によるコモンモードチョークコイルを構成するシートが折り曲げられる前の平面斜視図、(b)は、(a)に示すシート上に形成された導体路のパターン周期を説明するため平面図である。 図3に示すシートが折り曲げられた状態の斜視図である。 (a)は、図2(a)に示す平面Pで上側基材を破断した際の、上側基材の一部外観斜視図、(b)は、所望のインダクタンス値を呈する導体路の巻き形状に対応して選択された凸部寸法を有する上側基材の一例を示す外観斜視図である。 本発明の第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイルの分解斜視図である。 第1および第2の各実施形態による可変コモンモードチョークコイルを構成する上側基材を下側基材の周囲を囲む形状にした外観斜視図である。 本発明の第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイルの外観斜視図である。 (a)は、図3に示すシートが別の態様で折り曲げられた状態の斜視図、(b)は、下側基材に(a)に示すシートが被った状態の外観斜視図である。 (a)は、第1,第2,第3の各実施形態の変形例による可変コモンモードチョークコイルを構成するシートが折り曲げられる前の平面斜視図、(b)は、(a)に示すシート上に形成された導体路のパターン周期を説明するため平面図である。 (a)は、図10に示すシートが折り曲げられた状態の斜視図、(b)は、別の態様で折り曲げられた状態の斜視図である。
次に、本発明の可変コモンモードチョークコイルおよびその製造方法を実施するための形態について、説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1の外観斜視図である。
可変コモンモードチョークコイル1は、非磁性体または磁性体からなる下側基材2および上側基材3と、電気絶縁性を有するシート4とを備えて構成されており、幅W,長さL,厚みtの直方体状をしている。下側基材2は、その外観が図2(b)に示されるラック歯車状をしており、底面2aに対向する上面2bに、シート4の矩形状の曲がりに下方から嵌合する凹凸形状をコイル1の巻き数分有する。この凹凸形状は、シート4の下方に宛がわれて、シート4の曲げ形状をシート4の下方からかたどる。上側基材3は、その外観が図2(a)に示され、上面3aに対向する下面3bに、シート4の矩形状の曲がりに上方から嵌合する凹凸形状をコイル1の巻き数分有する。この凹凸形状は、シート4の上方に宛がわれてシート4を介して下側基材2の凹凸形状と嵌合することで、シート4の曲げ形状をシート4の上方からかたどる。
上側基材3は、下側基材2の両側部2c,2cを覆って山面3c,3cが下側基材2の底面2aと並ぶ凸部3d,3dを両端部に備えている。これら凸部3d,3dは、基材中央部に形成された凸部よりも大きなものとなっており、その高さ寸法はコイル1の厚みtと同じになっている。下側基材2の長さは、これら凸部3d,3dの分、上側基材3の長さよりも短くなっている。シート4は、エポキシ、ポリイミドなどの樹脂や、セラミック等の材質からなり、これら下側基材2および上側基材3の各凹凸形状部間に挟まれて、設けられている。
図3(a)は、第1の実施形態によるコモンモードチョークコイル1に用いられるシート4が折り曲げられる前の平面斜視図である。この図では、その理解のためにシート4の厚みを誇張して厚く記載している。図3(a)に示すシート4の片面上には、2本の単一の導体路5a,5bが、銅、銀などの一般的な内部電極材料を用いて、印刷法やリソグラフィー技術などの一般的な電極形成法によって並んで蛇行して形成されている。これら導体路5a,5bは、コイル1の幅W方向において、所定の台形波状パターンで振幅し、コイル1の長さL方向において、この台形波状パターンがコイル1の巻き数に相当する所定回数周期的に繰り返されて、ミアンダ形状に形成されている。このシート4が、図1に示す厚みt方向において、台形波状パターンが繰り返される1周期を1周期とする周期で、図4の斜視図に示すように折り曲げられることで、各導体路5a,5bは巻き線形状を呈する。なお、図4において図3と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。導体路5a,5bは、シート4の片面上に並んで蛇行して設けられて、シート4が繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本の単一の導体路を構成する。
シート4の上記の折り曲げは、図3(b)の平面図に模式的に示す、一点鎖線で示す線を谷折り線v、破線で示す線を山折り線mとして行われ、長さL方向において谷面Vと山面Mとが側面Sを介して交互に現れる、連続する4つの面を1周期とする周期で折り曲げられる。この折り曲げパターンは、谷折り−山折り−山折り−谷折りを1周期としている。
このようなシート4に形成された各導体路5a,5bは、図3(b)に示す、連続する4つの面の内の、始めの谷折り線vで区切られる第1面Iの谷面Vにおいて、次に連続する第2面IIの側面Sに近付くに連れて振幅高さが高くなる幅W方向に振幅し、対角線方向に横切る。そして、次の第2面IIの側面Sを振幅高さを保ってまたはほぼ変えずに、長さL方向に平行に横切る。その後、第2面IIに連続する次の第3面IIIの山面Mにおいて、次に連続する第4面IVの側面Sに近付くに連れて振幅高さが低くなる幅W方向に振幅し、対角線方向に横切る。そして、次の第4面IVの側面Sを振幅高さを保って、長さL方向に平行に横切る。
従って、各導体路5a,5bは、長さL方向に進行するのに連れ、コイル1の厚みt方向において、曲げられたシート4の谷面Vへの下降と山面Mへの上昇を側面Sを介して交互に繰り返し、幅W方向において、振幅高さを第1面Iで高くし、第2面IIで保ちまたはほぼ変えず、第3面IIIで低くし、第4面IVで保って振幅し、巻き形状を呈する。
各導体路5a,5bは、図3(a)に示すように、その巻き始めおよび巻き終わりにおけるシート4の両面上に、コの字状に折り曲げられた電極パット5c,5cを備える。シート4は、上側基材3の両端部に備えられた凸部3d,3dの山面3c,3c(図2参照)に、電極パット5c,5cが露出して折り曲げられる。このため、電極パット5c,5cに隣接する側面Sにおける各導体路5a,5bは、電極引き出し用に形成されている。
図5(a)は、図2(a)に二点鎖線で示す平面Pで上側基材3を破断した際の、上側基材3の一部外観斜視図である。上側基材3の下面3bに形成される凹凸形状は、幅W,高さH,厚さTの寸法の凸部を備える。可変コモンモードチョークコイル1は、上側基材3の下面3bに形成された凹凸形状におけるこの凸部の寸法が、所望のインダクタンス値を呈する導体路5a,5bの巻き形状に対応して、選択される。図5(b)は、このようにして選択された凸部寸法を有する上側基材3Aの一例を示す外観斜視図である。この例では、高さHおよび厚さTの凸部寸法が、図2(a)に示される上側基材3のものよりも小さい高さH1および厚さT1に選択され、凸部が小振りに形成されている。
このような第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1によれば、2本の単一の導体路5a,5bが並んで蛇行して設けられたシート4が下側基材2と上側基材3との間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート4上に形成された各導体路5a,5bが巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイル1が形成される。この際、コモンモードチョークコイル1のインダクタンス値は磁路の断面積に比例するので、上側基材3の下面3bに形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路5a,5bの巻き形状に対応して適宜選択されることで、各導体路5a,5bの巻き形状が変化して、各導体路5a,5bの巻き面積Sは所望のインダクタンス値に対応したものとなる。
例えば、上側基材3の下面3bに形成された凹凸形状の凸部が図5(b)に示す上側基材3Aのような形状に選択され、シート4が上側基材3Aと下側基材2との間に挟まれた場合には、シート4が上方から小振りの凸部でかたどられるため、各導体路5a,5bの巻き面積Sは、図2(a)に示す上側基材3によって各導体路5a,5bが巻かれる面積Sよりも、小さくなる。従って、各導体路5a,5bの巻き内部を通過する磁束量が変化して、コモンモードチョークコイル1のインダクタンス値が可変する。図5(b)に示す上側基材3Aを用いた場合には、導体路5a,5bの巻き面積Sが上記のように小さくなるので、コモンモードチョークコイル1のインダクタンス値は小さくなる。
このため、第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1によれば、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コモンモードチョークコイル1の小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コモンモードチョークコイル1が提供される。
図6は、本発明の第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11の分解斜視図である。なお、同図において図1から図5と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1では、上記のように、上側基材3の下面3bに形成された凹凸形状が、所望のインダクタンス値を呈する導体路5a,5bの巻き形状に対応して選択されることで、インダクタンス値が可変された。この第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11では、導体路5a,5bを異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面3bに形成された複数の上側基材3,3Aが予め用意される。そして、用意された複数の上側基材3,3Aの中から、導体路5a,5bを所望のインダクタンス値を呈する巻き形状にする凹凸形状が下面3bに形成された上側基材3または3Aが選択されることで、インダクタンス値が可変される。
すなわち、可変コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値を大きくしたい場合には、大きな凸部の寸法を有する上側基材3が選択される。そして、選択された上側基材3と下側基材2との間にシート4が挟まれて、シート4の曲げ形状が、下側基材2の上面2bおよび上側基材3の下面3bに形成された各凹凸形状より、シート4の下方および上方からかたどられることで、導体路5a,5bは大きな巻き面積Sの巻き形状を呈する。このため、可変コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値は大きく設定される。一方、可変コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値を小さくしたい場合には、小さな凸部の寸法を有する上側基材3Aが選択される。そして、選択された上側基材3Aと下側基材2との間にシート4が挟まれて、シート4の曲げ形状が、下側基材2の上面2bおよび上側基材3Aの下面3bに形成された各凹凸形状より、シート4の下方および上方からかたどられることで、導体路5a,5bは小さな巻き面積Sの巻き形状を呈する。このため、可変コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値は小さく設定される。
この第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11によっても、2本の単一の導体路5a,5bが並んで蛇行して設けられたシート4が下側基材2と上側基材3,3Aとの間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート4上に形成された各導体路5a,5bが巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイル11が形成される。この際、上記のように、導体路5a,5bを異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面3bに形成された複数の上側基材3,3Aの中から、一の上側基材3または3Aが適宜選択されることで、各導体路5a,5bの巻き形状が変化して、各導体路5a,5bの巻き面積Sは所望のインダクタンス値に対応したものとなる。従って、各導体路5a,5bの巻き内部を通過する磁束量が変化して、コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値が可変する。
このため、第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11によっても、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コモンモードチョークコイル11の小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コモンモードチョークコイル11が提供される。
さらに、第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11によれば、可変コモンモードチョークコイル11を回路基板に実装した後でも、上側基材3または3Aを別の上側基材3Aまたは3に交換することで、そのインダクタンス値を可変させることができる。このため、回路基板に実装した可変コモンモードチョークコイル11を実装し直すことなく、そのインダクタンス値を可変させることができるので、可変コモンモードチョークコイル11を用いた機器のノイズ評価にかかる時間を短縮することが可能となる。
なお、第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1および第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11において、上側基材3,3Aを図7の外観斜視図に示すように、下側基材2の周囲を囲む形状の上側基材3Bとするように構成してもよい。この上側基材3Bと下側基材2の各凹凸形状がシート4を挟んで嵌合することで、凹凸形状に沿って上側基材3Bがずれることなく、可変コモンモードチョークコイル1,11は回路基板に実装されるようになる。
図8は、本発明の第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイル21の外観斜視図である。なお、同図において図1から図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
この第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイル21では、下側基材2の上面2bおよび上側基材3の下面3bに形成される各凹凸形状が、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに、上側基材3が移動自在に形成される。つまり、各凹凸形状は、シート4の山面M,谷面Vおよび側面Sに沿って平行に凹凸が形成され、方向Dにおいてスライド自在に形成される。また、上側基材3は、フェライト等の磁性材料から形成される。
この第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイル21によっても、2本の単一の導体路5a,5bが並んで蛇行して設けられたシート4が下側基材2と上側基材3との間に挟まれて、単に繰り返して曲げられことで、シート4上に形成された各導体路5a,5bが巻き形状を呈して、コモンモードチョークコイル21が形成される。この際、コモンモードチョークコイル1のインダクタンス値は磁路の平均透磁率μに比例するので、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに上側基材3が移動することで、各導体路5a,5bの巻き内部において上側基材3が占める割合が変化して、コモンモードチョークコイル21の磁路の平均透磁率μは所望のインダクタンス値に対応したものとなり、コモンモードチョークコイル21のインダクタンス値が可変する。
このため、第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイル21によっても、従来の可変コイルのように、コアもしくはコイルを動かす機構、またはスイッチ機構を備えずにインダクタンス値を可変できるので、可変コモンモードチョークコイル21の小型化を容易に図ることができる。また、従来の、インダクタンス値を可変するための各機構を備えないので、各機構に阻害されずに正確な放射ノイズ測定を行える可変コモンモードチョークコイル21が提供される。
さらに、第3の実施形態による可変コモンモードチョークコイル21によっても、可変コモンモードチョークコイル21を回路基板に実装した後でも、上側基材3を下側基材2に対して移動させることで、そのインダクタンス値を可変させることができる。このため、回路基板に実装した可変コモンモードチョークコイル21を実装し直すことなく、そのインダクタンス値を可変させることができるので、可変コモンモードチョークコイル21を用いた機器のノイズ評価にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、第1の実施形態による可変コモンモードチョークコイル1においても、下側基材2および上側基材3,3Aに形成される各凹凸形状が、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに、磁性材料からなる上側基材3,3Aが移動自在に形成されることで、可変コモンモードチョークコイル1のインダクタンス値は、上側基材3,3Aの下面3bに形成された凹凸形状が適宜選択されることで、可変すると共に、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに上側基材3,3Aが移動することでも、可変する。
また、図6に示す第2の実施形態による可変コモンモードチョークコイル11においても、下側基材2および上側基材3,3Aに形成される各凹凸形状が、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに、磁性材料からなる上側基材3,3Aが移動自在に形成されることで、可変コモンモードチョークコイル11のインダクタンス値は、複数の上側基材3,3Aの中から一の上側基材3または3Aが適宜選択されることで、可変すると共に、導体路5a,5bが呈する巻き形状の軸心Cと交差する方向Dに上側基材3,3Aが移動することでも、可変する。
このため、これら構成の各可変コモンモードチョークコイル1,11は、そのインダクタンス値が複数の方法で可変し、きめ細かく調整することが可能となる。
また、上記の第1,第2,第3の各実施形態による可変コモンモードチョークコイル1,11,21では、各導体路5a,5bは、図4に示すように、折り曲げられたシート4の谷面Vへの下降と山面Mへの上昇を側面Sを介して交互に繰り返しながら蛇行することで、巻き形状を呈する。従って、1枚のシート4が、連続する4つの面を1周期とする周期で単に折り曲げられることで、シート4の片面に形成された各導体路5a,5bが巻かれて、所望のインダクタンス値を呈する各可変コモンモードチョークコイル1,11,21が簡単に形成される。
また、上記の第1,第2,第3の各実施形態による可変コモンモードチョークコイル1,11,21では、各導体路5a,5bの両端部に各導体路5a,5bに一体に形成された各電極パット5c,5cが、上側基材3,3Aの両端部に備えられた凸部3d,3dの山面3c,3cに露出し、外部電極を構成する。このため、導電体の接続部を全く有すること無く、各可変コモンモードチョークコイル1,11,21に外部電極を備えることができ、外部電極を備えた横巻き構造の各可変コモンモードチョークコイル1,11,21を安価にかつ接続信頼性高く提供することができる。
また、上記の第1,第2,第3の各実施形態による可変コモンモードチョークコイル1,11,21は、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を挟んでプレスすることで、シート4が図4に示すように折り曲げられ、製造される。この際、シート4の両面に接着剤が付けられて、プレス加工が行われる。用いる接着剤の種類は一般的な接着剤でよく、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などが用いられる。
本構成の可変コモンモードチョークコイル1,11,21の製造方法によれば、シート4を曲げて各導体路5a,5bを巻き構造に加工する工程と、下側基材2と上側基材3,3Aとを嵌合させてシート4の曲げ形状を保つ強度に加工する工程とが、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を挟んでプレスする1つの工程で行われる。このため、製造工程が少なくなり、横巻き構造の可変コモンモードチョークコイル1,11,21の製品コストをさらに低減することができる。
また、シート4の両面に接着剤を付けてプレスを行うことで、シート4を曲げて各導体路5a,5bを巻き構造に加工する工程と、下側基材2と上側基材3,3Aとを嵌合させてシート4の曲げ形状を保つ強度に加工する工程と、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を接合する工程とが、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を挟んでプレスする1つの工程で行われる。このため、製造工程がさらに少なくなり、横巻き構造の可変コモンモードチョークコイル1,11,21の製品コストをさらに低減することができる。
なお、上記の各実施形態では、シート4の電極パット5c,5cの形成面とこれに隣接する側面Sとの間の折り方を谷折りとし、電極パット5c,5cが形成されたシート4の両端部を両外側に図4に示すように張り出した場合について、説明した。しかし、電極パット5c,5cの形成面とこれに隣接する側面Sとの間の折り方を、上記の各実施形態と異なり山折りとすることで、シート4は、図9(a)の斜視図に示すように、両端部が内側に折り返された形状に折られる。このため、各可変コモンモードチョークコイル1,11,21は、下側基材2にシート4が被った状態が、図9(b)の斜視図に外観が示されるようになる。なお、図9において図2および図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。この可変コモンモードチョークコイル1,11,21においては、シート4は、下側基材2の両側部2c,2cを覆って下側基材2の底面2a側に両端部が曲げ返され、下側基材2の底面2aに電極パット5c,5cを露出させて、曲げられる。
このような構成においても、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を挟んでシート4をかたどることで、各導体路5a,5bは所望のインダクタンス値を呈する巻き形状となり、上記の各実施形態と同様な作用効果が奏される。また、下側基材2の両側部で各導体路5a,5bが曲げ返されることで、上側基材3,3Aの長さL方向に外部電極の形成のために凸部3d,3dの寸法を取る必要がなくなり、可変コモンモードチョークコイル1,11,21の長さL方向を全て巻線形成に使用することができる。このため、同外形寸法および同構成材料のコイルにおけるインダクタンス取得効率を上げることができる。
また、上記の各実施形態では、図3に示すようにシート4の片面に各導体路5a,5bが形成される場合について、説明した。しかし、図10(a)に示すように、シート4の両面に各導体路5a,5bが形成されるように構成してもよい。
図10(a)は、この変形例による構成の可変コモンモードチョークコイル1,11,21に用いられるシート4が折り曲げられる前の平面斜視図である。このシート4は、一方の導体路5aが表面、他方の導体路5bが導体路5aに対向する裏面に並んで形成されている点だけが、第1,第2,第3の各実施形態による可変コモンモードチョークコイル1,11,21と異なる。なお、図10において図3と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。
シート4は、図10(b)の平面図に模式的に示す谷折り線vおよび山折り線mに沿って、上記の各実施形態と同様にして折り曲げられる。図11(a)は、このようにして折り曲げられた状態のシート4の斜視図である。なお、図11において図4と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。この変形例では、シート4の両面の同位置に各導体路5a,5bが形成されるので、折り曲げられた状態のシート4では、上記の各実施形態におけるシート4の片面にずれて形成される態様と異なり、各導体路5a,5bは重なって1本に見える。
図11(b)は、図10(a)に示すシート4における、電極パット5c,5cの形成面とこれに隣接する側面Sとの間の折り方を、図9に示すシート4と同様に山折りとすることで、シート4の両端部が内側に折り返された形状に折られた状態を示す。この場合にも、シート4は、下側基材2の両側部2c,2cを覆って下側基材2の底面2a側に両端部が曲げ返され、下側基材2の底面2aに電極パット5c,5cを露出させて、曲げられる。
このような両面に導体路5a,5bが形成されたシート4においても、下側基材2と上側基材3,3Aとの間にシート4を挟んで、シート4を図11(a)または(b)に示すようにかたどることで、各導体路5a,5bは所望のインダクタンス値を呈する巻き形状となり、上記の各実施形態と同様な作用効果が奏される。
また、上記の第1,第2,第3の各実施形態および各変形例では、シート4の片面または両面上に単一の導体路5a,5bを2本形成した場合について、説明した。しかし、シート4の片面または両面上に単一の導体路を3本以上形成し、トリファイラ構造等の可変コモンモードチョークコイルを構成するようにしてもよい。
1,11,21…可変コモンモードチョークコイル
2…下側基材
2a…底面
2b…上面
2c…側面
3,3A,3B…上側基材
3a…上面
3b…下面
3c…山面
3d…凸部
4…シート
5a,5b…導体路
5c…電極パット

Claims (8)

  1. 電気絶縁性を有するシートと、
    前記シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられて前記シートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
    前記シートの下方に宛がわれて前記シートの曲げ形状を前記シートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
    前記シートの上方に宛がわれて前記シートを介して前記凹凸形状と嵌合することで前記シートの曲げ形状を前記シートの上方からかたどる凹凸形状が下面に形成された上側基材とを備えて構成され、
    前記上側基材の下面に形成された前記凹凸形状は、所望のインダクタンス値を呈する前記導体路の巻き形状に対応して選択されることを特徴とする可変コモンモードチョークコイル。
  2. 電気絶縁性を有するシートと、
    前記シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられて前記シートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
    前記シートの下方に宛がわれて前記シートの曲げ形状を前記シートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
    前記シートの上方に宛がわれて前記シートを介して前記凹凸形状と嵌合することで前記シートの曲げ形状を前記シートの上方からかたどり、前記導体路を所望のインダクタンス値を呈する巻き形状にする凹凸形状が下面に形成された上側基材とを備えて構成され、
    前記上側基材は、前記導体路を異なるインダクタンス値を呈する各巻き形状にする凹凸形状が各下面に形成された複数の上側基材の中から選択されることを特徴とする可変コモンモードチョークコイル。
  3. 電気絶縁性を有するシートと、
    前記シートの片面または両面上に並んで蛇行して設けられて前記シートが繰り返して曲げられることで巻き形状を呈する2本以上の単一の導体路と、
    前記シートの下方に宛がわれて前記シートの曲げ形状を前記シートの下方からかたどる凹凸形状が上面に形成された下側基材と、
    前記シートの上方に宛がわれて前記シートを介して前記凹凸形状と嵌合することで前記シートの曲げ形状を前記シートの上方からかたどる凹凸形状が下面に形成された、磁性材料からなる上側基材とを備えて構成され、
    各前記凹凸形状は、前記導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に前記上側基材が移動自在に、前記下側基材の上面および前記上側基材の下面に形成されることを特徴とする可変コモンモードチョークコイル。
  4. 前記上側基材は磁性材料からなり、
    各前記凹凸形状は、前記導体路が呈する巻き形状の軸心と交差する方向に前記上側基材が移動自在に、前記下側基材の上面および前記上側基材の下面に形成される
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変コモンモードチョークコイル。
  5. 前記シートは、谷面と山面とが側面を介して交互に現れる、連続する4つの面を1周期とする周期で折り曲げられ、
    各前記導体路は、前記シートの片面または両面において、連続する4つの面に形成される部分を1周期として蛇行する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の可変コモンモードチョークコイル。
  6. 前記上側基材は、前記下側基材の両側部を覆って山面が前記下側基材の底面と並ぶ凸部を両端部に備え、
    各前記導体路は両端部に電極パットが一体に形成され、
    前記シートは、前記上側基材の両端部に備えられた前記凸部の山面に前記電極パットが露出して曲げられる
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の可変コモンモードチョークコイル。
  7. 前記下側基材と前記上側基材との間に前記シートを挟んでプレスすることで前記シートを曲げる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の可変コモンモードチョークコイルの製造方法。
  8. 前記シートの両面に接着剤を付けて前記プレスを行うことを特徴とする請求項7に記載の可変コモンモードチョークコイルの製造方法。
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