JP6435699B2 - コイル部品およびコイル部品の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、磁性体コアと、巻線コイルとから構成されるコイル部品は、コイルアンテナに好適に適用されるものである。そして、コイルアンテナを構成要素として含むシステムを、コイルアンテナシステムとも称する。
コイルアンテナを広帯域化するためには、コイルアンテナに特定周波数の強い交流電流を印加して、強い磁界を発生させ、無線信号を送信できることが必要となる。このため、無線信号を送受信するために許容される許容特性範囲を広く設定する。こうすることで、個々のコイルアンテナ製品の特性がバラついたとしても許容範囲内に収まるため、コイルアンテナの製造に係る設計の簡素化と自由度を向上させることができる。この結果、コイルアンテナ製品のコスト低減等を図ることができる。
この種のコイルアンテナに関連する技術として、下記の特許文献1を例示する。
ここで図示されているアンテナ共振回路のように、コイルアンテナに抵抗素子を直列接続させる構成では、所望のQ値を満足させるために抵抗値を大きくすると、印加される交流電流が大きくなる場合にコイルアンテナが高熱となり、問題になることがあった。
まず、コイル部品100の概要について、図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態におけるコイル部品100の斜視図である。
本体コイル部130は、第一の線材によって形成され、端部がそれぞれ異なる端子部111、113に導通し、一の端部と他の端部との間の少なくとも一部の区間において所定の中心軸を中心として巻回されている。
短絡コイル部140は、第二の線材によって形成され、第二の線材に含まれる二点間が短絡されており、二点間の少なくとも一部の区間において巻回されており、本体コイル部130に生成される磁束が偏って交差するように配置されている。
なお、本実施形態においては、磁性体コア160を挿入したベース部150の周囲に本体コイル部130および短絡コイル部140を形成する態様で説明したが、本発明は、この態様に限られない。例えば、本体コイル部130および短絡コイル部140は空心コイルであってもよいし、磁性体コア160に直巻きのコイルであってもよい。従って、ベース部150および磁性体コア160はコイル部品100から省かれてもよい。
次に、コイル部品100の広帯域化について、図4および図5を用いて説明する。
図4は、コイル部品100の電気構成を図示している。一の端子部111と他の端子部113との間において、コンデンサ部品120と短絡コイル部140と本体コイル部130とが直列に接続されて、直列共振回路が構成されている。また、本体コイル部130と短絡コイル部140とにわたって磁性体コア160が作用している。
図5に示す細線L3は、本実施形態のコイル部品100から短絡コイル部140を除いたコイル部品(図示せず)の通過特性を表す。すなわち、細線L3は、コンデンサ部品120と本体コイル部130とベース部150と同等の構成要素によって構成されているコイル部品(図示せず)の通過特性に相当する。ここで、細線L3で表す通過特性のピークT2における周波数は、共振周波数:f0に一致する。また、細破線L4は、本来得るべき共振周波数:f0に対してわずかにずれた周波数f1で交流電流を当該コイル部品(図示せず)に印加した場合の通過特性を表す。
また、実線L3のピークのQ値:T20と、破線L4のQ値:T21との差:ΔT2は、ΔT2=T20−T21と表すことができる
通過特性を「なまらせる」と、要求される共振周波数に対してずれた周波数の交流電流をコイル部品100に印加した場合であっても通過特性の低下が小さく留まる。従って、コイル部品100は広帯域の送受信を許容することができる。
まず、コイル部品100の各構成要素について、図1から図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態におけるコイル部品100の斜視図である。図2は、コイル部品100に搭載されているコンデンサ部品120の近傍を拡大して示す図である。図3は、本体コイル部130および短絡コイル部140の絡げ部の近傍を拡大して示す図である。
端子部111と端子部113とは、中途で略直角に屈曲しており、それぞれの端部112と端部114とがベース部150の側方から突出している。この端部112および端部114に本体コイル部130(第一の線材)の端部が絡げられ金属ろう材で固着されることによって、端子部111と端子部113とが本体コイル部130に導通している。ここで金属ろう材とは代表的には半田であるが、他の金属を用いてもよい。
なお、図1、図2および図3において、各線材が絡げられている様子を図示するため、金属ろう材の塗布状態は図示省略している。
第一巻回部131は、本体コイル部130におけるインダクタンス要素である。
第一経路部132は、第一巻回部131から端子部113までの引き回し経路を形成している。より詳細には、第一経路部132は、第一巻回部131の先端側から引き出され、掛合部152の下方や支柱156の周囲を経由し、端部114に絡げられている。
第一経路部133は、第一巻回部131から絡げ部までの引き回し経路を形成し、当該絡げ部およびコンデンサ部品120を介して端子部111に導通している。より詳細には、第一経路部133は、第一巻回部131の後端側から引き出され、支柱157の周囲を経由し、当該絡げ部に絡げられて端子部111に導通している。なお、本実施形態において、当該絡げ部は、コンデンサ部品120のリード部123と、ベース部150の側方から突出している突起部153と、によって構成されている。
これにより、自動巻線機によって各線材を引き回す際に、線材の交換を行うことなく同一工程で行うことができるので、コイル部品100の生産性が向上する。
第二巻回部141は、短絡コイル部140におけるインダクタンス要素である。
第二経路部142、143は、第二巻回部141から絡げ部(リード部123と突起部153)までの引き回し経路を形成している。より詳細には、第二経路部142は、第二巻回部141から引き出され、支柱154の端部に接触して経路を変えて、リード部123および突起部153に絡げられている。第二経路部143は、第二巻回部141から引き出され、支柱155の端部に接触して経路を変えて、リード部123および突起部153に絡げられている。
本体コイル部130は、第一の線材が中心軸を中心として巻回されて形成されている第一巻回部131を含んでいる。また、短絡コイル部140は、第二の線材が巻回されて形成されている第二巻回部141を含んでいる。
第一巻回部131と第二巻回部141とが、当該絡げ部から離間しており、かつ、当該絡げ部において導通している。
しかし、本実施形態のコイル部品100においては、主要な構成要素である第一巻回部131および第二巻回部141が絡げ部から離間して設けられているため、当該ノイズ要因の影響が低減する。
なお、キーレスエントリシステムにおけるコイルアンテナとしてコイル部品100を用いる場合、コイル部品100のQ値は10以上40以下に収めることが好ましい。
また、短絡コイル部140の巻数(第二巻回部141の巻回数)は、コイル部品100に求められる所望の通過特性、すなわち、どの程度Q値を低減させて通過特性を「なまらせる」必要があるかによって決定される。
また、ベース部150は中心軸の周囲を周回するように形成されている溝部151を含んでおり、第二巻回部141は溝部151に沿って巻回されている。
溝部151を備えていることにより、第二巻回部141が所望の位置から逸脱することを抑制し、短絡コイル部140が本体コイル部130や端子部110に不測に接触することを防止できる。
また、第二巻回部141は、第一巻回部131から端子部110までの間に位置しており、かつ、第一経路部132、133と径方向に離間している。すなわち、本体コイル部130を形成している第一の線材は、溝部151の底面から離間した位置で引き回されている。
これにより、本体コイル部130(第一経路部132、133)と第二巻回部141とが不測に接触することを防止できる。
既述のとおり、リード部123の一部が絡げ部になっており、リード部123に第一の線材と第二の線材とが絡げられている。
また、形状的に破損しやすいリード部123が、突起部153と共に各線材に絡げられ、さらに金属ろう材で固着されているので、リード部123が破損しにくくなる。
さらに、周囲を各線材で絡げることによってリード部123と突起部153とに金属ろう材が十分に行きわたり、当該絡げ部における固着の安定性が増す。
素子部121は、当該電子部品の目標とする機能を実現するために設けられている主要な要素である。また、ここでリード部122、123は、素子部121を他の部材と電気的に接続させるために設けられている要素である。
本実施形態においては、素子部121は、リード部122を介して端子部111に導通しており、リード部123を介して本体コイル部130および短絡コイル部140に導通している。
素子部121(コンデンサ部品120)および第一経路部132を掛合部152で固定することによって、リード部122、123と各線材の接続工程(絡げ処理および金属ろう材の塗布処理)を安定的に行うことができる。
掛合部152は爪部が設けられている先端側に斜面が設けられており、当該斜面に当接するようにコンデンサ部品120を押し込むことによって、所望の位置にコンデンサ部品120を挿入することができる。
まず、コンデンサ部品120(電子部品)は、第一の線材および第二の線材に接続されているリード部123(一のリード部)と、端子部111(一の端子部)に接続されているリード部122(他のリード部)と、を有している。
リード部123とリード部122とは、突起部153が設けられているベース部150の一面から、突起部153の突出方向と同方向に突出している。
端子部111の一部(端部112)は、リード部122と隣接しており、一面から当該突出方向と同方向に突出しており、かつ、リード部122と共に第三の線材170によって絡げられて金属ろう材で固着されている。
端子部113(他の端子部)の一部は、一面から当該突出方向と同方向に突出しており、かつ、第一の線材によって絡げられて金属ろう材で固着されている。
これにより、コイル部品100の製造工程が短縮され、コイル部品100の生産性が向上する。
すなわち、コイル部品100は、リード部122、123を有しているコンデンサ部品120(電子部品)と、コンデンサ部品120が搭載されており、かつ、リード部122、123の近傍に設けられている突出部を有しているベース部150と、を備えている。リード部123と突出部とが巻線で絡げられており、さらに、リード部122、123と突起部と巻線とが金属ろう材で固着されている。
ここで突出部とは、具体的にはリード部122に対しては端子部111の端部112のことであり、リード部123に対しては突起部153のことである。
磁性体コア160の材料としては、酸化鉄を主成分とするセラミックスからなるもの(フェライトコア)、非晶質合金からなるもの(アルモファスコア)、金属粉末を圧縮成形したもの(ダストコア)、複数の電磁鋼板を電気的に絶縁して積層構造にしたもの(積層コア)等が挙げられる。
本実施形態のコイル部品100は、以下のような製造方法によって製造される。
まず、一対の端子部110を備えるベース部150を用意する。
一の端子部(例えば端子部111)に第一の線材の一端を接続し、所定の中心軸(本実施形態においてはベース部150)を中心として第一の線材を巻回して第一巻回部131を形成し、第一の線材の他端を他の端子部(例えば端子部113)に接続する(本体コイル形成工程)。
そして、第一巻回部131に生成される磁束が偏って交差するように、第二の線材に含まれる二点間の少なくとも一部の区間を巻回して第二巻回部141を形成し、二点間を短絡する(短絡コイル形成工程)。
短絡コイル形成工程において、第二巻回部141から離間している当該絡げ部まで第二の線材を引き回して絡げる。
本体コイル形成工程および短絡コイル形成工程の実行によって、第一巻回部131と第二巻回部141とを接続する。
塗布された金属ろう材が固定した後に、ベース部150の内部に磁性体コア160を挿入して完成する(磁性体コア挿入工程)。
また、上述した各種の構成要素は、必ずしも必須の構成要素ではなく、本発明の効果を阻害しない程度に省いても構わないし、同等に機能又は作用する他の構成要素に代えてもよい。
以下、本発明の変形例を具体的に挙げて説明する。
図6は、第一の変形例のコイル部品100の斜視図である。本変形例は、板状部材180を、第一巻回部131とベース部150との間に備えている点において、上記の実施形態と異なっている。より詳細には、板状部材180はベース部150におけるコンデンサ部品120が搭載されている側の面上に搭載されている。さらに、板状部材180は、第一巻回部131によって巻回されて、かつ支柱157および支柱158に設けられている爪部に係止されて固定されている。
本変形例における板状部材180は四つの層を含んでいる。具体的には、板状部材180は、絶縁性基板183と、絶縁性基板183の両面を金属で鍍金する等して形成される導電層182および導電層184と、導電層182の片面を樹脂でコーティングして形成される絶縁層181と、を含んでいる。
なお、絶縁性基板183を形成している絶縁性樹脂としては、ポロ塩化ベニフィル(Poly Chlorinated Biphenyl)やポリイミド(Polyimide)等が挙げられる。また、絶縁層181を形成している樹脂としては、具体的にはエポキシ樹脂等が挙げられる。
導電層182および導電層184を形成する材料としては、本体コイル部130に磁場が生じる際に渦電流が生じる物質であればいずれを採用してもよい。なお、好ましくは、導電層182および導電層184は非磁性金属である銅やアルミ等で形成されるとよく、特に銅で形成されるとよい。なぜならば、非磁性金属で形成された導電層182および導電層184は、本体コイル部130に生じる磁場を強化しないので、磁性体コア160と共に用いられてもコイル部品100の磁気特性に影響を与えないからである。また、非磁性金属で形成された導電層182および導電層184は、コイル部品100が繰り返し通電されても磁化しないので、コイル部品100の磁気特性に経時的にも影響を与えないからである。
また、絶縁性基板183は、導電層182や導電層184よりも厚み寸法が大きくなっており、導電層182や導電層184よりも曲げ剛性が強くなっている。
また、磁性体コア160と本体コイル部130との間に複数の導電層182、184が設けられており、さらに、一の導電層182と他の導電層184との間に絶縁性基板183が設けられている。
また、導電層184と磁性体コア160との間には、絶縁素材によって形成されたベース部150が設けられている。
より詳細には、板状部材180を挿入する際に、板状部材180による挿入圧力が支柱157、158をベース部150の外側に働くように、板状部材180に当接する爪部の一面が傾斜している。この外側に働く力によって、一定の弾性を有している支柱157と支柱158とは破損せずに外側に傾いて開く。これによって生じた隙間に板状部材180は押し込まれて、爪部の返しの下方面とベース部150の上方面との間に収まり、爪部によって係止される。
なお、本変形例では上述の爪部による係止と、第一巻回部131による巻き付け力と、によって板状部材180を保持する態様で説明するが、さらに板状部材180とベース部150との間に接着剤を塗布して互いに接着する態様であってもよい。
先に述べたように絶縁性基板183は導電層182、184より高い曲げ剛性を有しており、絶縁性基板183を基板として板状部材180を構成しているので、上述のような嵌合方式を採ることができる。
すなわち、短絡コイル部140によるQ値の低減効果と、導電層182および導電層184によるQ値の低減効果と、が相まって、コイル部品100全体としてより大きな低減効果を奏することができる。
また、導電層182および導電層184を絶縁性基板183の両面に設けているので、絶縁性基板183のいずれか一面に導電層182または導電層184を形成するより大きな低減効果を奏する。
このとき、コイル部品100のQ値は、(i)<(ii)<(iii)の順となる。
なお、導電層182、184の厚さが大きいほど、コイル部品100のQ値は小さくなる。
なお、本変形例の絶縁層181は樹脂によるコーティング形成の事例で説明したが、絶縁テープの貼り付け等の手法によって形成することも可能である。
例えば、板状部材180は単一の導電層であってもよい。すなわち、絶縁性基板183は必ずしも必須の構成要素ではない。このとき、導電層の片面または両面を絶縁性樹脂でコーティングすることよって形成される一または複数の絶縁層を板状部材180は含んでもよい。
または、絶縁性基板183の片面または両面を金属で鍍金することによって形成される一または複数の導電層を板状部材180は含んでもよい。このとき、一方または双方の導電層の外側の面(絶縁性基板183と接する反対側の面)を絶縁性樹脂でコーティングすることよって形成される一または複数の絶縁層を板状部材180は含んでもよい。
すなわち、本変形例の板状部材180は単層から五層の構成のいずれかを採ることができる。
図8は、第二の変形例のコイル部品100におけるコンデンサ部品120の近傍を拡大して示す図である。図9は、第二の変形例のコイル部品100における本体コイル部130および短絡コイル部140の絡げ部を拡大して示す図である。
本変形例のコイル部品100は、短絡コイル部140が第一巻回部131の中心軸に対して略平行になっている点について、上記の実施形態とは異なる。また、短絡コイル部140を形成している第二の線材の引き回し経路となる溝部151aと溝部151bとが、ベース部150から出っ張って形成されているフランジ部191、192にそれぞれ設けられている点について、上記の実施形態とは異なる。
例えば、短絡コイル部140の形状としては、円形、C形、渦巻き、螺旋、多角形等、電磁コイルとして機能する形状の全てを採りうる。すなわち、第二巻回部141の巻回数は一であってもよいし、複数であってもよい。また、第二巻回部141の巻回角度は360度に満たなくてもよい。
また、第二巻回部141によって区画されている領域の一部が、磁性体コア160の幅方向または長手方向の少なくとも一方について磁性体コア160から外れてもよい。
あるいは、第二巻回部141によって区画されている領域の全体が、磁性体コア160と重複していてもよい。
なお、本変形例における第二巻回部141は、磁性体コア160に対して一部が重なっており、磁性体コア160よりも幅方向に広くて一部が外れている。
また、磁性体コア160から外れているとは、第二巻回部141によって区画されている領域の少なくとも一部から視て磁性体コア160に対向していないことをいう。
仮に、第二巻回部141を第一巻回部131の長手方向の中央を基準として対称に配置した場合、第二巻回部141によって区画されている領域に通過する磁束方向が当該基準を境に逆方向となる。従って、異なる方向どうしの磁束に起因する相互誘導は打ち消し合うように働き、第二巻回部141に生じる磁場が小さくなり、コイル部品100のQ値を低減する効果も小さくなる。
従って、本変形例のように第二巻回部141を当該基準に対して非対称に配置することによって、好適にQ値の低減効果を図ることができる。
短絡コイル部140が、上記で述べた配置に形成されることでも、コイル部品100のQ値の低減を図ることができる。ただし、上記で述べた実施形態における第二巻回部141の配置の方が、第一巻回部131に生じる磁束がより多く通過するので、より好適にQ値の低減効果を奏することができる。
なお、本変形例における第一巻回部131と第二巻回部141とは、第一巻回部131の径方向にも、第一巻回部131の軸方向にも離間している。
なお、本変形例では突起部153およびリード部123を、短絡コイル部140と本体コイル部130との共通の絡げ部として用いる例で説明したが、これに限られない。すなわち、短絡コイル部140と本体コイル部130の絡げ部を個別に設けてもよい。
図10は、第三の変形例のコイル部品100におけるコンデンサ部品120の近傍を拡大して示す図である。図11は、第三の変形例のコイル部品100における本体コイル部130および短絡コイル部140の絡げ部を拡大して示す図である。
しかし、第二の変形例では短絡コイル部140はベース部150のコンデンサ部品120が搭載されている面に対して略平行であるのに対して、第三の変形例では短絡コイル部140は各絡げ部が設けられているベース部150の側面に対して略平行である点について、互いの変形例は異なる。
また、本変形例では、第二経路部142や第二経路部143が省かれているため、その経路を変更するために設けられている支柱154や支柱155も省かれている。
図12は、参考形態のコイル部品100の斜視図である。本変形例は、短絡コイル部140を備えていない点について、第一の変形例のコイル部品100とは異なる。また、短絡コイル部140が省かれているため、その経路を変更するために設けられている支柱154や支柱155も省かれている。
さらに、リード部123および突起部153は、本体コイル部130の一端が絡げられているのみである。
例えば、本参考形態のコイル部品100は、導電層182、184と、導電層182、184が表面に形成された絶縁性基板183と、を含んでいる板状部材180を備えている。そして、板状部材180が磁性体コア160と本体コイル部130との間に設けられている。
絶縁性基板183の表面に導電層182、184が形成されているので、所望の厚み寸法を容易かつ均一に実現することができる。
磁性体コア160が挿入される側(ベース部150の内側)ではなく、ベース部150の外側に板状部材180が配置されるので、ベース部150と磁性体コア160との嵌合の精度がよくなる。また、ベース部150の外側に板状部材180を設けているので、渦電流損失によって生じる熱量を放熱しやすい。
このような方式を採用することにより、容易な操作で板状部材180をベース部150に装着させて保持させることができる。
ここでは図示しないが、導電層184と磁性体コア160との間に他の絶縁層(図示せず)が設けられてもよい。このとき、導電層184と磁性体コア160との導通を防止することができる。
これにより、第二巻回部141を巻回させる溝部151を選択することによって、コイル部品100のQ値を調整することができる。より詳細には、第一巻回部131に近い側の溝部151に第二の線材を巻回して第二巻回部141を形成した場合には、コイル部品100のQ値の低減効果が大きくなる。一方、第一巻回部131に遠い側の溝部151に第二の線材を巻回して第二巻回部141を形成した場合には、コイル部品100のQ値の低減効果が小さくなる。
例えば、ベース部150の内周面において板状部材180を収容できる収容部(図示せず)を設け、当該収容部に板状部材180を収容してもよい。この場合、ベース部150の端部に設けられた開口から挿入可能となっていることが好ましい。
(1)一対の端子部と、第一の線材によって形成され、端部がそれぞれ異なる前記端子部に導通し、一の前記端部と他の前記端部との間の少なくとも一部の区間において所定の中心軸を中心として巻回されている本体コイル部と、第二の線材によって形成され、前記第二の線材に含まれる二点間が短絡されており、前記二点間の少なくとも一部の区間において巻回されており、前記本体コイル部に生成される磁束が偏って交差するように配置されている短絡コイル部と、を備えるコイル部品。
(2)前記第一の線材と前記第二の線材とが共通して絡げられている絡げ部を備え、前記本体コイル部は、前記第一の線材が前記中心軸を中心として巻回されて形成されている第一巻回部を含んでおり、前記短絡コイル部は、前記第二の線材が巻回されて形成されている第二巻回部を含んでおり、前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記絡げ部から離間しており、かつ、前記絡げ部において導通している(1)に記載のコイル部品。
(3)前記第二巻回部が前記中心軸の周囲に巻回されており、前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記中心軸の軸方向に離間している(2)に記載のコイル部品。
(4)前記一対の端子部が装着されており、前記第一巻回部および前記第二巻回部が周囲に巻回されているベース部を備え、さらに、前記ベース部は、前記中心軸の周囲を周回するように形成されている溝部を含んでおり、前記第二巻回部は、前記溝部に沿って巻回されている(3)に記載のコイル部品。
(5)前記ベース部は、前記中心軸の軸方向に互いに離間している複数の前記溝部を含んでおり、前記第二巻回部は、複数の前記溝部のいずれかに巻回されている(4)に記載のコイル部品。
(6)前記本体コイル部は、前記第一巻回部から前記端子部までの引き回し経路を形成している第一経路部を含んでおり、前記第二巻回部は、前記第一巻回部から前記端子部までの間に位置しており、かつ、前記第一経路部と径方向に離間している(3)から(5)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(7)前記第二巻回部を形成している前記第二の線材が、前記中心軸の軸方向に対して略平行となるように巻回されており、前記第二巻回部によって区画されている領域が、前記第一巻回部の前記中心軸の中央を基準として前記軸方向の一方に偏っている(2)に記載のコイル部品。
(8)前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記第一巻回部の径方向に離間している(7)に記載のコイル部品。
(9)前記第二巻回部の巻回数が3以下である(2)から(8)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(10)前記第二巻回部の巻回角度が360度に満たない(9)に記載のコイル部品。
(11)前記一対の端子部が装着されており、前記第一巻回部が周囲に巻回されており、リード部を有している電子部品が搭載されているベース部を備え、前記リード部の一部が前記絡げ部になっており、前記リード部に前記第一の線材と前記第二の線材とが絡げられている(2)から(10)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(12)前記ベース部は、前記リード部と隣接している突起部を有しており、前記リード部と前記突起部とが前記絡げ部として前記第一の線材と前記第二の線材とに絡げられており、かつ、金属ろう材で固着されている(11)に記載のコイル部品。
(13)前記電子部品は、前記第一の線材および前記第二の線材に接続されている一の前記リード部と、前記一の端子部に接続されている他の前記リード部と、を有しており、前記一のリード部と前記他のリード部とは、前記突起部が設けられている前記ベース部の一面から、前記突起部の突出方向と同方向に突出しており、前記一の端子部の一部は、前記他のリード部と隣接しており、前記一面から前記突出方向と同方向に突出しており、かつ、前記他のリード部と共に第三の線材によって絡げられて前記金属ろう材で固着されており、前記他の端子部の一部は、前記一面から前記突出方向と同方向に突出しており、かつ、前記第一の線材によって絡げられて前記金属ろう材で固着されている(12)に記載のコイル部品。
(14)前記電子部品は、前記リード部が接続されている素子部を有しており、前記ベース部は、前記素子部を掛合して固定している掛合部を有している(11)から(13)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(15)前記本体コイル部は、前記第一巻回部から前記端子部までの引き回し経路を形成している第一経路部を含んでおり、前記第一経路部の少なくとも一部が、前記掛合部と前記素子部とに挟まれて保持されている(14)に記載のコイル部品。
(16)前記第一の線材と前記第二の線材とが同種の線材である(1)から(15)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(17)前記本体コイル部の内側に挿通されている磁性体コアと、前記磁性体コアと前記本体コイル部との間に設けられている導電層と、を備えている(1)から(16)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(18)複数の前記導電層が、互いの間に絶縁層を介して積層している板状部材を備え、前記磁性体コアと前記本体コイル部との間に前記板状部材が設けられている(17)に記載のコイル部品。
(19)一対の端子部を備えるコイル部品の製造方法であって、一の前記端子部に第一の線材の一端を導通させ、所定の中心軸を中心として前記第一の線材を巻回して第一巻回部を形成し、前記第一の線材の他端を他の前記端子部に導通させる本体コイル形成工程と、前記第一巻回部に生成される磁束が偏って交差するように、第二の線材に含まれる二点間の少なくとも一部の区間を巻回して第二巻回部を形成し、前記二点間を短絡する短絡コイル形成工程と、を含むコイル部品の製造方法。
(20)前記本体コイル形成工程において、前記第一巻回部から離間している絡げ部まで前記第一の線材を引き回して絡げ、前記短絡コイル形成工程において、前記第二巻回部から離間している前記絡げ部まで前記第二の線材を引き回して絡げ、前記本体コイル形成工程および前記短絡コイル形成工程の実行によって、前記第一巻回部と前記第二巻回部とを導通させる(19)に記載のコイル部品の製造方法。
(a)リード部を有している電子部品と、前記電子部品が搭載されており、かつ、前記リード部の近傍に設けられている突出部を有しているベース部と、を備え、前記リード部と前記突出部とが巻線で絡げられており、さらに、前記リード部と前記突出部と前記巻線とが金属ろう材で固着されている電子回路。
(b)前記第二巻回部を形成している前記第二の線材が、前記本体コイル部の中心軸の軸方向に対して略垂直になっている(2)に記載のコイル部品。
(c)一対の端子部と、磁性体コアと、第一の線材によって形成され、端部がそれぞれ異なる前記端子部に導通し、一の前記端部と他の前記端部との間の少なくとも一部の区間において前記磁性体コアの周囲に巻回されている本体コイル部と、前記磁性体コアと前記本体コイル部との間に設けられている導電層と、を備えているコイル部品。
(d)前記導電層と、前記導電層が表面に形成された絶縁性基板と、を含んでいる板状部材を備え、前記板状部材が前記磁性体コアと前記本体コイル部との間に設けられている(c)に記載のコイル部品。
(e)前記本体コイル部が周囲に巻回され、内部に前記磁性体コアが挿通されているベース部を備え、前記板状部材が前記ベース部と前記本体コイル部との間に設けられている(d)に記載のコイル部品。
(f)前記ベース部は爪部を有している複数の支柱を含んでおり、前記複数の支柱は、前記板状部材の幅方向に対向して並んでおり、前記爪部の一面が内向き方向に傾斜しており、さらに、前記板状部材が前記爪部の返しの下方面と前記ベース部の上方面との間に収容されている(e)に記載のコイル部品。
(g)前記板状部材は、前記絶縁性基板の両面のそれぞれに形成されている複数の前記導電層を含んでいる(d)から(f)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(h)前記導電層と前記本体コイル部または前記磁性体コアの少なくとも一方との間に絶縁層が形成されている(c)から(g)のいずれか一つに記載のコイル部品。
(i)前記本体コイル部の内側に挿通されている磁性体コアを備えており、前記第二巻回部によって区画されている前記領域が、前記磁性体コアまたは前記第一巻回部の少なくとも一方と重なっている(7)または(8)に記載のコイル部品。
(j)前記領域の一部が、前記磁性体コアの幅方向または長手方向の少なくとも一方について前記磁性体コアから外れている(i)に記載のコイル部品。
(k)前記領域の全体が、前記磁性体コアと重複している(i)に記載のコイル部品。
110、111、113 端子部
112、114 端部
120 コンデンサ部品
121 素子部
122、123 リード部
130 本体コイル部
131 第一巻回部
132、133 第一経路部
140 短絡コイル部
141 第二巻回部
142、143 第二経路部
150 ベース部
151、151a、151b、151c、151d 溝部
152 掛合部
153 突起部
154、155、156、157、158 支柱
160 磁性体コア
170 第三の線材
180 板状部材
181 絶縁層
183 絶縁性基板
182、184 導電層
191、192 フランジ部
Claims (15)
- 一対の端子部と、
第一の線材によって形成され、端部がそれぞれ異なる前記端子部に導通し、一の前記端部と他の前記端部との間の少なくとも一部の区間において所定の中心軸を中心として巻回されている本体コイル部と、
第二の線材によって形成され、前記第二の線材に含まれる二点間が短絡されており、前記二点間の少なくとも一部の区間において巻回されており、前記本体コイル部に生成される磁束が偏って交差するように配置されている短絡コイル部と、
前記第一の線材と前記第二の線材とが共通して絡げられている絡げ部と、を備え、
前記本体コイル部は、前記第一の線材が前記中心軸を中心として巻回されて形成されている第一巻回部を含んでおり、
前記短絡コイル部は、前記第二の線材が巻回されて形成されている第二巻回部を含んでおり、
前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記絡げ部から離間しており、かつ、前記絡げ部において導通しているコイル部品。 - 前記第二巻回部が前記中心軸の周囲に巻回されており、
前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記中心軸の軸方向に離間している請求項1に記載のコイル部品。 - 前記一対の端子部が装着されており、前記第一巻回部および前記第二巻回部が周囲に巻回されているベース部を備え、さらに、
前記ベース部は、前記中心軸の周囲を周回するように形成されている溝部を含んでおり、
前記第二巻回部は、前記溝部に沿って巻回されている請求項2に記載のコイル部品。 - 前記ベース部は、前記中心軸の軸方向に互いに離間している複数の前記溝部を含んでおり、
前記第二巻回部は、複数の前記溝部のいずれかに巻回されている請求項3に記載のコイル部品。 - 前記本体コイル部は、前記第一巻回部から前記端子部までの引き回し経路を形成している第一経路部を含んでおり、
前記第二巻回部は、前記第一巻回部から前記端子部までの間に位置しており、かつ、前記第一経路部と径方向に離間している請求項2から4のいずれか一項に記載のコイル部品。 - 前記第二巻回部を形成している前記第二の線材が、前記中心軸の軸方向に対して略平行となるように巻回されており、
前記第二巻回部によって区画されている領域が、前記第一巻回部の前記中心軸の中央を基準として前記軸方向の一方に偏っている請求項1に記載のコイル部品。 - 前記第一巻回部と前記第二巻回部とが、前記第一巻回部の径方向に離間している請求項6に記載のコイル部品。
- 前記第二巻回部の巻回数が3以下である請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
- 前記第二巻回部の巻回角度が360度に満たない請求項8に記載のコイル部品。
- 前記一対の端子部が装着されており、前記第一巻回部が周囲に巻回されており、リード部を有している電子部品が搭載されているベース部を備え、
前記リード部の一部が前記絡げ部になっており、前記リード部に前記第一の線材と前記第二の線材とが絡げられている請求項1から9のいずれか一項に記載のコイル部品。 - 前記ベース部は、前記リード部と隣接している突起部を有しており、
前記リード部と前記突起部とが前記絡げ部として前記第一の線材と前記第二の線材とに絡げられており、かつ、金属ろう材で固着されている請求項10に記載のコイル部品。 - 前記電子部品は、前記第一の線材および前記第二の線材に接続されている一の前記リード部と、前記一の端子部に接続されている他の前記リード部と、を有しており、
前記一のリード部と前記他のリード部とは、前記突起部が設けられている前記ベース部の一面から、前記突起部の突出方向と同方向に突出しており、
前記一の端子部の一部は、前記他のリード部と隣接しており、前記一面から前記突出方向と同方向に突出しており、かつ、前記他のリード部と共に第三の線材によって絡げられて前記金属ろう材で固着されており、
前記他の端子部の一部は、前記一面から前記突出方向と同方向に突出しており、かつ、前記第一の線材によって絡げられて前記金属ろう材で固着されている請求項11に記載のコイル部品。 - 前記電子部品は、前記リード部が接続されている素子部を有しており、
前記ベース部は、前記素子部を掛合して固定している掛合部を有している請求項10から12のいずれか一項に記載のコイル部品。 - 前記本体コイル部は、前記第一巻回部から前記端子部までの引き回し経路を形成している第一経路部を含んでおり、
前記第一経路部の少なくとも一部が、前記掛合部と前記素子部とに挟まれて保持されている請求項13に記載のコイル部品。 - 一対の端子部を備えるコイル部品の製造方法であって、
一の前記端子部に第一の線材の一端を導通させ、所定の中心軸を中心として前記第一の線材を巻回して第一巻回部を形成し、前記第一の線材の他端を他の前記端子部に導通させる本体コイル形成工程と、
前記第一巻回部に生成される磁束が偏って交差するように、第二の線材に含まれる二点間の少なくとも一部の区間を巻回して第二巻回部を形成し、前記二点間を短絡する短絡コイル形成工程と、を含み、
前記本体コイル形成工程において、前記第一巻回部から離間している絡げ部まで前記第一の線材を引き回して絡げ、
前記短絡コイル形成工程において、前記第二巻回部から離間している前記絡げ部まで前記第二の線材を引き回して絡げ、
前記本体コイル形成工程および前記短絡コイル形成工程の実行によって、前記第一巻回部と前記第二巻回部とを導通させるコイル部品の製造方法。
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