以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところを具体的に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態におけるアンテナ装置100を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態におけるアンテナ装置100の側面図である。以下では、アンテナ装置100が磁界信号を受信する受信用アンテナ装置であるものとして説明するが、磁界信号を出力する送信用アンテナ装置として構成することもできる。
第1の実施形態における100は、磁性体コア1と、第1コイル2と、第2コイル3とを備える。なお、図面では、第1コイル2および第2コイル3を模式的に示している。
磁性体コア1は、薄く、第1方向に延在する矩形平板形状を有し、第1主面M1および第2主面M2を有する。
磁性体コア1の軸方向である第1方向、詳しくは、第1コイル2から第2コイル3へと向かう方向の軸方向に見て、第1コイル2は、磁性体コア1の第1主面M1から第2主面M2にまたがって配置されている。すなわち、第1コイル2は、磁性体コア1の第1主面M1側に位置する第1部分21と、第2主面M2側に位置する第2部分22とを有する。第1コイル2の、第1主面M1側に位置する第1部分21とは、第1主面M1と対向する面を有する部分であり、第2主面M2側に位置する第2部分22とは、第2主面M2と対向する面を有する部分である。
第1コイル2の第2部分22は、磁性体コア1の第1主面M1または第2主面M2に対する平面視において、第1部分21と重ならない位置に配置されている。また、図2に示すように、第1コイル2の、第2主面M2側に位置する第2部分22は、第1主面M1側に位置する第1部分21よりも高い位置にある。すなわち、第1コイル2は、磁性体コア1の第1主面M1および第2主面M2と平行な方向であって、かつ、磁性体コア1の長手方向と直交する方向から見たときに、曲がった形状を有する。
第2コイル3は、第1方向に沿って第1コイル2と並んで配置されている。磁性体コア1の軸方向である第1方向、詳しくは、第1コイル2から第2コイル3へと向かう方向の軸方向に見て、第2コイル3は、磁性体コア1の第2主面M2から第1主面M1にまたがって配置されている。すなわち、第2コイル3は、磁性体コア1の第1主面M1側に位置する第3部分31と、第2主面M2側に位置する第4部分32とを有する。第2コイル3の、第1主面M1側に位置する第3部分31とは、第1主面M1と対向する面を有する部分であり、第2主面M2側に位置する第4部分32とは、第2主面M2と対向する面を有する部分である。
第2コイル3の第4部分32は、磁性体コア1の第1主面M1または第2主面M2に対する平面視において、第3部分31と重ならない位置に配置されている。また、図2に示すように、第2コイル3の、第2主面M2側に位置する第4部分32は、第1主面M1側に位置する第3部分31よりも高い位置にある。すなわち、第2コイル3は、磁性体コア1の第1主面M1および第2主面M2と平行な方向であって、かつ、磁性体コア1の長手方向と直交する方向から見たときに、曲がった形状を有する。
平面形状の第1コイル2の第1部分21および第2部分22はそれぞれ略平板状の形状を有する。また、平面形状の第2コイル3の第3部分31および第4部分32はそれぞれ略平板状の形状を有する。したがって、図2に示すように、アンテナ装置100は全体として厚みの薄い薄型形状を有する。
第1コイル2の第2主面M2側に位置する第2部分22は、第2コイル3の第2主面M2側に位置する第4部分32と近接している。すなわち、磁性体コア1の軸方向(延伸方向)において、第1コイル2の第2部分22と第2コイル3の第4部分32との間の最短距離は、第1コイル2の第2部分22と第2コイル3の第3部分31との間の最短距離よりも短い。
第1コイル2および第2コイル3のそれぞれは、磁性体コア1の第1主面M1または第2主面M2と直交する方向に巻回軸を有する。第1コイル2と第2コイル3の巻数、厚み、巻幅、線種等は同一とすることが好ましい。
第1コイル2および第2コイル3は直列に接続されており、1つの連続コイルを形成している。
図3は、第1コイル2および第2コイル3の接続方法を説明するための図である。ここでは、第1主面M1または第2主面M2の法線方向から見て、第1コイル2と第2コイル3の電気的巻方向が同じものとして説明する。
本実施形態では、図3に示すように、第1コイル2と第2コイル3の電気的巻方向が等しくなるように見たときに、第1コイル2の電気的巻き始めと、第2コイル3の電気的巻き始めとが接続されている。第1コイル2の電気的巻き終わりは、第1端子T1と接続されており、第2コイル3の電気的巻き終わりは、第2端子T2と接続されている。第1端子T1は、入力端子および出力端子のいずれか一方の端子であり、第2端子T2は、入力端子および出力端子の他方の端子である。
なお、第1コイル2の電気的巻き終わりと第2コイル3の電気的巻き終わりとが接続されており、第1コイル2の電気的巻き始めが第1端子T1と接続され、第2コイル3の電気的巻き始めが第2端子T2と接続された構成としてもよい。
図1〜図3に示すような構造を有する第1の実施形態におけるアンテナ装置100において、図4に示すように、磁性体コア1の第1主面M1の法線方向の磁界成分が無く、磁性体コア1と平行な方向から磁界が入射した場合、第1コイル2および第2コイル3と鎖交する磁界はほとんど存在しない。このため、第1コイル2および第2コイル3の最大受信感度方向は、磁性体コア1の軸方向とそれぞれ一致する。
一方、図5に示すように、磁性体コア1の第1主面M1の法線方向の磁界成分を有する磁界が入射した場合、第1コイル2の最大受信感度(ベクトルV1)は、第1コイル2のみを鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV2)と、磁性体コア1を通って第1コイル2を鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV3)との合成となる。
第1コイル2が磁性体コア1の第1主面M1および第2主面M2と略平行な平面形状を有するので、ベクトルV2は、磁性体コア1の第2主面M2の法線方向(第1コイル2の巻回軸方向)と一致する。また、ベクトルV3は、磁性体コア1の軸方向と一致する。
また、第2コイル3の最大受信感度(ベクトルV4)は、第2コイル3のみを鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV5)と、磁性体コア1を通って第2コイル3を鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV6)との合成となる。
第2コイル3が磁性体コア1の第1主面M1および第2主面M2と略平行な平面形状を有するので、ベクトルV5は、磁性体コア1の第1主面M1の法線方向(第2コイル3の巻回軸方向)と一致する。また、ベクトルV6は、磁性体コア1の軸方向と一致する。
第1コイル2は、磁性体コア1の第1主面M1から第2主面M2にまたがるように配置され、第2コイル3は、磁性体コア1の第2主面M2から第1主面M1にまたがるように配置されている。また、第1コイル2の電気的巻き始めと、第2コイル3の電気的巻き始めとが接続されている。このため、図5に示すように、第2コイル3のベクトルV5は、第1コイル2のベクトルV2とは向きが逆である。また、第2コイル3のベクトルV6の方向は、第1コイル2のベクトルV3の方向と同じである。
ここで、第1コイル2および第2コイル3の誘起電圧と磁界入射角との関係について説明する。磁界入射角は、図6に示すように、磁性体コア1のコア軸と入射磁界との成す角である。
図7(a)は、磁界入射角と第1コイル2の誘起電圧との関係を計算により求めた結果を示すグラフである。図7(a)において、点線は、磁性体コア1を通って第1コイル2を鎖交する磁界による誘起電圧(以下、第1コイル2のコア誘起電圧と呼ぶ)を、一点鎖線は、第1コイル2のみを鎖交する磁界による誘起電圧(以下、第1コイル2のコイル誘起電圧と呼ぶ)を、実線は、第1コイル2の誘起電圧をそれぞれ示している。
図7(b)は、磁界入射角と第2コイル3の誘起電圧との関係を計算により求めた結果を示すグラフである。図7(b)において、点線は、磁性体コア1を通って第2コイル3を鎖交する磁界による誘起電圧(以下、第2コイル3のコア誘起電圧と呼ぶ)を、一点鎖線は、第2コイル3のみを鎖交する磁界による誘起電圧(以下、第2コイル3のコイル誘起電圧と呼ぶ)を、実線は、第2コイル3の誘起電圧をそれぞれ示している。
図7(a)および(b)に示すように、第1コイル2のコイル誘起電圧と第2コイル3のコイル誘起電圧は、大きさがほぼ同じで、位相が逆となっている。このため、第1コイル2の誘起電圧と第2コイル3の誘起電圧は、磁界入射角0°を基準として対称的なグラフとなっている。
すなわち、第1コイル2のコイル誘起電圧と第2コイル3のコイル誘起電圧は相殺され、第1コイル2のコア誘起電圧と第2コイル3のコア誘起電圧が足し合わされた誘起電圧がアンテナ装置100の誘起電圧となる。したがって、アンテナ装置100の最大受信感度方向は、磁性体コア1の軸方向と一致している。
図8は、磁界入射角と、第1コイル2の誘起電圧、第2コイル3の誘起電圧、および、アンテナ装置100の誘起電圧との関係をそれぞれ示すグラフである。図8に示すように、アンテナ装置100の誘起電圧は、磁界入射角が0°のときに大きさが最大となる。
ここで、第1コイル2の誘起電圧および第2コイル3の誘起電圧の大きさは、コイルの構造によって決定される。第1コイル2と第2コイル3の構造を同一とすることにより、第1コイル2のコイル誘起電圧と第2コイル3のコイル誘起電圧は、大きさが同一で位相が逆となり、相殺される。
図9は、磁界入射角(°)とアンテナ装置100の誘起電圧(mV/μT)との関係を実測した結果を示すグラフである。第1コイル2のインダクタンスは3.8mH、第2コイル3のインダクタンスは3.7mH、磁性体コア1の軸方向の長さは50mm、アンテナ装置100の厚みは1.0mmとして、磁界入射角と誘起電圧との関係を計測した。
図9に示すように、アンテナ装置100の誘起電圧は、磁界入射角が0°のときに最大となった。すなわち、アンテナ装置100の最大受信感度は、磁性体コア1の軸方向と一致していることが確認できた。また、アンテナ装置100に金属が近づいたとしても、最大受信感度の方向は変化しない。
また、本実施形態におけるアンテナ装置100では、磁性体コア1の軸方向の長さを長くすることにより、最大受信感度を大きくすることができる。すなわち、磁性体コア1の軸方向の長さを長くすることにより、容易に最大受信感度を大きくすることができる。
また、本実施形態におけるアンテナ装置100では、磁性体コア1は平板状であり、第1コイル2および第2コイル3は、磁性体コア1の第1主面M1および第2主面M2と平行な方向から見たときに、曲がった形状を有する。これにより、磁性体コア1を折り曲げることなく、薄型のアンテナ装置100を実現することができる。また、平板状の磁性体コア1を用いることにより、アンテナ装置100の製造時に、第1コイル2および第2コイル3への磁性体コア1の挿入が容易となり、製造効率が向上する。
なお、上述した説明では、アンテナ装置100が受信用アンテナ装置であるものとして説明したが、同様の構成を有する送信用アンテナ装置としても、同様の効果を得ることができる。送信用アンテナ装置では、第1端子T1および第2端子T2に交流電圧を印加することによって発生する磁界信号が出力される。図1〜図3に示す構造を有する送信用アンテナ装置では、最大送信感度が磁性体コア1の軸方向と一致する。また、この送信用アンテナ装置に金属が近づいたとしても、最大送信感度の方向は変化しない。
(第1の実施形態の変形例1)
図10は、第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aを示す斜視図である。また、図11は、第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aの側面図である。このアンテナ装置100Aでは、第1コイル2Aおよび第2コイル3Aがプリント基板4上に印刷パターンで形成されている。
プリント基板4は、第1平板部4a、第2平板部4b、および、第3平板部4cを備える。第1平板部4aと第3平板部4cは同じ高さの位置にある。一方、第2平板部4bは、第1平板部4aおよび第3平板部4cより高い位置にある。
第1コイル2Aは、第1平板部4aと第2平板部4bにまたがって形成されている。第1コイル2Aの第1平板部4aに形成されている第1部分21Aは、磁性体コア1の第1主面M1側に位置し、第2平板部4bに形成されている第2部分22Aは、磁性体コア1の第2主面M2側に位置する。
第2コイル3Aは、第2平板部4bと第3平板部4cにまたがって形成されている。第2コイル3Aの第3平板部4cに形成されている第3部分31Aは、磁性体コア1の第1主面M1側に位置し、第2平板部4bに形成されている第4部分32Aは、磁性体コア1の第2主面M2側に位置する。
すなわち、第1コイル2Aは、磁性体コア1の第1主面M1から第2主面M2にまたがって配置されており、第2コイル3Aは、磁性体コア1の第2主面M2から第1主面M1にまたがって配置されている。
第1コイル2Aの第2主面M2側に位置する第2部分22Aは、第2コイル3Aの第2主面M2側に位置する第4部分32Aと近接している。すなわち、第1コイル2Aの第2部分22Aと第2コイル3Aの第4部分32Aとの間の最短距離は、第1コイル2Aの第2部分22Aと第2コイル3Aの第3部分31Aとの間の最短距離よりも短い。
このアンテナ装置100Aも、アンテナ装置100と同様に、最大受信感度方向は、磁性体コア1の軸方向と一致している。また、アンテナ装置100Aに金属が近づいたとしても、最大受信感度方向は変化しない。
第1コイル2Aおよび第2コイル3Aをプリント基板4の印刷パターンで構成することにより、以下の(1)〜(6)の効果が得られる。
(1)薄いというプリント基板4の特性を生かして、アンテナ装置100A全体の形状を薄型の形状とすることができる。
(2)印刷パターンでは、巻線コイルと比べて、巻線形状を所望の形に精度よく形成することができる。したがって、第1コイル2Aと第2コイル3Aの巻線形状を略同一とすることができるので、第1コイル2Aのコイル誘起電圧の大きさと第2コイル3Aのコイル誘起電圧の大きさを略同一とすることができ、両電圧を精度よく相殺させることができる。
(3)コイルを印刷パターンで構成することにより、後述するように、コイルの数を3つ以上とする構成や、コイルの形状が複雑な形状となる構成でも、容易にコイルを形成することができる。
(4)第1コイル2Aおよび第2コイル3Aの入出力端子も印刷パターンで構成することができるので、印刷パターン以外で構成する一般的なコイル製品に必要なボビン、入出力端子、保護カバー等が不要となる。これにより、部品数を削減して、コストを低減することができる。
(5)コイルおよび入出力端子をプリント基板で一体的に形成するので、印刷パターン以外で構成する一般的なコイル製品の製造過程で必要な巻線、半田付け、アニーリングなどの工程が不要となる。これにより、製造工数を低減することができるので、製造コストを低減することができる。
(6)印刷パターン以外で構成する一般的なコイル製品では、曲げ荷重に対して、ボビン割れ、接着部剥離、断線等が発生する可能性があった。これに対して、印刷パターンでコイルを形成した場合、特に、フレキシブルプリント基板上に印刷パターンでコイルを形成した場合には、曲げによる断線や破損が生じにくい。これにより、曲げ荷重や、振動衝撃・落下等の荷重試験に対して非常に強い製品を実現することが可能となる。
なお、これまでにも、NFCアンテナやワイヤレス給電用アンテナなどのように、プリント基板にコイルを形成した平面アンテナは存在しているが、これらの製品では、最大送受信感度方向がコイルの軸方向であった。この構成では、磁性体コア1の軸方向の長さを長くすることにより、最大送受信感度を大きくすることはできない。
これに対し、第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aでは、最大送受信感度方向が磁性体コア1の軸方向と一致している。したがって、図10に示すように、磁性体コア1が軸方向に長いという形状を活かして、最大送受信感度が大きいアンテナ装置100Aを得ることができる。また、磁性体コア1の軸方向の長さを長くすることにより、最大送受信感度を容易に大きくすることができる。
(第1の実施形態の変形例2)
図12は、第1の実施形態の変形例2におけるアンテナ装置100Bを示す斜視図である。図12に示すアンテナ装置100Bが図10に示すアンテナ装置100Aと異なるのは、磁性体コア1Bの形状と、プリント基板4にコアストッパ40が設けられている点である。
コアストッパ40は、プリント基板4に対して凸状に形成されており、磁性体コア1Bの軸方向における一端1xと当接して、磁性体コア1Bの位置決めを行うためのものである。
磁性体コア1Bは、他の部分よりも幅が広い幅広部1BWを有する。幅広部1BWは、プリント基板4の第3平板部4c上に位置する。この幅広部1BWの幅は、第2コイル3Aの中心孔120の径よりも大きい。これにより、磁性体コア1Bの幅広部1BWは、第1コイル2Aの方へと移動することはできないため、その位置において、プリント基板4に対する磁性体コア1Bの位置を確定させることができる。
上記構成により、アンテナ装置100Bの製造時に、プリント基板4に対する磁性体コア1Bの位置決めを容易に行うことができる。
なお、上述した磁性体コア1Bの幅広部1BWと、コアストッパ40のうちのどちらか一方だけを備えていても、プリント基板4に対する磁性体コア1Bの位置決めを行うことができる。
また、磁性体コア1Bの一端1x側だけでなく、他端側にもコアストッパを設けて、磁性体コア1Bの軸方向両側の位置決めを行うようにしてもよい。
(第1の実施形態の変形例3)
図13は、第1の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置100Cを示す斜視図である。このアンテナ装置100Cでも、図10に示すアンテナ装置100Aと同様に、プリント基板4に第1コイル2Cおよび第2コイル3Cが形成されているが、以下の点でアンテナ装置100Aの構成とは異なる。
図10に示す第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aでは、プリント基板4の第2平板部4bは、第1平板部4aおよび第3平板部4cよりも高い位置に設けられている。すなわち、第1コイル2Aの第2主面M2側に位置する第2部分22Aは、第1主面M1側に位置する第1部分21Aよりも高い位置にあり、第2コイル3Aの第2主面M2側に位置する第4部分32Aは、第1主面M1側に位置する第3部分31Aよりも高い位置にある。
これに対して、図13に示す第1の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置100Cでは、プリント基板4は全体として平板形状を有するが、第1コイル2Cの第2主面M2側に位置する第2部分22C、および、第2コイル3Cの第2主面M2側に位置する第4部分32Cだけが他の部分よりも高い位置に形成されている。
すなわち、第1コイル2Cを構成する部分のうち、第2主面M2側に位置する第2部分22Cは、第1主面M1側に位置する第1部分21Cよりも高い位置に位置するように、図13に示すように、プリント基板4から上方に折り曲げられるような態様で形成されている。また、第2コイル3Cを構成する部分のうち、第2主面M2側に位置する第4部分32Cは、第1主面M1側に位置する第3部分31Cよりも高い位置に位置するように、プリント基板4から上方に折り曲げられるような態様で形成されている。
第1の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置100Cでも、第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aと同様の効果を得ることができる。また、第1コイル2Cおよび第2コイル3Cを形成する際に、プリント基板4の一部を切り取って折り曲げることによって形成するので、第1コイル2Cおよび第2コイル3Cの配置の自由度が向上する。また、プリント基板4の全体を折り曲げることなく、第1コイル2Cおよび第2コイル3Cを形成することができる。
(第1の実施形態の変形例4)
図13に示すアンテナ装置100Cでは、第1コイル2Cと第2コイル3Cが近接する部分、すなわち、第1コイル2Cの第2主面M2側に位置する第2部分22Cと、第2コイル3Cの第2主面M2側に位置する第4部分32Cとがプリント基板4から上方に曲がったような態様で形成されている。
これに対して、第1の実施形態の変形例4におけるアンテナ装置では、磁性体コア1の軸方向における第1コイルと第2コイルの外側部分がプリント基板4から上方に曲がったような態様で形成されている。
図14は、第1の実施形態の変形例4におけるアンテナ装置100Dを示す斜視図である。これまでの説明で用いた図1や図13と異なり、図14に示す配置状態で、磁性体コア1の上面が第1主面M1であり、図では隠れている下面が第2主面M2である。
第1コイル2Dの第1主面M1側に位置する第1部分21Dは、プリント基板4から上方に曲がったような態様で形成されている。すなわち、第1コイル2Dの第1主面M1側に位置する第1部分21Dは、第2主面M2側に位置する第2部分22Dよりも高い位置にある。
第2コイル3Dの第1主面M1側に位置する第3部分31Dは、プリント基板4から上方に曲がったような態様で形成されている。すなわち、第2コイル3Dの第1主面M1側に位置する第3部分31Dは、第2主面M2側に位置する第4部分32Dよりも高い位置にある。
このアンテナ装置100Dでも、第1コイル2Dは、磁性体コア1の第1主面M1から第2主面M2にまたがって配置されており、第2コイル3Dは、磁性体コア1の第2主面M2から第1主面M1にまたがって配置されている。また、第1コイル2Dの第2部分22Dと第2コイル3Dの第4部分32Dとの間の最短距離は、第1コイル2Dの第2部分22Dと第2コイル3Dの第3部分31Dとの間の最短距離よりも短い。
第1の実施形態の変形例4におけるアンテナ装置100Dでも、第1の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置100Aと同様の効果を得ることができる。また、第1コイル2Dおよび第2コイル3Dを形成する際に、プリント基板4の一部を切り取って折り曲げることによって形成するので、第1コイル2Dおよび第2コイル3Dの配置の自由度が向上する。また、プリント基板4の全体を折り曲げることなく、第1コイル2Dおよび第2コイル3Dを形成することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態およびその変形例におけるアンテナ装置では、磁性体コア1は平板状の形状を有しており、第1コイルおよび第2コイルは、平板状ではない曲がった形状を有している。
これに対して、第2の実施形態におけるアンテナ装置200では、第1コイルおよび第2コイルは平板状の形状を有しており、磁性体コアは平板状ではない曲がった形状を有する。
図15は、第2の実施形態におけるアンテナ装置200の斜視図である。また、図16は、第2の実施形態におけるアンテナ装置200の側面図である。
第2の実施形態におけるアンテナ装置200は、磁性体コア1Eと、第1コイル2Eと、第2コイル3Eとを備える。図15に示すように、第1コイル2Eおよび第2コイル3Eは、プリント基板4に印刷パターンによって形成されている。
磁性体コア1Eは、第1主面M1および第2主面M2と平行な方向であって、かつ、磁性体コア1Eの長手方向と直交する方向から見たときに、曲がった形状を有する。磁性体コア1Eとプリント基板4との間は、例えば、テープや接着剤などで接着するようにしてもよい。また、磁性体コア1Eの両面のうち、プリント基板4と向かい合う側の面を接着面としてプリント基板4と接着するようにしてもよい。その場合には、テープなどを用いて磁性体コア1Eをプリント基板4に固定する作業が不要となる。
プリント基板4には、第1コイル2Eの中心に第1貫通孔41が形成されており、かつ、第2コイル3Eの中心に第2貫通孔42が形成されている。磁性体コア1Eは、プリント基板4の第1貫通孔41を、第1コイル2Eおよび第2コイル3Eが形成されているコイル形成面4pから裏面4qへと貫き、さらに、第2貫通孔42を、プリント基板4の裏面4qからコイル形成面4pへと貫くような態様で貫通している。
このため、第1コイル2Eは、磁性体コア1Eの第1主面M1から第2主面M2にまたがるような態様で配置されている。また、第2コイル3Eは、磁性体コア1Eの第2主面M2から第1主面M1にまたがるような態様で配置されている。
第1コイル2Eは、磁性体コア1Eの第1主面M1側に位置する第1部分21Eと、第2主面M2側に位置する第2部分22Eとを有する。詳しくは、プリント基板4上で第1コイル2Eの中心を通り、磁性体コア1Eの軸方向と直交する第1仮想分割線151で第1コイル2Eを分割したときに、磁性体コア1Eの第1主面M1と対向する側の部分が「第1主面M1側に位置する第1部分21E」であり、第2主面M2と対向する側の部分が「第2主面M2側に位置する第2部分22E」である。
第2コイル3Eは、磁性体コア1Eの第1主面M1側に位置する第3部分31Eと、第2主面M2側に位置する第4部分32Eとを有する。詳しくは、プリント基板4上で第2コイル3Eの中心を通り、磁性体コア1Eの軸方向と直交する第2仮想分割線152で第2コイル3Eを分割したときに、磁性体コア1Eの第1主面M1と対向する側の部分が「第1主面M1側に位置する第3部分31E」であり、第2主面M2と対向する側の部分が「第2主面M2側に位置する第4部分32E」である。
第1コイル2Eの第2主面M2側に位置する第2部分22Eは、第2コイル3Eの第2主面M2側に位置する第4部分32Eと近接している。すなわち、磁性体コア1Eの軸方向において、第1コイル2Eの第2部分22Eと第2コイル3Eの第4部分32Eとの間の最短距離は、第1コイル2Eの第2部分22Eと第2コイル3Eの第3部分31Eとの間の最短距離よりも短い。
磁性体コア1Eを、例えば、珪素鋼板、アモルファス合金箔、フェライトシートなどのような柔軟性のある磁性材料を用いて形成する場合、曲げ加工を施して、図15に示すような形状のものを製造する必要はない。例えば、平板状の磁性体コアを形成してからプリント基板4に挿入し、その後に磁性体コアに力を加えて、図15に示すような形状に変形させた後、テープや接着剤等を用いて形状を固定するようにしてもよい。
第2の実施形態におけるアンテナ装置200によれば、磁性体コア1Eが曲がった形状を有することにより、平板形状の第1コイル2Eおよび第2コイル3Eと組み合わせて、全体の形状を薄型にすることができる。また、上述したように、磁性体コア1Eを第1コイル2Eおよび第2コイル3Eの中心孔に挿入してから折り曲げることで、磁性体コア1Eの挿入が容易で、かつ、薄型のアンテナ装置200を製造することができる。
また、磁性体コア1Eが曲がった形状を有するので、アンテナ装置200の製造時に、第1コイル2Eおよび第2コイル3Eのそれぞれの中心孔への磁性体コア1Eの挿入方向を間違えることがなくなる。これは特に、アンテナ装置を構成するコイル数が多くなったときに大きい利点となる。
(第2の実施形態の変形例1)
図17は、第2の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置200Aを示す斜視図である。図17に示すアンテナ装置200Aが図15に示すアンテナ装置200と異なるのは、磁性体コア1Eの形状と、プリント基板4にコアストッパ40が設けられている点である。
コアストッパ40は、図12に示すアンテナ装置100Bが備えるコアストッパ40と同じものであり、磁性体コア1Eの軸方向における一端1xと当接して、磁性体コア1Eの位置決めを行うために設けられている。
図12に示すアンテナ装置100Bと同様に、磁性体コア1Eは、軸方向における一端1xとは反対側に、他の部分よりも幅が広い幅広部1EWを有する。
上記構成により、アンテナ装置200Aの製造時に、プリント基板4に対する磁性体コア1Eの位置決めを容易に行うことができる。
(第2の実施形態の変形例2)
図18は、第2の実施形態の変形例2におけるアンテナ装置200Bの斜視図である。第2の実施形態の変形例2におけるアンテナ装置200Bでは、第1コイル2Fおよび第2コイル3Fがプリント基板4に印刷パターンで形成されたコイルではなく、平板状の巻線コイルである。
第2の実施形態の変形例2におけるアンテナ装置200Bは、磁性体コア1Fと、第1コイル2Fと、第2コイル3Fとを備える。
磁性体コア1Fは、図15に示す磁性体コア1Eと略同一の形状を有する。図18に示す磁性体コア1Fは、図15に示す磁性体コア1Eの上下を逆にした状態で配置されている。図1や図13と異なり、図18に示す配置状態で、磁性体コア1の上面が第1主面M1であり、図では隠れている下面が第2主面M2である。
第1コイル2Fは、磁性体コア1Fの第1主面M1から第2主面M2にまたがって配置されている。また、第2コイル3Fは、磁性体コア1Dの第2主面M2から第1主面M1にまたがって配置されている。
第1コイル2Fは、磁性体コア1Fの第1主面M1側に位置する第1部分21Fと、第2主面M2側に位置する第2部分22Fとを有する。詳しくは、第1コイル2Fの中心を通り、磁性体コア1Fの軸方向と直交する第1仮想分割線151で第1コイル2Fを分割したときに、磁性体コア1Fの第1主面M1と対向する側の部分が「第1主面M1側に位置する第1部分21F」であり、第2主面M2と対向する側の部分が「第2主面M2側に位置する第2部分22F」である。
第2コイル3Fは、磁性体コア1Fの第1主面M1側に位置する第3部分31Fと、第2主面M2側に位置する第4部分32Fとを有する。詳しくは、第2コイル3Fの中心を通り、磁性体コア1Fの軸方向と直交する第2仮想分割線152で第2コイル3Fを分割したときに、磁性体コア1Fの第1主面M1と対向する側の部分が「第1主面M1側に位置する第3部分31F」であり、第2主面M2と対向する側の部分が「第2主面M2側に位置する第4部分32F」である。
第1コイル2Fの第2部分22Fと第2コイル3Fの第4部分32Fとの間の最短距離は、第1コイル2Fの第2部分22Fと第2コイル3Fの第3部分31Fとの間の最短距離よりも短い。
このアンテナ装置200Bにおいても、磁性体コア1Fが曲がった形状を有することにより、平板形状の第1コイル2Fおよび第2コイル3Fと組み合わせて、全体の形状を薄型にすることができる。また、図15に示すアンテナ装置200と同様に、磁性体コア1Fを第1コイル2Fおよび第2コイル3Fの中心孔に挿入してから折り曲げることで、磁性体コア1Fの挿入が容易で、かつ、薄型のアンテナ装置200Bを製造することができる。
また、第1コイル2Fおよび第2コイル3Fの形状を平板形状とすることにより、曲がった形状とする場合と比べて、コイルの電気特性のバラツキを低減することができる。
(第2の実施形態の変形例3)
第2の実施形態の変形例2におけるアンテナ装置200Bは、曲がった形状を有する磁性体コア1Fが一体的に形成されている。これに対して、第2の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置200Cでは、磁性体コアが複数の部材を組み合わせて構成されている。
図19Aは、第2の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置200Cの斜視図である。図19Bは、第2の実施形態の変形例3におけるアンテナ装置200Cにおいて、磁性体コア1Kを分割した状態を示す図である。
第1コイル2Kおよび第2コイル3Kの構成は、図18に示す第1コイル2Fおよび第2コイル3Fの構成と同じである。したがって、第1コイル2Kの第1主面M1側に位置する第1部分21K、および、第2主面M2側に位置する第2部分22Kは、図18に示す第1コイル2Fの第1主面M1側に位置する第1部分21F、および、第2主面M2側に位置する第2部分22Fにそれぞれ対応する。また、第2コイル3Kの第1主面M1側に位置する第3部分31K、および、第2主面M2側に位置する第4部分32Kは、図18に示す第2コイル3Fの第1主面M1側に位置する第3部分31F、および、第2主面M2側に位置する第4部分32Fにそれぞれ対応する。
磁性体コア1Kは、第1構成部11と、第2構成部12と、第3構成部13とを組み合わせることによって構成されている。
このアンテナ装置200Cによれば、アンテナ装置200Cの製造時に、一体的に形成された磁性体コアを第1コイルおよび第2コイルの中心孔に貫通させる工程が不要となる。すなわち、図19Bに示すように、第1構成部11の上に第1コイル2Kを、第3構成部13の上に第2コイル3Kを置き、第2構成部12を第1構成部11および第3構成部13と組み合わせることによって、アンテナ装置200Cを作製することができる。
したがって、例えば、曲げることができない磁性体コアを用いて、図19Aに示すような形状を有する薄型のアンテナ装置200Cを作製することができる。また、後述するように、複数のコイルを備えるアンテナ装置を作製する場合に、磁性体コアを各コイルの中心孔に貫通させる工程が不要となるため、アンテナ装置の作製が容易となる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態におけるアンテナ装置100では、第1コイル2および第2コイル3が平板形状ではない曲がった形状を有している。また、第2の実施形態におけるアンテナ装置200では、磁性体コア1Eが平板形状ではない曲がった形状を有している。
これに対して、第3の実施形態におけるアンテナ装置では、磁性体コア、第1コイル、および、第2コイルの全てが平板形状ではない曲がった形状を有している。
図20は、第3の実施形態におけるアンテナ装置300を示す斜視図である。また、図21は、第3の実施形態におけるアンテナ装置300の側面図である。
第3の実施形態におけるアンテナ装置300は、磁性体コア1Gと、第1コイル2Gと、第2コイル3Gとを備える。第1コイル2Gおよび第2コイル3Gは、図1に示す第1コイル2および第2コイル3と同じような形状を有するが、厚みが異なる。すなわち、第1コイル2Gおよび第2コイル3Gは、図1に示す第1コイル2および第2コイル3よりも厚みが薄い。
磁性体コア1Gは、第1平板部111、第2平板部112、および、第3平板部113を備える。第1平板部111および第3平板部113は同じ高さの位置にあり、第2平板部112は、第1平板部111および第3平板部113よりも低い位置にある。
磁性体コア1Gの第1平板部111は、第1コイル2Gの第1主面M1側に位置する第1部分21Gの上に位置する。第2平板部112は、第1コイル2Gの第2主面M2側に位置する第2部分22G、および、第2コイル3Gの第2主面M2側に位置する第4部分32Gの下に位置する。第3平板部113は、第2コイル3Gの第1主面M1側に位置する第3部分31Gの上に位置する。
第1の実施形態におけるアンテナ装置100の厚みは、図2に示すように、第1コイル2の第1主面M1側に位置する第1部分21の厚みと、磁性体コア1の厚みと、第1コイル2の第2主面M2側に位置する第2部分22の厚みとを加算したものとなる。
これに対して、第3の実施形態におけるアンテナ装置300の厚みは、図21に示すように、第1コイル2Gの第1主面M1側に位置する第1部分21Gの厚みと、磁性体コア1Gの第1平板部111の厚みとを加算したものとなる。すなわち、本実施形態におけるアンテナ装置300によれば、第1の実施形態におけるアンテナ装置100よりも厚みを薄くし、さらなる小型化を実現することができる。
また、後述する多軸アンテナ装置のように、複数のアンテナ装置を組み合わせた構成とする場合にも、構成要素である磁性体コアおよびコイルの形状を平板形状ではない曲がった形状とすることにより、さらなる小型化を実現することができる。
(第3の実施形態の変形例1)
図22は、第3の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置300Aを示す斜視図である。図23は、第3の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置300Aの側面図である。
このアンテナ装置300Aでは、第1コイル2Hおよび第2コイル3Hがプリント基板4の印刷パターンによって形成されている。プリント基板4は、図10に示すアンテナ装置100Aのプリント基板4と同様に、第1平板部4a、第2平板部4b、および、第3平板部4cを備える。
第1コイル2Hおよび第2コイル3Hは、図10に示すアンテナ装置100Aの第1コイル2Aおよび第2コイル3Aと同じような形状を有するが、厚みが異なる。すなわち、第1コイル2Hおよび第2コイル3Hは、図10に示す第1コイル2Hおよび第2コイル3Hよりも厚みが薄い。
磁性体コア1Hは、第1平板部111H、第2平板部112H、および、第3平板部113Hを備える。第1平板部111Hおよび第3平板部113Hは同じ高さの位置にあり、第2平板部112Hは、第1平板部111Hおよび第3平板部113Hよりも低い位置にある。
磁性体コア1Hの第1平板部111Hは、第1コイル2Hの第1主面M1側に位置する第1部分21Hの上に位置する。第2平板部112Hは、第1コイル2Hの第2主面M2側に位置する第2部分22H、および、第2コイル3Hの第2主面M2側に位置する第4部分32Hの下に位置する。第3平板部113Hは、第2コイル3Hの第1主面M1側に位置する第3部分31Hの上に位置する。
この第3の実施形態の変形例1におけるアンテナ装置300Aによれば、図10に示すアンテナ装置100Aよりも厚みを薄くすることができ、さらなる小型化を実現することができる。
<第4の実施形態>
第1の実施形態におけるアンテナ装置100は、磁性体コア1と、第1コイル2と、第2コイル3とを備えている。これに対して、第4の実施形態におけるアンテナ装置400は、磁性体コア1と、3つ以上のコイルとを備えている。ここでは、コイルの数が6つであるものとして説明する。
図24は、第4の実施形態におけるアンテナ装置400を示す斜視図である。図25は、第4の実施形態におけるアンテナ装置400の側面図である。
図24および図25に示すように、第4の実施形態におけるアンテナ装置400は、磁性体コア1と、第1コイル2と、第2コイル3と、第3コイル241と、第4コイル242と、第5コイル243と、第6コイル244とを備える。第1コイル2、第2コイル3、第3コイル241、第4コイル242、第5コイル243、および、第6コイル244の巻数、厚み、巻幅、線種等は同一とすることが好ましい。
第3コイル241および第5コイル243は、第1コイル2と同じ形状を有する。すなわち、第1コイル2、第3コイル241、および、第5コイル243は、磁性体コア1の第1主面M1から第2主面M2にまたがって配置されている。
第4コイル242および第6コイル244は、第2コイル3と同じ形状を有する。すなわち、第2コイル3、第4コイル242、および、第6コイル244は、磁性体コア1の第2主面M2から第1主面M1にまたがって配置されている。
図26は、第1コイル2、第2コイル3、第3コイル241、第4コイル242、第5コイル243、および、第6コイル244の接続方法を説明するための図である。ここでは、磁性体コア1の第1主面M1または第2主面M2の法線方向から見て、全てのコイルの電気的巻方向が同じものとして説明する。
本実施形態では、図26に示すように、第1コイル2の電気的巻き始めと、第2コイル3の電気的巻き始めとが接続されており、第2コイル3の電気的巻き終わりと、第3コイル241の電気的巻き終わりとが接続されている。また、第3コイル241の電気的巻き始めと、第4コイル242の電気的巻き始めとが接続されており、第4コイル242の電気的巻き終わりと、第5コイル243の電気的巻き終わりとが接続されている。また、第5コイル243の電気的巻き始めと、第6コイル244の電気的巻き始めとが接続されている。
第1コイル2の電気的巻き終わりは第1端子T1と接続されており、第6コイル244の電気的巻き終わりは第2端子T2と接続されている。第1端子T1は、入力端子および出力端子のいずれか一方の端子であり、第2端子T2は、入力端子および出力端子の他方の端子である。
なお、第1コイル2の電気的巻き終わりと、第2コイル3の電気的巻き終わりとが接続された構成であってもよい。この場合、第2コイル3の電気的巻き始めと、第3コイル241の電気的巻き始めとが接続され、第3コイル241の電気的巻き終わりと、第4コイル242の電気的巻き終わりとが接続される。また、第4コイル242の電気的巻き始めと、第5コイル243の電気的巻き始めとが接続され、第5コイル243の電気的巻き終わりと、第6コイル244の電気的巻き終わりとが接続される。この場合、第1コイル2の電気的巻き始めは第1端子T1と接続され、第6コイル244の電気的巻き始めは第2端子T2と接続される。
上記のような接続関係により、全てのコイルのコイル誘起電圧は相殺され、全てのコイルのコア誘起電圧が足し合わされた誘起電圧がアンテナ装置400の誘起電圧となる。したがって、アンテナ装置400の誘起電圧は、第1の実施形態で説明したように、磁界入射角が0°のときに最大となる。
すなわち、アンテナ装置400の最大受信感度方向は、磁性体コア1の軸方向と一致し、アンテナ装置400に金属が近づいたとしても、最大受信感度方向は変化しない。
このアンテナ装置400は、図1に示すアンテナ装置100と比べて、磁性体コア1の軸方向の長さが長くなるので、最大受信感度をさらに大きくすることができる。
なお、図24〜図26では、コイルの数が偶数個であり、コイルの巻数、厚み、巻幅、線種等は、同一とすることが好ましいものとして説明した。しかし、コイルの数は奇数であってもよいし、各コイルの巻数、厚み、巻幅、線種等は同一でなくてもよい。ただし、その場合でも、全てのコイルのコイル誘起電圧が全体として相殺され、アンテナ装置の最大受信感度方向が磁性体コア1の軸方向と一致するように調整することが必要である。
また、第1コイル2、第2コイル3、第3コイル241、第4コイル242、第5コイル243、および、第6コイル244の並び順が図24に示す並び順に限定されることはない。例えば、第1コイル2、第3コイル241、第5コイル243、第2コイル3、第4コイル242、および、第6コイル244の並び順としてもよい。ただし、その場合には、全てのコイルのコイル誘起電圧が全体として相殺され、アンテナ装置の最大受信感度方向が磁性体コア1の軸方向と一致するように、コイル間の接続関係を調整する必要がある。
上記説明では、アンテナ装置400が受信用アンテナ装置であるものとして説明したが、同様の構成を有する送信用アンテナ装置としても、同様の効果を得ることができる。すなわち、図24〜図26に示す構造を有する送信用アンテナ装置は、最大送信感度方向が磁性体コア1の軸方向と一致し、この送信用アンテナ装置に金属が近づいたとしても、最大送信感度方向は変化しない。
図27は、図24〜図26に示す構造を有する送信用アンテナ装置の出力磁界を、有限要素法シミュレーションによって求めた結果を示す図である。従来、平面コイルを複数組み合わせたコア長の長い平面アンテナ装置は存在していなかったが、上述した構成により、高出力で薄型の送信用アンテナ装置を実現することができる。
<第5の実施形態>
上述した第1〜第4の実施形態におけるアンテナ装置では、最大受信感度方向が磁性体コアの軸方向と一致している。
これに対して、第5の実施形態におけるアンテナ装置では、最大受信感度方向が磁性体コアの主面と直交する方向と一致する。
第5の実施形態におけるアンテナ装置500の外観形状は、図1に示す第1の実施形態におけるアンテナ装置100の外観形状と同じである。本実施形態におけるアンテナ装置500が第1の実施形態におけるアンテナ装置100と異なるのは、第1コイル2と第2コイル3との間の接続関係である。
図28は、第1コイル2と第2コイル3との接続方法を説明するための図である。ここでは、磁性体コア1の第1主面M1または第2主面M2の法線方向から見て、第1コイル2と第2コイル3の電気的巻方向が同じものとして説明する。
本実施形態では、図28に示すように、第1コイル2の電気的巻き始めと、第2コイル3の電気的巻き終わりとが接続されている。第1コイル2の電気的巻き終わりは第1端子T1と接続されており、第2コイル3の電気的巻き始めは第2端子T2と接続されている。
ただし、第1コイル2の電気的巻き終わりと、第2コイル3の電気的巻き始めとが接続された構成としてもよい。
図29に示すように、磁性体コア1の第1主面M1の法線方向の磁界成分を有する磁界が入射した場合、第1コイル2の最大受信感度(ベクトルV1)は、第1コイル2のみを鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV2)と、磁性体コア1を通って第1コイル2を鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV3)との合成となる。
また、第2コイル3の最大受信感度(ベクトルV14)は、第2コイル3のみを鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV15)と、磁性体コア1を通って第2コイル3を鎖交する磁界に起因する最大受信感度(ベクトルV16)との合成となる。
ここで、本実施形態におけるアンテナ装置500では、図1に示す第1の実施形態におけるアンテナ装置100と比べて、第1コイル2と第2コイル3との間の接続関係が反対になっているので(図3および図28参照)、ベクトルV15の向きは、図5に示すベクトルV5の向きと逆であり、ベクトルV16の向きは、図5に示すベクトルV6の向きと逆である。したがって、ベクトルV14の向きも、ベクトルV4の向きと逆である。
アンテナ装置500全体の最大受信感度を表すベクトルは、ベクトルV1とベクトルV14との合成ベクトルとなる。磁性体コア1の軸方向で向きが異なるベクトルV3とベクトルV16は相殺されるため、最大受信感度を表すベクトルは、ベクトルV2とベクトルV15との合成ベクトルとなる。
すなわち、アンテナ装置500の最大受信感度方向は、磁性体コア1の主面(第1主面M1および第2主面M2)と直交する方向と一致しており、アンテナ装置500に金属が近づいたとしても、最大受信感度方向は変化しない。
ここで、第1コイル2および第2コイル3の誘起電圧と磁界入射角との関係について説明する。ここでは、図30に示すように、磁性体コア1の第2主面M2と直交する方向と入射磁界との成す角を磁界入射角として説明する。
図31は、磁界入射角(°)とアンテナ装置500の誘起電圧(mV/μT)との関係を実測した結果を示すグラフである。第1コイル2のインダクタンスは3.8mH、第2コイル3のインダクタンスは3.7mH、磁性体コア1の軸方向の長さは50mm、アンテナ装置500の厚みは1.0mmとして、磁界入射角と誘起電圧との関係を計測した。
図31に示すように、アンテナ装置500の誘起電圧は、磁界入射角が0°のときに最大となった。すなわち、アンテナ装置500の最大受信感度方向は、磁性体コア1の主面と直交する方向と一致していることが確認できた。したがって、アンテナ装置500に金属が近づいたとしても、最大受信感度方向は変化しない。
なお、上述した説明では、アンテナ装置500が受信用アンテナ装置であるものとして説明したが、同様の構成を有する送信用アンテナ装置としても、同様の効果を得ることができる。
<第6の実施形態>
第1の実施形態におけるアンテナ装置100(図1参照)に対する第4の実施形態におけるアンテナ装置400(図24参照)のように、上記第5の実施形態におけるアンテナ装置500の構成で3つ以上のコイルを備えるようにしてもよい。ここでは、コイルの数が6つであるものとして説明する。
図32は、第6の実施形態におけるアンテナ装置600において、各コイルの接続方法を説明するための図である。第6の実施形態におけるアンテナ装置600は、磁性体コア1と、第1コイル2と、第2コイル3と、第3コイル241と、第4コイル242と、第5コイル243と、第6コイル244とを備える。なお、各コイルの巻数、厚み、巻幅、線種等は、同一であることが好ましい。
ここでは、第1主面M1または第2主面M2の法線方向から見て、全てのコイルの電気的巻方向が同じものとして説明する。本実施形態では、図32に示すように、第1コイル2の電気的巻き始めと、第2コイル3の電気的巻き終わりとが接続されており、第2コイル3の電気的巻き始めと、第3コイル241の電気的巻き終わりとが接続されている。また、第3コイル241の電気的巻き始めと、第4コイル242の電気的巻き終わりとが接続されており、第4コイル242の電気的巻き始めと、第5コイル243の電気的巻き終わりとが接続されている。また、第5コイル243の電気的巻き始めと、第6コイル244の電気的巻き終わりとが接続されている。第1コイル2の電気的巻き終わりは第1端子T1と接続されており、第6コイル244の電気的巻き始めは第2端子T2と接続されている。
上記のような接続関係により、全てのコイルのコア誘起電圧は全体として相殺され、全てのコイルのコイル誘起電圧が足し合わされた誘起電圧がアンテナ装置600の誘起電圧となる。このアンテナ装置600の誘起電圧は、第5の実施形態で説明したように、磁界入射角が0°のときに最大となる。
すなわち、アンテナ装置600の最大受信感度方向は、磁性体コア1の主面と直交する方向と一致しており、また、アンテナ装置600に金属が近づいたとしても、最大受信感度の方向は変化しない。
なお、図32では、コイルの数が偶数個であり、コイルの巻数、厚み、巻幅、線種等は、同一とすることが好ましいものとして説明した。しかし、コイルの数は奇数であってもよいし、各コイルの巻数、厚み、巻幅、線種等は同一でなくてもよい。ただし、その場合でも、全てのコイルのコア誘起電圧が全体として相殺され、アンテナ装置の最大受信感度方向が磁性体コア1の主面と直交する方向と一致するように調整することが必要である。
また、第4の実施形態で説明したように、第1コイル2、第2コイル3、第3コイル241、第4コイル242、第5コイル243、および、第6コイル244の並び順が図32に示す並び順に限定されることもない。
上記説明では、アンテナ装置600が受信用アンテナ装置であるものとして説明したが、同様の構成を有する送信用アンテナ装置としても、同様の効果を得ることができる。すなわち、図32に示す構造を有する送信用アンテナ装置は、最大送信感度が磁性体コア1の主面と直交する方向と一致し、この送信用アンテナ装置に金属が近づいたとしても、最大送信感度方向は変化しない。
図33は、図32に示す構造を有する送信用アンテナ装置の出力磁界を、有限要素法シミュレーションによって求めた結果を示す図である。従来、平面コイルを複数組み合わせたコア長の長い平面アンテナ装置は存在していなかったが、上述した構成により、高出力で薄型の送信用アンテナ装置を実現することができる。
<第7の実施形態>
図34は、第7の実施形態におけるアンテナ装置700を示す斜視図である。第7の実施形態におけるアンテナ装置700は、図15に示す第2の実施形態におけるアンテナ装置200に電子部品340をさらに備えた構成を有する。
電子部品340は、例えば、共振用コンデンサであり、プリント基板4に実装されている。図35は、電子部品340として共振用コンデンサを用いた場合の等価回路図である。
なお、電子部品340が共振用コンデンサに限定されることはなく、受信コントロールICや送信用パワーICなど、アンテナ装置として必要な電子部品をプリント基板4に実装することができる。
図36は、プリント基板4に複数の電子部品340を実装したアンテナ装置700Aの斜視図である。図36に示すように、プリント基板4に複数の電子部品340を実装してもよい。
第7の実施形態におけるアンテナ装置700、700Aによれば、電子部品を実装することにより、例えば、共振同調機能やその他の機能を有する高機能なアンテナ装置を提供することができる。
<第8の実施形態>
図37は、第8の実施形態におけるアンテナ装置800を示す斜視図である。また、図38は、第8の実施形態におけるアンテナ装置800の等価回路図である。第8の実施形態におけるアンテナ装置800は、インダクタンスを調整可能な構造を有する。なお、図37において、図34に示すアンテナ装置700と同じ構成部分については、同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
本実施形態では、第1コイル2Jおよび第2コイル3Jが多層基板370に形成されている。すなわち、第1コイル2Jおよび第2コイル3Jは、多層基板370の内部に、基板積層方向を軸としてらせん状に構成されている。
第1コイル2Jには、複数の第1タップ引出線371a〜371dが接続されている。第1タップ引出線371a〜371dは、多層基板370の最上層の表面370aに印刷パターンにより形成されており、図示しないビア導体を介して、多層基板370の内部に形成されている第1コイル2Jと接続されている。
第1タップ引出線371aは、周回状に形成されている第1コイル2Jの最外周部分に接続されている。第1タップ引出線371bは、第1タップ引出線371aが接続されている部分よりも内周側部分において、第1コイル2Jと接続されている。第1タップ引出線371cは、第1タップ引出線371bが接続されている部分よりも内周側部分において、第1コイル2Jと接続されている。第1タップ引出線371dは、第1タップ引出線371cが接続されている部分よりも内周側部分において、第1コイル2Jと接続されている。
第2コイル3Jには、複数の第2タップ引出線372a〜372dが接続されている。第2タップ引出線372a〜372dは、多層基板370の最上層の表面370aに印刷パターンにより形成されており、図示しないビア導体を介して、第2コイル3Jと接続されている。
第2タップ引出線372aは、周回状に形成されている第2コイル3Jの最外周部分に接続されている。第2タップ引出線372bは、第2タップ引出線372aが接続されている部分よりも内周側部分において、第2コイル3Jと接続されている。第2タップ引出線372cは、第2タップ引出線372bが接続されている部分よりも内周側部分において、第2コイル3Jと接続されている。第2タップ引出線372dは、第2タップ引出線372cが接続されている部分よりも内周側部分において、第2コイル3Jと接続されている。
このアンテナ装置800では、複数の第1タップ引出線371a〜371dのうちのいずれか1つと、複数の第2タップ引出線372a〜372dのうちのいずれか1つとの間の接続を変更することによって、インダクタンスを変更可能に構成されている。接続の組合せは、第1タップ引出線371aと第2タップ引出線372a、第1タップ引出線371bと第2タップ引出線372b、第1タップ引出線371cと第2タップ引出線372c、第1タップ引出線371dと第2タップ引出線372dである。
複数の第1タップ引出線371a〜371dのうちのいずれか1つと、複数の第2タップ引出線372a〜372dのうちのいずれか1つとの間は、チップジャンバー373を用いて接続することができる。
本実施形態では、第1タップ引出線371aと第2タップ引出線372aとを接続した場合に、インダクタンスが最も大きくなり、第1タップ引出線371dと第2タップ引出線372dとを接続した場合に、インダクタンスが最も小さくなる。
従来のアンテナ装置では、コア長やコアとコイルの相間位置、インダクタンス調整用コアの追加などの方法により、インダクタンスを調整することができるが、特に小型のアンテナ装置では、作業性の悪さや費用対効果などを鑑みて、あまり実現されていなかった。
しかしながら、本実施形態におけるアンテナ装置800では、第1コイル2Jと第2コイル3Jとの接続位置を切り替えることにより、巻数調整によるインダクタンス調整を容易に行うことができる。
ここで、コイル部品を共振動作で使用する場合、共振周波数を要求仕様に合わせることが非常に重要となるが、共振用コンデンサやコア材料の特性バラツキによって共振周波数は変化するため、共振周波数を要求仕様に合わせることは困難である。
しかしながら、本実施形態におけるアンテナ装置800では、第1タップ引出線371a〜371dと第2タップ引出線372a〜372dとの間で接続する線を変更することによってコイル巻数を調整することができる。これにより、共振用コンデンサやコア材料の特性バラツキを考慮して、インダクタンスを調整することが可能となるので、共振周波数を所定の周波数に精度よく合わせることができ、極めて高精度な特性を有するアンテナ装置を提供することができる。
また、図38の等価回路図に示すように、第1タップ引出線371a〜371dと第2タップ引出線372a〜372dを構成することにより、第1タップ引出線と第2タップ引出線とを接続したときの第1コイル2Jと第2コイル3Jの巻数を常に等しくすることができる。これにより、第1コイル2Jと第2コイル3Jの特性バラツキを低減し、アンテナ装置の送受信感度を磁性体コア1の軸方向または磁性体コア1の主面と直交する方向に、高精度に一致させることができる。
<第9の実施形態>
上述した第1〜第8の実施形態におけるアンテナ装置では、一方向に最大送受信感度を有する。これに対して、第9の実施形態における多軸アンテナ装置では、複数の方向に最大送受信感度を有する。なお、ここでの最大送受信感度は、必ずしも最大の送受信感度を意味するものではなく、磁界の角度に応じて変化する送受信感度がピークとなるときの送受信感度を意味する。すなわち、本実施形態におけるアンテナ装置では、複数の送受信感度のピークを有する。
図39は、第9の実施形態における多軸アンテナ装置900を示す斜視図である。また、図40は、第9の実施形態における多軸アンテナ装置900を矢印Y1の方向から見たときの側面図である。この多軸アンテナ装置900は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の三方向に最大送受信感度のピークを有する。
多軸アンテナ装置900は、第1磁性体コア91と、第1コイル92と、第2コイル93と、第2磁性体コア94と、第3コイル95と、第4コイル96と、第5コイル97とを備える。
第1磁性体コア91、第1コイル92、および、第2コイル93の組合せによる構成は、図13に示す磁性体コア1、第1コイル2C、および、第2コイル3Cの組合せによる構成と同じであり、1つのアンテナ装置を構成する。第1の実施形態で説明したように、第1磁性体コア91、第1コイル92、および、第2コイル93の組合せの構成によるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第1磁性体コア91の軸方向(X軸方向)と一致する。
第2磁性体コア94、第3コイル95、および、第4コイル96の組合せによる構成は、図13に示す磁性体コア1、第1コイル2C、および、第2コイル3Cの組合せによる構成と同じであり、1つのアンテナ装置を構成する。ただし、第2磁性体コア94は、平面視で第1磁性体コア91と直交している部分があり、第1磁性体コア91と直交している部分94aが他の部分94bよりも低い位置にある、曲がった形状を有する。この第2磁性体コア94、第3コイル95、および、第4コイル96の組合せの構成によるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第2磁性体コア94の軸方向(Y軸方向)と一致する。
第5コイル97は、プリント基板4の表面上の外周側を周回するような態様で形成されている。第5コイル97の最大受信感度方向は、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
なお、第5コイル97の代わりに、図28に示すアンテナ装置500を設けてもよい。この場合も、アンテナ装置500の最大受信感度方向は、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
上述した構成により、多軸アンテナ装置900に金属が近づいたとしても、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向の三軸方向にある最大受信感度方向は変化しない。したがって、広範囲の受信感度を有し、金属が近づいても最大受信感度方向が変化しない多軸アンテナ装置900を提供することができる。
なお、同様の構成を有する送信用アンテナ装置として構成することができ、同様の効果を得ることができる。
(第9の実施形態の変形例1)
図41は、第9の実施形態の変形例1における多軸アンテナ装置900Aを示す斜視図である。この多軸アンテナ装置900Aは、第1磁性体コア91Aと、第1コイル92Aと、第2コイル93Aと、第2磁性体コア94Aと、第3コイル95Aと、第4コイル96Aと、第5コイル97Aとを備える。
第1磁性体コア91A、第1コイル92A、および、第2コイル93Aの組合せによる構成が図39に示す第1磁性体コア91、第1コイル92、および、第2コイル93の組合せによる構成と異なるのは、第1磁性体コア91Aに対する第1コイル92Aおよび第2コイル93Aの挿入方向である。すなわち、第1磁性体コア91Aに対する第1コイル92Aおよび第2コイル93Aの挿入方向は、図39に示す第1磁性体コア91に対する第1コイル92および第2コイル93の挿入方向と逆である。
第1磁性体コア91A、第1コイル92A、および、第2コイル93Aの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第1磁性体コア91Aの軸方向(X軸方向)と一致する。
第2磁性体コア94A、第3コイル95A、および、第4コイル96Aの組合せによる構成は、図39に示す第2磁性体コア94、第3コイル95、および、第4コイル96の組合せによる構成と同じである。第2磁性体コア94A、第3コイル95A、および、第4コイル96Aの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第2磁性体コア94Aの軸方向(Y軸方向)と一致する。
第5コイル97Aは、プリント基板4の表面上の外周側を周回するような態様で形成されている。第5コイル97Aの最大受信感度方向は、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
上述した構成により、多軸アンテナ装置900Aに金属が近づいたとしても、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向の三軸方向にある最大受信感度方向は変化しない。したがって、広範囲の受信感度を有し、金属が近づいても最大受信感度方向が変化しない多軸アンテナ装置900Aを提供することができる。
(第9の実施形態の変形例2)
図42は、第9の実施形態の変形例2における多軸アンテナ装置900Bを示す斜視図である。この多軸アンテナ装置900Bは、第1磁性体コア91Bと、第1コイル92Bと、第2コイル93Bと、第2磁性体コア94Bと、第3コイル95Bと、第4コイル96Bと、第5コイル97Bとを備える。
第1磁性体コア91B、第1コイル92B、および、第2コイル93Bの組合せによる構成は、図39に示す第1磁性体コア91、第1コイル92、および、第2コイル93の組合せによる構成と同じである。第1磁性体コア91B、第1コイル92B、および、第2コイル93Bの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第1磁性体コア91Bの軸方向(X軸方向)と一致する。
第2磁性体コア94Bに対する第3コイル95Bおよび第4コイル96Bの挿入方向は、図39に示す第2磁性体コア94に対する第3コイル95および第4コイル96の挿入方向と逆である。第2磁性体コア94B、第3コイル95B、および、第4コイル96Bの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第2磁性体コア94Bの軸方向(Y軸方向)と一致する。
第5コイル97Bは、プリント基板4の表面上の外側を周回するような態様で形成されている平面コイルである。第5コイル97Bは、例えば、プリント基板4上に印刷パターンによって形成されている。第5コイル97Bの最大受信感度方向は、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
上述した構成により、多軸アンテナ装置900Bに金属が近づいたとしても、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向の三軸方向にある最大受信感度方向は変化しない。したがって、広範囲の受信感度を有し、金属が近づいても最大受信感度方向が変化しない多軸アンテナ装置900Bを提供することができる。
(第9の実施形態の変形例3)
図43は、第9の実施形態の変形例3における多軸アンテナ装置900Cを示す斜視図である。この多軸アンテナ装置900Cは、第1磁性体コア91Cと、第1コイル92Cと、第2コイル93Cと、第2磁性体コア94Cと、第3コイル95Cと、第4コイル96Cと、第5コイル97Cとを備える。
第1磁性体コア91C、第1コイル92C、および、第2コイル93Cの組合せによる構成は、図41に示す第1磁性体コア91A、第1コイル92A、および、第2コイル93Aの組合せによる構成と同じである。第1磁性体コア91C、第1コイル92C、および、第2コイル93Cの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第1磁性体コア91Cの軸方向(X軸方向)と一致する。
第2磁性体コア94C、第3コイル95C、および、第4コイル96Cの組合せによる構成は、図42に示す第2磁性体コア94B、第3コイル95B、および、第4コイル96Bの組合せによる構成と同じである。第2磁性体コア94C、第3コイル95C、および、第4コイル96Cの組合せの構成におけるアンテナ装置の最大受信感度方向は、第2磁性体コア94Cの軸方向(X軸方向)と一致する。
第5コイル97Cは、プリント基板4の表面上の外周側を周回するような態様で形成されている。第5コイル97Cの最大受信感度方向は、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
上述した構成により、多軸アンテナ装置900Cに金属が近づいたとしても、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向の三軸方向にある最大受信感度方向は変化しない。したがって、広範囲の受信感度を有し、金属が近づいても最大受信感度方向が変化しない多軸アンテナ装置900Cを提供することができる。
<第10の実施形態>
図44は、第10の実施形態における多軸アンテナ装置1000を示す斜視図である。第10の実施形態における多軸アンテナ装置1000は、図41に示す多軸アンテナ装置900Aに対して、さらに外部接続用コネクタ440を備えた構成を有する。
外部接続用コネクタ440は、プリント基板4に一体的に形成された構造を有する。
従来のアンテナ装置では、外部接続用端子を別途設け、この外部接続用端子にコイルを接続する必要があり、コスト増、サイズ増、および、製造工程数増などの問題が生じていた。
しかしながら、本実施形態の多軸アンテナ装置1000のように、プリント基板4に一体的に外部接続用コネクタ440が形成されていることにより、多軸アンテナ装置1000の購入者が外部接続用端子を別途設ける必要なく、また、外部接続用端子にコイルを接続する工程も必要なくなる。
また、プリント基板4がフレキシブルプリント基板である場合には、外部接続用コネクタ440をフレキシブルシートコネクタとして構成することができる。これにより、コスト、サイズ、製造作業性、使用容易性などで利点がある。
なお、複数方向の最大送受信感度を有する多軸アンテナ装置ではなく、一方向の最大送受信感度を有するアンテナ装置に外部接続用コネクタを設けた構成とすることもできる。
(第10の実施形態の適用例)
ここでは、プリント基板4がフレキシブルプリント基板であり、外部接続用コネクタ440がフレキシブルシートコネクタであるものとして説明する。
図45は、第10の実施形態における多軸アンテナ装置1000を外部接続用コネクタ440によって本体基板450に取り付けた状態を、斜め上方向から見たときの斜視図である。また、図46は、多軸アンテナ装置1000、外部接続用コネクタ440、および、本体基板450の位置関係が分かるように、図45に示す状態よりも側方側から見たときの斜視図である。
多軸アンテナ装置1000は、本体基板450の法線方向から見た平面視で、本体基板450と重なる位置に配置されている。すなわち、外部接続用コネクタ440は折り曲げられており、多軸アンテナ装置1000は、本体基板450の上方に位置する。
図45および図46に示すような配置で、多軸アンテナ装置1000を本体基板450に取り付けることにより、本体基板450の横に多軸アンテナ装置1000を取り付ける構成と比べて、アンテナ装置の配置面積を減少させることができる。これにより、本体基板450および多軸アンテナ装置1000を含む装置全体の小型化を実現することができる。
<第11の実施形態>
第11の実施形態におけるアンテナ装置の外観形状は、図34に示すアンテナ装置700の外観形状と同じである。すなわち、第11の実施形態におけるアンテナ装置は、図34に示す磁性体コア1Eと、第1コイル2Eと、第2コイル3Eとを備える。第1コイル2Eおよび第2コイル3Eは、プリント基板4に印刷パターンにより形成されている。
第11の実施形態におけるアンテナ装置1100は、第1コイル2Eと第2コイル3Eとの間の接続状態を切り替えることができるように構成されている。具体的には、図3に示す接続状態と、図28に示す接続状態とを切り替えることができるように構成されている。
上記構成を実現するため、本実施形態におけるアンテナ装置1100は、第1コイル2Eの電気的巻き始めと、第2コイル3Eの電気的巻き始めまたは電気的巻き終わりのいずれか一方を接続するとともに、第1コイルの電気的巻き終わりと、第2コイルの電気的巻き始めまたは電気的巻き終わりの他方とを接続するためのスイッチ470を備えている(図47参照)。スイッチ470は、第1スイッチ470aおよび第2スイッチ470bにより構成されている。
図47(a)は、第1スイッチ470aによって、第1コイル2Eの電気的巻き始めと第2コイル3Eの電気的巻き始めとを接続し、かつ、第2スイッチ470bによって、第1コイル2Eの電気的巻き終わりと第2コイル3Eの電気的巻き終わりとを接続した状態を示す図である。ただし、第1コイル2Eの電気的巻き終わりと第2コイル3Eの電気的巻き終わりとは、共振用コンデンサである電子部品340を介して接続されている。
図47(a)に示す接続状態は、図3に示す接続状態と同じである。この接続状態では、アンテナ装置1100の最大受信感度方向が磁性体コア1Eの軸方向と一致する。
図47(b)は、第1スイッチ470aによって、第1コイル2Eの電気的巻き始めと第2コイル3Eの電気的巻き終わりとを接続し、かつ、第2スイッチ470bによって、第1コイル2Eの電気的巻き終わりと第2コイル3Eの電気的巻き始めとを接続した状態を示す図である。ただし、第1コイル2Eの電気的巻き終わりと第2コイル3Eの電気的巻き始めとは、共振用コンデンサである電子部品340を介して接続されている。
図47(b)に示す接続状態は、図28に示す接続状態と同じである。この接続状態では、アンテナ装置1100の最大受信感度方向が磁性体コア1Eの主面と直交する方向と一致する。
すなわち、第11の実施形態におけるアンテナ装置1100によれば、アンテナ装置1100の最大受信感度方向を、磁性体コア1Eの軸方向と、磁性体コア1Eの主面と直交する方向との間で容易に切り替えることができる。
<第12の実施形態>
第11の実施形態におけるアンテナ装置1100では、スイッチ470によって、アンテナ装置の最大受信感度方向を切り替え可能に構成されている。
これに対して、第12の実施形態におけるアンテナ装置では、第1コイルへの入力信号と第2コイルへの入力信号の位相を、同位相と逆位相との間で切り替えることにより、アンテナ装置の最大受信感度方向を切り替え可能に構成されている。本実施形態におけるアンテナ装置は、磁界信号を出力する送信用アンテナ装置である。
図48は、第12の実施形態におけるアンテナ装置1200に、第1駆動回路481および第2駆動回路482をそれぞれ接続した状態を示す平面図である。アンテナ装置1200の構成は、図1に示すアンテナ装置100の構成と基本的に同じであるが、第1コイル2と第2コイル3との間が接続されていない点で異なる。
第1駆動回路481は、第1コイル2を駆動するための回路であって、第1コイル2の入力端子T11および出力端子T12に接続されている。
第2駆動回路482は、第2コイル3を駆動するための回路であって、第2コイル3の入力端子T21および出力端子T22に接続されている。第2駆動回路482は、第1駆動回路481と同調して駆動される。すなわち、第1駆動回路481から第1コイル2に入力される信号の入力タイミングと、第2駆動回路482から第2コイル3に入力される信号の入力タイミングは同一である。
第1駆動回路481から第1コイル2へと入力される信号と、第2駆動回路482から第2コイル3へと入力される信号が逆位相である場合、第1の実施形態におけるアンテナ装置100(図3参照)と同様に、アンテナ装置1200の最大送信感度方向を磁性体コア1の軸方向に一致させることができる。
一方、第1駆動回路481から第1コイル2へと入力される信号と、第2駆動回路482から第2コイル3へと入力される信号が同位相である場合、第5の実施形態におけるアンテナ装置500(図28参照)と同様に、アンテナ装置1200の最大送信感度方向を磁性体コア1の主面と直交する方向に一致させることができる。
したがって、第1駆動回路481から第1コイル2へと入力される信号と、第2駆動回路482から第2コイル3へと入力される信号の位相を同位相と逆位相との間で切り替えることにより、アンテナ装置1200の最大送信感度方向を、磁性体コア1の軸方向と、磁性体コア1の主面と直交する方向とで容易に切り替えることができる。
<第13の実施形態>
図49は、第13の実施形態における多軸アンテナ装置900Dを示す斜視図である。第13の実施形態における多軸アンテナ装置900Dは、図43に示す多軸アンテナ装置900Cの構成に加えて、第6コイル98をさらに備える。
第6コイル98は、プリント基板4の表面上であって、第5コイル97Cの外側を周回するような態様で形成されている。第6コイル98の最大受信感度方向は、第5コイル97Cの最大受信感度方向と同じく、プリント基板4と直交する方向(Z軸方向)と一致する。
ここで、図43に示す多軸アンテナ装置900Cは、例えば、周波数が125kHz近辺のLF信号を受信するように構成することができる。第6コイル98を、例えば、周波数が13.56MHz近辺のNFC信号を受信する構成とすることにより、多軸アンテナ装置900Dは、LF信号とNFC信号とを受信することが可能となる。この場合、LF信号とNFC信号とを受信するために、LF信号を受信するためのアンテナ装置と、NFC信号を受信するためのアンテナ装置の2つを設ける必要がないので、部品の設置面積を低減することができるとともに、製造コストを低減することができる。なお、第6コイル98は、NFC信号を受信する構成に限定されるものではなく、ワイヤレス給電用コイルとして用いてもよい。
また、第5コイル97Cが形成されているプリント基板4が多層基板である場合には、第6コイル98も同じ多層基板を用いて基板内部に形成することができるので、全体を小型化することができる。
なお、同様の構成を有する送信用アンテナ装置として構成することができ、同様の効果を得ることができる。
また、図49に示す多軸アンテナ装置900Dは、図43に示す多軸アンテナ装置900Cに第6コイル98を追加した構成であるが、図39に示す多軸アンテナ装置900、図41に示す多軸アンテナ装置900A、図42に示す多軸アンテナ装置900Bに、第6コイル98を追加した構成としてもよい。
<第14の実施形態>
第9の実施形態およびその変形例における多軸アンテナ装置では、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の三方向に最大送受信感度のピークを有する。しかしながら、多軸アンテナ装置では、コイル間や、コイルと外部の導電体との間に結合容量が発生し、磁界信号を受信すべきコイルの受信電圧が減少して、受信エリアが小さくなるという問題が生じる。また、コイル間や、コイルと外部の導電体との間の結合容量は、フレキシブルプリント基板の3層以上の導体パターン層に導体パターンとして形成されているコイルの最外層において、生じやすい。
第14の実施形態における多軸アンテナ装置は、コイル間や、コイルと外部の導電体との間の結合容量を低減することができる構造を有する。なお、第14の実施形態における多軸アンテナ装置の外観形状は、図41に示す多軸アンテナ装置900Aの外観形状と同じである。
図50は、第14の実施形態における多軸アンテナ装置を構成する第1コイル92Dと第2コイル93Dの接続関係を示す図である。第1コイル92Dおよび第2コイル93Dはそれぞれ、図41に示す第1コイル92Aおよび第2コイル93Aに対応するコイルである。
第1コイル92Dおよび第2コイル93Dはそれぞれ、フレキシブルプリント基板に形成された3層以上の導体パターン層に形成された導体パターンからなる。本実施形態では、第1コイル92Dは、5層の導体パターン層にそれぞれ形成された導体パターン141A〜141Eからなり、第2コイル93Dは、5層の導体パターン層にそれぞれ形成された導体パターン142A〜142Eからなる。
図50に示すように、第1コイル92Dを構成する導体パターン141A〜141Eのうち、隣接する導体パターン同士は接続されている。同様に、第2コイル93Dを構成する導体パターン142A〜142Eのうち、隣接する導体パターン同士は接続されている。また、第1コイル92Dの最外層の導体パターン141Eと、第2コイル93Dの最外層の導体パターン142Eとは接続されている。
第1コイル92Dおよび第2コイル93Dの軸方向外側には、グランドと電気的に接続されたガード導体パターン143A〜143Dが形成された複数のガード導体パターン層が配置されている。具体的には、第1コイル92Dの導体パターン141Aの外側にガード導体パターン143A、第1コイル92Dの導体パターン141Eの外側にガード導体パターン143B、第2コイル93Dの導体パターン142Aの外側にガード導体パターン143C、第2コイル93Dの導体パターン142Eの外側にガード導体パターン143Dがそれぞれ配置されている。ガード導体パターン143A、143Cは、同じガイド導体パターン層に形成されており、ガード導体パターン143B、143Dは、同じガイド導体パターン層に形成されている。
上述したように、ガード導体パターン143A〜143Dは、グランドと電気的に接続されている。本実施形態では、ガード導体パターン143A〜143Cは、第2コイル93Dの導体パターン142Aと同じく、マイナス側コイル端子と接続されており、ガード導体パターン143Dは、ガード導体パターン143Bと接続されている。また、マイナス側コイル端子は、グランドと接続されている。そのような構成により、全てのガード導体パターン143A〜143Dがグランドと電気的に接続されている。なお、ガード導体パターン143Dは、マイナス側コイル端子と直接接続されていてもよい。
なお、プラス側コイル端子は、第1コイル92Aの導体パターン141Aと接続されている。
ガード導体パターン143A〜143Dは、ループ電流が流れない形状を有している。図51は、ループ電流が流れないガード導体パターン143A〜143Dの形状の一例を示す図である。また、図52は、ループ電流が流れないガード導体パターン143A〜143Dの形状の他の例を示す図である。ただし、ガード導体パターン143A〜143Dの形状が図51および図52に示す形状に限定されることはない。
なお、上述した説明では、図41に示す多軸アンテナ装置900Aのうち、第1コイル92Aおよび第2コイル93Aに対応するコイルについて、ガード導体パターンが形成されたガード導体パターン層が配置されているものとして説明したが、第3コイル95A、第4コイル96A、および第5コイル97Aに対応するコイルについても同様に、ガード導体パターンが形成されたガード導体パターン層を配置するようにしてもよい。
第14の実施形態における多軸アンテナ装置によれば、第1コイル92Dおよび第2コイル93Dの軸方向外側に、グランドと電気的に接続されたガード導体パターン143A〜143Dが形成された複数のガード導体パターン層が配置されていることにより、コイル間や、コイルと他の導電体との間に結合容量が生じることを抑制することができる。また、ガード導体パターン143A〜143Dはそれぞれ、ループ電流の流れない形状を有しているので、外部磁界による渦電流の発生を抑制して、コイルへの影響を抑制することができる。
また、コイル間や、コイルと他の導電体との間に結合容量が生じることを抑制することができるので、特に同調状態における受信感度の低下や、他コイルの共振による誘起電圧の発生を抑制することができる。また、ガード導体パターン143A〜143Dが設けられていることにより、近接金属の影響を受けにくいので、多軸アンテナ装置の配置の自由度が向上するとともに、使用状況の制限を低減することができる。
また、ガード導体パターン143A〜143Dが配置されていることにより、コイルの自己容量が増加するので、同調に必要な容量を自己容量のみで達成することが可能となり、その場合には、同調のために必要なコンデンサを削減することができる。
なお、上述したガード導体パターンは、上述した各実施形態およびその変形例における多軸アンテナ装置でも同様に配置することができる。また、多軸アンテナ装置ではなく、上述した各実施形態およびその変形例におけるアンテナ装置でも同様に配置することができる。
<第15の実施形態>
第14の実施形態における多軸アンテナ装置では、グランドと電気的に接続されたガード導体パターン143A〜143Dが形成された複数のガード導体パターン層が配置されていることにより、他のコイルや他の導電体との間に結合容量が生じることを抑制している。
これに対して、第15の実施形態における多軸アンテナ装置は、ガード導体パターン層を備えることなく、他のコイルや他の導電体との間に結合容量が生じることを抑制することができる構成を有する。
第15の実施形態における多軸アンテナ装置の外観形状は、図41に示す多軸アンテナ装置900Aの外観形状と同じである。
図53は、第15の実施形態における多軸アンテナ装置を構成する第1コイル92Aと第2コイル93Aの接続関係を示す図である。第1コイル92Aおよび第2コイル93Aはそれぞれ、図41に示す第1コイル92Aおよび第2コイル93Aに対応する。
第1コイル92Eおよび第2コイル93Eはそれぞれ、フレキシブルプリント基板に形成された3層以上の導体パターン層に形成された導体パターンからなる。本実施形態では、第1コイル92Eは、6層の導体パターン層それぞれに形成された導体パターン151A〜151Fからなり、第2コイル93Dは、6層の導体パターン層それぞれに形成された導体パターン152A〜152Fからなる。
導体パターン151Bは、プラス側コイル端子と接続されており、導体パターン151Aは、マイナス側コイル端子と接続されている。マイナス側コイル端子は、グランドと接続されている。
プラス側コイル端子からマイナス側コイル端子へは、導体パターン151B、導体パターン151C、導体パターン151D、導体パターン151E、導体パターン152E、導体パターン152D、導体パターン152C、導体パターン152B、導体パターン152A、導体パターン152F、導体パターン151F、導体パターン151Aの順に、各導体パターンが接続されている。
すなわち、第1コイル92Dおよび第2コイル93Dを構成する複数の導体パターンのうち、最外層の導体パターン151A、151F、152F、152Aは直列に接続されており、直列に接続された最外層の導体パターン151A、151F、152F、152Aの一端である導体パターン151Aの一端は、グランドと電気的に接続されている。そのような構成により、最外層の導体パターン151A、151F、152F、152Aをそれぞれ、図50に示すガード導体パターン143A〜143Dと同じように機能させることができ、他のコイルや他の導電体との間に結合容量が生じることを抑制することができる。
また、ガード導体パターンを別途設ける必要がないので、その分、巻数を低減し、コイルの厚み増加を抑制することができる。
なお、上述した説明では、図41に示す第1コイル92Aと第2コイル93Aの接続関係について説明したが、第3コイル95Aと第4コイル96Aについても、同様の接続関係とすることができる。
また、上述した特徴、すなわち、コイルを構成する最外層の導体パターンが直列に接続されており、直列に接続された最外層の導体パターンの一端である導体パターンの一端は、グランドと電気的に接続されているという構成は、上述した各実施形態およびその変形例における多軸アンテナ装置でも同様に適用することができるし、多軸アンテナ装置ではなく、上述した各実施形態およびその変形例におけるアンテナ装置でも同様に適用することができる。
<第16の実施形態>
第9の実施形態およびその変形例における多軸アンテナ装置では、十字形状に配置された第1磁性体コアおよび第2磁性体コアの2つの磁性体コアを備えている。
第16の実施形態における多軸アンテナ装置では、一体的に形成され、十字形状を有する1つの磁性体コアを備える。
図54は、第16の実施形態における多軸アンテナ装置900Eを示す平面図であって、(a)は表面を、(b)は裏面をそれぞれ示している。なお、ここでは、便宜上、図54(a)に示す側を表面、図54(b)に示す側を裏面としているが、図54(a)に示す側が裏面で、図54(b)に示す側を表面としてもよい。
多軸アンテナ装置900Eは、磁性体コア191と、第1コイル92Eと、第2コイル93Eと、第3コイル95Eと、第4コイル96Eと、第5コイル97Eとを備える。第1コイル92E、第2コイル93E、第3コイル95E、第4コイル96E、および、第5コイル97Eは、プリント基板4に印刷パターンで形成されている。
図55は、磁性体コア191の平面図である。図55に示すように、磁性体コア191は、一体的に形成された十字形状を有する。ただし、磁性体コア191の形状は、図56に示すような形状であってもよい。
図57は、図54に示す多軸アンテナ装置900EのLVII−LVII線に沿った断面図である。図57に示すように、多軸アンテナ装置900Eの厚みは、磁性体コア191の厚みと、各コイル92E、93E、95E、96E、97Eが形成されているプリント基板4との厚みとを加算した厚みとなる。
2つの磁性体コアを十字形状に配置した構成では、2つの磁性体コアが重なる位置において厚みが増加するが、本実施形態における多軸アンテナ装置900Eでは、十字形状の1つの磁性体コア191を備えるので、多軸アンテナ装置の厚みを薄くすることができる。
また、2つの磁性体コアを用いる構成では、2つの磁性体コアの曲げ程度が異なるため、曲げに起因する2つの磁性体コアの特性が異なり、各軸のインダクタンスや感度が相違する。また、2つの磁性体コアの相対的な角度を調整する必要がある。しかしながら、本実施形態における多軸アンテナ装置900Eによれば、十字形状の1つの磁性体コア191を用いているので、上述した各軸における特性の相違を抑制することができる。また、2つの磁性体コアの相対的な角度を調整する必要もなく、磁性体コアとコイルとの位置決めも容易になる。
さらに、2つの磁性体コアを用いる構成では、製造時に磁性体コアを1つずつコイルに挿入する必要があり製造時の工数が多くなるが、本実施形態における多軸アンテナ装置900Eでは、1つの磁性体コアをコイルに挿入するだけでよいので、製造時の工数を低減することができる。
(第16の実施形態の変形例1)
図58は、第16の実施形態の変形例1における多軸アンテナ装置900Fを示す平面図であって、(a)は表面を、(b)は裏面をそれぞれ示している。
第16の実施形態の変形例1における多軸アンテナ装置900Fは、磁性体コア191Aと、第1コイル92Fと、第2コイル93Fと、第3コイル95Fと、第4コイル96Fと、第5コイル97Fとを備える。第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、第4コイル96F、および第5コイル97Fは、プリント基板4に印刷パターンで形成されている。
図59は、磁性体コア191Aの平面図である。図59に示すように、磁性体コア191Aは、一体的に形成された十字形状を有する。
図60は、プリント基板4に形成された第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、第4コイル96F、および、第5コイル97Fを示す平面図である。図54に示す多軸アンテナ装置900Eでは、第5コイル97Eが第1コイル92E、第2コイル93E、第3コイル95E、および、第4コイル96Eの外側を周回するように形成されているが、図60に示す第5コイル97Fは、第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、および、第4コイル96Fに囲まれた内側に配置されている。
なお、第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、および、第4コイル96Fの外側を周回する第6のコイルをさらに設けるようにしてもよい。
図61は、プリント基板4に形成された第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、第4コイル96F、第5コイル97F、および、第6コイル98Fを示す平面図である。第6コイル98Fは、第1コイル92F、第2コイル93F、第3コイル95F、第4コイル96F、および、第5コイル97Fの外側を周回するように形成されている。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態およびその変形例において、アンテナ装置を、磁界信号を受信する受信用アンテナ装置として説明したものは、同様の構成を有する送信用アンテナ装置として構成することができる。
上述した各実施形態およびその変形例で説明した特徴的な構成は、他の実施形態およびその変形例のアンテナ装置と適宜組み合わせることができる。
図1に示すアンテナ装置100において、第1コイル2と第2コイル3との間で、磁性体コア1が分割された構成としてもよい。図62は、磁性体コア1が分割された構成のアンテナ装置100を示す斜視図である。なお、分割した2つの磁性体コア1を当接させた構成としてもよい。
第1コイルおよび第2コイルを、プリント基板4上に印刷パターンで形成した構成において、プリント基板4の片面だけでなく、両面に形成してもよい。また、上述した各実施形態およびその変形例において、第8の実施形態におけるアンテナ装置800と同様に、コイルを多層基板の内部に形成してもよい。
第1コイルおよび第2コイルを、プリント基板4上に印刷パターンで形成した構成において、第1コイルおよび第2コイルの一方のコイルを印刷パターンで形成し、他方のコイルを巻線コイルで形成してもよい。
上述した多軸アンテナ装置では、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の三方向に送受信感度のピークを有するものとして説明したが、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうちのいずれか二方向に送受信感度のピークを有する構成としてもよいし、上記三方向以外の方向に送受信感度のピークを有する構成としてもよい。
特許文献1に記載のアンテナ装置520は、第1主面MS1および第2主面MS2を有する磁性体コア521と、コイル導体522とを備える。コイル導体522は、磁性体コア521の第1主面MS1側に位置する第1導体部分523と、磁性体コア521の第2主面MS2側に位置し、第1主面方向または第2主面方向に対する平面視で第1導体部分523とは異なる位置に配置された第2導体部分524とを有している。
なお、上述した説明では、アンテナ装置100が受信用アンテナ装置であるものとして説明したが、同様の構成を有する送信用アンテナ装置としても、同様の効果を得ることができる。送信用アンテナ装置では、第1端子T1および第2端子T2に交流電圧を印加することによって発生する磁界信号が出力される。図1〜図3に示す構造を有する送信用アンテナ装置では、最大送信感度の方向が磁性体コア1の軸方向と一致する。また、この送信用アンテナ装置に金属が近づいたとしても、最大送信感度の方向は変化しない。
第1コイル2Hおよび第2コイル3Hは、図10に示すアンテナ装置100Aの第1コイル2Aおよび第2コイル3Aと同じような形状を有するが、厚みが異なる。すなわち、第1コイル2Hおよび第2コイル3Hは、図10に示す第1コイル2Aおよび第2コイル3Aよりも厚みが薄い。
また、図38の等価回路図に示すように、第1タップ引出線371a〜371dと第2タップ引出線372a〜372dを構成することにより、第1タップ引出線と第2タップ引出線とを接続したときの第1コイル2Jと第2コイル3Jの巻数を常に等しくすることができる。これにより、第1コイル2Jと第2コイル3Jの特性バラツキを低減し、アンテナ装置の送受信感度の方向を磁性体コア1の軸方向または磁性体コア1の主面と直交する方向に、高精度に一致させることができる。
第1コイル92Dおよび第2コイル93Dの軸方向外側には、グランドと電気的に接続されたガード導体パターン143A〜143Dが形成された複数のガード導体パターン層が配置されている。具体的には、第1コイル92Dの導体パターン141Aの外側にガード導体パターン143A、第1コイル92Dの導体パターン141Eの外側にガード導体パターン143B、第2コイル93Dの導体パターン142Aの外側にガード導体パターン143C、第2コイル93Dの導体パターン142Eの外側にガード導体パターン143Dがそれぞれ配置されている。ガード導体パターン143A、143Cは、同じガード導体パターン層に形成されており、ガード導体パターン143B、143Dは、同じガード導体パターン層に形成されている。
第1コイル92Eおよび第2コイル93Eはそれぞれ、フレキシブルプリント基板に形成された3層以上の導体パターン層に形成された導体パターンからなる。本実施形態では、第1コイル92Eは、6層の導体パターン層それぞれに形成された導体パターン151A〜151Fからなり、第2コイル93Eは、6層の導体パターン層それぞれに形成された導体パターン152A〜152Fからなる。