JP6240543B2 - 電極チップおよび化学物質の定量方法 - Google Patents
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Description
電気化学測定法を用いた化学物質の定量に際しては、電極チップを用いることができ、装置の小型化が比較的容易であるため、実用化が期待されている。
一方、特許文献3に記載されているような従来の変換ストリッピング法では、2つのセルを準備し、電気的導通のために2つのセル間を塩橋や液絡で接続することが必要である。塩橋には例えばガラスの細管に電解質を寒天に溶解させたイオン導電体を入れたものが用いられ、液絡には例えば多孔質セラミックや多孔質ガラスが用いられる。このような塩橋や液絡を有する電極チップでは、製造工程が煩雑になり、また小型化が困難になる場合がある。
本発明の電極チップは、変換ストリッピング法による化学物質の定量に用いられる電極チップであって、基板と、上記基板上に配置された第1セルと、上記基板上に配置された第2セルと、上記第1セル内に配置された第1作用電極と、上記第2セル内に配置され、上記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極と、第2作用電極と、上記第2作用電極に電流を流すための第2対極とを有し、上記第2作用電極および上記第2対極のうち、一方が上記第1セル内に配置され、他方が上記第2セル内に配置されていることを特徴とするものである。
まず、本発明の1つ目の態様の電極チップについて図面を参照して説明する。
図1(a)、(b)は、本態様の電極チップの一例を示す概略平面図および分解斜視図である。図1(a)、(b)に例示する電極チップ1Aにおいては、基板2上に2つの開口部を有する仕切部材15が配置され、各開口部によって第1セル3および第2セル4が形成されており、第1セル3内には第1作用電極5、第2対極6および参照電極11aが配置され、第2セル4内にはストリッピング電極7、第2作用電極8および参照電極11bが配置されている。第1作用電極5およびストリッピング電極7は接続可能なものである。また、第2対極6は第2作用電極8に電流を流すためのものである。第1作用電極5、第2対極6、ストリッピング電極7、第2作用電極8および参照電極11a、11bにはそれぞれ導線12が接続され、導線12の端部には端子13が形成されており、図示しないが導線12は絶縁層で覆われている。
まず、電極チップ1Aを使用するに際しては、図示しないが、予め第2セル4内に銀イオンを含む溶液を供給しておく。次いで、図示しないが、電極チップ1Aの第1セル3内に、微生物夾雑物を含む被検体とライセート試薬と酸化還元物質が結合した合成基質とを供給し、微生物夾雑物とライセート試薬と酸化還元物質が結合した合成基質とを第1セル3内にて一定時間反応させる。この際、多段階反応により合成基質からの酸化還元物質の遊離反応を生じさせる。
例えば、微生物夾雑物がエンドトキシンまたは(1→3)−β−D−グルカンであり、酸化還元物質がパラアミノフェノール(pAP)である場合、多段階反応によりpAPが結合した合成基質からpAPが遊離する。
例えば、pAPおよび銀イオンは、下記式(1)、(2)に示す酸化反応および還元反応を生じる。
Ag → Ag+ + e− (3)
まず、電極チップ1Aを使用するに際しては、図示しないが、予め第2セル4内に銀イオンを含む溶液を供給しておく。次いで、図示しないが、電極チップ1Aの第1セル3内に、酵素を含む被検体と基質とを供給し、酵素と基質とを第1セル3内にて反応させる。この際、酵素反応により基質からの酸化還元物質の遊離反応を生じさせる。
例えば、酵素がアルカリフォスファターゼ(ALP)であり、基質がパラアミノフェニルフォスフェート(pAPP)等のパラアミノフェニルリン酸である場合、酵素反応によって基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。また例えば、酵素がβ−ガラクトシダーゼであり、基質がβ−アミノフェニル−d−ガラクトピラノシド(pAPG)である場合、酵素反応により基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。
次に、変換ストリッピング法における第1段階の前電解を行う。このとき、基質(還元体)/(酸化体)の式量電位と、基質から遊離した酸化還元物質(還元体)/(酸化体)の式量電位とは異なり、基質から遊離した酸化還元物質(還元体)/(酸化体)の式量電位は基質(還元体)/(酸化体)の式量電位よりも低くなる。そのため、酵素反応により基質からの酸化還元物質の遊離反応が生じると、第1セル3における電位が低下する。これにより、第1セル3と第2セル4とで電位差が大きくなり、第1作用電極5およびストリッピング電極7間に電流が流れる。すなわち、第1セルでの電位が変化し、第1セルおよび第2セルでの電位差が第2セルで銀イオンの還元反応が進む方向に大きくなり、その結果、第1セルで酸化還元物質の酸化反応を自動的に進行させることができる。例えば、pAPおよび銀イオンは、上記式(1)、(2)に示す酸化反応および還元反応を生じる。したがって、第1作用電極5上では酸化還元物質の酸化反応が生じ、ストリッピング電極7上では銀イオンの還元反応が生じ、ストリッピング電極7表面に銀が析出する。
次に、変換ストリッピング法における第2段階のストリッピングを行う。この際、ストリッピング電極7表面に析出した銀が溶解する。
上記の場合と同様に、銀の溶解時に流れる電流値は、銀の析出量に比例する。また、銀の析出量は、基質から遊離した酸化還元物質の濃度および前電解時間の積に比例する。したがって、電流値から、基質から遊離した酸化還元物質の濃度を算出し、酵素を定量することができる。
図3(a)、(b)は、本態様の電極チップの一例を示す概略平面図および分解斜視図である。図3(a)、(b)に例示する電極チップ1Bにおいては、基板2上に2つの開口部を有する仕切部材15が配置され、各開口部によって第1セル3および第2セル4が形成されており、第1セル3内には第1作用電極5、第3作用電極9、第1対極10、第2対極6および参照電極11aが配置され、第2セル4内にはストリッピング電極7、第2作用電極8および参照電極11bが配置されている。第1セル3内において、第1作用電極5および第3作用電極9は隣接して配置されている。また、第1作用電極5およびストリッピング電極7は接続可能なものである。第1対極10は第3作用電極9に電流を流すためのものであり、第2対極6は第2作用電極8に電流を流すためのものである。第1作用電極5、第3作用電極9、第1対極10、第2対極6、参照電極11a、11b、ストリッピング電極7および第2作用電極8にはそれぞれ導線12が接続され、導線12の端部には端子13が形成されており、図示しないが導線12は絶縁層で覆われている。
まず、電極チップ1Bを使用するに際しては、図示しないが、予め第2セル4内に銀イオンを含む溶液を供給しておく。次いで、図示しないが、電極チップ1Bの第1セル3内に、微生物夾雑物を含む被検体とライセート試薬と酸化還元物質が結合した合成基質とを供給し、微生物夾雑物とライセート試薬と酸化還元物質が結合した合成基質とを第1セル3内にて一定時間反応させる。この際、多段階反応により合成基質からの酸化還元物質の遊離反応を生じさせる。
上述したように、例えば、微生物夾雑物がエンドトキシンまたは(1→3)−β−D−グルカンであり、酸化還元物質がパラアミノフェノール(pAP)である場合、多段階反応によりpAPが結合した合成基質からpAPが遊離する。
例えば酸化還元物質がパラアミノフェノール(pAP)である場合、第1作用電極5上で下記式(1)に示されるようにpAPが酸化されてキノンイミン(QI)が生成する酸化反応が生じ、第3作用電極9上で下記式(4)に示されるようにQIが還元されてpAPが生成する還元反応が生じる。
Ag+ + e− → Ag↓ (2)
Ag → Ag+ + e− (3)
まず、電極チップ1Aを使用するに際しては、図示しないが、予め第2セル4内に銀イオンを含む溶液を供給しておく。次いで、図示しないが、電極チップ1Aの第1セル3内に、酵素を含む被検体と基質とを供給し、酵素と基質とを第1セル3内にて反応させる。この際、酵素反応により基質からの酸化還元物質の遊離反応を生じさせる。
上述したように、例えば、酵素がアルカリフォスファターゼ(ALP)であり、基質がパラアミノフェニルフォスフェート(pAPP)等のパラアミノフェニルリン酸である場合、酵素反応によって基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。また例えば、酵素がβ−ガラクトシダーゼであり、基質がβ−アミノフェニル−d−ガラクトピラノシド(pAPG)である場合、酵素反応により基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。
次に、変換ストリッピング法における第1段階の前電解を行う。この際、第1セル3内において、隣接して配置された第3作用電極9および第1作用電極5の間では自己誘発レドックスサイクルが起こる。例えば酸化還元物質がパラアミノフェノール(pAP)である場合、第1作用電極5上で下記式(1)に示されるようにpAPが酸化されてキノンイミン(QI)が生成する酸化反応が生じ、第3作用電極9上で上記式(4)に示されるようにQIが還元されてpAPが生成する還元反応が生じる。そして、ストリッピング電極7表面では、上記式(2)に示される銀イオンの還元反応が生じ、銀が析出する。
次に、変換ストリッピング法における第2段階のストリッピングを行う。この際、ストリッピング電極7表面に析出した銀が溶解する。
上記の場合と同様に、銀の溶解時に流れる電流値は、銀の析出量に比例する。また、銀の析出量は、基質から遊離した酸化還元物質の濃度および前電解時間の積に比例する。したがって、電流値から、基質から遊離した酸化還元物質の濃度を算出し、酵素を定量することができる。
本発明において、第2対極は第2作用電極に電流を流すためのものであり、第2作用電極および第2対極のうち、一方が第1セル内に配置され、他方が第2セル内に配置されるものである。
第2セル内に配置されている第2作用電極または第2対極は、変換ストリッピング法における第2段階のストリッピングにおいて、ストリッピング電極に電極を流すための対極になり得る。
第2作用電極および第2対極の配置としては、第1セルおよび第2セル内において第2作用電極または第2対極が他の電極と接触しないように配置されていれば特に限定されるものではない。
第2作用電極および第2対極の大きさは、第1作用電極よりも大きいことが好ましい。前電解時に第1作用電極での反応を律速にするために、他の電極での反応が律速にならないように、第2作用電極および第2対極を第1作用電極よりも大きくすることが好ましいからである。
第2作用電極および第2対極の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状とすることができる。
本発明におけるストリッピング電極は、第2セル内に配置され、第1作用電極と接続可能なものである。
ストリッピング電極の大きさは、第1作用電極よりも大きいことが好ましい。前電解時に第1作用電極での反応を律速にするために、他の電極での反応が律速にならないように、ストリッピング電極を大きくすることが好ましいからである。
ストリッピング電極の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状とすることができる。
本発明における第1作用電極は、第1セル内に配置され、ストリッピング電極と接続可能なものである。
第1作用電極の形状は、後述の第3作用電極の有無に応じて適宜選択される。第3作用電極が形成されていない場合には、第1作用電極の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状とすることができる。一方、第3作用電極が形成されている場合には、第1作用電極および第3作用電極の形態としては、例えばくし形電極、微小対バンド電極、微小リングディスク電極等の微小対電極が挙げられる。中でも、くし形電極が好ましい。
本発明においては、第1セル内に第3作用電極が配置されていてもよい。第3作用電極は、上記第1作用電極に隣接して配置されるものである。
なお、第3作用電極の形状および配置については、上記第1作用電極の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、第1セル内に第1対極が配置されていてもよい。第1対極は第3作用電極に電流を流すためのものである。
第1対極の配置としては、第1セル内において第1対極が他の電極と接触しないように配置されていれば特に限定されるものではない。
第1対極の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状とすることができる。
第1対極の形成方法については、上記の第2作用電極および第2対極の形成方法と同様とすることができる。
本発明においては、第1セル内および第2セル内の少なくともいずれかに参照電極が配置されていてもよい。参照電極は、基準電位を取るためのものである。第2セル内に配置されている参照電極は、変換ストリッピング法における第2段階のストリッピングにおいて、ストリッピング電極の基準電位を決めるために用いることができる。また、第1セルまたは第2セル内に配置されている参照電極は、変換ストリッピング法における第1段階の前電解において、第2作用電極の基準電位を決めるために用いることができる。また、第1セル内に配置されている参照電極は、変換ストリッピング法における第1段階の前電解において、第3作用電極の基準電位を決めるために用いることができる。
参照電極の配置としては、参照電極が第1セル内および第2セル内の少なくともいずれか配置されていればよく、例えば第1セル内のみに配置されていてもよく、第2セル内のみに配置されていてもよく、第1セル内および第2セル内の両方に配置されていてもよい。
参照電極の配置としては、第1セルおよび第2セル内において参照電極が他の電極と接触しないように配置されていれば特に限定されるものではない。
参照電極の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、矩形等の任意の形状とすることができる。
参照電極の形成方法については、上記の第2作用電極および第2対極の形成方法と同様とすることができる。
本発明において、基板上には、上記の第1作用電極、ストリッピング電極、第2作用電極、第2対極、第3作用電極、第1対極、参照電極等の電極とともに、各電極にそれぞれ電気的に接続された導線および端子を形成することができる。
導線および端子の材料としては、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、中でも、導電性の観点から、金、白金、銀等の貴金属であることが好ましい。
導線および端子の形成方法は、上記の第2作用電極および第2対極の形成方法と同様とすることができる。
また、導線および端子は、各電極と同時に形成してもよく、各電極とは別に形成してもよい。
本発明における第1セルは、基板上に配置され、第1セル内に第1作用電極、第2作用電極または第2対極、第3作用電極、第1対極等が配置されるものである。また、第1セルは、少なくとも化学物質を含む被検体を収容し得るものである。
また、本発明における第2セルは、基板上に配置され、第2セル内にストリッピング電極、第2作用電極または第2対極等が配置されるものである。また、第2セルは、金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を収容し得るものである。
本発明の電極チップにおいては、第1セルに被検体を数μL〜数十μL程度供給して測定を行うことができることから、第1セルの容量としては、例えば1mm3〜200mm3の範囲内で設定することができ、好ましくは1mm3〜100mm3の範囲内、さらに好ましくは1mm3〜50mm3の範囲内である。第2セルの容量も第1セルの容量と同様とすることができる。また、第1セルおよび第2セルの大きさとしては、例えば第1セルおよび第2セルの形状が円形である場合には、直径が1mm〜5mm程度、深さが1mm〜10mm程度とすることができる。
仕切部材としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂基板、ガラス基板等が挙げられる。
仕切部材の外周の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば正方形、矩形、円形、楕円形等の任意の形状とすることができる。
仕切部材は、少なくとも端子が露出し、第1セルおよび第2セル内に所定の電極が配置されるように基板上に配置される。仕切部材は、例えば接着剤や粘着剤を介して基板に貼付することができる。
本発明に用いられる基板としては、上記の各電極が形成可能であり、表面が絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばガラス基板、樹脂基板、セラミック基板等が挙げられる。
基板の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば正方形、矩形、円形、楕円形等、任意の形状とすることができる。
本発明においては、図5に例示するように仕切部材15上に上部基板16が配置されていてもよい。
また、図5に例示するように、上部基板16は、第1セル3内に被検体等を導入するための第1貫通孔17aおよび第2セル4内に金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を導入するための第2貫通孔17bを有していてもよい。また、図示しないが、上部基板には、空気孔が形成されていてもよい。
上部基板の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば正方形、矩形、円形、楕円形等の任意の形状とすることができる。
上部基板は、少なくとも端子が露出するように仕切部材上に配置される。上部基板は、例えば接着剤や粘着剤を介して仕切部材に貼付することができる。
本発明においては、導線を覆うように絶縁層を形成することができる。絶縁層により、導線の酸化を抑制するとともに、ショートを防ぐことができる。
絶縁層の材料としては、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。
絶縁層の形成方法としては、導線を覆い、各電極および端子を覆わないように絶縁層をパターン状に形成することができる方法であればよく、例えばフォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
本発明においては、第1セル内に酸化還元物質を遊離または生成する物質を配置してもよい。
保護基Xは、ペプチドの保護基であり、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイル基、アセテート基等を挙げることができる。
例えば、トリペプチドとしては、Leu−Gly−Arg、Thr−Gly−Arg等を例示することができる。また、例えば、一般式:R1−Gly−Arg−ZにおけるL−アミノ酸を有するトリペプチドを挙げることができる。ここで、R1はN−ブロックされたアミノ酸、Zは酸化還元物質を表す。
また、一般式:R2−A1−A2−A3−A4−Zにおけるテトラペプチドを挙げることができる。ここで、R2は水素、ブロックしている芳香族炭化水素またはアシル基を表し、A1はIle、ValまたはLeuから選択されるL−アミノ酸またはD−アミノ酸を表し、A2はGluまたはAspを表し、A3はAlaまたはCysを表し、A4はArgを表し、Zは酸化還元物質を表す。
酸化還元物質が結合した合成基質を配置する方法としては、例えば酸化還元物質が結合した合成基質を蒸留水や緩衝液等に溶解させ、ディスペンサーを用いた方法やインクジェット法等にて塗布し、乾燥する方法が挙げられる。緩衝液としては、例えば、Tris−Ac緩衝液、Tris−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、PIPES緩衝液等を用いることができる。
なお、酸化還元物質を遊離または生成する物質については、後述の「B.化学物質の定量方法」に記載するので、ここでの説明は省略する。
酸化還元物質を遊離または生成する物質の配置およびその方法については、上記酸化還元物質が結合した合成基質の配置及びその方法と同様とすることができる。
本発明においては、化学物質が微生物夾雑物であり、エンドトキシンまたは(1→3)−β−D−グルカンである場合、図6に例示するように、第1セル3内にライセート試薬22が配置されていてもよい。
また、ライセート試薬は、酸化還元物質が結合した合成基質とは別に配置されていてもよく、酸化還元物質が結合した合成基質と混合して配置されていてもよい。
ライセート試薬を配置する方法としては、上記の酸化還元物質が結合した合成基質を配置する方法と同様とすることができる。
本発明の電極チップは、変換ストリッピング法による化学物質の定量に用いられるものである。本発明が適用される化学物質は、それ自体が酸化還元物質であってもよい。酸化還元物質としては、例えばルテニウムヘキサミン、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロセンカルボン酸、フェロセンメタノール、パラアミノフェノール、パラメトキシアニリン、パラニトロアニリン等が挙げられる。また、化学物質としては、例えば微生物夾雑物、酵素、酸素等が挙げられる。
本発明の化学物質の定量方法は、2つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
本実施態様に化学物質の定量方法は、変換ストリッピング法による化学物質の定量方法であって、第1セル、第2セル、上記第1セル内に配置された第1作用電極、上記第2セル内に配置され、上記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極、上記第1セル内に配置され、上記第1作用電極に隣接して配置された第3作用電極、上記第1セル内に配置され、上記第3作用電極に電流を流すための第1対極、第2作用電極、および上記第2作用電極に電流を流すための第2対極を有し、上記第2作用電極および上記第2対極のうち、一方が上記第1セル内に配置され、他方が上記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、上記第2セル内に金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する準備工程と、上記第1セル内に、上記化学物質を含む被検体を供給する被検体供給工程と、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極を接続した状態で、上記第3作用電極に電位を印加するとともに、上記第2作用電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる前電解工程と、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極の接続を切り、上記ストリッピング電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極に流れた電流値を測定するストリッピング工程と、上記電流値に基づいて上記化学物質を定量する定量工程とを有することを特徴とする。
本実施態様における準備工程は、第1セルと、第2セルと、上記第1セル内に配置された第1作用電極と、上記第2セル内に配置され、上記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極と、上記第1セル内に配置され、上記第1作用電極に隣接して配置された第3作用電極と、上記第1セル内に配置され、上記第3作用電極に電流を流すための第1対極と、第2作用電極と、上記第2作用電極に電流を流すための第2対極とを有し、上記第2作用電極および上記第2対極のうち、一方が上記第1セル内に配置され、他方が上記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、上記第2セル内に金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する工程である。
測定用セルとしては、例えば、上述の電極チップを用いることができる。また、第1セルおよび第2セルにそれぞれ所定の電極を挿入することで、測定用セルを構成することもできる。
銀イオンを含む溶液としては、例えば硝酸銀水溶液が挙げられる。また、銅イオンを含む溶液としては、例えば硫酸銅水溶液が挙げられる。
また、金属イオンを含む溶液には、電流を流すために、硝酸カリウム水溶液等を添加してもよい。
ヨウ化物イオンを含む溶液としては、例えばヨウ化カリウム水溶液が挙げられる。
本実施態様における被検体供給工程は、上記第1セル内に、上記化学物質を含む被検体を供給する工程である。
例えば化学物質が酵素である場合、酸化還元物質としては、還元状態の酸化還元物質および酸化状態の酸化還元物質のいずれも用いることができ、酵素の種類によって適宜選択される。具体的には、ルテニウムヘキサミン、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化カリウム、フェロセンカルボン酸、フェロセンメタノールのような電子伝達メディエータが挙げられる。この場合、酸化還元物質に修飾された化学物質を用いてもよい。
ここで、「酸化還元物質を遊離または生成する物質」とは、後述の反応工程における反応、例えば多段階反応や酵素反応によって酸化還元物質を遊離または生成するものをいう。酸化還元物質を遊離または生成する物質は、それ自体が酸化還元性を示すものであってもよい。
酸化還元物質を遊離または生成する物質としては、化学物質の種類に応じて適宜選択される。
例えば、酵素がアルカリフォスファターゼ(ALP)の場合、基質としてはパラアミノフェニルフォスフェート(pAPP)等のパラアミノフェニルリン酸が用いられ、酵素反応によって基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。酵素がβ−ガラクトシダーゼの場合、基質としてはβ−アミノフェニル−d−ガラクトピラノシド(pAPG)が用いられ、酵素反応によって基質からパラアミノフェノール(pAP)が遊離する。
また例えば、酵素がHRPのようなペルオキシダーゼであり、基質が過酸化水素である場合、電子伝達メディエータとしてはフェロセンメタノール(FcOH)が用いられ、下記式に示すように酵素反応によってフェロセンメタノールカチオン(Fc+OH)が生成する。同様に、酵素がグルコースオキシダーゼであり、基質が過酸化水素である場合、電子伝達メディエータとしてはフェロセンメタノール(FcOH)が用いられ、下記式に示すように酵素反応によってフェロセンメタノールカチオン(Fc+OH)が生成する。
2FcOH + H2O2 + 2H+ → 2Fc+OH + 2H2O
ライセート試薬については、上記「A.電極チップ」に記載したので、ここでの説明は省略する。
本実施態様においては、酸化還元物質を遊離または生成する物質から酸化還元物質を遊離または生成する反応工程を行ってもよい。
酸化還元物質を遊離または生成する反応としては、化学物質の種類に応じて適宜選択される。
多段階反応および遊離反応時には、反応を活性化するために、加温することが好ましい。多段階反応および遊離反応の反応温度としては、好ましくは20℃〜50℃の範囲内、より好ましくは25〜45℃の範囲内、特に好ましくは37℃程度である。
また、反応時間は、好ましくは30分間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。これにより、充分な量の遊離した酸化還元物質を得ることができる。
なお、被検体とライセート試薬と酸化還元物質が結合した合成基質との合計容量が1mm3〜200mm3の範囲内、特に1mm3〜100mm3の範囲内、さらには1mm3〜50mm3の範囲内のように少ない場合は、反応温度を30℃〜40℃程度とし、反応時間を15分間〜1時間程度とすることができる。
本実施態様における前電解工程は、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極を接続した状態で、上記第3作用電極に電位を印加するとともに、上記第2作用電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる工程である。
Ag+ + e− → Ag↓ (2)
Ag + X− → AgX↓ e− (5)
(上記式(5)において、Xはヨウ素原子、臭素原子または塩素原子を表す。)
例えば酸化還元物質がパラアミノフェノール(pAP)である場合、第1作用電極上では下記式(1)に示すpAPの酸化反応が生じる。また、例えば酸化還元物質がパラメトキシアニリン(pMA)である場合、第1作用電極上では下記式(6)に示すpMAの酸化反応が生じる。
この場合、第3作用電極にキノンイミン(QI)の還元電位以下の電位を印加すると、第3作用電極上でQIの還元反応が生じ、第1作用電極上でpAPまたはpMAの酸化反応が生じ、第3作用電極および第1作用電極の間で自己誘発レドックスサイクルが起こる。つまり、例えば酸化還元物質がpAPである場合、第1作用電極上で下記式(1)に示されるように酸化反応が生じ、第3作用電極上で下記式(4)に示されるように還元反応が生じる。また、例えば酸化還元物質がpMAである場合、第1作用電極上で下記式(6)に示されるように酸化反応が生じ、第3作用電極上で下記式(7)で示されるように還元反応が生じる。
この場合には、第3作用電極に酸化還元物質のQIの還元電位以下の電位を印加することで、第3作用電極上でQIの還元反応を生じさせて、自己誘発レドックスサイクルにより、電流値を増幅させることができる。
この場合には、第1作用電極上で酸化反応が生じるため、ストリッピング電極上では金属イオンの還元反応が生じ、ストリッピング電極表面に金属が析出する。
この場合には、第1作用電極上で還元反応が生じるため、ストリッピング電極に含まれる金属の酸化反応が生じ、ストリッピング電極表面に金属塩が析出する。
なお、化学物質が微生物夾雑物である場合であって、酸化還元物質が結合した合成基質を用いる場合には、酸化還元物質が結合した合成基質も、酸化還元物質が結合した合成基質の酸化電位以上または還元電位以下になると、酸化または還元される場合がある。そのため、第3作用電極に印加する電位は、酸化還元物質が結合した合成基質の酸化電位よりも低く、または還元電位よりも高くなるように設定することが好ましい。
Ag → Ag+ + e− (10)
また例えば、第2作用電極が金、白金、パラジウム等の電極である場合には、水や酸素等の酸化反応が生じると考えられる。
第2作用電極に印加する電位は、上記のような酸化反応が起こり得る電位であればよい。
前電解時間としては、所望の検出感度が得られればよく、例えば、10分〜1時間の範囲内で設定することができる。前電解時間が長いほど、高感度検出が可能になる。
本実施態様におけるストリッピング工程は、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極の接続を切り、上記ストリッピング電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極に流れた電流値を測定する工程である。
また、化学物質が酵素である場合であって、基質および電子伝達メディエータを用い、酵素反応により電子伝達メディエータから酸化還元物質を生成する場合には、金属または金属塩の析出量は、電子伝達メディエータから生成した酸化還元物質の濃度および前電解時間の積に比例する。そのため、電流ピークから、電子伝達メディエータから生成した酸化還元物質の濃度を算出することができる。
なお、ストリッピング工程では、第2作用電極および第2対極の間に電流を流さない。
本実施態様における定量工程は、上記電流値に基づいて化学物質を定量する工程である。
上述したように、電流ピークは、ストリッピング電極表面に析出した金属または金属塩の量に比例し、金属または金属塩の析出量は、酸化還元物質の濃度および前電解時間の積に比例する。そのため、電流ピークから、酸化還元物質の濃度を算出し、酸化還元物質の濃度に基づいて化学物質を定量することができる。したがって、化学物質の濃度および電流値の相関を示した検量線を予め作成することにより、電流値から、化学物質の濃度を測定することができる。
本実施態様の化学物質の定量方法は、変換ストリッピング法による化学物質の定量方法であって、第1セル、第2セル、上記第1セル内に配置された第1作用電極、上記第2セル内に配置され、上記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極、第2作用電極、および上記第2作用電極に電流を流すための第2対極を有し、上記第2作用電極および上記第2対極のうち、一方が上記第1セル内に配置され、他方が上記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、上記第2セル内に金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する準備工程と、上記第1セル内に、上記化学物質を含む被検体および酸化還元物質を遊離または生成する物質を供給する被検体供給工程と、上記物質から上記酸化還元物質を遊離または生成する反応工程と、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極を接続した状態で、上記第2作用電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる前電解工程と、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極の接続を切り、上記ストリッピング電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極に流れた電流値を測定するストリッピング工程と、上記電流値に基づいて上記化学物質を定量する定量工程とを有することを特徴とする。
本実施態様における準備工程は、第1セルと、第2セルと、上記第1セル内に配置された第1作用電極と、上記第2セル内に配置され、上記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極と、第2作用電極と、上記第2作用電極に電流を流すための第2対極とを有し、上記第2作用電極および上記第2対極のうち、一方が上記第1セル内に配置され、他方が上記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、上記第2セル内に金属イオンを含む溶液または上記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する工程である。
測定用セルとしては、例えば、上述の電極チップを用いることができる。また、第1セルおよび第2セルにそれぞれ所定の電極を挿入することで、測定用セルを構成することもできる。
本実施態様における被検体供給工程は、上記第1セル内に、上記化学物質を含む被検体および酸化還元物質を遊離または生成する物質を供給するである。
化学物質については、上記「A.電極チップ」に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、酸化還元物質を遊離または生成する物質については、上記第1実施態様に記載した、酸化還元物質を遊離または生成する物質の中から適宜選択して用いることができる。
ライセート試薬については、上記「A.電極チップ」に記載したので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における反応工程は、上記物質から上記酸化還元物質を遊離または生成する工程である。
反応工程については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における前電解工程は、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極を接続した状態で、上記第2作用電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる工程である。
O2 +4H+ + 4e− → 2H2O
Ag + I− → AgI↓ + e−
この場合、上記式で示されるように、代謝によって第1セル内の溶存酸素が消費され、水が生成する。代謝によって酸素が消費されると、第1セルにおいて電位が下降する。そのため、代謝によって酸素が消費されると、第1セルと第2セルとで電位差が小さくなり、第1作用電極およびストリッピング電極間に流れる電流が減少する。したがって、蓄積するヨウ化銀が減少し、下記式で示されるようにストリッピング電極における電流値が減少する。
AgI↓ + e− → Ag + I−
すなわち、この場合には、代謝によって第1セルの溶液中の酸素濃度が減少するので、第1作用電極およびストリッピング電極間を流れる電流が小さくなり、蓄積するヨウ化銀の量が減少する。代謝が盛んであるほど、ヨウ化銀の蓄積量が減少することになる。
本実施態様におけるストリッピング工程は、上記第1作用電極および上記ストリッピング電極の接続を切り、上記ストリッピング電極に電位を印加し、上記ストリッピング電極に流れた電流値を測定する工程である。
ストリッピング工程については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における定量工程は、上記電流値に基づいて化学物質を定量する工程である。
定量工程については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
電位差を利用する様態について、前電解時間と銀の蓄積量との関係を評価した。
また、これらのピークの面積から下記式(A)を用いて電荷量(Q)を算出し、前電解時間に対してプロットした検量線を図10に示す。
以上より、第1セルおよび第2セルを塩橋または液絡で接続することなく、前電解時に第2作用電極および第2対極に電圧を印加することで電気的導通を確保することが可能であることが示された。
電位差を利用する様態について、測定対象の濃度と銀の蓄積量との関係を評価した。
前電解工程において、印加する電圧を0.2V(vs.Pd)、電圧印加時間を600秒に設定し、pAPの濃度を0mM〜1mMの間で変化させた。前電解工程の終了後、ストリッピング工程を行った。
また、ピークの面積より、上記式(A)を用いて算出した電荷量をpAPの濃度に対してプロットした結果を図12に示す。銀の酸化反応で生じる電荷量は、pAPの濃度に比例することが示された。
微生物夾雑物としてエンドトキシンを選択し、ライセート試薬、および酸化還元物質が結合した合成基質の接触により誘発される多段階反応の結果生じるpAPの検出を試みた。
2 … 基板
3 … 第1セル
4 … 第2セル
5 … 第1作用電極
6 … 第2対極
7 … ストリッピング電極
8 … 第2作用電極
9 … 第3作用電極
10 … 第1対極
11a、11b … 参照電極
12 … 導線
13 … 端子
15 … 仕切部材
21 … 酸化還元物質が結合した合成基質
22 … ライセート試薬
31 … 第3電源部
32 … 第2電源部
33、34、36、37、38 … スイッチ
35 … 第1電源部
Claims (11)
- 変換ストリッピング法による化学物質の定量に用いられる電極チップであって、
基板と、
前記基板上に配置された第1セルと、
前記基板上に配置された第2セルと、
前記第1セル内に配置された第1作用電極と、
前記第2セル内に配置され、前記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極と、
第2作用電極と、
前記第2作用電極に電流を流すための第2対極と
を有し、前記第2作用電極および前記第2対極のうち、一方が前記第1セル内に配置され、他方が前記第2セル内に配置されていることを特徴とする電極チップ。 - 前記第1セル内に配置され、前記第1作用電極に隣接して配置された第3作用電極を有することを特徴とする請求項1に記載の電極チップ。
- 前記第1セル内に配置され、前記第3作用電極に電流を流すための第1対極を有することを特徴とする請求項2に記載の電極チップ。
- 参照電極が前記第1セル内および前記第2セル内の少なくともいずれかに配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電極チップ。
- 前記化学物質が微生物夾雑物であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の電極チップ。
- 変換ストリッピング法による化学物質の定量方法であって、
第1セル、第2セル、前記第1セル内に配置された第1作用電極、前記第2セル内に配置され、前記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極、前記第1セル内に配置され、前記第1作用電極に隣接して配置された第3作用電極、前記第1セル内に配置され、前記第3作用電極に電流を流すための第1対極、第2作用電極、および前記第2作用電極に電流を流すための第2対極を有し、前記第2作用電極および前記第2対極のうち、一方が前記第1セル内に配置され、他方が前記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、前記第2セル内に金属イオンを含む溶液または前記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する準備工程と、
前記第1セル内に、前記化学物質を含む被検体を供給する被検体供給工程と、
前記第1作用電極および前記ストリッピング電極を接続した状態で、前記第3作用電極に電位を印加するとともに、前記第2作用電極に電位を印加し、前記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる前電解工程と、
前記第1作用電極および前記ストリッピング電極の接続を切り、前記ストリッピング電極に電位を印加し、前記ストリッピング電極に流れた電流値を測定するストリッピング工程と、
前記電流値に基づいて前記化学物質を定量する定量工程と
を有することを特徴とする化学物質の定量方法。 - 前記被検体が酸化還元物質を含むことを特徴とする請求項6に記載の化学物質の定量方法。
- 前記被検体供給工程では、前記第1セル内に、前記化学物質を含む被検体および酸化還元物質を遊離または生成する物質を供給し、
前記物質から前記酸化還元物質を遊離または生成する反応工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の化学物質の定量方法。 - 前記化学物質が微生物夾雑物であり、前記酸化還元物質を遊離または生成する物質が前記酸化還元物質が結合した合成基質であり、
前記被検体供給工程では、前記第1セル内に、前記化学物質を含む被検体、ライセート試薬、および前記酸化還元物質が結合した合成基質を供給し、
前記反応工程では、前記第1セル内にて、前記化学物質を含む被検体、前記ライセート試薬、および前記酸化還元物質が結合した合成基質を接触させて、多段階反応により前記合成基質からの前記酸化還元物質の遊離反応を生じさせることを特徴とする請求項8に記載の化学物質の定量方法。 - 変換ストリッピング法による化学物質の定量方法であって、
第1セル、第2セル、前記第1セル内に配置された第1作用電極、前記第2セル内に配置され、前記第1作用電極と接続可能なストリッピング電極、第2作用電極、および前記第2作用電極に電流を流すための第2対極を有し、前記第2作用電極および前記第2対極のうち、一方が前記第1セル内に配置され、他方が前記第2セル内に配置されている測定用セルを準備し、前記第2セル内に金属イオンを含む溶液または前記ストリッピング電極に含まれる金属と金属塩を形成するハロゲン化物イオンを含む溶液を供給する準備工程と、
前記第1セル内に、前記化学物質を含む被検体および酸化還元物質を遊離または生成する物質を供給する被検体供給工程と、
前記物質から前記酸化還元物質を遊離または生成する反応工程と、
前記第1作用電極および前記ストリッピング電極を接続した状態で、前記第2作用電極に電位を印加し、前記ストリッピング電極表面に金属または金属塩を析出させる前電解工程と、
前記第1作用電極および前記ストリッピング電極の接続を切り、前記ストリッピング電極に電位を印加し、前記ストリッピング電極に流れた電流値を測定するストリッピング工程と、
前記電流値に基づいて前記化学物質を定量する定量工程と
を有することを特徴とする化学物質の定量方法。 - 前記化学物質が微生物夾雑物であり、前記酸化還元物質を遊離または生成する物質が前記酸化還元物質が結合した合成基質であり、
前記被検体供給工程では、前記第1セル内に、前記化学物質を含む被検体、ライセート試薬、および前記酸化還元物質が結合した合成基質を供給し、
前記反応工程では、前記第1セル内にて、前記化学物質を含む被検体、前記ライセート試薬、および前記酸化還元物質が結合した合成基質を接触させて、多段階反応により前記合成基質からの前記酸化還元物質の遊離反応を生じさせることを特徴とする請求項10に記載の化学物質の定量方法。
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