JP5895695B2 - センサシステム及び当該センサシステムを用いた検出対象物質測定方法 - Google Patents
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Description
そのため、例えば、検出結果に影響を与える雰囲気状態の変動を検知して補正用電気信号を出力する補正用電極(基質濃度検知電極、pH電極、温度センサ、電気伝導度計測用電極)を設けることにより検出結果を補正することのできる被検知物質測定装置が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
また、食品の産地・種類の多様化を背景に、食の安全・安心に対する関心が非常に高まっている。特に、残留農薬の問題は特に大きな関心を集めており、食品中の残留農薬の有無に関する安全性の確保が求められている。
現在、残留農薬検査は主に公定法であるGC/MS法、ELISA法などの高度分析装置を用いた検出・定量が行われているが、これらの方法は複雑な前処理や操作技術に対する専門的な知識や技術が必要であり、また、装置も高価で、前処理や計測に長い時間を要するため、コストと迅速性、汎用性が要求される現場でのスクリーニングには適していない。そこで、簡便な方法でありながら、極微量の農薬でも迅速に検出できる高性能な残留農薬等の一次スクリーニングの実現が必要である。
酵素の活性を阻害する物質を検出対象物質として、所定の試料に含まれる検出対象物質を検出する酵素センサを備えるセンサシステムにおいて、
前記酵素センサは、複数の同一構成のセンサ部を備え、当該複数のセンサ部のうちの一部が前記試料に接触させない基準センサ部であるとともに、残りが前記試料に接触させる検出センサ部であり、
前記検出センサ部を前記試料に接触させる前における、前記基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とに基づき算出された第1応答比を記憶する記憶手段と、
前記基準センサ部の出力値と前記検出センサ部の出力値とを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後における前記基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とに基づいて、第2応答比を算出する応答比算出手段と、
前記記憶手段に記憶されている第1応答比と、前記応答比算出手段によって算出された第2応答比と、の比率に基づいて、前記試料に含まれる検出対象物質の濃度を判定する濃度判定手段と、を備え、
前記第1応答比は、前記検出センサ部を前記試料に接触させる前に前記基準センサ部から取得した第1基準側応答値と、前記検出センサ部を前記試料に接触させる前に当該検出センサ部から取得した第1検出側応答値と、の比率であり、
前記第1基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が所定の第1応答検出閾値を超えてから所定の第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値であり、
前記第1検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が所定の第2応答検出閾値を超えてから所定の第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値であり、
前記第2応答比は、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後に前記基準センサ部から取得した第2基準側応答値と、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後に当該検出センサ部から取得した第2検出側応答値と、の比率であり、
前記第2基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が前記第1応答検出閾値を超えてから前記第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値であり、
前記第2検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が前記第2応答検出閾値を超えてから前記第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値であることを特徴とする。
前記第1基準側応答値及び前記第2基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が前記第1応答検出閾値を超えてから前記第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値の所定期間の平均値であり、
前記第1検出側応答値及び前記第2検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が前記第2応答検出閾値を超えてから前記第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値の所定期間の平均値であることを特徴とする。
前記濃度判定手段によって判定された濃度が所定の警告閾値を超えた場合に警告を行う警告手段を備えることを特徴とする。
ユーザ操作に応じて、前記検出対象物質として複数の物質を指定する指定手段を備え、
前記濃度判定手段は、前記指定手段によって指定された複数の物質のうちの一つのみが前記試料に含まれていたと仮定して、当該複数の物質それぞれの濃度を判定し、
前記警告手段は、前記濃度判定手段によって判定された各濃度のうちの一つでも前記警告閾値を超えた場合に警告を行うことを特徴とする。
前記酵素センサを着脱自在に支持する支持部を備え、
前記酵素センサは、使い捨て型のセンサであることを特徴とする。
前記試料は液体であり、
前記酵素センサは、前記複数のセンサ部それぞれの周りに液溜部を有することを特徴とする。
酵素の活性を阻害する物質を検出対象物質として、所定の試料に含まれる検出対象物質の濃度を請求項1から6の何れか一項に記載のセンサシステムを用いて測定する検出対象物質測定方法において、
前記検出センサ部を前記試料に接触させる第1接触ステップと、
次いで、前記基準センサ部及び前記検出センサ部を同一環境下に配置した状態で、当該基準センサ部及び当該検出センサ部を前記酵素の基質に接触させる第2接触ステップと、
次いで、前記基準センサ部及び前記検出センサ部を同一環境下に配置した状態のまま、前記取得手段によって当該基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とを取得する取得ステップと、
次いで、前記応答比算出手段によって、前記取得ステップで取得された前記基準センサ部の出力値と前記検出センサ部の出力値とに基づき前記第2応答比を算出する応答比算出ステップと、
次いで、前記濃度判定手段によって、前記記憶手段に記憶されている第1応答比と、前記応答比算出ステップで算出された第2応答比と、の比率に基づき前記試料に含まれる検出対象物質の濃度を判定する濃度判定ステップと、を有することを特徴とする。
したがって、簡易な構成で、高速かつ高感度な測定が可能となる。
まず、本実施形態のセンサシステム1の構成について説明する。
センサシステム1は、有機リン系農薬やカーバメート系農薬等の検出対象物質を検出するための酵素センサ10を使用して、試料に含まれる検出対象物質を検出又は定量するシステムである。
センサシステム1は、図1に示すように、主に、複数の同一構成のセンサ部Seを有する酵素センサ10と、センサ部Seと接続する取得部20と、キー群やタッチパネルを備える操作部30と、ディスプレイを備える表示部40と、取得部20、操作部30及び表示部40と接続する制御部50と、を備えて構成される。
図2は、酵素センサ10の構成の一例を示す斜視図である。
酵素センサ10は、図2に示すように、主に、基板11と、基板11上に形成された電極12(作用電極121、対電極122及び参照電極123)と作用電極121上に形成された電子伝達体層13と当該電子伝達体層13上に形成された酵素層14とからなるセンサ部Seと、センサ部Seの酵素層14の周囲に液溜を形成するための液溜形成部15と、センサ部Seの電極12からの配線を保護するための絶縁膜16と、を備えて構成される。
なお、本実施形態において、酵素センサ10は、2つのセンサ部Seを備えているが、これに限定されるものではなく、酵素センサ10が備えるセンサ部Seの個数は複数であれば適宜任意に変更可能である。
作用電極121としては、例えば、金、白金、銅、アルミニウム等の貴金属や、SnO2、In2O3、WO3、TiO2、グラファイト、グラフェン、グラッシカーボンなどを用いることができる。
対電極122としては、例えば、二極方式の場合は銀、三極方式の場合は銀やその他の金属を用いることができる。
参照電極123としては、例えば、カロメル電極、銀/塩化銀等を用いることができる。
また、電極12は、スクリーン印刷法によって形成されたものに限定されるものではなく、電極12の形成方法は適宜任意に変更可能である。具体的には、電極12は、例えば、蒸着法、スパッタリング法等によって形成することも可能である。
具体的には、例えば、これらの電極は、市販の電解セル、測定セル等で使用する大きな電極であっても良いし、ディスク電極、回転リングディスク電極、ファイバー電極等であっても良いし、例えば、フォトリソグラフィー等の公知の微細加工技術により作製した微小電極(円盤電極、円筒電極、帯状電極、配列帯状電極、配列円盤電極、リング電極、球状電極、櫛型電極、ペア電極等)であっても良い。また、作用電極121、対電極122及び参照電極123はそれぞれ同じ大きさ、形状、構成であっても良いし、異なる大きさ、形状、構成であっても良い。
なお、酵素層14には、一種類の酵素のみが含まれていても良いし、複数種類の酵素が含まれていても良い。
また、酵素層14には、酵素の活性の発現を触媒するための補酵素等が含まれていても良い。
すなわち、本実施形態の酵素層14は、メソ多孔性シリカと、当該メソ多孔性シリカの細孔の内部に固定された酵素と、からなる層である。
なお、本実施形態では、細孔の内部に酵素が固定された粉末状のメソ多孔性シリカとバインダーとを混合したものを電子伝達体層13上に塗布することによって酵素層14を形成するようにしたが、酵素層14の形成方法は、これに限定されるものではない。例えば、細孔の内部に酵素が固定されていない粉末状のメソ多孔性シリカとバインダーとを混合したものを電子伝達体層13上に塗布してメソ多孔性シリカ層を形成し、当該メソ多孔性シリカ層の細孔の内部に酵素を固定することによって酵素層14を形成することも可能である。
また、メソ多孔性シリカの形状は、粉末状に限定されるものではなく、適宜任意に変更可能であり、顆粒状、シート状、バルク状、膜状等であっても良い。
例えば、ケイ酸により構成されるメソ多孔性シリカの作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
具体的には、メソ多孔性シリカは、例えば、無機材料を界面活性剤と混合反応させて、界面活性剤のミセルの周りに無機の骨格が形成された界面活性剤/無機複合体を形成させた後、例えば、400℃〜600℃で焼成したり有機溶剤で抽出したりする等して界面活性剤を除去することにより作製される。これにより、メソ多孔性シリカは、無機骨格中に、界面活性剤のミセルと同じ形状のメソポア細孔を有するものとなる。
また、メソ多孔性シリカの作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、メソ多孔性シリカに、柱状の細孔が形成されることになる。
メソ多孔性シリカは、作製段階で、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変えてミセルの径を変化させることによって、細孔の内径を制御することができる。また、界面活性剤と併せて、トリメチルベンゼン、トリプロピルベンゼン等の比較的疎水性の分子を添加することによって、ミセルを膨潤させ、さらに大きな内径の細孔を形成することもできる。
メソ多孔性シリカの種類としては、細孔のサイズが均一であり、且つ、大きな空隙率を持つという特徴を有する、例えば、KSW、FSM、SBA、MCM、HOM等の公知の種類を採用することができる。
具体的には、メソ多孔性シリカの細孔のサイズは、酵素(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、酵素のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、酵素のサイズとほぼ同等であることが最も好ましい。すなわち、メソ多孔性シリカの細孔の直径(中心細孔直径)は、酵素の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、酵素の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、酵素の直径とほぼ同等であることが最も好ましい。なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、1〜50nm程度とすることができる。
メソ多孔性シリカの細孔の深さは、2nm以上である。具体的には、好ましい深さの範囲は20〜1000nmであり、より好ましい深さの範囲は50〜500nmであり、最も好ましい深さの範囲は50〜150nmである。
メソ多孔性シリカの細孔のピッチは、細孔のピッチを細孔の中心間の距離と定義すると、好ましいピッチは2〜500nmであり、より好ましいピッチは2〜100nmであり、最も好ましいピッチは2〜50nmである。
したがって、メソ多孔性シリカの細孔の内部に、酵素をしっかりと固定することができるので、酵素の立体構造の変化が防止され、優れた安定性を有し、且つ、長寿命の酵素センサ10を実現することが可能である。
また、メソ多孔性シリカは多孔質であり、比表面積が非常に大きい。したがって、メソ多孔性シリカを担体として用いると、高濃度に酵素を固定することができる。さらに、メソ多孔性シリカの細孔の内部に酵素をしっかりと固定することで、酵素は適度に分散された状態に維持されるため、酵素が凝集を起こして失活する等を回避することができる。すなわち、細孔のサイズが、酵素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されているメソ多孔性シリカを担体として用いることで、高濃度に酵素を固定することができるとともに、酵素が凝集を起こして失活する等を避けることができるため、優れた感度を有する酵素センサ10を実現することが可能となる。
また、酵素は多孔質体の細孔の内部に固定されていなくても良く、例えば、酵素層14は、ポリビニルアルコール樹脂等の所定の樹脂と、当該樹脂に混合された酵素と、からなる層であっても良い。
なお、本実施形態では、電子伝達体層13に含まれる電子伝達体として、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)を用いるが、これに限定されるものではなく、電子伝達体層13に含まれる電子伝達体は、例えば、金属フタロシアニン、プルシアンブルー、メルドラブルー、カリウムフェロシアニド、フェリシアン化カリウム、フェロセン、フェロセン誘導体、ベンゾキノン、キノン誘導体、オスミウム錯体、HBT、ABTS、ビオルリン酸(violuric acid、Vio)、NNS、3−ヒドロキシアントラニル酸(3−HAA)、4−アミノアンチピリン、HOBt等であっても良い。
また、電子伝達体層13には、一種類の電子伝達体のみが含まれていても良いし、複数種類の電子伝達体が含まれていても良い。
すなわち、酵素センサ10は、複数のセンサ部Seそれぞれの周りに液溜部を有している。
センサ部Seを取り囲む液溜形成部15内に基質(アセチルチオコリン(或いは、ブチリルチオコリン))を含む基質溶液を滴下して、センサ部Seを基質に接触させると、図3に示すように、センサ部Seの酵素(コリンエステラーゼ)は、選択的触媒作用により基質を分解して、チオコリンを生成する。
次いで、作用電極121を正にして、作用電極121と参照電極123との間に電圧を印加することにより液溜形成部15内の基質溶液に対して電圧を印加すると、チオコリンは、電子伝達体(TCNQ)を介して間接的に電子(e−)を作用電極121に渡し、ジチオビスコリンになる。この際、作用電極121と対電極122との間には、還元型の電子伝達体を再酸化する電流が流れる。当該電流の値(以下「応答電流値」と称する。)は、酵素の活性に比例するため、応答電流値を測定することにより、その測定された応答電流値から酵素の活性を求めることができる。
そのため、検出対象物質に接触させる前のセンサ部Seにおける酵素の活性と、検出対象物質に接触させた後のセンサ部Seにおける酵素の活性と、を比較して、検出対象物質によって酵素の活性が阻害されることに伴い生じる酵素の活性の低下度合いから、試料中の検出対象物質の濃度を測定することができる。
取得部20は、図1に示すように、電圧印加部21と電流測定部22とを備えており、接続手段20aを介して対応するセンサ部Seに接続される。
電圧印加部21は、センサ部Seの電極12に所定の電圧値の電圧を印加する。具体的には、電圧印加部21は、作用電極121と参照電極123との間に電圧を印加するよう構成されている。
また、電流測定部22は、電圧印加部21による電圧印加時にセンサ部Seの電極12に流れる電流値を応答電流値として測定するよう構成されている。
そして、センサシステム1は、酵素センサ10を着脱自在に支持する支持部(センサヘッド)1a(図4参照)を備えており、この支持部1aに酵素センサ10を装着すると、当該酵素センサ10が備える各センサ部Seが接続手段20aと接続するよう構成されている。また、この支持部1aは、配線1bを介して取得部20に接続されている。
次に、試料に含まれる検出対象物質の濃度を、センサシステム1を用いて測定する検出対象物質測定方法の一例について説明する。
また、制御部50は、当該制御部50内の記憶領域に、検出センサ部を試料に接触させる前における、基準センサ部の出力値(応答電流値)と当該検出センサ部の出力値(応答電流値)とに基づき算出された第1応答比を記憶している。すなわち、制御部50が、検出センサ部を試料に接触させる前における、基準センサ部の出力値(応答電流値)と当該検出センサ部の出力値(応答電流値)とに基づき算出された第1応答比を記憶する記憶手段として機能する。
第1基準側応答値及び第1検出側応答値は、例えば図5(a)に示すようにして求めることができる。
具体的には、第1基準側応答値は、基準センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該基準センサ部の出力値(応答電流値)が予め定められた所定の第1応答検出閾値を超えてから予め定められた所定の第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値(応答電流値)である。
また、第1検出側応答値は、検出センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該検出センサ部の出力値(応答電流値)が予め定められた所定の第2応答検出閾値を超えてから予め定められた所定の第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値(応答電流値)である。
したがって、本実施形態の場合、検出センサ部を試料に接触させる前に、基準センサ部を取り囲む液溜形成部15と、検出センサ部を取り囲む液溜形成部15と、の双方に基質溶液を滴下して基準センサ部及び検出センサ部からそれぞれ第1基準側応答値及び第1検出側応答値を取得し、第1応答比を算出して制御部50に記憶しておく必要がある。
また、第1待機時間の長さと第2待機時間の長さは、同一であってもよいし、異なっても良い。
具体的には、第1基準側応答値は、基準センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該基準センサ部の出力値(応答電流値)が第1応答検出閾値を超えてから第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値(応答電流値)の所定期間の平均値であっても良い。
同様に、第1検出側応答値は、検出センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該検出センサ部の出力値(応答電流値)が第2応答検出閾値を超えてから第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値(応答電流値)の所定期間の平均値であっても良い。
具体的には、例えば、所定量(例えば、約100g)の農作物をポリ袋に入れる。この際、農作物の大きさや重さが問題となる場合には、適当な大きさに切ってからポリ袋に入れる。
次いで、農作物と等量の有機溶媒溶液(例えば、5%アセトニトリル溶液)を当該ポリ袋に入れる。
次いで、当該ポリ袋の口を閉じて、当該ポリ袋を所定時間(例えば、30秒間)強く振り、農作物に付着している残留農薬を有機溶媒溶液で抽出する。
次いで、当該ポリ袋内の有機溶媒溶液(残留農薬を含む有機溶媒溶液)をろ過して土等を取り除く。これにより、試料(試料液)を作製することができる。
なお、試料の作製手順は、ここに示した手順に限定されるものではなく、適宜任意に変更可能である。また、試料の種類は、農作物に付着している残留農薬を測定するための試料に限定されるものではなく、有機リン系農薬やカーバメート系農薬等の検出対象物質を含む試料であれば適宜任意に変更可能である。
具体的には、例えば、検出センサ部を取り囲む液溜形成部15内に、作製した試料(試料液)を滴下することによって、当該検出センサ部を試料に接触させる。
具体的には、例えば、ユーザが、操作部30を操作して、検出対象物質(例えば、農作物に残留する可能性のある農薬)を指定するとともに、測定の開始を指示すると、制御部50は、基準センサ部と接続する取得部20による電流値の測定及び検出センサ部と接続する取得部20による電流値の測定を開始するとともに、測定された基準センサ部の電流値及び検出センサ部の電流値の経時変化を表示部40に表示する。そして、ユーザは、一定時間経過後(この時、基準センサ部のベース電流値及び検出センサ部のベース電流値は一定の電流値以下で安定していることが表示部40からも確認できる)、基準センサ部を取り囲む液溜形成部15内と検出センサ部を取り囲む液溜形成部15内との双方に基質溶液を滴下することによって、基準センサ部及び検出センサ部を基質に接触させる。
すなわち、取得部20が、基準センサ部の出力値(応答電流値)と検出センサ部の出力値(応答電流値)とを取得する取得手段として機能する。
すなわち、制御部50が、取得手段(取得部20)によって取得された、検出センサ部を試料に接触させた後における基準センサ部の出力値(応答電流値)と当該検出センサ部の出力値(応答電流値)とに基づいて、第2応答比を算出する応答比算出手段として機能する。
第2基準側応答値及び第2検出側応答値は、第1基準側応答値及び第2検出側応答値と同様、例えば図5(a)に示すようにして求めることができる。
具体的には、第2基準側応答値は、基準センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該基準センサ部の出力値(応答電流値)が第1応答検出閾値を超えてから第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値(応答電流値)である。
また、第2検出側応答値は、検出センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該検出センサ部の出力値(応答電流値)が第2応答検出閾値を超えてから第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値(応答電流値)である。
具体的には、第2基準側応答値は、基準センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該基準センサ部の出力値(応答電流値)が第1応答検出閾値を超えてから第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値(応答電流値)の所定期間の平均値であっても良い。
同様に、第2検出側応答値は、検出センサ部と酵素層14に含まれる酵素の基質との接触によって当該検出センサ部の出力値(応答電流値)が第2応答検出閾値を超えてから第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値(応答電流値)の所定期間の平均値であっても良い。
すなわち、制御部50が、記憶手段(制御部50)に記憶されている第1応答比(=(第1検出側応答値)/(第1基準側応答値))と、応答比算出手段(制御部50)によって算出された第2応答比(=(第2検出側応答値)/(第2基準側応答値))と、の比率に基づいて、試料に含まれる検出対象物質の濃度を判定する濃度判定手段として機能する。
具体的には、検出対象物質の濃度[I]は、
RA(相対活性)=(第2応答比)/(第1応答比)
阻害率=1−RA=1/(1+(Ki/[I])×(1+[S]/Km))
によって判定(算出)することができる。
ただし、Kiはユーザが操作部30を操作して指定した検出対象物質の阻害定数、[S]は基質濃度(ユーザが操作部30を操作して滴下する基質溶液の濃度を入力しても良いし、滴下する基質溶液の濃度が予め定まっていても良い。)、Kmはミカエリス定数である。
すなわち、表示部40及び制御部50が、濃度判定手段(制御部50)によって判定された濃度が所定の警告閾値を超えた場合に警告を行う警告手段として機能する。
すなわち、操作部30が、ユーザ操作に応じて、検出対象物質として複数の物質を指定する指定手段として機能する。
具体的には、例えば、検出対象物質として物質Aと物質Bと物質Cとが指定されたとする。この場合、制御部50は、試料に物質Aのみが含まれていたと仮定し、Ki=物質Aの阻害定数として、物質Aの濃度[IA]を判定(算出)する。また、試料に物質Bのみが含まれていたと仮定し、Ki=物質Bの阻害定数として、物質Bの濃度[IB]を判定(算出)する。また、試料に物質Cのみが含まれていたと仮定し、Ki=物質Cの阻害定数として、物質Cの濃度[IC]を判定(算出)する。
具体的には、例えば、この例の場合、
[IA]∧[IB]∧[IC]≧警告閾値ならば「極めて危険」等の警告表示を表示部40に表示し、
[IA]∨[IB]∨[IC]≧警告閾値ならば「危険」、「グレー」、「危険の可能性有」等の警告表示を表示部40に表示し、
[IA]∧[IB]∧[IC]<警告閾値ならば「安全」等の表示を表示部40に表示する。
ここで、図6には、阻害定数(Kia)が10−6である物質の検量線と、阻害定数(Kib)が10−7である物質の検量線と、阻害定数(Kic)が10−8である物質の検量線と、を示す。
図6によれば、横軸が濃度[I](mol/L)の対数、縦軸が阻害率(%)なので、阻害率(=100×(1−RA))が分かれば、検量線から濃度[I]を判定(取得)することができる。
そこで、本実施形態では、劣化等に伴うセンサ間のばらつきの影響を抑えるために、同一のセンサ部Seを用いて検出対象物質との接触前後における応答電流値を測定することとしている。
したがって、従来は、温度やpH等の外部環境の変化の影響を抑えるために、ペルチェ素子等を用いて周囲の温度を一定に保ったり緩衝液等でpHを一定に保ったりしながら応答電流値を測定していた。
さらに、本実施形態のように、同一のセンサ部Seを用いて検出対象物質との接触前後における応答電流値を測定する場合には、接触前における測定と、接触後における測定と、を同一の外部環境下で行う必要がある。
しかしながら、ペルチェ素子等を用いて周囲の温度を一定に保ったり緩衝液等でpHを一定に保ったりしながら応答電流値を測定したり、検出対象物質との接触前後における測定で外部環境を同一にするには、高価で複雑な機構やシステムが必要であり、また、測定のための複雑な調整等が必要であるという問題がある。
これにより、温度やpH等の外部環境の変化の影響を吸収できるので、高価で複雑な機構やシステムを用いて外部環境を一定に保つ必要や、検出対象物質との接触前後における測定で外部環境を同一にする必要がなく、また、測定のための複雑な調整等も必要ないので、簡易な測定が可能となる。
したがって、ユーザがセンサ部に基質溶液を滴下する構成では、センサシステムの制御部はセンサ部と基質とが接触したタイミングを判定できないので、従来のセンサシステムにおいては、制御部がセンサ部と基質とが接触したタイミングを判定できるよう、制御部によって制御可能なシリンジやポンプ等を用いてセンサ部に基質溶液を滴下していた。
しかしながら、シリンジやポンプ等を用いてセンサ部に基質溶液を滴下するには、高価で複雑な機構やシステムが必要であり、また、滴下のための複雑な調整等が必要であるという問題がある。
これにより、センサ部Seと基質とが接触したタイミングが不明でも、制御部50によって、センサ部Seの応答電流値が応答検出閾値を超えたか否か判定し、センサ部Seの応答電流値が応答検出閾値を超えた場合には待機時間が経過したか否かを判定するだけで、正確な応答値を得ることができるので、高価で複雑な機構やシステムを用いてセンサ部Seと基質とが接触したタイミングを計る必要がなく、また、滴下のための複雑な調整等も必要ないので、簡易な測定が可能となる。
まず、スクリーン印刷法によってガラスエポキシ基板(基板11)上にカーボンインクを塗布した後、乾燥させることにより、作用電極121及び対電極122を形成するとともに、スクリーン印刷法によってガラスエポキシ基板(基板11)上に銀/塩化銀インクを塗布した後、乾燥させることにより、参照電極123を形成した。
次いで、基板11の電極12が形成された側の面のうち、センサ部Seとなる領域を除く部分に、絶縁性インクをスクリーン印刷法によって塗布した後、乾燥させることにより、絶縁膜16を形成した。
次いで、絶縁膜16上の、絶縁膜16に形成された開口(センサ部Seを露出するための開口)の縁部に、アクリル製の円筒状の液溜形成部15を固定した。
次いで、酵素−シリカ複合体を含むシリカ含有酵素溶液に、変性ポバール溶液とその架橋剤であるアジピン酸ジヒドラジドを含むバインダー溶液を加えて攪拌して、シリカ・バインダー含有酵素溶液を作製した。そして、当該シリカ・バインダー含有酵素溶液を電子伝達体層13上に滴下し、スピンコーターで塗布して乾燥させることにより、酵素層14を形成した。その後、酵素層14の表面を蒸留水で洗浄することによって、メソ多孔性シリカの外表面に吸着している酵素(すなわち、メソ多孔性シリカの細孔の内部に固定されていない酵素)を洗い流した。
次いで、酵素センサ10の基準センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、酵素センサ10の検出センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、の双方に5%アセトニトリル溶液をスポイトにより2滴ずつ滴下し、当該基準センサ部と当該検出センサ部との双方に+100mVの電圧を印加して、当該基準センサ部の応答電流値及び当該検出センサ部の応答電流値が安定するまで待機した。
次いで、応答電流値が安定したことを確認した後、当該基準センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、検出センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、の双方に基質(アセチルチオコリン)を含む基質溶液をスポイトにより1滴ずつ滴下して第1基準側応答値及び第1検出側応答値を取得し、当該第1基準側応答値及び当該第1検出側応答値に基づき算出した第1応答比を制御部50内の記憶領域に記憶させた。ここで、第1応答検出閾値及び第2応答検出閾値を10nA、第1待機時間及び第2待機時間を200秒とし、約10秒間の応答電流値の平均値を第1基準側応答値、第1検出側応答値とした。
まず、農作物としてほうれん草とピーマンを用意し、5%アセトニトリル溶液にメタミドホスを添加して濃度が異なる3種類の農薬溶液(0.01ppmのメタミドホス溶液、1ppmのメタミドホス溶液、100ppmのメタミドホス溶液)を作製し、それぞれをほうれん草とピーマンに振りかけてシュミレーションサンプルを作製した。
次いで、0.01ppmのメタミドホス溶液が付着したほうれん草100gをポリ袋に入れて、当該ポリ袋に100mLの5%アセトニトリル溶液を入れた。
次いで、当該ポリ袋の口を閉じて、当該ポリ袋を30秒間強く振り、ほうれん草に付着しているメタミドホスをアセトニトリル溶液で抽出した。
次いで、当該ポリ袋内のアセトニトリル溶液(メタミドホスを含むアセトニトリル溶液)をろ過して土などを取り除き、試料A1を作製した。
同様にして、0.01ppmのメタミドホス溶液が付着したピーマンを用いて試料A2を、1ppmのメタミドホス溶液が付着したほうれん草を用いて試料B1を、1ppmのメタミドホス溶液が付着したピーマンを用いて試料B2を、100ppmのメタミドホス溶液が付着したほうれん草を用いて試料C1を、100ppmのメタミドホス溶液が付着したピーマンを用いて試料C2をそれぞれ作製した。
次いで、第2接触ステップを行った。具体的には、当該基準センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、当該検出センサ部を取り囲む液溜形成部15内と、の双方に基質(アセチルチオコリン)を含む基質溶液をスポイトにより1滴ずつ滴下した。
次いで、応答比算出ステップを行った。具体的には、取得した第2基準側応答値及び第2検出側応答値に基づいて第2応答比を算出した。
次いで、濃度判定ステップを行った。具体的には、記憶しておいた第1応答比と、算出した第2応答比と、の比率に基づいて、試料A1に含まれるメタミドホスの濃度を判定した。
なお、比較例として、試料A1、試料A2、試料B1、試料B2、試料C1及び試料C2に含まれるメタミドホスの濃度を、ガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)を用いて判定した。その結果も図7に示す。
また、農作物の場合は、予め使用した農薬が分かっている場合が多く、使用した農薬が複数である場合でも、残留農薬の一次スクリーニングにセンサシステム1を用いることは極めて有効であると考えられる。
また、センサ部Seと基質とが接触したタイミングが不明でも、制御部50によって、センサ部Seの出力値が応答検出閾値を超えたか否か判定し、センサ部Seの出力値が応答検出閾値を超えた場合には待機時間が経過したか否かを判定するだけで、正確な応答値を得ることができるので、高価で複雑な機構やシステムを用いてセンサ部Seと基質とが接触したタイミングを計る必要がなく、また、滴下のための複雑な調整等も必要ないので、簡易な測定が可能となる。
したがって、簡易な構成で、高速かつ高感度な測定が可能となる。すなわち、低コストで信頼性のある測定が可能となる。これにより、簡便な方法でありながら、迅速・高感度に残留農薬スクリーニングを行うことのできるセンシングシステムを提供することが可能となる。
したがって、応答値(第1基準側応答値、第2基準側応答値、第1検出側応答値、第2検出側応答値)として、より正確な値を取得することが可能となる。
したがって、所定の試料に含まれる検出対象物質の濃度が高いことを、ユーザに確実に認識させることが可能となる。
なお、本実施形態では、判定された濃度が警告閾値を超えた場合に、所定の警告表示を表示部40に表示するよう構成したが、これに限定されることはなく、例えば、センサシステム1にスピーカを備え、判定された濃度が警告閾値を超えた場合に、所定の警告音をスピーカから出力するよう構成することも可能である。この場合、スピーカ及び制御部50が、警告手段として機能する。
すなわち、検出対象物質となる可能性のある物質が複数ある場合には、それぞれの濃度を判定し、判定した各濃度のうちの一つでも警告閾値を超えた場合には警告するので、本実施形態のセンサシステム1は、残留農薬等の一次スクリーニング等にも有効に使用することができる。
したがって、酵素センサ10を取り替えるだけで、新たな測定を行うことができるので、更なる低コスト化が可能となる。
したがって、センサ部Seの周りの液溜部に試料(試料体)を滴下すれば、試料に含まれる検出対象物質を検出又は定量できるので、試料が少量であっても高速かつ高感度な測定が可能となる。
なお、測定対象は固体でも構わないが、それを洗浄或いは溶媒により希釈して測定用の試料とする。
また、センサ部Seと基質とが接触したタイミングが不明でも、制御部50によって、センサ部Seの出力値が応答検出閾値を超えたか否か判定し、センサ部Seの出力値が応答検出閾値を超えた場合には待機時間が経過したか否かを判定するだけで、正確な応答値を得ることができるので、高価で複雑な機構やシステムを用いてセンサ部Seと基質とが接触したタイミングを計る必要がなく、また、滴下のための複雑な調整等も必要ないので、簡易な測定が可能となる。
したがって、簡易な構成で、高速かつ高感度な測定が可能となる。すなわち、低コストで信頼性のある測定が可能となる。
酵素センサ10において、基準センサ部と検出センサ部とは一体的に構成されていなくても良く、別体に構成されていても良い。
1a 支持部
10 酵素センサ
20 取得部(取得手段)
40 表示部(警告手段)
50 制御部(記憶手段、応答比算出手段、濃度判定手段、警告手段)
Se センサ部
Claims (7)
- 酵素の活性を阻害する物質を検出対象物質として、所定の試料に含まれる検出対象物質を検出する酵素センサを備えるセンサシステムにおいて、
前記酵素センサは、複数の同一構成のセンサ部を備え、当該複数のセンサ部のうちの一部が前記試料に接触させない基準センサ部であるとともに、残りが前記試料に接触させる検出センサ部であり、
前記検出センサ部を前記試料に接触させる前における、前記基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とに基づき算出された第1応答比を記憶する記憶手段と、
前記基準センサ部の出力値と前記検出センサ部の出力値とを取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後における前記基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とに基づいて、第2応答比を算出する応答比算出手段と、
前記記憶手段に記憶されている第1応答比と、前記応答比算出手段によって算出された第2応答比と、の比率に基づいて、前記試料に含まれる検出対象物質の濃度を判定する濃度判定手段と、を備え、
前記第1応答比は、前記検出センサ部を前記試料に接触させる前に前記基準センサ部から取得した第1基準側応答値と、前記検出センサ部を前記試料に接触させる前に当該検出センサ部から取得した第1検出側応答値と、の比率であり、
前記第1基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が所定の第1応答検出閾値を超えてから所定の第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値であり、
前記第1検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が所定の第2応答検出閾値を超えてから所定の第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値であり、
前記第2応答比は、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後に前記基準センサ部から取得した第2基準側応答値と、前記検出センサ部を前記試料に接触させた後に当該検出センサ部から取得した第2検出側応答値と、の比率であり、
前記第2基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が前記第1応答検出閾値を超えてから前記第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値であり、
前記第2検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が前記第2応答検出閾値を超えてから前記第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値であることを特徴とするセンサシステム。 - 前記第1基準側応答値及び前記第2基準側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記基準センサ部の出力値が前記第1応答検出閾値を超えてから前記第1待機時間が経過した後における当該基準センサ部の出力値の所定期間の平均値であり、
前記第1検出側応答値及び前記第2検出側応答値は、前記酵素の基質との接触によって前記検出センサ部の出力値が前記第2応答検出閾値を超えてから前記第2待機時間が経過した後における当該検出センサ部の出力値の所定期間の平均値であることを特徴とする請求項1に記載のセンサシステム。 - 前記濃度判定手段によって判定された濃度が所定の警告閾値を超えた場合に警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサシステム。
- ユーザ操作に応じて、前記検出対象物質として複数の物質を指定する指定手段を備え、
前記濃度判定手段は、前記指定手段によって指定された複数の物質のうちの一つのみが前記試料に含まれていたと仮定して、当該複数の物質それぞれの濃度を判定し、
前記警告手段は、前記濃度判定手段によって判定された各濃度のうちの一つでも前記警告閾値を超えた場合に警告を行うことを特徴とする請求項3に記載のセンサシステム。 - 前記酵素センサを着脱自在に支持する支持部を備え、
前記酵素センサは、使い捨て型のセンサであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のセンサシステム。 - 前記試料は液体であり、
前記酵素センサは、前記複数のセンサ部それぞれの周りに液溜部を有することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のセンサシステム。 - 酵素の活性を阻害する物質を検出対象物質として、所定の試料に含まれる検出対象物質の濃度を請求項1から6の何れか一項に記載のセンサシステムを用いて測定する検出対象物質測定方法において、
前記検出センサ部を前記試料に接触させる第1接触ステップと、
次いで、前記基準センサ部及び前記検出センサ部を同一環境下に配置した状態で、当該基準センサ部及び当該検出センサ部を前記酵素の基質に接触させる第2接触ステップと、
次いで、前記基準センサ部及び前記検出センサ部を同一環境下に配置した状態のまま、前記取得手段によって当該基準センサ部の出力値と当該検出センサ部の出力値とを取得する取得ステップと、
次いで、前記応答比算出手段によって、前記取得ステップで取得された前記基準センサ部の出力値と前記検出センサ部の出力値とに基づき前記第2応答比を算出する応答比算出ステップと、
次いで、前記濃度判定手段によって、前記記憶手段に記憶されている第1応答比と、前記応答比算出ステップで算出された第2応答比と、の比率に基づき前記試料に含まれる検出対象物質の濃度を判定する濃度判定ステップと、を有することを特徴とする検出対象物質測定方法。
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